JPH0782680A - 金属コード及びこれとゴムとの複合物 - Google Patents

金属コード及びこれとゴムとの複合物

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JPH0782680A
JPH0782680A JP6053911A JP5391194A JPH0782680A JP H0782680 A JPH0782680 A JP H0782680A JP 6053911 A JP6053911 A JP 6053911A JP 5391194 A JP5391194 A JP 5391194A JP H0782680 A JPH0782680 A JP H0782680A
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JP
Japan
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cord
metal
filament
pitch
metallic
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Application number
JP6053911A
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English (en)
Inventor
Kenichi Okamoto
賢一 岡本
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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    • DTEXTILES; PAPER
    • D07ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
    • D07B1/00Constructional features of ropes or cables
    • D07B1/06Ropes or cables built-up from metal wires, e.g. of section wires around a hemp core
    • D07B1/0606Reinforcing cords for rubber or plastic articles
    • D07B1/0646Reinforcing cords for rubber or plastic articles comprising longitudinally preformed wires

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  • Ropes Or Cables (AREA)
  • Tires In General (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)
  • Tyre Moulding (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来品に比べて耐疲労性に優れ、耐食性も改
善された2本撚り構造の金属コードを提供する。 【構成】 1(平行)+1の撚り構造を基本とする金属
コードにおいて、本来中心線となる金属フィラメント1
に撚り合わせによって付くくせ以外に小さな波を付け、
他の1本の金属フィラメント2との撚り合わせ状態にお
いて両金属フィラメント1、2の位置がコードの長手方
向に向かって交互に入れ替わった状態にする。これによ
り、繰り返し曲げで破断し易かったコードの側線が撚り
(捩れ)の入っていない高強度の金属フィラメント1に
よって置き換えられ、コードの耐疲労性が向上する。ま
た、金属フィラメント1に付した波により金属フィラメ
ント2との間に隙間が確保されてゴム被覆率も向上し、
耐食性も良くなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐食性及び耐疲労性に
優れたゴム物品補強用の金属コードと、これを補強材と
してゴム中に埋設して作られたタイヤ、コンベヤベル
ト、高圧ホース等の複合物に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴム物品の補強に用いられる金属コード
は、通常、高炭素鋼線(JIS G3502ピアノ線
材)を素材として、ゴムとの接着性を付与するために表
面にブラス、銅、亜鉛などの金属めっきを施し、直径
0.1〜0.5mmまで伸線加工したものを単撚り、複撚
り、または層撚りしたものであり、自動車タイヤ、コン
ベアベルト、高圧ホースなどの補強材として広く用いら
れている。例えば、乗用車用ラジアルタイヤにはベルト
部補強材料として4本または5本の金属フィラメントを
撚り合わされた1×4または1×5の単撚り構造の金属
コードが使用されている。
【0003】このゴム補強用材料としての金属コードに
要求される品質特性には、ゴムとの接着性、耐食性、耐
疲労性、並びに他の種々の機械的性能(切断荷重、剛性
など)がある。これらのうち、耐食性に関しては、ゴム
中に埋設された金属コードにゴム未被覆部が存在する
と、タイヤが走行中に石や釘などを踏んで切り傷を受
け、その傷が金属コードまで達したとき、コードが傷を
伝って浸透する水分により短期間のうちに腐食し、コー
ドの切断荷重や耐疲労性が低下する。また、コードとゴ
ムとの接着性が低下し、剥離してタイヤのセパレーショ
ンによる品質トラブルを起こす恐れもある。
【0004】一般によく用いられる前述の1×4または
1×5のクローズドコードは、図6に示すような断面形
状をしており、コード中央部に空洞が存在する。このた
めに、これらの金属コードをゴム中に埋設すると、コー
ド内部にゴムが浸入せず、ゴムによる被覆がなされない
中空スペースが生じる。このような中空スペースを内部
にもつ金属コードとゴムの複合体は、水分の浸透で金属
コードの腐食や金属コードとゴム間のセパレーション等
の品質トラブルを起こすため短寿命となる。
【0005】この問題を解決するために、ゴム未被覆部
を無くする金属コードの改良が試みられている。例え
ば、特開昭55−90962号では図7に示すように金
属フィラメント2相互間に隙間があるように撚り合わせ
たオープンコードが提案され、また、特公昭58−31
438号では図8に示すようにコード内部にほとんど空
洞が存在しない2(平行)+2コードが提案されて両者
ともタイヤ用の補強材料として既に実用化されている。
【0006】一方、近年の環境保護の高まりから、自動
車の排ガス量を減らすための開発が種々行なわれてい
る。低燃費化は排ガス量の抑制に直結するのでこの面で
の開発は特に盛んであり、自動車用タイヤにおいても転
がり抵抗の低減や重量減の観点から、軽量化の強い要求
がある。このため、金属コードの直径を小さくし、さら
に被覆ゴムの厚さが薄くて済むようにコードの撚り構成
を簡素化する試みがなされている。例えば、特開昭62
−117893号や特開昭62−234921号には、
図2に示すように2本の金属フィラメント2を撚り合わ
せただけの非常に簡素な1×2コードが提案されてい
る。このコードは、内部に空洞が存在しないのでフィラ
メント接触部以外は埋設ゴムで被覆され、耐食性も極め
て優れているという特長を有している。また、特開平2
−229286号には、2本の金属フィラメントの撚り
合わせくせ付けの度合を適正範囲に設定することによっ
て2本の金属フィラメント間に部分的に隙間を設け、こ
れによりゴム被覆率をさらに改善して耐食性を向上させ
た1×2の改良コードが提案されている。
【0007】前記特開昭62−117893号や特開昭
62−234921号に開示された1×2コードは、埋
設ゴムに被覆され耐食性に優れているばかりでなく、最
小単位の撚り本数で構成されているため自動車用タイヤ
の軽量化にも適しているが、一方では次の欠点を有す
る。即ち、実際に乗用車用タイヤにおいて従来よく使用
される1×4または1×5コードに代えて1×2コード
を使用する場合、金属コードの強力や剛性等を考慮して
撚り本数が少なくなった分を補うために従来よりもフィ
ラメントの直径を大きくしたものが用いられる。また、
1×2コードは図2の(b)、(c)からも分るよう
に、コードの横断面をみると、金属フィラメント2が水
平あるいは垂直に配列された形態となっており、長手方
向に凹凸の大きい不均一な構造となっている。
【0008】このようにフィラメントの直径が大きく、
また、長手方向に不均一な構造になっているとコードの
耐疲労性(曲げ疲労や圧縮疲労)が悪くなる。特に、乗
用車用タイヤのベルト部に使用した場合、急速な旋回時
に生じるタイヤベルト部のバックリング現象により金属
コードに圧縮応力が繰り返し負荷されるが、この繰り返
しバックリング現象に対する圧縮疲労性が悪いという問
題がある。
【0009】そこで、本発明は、耐食性や軽量化に優れ
た1×2コードに代表される2本撚りコードに関し、従
来問題となっていた曲げ疲労や圧縮疲労のような耐疲労
性を改良した金属コードと、このコードを補強材料とし
て耐久性を向上させたタイヤ、コンベアベルト、高圧ホ
ース等の複合体を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに開発した本発明の金属コードは、見かけ上は、1本
の金属フィラメント1の周りに他の1本の金属フィラメ
ント2を撚り合わせて成る1(平行)+1構造の金属コ
ードである。このコードは、1(平行)の線に相当する
撚りの入らない(捩れが生じない)金属フィラメント1
が撚り合わせ状態において撚り合わせによって付く螺旋
状のくせ以外にコード平均撚りピッチより小さい波状の
くせを有しており、さらに、金属フィラメント1、2の
位置がコード長手方向で交互に入れ替ってコードの側線
と中心線が両金属フィラメントによって交互に構成さ
れ、実質的に1(平行)+1、1×2、1+1(平行)
の撚り構造が混在しており、この点に特徴を有するもの
である。
【0011】また、両金属フィラメント1、2を撚り合
わせたときのピッチPが、長手方向で撚り構造が交互に
入れ替わる箇所において、コード平均撚りピッチPaに
対して0.67Pa乃至1.33Paの範囲内で変化す
るのが好ましい。
【0012】なお、撚り合わせ時に撚りの入らない金属
フィラメント1は、コード長さの20〜80%の領域で
コードの側線となっているのが好ましい。
【0013】次に、本発明のコードは金属フィラメント
1の線径をd1 、金属フィラメント2の線径をd2 とす
るとd1 ≦d2 の関係を満たすものがより好ましく、更
に、金属フィラメント1は、撚り合わせ前にピッチp1
=0.20〜0.75Pa(Pa=コード平均撚りピッ
チ)、高さh1 =0.18〜0.50mmの螺旋状の波
を施し、その波が他の1本の金属フィラメントを撚り合
わせることによって変化し、変化後にピッチp=0.2
1〜0.77Pa、高さh=0.05〜0.25mmの
範囲に収まっているものがよい。
【0014】金属フィラメント1に施す螺旋波状のくせ
を二次元の波状のくせに置き換えても同様な金属コード
が得られる。
【0015】このような構造を有する本発明の金属コー
ドは、内側サプライ、外側テイクアップのいわゆるイン
・アウトタイプの二度撚り撚線機を使って製造すること
ができる。例えば、波状のくせを付ける金属フィラメン
ト1をテイクアップと反対側の位置で撚線機の外側に配
置し、くせ付けピンをフィラメントのパスライン周りに
回転させてそのピンでしごきながら螺旋波状のくせを付
ける回転波付け装置や、一対の歯車状成形型の間を通過
させて二次元の波を付ける装置で予備成形を行ってその
後に金属フィラメント1の周りに他の1本の金属フィラ
メント2を撚り合わせると、金属フィラメント2の撚り
の影響を受けて金属フィラメント1が伸ばされてコード
の径方向に移動することにより、両金属フィラメントの
位置がコード長手方向で交互に入れ替わって1(平行)
+1、1×2、1+1(平行)の撚り構造が混在した姿
になる。
【0016】かかる金属コードを、天然ゴム、又は合成
ゴムを主体とするゴム中に補強材として埋設して作られ
るタイヤ、コンベアベルト、高圧ホース等が本発明のゴ
ム複合物であって、この複合物は、同じ2本撚りコード
を用いた従来の複合物に比べて耐久性に優れる。
【0017】なお、金属フィラメント1、2の表面に
は、ゴムとの接着性を良くするために、ブラス、銅、亜
鉛、或いはブラスにCo、Ni、Sn等の元素を添加し
た三元合金等の金属めっきを被覆しておくのが望まし
い。
【0018】
【作用】図5に示す通常の1(平行)+1の撚り構造の
金属コードを図4に示すようなイン・アウトタイプの二
度撚り撚線機で撚り合わせると、1(平行)側の金属フ
ィラメント1は略コードの中心に位置し、撚り合わせ後
も図4のパスラインからも解るように、捩れが付加され
ないため、撚り相当分の捩れが加わる他の1本のフィラ
メントに比べて撚り減りによる強度低下が殆ど見られ
ず、高強度が維持される。しかも、コードの中心に位置
しているため、曲げ疲労試験及び圧縮曲げ疲労試験を行
うと、側線になっている金属フィラメント2が先に破断
する例が非常に多い。
【0019】そこで、発明者は、捩れていない中心の金
属フィラメント1を何とかして側線に配置転換できない
かと考えて検討を重ねた。その結果、本来中心線となる
金属フィラメントが他の1本に比較して伸びが大きく、
かつ、線径が同等もしくはそれ以下で容易に変形できる
状態になっていると、撚り合わせ後に他の1本の金属フ
ィラメントに最も自然な形で添おうとして中心のフィラ
メントが伸ばされ、コードの径方向に移動するため、螺
旋を画き、側線への配置転換が無理なく進むとの結論に
達し、本発明のコードを完成するに至った。
【0020】本発明の金属コードは、従来コードで破断
し易かった側線が、コード平均撚りピッチPaに対して
長手方向で短くなったり長くなったりしながらコード長
手方向の20%以上の領域において捩れを生じていない
引張強度の高い金属フィラメント1と置換されており、
しかも、置換したこの金属フィラメント1は、小さく波
打った部分のばね効果で外部エネルギーを吸収して外力
に対する負担を軽減する機能をもつため、繰り返し単純
曲げ、圧縮曲げに対する耐疲労性が向上し、例えば、乗
用車タイヤのトレッド部直下に補強材として使用しても
早期破断が生じない。トレッド部直下の補強材は、悪路
での曲げ変形や急速旋回時のバックリング現象による座
屈変形で単純曲げ、或いは圧縮を伴う曲げを受けるので
従来のコードは破断し易かったが、本発明のコードは、
その破断が起こり難い。
【0021】さらに、特開昭62−117893号や特
開昭62−243921号に開示されている2本撚りコ
ードでは、各フィラメントが連続的に相互接触する。こ
れに対し、本発明のコードは小さい螺旋波状のくせを有
しているので、不連続な接触状態を呈しており、接触部
間においてフィラメント相互間に隙間が生じている。こ
の隙間を通してゴムの浸透が行なわれるため前2者のコ
ードに比べてゴム被覆率が良くなり、より一層の耐食性
向上を達成することができる。また、フィラメント相互
の接触部分が非常に少なくなっているのでフレッチング
摩耗が減少するという利点もある。特開平2−2292
86号には2本の金属フィラメント間に部分的に隙間を
設けてゴム被覆率を改善したオープンタイプの金属コー
ドが開示されているが、これは、本発明のように撚り合
わせ以外の小さい螺旋波状のくせを施していないので耐
疲労性が悪い。
【0022】また、金属フィラメントに小さい波状のく
せ付けを施したコードとして、特開平2−307994
号は、3本以上の金属フィラメントの内、少なくとも1
本のフィラメントを、一対のかみ合い状歯車の歯面間に
通してここでジグザグ状にくせ付けしたのち撚り合わ
せ、フィラメント間に設けた隙間によってゴム浸透性を
改善することを提案しているが、これは3本以上の単撚
り構造であり、軽量化指向の要求に応え難い。
【0023】実公昭60−6475号も、スパイラル状
にくせ付けした金属フィラメントをラッピングワイヤで
並行に束ねてフィラメント間に隙間を生じさせた安価な
金属コードを提案しているが、これは撚り合わされてい
ないので可撓性が充分ではなく、タイヤ製造時の成型性
やタイヤ走行時の乗心地性が悪くなるという欠点があ
る。また、特公昭63−63293号には、くせ付けさ
れていない2本撚りのコアの周りに螺旋状にくせ付けさ
れた6本のフィラメントを撚り合わせた2層撚り構造の
金属コードが開示されているが、このコードは撚り本数
が多いので自動車タイヤの軽量化に適さず、コスト増に
もつながる。さらに、くせ付けされていない2本撚りの
ストランドをコアとして用いているので品質的にも問題
がある。
【0024】本発明の金属コードは、このような問題点
をも解決し、耐疲労性や耐食性を向上させており、ゴム
物品の耐久性改善に優れた効果を奏する。
【0025】ここで、両金属フィラメント1、2を撚り
合わせたとき、コード長手方向で撚り構造が交互に入れ
替わる領域でのコード撚りピッチPの変化範囲につい
て、0.67Pa乃至1.33Paまでにするのが望ま
しいとしたのは次の理由による。
【0026】1(平行)の線に相当する金属フィラメン
ト1は、本来はコード中心に納まるものである。本発明
では、この金属フィラメント1を側線へ移行させるため
に、そのフィラメントに加える張力を極力弱くコントロ
ールする必要がある。しかし、張力をかける以上、細か
い波状のくせを付与しているのでこのフィラメント1は
伸縮を繰り返しながらもう一方の金属フィラメント2と
の撚り合わせが行われ、このために通常の撚り合わせと
は違って撚りピッチが変化する。この撚りピッチの変化
は金属フィラメント1の張力を強くしていくと共にその
変化が大きくなり、フィラメント1側縁への移行が難し
くなるのでその移行を妨げない範囲としてコード平均撚
りピッチPaの0.67〜1.33倍とした。
【0027】次に、撚り(捩れ)の生じない金属フィラ
メントがコード長さの20〜80%の領域で側線を構成
しているのが望ましいとしたのは次の理由による。
【0028】即ち、金属フィラメント1の周りに所定の
平均ピッチで巻き付いている金属フィラメント2の張力
をコントロールする方法によっても金属フィラメント1
を側線へ移行させることができる。この場合、金属フィ
ラメント2に与える張力が大きいほど両フィラメントの
配置転換が急激になって金属フィラメント1が側線とな
る領域が広がるが、急激な配置転換はかえってフィラメ
ント曲がりを生じさせるため、転換領域の適正上限を8
0%とした。また、この転換領域が狭過ぎると、転換に
よる耐疲労性の向上効果が薄れるので20%を下限とし
た。
【0029】また、金属フィラメント1に付す波状のく
せについて、そのピッチp1 は、波の高さが最初大きく
て撚り合わせ過程で小さくなるためフィラメントが引き
伸ばされ、その分撚り合わせ後のピッチpの方が若干大
きくなる。これより、予備成形のピッチp1 が大き過ぎ
るとコード撚り合わせ時に各種ガイドとの摩擦抵抗など
により波が消える傾向にあり、耐疲労性の向上効果が下
がる。また、このピッチp1 が小さ過ぎると図4(a)
の回転波付け装置を用いる場合にはその高速化が、一
方、同図(b)の二次元波付け装置を用いる場合には歯
形の精密小型化が各々必要になり、設備コストも合わせ
てコスト負担が重くなる。
【0030】そこで、これらの不具合を回避する上での
好ましい値として事前のくせ付けピッチp1 はコード平
均撚りピッチPaの0.20〜0.75倍の値を選ん
だ。撚り合わせ後の波のピッチpは、フィラメントの伸
びによりp1 より少し大きくなってコード平均撚りピッ
チPaの0.21〜0.77倍となる。
【0031】また、撚り合わせ後の波の高さhは、大き
くなるに従い外力に対する緩和作用も増大し、耐疲労性
向上に効果があるので、金属フィラメント2との間にゴ
ムが浸透できる隙間の大きさも併せ考慮して、その下限
を0.05mmとした。また、この波の高さhが過大で
あるとコード径が大きくなり、コードの撚りの均一性維
持も難しくなるので、直径が一般的な範囲にある金属フ
ィラメントを用いてコードの平均撚りピッチを上記の範
囲に定めるケースでの上限を0.25mmとした。
【0032】一方、撚り合わせ前の波の高さh1 は、撚
り合わせ過程で各種ローラガイドや撚り合わせ後の伸直
ローラ等の接触によるしごきで波の高さが低くなるの
で、この低下量を見込み、撚り合わせ後に高さhを前述
の範囲に保てる値として0.18〜0.50mmの値を
選んだ。
【0033】なお、ここで云う波のピッチ及び高さは図
3に示すように定義するものであり、螺旋状の波、二次
元の波のどちらを付与する場合にも、好ましい数値限定
に関しては同じことが云える。
【0034】このような金属コードは、機外で一方の金
属フィラメントに波付けする方が簡単で効率も良く、従
って、その製造は、図4に示すイン・アウトタイプの二
度撚り撚線機によるのが最適である。
【0035】使用する金属フィラメントの直径は0.1
0〜0.50mm、中でも、本発明品は2本撚りコード
であるので0.27〜0.35mmの範囲が好ましく、
勿論、異径の金属フィラメントを撚り合わせることも制
限されない。このほか、撚りを入れる金属フィラメント
2の撚りピッチも5〜20mmの範囲が好ましい。この
撚りピッチが5mm未満ではコード製造の生産性が低下
し、逆に20mmを越えるとコード切断時の端末ばらけ
や可撓性の低下が生じる。1(平行)+1を基本とする
本発明の2本撚りコードの場合、実用的には10〜16
mmの撚りピッチが適している。
【0036】
【実施例】直径0.30mmのブラスめっき金属フィラ
メントの2本を、図4(a)に示す撚線機を用いて平均
撚りピッチPa=14mmで撚り合わせ、図1に示すよ
うな構造の金属コード3を作成した(実施例1)。
【0037】このコードは、機外のサプライリール5か
ら繰り出した金属フィラメントを回転波付け装置8のく
せ付けピン6間に通し、ここで波の高さh1 =0.34
mm、波のピッチp1 =0.46Paの螺旋波状のくせ
付けを行った後、機内のサプライリール10から繰り出
される金属フィラメント2を波付けされた金属フィラメ
ント1の周りに撚り合わせた。完成したコードは、金属
フィラメント1の波の高さhが0.09mm、ピッチp
が6.7mmになっている。また、金属フィラメント1
は二重の螺旋を画いた状態になっている。即ち、波付け
したこの金属フィラメント1は、図1の径dの円に内接
してコード平均撚りピッチの0.48倍のピッチで螺旋
を画き、一方、径dの円はコード径を決める径Dの円に
内接してコード平均撚りピッチPa(ここでは14m
m)で螺旋を画くため、金属フィラメント1は、外観上
二重の螺旋を画くことになる。
【0038】実施例1と同じ金属フィラメントを用いて
撚り合わせ状態で金属フィラメント1の波の高さhが
0.13mm、波のピッチpが0.38Paとなる金属
コード(実施例2)、同じく波の種類を図4(b)の波
付け装置9による二次元の波に変えてあり、撚り合わせ
状態で波の高さhが0.10mm、波のピッチpが0.
37Paとなる金属コード(実施例3)、並びに撚り合
わせ状態で波の高さhが0.04mm、波のピッチpが
0.80Paとなるコード(比較例2)も作った。
【0039】更に、比較例1として図2に示す一般的な
撚り構造の1×2×0.30のコンパクトコード(C、
C)4も用意した。
【0040】また、図4(a)の撚線機の回転波付け装
置8を同図(b)の二次元波付け装置9に置き換えた撚
線機で直径0.28mmのブラスめっき金属フィラメン
トの2本を平均撚りピッチPa=12mmで撚り合わ
せ、上記と同様な金属コードを作成した(実施例4)。
このコードは、撚り合わせ状態で波付けした金属フィラ
メント1が波の高さh=0.08mm、波のピッチp=
0.48Paの波状のくせを有している。このくせは螺
旋状の波ではなく、二次元の波である。
【0041】実施例4と同じ金属フィラメントを用いて
金属フィラメント1が撚り合わせ状態で高さh=0.1
1mm、ピッチp=0.40Paの二次元波のくせを保
有する金属コード(実施例5)、波の高さhが0.16
mm、ピッチpが0.41Paになる金属コード(実施
例6)並びに波の高さhが0.03mm、ピッチpが
0.80Paになる金属コード(比較例4)も作った。
【0042】さらに、比較例3として図2に示す撚り構
造の1×2×0.28のコンパクトコードも用意した。
【0043】次に、これ等の試料を用いて、耐食性の代
用特性であるゴム中に埋設したときのゴム被覆率を測定
し、また、耐疲労性の代用特性としてコード単体での屈
曲疲労試験、並びにコードとゴムの複合体についてのコ
ード軸方向圧縮疲労試験を実施した。その結果を表1に
示す。
【0044】同表から判るように、実施例1〜6は、比
較例1、3の従来コードに比べてゴム浸透性が改善さ
れ、ゴム被覆率が非常に良くなっている。また、屈曲疲
労試験及び圧縮疲労試験による耐疲労性も比較例1、2
又は3、4より優れた結果が得られている。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の金属コー
ドは、本来中心線になる撚り(捩れ)の入っていない引
張強度の高い金属フィラメントに小さな波を保有させる
ことにより、コード長手方向の20〜80%の領域にお
ける側線をこの波付けしたフィラメントに置き換えたの
で、単純曲げや圧縮曲げについての耐疲労性が向上し、
さらに、2本の金属フィラメント間に隙間が生じること
によりゴム被覆率が改善されて耐食性向上、フレッチン
グ摩耗の抑制にもつながると云う効果がある。
【0047】従って、かかる金属コードをゴム中に埋設
して作られるタイヤ、コンベアベルト、高圧ホースなど
のゴム複合体も当然に耐疲労性、耐食性が高まって耐久
性が向上する。また、2本撚りコードであるので複合体
の軽量化も実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属コードの一例を示す図であり、
(a)は外観を、(b)は(a)のb−b線部の断面
を、(c)は同じくc−c線部の断面を、(d)は同じ
くd−d線部の断面を各々表わす。
【図2】従来の2本撚りコンパクトコードを示す図であ
り、(a)は外観を、(b)は(a)のb−b線部の断
面を、(c)は同じくc−c線部の断面を表わす。
【図3】螺旋波状又は二次元のくせ付け(波付け)を施
した金属フィラメントの平面図
【図4】本発明の金属コードを製造するイン・アウトタ
イプの二度撚り撚線機の概念図
【図5】1(平行)+1コードの断面図
【図6】1×5のクローズドコードの断面図(a)と、
1×4のクローズドコードの断面図(b)
【図7】1×5のオープンコードの断面図
【図8】2(平行)+2コードの断面図
【符号の説明】
1 小さい螺旋波状のくせ付けをした金属フィラメント 2 小さい螺旋波状のくせ付けをしていない金属フィラ
メント 3 本発明の金属コード 4 従来の金属コード 5 サプライリール(機外) 6 くせ付けピン 7 くせ付け用かみ合いギヤ 8 回転波付け装置 9 二次元波付け装置 10 サプライリール(機内) 11 二度撚り撚線機(イン・アウトタイプ) 12 オーバーツイスタ 13 引取りキャプスタン 14 トラバースローラ 15 巻取りリール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B60C 9/00 8408−3D 9/20 8408−3D D07B 7/14

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 見かけ上、1本の金属フィラメント1の
    周りに他の1本の金属フィラメント2を撚り合わせて成
    る1(平行)+1構造の金属コードであって、撚りの入
    らない(捩れが生じない)金属フィラメント1が撚り合
    わせ状態において撚り合わせによって付く螺旋状のくせ
    以外にコード平均撚りピッチより小さい波状のくせを有
    しており、さらに、金属フィラメント1、2の位置がコ
    ード長手方向で交互に入れ替ってコードの側線と中心線
    が両金属フィラメントによって交互に構成され、実質的
    に1(平行)+1、1×2、1+1(平行)の撚り構造
    が混在した形になっている金属コード。
  2. 【請求項2】 前記金属フィラメント1及び2を撚り合
    わせたときのピッチPが、長手方向で撚り構造が交互に
    入れ替わる箇所において、コードの平均撚りピッチPa
    に対して最大±33%変化している請求項1記載の金属
    コード。
  3. 【請求項3】 前記金属フィラメント1が、コード長さ
    の20〜80%の領域でコードの側線を構成している請
    求項1又は2記載の金属コード。
  4. 【請求項4】 前記金属フィラメント1の線径をd1
    金属フィラメント2の線径をd2 としたときd1 ≦d2
    の関係を満たしている請求項1、2又は3記載の金属コ
    ード。
  5. 【請求項5】 前記金属フィラメント1は、撚り合わせ
    前にピッチp1 =0.20〜0.75Pa(Pa=コー
    ド平均撚りピッチ)、高さh1 =0.18〜0.50m
    mの螺旋状の波を施したものであり、その波が撚り合わ
    せによりピッチp=0.21〜0.77Pa、高さh=
    0.05〜0.25mmに変化している請求項1乃至4
    のいずれかに記載の金属コード。
  6. 【請求項6】 金属フィラメント1に付す請求項5の螺
    旋波状のくせを二次元の波状のくせに置き換えた請求項
    1乃至4のいずれかに記載の金属コード。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6の金属コードを、天然ゴ
    ム、又は合成ゴムを主体とするゴム中に補強材として埋
    設して作られるタイヤ、コンベアベルト、高圧ホース等
    のゴム複合物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11241282A (ja) * 1997-12-25 1999-09-07 Tokyo Seiko Co Ltd スチールコード及びスチールラジアルタイヤ
JP2006089902A (ja) * 2004-06-03 2006-04-06 Sumitomo Denko Steel Wire Kk ゴム物品補強用金属コード及びそのコードの製造方法
KR101119856B1 (ko) * 2009-07-17 2012-02-28 주식회사 효성 스틸코드

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