JP2012516393A - 楕円形コードの芯として構成された波形状偏平ワイヤ - Google Patents
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Abstract
ゴム製品を補強するように構成されたスチールコード10であって、芯12及び該芯12の周りに撚られ、かつ円形断面を有するフィラメント14の層を有しているスチールコード。芯12が波形状の偏平ワイヤを有し、該波形状が偏平ワイヤの平面内に横たわっている。偏平ワイヤは、先に丸線ワイヤを波付けした後に波付けしたワイヤを偏平化することによって得られる。層のフィラメントは、実質的に互いに接触していないので、互いの間に空間が形成され、コードへの十分なゴム浸透性が確保される。このようなスチールコードによって、破断点伸びが向上することとなる。
【選択図】図1
【選択図】図1
Description
本発明は、ゴム製品を補強するように構成されたスチールコードに関し、より詳細には、空気式ラジアルタイヤ、特に、空気式ラジアルトラックタイヤのベルト又はブレーカー構造を補強する部材として使用するスチールコードに関する。
一般的に、車両用の空気式タイヤは、実質的に円形の断面を有するスチールコードによって補強されている。このようなコードは、複数の単線フィラメント又は単線ストランドを撚り合わせることによって形成されている。空気式タイヤを補強する偏平ワイヤについては、横剛性が高くなっており、ゴムプライ(ply、層)をより薄くする必要があり、圧縮性が実質的に円形の断面を有するコードよりも良好であり、破断点伸びがより高くなっている。しかしながら、実質的に円形の断面を有するコードは、偏平ワイヤよりも引張強度及び疲労性能が良好となっている。
特許文献1には、スチールコードが、撚られていない単一のフィラメントに巻かれたスチールフィラメントの層を含んでおり、この単一のフィラメントが、細長い断面を有すると共に、幅と厚さとの比を少なくとも2としていることが開示されている。しかしながら、このようなコード構造では、層のラインにおけるフィラメントが隣接するフィラメントと接触しているので、各対のシースフィラメント間の空間が非常に狭くなっており、その結果、ゴムを容易に浸透させることができない。さらに、幅と厚さとの比が大きくなると、生産性が低下することとなる。
特許文献2には、スチールコードが、1本の波形状又は螺旋形状の芯スチールフィラメント(コアスチールフィラメント)と、この芯スチールフィラメントの周囲に配置された複数のシーススチールフィラメントとを含み、これによって、良好なゴム浸透が可能となり、耐腐食性が向上することが開示されている。しかしながら、このような構成によって、プライの厚さは増加することとなる。加えて、提案されている構造では、芯の一平面と該芯の一平面に対して垂直な平面とにおける剛性が等しくなっているので、芯の一平面に対して垂直な変形に対してはあまり柔軟性がない。このことは、空気式ラジアルタイヤのベルトプライ又はブレーカープライにおいて使用することには不利に作用することとなる。
本発明の目的は、より大きな破断点伸びを有し、かつ十分なゴム浸透性を有するスチールコードを提供することにある。
ゴム製品を補強するように構成されたスチールコードは、芯を有し、この芯は、幅(W)と厚さ(T)との比を1.2≦W/T≦3.0とした波形状偏平ワイヤを有している。波形状偏平ワイヤは、先に丸線ワイヤを波付け(crimping、クリンプ加工)した後に波付けしたワイヤを偏平化することによって得られることとなる。スチールコードは、上記芯の周りに撚られた層をさらに有している。芯の周りの層における各フィラメントは円形断面を有している。芯の周りの層における上記フィラメントのうち少なくとも2本は、実質的に互いに接触していない。
波形状は一対の歯付きホイールによって得ることができるクリンプ形状となっている。クリンプ形状は一組のカムによってもまた得ることができる。クリンプは平坦な波付き形状(planar wave)である。しかしながら、撚り方に応じて、平坦な波付き形状は、回転するように形成されてもよく(rotate)、又は回転するように形成されていなくてもよい。
波形状の振幅は0.1mm〜5.0mmの範囲となっており、例えば、0.5mm〜4.0mm、例えば、1.0mm〜3.0mm等となっている。波形状の振幅が0.1mmよりも小さい場合、芯と層との間の間隔が小さ過ぎるので、ゴム浸透が可能ではなく、生産性が低下することとなる。波形状の振幅が5.0mmよりも大きい場合、芯と層との間の間隔が大き過ぎるので、強度が低下することとなる。
波形状のピッチは3.0mm〜15.0mmの範囲となっており、例えば、4.0mm〜12.0mm、例えば、5.0mm〜10.0mm等となっている。波形状のピッチが3.0mmよりも小さい場合、芯と層との間の間隔が大き過ぎるので、強度が低下することとなる。波形状のピッチが15.0mmよりも大きい場合、芯と層との間の間隔が小さ過ぎるので、ゴムの浸透ができなくなる。
芯における幅と厚さとの比は、1.2≦W/T≦3.0となっており、好ましくは、1.5と2.5との間となっている。最小比は、コードの製造プロセス中にコードを適所に保持するために必要とされている。最大比は、安定性を考慮することによって決定されている。
層のスチールフィラメントが芯を囲んでおり、これらのスチールフィラメントのうち少なくとも2本は、実質的に互いに接触しておらず、好ましくは、隣接する金属フィラメントが互いに接触していないので、ゴムを芯に浸透させることを可能にする空間がより多く確保されることとなる。
スチールコードの芯に形成された平坦な波形状は、先に丸線ワイヤを波付けした後に波付けしたワイヤを圧延することによって偏平化して、ワイヤを偏平にすると共に波付き形状を平坦にすることによって、作製されている。これに対して、先に丸線ワイヤを圧延した後に偏平化したワイヤを波付けする場合、ワイヤ断線の可能性が高くなるので、ワイヤを再度位置決めすることとなり、製造効率が低下することとなる。このこととは対照的に、本発明に係るスチールコードを製造する方法は、上記の問題を容易に回避し、さらに製造効率を向上させることができる。
このような平坦な波形状フィラメントをコード構造に組み入れる代わりに、この平坦な波形状芯フィラメントをゴム補強用の独立した部材として使用することもできる。
本発明に係るスチールコードは、空気式ラジアルタイヤのカーカス(carcass)又はベルト構造に使用することができ、特に、トラックタイヤにおける使用に有用である。
ここで、添付の図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
図1を参照すると、ゴム製品を補強するように構成されたスチールコード10が、波形状偏平ワイヤである1本の芯12と、該芯12の周りに撚られ、かつ層内に設けられた6本のフィラメント14とを含んでいる。芯12は波付けされて波形状になっているので、芯12と隣接するフィラメント14との間に空間が設けられることとなる。波形状偏平ワイヤのさらなる利点は、偏平芯が波形状でないコードの場合よりも、幅と厚さとの比を大きくすることを達成できることにある。
図2を参照すると、丸線ワイヤの芯12が、一対の歯付きホイール16に通されることによって波付けされて波付き形状に形成されている。このことに加えて、歯付きホイール16を外部の手段によって駆動することも又は駆動しないこともできる。その後、波付けした丸線ワイヤを、一対又は複数対のロール17によって偏平化し、これらのロールによって、丸線ワイヤが偏平化されると同時に、波付き形状が平坦かつ偏平に形成されることとなる。
図3は、波形状の平面を偏平化するように波付けされた芯12の概略図を示している。芯の厚さを含むように頂点から頂点までを測定した波形状の振幅Lcは、0.1mm〜5.0mmとなっており、波形状のピッチは3.0mm〜15.0mmとなっている。
図4は、幅と厚さとの比を1.2≦W/T≦3.0とし、かつ波形状の平面を偏平化するように波付けした芯12の斜視図を示している。
図5は、幅と厚さとの比を1.2≦W/T≦3.0でとし、かつ波形状の平面を偏平化するように波付けした芯12の断面図を概略的に示している。
本発明において、波形状偏平芯を有するスチールコード10は、以下のように形成されている。出発製品はスチールワイヤ(スチール線材)である。このスチールワイヤは、次のスチール組成を有している。最小0.65%の炭素含有量、0.40%〜0.70%の範囲のマンガン含有量、0.15%〜0.30%の範囲のシリコン含有量、最大0.03%の硫黄含有量、及び最大0.30%のリン含有量。なお、これらのパーセントは全て重量パーセントとなっている。高張力スチールコードの典型的なスチールタイヤコード組成は、約0.80重量%、例えば、0.78重量%〜0.82重量%の最小炭素含有量を有している。スチールワイヤは、所望の最終直径まで複数の連続的なステップで伸線される。この例では、芯の円形直径は層のスチールフィラメントの場合、0.38mm及び0.34mmとなっている。伸線ステップの合間に、パテンティング処理のような1つ又は複数の熱処理ステップを入れることができる。
スチールフィラメントには、好ましくは、ゴムへの付着を促すコーティング、又は、ワイヤに耐腐食性を与えるコーティングが施されている。ゴム付着性コーティングは、例えば、真鍮となっており、耐腐食性コーティングは、例えば、亜鉛となっている。
専用的な例として、波形状偏平芯12の製造は、直径0.38mmである丸線フィラメント(round filament、丸素線)から開始して、該丸線フィラメントを先に一対の歯付きホイールによって波付けして波付き形状にし、さらに、波付き形状の平面を偏平化し、最終寸法を幅0.430mm及び厚さ0.340mmとし、振幅を1.33mmとし、ピッチを7.09mmとする。
直径0.34mmの6本の外周フィラメントは、筒型撚線機又はダブルツイスターによって芯フィラメントの周りに撚られている。
本発明に係る1+6のスチールコードを、芯を偏平化したのみで波形状に波付けしていない基準スチールコードと比較した。
図6は、このような2本のスチールコードの荷重−伸び曲線を示している。曲線18は、本発明に係る波形状偏平芯を有するスチールコードの荷重−伸び曲線であり、曲線20は、偏平芯を有するのみの基準スチールコードの荷重−伸び曲線である。基準スチールコードと比較すると、本発明に係るスチールコードでは破断点伸びが30%高くなっている。
Claims (11)
- 空気式タイヤのベルトプライを補強するように構成され、
層と芯とを有し、
前記層が、前記芯に巻かれたスチールフィラメントを有し、
前記芯が、波形状の偏平ワイヤを有している、コードにおいて、
前記偏平ワイヤが、先に丸線ワイヤを波付けした後に前記波付けしたワイヤを偏平化することによって得られる構成となっていることを特徴とする、コード。 - 前記偏平ワイヤが、幅(W)と厚さ(T)との比を1.2≦W/T≦3.0とする細長い断面を有していることを特徴とする、請求項1に記載のコード。
- 前記波形状が前記偏平ワイヤの平面内に横たわっていることを特徴とする、請求項1に記載のコード。
- 前記波形状のピッチ(Pc)が、3.0mm〜15.0mmの範囲内となっていることを特徴とする、請求項1又は3に記載のコード。
- 前記波形状の振幅(Lc)が、0.1mm〜5.0mmの範囲内となっていることを特徴とする、請求項1又は3に記載のコード。
- 前記芯の周りの前記層における前記フィラメントが、円形断面を有していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のコード。
- 前記芯の周りの前記層における前記フィラメントのうち少なくとも2本が、実質的に互いに接触していないことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のコード。
- ベルトプライを補強するように構成された請求項1〜7のいずれか一項に記載のコードの使用。
- ゴム製品を補強するように構成されている偏平ワイヤであって、
偏平ワイヤの平面内にて波形状となっていることを特徴とする偏平ワイヤ。 - 丸線ワイヤを波付けするプロセスの後に、前記波付けした丸線ワイヤを偏平化することによって得られるように構成されている請求項10に記載の偏平ワイヤ。
- 空気式タイヤのベルトプライを補強するように構成されたコードを製造する方法であって、
丸線スチールワイヤを準備するステップと、
前記丸線スチールワイヤに波付けするステップと、
前記波付けした丸線スチールワイヤを偏平化するステップと、
前記波付けしかつ偏平化したスチールワイヤに、他のスチールワイヤを巻き付けるステップと
を含む方法。
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