JP2013014713A - 発泡性熱可塑性樹脂粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低温での予備発泡および型内成形に適した、難燃性に優れる発泡性熱可塑性樹脂粒子を提供する。
【解決手段】 単量体組成が、スチレン95重量%以上99重量%以下、アクリル酸エステル1重量%以上5重量%未満である熱可塑性樹脂を含んでなる発泡性熱可塑性樹脂粒子において、ATR−FTIRにより測定された熱可塑性樹脂予備発泡粒子表面の赤外線吸収スペクトルから得られる696cm−1及び1730cm−1での吸光度比α(A1730/A696)が、熱可塑性樹脂予備発泡粒子中心部の赤外線吸収スペクトルから得られる吸光度比β(A1730/A696)の1.0倍以上10倍以下とし、臭素系難燃剤を含み、かつ、臭素含有量が0.37重量%以上2.70重量%未満であることにより、上記特性を有する発泡性熱可塑性樹脂粒子を得ることができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、難燃性を有し、低温での予備発泡及び型内成形適した発泡性熱可塑性樹脂粒子に関する。
発泡性熱可塑性樹脂粒子は、比較的安価で、特殊な方法を用いずに蒸気等で発泡成形ができ、高い緩衝・断熱の効果が得られるため、社会的に有用な材料である。しかし、近年の環境問題への関心の高まりから、より省エネルギーへの要望が高まっており、予備発泡及び型内成形時の温度を低温にすることで、少ない蒸気使用量で発泡可能な発泡性熱可塑性樹脂粒子が求められている。
上記発泡成形品は、発泡性熱可塑性樹脂粒子を蒸気等により加熱、所望の嵩密度まで予備発泡し、熟成工程を経た後、成形金型に充填され再度加熱発泡成形する方法により製造される。しかしながら、発泡時の温度を低温にすると所望の嵩密度まで予備発泡できないばかりか、得られる発泡成形品の見栄えが著しく悪化するという問題があった。特に、建築・土木分野で使用される場合は、シックハウス症候群への対策のため、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、スチレン等の易揮発性有機化合物を低減することが望まれるが、可塑性を有する易揮発性有機化合物が少なくなると、低温での発泡・成形性が悪化するという問題があった。
かかる問題に対して、本発明とは別の目的で、特許文献1では、ブタン類を発泡剤とする発泡性スチレン系樹脂を製造するに当たって、スチレンおよび、スチレンと共重合可能な単量体をスチレンに対して17%以下用いて重合して得られた樹脂であって、二次転移温度がスチレン樹脂より2〜14℃低く且単量体の残留量が0.3%以下であることを特徴とする発泡能に優れた発泡性スチレン系樹脂粒子が提案されている。
また、特許文献2では、水性懸濁体中でスチレン系モノマーとアクリル酸エステルモノマーを共重合させるか若しくは、スチレン系モノマーとアクリル酸エステルモノマーをスチレン系ポリマー種粒子の存在下に共重合させてスチレン系ポリマー粒子の発泡性を改良する方法が提案されている。
ところが、特許文献1および2の方法では、二次転移温度を低くすることで発泡力は高くなるが、アクリル酸エステルの粒子表面と中心部の比率に関する検討がなされておらず、低温での成形性では満足する効果が得られない。
また、特許文献3では、スチレン系単量体に、アクリル酸ブチル重合体、メタクリル酸セチル重合体およびアクリル酸ブチル−メタクリル酸セチル共重合体からなる群から選ばれた少なくとも一種のアクリル系樹脂を、得られる発泡性スチレン系樹脂粒子の樹脂成分に対して0.1〜6.0重量%溶解させておくことを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法が提案されている。しかしながら、特許文献3では、初期にアクリル系樹脂をスチレン系単量体に溶解させるために、スチレン−アクリル酸エステルブロック共重合体となるが、スチレン−アクリル酸エステルブロック共重合体は熱的安定性に劣り、特に高発泡化させた際に成形体表面の溶融が起こりやすくなり、成形体の外観の見栄えの点で改善の余地があった。
特許文献4では、スチレン系単量体、ジアリルフタレート並びにアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルを重合させて得られる熱可塑性樹脂の粒子に発泡剤を含浸させてなる発泡性熱可塑性樹脂粒子が提案されている。しかしながら、ジアリルフタレートのような架橋剤を添加し分子量を高くすると、成形性が悪化し成形体表面の見栄えが損なわれるという点で改善の余地があった。
特許文献5では、本発明とは別の発泡方法ではあるが、重量平均分子量が15万〜50万であるスチレン系樹脂粒子を用いて、側鎖を有する炭素数が5以下の脂肪酸炭化水素を主成分とする発泡剤3〜10重量%を含有し、発泡開始温度が50〜70℃、最高発泡温度が80〜110℃である発泡性スチレン系樹脂粒子及びその製造方法が提案されている。ところが、低温での発泡性を改善するためにアクリル酸ブチルと共重合しているが、スチレン系単量体に対するアクリル酸ブチルの使用量が多いために、成形体表面の溶融が起こりやすくなり、成形体の外観の見栄えが著しく悪化する問題がある。
特許文献6では、アクリル酸エステルとスチレン系単量体との共重合体を含有する樹脂粒子に発泡剤と難燃剤を含ませてなる難燃性発泡性ポリスチレン系樹脂粒子であって、ATR法赤外分光分析により1730cm−1での吸光度D1730と1600cm−1での吸光度D1600とに着目し、樹脂粒子の表面を分析して、D1730/D1600から算出される吸光度比(A)と、同様に樹脂粒子の中心部を分析し算出される吸光度比(B)とが、(A)<(B)、且つ(A)が0.5以下であり、且つ表層部分に含まれる難燃剤濃度をa(質量%)とし、樹脂粒子の全体に含まれる難燃剤濃度をb(質量%)とすると、a≦1.1×bであり、bが0.30〜2.00質量%の範囲内である難燃性発泡性ポリスチレン系樹脂粒子とその製造方法が提案されている。しかしながら、粒子表面のアクリル酸エステルの濃度が低く、十分な低圧成形性が確保されないばかりか、シード重合により作製されるために生産性が悪いという問題がある。
特公昭46−42236号公報 特開平6−322038号公報 特許第1217232号公報 特許第1340620号公報 特許第4587499号公報 特開2011−26511号公報
以上のような状況に鑑み、本発明の目的は、難燃性を有し、低温での予備発泡及び型内成形に適した発泡性熱可塑性樹脂粒子を提供することにある。
発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意検討したところ、単量体組成が、スチレン95重量%超99重量%以下およびアクリル酸エステル1重量%以上5重量%未満である(両者の合計量が100重量%である)熱可塑性樹脂を含んでなる発泡性熱可塑性樹脂粒子であって、ATR−FTIRにより測定された熱可塑性樹脂予備発泡粒子表面の赤外線吸収スペクトルから得られる696cm−1及び1730cm−1での吸光度比(A1730/A696)が、熱可塑性樹脂予備発泡粒子中心部の赤外線吸収スペクトルから得られる吸光度比(A1730/A696)の1.0倍以上10倍以下であり、臭素系難燃剤を含み、かつ、臭素含有量が0.37重量%以上2.70重量%未満であることにより、上記特性を有する発泡性熱可塑性樹脂粒子を得られること見出し、本発明に至った。
すなわち、
本発明の第1は、単量体組成が、スチレン系単量体95重量%超99重量%以下およびアクリル酸エステル系単量体1重量%以上5重量%未満(両者の合計量が100重量%である)である熱可塑性樹脂を含んでなる発泡性熱可塑性樹脂粒子であって、ATR−FTIRにより測定された熱可塑性樹脂予備発泡粒子表面の赤外線吸収スペクトルから得られる696cm−1及び1730cm−1での吸光度比(A1730/A696)が、熱可塑性樹脂予備発泡粒子中心部の赤外線吸収スペクトルから得られる吸光度比(A1730/A696)の1.0倍以上10倍以下であり、臭素系難燃剤を含み、かつ、臭素含有量が0.37重量%以上2.70重量%以未満であることを特徴とする、発泡性熱可塑性樹脂粒子に関する。
本発明の第2は、アクリル酸エステルがアクリル酸ブチルであることを特徴とする、第1の発明記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子に関する。
本発明の第3は、発泡性熱可塑性樹脂粒子中に含有される単量体成分が0.3重量%未満であることを特徴とする、第1または2の発明記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子に関する。
本発明の第4は、樹脂粒子が懸濁重合法により得られることを特徴とする、第1〜第3のいずれかの発明記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子に関する。
本発明の第5は、第1〜第4のいずれかの発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子を発泡させてなることを特徴とする、熱可塑性樹脂予備発泡粒子に関する。
本発明の第6は、第5の発明の熱可塑性予備発泡粒子を型内成形してなることを特徴とする、熱可塑性樹脂発泡体に関する。
本発明は、単量体組成が、スチレン95重量%超99重量%以下およびアクリル酸エステル1重量%以上5重量%未満である(両者の合計量が100重量%である)熱可塑性樹脂を含んでなる発泡性熱可塑性樹脂粒子であって、ATR−FTIRにより測定された熱可塑性樹脂予備発泡粒子表面の赤外線吸収スペクトルから得られる696cm−1及び1730cm−1での吸光度比(A1730/A696)が、熱可塑性樹脂予備発泡粒子中心部の赤外線吸収スペクトルから得られる吸光度比(A1730/A696)の1.0倍以上10倍以下であり、臭素系難燃剤を含み、かつ、臭素含有量が0.37重量%以上2.70重量%未満であることにより、難燃性を有し、低温での予備発泡および型内成形に適した発泡性熱可塑性樹脂粒子を得ることができる。
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子は、単量体組成が、スチレン95重量%超99重量%以下およびアクリル酸エステル1重量%以上5重量%未満である(両者の合計量が100重量%である)熱可塑性樹脂を含んでなる発泡性熱可塑性樹脂粒子であって、ATR−FTIRにより測定された熱可塑性樹脂予備発泡粒子表面の赤外線吸収スペクトルから得られる696cm−1及び1730cm−1での吸光度比(A1730/A696)が、熱可塑性樹脂予備発泡粒子中心部の赤外線吸収スペクトルから得られる吸光度比(A1730/A696)の1.0倍以上10倍以下であり、臭素系難燃剤を含み、かつ、臭素含有量が0.37重量%以上2.70重量%未満であることにより、難燃性を有し、低温での予備発泡および型内成形に適した発泡性熱可塑性樹脂粒子を得ることができる。
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子を構成するスチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレンなどのスチレン系誘導体が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子を構成するアクリル酸エステル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、などのアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸セチルなどのメタクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらの単量体は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。これらのうちでも、スチレン系単量体と共重合し易く、成形性が良い点から、アクリル酸ブチルが好ましい。
本発明における発泡性熱可塑性樹脂粒子を構成する単量体組成は、仕込み単量体の全重量100重量%に対して単量体組成が、スチレン系単量体95重量%超99重量%以下、アクリル酸エステル系単量体1重量%以上5重量%未満であり、より好ましくは、スチレン系単量体97重量%以上99重量%以下、アクリル酸エステル1重量%以上3重量%以下である。
単量体組成において、アクリル酸エステル系単量体が5重量%以上となると、特に高発泡化させた際に、成形体の収縮が起こりやすくなり、成形体の外観の見栄えが悪化する傾向がある。また、アクリル酸エステル系単量体が1重量%未満となると、低温での発泡が困難となる(目的とする発泡倍率の予備発泡粒子を得るために必要な加熱温度や融着性に優れる成形体を得るのに必要な成形温度が高くなる)傾向がある。
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子は、ATR−FTIRにより測定された熱可塑性樹脂予備発泡粒子表面の赤外線吸収スペクトルから得られる696cm−1及び1730cm−1での吸光度比α(A1730/A696)が、熱可塑性樹脂予備発泡粒子中心部の赤外線吸収スペクトルから得られる吸光度比β(A1730/A696)の1.0倍以上10倍以下であり、好ましくは1.0倍以上5.0倍以下である。
表面と中心部での吸光度比の割合α/βが10より高いと、粒子内部に比べて粒子表面のアクリル酸エステルの比率が高くなり、特に高い蒸気圧(高い金型温度)で成形する際に表面溶融を起こしやすくなり、表面外観を損なう傾向にある。吸光度比の割合α/βが1.0未満であると、粒子表面のアクリル酸エステルの比率が低くなり、低い蒸気圧(低い金型温度)での成形が困難になり、表面外観が悪化する傾向にある、また、予備発泡時の加熱温度も高温となる傾向がある。
熱可塑性樹脂予備発泡粒子における表面と中心部での吸光度比は、重合時にアクリル酸エステルを添加するタイミングを変えることにより、調整することができる。
ここで、赤外線吸収スペクトルから得られる1730cm−1の吸光度とは、カルボニル基のC=O間伸縮振動よる吸収スペクトルであり、吸光度(A1730)とした。
赤外線吸収スペクトルから得られる696cm−1の吸光度とは、芳香族ベンゼン環面外変角の吸収スペクトルであり、吸光度(A696)とした。
本発明におけるATR−FTIRとは、ATR(Attenuated Total Reflection)法を利用したFTIRである。ATR法とは、屈折率の高い結晶を試料表面に圧着し、全反射条件を用いて試料表面を高感度に測定でき、透過法と類似のスペクトルを簡便に得ることができる手法であり、光を透過しない、高分子厚膜、樹脂、塗膜、紙、糸など一般的な工業材料の分析に広く用いられている。
一般に、光は、試料と高屈折率結晶の界面で反射するのではなく、ある深さだけ試料側に入り込んでから全反射する。このとき、試料に吸収のない波数領域においては、光は全反射するが、吸収のある領域においては100%全反射するのではなく、吸収の強さに応じて全反射光の強度が落ちる。この反射エネルギーを測定することにより、全反射スペクトルが得られる。
ただし、光のもぐりこみ深さ(測定深度)は、使用する高屈折率結晶の屈折率、試料の屈折率、測定光の入射角、測定光の波数によって大きく変化するため、これらのパラメーターを特定しないと、測定結果は比較できない。ATR法における測定深度には波数依存性があり、低波数ほど測定深度が深く、吸収強度が大きくなる。したがって、透過スペクトルとの比較の場合には補正が必要となる。
本発明においては、以下の条件にて、ATR−FTIR測定を行った。
高屈折率結晶種:セレン化亜鉛(ZnSe)
入射角 :45°
測定領域 :4000cm−1〜600cm−1
検出器 :DLATGS
もぐり込み深さ:1.66
反射回数 :1回
分解能 :4cm−1
積算回数 :20回
その他 :試料と接触させずに測定した赤外線吸収スペクトルを、バックグラウンドとして測定スペクトルに関与しない処理を実施した。
なお、ATR法では、試料と高屈折率結晶の密着度合いによって測定で得られる赤外線吸収スペクトルの強度が変化するため、696cm−1の吸光度(A696)が0.08〜0.12となるように、試料と高屈折率結晶の密着度合いを調節して測定する。
ここで、予備発泡粒子の表面を測定する場合は、粒子表面をそのままATRプリズムに密着させて測定した。予備発泡粒子の中心部を測定する場合は、剃刀等を用いて、予備発泡粒子の中心を通るように二分割し、二分割した切片の断面をATRプリズムに密着させて測定した。
以上のようにして得られた赤外線吸収スペクトルから、698cm−1の吸光度(A698)と1730cm−1の吸光度(A1730)との吸光度比(A698/A1730)を求める。本発明では、任意の10個の予備発泡粒子の表面および中心部において、ATR−FTIR測定を行い、最小の吸光度比と最大の吸光度比を除外する。そして、残余8個の吸光度比の相加平均を、吸光度比(A696/A1730)とした。得られた表面の吸光度比α(A696/A1730)と中心部の吸光度比β(A696/A1730)から、以下の式にて表面と中心部との吸光度比を算出した。
表面と中心部との吸光度比=α(表面)/β(中心部)
本発明において用いられる臭素系難燃剤としては、公知慣用のものが使用できる。臭素系難燃剤の具体例としては、例えば、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモブタン、ヘキサブロモシクロヘキサン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系化合物、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールF、2,4,6−トリブロモフェノール等の臭素化フェノール類、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、2,2−ビス[4'(2”,3”−ジブロモアルコキシ)−3',5'−ジブロモフェニル]−プロパン、臭素化ポリスチレン等の臭素化フェノール誘導体が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明において用いられる臭素系難燃剤の平均粒径としては、200μm以下であることが好ましい。難燃剤の平均粒径が200μm超の場合、難燃剤が液層中に均一に分散されず、得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の難燃性が悪化する傾向がある。
本発明における発泡性熱可塑性樹脂粒子は、臭素系難燃剤を含み、かつ、発泡性熱可塑性樹脂粒子中の臭素含有量が0.37重量%以上2.70重量%未満であることが好ましく、0.53重量%以上1.60重量%未満であることがより好ましい。臭素の含有量が0.37重量%未満では、難燃性を付与することが困難な場合があり、2.70重量%以上では、熱可塑性樹脂粒子重合時の懸濁安定性が悪化する傾向にある。
本発明において、発泡性熱可塑性樹脂粒子中への臭素系難燃剤に起因する臭素含有量を増大させるには、難燃剤の平均粒径を200μm以下とすることが好ましい。また、臭素系難燃剤の導入方法としても、熱可塑性樹脂粒子の懸濁重合中に臭素系難燃剤を添加することが好ましく、さらに、モノマー添加前の水性媒体中に予め臭素系難燃剤を分散させておくことが好ましく、モノマー添加後にも30分間以上撹拌することが好ましい。
本発明では、臭素系難燃剤に、更に少量の難燃助剤を併用することにより、著しく難燃性を向上させることができる。
このような目的で使用される難燃助剤としては、一般に、過酸化物等のラジカル発生剤が用いられる。難燃助剤の具体例としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、2,3−ジメチルー2,3−ジフェニルブタン等が挙げられる。
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子中における難燃助剤の使用量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.2 重量部 以上2.0重量部以下が好ましく、0.2 重量部以上1.5 重量部 以下がより好ましい。
難燃助剤の使用量が0.2重量部未満であると、広範囲な成形体の発泡倍率での難燃性を付与することが困難となる傾向がある。また、難燃助剤の使用量が2.0重量部を超えて使用しても、難燃性の更なる向上は期待し難い。
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子中に含有される単量体成分は、0.3重量%未満である。含有される単量体成分は、発泡性熱可塑性樹脂粒子を発泡して得られる発泡成形体から揮発する傾向があり、特に含有される単量体成分が0.3重量%以上では、医療分野あるいは直接食品に接触する包装材料分野、もしくは自動車や建築の部材向けには、好ましくない。
発泡性熱可塑性樹脂粒子中に含有される単量体成分量は、熱可塑性樹脂粒子を重合する際の開始剤の使用量と重合温度の組み合わせにより制御することができる。例えば、開始剤の使用量を多くする、および/または、重合温度を高くすることにより、含有される単量体成分量を下げることができる。
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法は、水性媒体中にて懸濁重合法により得られる粒子に発泡剤を含浸する方法によって得ることができる。ここでの懸濁重合法とは、通常の懸濁重合法を指し、水性媒体中にスチレン系単量体およびアクリル酸エステル系単量体を、重合開始剤およびその他の添加剤と共に仕込む方法である。従って、水性媒体中にポリスチレン系樹脂種粒子を仕込み、スチレン系単量体およびアクリル酸エステル系単量体を連続追加するシード懸濁重合法は含まない。
懸濁重合法は、真球状の樹脂粒子を得ることができ、さらに、重合工程と発泡剤含浸工程を一貫して行って発泡性熱可塑性樹脂粒子が得られるため、工業生産性も良い。
すなわち、本発明における発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法としては、スチレン系単量体およびアクリル酸エステル系単量体を、臭素系難燃剤懸濁液、重合開始剤およびその他の添加剤の存在下で重合反応を開始し、懸濁重合中に発泡剤を添加するか、または、重合後に発泡剤を含浸させる方法が好ましい。
本発明における発泡性熱可塑性樹脂粒子の重量平均分子量(Mw)としては、20万以上32万未満が好ましく、22万以上28万未満がより好ましい。発泡性スチレン系樹脂粒子の重量平均分子量Mwが20万未満では、発泡成形体とした際の底割強度が低くなる傾向があり、また、32万を越えると、発泡性が低くなり、成形性が悪化する(目的とする発泡倍率の予備発泡粒子を得るために必要な加熱温度や融着性に優れる成形体を得るのに必要な成形温度が高くなる)傾向がある。
重量平均分子量Mwは、熱可塑性樹脂粒子を重合する際の開始剤の使用量と重合温度の組み合わせにより制御することができる。例えば、開始剤の使用量を多くする、および/または、重合温度を高くすることにより、Mwを低くできる。
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子では、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnは、2.7以上3.4未満とすることが好ましく、2.8以上3.2未満とすることがより好ましい。Mw/Mnが2.7未満であると、表面に溶融した粒子がなく、見栄えの良い成形体を得ることができる成形温度が低くなる傾向があり、3.4よりも大きくなると発泡性が低くなり、成形性が悪化する(目的とする発泡倍率の予備発泡粒子を得るために必要な加熱温度や融着性に優れる成形体を得るのに必要な成形温度が高くなる)傾向がある。
Mw/Mn比は、熱可塑性樹脂粒子を重合する際の開始剤の使用量と重合温度の組み合わせにより制御する。例えば、開始剤の使用量を多くする、および/または、重合温度を高くすることにより、Mw/Mnを下げることができる。
本発明における上記単量体の重合開始剤としては、一般に熱可塑性重合体の製造に用いられるラジカル発生型重合開始剤を用いることができる。重合開始剤の代表的なものとしては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ラウロイルパーオーキサイド−t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−アミルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどの過酸化物があげられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明における重合開始剤の使用量は,仕込み単量体の全重量100重量部に対して0.01重量部以上3重量部未満が好ましい。重合開始剤の使用量が0.01重量部未満では重合速度が遅くなる傾向があり、逆に、3重量部を超えると、重合反応が早く制御が困難になる傾向がある。
本発明において用いられる発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素、メチルクロライド、ジクロルジフルオロメタン、ジクロルテトラフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。
これらの発泡剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのうちでも、ブタンが、発泡力が良好である点から、好ましい。
本発明における発泡剤の使用量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、4重量部以上10重量部未満が好ましく、5重量部以上9重量部未満がより好ましい。発泡剤の使用量が4重量部未満では、予備発泡時間が長くなると共に、成形時の融着率が低下する傾向があり、製造コストが高くなり、経済的に不利である。発泡剤の使用量が10重量部以上では、成形体が収縮し易くなり、見栄えを損なう傾向がある。
本発明において用いられる可塑剤としては、例えば、ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、グリセリントリステアレート、グリセリントリカプリレート、ヤシ油、パーム油、菜種油などが挙げられる。これらのうちでも、医療分野あるいは直接食品に接触する包装材料分野向けに使用する場合は、食用油であるのが好ましく、さらには、やし油、パーム油、菜種油がより好ましい。
本発明においては、可塑剤は、熱可塑性樹脂粒子の重合工程、発泡剤を含浸させる工程、等にて添加してもよい。
本発明における可塑剤の使用量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.2重量部以上2.0重量部未満が好ましく、0.4重量部以上1.6重量部未満がより好ましい。可塑剤の使用量が0.2重量部未満では、二次転移温度が低くならず、低温での予備発泡および成形に不利となる傾向があり、2.0重量部以上では、成形体が収縮し易くなり、見栄えを損なう傾向がある。
本発明において用いられる懸濁剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子や第三燐酸カルシウム、ビロリン酸マグネシウム等の難溶性無機物質、等が挙げられる。難溶性無機物質を用いる場合は、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ等のア二オン界面活性剤を併用することにより、懸濁安定効果は増大させることができる。また、水溶性高分子と難溶性無機物質の併用も効果的である。
本発明においては、上記した原料物質以外に、造核剤等の発泡性熱可塑性重合体粒子の製造に一般的に使用されている物質を、本発明を阻害しない限りにおいては、併用してもよい。
本発明において用いられる造核剤としては、例えば、メタクリル酸メチル系共重合体、ポリエチレンワックス、タルク、脂肪酸ビスアマイド、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、等が挙げられる。脂肪酸ビスアマイドの具体的例としては、メチレンビスステアリルアマイド、エチレンビスステアリルアマイド、ヘキサメチレンビスパルミチン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイド等である。
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子は、これを予備発泡させ、その後、それを加熱発泡させ、発泡成形体とする。
予備発泡方法としては、例えば、円筒形の予備発泡装置を用いて、蒸気等で加熱して発泡させる等の、通常の方法を採用することができる。
予備発泡時の加熱温度(缶内温度)は、吹き込み蒸気圧及びエアー量により適宜調整されるもので、通常101〜105℃程度であるが、本発明においては、97〜100℃程度の低温においても予備発泡が可能となる。
予備発泡粒子を発泡成形させる方法としては、例えば、金型内に予備発泡粒子を充填し、蒸気等を吹き込んで加熱する方法により発泡成形体を得る、いわゆる型内発泡成形法等の、通常の方法を採用することができる。
型内成形時の吹き込み蒸気圧としては、通常0.6〜1.0kgf/cm程度であるが、本発明においては、0.3〜0.8kgf/cm程度においても成形が可能となる。
型内成形時の金型温度としては、吹き込み蒸気圧により適宜調整されるものであるが、通常113〜115℃程度であるが、本発明においては、109〜115℃程度とより低温においても成形が可能となる。
以上のように、本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子は、予備発泡時および型内発泡成形時のどちらにおいても、従来よりも低温で実施することが可能であり、より省エネルギーに適した樹脂である。
以下に、実施例および比較例を挙げるが、これによって本発明は制限されるものではない。なお、測定評価法は以下の通りに実施した。
<吸光度比(A1730/A696)の測定方法>
得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子の吸光度比は、予備発泡粒子を任意に10個採取し、それぞれ予備発泡粒子の表面と中心部に対して、以下の条件にて、ATR法赤外分光分析を行って、赤外吸収スペクトルを得た。
装置 :FTIR[(株)島津製作所製、FTIR−8400S]に、1回反射型全反射(ATR)測定装置[PIKE社製、MIRacle]を接続
ATRプリズム(高屈折率結晶種):セレン化亜鉛(ZnSe)
入射角 :45°
測定領域 :4000cm−1〜600cm−1
検出器 :DLATGS
もぐり込み深さ:1.66
反射回数 :1回
分解能 :4cm−1
積算回数 :20回
その他 :試料と接触させずに測定した赤外線吸収スペクトルをバックグラウンドとして、測定スペクトルに関与しない処理を実施した。
なお、ATR法では、試料と高屈折率結晶の密着度合いによって測定で得られる赤外線吸収スペクトルの強度が変化するため、696cm−1の吸光度(A696)が0.08〜0.12となるように、試料と高屈折率結晶の密着度合いを調節して測定する。
ここで、予備発泡粒子の表面を測定する場合は、粒子表面をそのままATRプリズムに密着させて測定した。予備発泡粒子の中心部を測定する場合は、剃刀を用いて、予備発泡粒子の中心を通るように二分割し、二分割した切片の断面をATRプリズムに密着させて測定した。
以上のようにして得られた赤外線吸収スペクトルから、696cm−1の吸光度(A696)と1730cm−1の吸光度(A1730)との吸光度比(A1730/A696)を求める。本発明では、任意の10個の予備発泡粒子の表面および中心部において、ATR−FTIR測定を行い、最小の吸光度比と最大の吸光度比を除外する。そして、残余8個の吸光度比の相加平均を、吸光度比((A1730/A696)とした。得られた表面の吸光度比α(A1730/A696)と中心部の吸光度比β(A1730/A696)から、以下の式にて表面と中心部との吸光度比を算出した。
表面と中心部との吸光度比の割合=α(表面)/β(中心部)
<臭素の含有量測定>
臭素の含有量は、酸素フラスコ燃焼法の後、イオンクロマト法(以降、IC法と略す)により、臭素の定量分析を行い、求めた。
[酸素フラスコ燃焼法]
導火部を有する濾紙の中央に、試料(得られた発泡性熱可塑性発泡粒子5mg)を置き、導火部を固定したまま濾紙を縦方向に三つ折りする。その後、濾紙を横方向に三つ折りにし、試料を包含した濾紙を、500mlの燃焼フラスコの共栓部(ガラス栓)に取り付けた白金バスケットに入れる。他方、燃焼フラスコの三角フラスコには、25mlの吸収液(飽水ヒドラジン1滴を滴下した超純水)を入れ、さらに酸素を満たしておく。
濾紙の導火部に点火し、濾紙が固定された白金バスケットを三角フラスコに挿入し、三角フラスコ内部で試料を燃焼させる。燃焼終了後に、燃焼フラスコを傾斜させて2分間振盪し、その後1時間放置することにより、燃焼により発生した臭素を吸収液に吸収させる。[IC法]
酸素フラスコ燃焼法により得られた吸収液を、イオンクロマト法により、以下の条件にて、臭素イオン量を測定した。
機種:ダイオネクス製ICS−2000
カラム:IonPac AG18,AS18(4mmφ×250mm)
溶離液:KOHグラジエント(溶離液ジェネレータ使用)
容離液流量:1.0ml/分
試料注入量:50μl
検出器:電気伝導度検出器
試料中の臭素濃度は、下式を用いて算出した。
試料中の臭素濃度(wt%)=[{発泡性熱可塑性発泡粒子のIC測定結果(mg/l)−ブランク試験結果(mg/l)}×25(ml)×1000]/{試料採取量(mg)×10000}
なお、難燃剤が既知の場合には、下式により難燃剤濃度を算出できる。
難燃剤換算値(wt%)={試料中濃度(wt%)×難燃剤分子量}/(難燃剤のBr濃度×難燃剤中に含まれるBr基の数)。
<単量体成分の含有量測定>
得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子に含有される単量体成分量は、発泡性熱可塑性樹脂粒子1.0gをジクロロメタン20mlに溶解し、内部標準液(シクロペンタノール)0.005gを加えた後、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて、以下の条件にて測定した。
GC:(株)島津製作所製、GC−14B
カラム:PEG−20M 25%
Chromosorb W 60/80(3.0m×3.0mmI.D.)
カラム温度:110℃
検出器(FID)温度:170℃ 。
<予備発泡時の缶内温度測定>
円筒形の予備発泡機[大開工業製、BHP]の側面から温度計を挿入し、予備発泡時の缶内温度を測定した。
<ブロッキング性評価>
予備発泡の際に、1cmの目開きの篩を通し、篩上に残った数個の予備発泡粒子が結合したものの質量(A)を測定し、予備発泡に使用した発泡性熱可塑性樹脂粒子の総量(B)に対しての割合を、以下の式により算出し、予備発泡時のブロッキング量(%)とした。
ブロッキング量(%)=(A/B)×100。
<成形性評価>
成形機[ダイセン製、KR−57]を用いて、厚み20mmで長さ450mm×幅300mmサイズの平板形状の金型内に充填し、吹き込み蒸気圧0.3〜0.8kgf/cmの範囲内で変化させた成型条件にて型内成形を行い、箱型の発泡成形品を得た。
得られた熱可塑性樹脂発泡体は、室温で24時間乾燥させた後、下記の発泡粒子間の表面性および融着性がどちらも合格になる、最低の吹き込み水蒸気圧吹き込み水蒸気圧を求めて、成形可能な蒸気圧範囲とした。また、最低の吹き込み水蒸気圧および最高の吹き込み水蒸気圧での金型温度を求めた。
(1)融着性評価
得られた熱可塑性樹脂発泡体を破断し、破断面を観察して、粒子界面ではなく、粒子が破断している割合を求めて、以下の基準にて、融着性を判定した。
合格: 粒子破断の割合が80%以上。
不合格:粒子破断の割合が80%未満。
(2)表面性評価
得られた熱可塑性樹脂発泡体の表面状態を目視観察し、以下の基準にて表面性を評価した。
合格: 表面の溶融、粒間少なく、美麗。
不合格:表面の溶融、粒間があり、外観不良。
<難燃性評価>
得られた発泡成形体の難燃性を、以下の基準にて評価した。
○:酸素指数が26以上であり、かつ、自消性が3秒未満である。
×:酸素指数が26未満、および/または、自消性が3秒以上である。
(1)酸素指数測定
発泡成形体を10×10×150mmに切り出した試験片を、60℃オーブンで12時間養生後、JIS K7201−2007( 酸素指数による燃焼性の試験方法)に準拠し、酸素指数を測定した。
(2)自消性評価
発泡成形体から10mm×25mm×200mmに切り出した試験片5個を、60℃オーブンで12時間養生後、JIS A9511−2006Rの測定方法Aに準拠し測定を行い、5個の試験片の平均値を求め、消炎時間とした。
(実施例1)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>
撹拌機付属の6リットルのオートクレーブに、純水100重量部、リン酸三カルシウム0.2重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.01重量部、開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.1重量部および1,1−ビス(t−アミルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.2重量部、難燃剤として2,2−ビス[4'−(2”,3”−ジブロモー2”−メチルプロピルオキシ)−3',5’−ジブロモフェニル]−プロパン(粒径:150μm)を1重量部、および難燃助剤としてジクミルパーオキサイド0.5重量部を仕込んだ。続いて、250回転/分で撹拌しながら、スチレンモノマー99重量部、アクリル酸ブチルモノマー1重量部およびヤシ油1重量部を仕込んだ後、30分間撹拌し、その後98℃まで昇温させた。引き続き、98℃にて4時間保持して、熱可塑性樹脂粒子を得た。
次いで、発泡剤としてシクロヘキサン1重量部およびブタン6重量部をオートクレーブ中に圧入し、再び120℃まで昇温させた。その後、120℃にて8時間保温した後、室温まで冷却して、オートクレーブから重合スラリーを取り出した。取り出した重合スラリーを脱水、洗浄、乾燥することにより、発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
<予備発泡および成形品の製造>
得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を篩分けして、粒子径0.6mm〜1.2mmとした。篩分けした発泡性スチレン系樹脂粒子を、加圧式予備発泡機[大開工業製、BHP]を用いて、吹き込み蒸気圧0.8kgf/cmの条件にて嵩倍率65倍に予備発泡を実施した。この際、吹き込み蒸気にはエアーを切り込ませて、吹き込み蒸気温度を調節したところ、加圧加熱時間は70秒、缶内温度は99℃であった。その後、常温下で1日放置して、養生乾燥を行った。
次いで、得られた熱可塑性樹脂予備発泡粒子を、成形機[ダイセン製、KR−57]を用いて、厚み20mm×長さ450mm×幅300mmサイズの平板形状の金型内に充填し、吹き込み蒸気圧0.3〜0.8kgf/cmの成型条件にて型内成形を行い、箱型の発泡成形品を得た。
成形可能な蒸気圧範囲は0.3〜0.8kgf/cmであり、その際の金型温度は109〜115℃であった。
得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子および発泡成形体を用いて評価を行い、その結果を表1に示す。
(実施例2)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>
重合開始時の単量体組成をスチレンモノマー98重量部およびアクリル酸ブチルモノマー2重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
<予備発泡および成形品の製造>
嵩倍率65倍の予備発泡粒子を得る際の、予備発泡時の加圧加熱時間は63秒、缶内温度は98℃であった。
次いで、実施例1と同様に型内成形を行った際の、成形可能な蒸気圧範囲は0.3〜0.8kgf/cmであり、その際の金型温度は109〜115℃であった。その評価結果を、表1に示す。
(実施例3)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>
重合開始時の単量体組成をスチレンモノマー97重量部およびアクリル酸ブチルモノマー3重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
<予備発泡および成形品の製造>
嵩倍率65倍の予備発泡粒子を得る際の、予備発泡時の加圧加熱時間は55秒、缶内温度は98℃であった。
次いで、実施例1と同様に型内成形を行った際の、成形可能な蒸気圧範囲は0.3〜0.8kgf/cmであり、その際の金型温度は109〜115℃であった。その評価結果を、表1に示す。
(実施例4)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>
撹拌機付属の6リットルのオートクレーブに、純水100重量部、リン酸三カルシウム0.2重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.01重量部、開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.1重量部および1,1−ビス(t−アミルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.2重量部、難燃剤として2,2−ビス[4'−(2”,3”−ジブロモー2”−メチルプロピルオキシ)−3',5’−ジブロモフェニル]−プロパン(粒径:150μm)を1重量部、および難燃助剤としてジクミルパーオキサイド0.5重量部を仕込んだ。続いて、250回転/分で撹拌しながら、スチレンモノマー97重量部、ヤシ油1重量部を仕込んだ後、30分間撹拌し、98℃まで昇温させた。引き続き、98℃にて3時間保持した時点で、アクリル酸ブチルモノマー3重量部を追加し、更に98℃にて1時間保持して、熱可塑性樹脂粒子を得た。
次いで、発泡剤としてシクロヘキサン1重量部およびブタン6重量部をオートクレーブ中に圧入し、再び120℃まで昇温させた。その後、120℃にて8時間保温した後、室温まで冷却して、オートクレーブから重合スラリーを取り出した。取り出した重合スラリーを脱水、洗浄、乾燥することにより、発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
<予備発泡および成形品の製造>
嵩倍率65倍の予備発泡粒子を得る際の、予備発泡時の加圧加熱時間は53秒、缶内温度は98℃であった。
次いで、実施例1と同様に型内成形を行った際の、成形可能な蒸気圧範囲は0.3〜0.6kgf/cmであり、その際の金型温度は109〜113℃であった。その評価結果を、表1に示す。
(実施例5)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>
2,2−ビス[4'−(2”,3”−ジブロモー2”−メチルプロピルオキシ)−3',5’−ジブロモフェニル]−プロパンを4重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
<予備発泡および成形品の製造>
嵩倍率65倍の予備発泡粒子を得る際の、予備発泡時の加圧加熱時間は68秒、缶内温度は98℃であった。
次いで、実施例1と同様に型内成形を行った際の、成形可能な蒸気圧範囲は0.3〜0.8kgf/cmであり、その際の金型温度は109〜115℃であった。その評価結果を、表1に示す。
(実施例6)
<熱可塑性樹脂粒子の製造>
撹拌機付属の6リットルのオートクレーブに、純水100重量部、リン酸三カルシウム0.2重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.01重量部および、開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.1重量部および1,1−ビス(t−アミルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.2重量部を仕込んだ。続いて、250回転/分で撹拌しながら、スチレンモノマー99重量部、アクリル酸ブチルモノマー1重量部を仕込んだ後、98℃まで昇温させた。引き続き、98℃にて4時間保持した。その後、120℃まで昇温し2時間保持した後、室温まで冷却して、オートクレーブから重合スラリーを取り出した。取り出した重合スラリーを脱水、洗浄、乾燥することにより、熱可塑性樹脂粒子を得た。
<難燃剤溶解液の作成>
純水5重量部に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.015重量部、リン酸三カルシウム0.3重量部、可塑剤としてセバシン酸ジブチル1.0重量部、難燃剤として2,2−ビス[4'−(2”,3”−ジブロモー2”−メチルプロピルオキシ)−3',5’−ジブロモフェニル]−プロパン1.0重量部および、難燃助剤としてジクミルパーオキサイト0.5重量部を加え、ホモミキサーを用いて7000rpmで30分間撹拌し、難燃剤溶解液を作成した。
<難燃剤および発泡剤の含浸>
続いて、撹拌機付属の6リットルのオートクレーブに、純水120重量部、得られた熱可塑性樹脂粒子100重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.015重量部、リン酸三カルシウム0.3重量部を仕込んだ。続いて、250rpmで撹拌しながら、上記難燃剤溶解液を添加した。
その後、70℃まで昇温した後、発泡剤としてシクロヘキサン1重量部およびブタン6重量部をオートクレーブ中に圧入し、再び120℃まで昇温させた。その後、120℃まで昇温し2時間保持した後、室温まで冷却して、オートクレーブから重合スラリーを取り出した。取り出した重合スラリーを脱水、洗浄、乾燥することにより、熱可塑性樹脂粒子を得た。
<予備発泡および成形品の製造>
嵩倍率65倍の予備発泡粒子を得る際の、予備発泡時の加圧加熱時間は75秒、缶内温度は99℃であったが、粒子同士が結合したブロッキングが2重量%発生した。
次いで、実施例1と同様に型内成形を行った際の、成形可能な蒸気圧範囲は0.3〜0.8kgf/cmであり、その際の金型温度は109〜115℃であった。その評価結果を、表1に示す。
(比較例1)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>
熱可塑性樹脂粒子の重合において、重合開始時に単量体組成を、アクリル酸ブチルモノマーを使用せず、スチレンモノマー100重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
<予備発泡および成形品の製造>
嵩倍率65倍の予備発泡粒子を得る為に、予備発泡時の吹き込み蒸気圧を0.8kgf/cmから1.0kgf/cmに変更した結果、加圧加熱時間は97秒、缶内温度は103℃であった。
次いで、実施例1と同様に型内成形を行った際の、成形可能な蒸気圧範囲は0.6〜0.8kgf/cmであり、その際の金型温度は113〜115℃であった。その評価結果を、表1に示す。
(比較例2)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>
重合開始時の単量体組成をスチレンモノマー95重量部およびアクリル酸ブチルモノマー5重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
<予備発泡および成形品の製造>
嵩倍率65倍の予備発泡粒子を得る際の、予備発泡時の加圧加熱時間は34秒、缶内温度は97℃であった。
次いで、実施例1と同様に型内成形を行った際の、成形可能な蒸気圧範囲は0.3〜0.4kgf/cmであり、その際の金型温度は109〜110℃であった。その評価結果を、表1に示す。
(比較例3)
<ポリスチレン系樹脂種粒子の製造>
攪拌機を具備した反応器に、純水100重量部、第3リン酸カルシウム0.4重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.01重量部、塩化ナトリウム0.5重量部を入れて攪拌して水懸濁液とした後、スチレン100重量部に対して重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.2重量部、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.2重量部を溶解したものを、反応器に加え、98℃に昇温してから4.5時間かけて重合した。次いで、110℃に昇温して1時間保持した後冷却して、その内容物を取り出し脱水・乾燥し、篩い分けして、粒子径0.425〜0.500mmのポリスチレン系樹脂種粒子を得た。
<熱可塑性樹脂粒子の製造>
6Lオートクレーブ中にて、水87重量部に、第3リン酸カルシウム0.6重量部、α−オレフィンスルフォン酸ソーダ0.01重量部、得られたポリスチレン系樹脂種粒子10重量部を懸濁させ、スチレン8重量部およびアクリル酸ブチル2重量部に重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.1重量部および1,1−ビス(t−アミルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.1重量部を溶解させた溶液を添加して、水性懸濁液を得た。
その後、得られた水性懸濁液を90℃まで昇温し、30分間維持することにより、ポリスチレン系樹脂粒子にスチレン溶液を含浸させた。更に、90℃に維持して撹拌しながら、スチレン単量体80重量部およびベンゾイルパーオキサイド0.3重量部を、7時間かけて反応系中に滴下して重合を行った。その後、120℃まで昇温し2時間保持した後、室温まで冷却して、オートクレーブから重合スラリーを取り出した。取り出した重合スラリーを脱水、洗浄、乾燥することにより、熱可塑性樹脂粒子を得た。
<難燃剤溶解液の作成>
純水5重量部に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.015重量部、リン酸三カルシウム0.3重量部、可塑剤としてセバシン酸ジブチル1.0重量部、難燃剤として2,2−ビス[4'−(2”,3”−ジブロモー2”−メチルプロピルオキシ)−3',5’−ジブロモフェニル]−プロパン1.0重量部および、難燃助剤としてジクミルパーオキサイト0.5重量部を加え、ホモミキサーを用いて7000rpmで30分間撹拌し、難燃剤溶解液を作成した。
<難燃剤および発泡剤の含浸>
続いて、撹拌機付属の6リットルのオートクレーブに、純水120重量部、得られた熱可塑性樹脂粒子100重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.015重量部、リン酸三カルシウム0.3重量部を仕込んだ。続いて、250rpmで撹拌しながら、上記難燃剤溶解液を添加した。
その後、70℃まで昇温した後、発泡剤としてシクロヘキサン1重量部およびブタン6重量部をオートクレーブ中に圧入し、再び120℃まで昇温させた。その後、120℃まで昇温し2時間保持した後、室温まで冷却して、オートクレーブから重合スラリーを取り出した。取り出した重合スラリーを脱水、洗浄、乾燥することにより、熱可塑性樹脂粒子を得た。
<予備発泡および成形品の製造>
嵩倍率65倍の予備発泡粒子を得る為に、予備発泡時の吹き込み蒸気圧を0.8kgf/cmから1.0kgf/cmに変更した結果、加圧加熱時間は68秒、缶内温度は101℃であった。また、粒子同士が結合したブロッキングが2重量%発生した。
次いで、実施例1と同様に型内成形を行った際の、成形可能な蒸気圧範囲は0.4〜0.8kgf/cmであり、その際の金型温度は110〜115℃であった。その評価結果を、表1に示す。
(比較例4)
<ポリスチレン系樹脂種粒子の製造>
比較例3と同様の操作により、粒子径0.425〜0.500mmのポリスチレン系樹脂種粒子を得た。
<熱可塑性樹脂粒子の製造>
熱可塑性樹脂粒子の重合において、6Lオートクレーブ中にて、水87重量部に、第3リン酸カルシウム0.6重量部、α−オレフィンスルフォン酸ソーダ0.01重量部、得られたポリスチレン系樹脂種粒子10重量部を懸濁させ、スチレン10重量部に重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.1重量部および1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.1重量部を溶解させた溶液を添加した。その後、この水性懸濁液を90℃まで昇温し、30分間維持することでポリスチレン系樹脂粒子にスチレン溶液を含浸させた。
更に90℃を維持して撹拌しながら、スチレン単量体70重量部およびベンゾイルパーオキサイド0.3重量部を6時間かけて反応系中に滴下して重合を行った後、スチレン単量体7重量部とアクリル酸ブチル3重量部を1時間かけて反応系中に滴下し重合を行った後、90℃で1時間保持し熱可塑性樹脂粒子を得た。
<難燃剤溶解液の作成>および<難燃剤および発泡剤の含浸>
比較例3と同様の操作により、難燃剤溶解液を得た後、比較例3と同様の操作により、難燃剤および発泡剤を含浸させて、発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
<予備発泡および成形品の製造>
嵩倍率65倍の予備発泡粒子を得る際の、予備発泡時の加圧加熱時間は51秒、缶内温度は98℃であった。また、粒子同士が結合したブロッキングが3重量%発生した。
次いで、実施例1と同様に型内成形を行った際の、成形可能な蒸気圧範囲は0.3〜0.5kgf/cmであり、その際の金型温度は109〜111℃であった。その評価結果を、表1に示す。
(比較例5)
<難燃剤溶解液の作成>
比較例3と同様の操作により、難燃剤溶解液を得た。
<ポリスチレン系樹脂種粒子の製造>
比較例3と同様の操作により、粒子径0.425〜0.500mmのポリスチレン系樹脂種粒子を得た。
<熱可塑性樹脂粒子の製造>
熱可塑性樹脂粒子の重合において、6Lオートクレーブ中にて、水87重量部に、第3リン酸カルシウム0.6重量部、α−オレフィンスルフォン酸ソーダ0.01重量部、得られたポリスチレン系樹脂種粒子10重量部を懸濁させ、スチレン10重量部に重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.1重量部および1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.1重量部を溶解させた溶液を添加した。その後、この水性懸濁液を90℃まで昇温し、30分間維持することでポリスチレン系樹脂粒子にスチレン溶液を含浸させた。
更に90℃を維持し撹拌しながら、スチレン単量体79.6重量部、アクリル酸ブチル0.4重量部およびベンゾイルパーオキサイド0.3重量部を6時間かけて反応系中に滴下して重合を行った後、90℃で1時間保持し、熱可塑性樹脂粒子を得た。
<難燃剤溶解液の作成>および<難燃剤および発泡剤の含浸>
比較例3と同様の操作により、難燃剤溶解液を得た後、比較例3と同様の操作により、難燃剤および発泡剤を含浸させて、発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
<予備発泡および成形品の製造>
嵩倍率65倍の予備発泡粒子を得る為に、予備発泡時の吹き込み蒸気圧を0.8kgf/cmから1.0kgf/cmに変更した結果、加圧加熱時間は82秒、缶内温度は102℃であった。また、粒子同士が結合したブロッキングが1重量%発生した。
次いで、実施例1と同様に型内成形を行った際の、成形可能な蒸気圧範囲は0.5〜0.8kgf/cmであり、その際の金型温度は112〜115℃であった。その評価結果を、表1に示す。
(比較例6)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>
2,2−ビス[4'−(2”,3”−ジブロモー2”−メチルプロピルオキシ)−3',5’−ジブロモフェニル]−プロパンを0.3重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
<予備発泡および成形品の製造>
嵩倍率65倍の予備発泡粒子を得る際の、予備発泡時の加圧加熱時間は72秒、缶内温度は99℃であった。
次いで、実施例1と同様に型内成形を行った際の、成形可能な蒸気圧範囲は0.3〜0.8kgf/cmであり、その際の金型温度は109〜115℃であった。その評価結果を、表1に示す。
(比較例7)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>
2,2−ビス[4'−(2”,3”−ジブロモー2”−メチルプロピルオキシ)−3',5’−ジブロモフェニル]−プロパンを6重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行ったが、重合3時間目で異常重合となり、樹脂粒子を得ることができなかった。
(比較例8)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>
難燃剤として2,2−ビス[4'−(2”,3”−ジブロモー2”−メチルプロピルオキシ)−3',5’−ジブロモフェニル]−プロパンの平均粒径を270μmとした以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
<予備発泡および成形品の製造>
嵩倍率65倍の予備発泡粒子を得る際の、予備発泡時の加圧加熱時間は67秒、缶内温度は99℃であった。
次いで、実施例1と同様に型内成形を行った際の、成形可能な蒸気圧範囲は0.3〜0.8kgf/cmであり、その際の金型温度は109〜115℃であった。その評価結果を、表1に示す。
(比較例9)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>
モノマーを投入後の撹拌時間を無くした以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
<予備発泡および成形品の製造>
嵩倍率65倍の予備発泡粒子を得る際の、予備発泡時の加圧加熱時間は64秒、缶内温度は99℃であった。
次いで、実施例1と同様に型内成形を行った際の、成形可能な蒸気圧範囲は0.3〜0.8kgf/cmであり、その際の金型温度は109〜115℃であった。その評価結果を、表1に示す。
Figure 2013014713

Claims (6)

  1. 単量体組成が、スチレン系単量体95重量%超99重量%以下およびアクリル酸エステル系単量体1重量%以上5重量%未満(両者の合計量が100重量%である)である熱可塑性樹脂を含んでなる発泡性熱可塑性樹脂粒子であって、
    ATR−FTIRにより測定された熱可塑性樹脂予備発泡粒子表面の赤外線吸収スペクトルから得られる696cm−1及び1730cm−1での吸光度比α(A1730/A696)が、熱可塑性樹脂予備発泡粒子中心部の赤外線吸収スペクトルから得られる吸光度比β(A1730/A696)の1.0倍以上10倍以下であり、
    臭素系難燃剤を含み、かつ、臭素含有量が0.37重量%以上2.70重量%未満であることを特徴とする、発泡性熱可塑性樹脂粒子。
  2. アクリル酸エステルがアクリル酸ブチルであることを特徴とする、請求項1記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子。
  3. 発泡性熱可塑性樹脂粒子中に含有される単量体成分が0.3重量%未満であることを特徴とする、請求項1または2に記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子。
  4. 樹脂粒子が懸濁重合法により得られることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子を、発泡させてなることを特徴とする、熱可塑性樹脂予備発泡粒子。
  6. 請求項5に記載の熱可塑性予備発泡粒子を、型内成形してなることを特徴とする、熱可塑性樹脂発泡体。
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