JP2003249781A - 電磁波シールド性を有する熱伝導性シート状積層体 - Google Patents
電磁波シールド性を有する熱伝導性シート状積層体Info
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Abstract
従性がよく、各種電子機器からの発熱を効率よくシート
シンクへ伝導させると共に、良好な電磁波シールド性を
有する熱伝導性シート状積層体を提供すること。 【解決手段】 金属で被覆処理した繊維基材シートの少
なくとも片面に、熱伝導性充填材を含有した軟質樹脂層
を積層した構造を有することを特徴とする電磁波シール
ド性のある熱伝導性シート状積層体であり、繊維基材シ
ートとして薄手の織布、編布または不織布であり、熱伝
導性充填材を含有する軟質樹脂層がアクリル系重合体ま
たはシリコーン系重合体である熱伝導性シート状積層体
である。
Description
がよく、各種電子機器部品からの発熱を効率よく放熱体
へ伝導し、かつ良好な電磁波遮蔽特性(電磁波シールド
特性)を有する熱伝導性シート状積層体に関する。
化、薄型化に伴い、各種素子からの発熱量は著しく増大
してきている。特に、発熱の影響によりパーソナルコン
ピューター内部の電子部品および各種ドライブ等のデバ
イスは、その損壊および誤作動を招く恐れが多く、適切
な手段により排熱を行う必要がある。これらの排熱手段
としては、一般的に、発熱体からの熱を、熱伝導体を介
してヒートシンク等の放熱体に逃してやることにより処
理されており、さらに、必要に応じてヒートシンク等の
放熱体は、ファンを使用して空気により強制的に冷却さ
れていることが多い。この場合の発熱体と放熱体は、熱
伝導体を介して互いに接触しあっていることが望ましい
ものであるが、両者の表面状態により微小の凹凸や段差
を生じ、効率的に熱伝導が行われていない場合がある。
は、それ自体が電磁波の発生源であると同時に、外部か
らの電磁波の影響を受けて誤作動を招く恐れがある。ま
た、製品から漏れ出る電磁波は、人体に対しても害を及
ぼす危険性もあるため、電磁波シールド対策を行う必要
がある。
コーングリス等を熱伝導体として使用し、発熱体と放熱
体との間の熱伝導を行う方法が広く行われている。しか
しながら、液状のシリコーングリスを均一に塗布するに
は技術的に困難なものであり、時間と手間がかかる問題
点がある。さらに、シリコーングリスを塗布した製品に
あっては、使用中にシリコーングリスが流動してしまう
等の問題点もある。また、大きな凹凸面に対しては、密
着性の問題で、実質的にシリコーングリスを使用するこ
とは困難なものである。
トマー等のマトリックス樹脂に熱伝導性のフィラーを混
合した低硬度シート状物を、熱伝導体として使用するこ
とも広く行われている。このシート状物は、発熱体等の
凹凸面には比較的追従するものではあるが、貼着の際に
シートと発熱体、あるいはシートと放熱体との間に気泡
が入りやすく、またシート内部にも気泡が残り、本来の
熱伝導性能が発揮できない場合もある。
面あるいはシート内部に気泡が存在すると、熱源からヒ
ートシンクに熱を伝える能力は著しく低下してしまう恐
れがある。また、フィラーの充填率が低いため、電磁波
シールド性が十分でないといった問題点がある。
工夫が提案されており、例えば特開平2000−101
004号公報には、熱伝導率が高く、かつ良好な電磁波
シールド特性を有する放熱シートとして、金属繊維を含
むスラリーを湿式造抄および焼結させた金属繊維シート
に、熱伝導性接着剤を含浸、充填、または片面もしくは
両面に積層加工処理して加工した放熱シートが例示され
ている。
熱シートにあっては、金属繊維を含むスラリーを湿式造
抄および焼結によりシート化した金属繊維シートであ
り、繊維の向きがランダムになっているため、電磁波シ
ールド性を向上させようとすると金属繊維シート自体の
厚さを増大させなくてはならない。その結果、放熱シー
トの厚さが増すことから、ヒートシンクへの熱の伝導が
確保し難い問題がある。
しているため、放熱シート自体を簡単に剥がすことがで
きず、脱着時に被着体面を汚染させる問題が生じてい
る。また、金属繊維シート自体にある程度の屈曲性はあ
るものの、厚みが大きいために柔軟性および伸縮性に乏
しくなり、大きな凹凸面に追従させるように変形するこ
とができない欠点を有している。
これらの問題点を解決し、発熱体ならびにシートシンク
の凹凸面への追従性がよく、各種電子機器からの発熱を
効率よくシートシンクへ伝導させると共に、良好な電磁
波シールド性を有する熱伝導性シート状積層体を提供す
ることを課題とする。
は鋭意検討した結果、柔軟性のある薄手の編布、織布ま
たは不織布を、メッキ法、スパッタリング法あるいは真
空蒸着法等の手段により電気伝導性のある金属を被覆さ
せて電磁波シールドシートとなし、その少なくとも片面
に熱伝導性を有する軟質樹脂層をラミネート等の手段に
より積層させた積層体が、柔軟性があり、優れた電磁波
シールド性を有する熱伝導性シート状物となりうること
を見いだし、本発明を完成させるに至った。
本的態様に関る請求項1に記載の発明は、金属で被覆処
理した繊維基材シートの少なくとも片面に、熱伝導性充
填材を含有した軟質樹脂層を積層した構造を有すること
を特徴とする電磁波シールド性のある熱伝導性シート状
積層体である。
より、対象物体(発熱体およびヒートシンク)に十分熱
伝導性シート状積層体を密着させることができる。金属
で被覆処理した繊維基材シートの片面のみに、熱伝導性
充填材含有の軟質樹脂層を積層した熱伝導性シート状積
層体の場合、繊維基材シートのメッシュ部に空気が混入
するかもしれないが、繊維基材シートが対象物体に密着
するので繊維基材シートの被覆金属を介して良好に熱が
伝導される。また、両面に熱伝導性充填材含有の軟質樹
脂層を積層した場合には、対象物体への密着性がより向
上される。
ては、繊維全体を金属で被覆するために、ある程度の空
隙部(メッシュ部)を有する網状繊維基材が好ましく、
また凹凸面への追従性を確保するため薄手の繊維基材シ
ートであることが好ましい。繊維基材シートが織布、編
布または不織布である熱伝導性シート状積層体であり、
繊維基材シートの厚みが0.02〜0.50mmの範囲
にある熱伝導性シート状積層体が好適である。
記載の発明において、熱伝導性充填材を含有する軟質樹
脂層の厚みが0.3〜2.0mmの範囲にあり、熱伝導
率λが0.2W/m・Kより大きなものである熱伝導性
シート状積層体である。
金属を被覆した繊維基材シートとの間に充分な接着強度
が得られず、また一方、あまりにも厚いものでは樹脂層
に柔軟性が欠け、凹凸面への追従性が得られないものと
なる。さらに、樹脂層の熱伝導率λが0.2W/m・K
に満たない場合には、樹脂層自体が熱を遮断してしまう
可能性があり、熱伝導体として機能しない虞がある。
項1に記載の発明において、特に熱伝導性充填材を含有
する軟質樹脂層がアクリル系重合体またはシリコーン系
重合体からなる熱伝導性シート状積層体である。
系重合体を使用した場合には、ナイフコーター等の設備
によるシート化が可能であることから加工性に富むと共
に、自己粘着性の付与も容易なものであり、発熱体なら
びに放熱体への装着が容易になしうるものである。ま
た、軟質樹脂層を構成する樹脂としてシリコーン重合体
を使用した場合には、得られた熱伝導性シート状積層体
を高温の発熱部品等に装着しても、劣化が少ない利点を
有する。
細に説明する。本発明が提供する電磁波シールド性を有
する熱伝導シート状積層体は、基本的には、金属で被覆
処理した繊維基材シートの少なくとも片面に、熱伝導性
充填材を含有した軟質樹脂層を積層した構造を有する、
電磁波シールド性のある熱伝導性シート状積層体であ
る。この場合の金属で被覆処理した繊維基材シートは、
いうなれば電磁波シールド性を有するものであり、かつ
熱伝導性を有するシートである。かかるシートとして
は、スパッタリング法、蒸着法、メッキ法等により繊維
基材に金属を被覆させたものが使用できる。
は、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリプロピレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ナイロン等の各種
合成繊維のフィラメント糸から形成したものも使用する
ことができる。そのなかでも、ポリエステル繊維が金属
との密着性において好ましく使用される。
ートとしては、繊維フィラメントにより空隙部(穴明き
部)を有する編布または織布、不織布等であり、なかで
も編目状、メッシュ状の編布または織布、不織布等が好
ましく、さらにメッシュ状の編布にあっては繊維フィラ
メント全体が金属により被覆される点で、特に好ましく
使用される。
では得られた熱伝導性シート状積層体が、発熱体あるい
はヒートシンクの凹凸面への追従性を確保しえず、また
あまり薄いものでは金属被覆処理が困難である。したが
って、繊維基材シートの厚みとしては0.02〜0.5
0mmの範囲にあるのが好ましい。
は、化学メッキ法(無電解メッキ法)、化学メッキ法−
電解メッキ法との組み合わせ、真空蒸着法、イオンプレ
ーティング法、スパッタリング法、導電性塗料塗布法に
より、金属を繊維表面に付着させることにより行われ
る。このなかでも、特に簡便な装置、金属の付着厚み、
および生産性の点で、化学メッキ法または化学メッキ法
−電解メッキ法との組み合わせによる方法が好適に用い
られる。
は、銅(Cu)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、錫(S
n)、クロム(Cr)、銀(Ag)、アルミニウム(A
l)、ニッケル(Ni)などが用いられ、これらを混合
させ付着させることも何ら問題はない。このなかでも加
工性、熱伝導性の点で、銅(Cu)が特に好適に使用で
きる。
層を構成する軟質樹脂としては、軟質樹脂をマトリック
スとし、熱伝導性充填剤をフィラーとして樹脂中に均質
に混入させたものであり、そのものだけでもあっても熱
伝導性シートとなりうるものである。そのような樹脂と
しては、シリコーン系重合体、アクリル系重合体、ウレ
タン系重合体、エチレン−プロピレン系重合体、スチレ
ン系重合体、イミド系重合体から選択される重合体を挙
げることができる。そのなかでも加工性、性能の点で、
特にアクリル系重合体、あるいはシリコーン系重合体が
好適に使用される。
ビニル基とH−Si基の両方を有する一液性のシリコー
ン、N末端あるいは側鎖にビニル基を有するオルガノポ
リシロキサンと末端あるいは側鎖に2個以上のH−Si
基を有するオルガノポリシロキサンとの架橋物である二
液性シリコーン、あるいは熱可塑性樹脂と同様の加工が
可能なミラブル型シリコーンを用いることができる。
ンの場合には、これらのシリコーン樹脂に熱伝導性フィ
ラーを配合し、混練した後、フッ素樹脂などからなる離
型性を有する耐熱フィルム等にキャスティングすること
により製膜(成形)させ、加熱硬化、キュアリングする
ことにより樹脂シートを作成することができる。一方ミ
ラブル型シリコーンの場合には、カレンダー装置または
押出装置によりシート化することが可能である。この場
合、熱伝導性充填材を予め混合してペレット化させる
か、またはブロック化させることも可能であり、直接カ
レンダー法あるいは押出装置によりシート化することが
できる。
リレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレ
ート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタ
クリレート、tert−ブチルメタクリレート、エチル
ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デ
シルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル;あるいは(メタ)アクリル酸、イタコン酸、ク
ロトン酸、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミ
ド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジメチ
ルアミノエチル(メタ)アクレレート、N−ジエチルア
ミノエチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベン
ゼン、グリシジル(メタ)アクリレート、アリル(メ
タ)アクリレート等のモノマーなどの共重合体を広く使
用することが可能である。なお、これらの重合体にあっ
ては、所望の性能が得られるよう、適宜組成を変更する
こともできる。
使用して本発明の熱伝導性充填材を含有する軟質樹脂層
を製造する場合には、樹脂成分が溶解された状態下、ま
たは水に分散されたエマルジョンの状態下、あるいはバ
ルク重合により比較的低分子の液体の状態下に、所望の
熱伝導性充填材を混合し、離型性の担体(例えば離型シ
ート)上にコーティングし、乾燥、架橋、固化させるこ
とによりシート化させることが可能である。また、アク
リルエラストマーとしてペレット化されたものに熱伝導
性充填材を配合し、Tダイ押出機によりシート化させる
ことも可能である。
用して本発明の熱伝導性充填材を含有する軟質樹脂層を
製造する場合には、ポリオール成分、ポリイソシアネー
ト成分および触媒等を混合させた液状シロップを用い、
これに熱伝導性充填材を配合し、離型性の担体(例えば
離型シート)上にコーティングし、加熱、架橋、硬化さ
せることにより製造することができる。また、ウレタン
系熱可塑性エラストマーとしてすでに重合された状態の
樹脂ペレットを使用し、これに熱伝導性充填材を配合
し、Tダイ押出機またはカレンダー機によりシート化す
ることで製造することもできる。
質樹脂成分として使用して本発明の熱伝導性充填材を含
有する軟質樹脂層を製造する場合には、例えば、エチレ
ン−プロピレン系重合体としてエチレン−プロピレンゴ
ム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重
合体ゴム(EPDM)、ポリプロピレンまたはポリエチ
レンとEPDMの混合物からなるオレフィン系熱可塑性
エラストマー(TPO)等を使用し、これらの重合体を
ペレット化すると共に、所望の熱伝導性充填材を配合
し、得られた混合物をTダイ押出機またはカレンダー機
によりシート化することにより製造することができる。
して使用して本発明の熱伝導性充填材を含有する軟質樹
脂層を製造する場合には、例えばスチレン系重合体とし
てスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン
−イソブチレン共重合体(SIS)、スチレン−イソブ
テン−ブタジエン共重合体(SIBS)等を使用し、こ
れらのスチレン系重合体を溶剤に溶解し、これに所望の
熱伝導性充填材を配合した後、離型性の担体(例えば離
型シート)上にコーティングし、加熱、乾燥させること
によりシート化させることで製造することができる。ま
たスチレン系重合体を樹脂ペレット化し、このペレット
に熱伝導性充填材を混練し、カレンダー機またはTダイ
押出機によりシート化するにより製造することもでき
る。
して本発明の熱伝導性充填材を含有する軟質樹脂層を製
造する場合には、そのようなイミド系重合体としてはジ
カルボン酸とジアミンから合成されるものであり、芳香
族ポリイミド、脂肪族ポリイミドのいずれも使用するこ
とができる。さらに、重合されたポリイミド樹脂を溶剤
に溶解したワニスも好適に使用することができる。これ
らの樹脂成分を用い、これに所望の熱伝導性充填材を配
合した後、離型性の担体(例えば離型シート)上にコー
ティングし、加熱固化、キュアリングすることにより製
膜させ、製造することができる。
提供する熱伝導性シート状積層体においては、軟質樹脂
層としてアクリル系重合体、あるいはシリコーン重合体
を用いるのが好ましい。すなわち、アクリル系重合体を
使用した場合には、ナイフコーター等の設備によるシー
ト化が可能であり、加工性に富むと共に、自己粘着性の
付与も容易なことより、発熱体ならびにヒートシンク等
の放熱体への装着が容易になしうるものである。また、
シリコーン重合体にあっては、高温の発熱部品等に装着
しても、劣化が少ない利点を有するためである。
填材としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、
窒化アルミニウム、窒化ホウ素、水酸化アルミニウム、
アルミニウム、鉄、銀、銅等が用いられ、これらを単独
あるいは複数組み合わせて使用することができる。
子の状態で軟質樹脂に含有され、そのような粒子の大き
さならびに形状は特に限定されるものではないが、粒子
として擬球形状であり、粒径としてほぼ0.5〜80μ
m程度のものが好ましく使用される。
は、所望の熱伝導率を得る量を含有させればよく、特に
限定されるものではない。本発明における熱伝導性充填
材を含有する軟質樹脂層の熱伝導率λは0.2W/m・
Kより大きなものであることが必要である。熱伝導率λ
が0.2W/m・Kに満たない場合には、当該樹脂層に
より熱が遮断されることとなり、発熱体からヒートシン
ク等の放熱体への熱伝導が行われず、好ましいものでは
ない。
樹脂組成の混合物100重量部に対して熱伝導性充填材
を約80〜約300重量部含有させることにより、所望
の熱伝導率を得ることができることが判明した。なお、
熱伝導性充填材に加え、一般的に使用されている樹脂充
填材として、たとえば炭酸カルシウム、クレー、カオリ
ン等を組み合わせ含有させることもできることはいうま
でもない。
法は、特に限定されるものではなく、樹脂成分の種類、
充填材の種類、配合量により適宜選定することができ
る。具体的には、軟質樹脂の原料が液状の場合には、デ
イゾルバーミキサー、ホモミキサー等の攪拌機により行
うことができる。また、樹脂原料が固体の場合には、バ
ンバリーミキサー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキ
サー、スクリュー押出機等の混練装置を使用することが
でき、さらにTダイ押出機によりシート化する際に同時
に混練することもできる。
は、金属で被覆処理した薄手の繊維基材シートの少なく
とも片面に、熱伝導性充填材を含有した軟質樹脂層を積
層させることにより製造される。この場合の積層体の製
造方法は、上記した熱伝導性充填材を含有する軟質樹脂
混合組成物の性状にしたがって、適宜選択することがで
きる。
質樹脂混合物が、液状の組成物である場合には、コーテ
ィング法により離型性を有する担体(離型シート)上に
所望の厚みに樹脂混合物をコーティングし、各種手法に
より固化を行う。その段階で、特に樹脂層が完全に固化
および硬化する前に、金属で被覆した繊維基材シートを
ラミネートすることにより、液状組成物の一部が繊維基
材シートの表面に染み込むことにより、投錨効果(アン
カー効果)を発現し、接着剤を介することなく積層する
ことが可能となる。軟質樹脂層の固化あるいは硬化は、
例えば熱オーブンによる加熱固化の他、UV、EB等の
エネルギー波照射硬化法などを用いて行うことができ
る。
した熱可塑性の固形組成物の場合には、Tダイを備えた
押出機や、溶融状態でのカレンダーロール等による混
練、付形でシート化することもできる。この際にあって
も、シートが完全に冷却固化される前に、金属で被覆し
た繊維基材シートをラミネートさせることにより、樹脂
の一部が繊維基材シートに染み込み、両者の接着性を発
揮することとなる。
る軟質樹脂層の厚みとしては、総厚で0.3〜2.0m
m程度の範囲であり、より好ましくは0.4〜1.5m
m程度である。樹脂層の厚みが0.3mmより薄い場合
には、繊維基材シートとの間に充分な接着強度が得られ
ず、また、厚みが2.0mmより厚い場合には、樹脂層
に柔軟性がなくなり、発熱体等の凹凸面への追従性が確
保できず、また被着体と樹脂層との境界に気泡が封入さ
れやすくなり好ましいものではない。なお、金属で被覆
した薄手の繊維基材シートの少なくとも片面に積層され
る軟質樹脂層の層厚は、それぞれ同一であっても、異な
っていてもよい。
導性シート状積層体は、所定の形状に打抜裁断され、電
気機器部品あるいは電子機器部品の発熱体と放熱体(シ
ートシンク)の間に装着され、発熱体からの熱を放熱体
(シートシンク)へ、効率よく伝導させ、放熱を行うこ
とが可能となる。また、電磁波シールド特性を発揮する
こととなる。この場合における本発明の熱伝導性シート
状積層体の装着は、軟質樹脂層側をなるべく平坦な面に
装着し、次いである一定の押圧により他方の面に圧着さ
せることにより、凹凸面に柔軟に馴染みさせ(追従さ
せ)、その結果、有効に熱伝導性特性を発揮し得ること
となる。
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。
中に記載する金属を化学メッキ法または化学メッキ−電
解メッキ法を組み合わせて繊維基材シートを金属で被覆
させ、金属を被覆処理した繊維基材シートを製造した。
製 表2中に記載の軟質樹脂成分を用い、これに同じく表中
に記載する量の熱伝導性充填材を含有させ、シリコーン
系重合体にあっては、押出機にて、厚み0.5mmを有
する軟質樹脂層を製造し、アクリル系重合体にあって
は、シリコーンコーティング離型紙上にキャスティング
し、加熱硬化させて、厚み0.5mmを有する軟質樹脂
層を製造した。なお、表2の樹脂層厚は、片面のみの厚
さを示し、もう片面も同一の厚さを積層しているので、
樹脂層の総厚は、表2に示した値の2倍となる。
ト用い、基材シートの両面に(b)の熱伝導性充填材含
有軟質樹脂層を積層させ、本発明の熱伝導性シート状積
層体を製造した。積層体の製造は、(b)の熱伝導性充
填材含有の軟質樹脂層が完全に固化および硬化する前に
(a)で得られた金属を被覆処理した繊維基材シートを
ラミネートし、その状態で固化および硬化を行い、軟質
樹脂層に繊維基材シートの表面が染み込むことによる投
錨接着により両者を積層した。得られた本発明の熱伝導
性シート状積層体は、全体の厚みとして約1.1mmで
あった。
繊維基材シートならびに樹脂組成を用いて、同様に熱伝
導性シート状積層体を得た。ただし、参考例1において
は金属を被覆処理した繊維基材シートとして、シート厚
みが1.0mmの繊維基材シートを使用し、また参考例
2においては軟質樹脂層の厚みとして3.0mmのもの
を使用した。
維基材シートに金属を被覆処理しないものを使用した。
その他は実施例1に同様にして熱伝導性シート状積層体
を得た。
ーン社製 TSE2323−5E 2)アクリル系重合体:大日本インキ化学工業社製 ク
イックマスター SPS−809
シート状積層体について、凹凸面を有する被着体への装
着を検討し、その追従性を評価した。その結果、実施例
1〜4で得られた本発明の熱伝導性シート状積層体は、
凹凸面への追従性に優れていたものの、参考例1および
2にあっては、凹凸面への追従性は実施例1〜4のもの
に比較して悪いものであった。参考例3にあっては、電
磁波シールド性が得られなかった。それらの結果を、併
せて上記の表2中に示した。
mの箱の中に発信器を入れ、実施例1〜4、ならびに参
考例1〜3で得られた熱伝導性シート状積層体を張り付
けてシールド処理を行い、10m法による電波暗室でシ
ールド性能を測定した。周波数1GHzにおける電磁波
の減衰率(dB)を合わせて表2中に示した。表中に示
した結果からも明らかなように、本発明の熱伝導性シー
ト状積層体は、いずれも良好な電磁波シールド性を示し
た。
試験 実施例1〜4、および参考例1〜3で得られた熱伝導性
シート状積層体を用いて、熱伝導性シートの性能を試験
した。性能はシート積層体の熱抵抗を評価することで行
った。試験は湿度センサーを内蔵した断面積25cm2
(5cm×5cm)、厚み10mmのアルミニウム板2
枚を用意し、その一方に熱量Q=30Wのヒーターを取
り付ける。さらに作成したシート積層体の軟質樹脂膜側
をヒーターを取り付けた側のアルミニウム板に装着す
る。シート積層体のフォーム側にもう一方のアルミニウ
ム板を重ね荷重が2,500g(100g/cm2)に
なるように重量を加えた。
ミ板の温度を測定し、一定になったところ(安定したと
ころ)で、その温度差を測定することにより、次式より
熱抵抗を算出した。
0)[℃/W] その結果をあわせて表2中に示した。表中に示した結果
からも明らかなように、本発明の熱伝導性シート状積層
体は、いずれも良好な熱伝導性を示した。これに対して
軟質樹脂層の厚みが厚い参考例2のものは放熱性に劣る
ものだった。
る熱伝導性シート状積層体は、金属で被覆処理した薄手
の繊維基材シートの少なくとも片面に、熱伝導性充填材
を含有した軟質樹脂層を積層した構造を有することを特
徴とする電磁波シールド性のある熱伝導性シート状積層
体であり、特に、薄手の繊維基材シート全体に熱伝導性
のある金属を化学メッキ法あるいはその他の手段により
付着させることにより、電磁波シールド性を確保し、さ
らに熱伝導性を確保したことにより、熱伝導性シートを
薄くすることができ、凹凸面に対して優れた追従性があ
り、その結果少ない力でも密着させることができ、有効
に熱伝導性と電磁波シールド性を確保することができ得
る点に特徴を有するものである。
は、薄くて柔軟性に富むものであるため、発熱体と放熱
体との接触面に多少の凹凸形状あるいは段差が存在して
も、本発明の熱伝導性シート状積層体を用いることによ
り両者を密着状態で接触させることが可能となり、極め
て有効に、発熱体からの熱を放熱し得る利点を有する。
(スペーサー)に比較して、簡便な構造を有する熱伝導
性シート状積層体であることより、製造コストの低減が
図れ、その点での産業上の有用性は多大なものである。
Claims (3)
- 【請求項1】 金属で被覆処理した繊維基材シートの少
なくとも片面に、熱伝導性充填材を含有した軟質樹脂層
を積層した構造を有することを特徴とする電磁波シール
ド性のある熱伝導性シート状積層体。 - 【請求項2】 熱伝導性充填材を含有する軟質樹脂層の
厚みが、0.2〜2.0mmの範囲にあり、熱伝導率λ
が0.2W/m・Kより大きなものである請求項1に記
載の熱伝導性シート状積層体。 - 【請求項3】 熱伝導性充填材を含有する軟質樹脂層が
アクリル系重合体またはシリコーン系重合体である請求
項1に記載の熱伝導性シート状積層体。
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