JP6216237B2 - 発泡性熱可塑性樹脂粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、低温での予備発泡および型内成形に適する発泡性熱可塑性樹脂粒子に関するものである。
発泡性熱可塑性樹脂粒子は、比較的安価で、特殊な方法を用いずに蒸気等で発泡成形ができ、高い緩衝・断熱の効果が得られる為、社会的に有用な材料である。
発泡性熱可塑性樹脂粒子は、例えば、ポリスチレン樹脂粒子に発泡剤(すなわち該粒子を僅かに膨潤せしめるにとどまる易揮発性の脂肪族炭化水素、例えばブタン、ペンタン等)を水性懸濁液中で含浸せしめる方法により製造される。このようにして製造された発泡性スチレン系樹脂粒子は、発泡スチレン系樹脂成形体を製造するための原料として用いられる。
発泡スチレン系樹脂成形体を工業的及び経済的に製造する方法としては、発泡性スチレン系樹脂粒子を水蒸気等により予備発泡粒子とし、該予備発泡粒子を所望の形状を有する壁面に多数の小孔が穿設された閉鎖型の金型内に充填し、金型小孔より水蒸気等の加熱媒体を噴出せしめて予備発泡粒子の軟化点以上の温度に加熱し、互いに融着せしめた後に、金型内より取り出して所望の形状の発泡スチレン系樹脂成形体を製造する方法がある。
従って、発泡性熱可塑性樹脂粒子を成形体にする為には、多くの蒸気を必要とするが、近年の環境問題への関心の高まりから、より省エネルギーへの要望が高まっており、予備発泡および型内成形時の温度を低温にすることにより、少ない蒸気使用量で発泡可能な樹脂が求められている。
しかしながら、発泡時の温度を低温にすると、所望の嵩密度まで予備発泡できないばかりか、加熱時に発生した蒸気のドレンの溜りにより発泡が抑制され、得られた成形体は粒子同士が充分に融着せず、成形直後に多量の水分を有するものとなる。更には、金型壁面付近の予備発泡粒子の充填状態が悪い為に空隙率が高く、この部分のドレンの発生も多くなり、成形体の表面には粒子間隙が発生するなどの問題がある。
また、得られた成形体は、例えば電気製品の包装材として用いる場合には乾燥を充分に行う必要があるが、充分乾燥しても粒子間隙を発生点とする強度低下を生じ、また、例えば断熱材並びに容器等に用いる場合には充分乾燥しても使用時に水分が浸透し、断熱性の低下ならびに水洩れが生じる等の欠点がある。更には、成形体の発泡が充分でない為、製品の外観が悪く、包装材としてのイメージを損なう等の欠点がある。
係る問題に対して、特許文献1では、熱可塑性重合体粒子へ発泡剤を含浸する過程の後半または含浸後において、該発泡剤を含む熱可塑性重合体粒子に、熱可塑性重合体の軟化点以上の温度にて、非イオン界面活性剤を含浸させることが、提案されている。
特許文献2では、スチレン系樹脂粒子100重量部に対して発泡剤1〜20重量部含有する発泡性スチレン系樹脂粒子の表面が、該樹脂粒子100重量部に対して、HLB値が7以上である非イオン界面活性剤0.01〜0.3重量部で被覆された発泡性スチレン系樹脂粒子であって、被覆発泡性スチレン系樹脂粒子の表面付着水分量が0.5重量%以下、かつ、該樹脂粒子の含有発泡剤の逸散率が3〜40重量%である発泡性スチレン系樹脂粒子が、提案されている。
特許文献3では、脂肪酸のポリオキシエチレンモノエステル、脂肪酸のソルビタンエステル、脂肪酸のポリオキシエチレンソルビタンエステル及び脂肪酸アルコールのポリオキシエチレンモノエーテルからなる群より選ばれた少なくとも一種の非イオン性界面活性剤を溶解または分散した液状発泡剤中に、スチレン系樹脂粒子を浸漬して発泡剤を含浸し、次いで、発泡剤を含浸したスチレン系樹脂の過剰の発泡剤から分離する発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法が提案されている。
しかしながら、いずれの場合についても、型内発泡成形により得られる成形体の表面の粒子間隙が埋まり、表面美麗性が向上するが、基材樹脂はポリスチレンのみである為、従来よりも少ない蒸気使用量で粒子間隙の少ない発泡体を得るには至っていなかった。
また、特許文献4では、単量体組成が、スチレン95重量%以上99重量%以下、アクリル酸エステル1重量%以上5重量%未満である熱可塑性樹脂を含んでなる発泡性熱可塑性樹脂粒において、ATR−FTIRにより測定された熱可塑性樹脂予備発泡粒子表面の赤外線吸収スペクトルから得られる696cm−1及び1730cm−1での吸光度比α(A1730/A696)が、熱可塑性樹脂予備発泡粒子中心部の赤外線吸収スペクトルから得られる吸光度比β(A1730/A696)の1.0倍以上10倍以下とすることにより、少ない蒸気量で成形することができる発泡性熱可塑性樹脂粒子が提案されている。
しかしながら、この手法においても、少ない蒸気量で成形することはできるが、成形体の粒子の間隙を完全に埋めるには至っていなかった。
特公昭59−21341号公報 特公平6−859号公報 特公昭53−15950号公報 特開2012−197405号公報
以上のような状況に鑑み、本発明の目的は、低温での予備発泡および型内成形に適した発泡性熱可塑性樹脂粒子を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術の欠点を改善することを目的とし、低温での予備発泡および型内成形に適し、成形工程中での発泡粒子同士がその境界面で完全に融着し、粒子間隙が可及的に少なくなるような成形体を得る為に鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1は、
単量体組成が、スチレン系単量体90重量%超99重量%以下およびアクリル酸エステル系単量体1重量%以上10重量%未満(スチレン系単量体およびアクリル酸エステル系単量体の合計量が100重量%である)である熱可塑性樹脂を基材樹脂とする発泡性熱可塑性樹脂粒子であって、
ATR−FTIRにより測定された熱可塑性樹脂予備発泡粒子表面の赤外線吸収スペクトルから得られる1600cm−1及び1730cm−1での吸光度比α(A1730/A1600)が、熱可塑性樹脂予備発泡粒子中心部の赤外線吸収スペクトルから得られる吸光度比β(A1730/A1600)の1.0倍以上10倍以下であり、
加速電圧を18kVとした走査型電子顕微鏡(以降、「SEM」と称する場合がある)を用いて倍率700倍で前記発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面を観察することにより得られる写真が、前記発泡性樹脂粒子の表面に露出するクラックである表面クラックを有するものであり、
この表面クラックを有する写真上に40μm間隔で4本の平行な直線を引き、各直線と交差する表面クラックの直線280μmあたりの本数である単位交差クラック本数を求めたときに、得られた4直線分の単位交差クラック本数の平均値である平均交差クラック本数が6.5本/280μm以上10.5本/280μm以下であり、
含有される発泡剤量が3重量%以上79重量%未満である、発泡性熱可塑性樹脂粒子に関する。
本発明の第2は、アクリル酸エステル系単量体がアクリル酸ブチルであることを特徴とする、第1の発明記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子に関する。
本発明の第3は、発泡性熱可塑性樹脂粒子中に含有される単量体成分が0.3重量%未満であることを特徴とする、第1または2の発明記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子に関する。
本発明の第4は、発泡性熱可塑性樹脂粒子のゲルパーミェーションクロマトグラフィー測定から得られる重量平均分子量(Mw)が20万以上32万未満であることを特徴とする、第1〜3のいずれかの発明記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子に関する。
本発明の第5は、発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面を、該樹脂粒子100重量部に対し、HLB値が10以上15未満である非イオン界面活性剤0.01〜0.05重量部で被覆し、その後、35℃以上60℃未満の温度で乾燥させることを特徴とすることを特徴とする、第1の発明記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法に関する。
本発明の第6は、第1〜4の発明いずれかに記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子を、発泡させてなることを特徴とする、熱可塑性樹脂予備発泡粒子に関する。
本発明の第7は、第6の発明記載の熱可塑性予備発泡粒子を、型内成形してなることを特徴とする、熱可塑性樹脂発泡体に関する。
本発明は、単量体組成が、スチレン90重量%超99重量%以下およびアクリル酸エステル1重量%以上10重量%未満である熱可塑性樹脂(スチレン系単量体およびアクリル酸エステル系単量体の合計量が100重量%である)を基材樹脂とする発泡性熱可塑性樹脂粒子において、ATR−FTIRにより測定された熱可塑性樹脂予備発泡粒子表面の赤外線吸収スペクトルから得られる1600cm−1及び1730cm−1での吸光度比α(A1730/A1600)が、熱可塑性樹脂予備発泡粒子中心部の赤外線吸収スペクトルから得られる吸光度比β(A1730/A1600)の1.0倍以上10倍以下であり、
加速電圧を18kVとした走査型電子顕微鏡(以降、「SEM」と称する場合がある)を用いて倍率700倍で前記予備発泡粒子の表面を観察することにより得られる写真が、前記予備発泡粒子の表面に露出するクラックである表面クラックを有するものであり、
この表面クラックを有する写真上に40μm間隔で4本の平行な直線を引き、各直線と交差する表面クラックの直線280μmあたりの本数である単位交差クラック本数を求めたときに、得られた4直線分の単位交差クラック本数の平均値である平均交差クラック本数が6.5本/280μm以上10.5本/280μm以下であり、含有される発泡剤を3重量%以上7重量%未満とすることにより、低温での予備発泡および型内成形に適した発泡性熱可塑性樹脂粒子を得ることができる。
図1は、本発明に係るクラックを有する発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面を、走査型電子顕微鏡SEM(倍率700倍)にて観察することにより得られた写真の一例である。Aは、発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面に存在するクラックである。本発明では、表面クラックを、SEM写真上に、40μm間隔で4本の平行な直線を引き、各直線と交差する表面クラックの直線280μmあたりの本数である単位交差クラック本数を計測することにより、評価する。 図2は、本発明に係る発泡性熱可塑性樹脂粒子を中心部分で割断し、粒子内部をSEMにて撮影した写真である。クラックAは、発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面から内部に向けて生成していることが判る。
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子を構成する基材樹脂は、スチレン系単量体およびアクリル酸エステル系単量体を共重合して得られるものである。
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子を構成するスチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレンなどのスチレン系誘導体が挙げられる。これらスチレン系単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子を構成するアクリル酸エステル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、などのアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸セチルなどのメタクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらアクリル酸エステル系単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのうちでも、スチレン系単量体と共重合し易く、成形性が良い点から、アクリル酸ブチルが好ましい。
本発明における発泡性熱可塑性樹脂粒子を構成する基材樹脂における単量体組成は、スチレン系単量体90重量%超99重量%以下、アクリル酸エステル系単量体1重量%以上10重量%未満(スチレン系単量体およびアクリル酸エステル系単量体の合計量が100重量%)であり、より好ましくは、スチレン系単量体94重量%以上96重量%以下、アクリル酸エステル4重量%以上6重量%以下である。
基材樹脂における単量体組成において、アクリル酸エステル系単量体が10重量%以上となると、特に高発泡化させた際に、成形体の収縮が起こりやすくなり、成形体の外観の見栄えが悪化する傾向がある。また、アクリル酸エステル系単量体が1重量%未満となると、低温での発泡が困難となる(目的とする発泡倍率の予備発泡粒子を得る為に必要な加熱温度や融着性に優れる成形体を得るのに必要な成形温度が高くなる)傾向がある。
なお、基材樹脂における単量体組成に関しては、重合法としてシード懸濁重合法を実施する場合には、シードとなる樹脂粒子中の単量体組成も単量体組成に反映させる。
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子は、ATR−FTIRにより測定された熱可塑性樹脂予備発泡粒子表面の赤外線吸収スペクトルから得られる1600cm−1及び1730cm−1での吸光度比α(A1730/A1600)が、熱可塑性樹脂予備発泡粒子中心部の赤外線吸収スペクトルから得られる吸光度比β(A1730/A1600)の1.0倍以上10倍以下であり、好ましくは1.0倍以上5.0倍以下である。
表面と中心部での吸光度比の割合α/βが10より高いと、粒子内部に比べて粒子表面のアクリル酸エステルの比率が高くなり、特に高い蒸気圧(高い金型温度)で成形する際に表面溶融を起こしやすくなり、表面外観を損なう傾向にある。吸光度比の割合α/βが1.0未満であると、粒子表面のアクリル酸エステルの比率が低くなり、低い蒸気圧(低い金型温度)での成形が困難になり、表面外観が悪化する傾向にある、また、予備発泡時の加熱温度も高温となる傾向がある。
なお、赤外線吸収スペクトルから得られる1730cm−1の吸光度とは、カルボニル基のC=O間伸縮振動よる吸収スペクトルであり、吸光度(A1730)とした。
赤外線吸収スペクトルから得られる1600cm−1の吸光度とは、芳香族ベンゼン環面内振動の吸収スペクトルであり、吸光度(A1600)とした。
熱可塑性樹脂予備発泡粒子における表面と中心部での吸光度比の割合α/βは、熱可塑性樹脂粒子の重合時にアクリル酸エステルを添加するタイミングを変えることにより、調整することができる。
本発明におけるATR−FTIRとは、ATR(Attenuated Total Reflection)法を利用したFTIRである。ATR法とは、屈折率の高い結晶を試料表面に圧着し、全反射条件を用いて試料表面を高感度に測定でき、透過法と類似のスペクトルを簡便に得ることができる手法であり、光を透過しない、高分子厚膜、樹脂、塗膜、紙、糸など一般的な工業材料の分析に広く用いられている。
一般に、光は、試料と高屈折率結晶の界面で反射するのではなく、ある深さだけ試料側に入り込んでから全反射する。このとき、試料に吸収のない波数領域においては、光は全反射するが、吸収のある領域においては100%全反射するのではなく、吸収の強さに応じて全反射光の強度が落ちる。この反射エネルギーを測定することにより、全反射スペクトルが得られる。
ただし、光のもぐりこみ深さ(測定深度)は、使用する高屈折率結晶の屈折率、試料の屈折率、測定光の入射角、測定光の波数によって大きく変化するため、これらのパラメーターを特定しないと、測定結果は比較できない。ATR法における測定深度には波数依存性があり、低波数ほど測定深度が深く、吸収強度が大きくなる。したがって、透過スペクトルとの比較の場合には補正が必要となる。
本発明においては、以下の条件にて、ATR−FTIR測定を行った。
高屈折率結晶種:セレン化亜鉛(ZnSe)
入射角 :45°
測定領域 :4000cm−1〜600cm−1
検出器 :DLATGS
もぐり込み深さ:1.66
反射回数 :1回
分解能 :4cm−1
積算回数 :20回
その他 :試料と接触させずに測定した赤外線吸収スペクトルを、バックグラウンドとして測定スペクトルに関与しない処理を実施した。
なお、ATR法では、試料と高屈折率結晶の密着度合いによって測定で得られる赤外線吸収スペクトルの強度が変化する為、696cm−1の吸光度(A696)が0.08〜0.12となるように、試料と高屈折率結晶の密着度合いを調節して測定する。
ここで、予備発泡粒子の表面を測定する場合は、粒子表面をそのままATRプリズムに密着させて測定した。予備発泡粒子の中心部を測定する場合は、剃刀を用いて、予備発泡粒子の中心を通るように二分割し、二分割した切片の断面をATRプリズムに密着させて測定した。
以上のようにして得られた赤外線吸収スペクトルから、1600cm−1の吸光度(A1600)と1730cm−1の吸光度(A1730)との吸光度比(A1730/A1600)を求める。
本発明では、任意の10個の予備発泡粒子の表面および中心部において、ATR−FTIR測定を行い、最小の吸光度比と最大の吸光度比を除外する。そして、残余8個の吸光度比の相加平均を、吸光度比(A1730/A1600)とした。得られた表面の吸光度比α(A1730/A1600)と中心部の吸光度比β(A1730/A1600)から、以下の式にて表面と中心部との吸光度比を算出した。
表面と中心部との吸光度比=α(表面)/β(中心部)
本発明における発泡性熱可塑性樹脂粒子は、加速電圧を18kVとした走査型電子顕微鏡(以降、「SEM」と称する場合がある)を用いて倍率700倍で前記予備発泡粒子の表面を観察することにより得られる写真が、前記予備発泡粒子の表面に露出するクラックである表面クラックを有するものである。
図1は、本発明に係るクラックを有する発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面を、走査型電子顕微鏡SEM(倍率700倍)にて撮影した写真の一例であり、Aがクラックを示している。
図2は、本発明に係るクラックを有する発泡性熱可塑性樹脂粒子を粒子中心部で割断し、走査型電子顕微鏡内部をSEM(倍率75倍)にて撮影した写真の一例である。クラックAは、発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面から内部に向けて生成していることが判る。
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子は、表面クラックを有することにより、該粒子表面部分の発泡剤が逸散し、予備発泡粒子の表面セル膜が厚くなり、その結果、成形体表面の粒子間隙を埋めることができる。
本発明における発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面クラックは、下記のように評価する。
すなわち、走査型電子顕微鏡SEMを用いて表面観察することにより得られた表面クラックを有する写真上に、写真の長辺方向に平行な直線が画像の短辺を横切るように40μm間隔で4本の平行な直線を引き、各直線(長さ280μm)と交差する表面クラックの本数を計測した。なお、計測に当たっては、直線を横切るクラックのみならず、直線に接しているクラックも交差するクラックとしてカウントした。
4本の直線に交差する表面クラックの280μmあたりの本数の平均値から、1粒子における平均交差クラック本数を求めた。さらに、5個の発泡性熱可塑性樹脂粒子における平均値を、本発明における平均交差クラック本数とした。
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子は、上記評価方法において単位交差クラック数を求めたときに、得られた4直線の単位交差クラック本数の平均値である、平均交差クラック本数が6.5本/280μm以上10.5本/280μm以下であることが好ましい。
平均交差クラック本数が6.5本/280μm未満では、成形体表面の粒子の間隙が埋まりにくく、成形体の外観性を損なう傾向にあり、また、10.5本/280μmを超えると、発泡剤の逸散が多すぎる為、やはり成形体表面の粒子の間隙が埋まりにくくなる傾向がある。
本発明における発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面クラック構造は、発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面を、該樹脂粒子100重量部に対して、HLB値が10以上15未満である非イオン界面活性剤0.01〜0.05重量部で被覆した後、乾燥処理を行うことにより、得ることができる。
本発明において被覆剤として用いられる非イオン界面活性剤としては、HLB〔親水性−脂肪親和性平衡(Hydrophile−Lipophile Balance)〕値が10以上15未満が好ましい。
HLB値10未満の非イオン界面活性剤は油溶性の傾向が大となり、本発明の目的には使用できない。HLB値15以上の非イオン界面活性剤は親水性の傾向が大となり、同じく本発明の目的には使用できない。
HLB値が10以上15未満の非イオン界面活性剤としては、例えば、水溶性および水分散性のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル等が挙げられる。
これらに属する非イオン界面活性剤の具体例としては、例えば、HLB値11.9〜11.4のポリオキシエチレンセチルエーテル、HLB値13.3〜14.2のポリオキシエチレンオレイルエーテル、HLB値10.7〜14.2のポリオキシエチレンステアリルエーテル、HLB値10.0〜13.3のポリオキシエチレンラウレート、HLB値13.8のポリオキシエチレンパルミテート、HLB値11.6〜13.6のポリオキシエチレンステアレート、HLB値10.2〜13.5のポリオキシエチレンオレエート等が挙げられ、これらを混合して用いることは差しつかえない。
なお、非イオン界面活性剤のHLB値は、産業図書「界面活性剤便覧」、307〜327頁に記載の方法で測定することができる。
本発明において、非イオン界面活性剤の被覆量は、発泡性スチレン系樹脂粒子100重量部に対して0.01重量部以上0.05重量部以下が好ましく、0.02重量部以上0.03重量部以下がより好ましい。
非イオン界面活性剤の被覆量が0.01重量部未満では、成形体表面を平滑にする効果が充分ではない傾向があり、0.05重量部を超えると、効果が横ばいとなる為、それ以上添加することはコスト面から好ましくない。
本発明においては、非イオン界面活性剤を水溶液または水に分散した状態で、発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面を被覆することが好ましい。水分を含有しない液体状の非イオン界面活性剤を被覆することは、被覆むらが生じたり、また、成形体の表面を平滑にする効果がない為、好ましくない。
非イオン界面活性剤を発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面に被覆する方法としては、種々の方法がある。例えば、ブレンダー等を用いて、発泡性熱可塑性樹脂粒子と、非イオン界面活性剤の水溶液または水分散液を充分に混合する方法が挙げられる。この際、被覆処理後の発泡性熱可塑性樹脂粒子に対して、さらに、帯電防止剤、ステアリン酸亜鉛、タルク、炭酸カルシウム等の予備発泡時の集塊化防止剤、撥水剤、等を含浸または被覆しても差しつかえない。
また、他の被覆方法としては、水性懸濁液中で発泡剤を含浸させた発泡性熱可塑性樹脂粒子を、例えば遠心脱水機等で脱水した後、ブレンダー等を用いて、非イオン界面活性剤または、その水溶液または水分散液を樹脂粒子の表面に付着せしめる方法も、有利である。この場合、非イオン界面活性剤は帯電防止効果も有しているが、必要に応じて、他の帯電防止剤を混合して被覆してもよい。
非イオン界面活性剤被覆後の発泡性熱可塑性樹脂粒子の乾燥処理方法としては、特に制限はないが、例えば、発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面に非イオン界面活性剤と共に付着した水分を乾燥させ、さらに、発泡性熱可塑性樹脂粒子内に含有される発泡剤の一部を逸散させる方法があげられる。
例えば、溝型または円筒型撹拌乾燥器、箱型またはバンド型の通気乾燥器、流動層乾燥器等を用いることにより、非イオン界面活性剤で被覆された発泡性スチレン系樹脂粒子の付着水分を除去されて、発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面にクラック構造が形成される。
乾燥処理温度は、発泡性熱可塑性樹脂粒子の発泡温度以下の温度で行われ、生産性上35℃以上60℃未満が好ましい。
発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面クラック構造は、処理温度と処理時間で調整することができる。
別の方法としては、例えば、前記乾燥器等により、発泡性熱可塑性樹脂粒子に非イオン界面活性剤と共に付着した水分の乾燥と、該樹脂粒子含有発泡剤の逸散処理を同時に行うことができる。
本発明における発泡性熱可塑性樹脂粒子における発泡剤の含有量は、発泡性熱可塑性樹脂粒子100重量%に対して、3重量%以上7重量%未満が好ましく、5重量%以上6重量%未満がより好ましい。
発泡剤の含有量が3重量%未満では、予備発泡時間が長くなると共に、成形時の融着率が低下する傾向があり、製造コストが高くなり、経済的に不利である。発泡剤の含有量が7重量%以上では、成形体が収縮し、成形体の外観を損なう傾向がある。
発泡性熱可塑性樹脂粒子における発泡剤の含有量は、使用する発泡剤量、乾燥温度および表面クラックの数により、制御することができる。
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子中に含有される単量体成分は、0.3重量%未満であることが好ましい。
含有される単量体成分は、発泡性熱可塑性樹脂粒子を発泡して得られる発泡成形体から揮発する傾向があり、特に含有される単量体成分が0.3重量%以上では、医療分野あるいは直接食品に接触する包装材料分野、もしくは自動車や建築の部材向けには、好ましくない。
含有単量体成分量は、熱可塑性樹脂粒子を重合する際の開始剤の使用量と重合温度の組み合わせにより、制御することができる。例えば、開始剤の使用量を多くする、重合温度を高くすることにより、含有単量体成分を下げることができる。
本発明における発泡性熱可塑性樹脂粒子の重量平均分子量Mwとしては、20万以上32万未満が好ましく、22万以上28万未満がより好ましい。
発泡性スチレン系樹脂粒子の重量平均分子量Mwが20万未満では、発泡成形体とした際の強度が低くなるばかりか、成形体表面が溶融しやすく、外観を損なう傾向があり、また、32万以上では、発泡性が低くなり、成形性が悪化する(目的とする発泡倍率の予備発泡粒子を得る為に必要な加熱温度、融着性に優れる成形体を得る為に必要な成形温度が高くなる)傾向がある。
重量平均分子量Mwは、熱可塑性樹脂粒子を重合する際の開始剤の使用量と重合温度の組み合わせにより、制御することができる。例えば、開始剤の使用量を多くする、および/または、重合温度を高くすることにより、Mwを低くすることができる。
ここで、本発明における発泡性熱可塑性樹脂粒子の重量平均分子量Mwは、ゲルパーミェーションクロマトグラフ(以下、「GPC」と略す場合がある)を用いて、後述する条件にて測定した値である。
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法としては、水性媒体中にて懸濁重合法により得られる粒子に発泡剤を含浸する方法、水性媒体中にて塊状重合等により製造されたペレットに発泡剤を含浸する方法、のいずれの方法によっても得ることができる。
これらの中でも、真球状の樹脂粒子を得ることができ、さらに、重合工程と発泡剤含浸工程を一貫して行って発泡性熱可塑性樹脂粒子が得られる点から、工業生産性も良い懸濁重合法により製造することが好ましい。
すなわち、発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法としては、スチレン系単量体およびアクリル酸エステル系単量体を懸濁剤、重合開始剤および、必要に応じて、その他の添加剤の存在下で重合反応を開始し、懸濁重合中に発泡剤を添加する、または、重合後に発泡剤を含浸させる方法が好ましい。
本発明における懸濁重合法において用いられる懸濁剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子や第三燐酸カルシウム、ビロリン酸マグネシウム等の難溶性無機物質、等が挙げられる。難溶性無機物質を用いる場合は、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ等のア二オン界面活性剤を併用することにより、懸濁安定効果は増大させることができる。また、水溶性高分子と難溶性無機物質の併用も効果的である。
本発明における懸濁重合法において用いられる重合開始剤としては、一般に熱可塑性重合体の製造に用いられるラジカル発生型重合開始剤を用いることができる。
重合開始剤の代表的なものとしては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ラウロイルパーオーキサイド−t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−アミルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルへキシルカーボネートなどの過酸化物があげられる。これら重合開始剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の懸濁重合法における重合開始剤の使用量は、単量体全重量100重量部に対して、0.01重量部以上3重量部未満が好ましい。重合開始剤の使用量が0.01重量部未満では重合速度が遅くなる傾向があり、逆に、3重量部を超えると、重合反応が早く制御が困難になる傾向がある。
本発明で用いられる発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素、メチルクロライド、ジクロルジフルオロメタン、ジクロルテトラフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。これら発泡剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
これら発泡剤のうちでも、ブタンが、発泡力が良好である点から、好ましい。
本発明における発泡剤の使用量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、4重量部以上9重量部未満が好ましく、6重量部以上8重量部以下がより好ましい。
本発明の懸濁重合時に添加可能な添加物として可塑剤、造核剤、難燃剤、難燃助剤、等を、本発明の効果を阻害しない範囲で使用してもよい。
本発明において用いられる可塑剤としては、例えば、ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、グリセリントリステアレート、グリセリントリカプリレート、ヤシ油、パーム油、菜種油などが挙げられる。これら可塑剤のうちでも、医療分野あるいは直接食品に接触する包装材料分野向けに使用する場合には、食用油であるのが好ましく、さらには、やし油、パーム油、菜種油がより好ましい。
本発明における可塑剤の使用量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.2重量部以上2.0重量部未満が好ましく、0.4重量部以上1.6重量部未満がより好ましい。
可塑剤の使用量が0.2重量部未満では、二次転移温度が低くならず、低温での予備発泡および成形に不利となる傾向があり、2.0重量部以上では、成形体が収縮し易くなり、見栄えを損なう傾向がある。
本発明においては、可塑剤を、熱可塑性樹脂粒子の重合工程、発泡剤を含浸させる工程、等にて添加してもよい。
本発明において用いられる造核剤としては、例えば、メタクリル酸メチル系共重合体、ポリエチレンワックス、タルク、脂肪酸ビスアマイド、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、等が挙げられる。脂肪酸ビスアマイドの具体的例としては、メチレンビスステアリルアマイド、エチレンビスステアリルアマイド、ヘキサメチレンビスパルミチン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイド等である。
本発明において用いられる難燃剤および難燃助剤としては、公知慣用のものが使用できる。
難燃剤の具体例としては、例えば、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモブタン、ヘキサブロモシクロヘキサン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系化合物;
テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールF、2,4,6−トリブロモフェノール等の臭素化フェノール類;
テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、2,2−ビス[4'(2”,3”−ジブロモアルコキシ)−3',5'−ジブロモフェニル]−プロパン等の臭素化フェノール誘導体;
臭素化スチレン・ブタジエンブロック共重合体、臭素化ランダムスチレン・ブタジエン共重合体、臭素化スチレン・ブタジエングラフと共重合体などの臭素化ブタジエン・ビニル芳香族炭化水素共重合体(例えば、Chemtura社製EMERALD3000、若しくは、特表2009−516019号公報に開示されている)などが挙げられる。
これら難燃剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
難燃助剤の具体例としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、2,3−ジメチルー2,3−ジフェニルブタン等の開始剤を使用してもよい。
本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子は、これを予備発泡させ、その後、それを加熱発泡させ、発泡成形体とする。
予備発泡方法としては、例えば、円筒形の予備発泡装置を用いて、蒸気等で加熱して発泡させる等の、通常の方法を採用することができる。
予備発泡時の発泡温度(缶内温度)は、吹き込み蒸気圧及びエアー量により適宜調整されるものであるが、通常101〜105℃程度であるが、本発明においては、97〜100℃程度の低温においても予備発泡が可能となる。
予備発泡粒子を発泡成形させる方法としては、例えば、金型内に予備発泡粒子を充填し、蒸気等を吹き込んで加熱する方法により発泡成形体を得る、いわゆる型内発泡成形法、等の通常の方法を採用することができる。
型内成形時の吹き込み蒸気圧としては、通常0.6〜1.0kgf/cm程度であるが、本発明においては、0.3〜0.8kgf/cm程度においても成形が可能となる。
型内成形時の金型温度としては、吹き込み蒸気圧により適宜調整されるものであるが、通常113〜115℃程度であるが、本発明においては、109〜115℃程度とより低温においても成形が可能となる。
以上のように、本発明の発泡性熱可塑性樹脂粒子は、予備発泡時および型内発泡成形時のどちらにおいても、従来よりも低温で実施することが可能であり、より省エネルギーに適した樹脂である。
以下に、実施例および比較例を挙げるが、本発明は、これらによって制限されるものではない。
なお、実施例および比較例における測定・評価法は、以下の通りに実施した。
<吸光度比(A1730/A1600)の測定>
得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子の吸光度比は、予備発泡粒子を任意に10個採取し、それぞれ予備発泡粒子の表面と中心部に対して、以下の条件にて、ATR法赤外分光分析を行って、赤外吸収スペクトルを得た。
装置 :FTIR[(株)島津製作所製、FTIR−8400S]に、1回反射型全反射(ATR)測定装置[PIKE社製、MIRacle]を接続
ATRプリズム(高屈折率結晶種):セレン化亜鉛(ZnSe)
入射角 :45°
測定領域 :4000cm−1〜600cm−1
検出器 :DLATGS
もぐり込み深さ:1.66
反射回数 :1回
分解能 :4cm−1
積算回数 :20回
その他 :試料と接触させずに測定した赤外線吸収スペクトルをバックグラウンドとして、測定スペクトルに関与しない処理を実施した。
なお、ATR法では、試料と高屈折率結晶の密着度合いによって測定で得られる赤外線吸収スペクトルの強度が変化するため、696cm−1の吸光度(A696)が0.08〜0.12となるように、試料と高屈折率結晶の密着度合いを調節して測定する。
ここで、予備発泡粒子の表面を測定する場合は、粒子表面をそのままATRプリズムに密着させて測定した。予備発泡粒子の中心部を測定する場合は、剃刀を用いて、予備発泡粒子の中心を通るように二分割し、二分割した切片の断面をATRプリズムに密着させて測定した。
以上のようにして得られた赤外線吸収スペクトルから、1600cm−1の吸光度(A1600)と1730cm−1の吸光度(A1730)との吸光度比(A1730/A1600)を求める。本発明では、任意の10個の予備発泡粒子の表面および中心部において、ATR−FTIR測定を行い、最小の吸光度比と最大の吸光度比を除外する。そして、残余8個の吸光度比の相加平均を、吸光度比((A1730/A1600)とした。得られた表面の吸光度比α(A1730/A1600)と中心部の吸光度比β(A1730/A1600)から、以下の式にて表面と中心部との吸光度比を算出した。
表面と中心部との吸光度比の割合=α(表面)/β(中心部)
<発泡性熱可塑性樹脂粒子表面の平均交差クラック本数>
得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面を、走査型電子顕微鏡SEMを用いて、倍率700倍で観察することにより得られる写真上に、写真の長辺方向に平行な直線が写真の短辺を横切るように40μm間隔で4本の平行な直線を引き、各直線(長さ280μm)と交差する表面クラックの本数を計測した。なお、計測に当たっては、直線を横切るクラックのみならず、直線に接しているクラックも交差するクラックとしてカウントした。
4本の直線に交差する表面クラックの280μmあたりの本数の平均値から、1粒子における平均交差クラック本数を求めた。さらに、5個の発泡性熱可塑性樹脂粒子における平均値を、本発明における平均交差クラック本数とした。
なお、走査型電子顕微鏡SEMの観察条件は、以下のとおりである。
SEM:JEOL社製、JSM−6060LV
加圧電圧:18kV
作動距離:20mm
真空度:30Pa
倍率:700倍
スポットサイズ:75
<発泡剤含有量および単量体成分の測定>
得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子中の発泡剤含有量および単量体成分は、 発泡性熱可塑性樹脂粒子1.0gをジクロロメタン20mlに溶解し、内部標準液(シクロペンタノール)0.005gを加えた後、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて、以下の条件にて測定した。
GC:島津製作所社製 GC−14B
カラム:PEG−20M 25%
Chromosorb W 60/80(3.0m×3.0mmI.D.)
カラム温度:110℃
検出器(FID)温度:170℃
<GPC測定>
得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子に対して、発泡性熱可塑性樹脂粒子0.02gをテトラヒドロフラン(以下、「THF」と略す場合がある)20mlに溶解させた後、ゲルパーミェーションクロマトグラフ(GPC)を用いて、以下の条件にてGPC測定を行い、GPC測定チャートおよび、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を得た。
測定装置:東ソー社製、高速GPC装置 HLC−8220
使用カラム:東ソー社製、SuperHZM−H×2本、SuperH−RC×2本
カラム温度:40℃、移動相:THF(テトラヒドロフラン)
流量:0.35ml/分、注入量:10μl
検出器:RI
<予備発泡時の缶内温度測定>
円筒形の予備発泡機[大開工業製、BHP]の側面から温度計を挿入し、予備発泡時の缶内温度を測定した。
<成形性評価>
成形機[ダイセン製、KR−57]を用いて、厚み30mmで長さ550mm×幅350mm×高さ120mmサイズの箱形形状の金型内に充填し、吹き込み蒸気圧0.3〜0.8kgf/cmの範囲内で変化させた成型条件にて型内成形を行い、箱型の発泡成形品を得た。
得られた熱可塑性樹脂発泡体は、室温で24時間乾燥させた後、下記の発泡粒子間の表面性および融着性がどちらも合格になる、最低の吹き込み水蒸気圧吹き込み水蒸気圧を求めて、成形可能な蒸気圧範囲とした。また、最低の吹き込み水蒸気圧および最高の吹き込み水蒸気圧での金型温度を求めた。
(1)融着性評価
得られた熱可塑性樹脂発泡体を破断し、破断面を観察して、粒子界面ではなく、粒子が破断している割合を求めて、以下の基準にて、融着性を判定した。
◎:粒子破断の割合が90%以上。
○:粒子破断の割合が80%以上、90%未満。
△:粒子破断の割合が70%以上、80%未満。
×:粒子破断の割合が70%未満。
(2)表面性評価
得られた熱可塑性樹脂発泡体の表面状態を目視観察し、以下の基準にて表面性を評価した。
◎:表面の溶融、粒間が無く、非常に美麗。
○:表面の溶融、粒間が少なく、美麗。
△:表面の溶融、粒間があり、外観やや不良。
×:表面の溶融、粒間が多く、外観不良。
(実施例1)
<発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造>
撹拌機付属の6Lのオートクレーブに、純水100重量部、リン酸三カルシウム0.2重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.01重量部および、開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.3重量部および1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.2重量部を仕込んだ。続いて、250回転/分で撹拌しながら、スチレン単量体95重量部、アクリル酸ブチル単量体5重量部を仕込んだ後、98℃まで昇温させた。引き続き、98℃にて4時間保持して、熱可塑性樹脂粒子を得た。
次いで、発泡剤としてブタン7重量部をオートクレーブ中に圧入し、再び120℃まで昇温させた。その後、120℃にて2時間保温した後、室温まで冷却して、オートクレーブから重合スラリーを取り出した。取り出した重合スラリーを洗浄、脱水することにより、発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
<非イオン性界面活性剤被覆粒子の製造>
次いで、得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子100重量部に対して、ポリオキシエチレンセシルエーテル[HLB値11.9、日本油脂(株)製]0.03重量部を3重量%水溶液に調整した状態で、樹脂粒子表面に均一に被覆するよう混合撹拌した。その後、気流乾燥器で水分の乾燥を行い、次いで、箱型通気乾燥器[田中化学機械製]内にて50℃で20分間加熱した後、ポリオキシエチレンセシルエーテルで被覆された発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子の吸光度比、表面クラックの発生状態および含有発泡剤量を、表1に示す。
<予備発泡粒子の製造>
得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子を篩分けして、粒子径0.6mm〜1.2mmの発泡性熱可塑性樹脂粒子を分取した。
分取した発泡性スチレン系樹脂粒子を、加圧式予備発泡機[大開工業製、BHP]を用いて、吹き込み蒸気圧0.8kgf/cmの条件にて嵩倍率65倍に予備発泡を実施した。この際、吹き込み蒸気にはエアーを切り込ませて、吹き込み蒸気温度を調節した。その後、常温下で1日放置して、養生乾燥を行った。
<型内発泡成形体の製造>
得られた熱可塑性樹脂予備発泡粒子を、成形機[ダイセン製、KR−57]を用いて、厚み30mmで長さ550mm×幅350mm×高さ120mmサイズの箱形形状の金型内に充填し、吹き込み蒸気圧0.3〜0.8kgf/cmの成型条件にて型内成形を行い、箱型の発泡成形体を得た。
得られた発泡性熱可塑性樹脂粒子および発泡成形体を用いて評価を行い、その結果を表1に示す。
(実施例2)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、重合開始時の単量体組成をスチレン単量体98重量部およびアクリル酸ブチル単量体2重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性熱可塑性樹脂粒子、非イオン性界面活性剤被覆粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
(実施例3)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、重合開始時の単量体組成をスチレン単量体91重量部およびアクリル酸ブチル単量体9重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性熱可塑性樹脂粒子、非イオン性界面活性剤被覆粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
(実施例4)
<ポリスチレン系樹脂種粒子の製造>
攪拌機を具備した反応器に、純水100重量部、第3リン酸カルシウム0.4重量部、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム0.01重量部、塩化ナトリウム0.5重量部を入れて攪拌して水懸濁液とした後、スチレン単量体100重量部に重合開始剤として,ベンゾイルパーオキサイド0.2重量部、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.2重量部を溶解し、反応器に加え、98℃に昇温してから4.5時間かけて重合した。次いで、110℃に昇温して1時間保持した後冷却して、その内容物を取り出し脱水・乾燥し、篩い分けして粒子径0.425〜0.500mmのポリスチレン系樹脂種粒子を得た。
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>
熱可塑性樹脂粒子の重合において、6Lオートクレーブ中に水87重量部に、第3リン酸カルシウム0.6重量部、α−オレフィンスルフォン酸ソーダ0.01重量部、得られたポリスチレン系樹脂種粒子10重量部を懸濁させ、スチレン単量体10重量部に重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.1重量部および1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.1重量部を溶解させた溶液を添加した。その後、水性懸濁液を90℃まで昇温し、30分間維持することでポリスチレン系樹脂粒子にスチレン溶液を含浸させた。
更に90℃を維持し撹拌しながら、スチレン単量体60重量部とベンゾイルパーオキサイド0.3重量部を5時間かけて反応系中に滴下して重合を行った後、スチレン単量体17重量部およびアクリル酸ブチル3重量部を2時間かけて反応系中に滴下して重合を行った後、90℃で1時間保持して熱可塑性樹脂粒子を得た。
以降の<非イオン性界面活性剤の被覆><予備発泡粒子の製造><型内発泡成形体の製造>に関しては、実施例1と同様の操作により、被覆粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。それぞれの評価結果を、表1に示す。
(比較例1)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、重合開始時の単量体組成を、アクリル酸ブチル単量体を使用しないでスチレン単量体100重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性熱可塑性樹脂粒子、非イオン性界面活性剤被覆粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
(比較例2)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、重合開始時の単量体組成をスチレン単量体90重量部およびアクリル酸ブチル単量体10重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性熱可塑性樹脂粒子、非イオン性界面活性剤被覆粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
(比較例3)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>
6Lオートクレーブ中にて、水87重量部に、第3リン酸カルシウム0.6重量部、α−オレフィンスルフォン酸ソーダ0.01重量部、実施例4と同様の方法で得られたポリスチレン系樹脂種粒子10重量部を懸濁させ、スチレン単量体8重量部およびアクリル酸ブチル単量体2重量部に重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.1重量部および1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン0.1重量部を溶解させた溶液を添加した。その後、得られた水性懸濁液を90℃まで昇温し、30分間維持することでポリスチレン系樹脂粒子にスチレン溶液を含浸させた。
更に90℃を維持して撹拌しながら、スチレン単量体80重量部およびベンゾイルパーオキサイド0.3重量部を7時間かけて反応系中に滴下して重合を行った後、90℃で1時間保持して熱可塑性樹脂粒子を得た。
以降の<非イオン性界面活性剤の被覆><予備発泡粒子の製造><型内発泡成形体の製造>に関しては、実施例1と同様の操作により、被覆粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。それぞれの評価結果を、表1に示す。
(比較例4)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、90℃を維持し撹拌しながら、スチレン単量体60重量部とベンゾイルパーオキサイド0.3重量部を5時間かけて反応系中に滴下して重合を行った後、スチレン単量体12重量部およびアクリル酸ブチル単量体8重量部を2時間かけて反応系中に滴下して重合を行った以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
以降の<非イオン性界面活性剤の被覆><予備発泡粒子の製造><型内発泡成形体の製造>に関しては、実施例1と同様の操作により、被覆粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。それぞれの評価結果を、表1に示す。
(比較例5)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、重合開始時の単量体組成をスチレン単量体99.6重量部およびアクリル酸ブチル単量体0.4重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性熱可塑性樹脂粒子、非イオン性界面活性剤被覆粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表1に示す。
(実施例5)
<非イオン性界面活性剤の被覆>において、実施例1で得た発泡性熱塑性樹脂粒子100重量部に対する非イオン性界面活性剤の種類および量を、たポリオキシエチレンセシルエーテル[HLB値14.1、日本油脂(株)製]0.03重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、被覆粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。評価結果を、表2に示す。
(実施例6)
<非イオン性界面活性剤の被覆>において、実施例1で得た発泡性熱塑性樹脂粒子100重量部に対する非イオン性界面活性剤の種類および量を、ポリオキシエチレンオレイルエーテル[HLB値13.3、日本油脂(株)製]0.03重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、被覆粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。評価結果を、表2に示す。
(実施例7)
<非イオン性界面活性剤の被覆>において、実施例1で得た発泡性熱塑性樹脂粒子100重量部に対する非イオン性界面活性剤の種類および量を、ポリオキシエチレンステアリルエーテル[HLB値14.2、日本油脂(株)製]0.03重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、被覆粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。評価結果を、表2に示す。
(実施例8)
<非イオン性界面活性剤の被覆>において、実施例1で得た発泡性熱塑性樹脂粒子100重量部に対する非イオン性界面活性剤の種類および量を、ポリオキシエチレンセモノラウレート[HLB値10.0、日本油脂(株)製]0.03重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、被覆粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。評価結果を、表2に示す。
(実施例9)
<非イオン性界面活性剤の被覆>において、実施例1で得た発泡性熱塑性樹脂粒子100重量部に対する非イオン性界面活性剤の種類および量を、ポリオキシエチレンモノステアレート[HLB値13.6、日本油脂(株)製]0.03重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、被覆粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。評価結果を、表2に示す。
(実施例10)
<非イオン性界面活性剤の被覆>において、実施例1で得た発泡性熱塑性樹脂粒子100重量部に対する非イオン性界面活性剤の種類および量を、ポリオキシエチレンモノパルミテート[HLB値13.8、日本油脂(株)製]0.03重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、被覆粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。評価結果を、表2に示す。
(実施例11)
<非イオン性界面活性剤の被覆>において、実施例1で得た発泡性熱塑性樹脂粒子100重量部に対する非イオン性界面活性剤の種類および量を、ポリオキシエチレンモノオレート[HLB値11.6、日本油脂(株)製]0.03重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、被覆粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。評価結果を、表2に示す。
(実施例12)
<非イオン性界面活性剤の被覆>において、実施例1で得た発泡性熱塑性樹脂粒子100重量部に対する非イオン性界面活性剤の種類および量を、ポリオキシエチレンセシルエーテル[HLB値11.9、日本油脂(株)製]0.03重量部とし、箱型通気乾燥機での乾燥温度を35℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、被覆粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。評価結果を、表2に示す。
(実施例13)
<非イオン性界面活性剤の被覆>において、実施例1で得た発泡性熱塑性樹脂粒子100重量部に対する非イオン性界面活性剤の種類および量を、ポリオキシエチレンセシルエーテル[HLB値11.9、日本油脂(株)製]0.03重量部とし、箱型通気乾燥機での乾燥温度を6055℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、被覆粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。評価結果を、表2に示す。
(実施例14)
<非イオン性界面活性剤の被覆>において、実施例1で得た発泡性熱塑性樹脂粒子100重量部に対する非イオン性界面活性剤の種類および量を、ポリオキシエチレンセシルエーテル[HLB値11.9、日本油脂(株)製]0.01重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、被覆粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。評価結果を、表2に示す。
(実施例15)
<非イオン性界面活性剤の被覆>において、実施例1で得た発泡性熱塑性樹脂粒子100重量部に対する非イオン性界面活性剤の種類および量を、ポリオキシエチレンセシルエーテル[HLB値11.9、日本油脂(株)製]0.05重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、被覆粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。評価結果を、表2に示す。
(比較例6)
<非イオン性界面活性剤の被覆>において、実施例1で得た発泡性熱塑性樹脂粒子に対して、非イオン界面活性剤による被覆を行わなかった以外は、実施例1と同様の操作により、被覆粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。評価結果を、表2に示す。
(比較例7)
<非イオン性界面活性剤の被覆>において、ポリオキシエチレンセシルエーテル[HLB値11.9、日本油脂(株)製]0.03重量部を原液のまま被覆した以外は、実施例1と同様の操作により、被覆粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。評価結果を、表2に示す。
(比較例8)
<非イオン性界面活性剤の被覆>において、実施例1で得た発泡性熱塑性樹脂粒子100重量部に対する非イオン性界面活性剤の種類および量を、ポリオキシエチレンオレイルエーテル[HLB値4.9、日本油脂(株)製]0.03重量部変更した以外は、実施例1と同様の操作により、被覆粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。評価結果を、表2に示す。
(比較例9)
<非イオン性界面活性剤の被覆>において、実施例1で得た発泡性熱塑性樹脂粒子100重量部に対する非イオン性界面活性剤の種類および量を、ポリオキシエチレンオレイルエーテル[HLB値9.0、日本油脂(株)製]0.03重量部変更した以外は、実施例1と同様の操作により、被覆粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。評価結果を、表2に示す。
(比較例10)
<非イオン性界面活性剤の被覆>において、実施例1で得た発泡性熱塑性樹脂粒子100重量部に対する非イオン性界面活性剤の種類および量を、ポリオキシエチレンオレイルエーテル[HLB値16.6、日本油脂(株)製]0.03重量部変更した以外は、実施例1と同様の操作により、被覆粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。評価結果を、表2に示す。
(比較例11)
<非イオン性界面活性剤の被覆>において、実施例1で得た発泡性熱塑性樹脂粒子100重量部に対する非イオン性界面活性剤の種類および量を、ポリオキシエチレンセシルエーテル[HLB値11.9、日本油脂(株)製]0.06重量部とし、箱型通気乾燥機での乾燥温度を59℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、被覆粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。評価結果を、表2に示す。
(比較例12)
<非イオン性界面活性剤の被覆>において、実施例1で得た発泡性熱塑性樹脂粒子100重量部に対する非イオン性界面活性剤の種類および量を、ポリオキシエチレンセシルエーテル[HLB値11.9、日本油脂(株)製]0.03重量部とし、箱型通気乾燥機での乾燥温度を30℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、被覆粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。評価結果を、表2に示す。
(比較例13)
<非イオン性界面活性剤の被覆>において、実施例1で得た発泡性熱塑性樹脂粒子100重量部に対する非イオン性界面活性剤の種類および量を、ポリオキシエチレンセシルエーテル[HLB値11.9、日本油脂(株)製]0.03重量部とし、箱型通気乾燥機での乾燥温度を65℃に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、被覆粒子、予備発泡粒子および発泡成形体を得た。評価結果を、表2に示す。
(実施例16)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、ブタンの添加量を4.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性熱可塑性樹脂粒子、非イオン性界面活性剤被覆粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表3に示す。
(実施例17)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、ブタンの添加量を8.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性熱可塑性樹脂粒子、非イオン性界面活性剤被覆粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表3に示す。
(実施例18)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、ベンゾイルパーオキサイド0.35重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性熱可塑性樹脂粒子、非イオン性界面活性剤被覆粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表3に示す。
(実施例19)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、ベンゾイルパーオキサイド0.25量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性熱可塑性樹脂粒子、非イオン性界面活性剤被覆粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表3に示す。
(比較例14)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、ブタンの添加量3.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、粒子表面にクラック構造を持つ発泡性熱可塑性樹脂粒子を得た。
予備発泡は、実施例1と同様の方法で行ったが、発泡倍率55倍となり、所定倍率65倍まで発泡せず、成形評価を実施することができなかった。
(比較例15)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、ブタンの添加量を9.0重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性熱可塑性樹脂粒子、非イオン性界面活性剤被覆粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表3に示す。
(比較例16)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、ベンゾイルパーオキサイド0.38重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性熱可塑性樹脂粒子、非イオン性界面活性剤被覆粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表3に示す。
(比較例17)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、ベンゾイルパーオキサイド0.22重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性熱可塑性樹脂粒子、非イオン性界面活性剤被覆粒子、予備発泡粒子、型内発泡成形体を得た。評価結果を、表3に示す。

Claims (7)

  1. 単量体組成が、スチレン系単量体90重量%超99重量%以下、アクリル酸エステル系単量体1重量%以上10重量%未満(スチレン系単量体およびアクリル酸エステル系単量体の合計量が100重量%である)である熱可塑性樹脂を基材樹脂とする発泡性熱可塑性樹脂粒子であって、
    ATR−FTIRにより測定された熱可塑性樹脂予備発泡粒子表面の赤外線吸収スペクトルから得られる1600cm−1及び1730cm−1での吸光度比α(A1730/A1600)が、熱可塑性樹脂予備発泡粒子中心部の赤外線吸収スペクトルから得られる吸光度比β(A1730/A1600)の1.0倍以上10倍以下であり、
    加速電圧を18kVとした走査型電子顕微鏡を用いて倍率700倍で前記発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面を観察することにより得られる写真が、前記発泡性樹脂粒子の表面に露出するクラックである表面クラックを有するものであり、
    この表面クラックを有する画像上に40μm間隔で4本の平行な直線を引き、各直線と交差する表面クラックの直線280μmあたりの本数である単位交差クラック本数を求めたときに、得られた4直線分の単位交差クラック本数の平均値である平均交差クラック本数が6.5本/280μm以上10.5本/280μm以下であり、
    含有される発泡剤量が3重量%以上7重量%未満である、発泡性熱可塑性樹脂粒子。
  2. アクリル酸エステル系単量体がアクリル酸ブチルであることを特徴とする、請求項1記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子。
  3. 発泡性熱可塑性樹脂粒子中に含有される単量体成分が0.3重量%未満であることを特徴とする、請求項1または2に記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子。
  4. 発泡性熱可塑性樹脂粒子のゲルパーミェーションクロマトグラフィー測定から得られる重量平均分子量(Mw)が20万以上32万未満であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子。
  5. 発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面に、該樹脂粒子100重量部に対し、HLB値が10以上15未満である非イオン界面活性剤0.01〜0.05重量部で被覆され、その後35℃以上60℃未満の温度で乾燥させることを特徴とする、請求項1記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の発泡性熱可塑性樹脂粒子を、発泡させてなることを特徴とする、熱可塑性樹脂予備発泡粒子。
  7. 請求項6に記載の熱可塑性予備発泡粒子を、型内成形してなることを特徴とする、熱可塑性樹脂発泡体。
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