JP2013012610A - 薄膜トランジスタおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、基板と、上記基板上に形成された第1ゲート電極と、上記第1ゲート電極を覆うように形成された第1ゲート絶縁層と、上記第1ゲート絶縁層上に形成され、低抵抗領域であるソースコンタクト領域およびドレインコンタクト領域ならびに高抵抗領域であるチャネル領域を有する酸化物半導体層と、上記ソースコンタクト領域に接して形成されたソース電極と、上記ドレインコンタクト領域に接して形成されたドレイン電極と、上記酸化物半導体層上に形成され、絶縁性有機材料を含む第2ゲート絶縁層と、上記第2ゲート絶縁層上に形成された第2ゲート電極とを有することを特徴とする薄膜トランジスタを提供する。
【選択図】図1
Description
しかしながら、トランジスタ特性を改善するために熱処理を行う場合、樹脂基板の耐熱性は高くても200℃程度であるため、200℃以下で熱処理を行う必要がある。一方、熱処理温度を低くすると、薄膜トランジスタの駆動時の閾値電圧の変化量が増大し、信頼性が低下してしまうといった問題がある。
特許文献1には、ゲート絶縁層をICP−CVD法またはECR−CVD法により形成することにより、さらには酸化物半導体層をスパッタリング法により形成することにより、全製造工程を200℃以下の温度条件下にて行う方法が提案されている。
特許文献2には、基板温度200℃以下で酸化物半導体層を形成した後、酸化処理する方法が開示されている。
特許文献3には、スパッタリング法によって酸化物半導体層を形成した後、酸素含有雰囲気で100℃以上200℃以下の熱処理を行う方法が開示されている。
例えば特許文献4には、低抵抗化された酸化物半導体層上にソース電極およびドレイン電極を形成し、ソース電極およびドレイン電極で覆われていない酸化物半導体層のチャネル領域に酸化処理を行い、チャネル領域を高抵抗化する方法が開示されている。特許文献4によれば、酸化処理としては酸素ラジカル処理や加熱処理が挙げられており、酸素ラジカル処理および加熱処理を併用することが好ましいとされている。しかしながら、加熱処理での加熱温度は最高で600℃とされており、上述の樹脂基板の耐熱性や寸法変化の問題がある。さらに、特許文献4に記載の方法では、薄膜トランジスタの構造が制限されてしまうといった問題もある。
また特許文献5には、まず酸化物半導体層上に酸化性ガスが含まれない雰囲気で第1の絶縁層を形成して、酸化物半導体層の全面を低抵抗化し、次いで第1の絶縁層をパターニングして、酸化物半導体層のチャネル領域を露出し、続いて第1の絶縁層がパターニングされた酸化物半導体層上に酸化性ガスが含まれる雰囲気で第2の絶縁層を形成して、酸化物半導体層のチャネル領域を高抵抗化する方法が開示されている。しかしながら、特許文献5に記載の方法では、製造工程が煩雑であり、歩留り低下やコスト上昇につながる。
まず、本発明の薄膜トランジスタについて説明する。
本発明の薄膜トランジスタは、基板と、上記基板上に形成された第1ゲート電極と、上記第1ゲート電極を覆うように形成された第1ゲート絶縁層と、上記第1ゲート絶縁層上に形成され、低抵抗領域であるソースコンタクト領域およびドレインコンタクト領域ならびに高抵抗領域であるチャネル領域を有する酸化物半導体層と、上記ソースコンタクト領域に接して形成されたソース電極と、上記ドレインコンタクト領域に接して形成されたドレイン電極と、上記酸化物半導体層上に形成され、絶縁性有機材料を含む第2ゲート絶縁層と、上記第2ゲート絶縁層上に形成された第2ゲート電極とを有することを特徴とするものである。
図1は、本発明の薄膜トランジスタの一例を示す概略断面図である。図1に例示する薄膜トランジスタ1は、基板2と、基板2上に形成された第1ゲート電極3と、第1ゲート電極3を覆うように形成された第1ゲート絶縁層4と、第1ゲート絶縁層4上に形成され、ソースコンタクト領域15S、ドレインコンタクト領域15D、チャネル領域15Cを有する酸化物半導体層5と、酸化物半導体層5上に形成され、絶縁性有機材料を含む第2ゲート絶縁層6と、第2ゲート絶縁層6上にスルーホールを介してソースコンタクト領域15Sに接するように形成されたソース電極7と、第2ゲート絶縁層6上にスルーホールを介してドレインコンタクト領域15Dに接するように形成されたドレイン電極8と、第2ゲート絶縁層6上に形成された第2ゲート電極9とを有している。酸化物半導体層5では、ソースコンタクト領域15Sおよびドレインコンタクト領域15Dは低抵抗領域、チャネル領域15Cは高抵抗領域であり、ソースコンタクト領域15Sおよびドレインコンタクト領域15Dは酸化物半導体層5が低抵抗化された領域である。この薄膜トランジスタ1はダブルゲート構造を有している。
なお、図3に例示する薄膜トランジスタにおいては、ソース電極7およびドレイン電極8上に位置する酸化物半導体層5の領域は高抵抗領域となるが、ソース電極7およびドレイン電極8は側面がそれぞれソースコンタクト領域15Sおよびドレインコンタクト領域15Dに接しているので、トランジスタ特性に問題はない。
さらに、樹脂基板を使用することが可能であるため、ロール・ツー・ロール製造技術への展開が可能であり、本発明の薄膜トランジスタを用いることにより、大面積の回路基板を低コストで製造することが可能となる。
また、本発明の薄膜トランジスタは、樹脂基板を用いることができるので、フレキシブル化が可能であり、フラットパネルディスプレイに好適である。
また、第1ゲート電極および第2ゲート電極によって酸化物半導体層を遮光することができ、光照射、中でも紫外光照射、特に紫外光および可視光照射による薄膜トランジスタの特性変化を抑制することができる。
また、酸化物半導体層を挟んで第1ゲート絶縁層および第1ゲート電極と第2ゲート絶縁層および第2ゲート電極とが形成されているので、酸化物半導体層のチャネル領域を保護することができる。例えば、第1ゲート電極および第2ゲート電極が金属材料からなるものである場合には、水分や酸素に対するバリア性が高いので、酸化物半導体層を保護し、水分や酸素による特性劣化を抑制することができる。また、特に、図1に例示するように、酸化物半導体層5上に第2ゲート絶縁層6が形成され、第2ゲート絶縁層6上にソース電極7およびドレイン電極8が形成されている場合には、不純物等によるチャネル領域の汚染を防止することができる。
本発明における酸化物半導体層は、第1ゲート絶縁層上に形成され、低抵抗領域であるソースコンタクト領域およびドレインコンタクト領域と高抵抗領域であるチャネル領域とを有するものである。
中でも、図2〜図4に例示するように、高抵抗領域であるチャネル領域15Cは、第1ゲート電極3が形成されている第1ゲート電極形成領域13と同一形状であることが好ましい。チャネル領域および第1ゲート電極形成領域が同一形状であれば、第1ゲート電極形成領域とソースコンタクト領域およびドレインコンタクト領域とを重ならないようにすることができ、第1ゲート電極とソース電極およびドレイン電極との間の寄生容量を小さくすることができるからである。
本発明における第2ゲート絶縁層は、上記酸化物半導体層上に形成され、絶縁性有機材料を含むものである。
特に、塗布法が好ましく用いられる。塗布法では、第2ゲート絶縁層形成時の酸化物半導体層のダメージを大幅に低減することができ、酸素欠損の発生を大きく抑制することができる。そのため、トランジスタ特性を改善したり酸素欠損を補償したりするために熱処理を行う際には、温度をより低くすることができる。
また、ベイク温度が上記範囲内で比較的高い場合には、ベイク工程により酸化物半導体層の酸素欠損を補償したりトランジスタ特性を改善したりすることができる。すなわち、第2ゲート絶縁層を形成する際のベイク工程と、酸化物半導体層の酸素欠損を補償したりトランジスタ特性を改善したりするための熱処理工程とを同時に行うことができる。
なお、ベイク工程については、後述の「B.薄膜トランジスタの製造方法」の項に詳しく記載するので、ここでの説明は省略する。
本発明における第1ゲート絶縁層は、第1ゲート電極を覆うように形成されるものである。
本発明において、ソース電極は上記酸化物半導体層のソースコンタクト領域に接して形成されるものであり、ドレイン電極は上記酸化物半導体層のドレインコンタクト領域に接して形成されるものである。
中でも、酸化物半導体層のソースコンタクト領域およびドレインコンタクト領域との接触が良好になることから、Ti、Moが好ましく用いられる。また、電気抵抗を低くするために、TiおよびAlが順に積層されていてもよい。
また、ソース電極およびドレイン電極が酸化物半導体層上に形成されている場合、塗布法により成膜可能な材料が好ましく、具体的には、AgコロイドやAuコロイドが挙げられる。
ソース電極およびドレイン電極が第2ゲート絶縁層上に形成されている場合または第1ゲート絶縁層上に形成されている場合、ソース電極およびドレイン電極の形成方法は、上記導電性材料の種類に応じて適宜選択され、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法を用いることができる。
一方、ソース電極およびドレイン電極が酸化物半導体層上に形成されている場合、ソース電極およびドレイン電極の形成方法は、上記酸化物半導体層に酸素欠損を発生させないような方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、DCスパッタリング法、対向ターゲット式スパッタリング法、ECRスパッタリング、塗布法等を用いることができる。中でも、ソース電極およびドレイン電極形成時の酸化物半導体層のダメージを大幅に低減し、酸素欠損の発生を大きく抑制することができることから、塗布法が好ましい。
本発明における第2ゲート電極は、上記第2ゲート絶縁層上に形成されるものである。
中でも、図1に例示するように第2ゲート絶縁層6上に第2ゲート電極9、ソース電極7およびドレイン電極8が形成されている場合には、第2ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極を同時に形成し、製造工程を簡素化できることから、第2ゲート電極に用いられる導電性材料は、上記のソース電極およびドレイン電極に用いられる導電性材料と同一であることが好ましい。
導電性材料の成膜後は、通常、所望のパターン形状にパターニングを行う。パターニング方法としては、例えばフォトリソグラフィー法を用いることができる。また、フォトレジストパターンをマスクとして第2ゲート電極をエッチングする際、エッチング方法としては、ウェットエッチングおよびドライエッチングのいずれも適用することができる。
本発明における第1ゲート電極は基板上に形成されるものである。
本発明に用いられる基板は、上記の第1ゲート電極、第1ゲート絶縁層、酸化物半導体層、第2ゲート絶縁層、第2ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極を支持するものである。
本発明の薄膜トランジスタとしては、ダブルゲート構造を有するものであればよい。中でも、図1に例示するように第2ゲート絶縁層上にソース電極およびドレイン電極が形成されている構造が好ましい。
また、本発明の薄膜トランジスタの用途としては、例えば、液晶表示装置、電気泳動表示装置、有機EL表示装置等を挙げることができる。
次に、本発明の薄膜トランジスタの製造方法について説明する。
本発明の薄膜トランジスタの製造方法は、基板と、上記基板上に形成された第1ゲート電極と、上記第1ゲート電極を覆うように形成された第1ゲート絶縁層と、上記第1ゲート絶縁層上に形成され、低抵抗領域であるソースコンタクト領域およびドレインコンタクト領域ならびに高抵抗領域であるチャネル領域を有する酸化物半導体層と、上記ソースコンタクト領域に接して形成されたソース電極と、上記ドレインコンタクト領域に接して形成されたドレイン電極と、上記酸化物半導体層上に形成された第2ゲート絶縁層と、上記第2ゲート絶縁層上に形成された第2ゲート電極とを有する薄膜トランジスタの製造方法であって、第1ゲート絶縁層上に酸化物半導体層を形成する酸化物半導体層形成工程と、上記酸化物半導体層上にフォトレジストパターンを形成するフォトレジストパターン形成工程と、上記フォトレジストパターンで覆われてない部分の上記酸化物半導体層を低抵抗化し、上記酸化物半導体層に低抵抗領域であるソースコンタクト領域およびドレインコンタクト領域ならびに高抵抗領域であるチャネル領域を形成する低抵抗化工程と、上記フォトレジストパターンを除去するフォトレジストパターン除去工程と、上記低抵抗領域および上記高抵抗領域を有する上記酸化物半導体層上に、上記酸化物半導体層に酸素欠損が発生しないように、第2ゲート絶縁層を形成する第2ゲート絶縁層形成工程とを有することを特徴としている。
図5(a)〜(e)および図6(a)〜(b)は、本発明の薄膜トランジスタの製造方法の一例を示す工程図である。まず、基板2上に導電性材料を成膜してゲート電極を形成し、ゲート電極上にフォトレジスト層を形成し、露光および現像して、フォトレジストパターンをマスクとしてゲート電極をエッチングし、図5(a)に示すように第1ゲート電極3をパターニングする、第1ゲート電極形成工程を行う。次に、図5(b)に示すように第1ゲート電極3を覆うように第1ゲート絶縁層4を形成し、パターニングする、第1ゲート絶縁層形成工程を行う。次いで、第1ゲート絶縁層4上に酸化物半導体層を形成し、酸化物半導体層上にフォトレジスト層を形成し、露光および現像して、フォトレジストパターンをマスクとして酸化物半導体層をエッチングし、図5(c)に示すように酸化物半導体層5をパターニングする、酸化物半導体層形成工程を行う。次に、酸化物半導体層5上にフォトレジスト層を形成し、露光および現像して図5(d)に示すようにフォトレジストパターン11を形成する、フォトレジストパターン形成工程を行う。続いて、図5(d)に示すように、フォトレジストパターン11で覆われてない部分の酸化物半導体層5にプラズマ12を照射して低抵抗化し、酸化物半導体層5に低抵抗領域であるソースコンタクト領域15Sおよびドレインコンタクト領域15Dならびに高抵抗領域であるチャネル領域15Cを形成する、低抵抗化工程を行う。その後、図5(e)に示すように、フォトレジストパターン11を除去する、フォトレジストパターン除去工程を行う。次に、図6(a)に示すように、低抵抗領域であるソースコンタクト領域15Sおよびドレインコンタクト領域15Dならびに高抵抗領域であるチャネル領域15Cを有する酸化物半導体層5上に、酸化物半導体層5に酸素欠損が発生しないように絶縁性材料を成膜して第2ゲート絶縁層6を形成し、ソースコンタクト領域15Sおよびドレインコンタクト領域15Dの一部が露出するように第2ゲート絶縁層6をパターニングしてスルーホールを形成する、第2ゲート絶縁層形成工程を行う。次いで、第2ゲート絶縁層6上に導電性材料を成膜して導電膜を形成し、導電膜上にフォトレジスト層を形成し、露光および現像して、フォトレジストパターンをマスクとして導電膜をエッチングし、図6(b)に示すようにソース電極7、ドレイン電極8および第2ゲート電極9を同時に形成する、ソース電極およびドレイン電極形成工程ならびに第2ゲート電極形成工程を行う。このようにして、ダブルゲート構造を有する薄膜トランジスタ1が得られる。
上記の薄膜トランジスタの製造方法により製造される薄膜トランジスタ1おいては、第1ゲート電極3に対してソースコンタクト領域15Sおよびドレインコンタクト領域15Dの位置が自動的に決まるセルフアライン構造となっており、チャネル領域15Cは、第1ゲート電極3が形成されている第1ゲート電極形成領域13と同一形状となっている。
また本発明によれば、上記のフォトレジストパターン形成工程、低抵抗化工程およびフォトレジストパターン除去工程を行うことにより、低抵抗領域および高抵抗領域を有する酸化物半導体層を得ることができるため、従来のように酸化物半導体層を低抵抗化および高抵抗化するために煩雑な工程を経ることがないので、歩留まりを向上させ、生産性を高めることができる。
したがって本発明においては、低温かつ簡便で安価な製造工程により、ダブルゲート構造を有し、トランジスタ特性に優れる薄膜トランジスタを製造することが可能である。
さらに、樹脂基板を使用することが可能であるため、ロール・ツー・ロールにより薄膜トランジスタを製造することができ、低コスト化を図ることができる。
また、本発明の薄膜トランジスタは、樹脂基板を用いることができるので、フレキシブルな薄膜トランジスタを得ることもできる。
本発明における酸化物半導体層形成工程は、第1ゲート絶縁層上に酸化物半導体層を形成する工程である。
なお、酸化物半導体層およびその形成方法については、上記「A.薄膜トランジスタ 1.酸化物半導体層」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
本発明におけるフォトレジストパターン形成工程は、上記酸化物半導体層上にフォトレジストパターンを形成する工程である。
また、後述するようにフォトレジスト層をパターン露光する際に第1ゲート電極をマスクとして裏面露光を行う場合には、フォトレジストは、酸化物半導体層を透過可能な波長の光により反応を生じるものであることが好ましい。
フォトレジスト層の形成方法としては、フォトレジストを塗布する方法を用いることができ、フォトレジストの塗布方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、ディップコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、スプレーコート法、フレキソ印刷法等が挙げられる。
本発明における低抵抗化工程は、上記フォトレジストパターンで覆われてない部分の上記酸化物半導体層を低抵抗化し、上記酸化物半導体層に低抵抗領域であるソースコンタクト領域およびドレインコンタクト領域ならびに高抵抗領域であるチャネル領域を形成する工程である。
本発明におけるフォトレジストパターン除去工程は、上記フォトレジストパターンを除去する工程である。
本発明における第2ゲート絶縁層形成工程は、上記低抵抗領域および上記高抵抗領域を有する上記酸化物半導体層上に、上記酸化物半導体層に酸素欠損が発生しないように、第2ゲート絶縁層を形成する工程である。
キャリア濃度は、例えば、ホール効果測定装置により測定することができる。
中でも、第2ゲート絶縁層に用いられる絶縁性材料は、塗布法により成膜可能な材料であることが好ましい。塗布法では、第2ゲート絶縁層形成時の酸化物半導体層のダメージを大幅に低減することができ、酸素欠損の発生を大きく抑制することができる。そのため、トランジスタ特性を改善したり酸素欠損を補償したりするために熱処理を行う際には、温度をより低くすることができる。このような絶縁性材料としては、例えば、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、カルド系樹脂、ビニル系樹脂、イミド系樹脂、ノボラック系樹脂等を用いることができる。
塗布法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ビードコート法、ディップコート法、ダイコート法、インクジェット法、ディスペンサ法、ブレードコート法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法等を挙げることができる。
特に、塗布法が好ましく用いられる。塗布法では、第2ゲート絶縁層形成時の酸化物半導体層のダメージを大幅に低減することができ、酸素欠損の発生を大きく抑制することができる。そのため、トランジスタ特性を改善したり酸素欠損を補償したりするために熱処理を行う際には、温度をより低くすることができる。
また、ベイク温度が上記範囲内で比較的高い場合には、ベイク工程により酸化物半導体層の酸素欠損を補償したりトランジスタ特性を改善したりすることができる。すなわち、第2ゲート絶縁層形成工程におけるベイク工程と、酸化物半導体層の酸素欠損を補償したりトランジスタ特性を改善したりするための熱処理工程とを同時に行うことができる。この場合、ベイク温度としては、120℃〜150℃の範囲内であることが好ましい。ベイク温度が高すぎると、上述したように、樹脂基板の使用が困難となり、また樹脂基板の寸法変化による位置ずれが起こるおそれがあるからである。また、ベイク温度が低すぎると、酸化物半導体層の酸素欠損を補償したりトランジスタ特性を改善したりするのが困難となるからである。
本発明においては、通常、酸化物半導体層に熱処理を施す熱処理工程が行われる。熱処理工程は、トランジスタ特性を改善したり酸素欠損を補償したりするために行われる工程である。
中でも、熱処理工程は、第2ゲート絶縁層形成工程前に行うことが好ましい。酸化物半導体層の酸素欠損を補う酸素は熱処理雰囲気中の酸素である。そのため、酸化物半導体層上に第2ゲート絶縁層が形成されている状態では、第2ゲート絶縁層内を酸素分子が拡散して酸化物半導体層に到達するため、熱処理時間が増大する傾向にある。熱処理工程を第2ゲート絶縁層形成工程前に行う場合には、酸化物半導体層に第2ゲート絶縁層がない状態であるので、熱処理時間を短縮することができる。
本発明においては、上述の酸化物半導体層形成工程、フォトレジストパターン形成工程、低抵抗化工程、フォトレジストパターン除去工程、第2ゲート絶縁層形成工程、熱処理工程の他に、必要に応じて任意の工程を有していてもよい。例えば、ゲート電極形成工程、第1ゲート絶縁層形成工程、ソース電極およびドレイン電極形成工程、第2ゲート電極形成工程等を行ってもよい。なお、各層およびそれらの形成方法については、上記「A.薄膜トランジスタ」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
(第1ゲート電極の形成)
まず、PEN基板の片面に、厚み200nmのAl膜をDCスパッタリング法により成膜した。Al膜の成膜にあたっては、圧力:0.5Pa、DC出力:900W、雰囲気:Ar、基板温度:室温とした。次に、Al膜上にフォトレジストをスピンコート法で塗布し、露光および現像し、フォトレジストパターンを形成した。続いて、エッチャント(リン硝酢酸)を用いてAl膜のウェットエッチングを行い、フォトレジストを剥離し、その後純水でリンスした。
次に、Al膜が形成されたプラスチック基板上に、厚み200nmの酸化ケイ素膜をRFスパッタリング法により成膜した。酸化ケイ素膜の成膜にあたっては、圧力:0.3Pa、RF出力:2kW、雰囲気:酸素(100%)、基板温度:室温とした。次いで、酸化ケイ素膜上にフォトレジストをスピンコート法で塗布し、露光および現像し、フォトレジストパターンを形成した。続いて、RF出力:300W、圧力:10Pa、雰囲気:CF4/O2(=100/5)の条件で酸化ケイ素膜のドライエッチングを行い、フォトレジストを除去した。
次に、酸化ケイ素膜上に、厚み25nmのアモルファスIGZO(InGaZnO)膜をRFスパッタリング法により成膜した。IGZO膜の成膜にあたっては、圧力:0.4Pa、RF出力:500W、雰囲気:酸素(100%)、基板温度:室温とした。次いで、IGZO膜上にフォトレジストをスピンコート法で塗布し、露光および現像し、フォトレジストパターンを形成した。続いて、エッチャント(和光純薬工業製のITOエッチャント)を用いてIGZO膜のウェットエッチングを行い、フォトレジストを除去し、その後純水でリンスした。
次に、IGZO膜上にフォトレジストをスピンコート法で塗布し、露光および現像し、チャネル領域となる部分にフォトレジストパターンを形成した。次いで、フォトレジストパターンで覆われていない部分のIGZO膜に、RF出力:300W、圧力:10Pa、雰囲気:Arの条件でプラズマ処理を行った。その後、フォトレジストを除去した。
低抵抗化後の酸化物半導体層のキャリア濃度は、2×1015cm-3であった。
フォトレジストの除去後に、150℃、1時間、大気雰囲気にてオーブンでアニールした。
次に、IGZO膜上に厚み300nmの感光性を有するフッ素系樹脂膜をスピンコート法により成膜した。次いで、フッ素系樹脂膜を露光および現像して、ソース電極およびドレイン電極用のスルーホールを形成した。
第2ゲート絶縁層形成後の酸化物半導体層のキャリア濃度は、9×1015cm-3であった。
次に、フッ素系樹脂膜上に、厚み200nmのTi膜をDCスパッタリング法により成膜した。Ti膜の成膜にあたっては、圧力:0.5Pa、DC出力:900W、雰囲気:Ar、基板温度:室温とした。次に、Ti膜上にフォトレジストをスピンコート法で塗布し、露光および現像し、フォトレジストパターンを形成した。続いて、エッチャント(H2O2/アンモニア)を用いてTi膜のウェットエッチングを行い、フォトレジストを除去し、その後純水でリンスした。
下記のように酸化物半導体層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして薄膜トランジスタを作製した。
酸化ケイ素膜上に、厚み25nmのアモルファスIGZO(InGaZnO)膜をRFスパッタリング法により成膜した。IGZO膜の成膜にあたっては、圧力:0.4Pa、RF出力:500W、雰囲気:酸素(100%)、基板温度:室温とした。次いで、IGZO膜上にフォトレジストをスピンコート法で塗布し、露光および現像し、フォトレジストパターンを形成した。続いて、圧力:1Pa、雰囲気:Cl2:O2=10:1、RF電力:300WにてIGZO膜をドライエッチングした。その後、フォトレジストを除去し、純水でリンスした。
2 … 基板
3 … 第1ゲート電極
4 … 第1ゲート絶縁層
5 … 酸化物半導体層
6 … 第2ゲート絶縁層
7 … ソース電極
8 … ドレイン電極
9 … 第2ゲート電極
11、11b … フォトレジストパターン
13 … 第1ゲート電極形成領域
15C … チャネル領域
15S … ソースコンタクト領域
15D … ドレインコンタクト領域
Claims (7)
- 基板と、
前記基板上に形成された第1ゲート電極と、
前記第1ゲート電極を覆うように形成された第1ゲート絶縁層と、
前記第1ゲート絶縁層上に形成され、低抵抗領域であるソースコンタクト領域およびドレインコンタクト領域ならびに高抵抗領域であるチャネル領域を有する酸化物半導体層と、
前記ソースコンタクト領域に接して形成されたソース電極と、
前記ドレインコンタクト領域に接して形成されたドレイン電極と、
前記酸化物半導体層上に形成され、絶縁性有機材料を含む第2ゲート絶縁層と、
前記第2ゲート絶縁層上に形成された第2ゲート電極と
を有することを特徴とする薄膜トランジスタ。 - 前記基板が樹脂基板であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
- 前記第1ゲート電極が形成されている第1ゲート電極形成領域と、前記チャネル領域とが同一形状であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄膜トランジスタ。
- 基板と、前記基板上に形成された第1ゲート電極と、前記第1ゲート電極を覆うように形成された第1ゲート絶縁層と、前記第1ゲート絶縁層上に形成され、低抵抗領域であるソースコンタクト領域およびドレインコンタクト領域ならびに高抵抗領域であるチャネル領域を有する酸化物半導体層と、前記ソースコンタクト領域に接して形成されたソース電極と、前記ドレインコンタクト領域に接して形成されたドレイン電極と、前記酸化物半導体層上に形成された第2ゲート絶縁層と、前記第2ゲート絶縁層上に形成された第2ゲート電極とを有する薄膜トランジスタの製造方法であって、
第1ゲート絶縁層上に酸化物半導体層を形成する酸化物半導体層形成工程と、
前記酸化物半導体層上にフォトレジストパターンを形成するフォトレジストパターン形成工程と、
前記フォトレジストパターンで覆われてない部分の前記酸化物半導体層を低抵抗化し、前記酸化物半導体層に低抵抗領域であるソースコンタクト領域およびドレインコンタクト領域ならびに高抵抗領域であるチャネル領域を形成する低抵抗化工程と、
前記フォトレジストパターンを除去するフォトレジストパターン除去工程と、
前記低抵抗領域および前記高抵抗領域を有する前記酸化物半導体層上に、前記酸化物半導体層に酸素欠損が発生しないように、第2ゲート絶縁層を形成する第2ゲート絶縁層形成工程と
を有することを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。 - 前記第2ゲート絶縁層形成工程にて、塗布法により前記第2ゲート絶縁層を形成することを特徴とする請求項4に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記低抵抗化工程にて、プラズマ処理を行うことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記フォトレジストパターン形成工程にて、前記酸化物半導体層上にフォトレジスト層を形成した後、前記基板側から露光し、前記フォトレジストパターンを形成することを特徴とする請求項4から請求項6までのいずれかに記載の薄膜トランジスタの製造方法。
Priority Applications (1)
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