JP4045030B2 - タイヤ補強用スチールコード - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用タイヤの補強材として使用されるスチールコードに関し、特に6本〜13本の素線を一度に撚り合わせ、そのコードの横断面が略楕円形状のスチールコードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にこの種のスチールコードは、多本数が平行に引揃えられた状態でゴム材に被覆されて、自動車用タイヤの補強材として使用されている。そして、スチールコードに要求される条件としては、機械的強度が優れていることは勿論のこと、ゴム材との化学的、物理的な接着が良好であること、およびスチールコード内部へのゴム浸入性が良好であること等があげられる。すなわち、スチールコードがタイヤ補強材としての役割を充分に果たすためにゴム材との完全な複合体となることが必要である。
【0003】
とりわけ、トラック、バスなどの高重量の車両に用いられるタイヤにおいては、高強度でかつ柔軟性をもつスチールコードが求められており、その一つとして従来より1+n構成のスチールコードが使用されてきた。
【0004】
しかし、従来の1+n構成のスチールコードの横断面構造は図7に示すようにクロ−ズ撚り構造で、かつ各素線7が相互に完全に密着して隙間がないため、空洞部Sがコ−ド内部に散在している。従って、このスチールコードを2枚のゴムシートに挟んで複合体シートを形成した場合、ゴム材が上記空洞部Sまで浸入せず、ゴム材との完全な複合体を形成できない。
【0005】
それゆえ、このゴムシートをタイヤに用いた場合、釘などの異物によりゴム被覆が一部分でも破れると、外部より浸入してきた水分が上記空洞部S内に伝播し、スチールコードが全面にわたり酸化を起こす。こうなると、ゴムとスチールコードの接着力が弱くなり、両者が剥離してしまい、スチールコードの補強材としての効果が非常に弱くなってしまう。
【0006】
この問題を解決するため、図8に示すように芯素線8の径を側素線8aより太くしたものや、図9に示すように芯素線9に型付けを行ったスチールコードが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図8に示すスチールコードは、側素線と芯素線の間に空洞部がないので、水分がスチールコード内部に伝播するようなことはないが、芯素線径を太くするためコ−ド径が太くなり、ゴムシ−トの厚みが大きくなってしまう。そのため、タイヤ重量が増加し、これを自動車に用いた場合に燃費が悪くなるので好ましくない。また、芯素線8と側素線8aが常に接しているため、フレッティング磨耗による疲労値が悪い。さらには芯素線径が太いため、スチールコードの剛性が高くなり、タイヤに用いた場合に乗り心地が悪くなる等の問題がある。
【0008】
また、図9のように芯素線9にスパイラル状のくせ付けを行い、一度に寄り合わせた1+n構成のスチールコードは、芯素線9と側素線9aが常に接しているようなことはないので疲労性は改善されるが、断面形状が略真円の形状をしているため、スチールコードの剛性がどの方向に対しても同じである。従って、タイヤのコーナーリング性能を上げるために剛性を高くすると、乗り心地まで悪くなるという問題がある。さらに、図9のスチールコードは、図7のようなクローズ撚りのコードに比べてコード径が太くなり、カレンダー(ゴム被覆工程)後のゴムシートが厚くなってしまい、加えてコード径が太いためにゴムシートに所定本数のスチールコードを埋め込むことができず、シートの強力が弱くなる。従って、このゴムシートをタイヤに用いる場合、シートの重ね枚数を増やす必要が生じ、結果としてタイヤの重量が増加するという問題がある。さらに、スチールコードの製造上の点からも、図9のようにきれいに素線を空間に配置するようなスチールコードは無理で、撚りが非常に不安定となる。
【0009】
本願発明は、前記種々の従来のスチールコードの様々な問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、補強材としてタイヤに用いた場合に、スチールコード内部へのゴム浸入性がよく、タイヤ回転方向の剛性を低くしながらタイヤ回転方向と直交する方向の剛性を高めることができ、圧縮および曲げに対する疲労性が良好で、しかも製造及び取扱作業性の優れたスリールコードを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のタイヤ補強用スチールコードは、0.15mm〜0.40mmの線径を有する6本〜13本の素線を、1本をコア素線、残りの素線を側素線とし、同一方向に撚りピッチPで一度に撚り合わせたスチールコードであって、その横断面が長手方向に略同一向きで略楕円形状(長径W、短径T)であるタイヤ補強用スチールコードにおいて、コア素線がくせピッチP1 =0.1P〜0.5Pの略スパイラル状の小さいくせを有し、またそのコア素線が前記略楕円の長径軸を挟む両側にほぼ整列して配置された側素線の間に一定本数間隔または不定本数間隔で内側から割り込むように出現し、しかも前記略楕円形状の扁平率(T/Wの百分比)が38%〜60%あることを特徴とするのが第1の発明であり、この第1の発明において、コア素線が前記略楕円の長径軸を挟む両側に整列して配置された側素線の間に内側から割り込むように出現する頻度が、側素線2本〜5本間隔であることを特徴とするのが第2の発明である。なお、スチールコードの撚りピッチは後記する理由により6〜28mm程度が好ましい。また、コア素線と側素線の線径はすべて同じであってもよいが、コア素線の線径と側素線の線径を少し変えてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のスチールコードは、コア素線が側素線の間に入り込む構造であるため多数本撚りであるにもかかわらずほぼ単層撚りのような構造で、横断面が扁平度合いの大きい(扁平率T/Wは小さい)略楕円形状となる。このためスチールコードの短径方向と長径方向で大きく剛性が異なる。また、カレンダー後のスチールコードは、ゴムシートの中において長径部を左右にして長手方向に略平行に並ぶため、曲げ剛性が上下方向に低く左右方向に高い。従って、このゴムシートを用いてタイヤとなしたとき、タイヤの回転方向の剛性は低いので乗り心地がよく、タイヤ回転方向と直交する方向の剛性は高いのでコーナーリング性能を高めることが出来る。一方、コア素線が側素線の間に内側から割り込むように出現するため、その関係で出来る素線間の隙間から内部にゴムが充分に浸入する。
【0012】
また、本発明のスチールコードは横断面が略楕円形状をしているので、カレンダー時はほとんど全てのスチールコードが長径部を左右にして長手方向に略平行に並ぶため、ゴムシート厚はスチールコード短径部分に対応する厚みとなり、シートを薄くできる。そして、スチールコードの挿入本数を少なくできる。その結果タイヤの軽量化が進み、タイヤのコストダウン、自動車の燃費の改善が可能となった。さらに撚りの安定性の点においても、図9に示すようなスチールコードと比較して、撚りが安定しておりゴムシートに埋設した後でもほとんど同じ形状であり、製造上、取り扱い作業上も優れている。
【0013】
コア素線が、スチールコード横断面の略楕円の長径軸を挟む両側の側素線の間に内側から割り込むように出現する頻度は、2本〜5本間隔であることがより適当である。1本間隔とするためには、コア素線のクセが小さくなり、断線が起こりやすくなり、また1本間隔となるように製造しようとしても、コア素線が側素線間にうまく入り込まず扁平度が大きくならない結果となる。6本間隔以上とすると撚りが乱れやすくゴムの浸入も充分でなくなる。
【0014】
スチールコードの撚りピッチは6mm〜28mmが好ましい。というのは、6mm未満とすると、極度に曲げ加工量が多くなるため断線が発生しやすくなり、またスチールコードの長さ当たりの撚り回数が多くなり、生産性が落ちるからである。さらに、本発明においては、コア素線のくせピッチが撚りピッチよりさらに小さいため、撚りピッチ6mm未満は適当ではない。一方、スチールコードの撚りピッチが28mmを越えると、スチールコードの柔軟性が失われるので疲労値が低くなり、また撚りが不安定となりフレアーも発生しやすくなり、実用的でない。
【0015】
素線の線径を0.15mm〜0.40mmとしたのは、あまり細いと充分な強力が得られないからであり、逆にあまり太いとスチールコード径が大きくなってしまう。また、素線を太くするとスチールコードの柔軟性が失われ、疲労値が低くなる。この傾向は小さいくせを有する素線の存在する本発明においては、一層顕著に現れ、素線径が0.4mmを越えると実用上の障害になる。
【0016】
このスチールコードの撚りピッチをPとしたとき、くせを有するコア素線のくせピッチP1 を0.1P〜0.5Pとしたのは、P1 が0.1P未満であると、素線が極度の塑性変形を受け、断線が多発するとともに生産性が悪くなり、一方、0.5Pを越えると、コア素線としての効果が果たせず、ゴムシート成形時のゴムのフローによる引張力、あるいはコードに負荷されるしごき力によって素線間の隙間が減少し、ゴム浸入のための充分な隙間が素線間に生じなくなるからである。また、0.5Pを越えるとスチールコードの圧延が充分に出来ず、スチールコード横断面の短径Tが大きくなり、ゴムシート厚が小さく出来ない。
【0017】
スチールコードの横断面における略楕円形状の扁平率(短径Tと長径Wとの比、T/Wの百分比)を38%〜60%としたのは、38%未満とすると、撚りが不安定となると同時に各素線は長径端部での曲げ加工がきつくなり、取り扱いの作業性が悪く耐疲労性に劣る。60%を越える形状となっても撚りは不安定となり、また真円に近づくので本発明のスチールコードの効果は期待できなくなる。
【0018】
本発明においては、コア素線を側素線の内側に完全に配置するという構造をとらず、長径軸を挟む両側で、コア素線を側素線の間に内側から出現配置するようにし、最終的には一見してコア素線が存在しないほぼ単層撚りのような構造にまで扁平加工することにより本発明のスチールコードを完成することが出来た。そのため従来よりも撚りが安定し、かつ素線間に適当なる隙間を保ち、極端に大きな扁平度(扁平率T/Wの小さい)のスチールコードが得られた。
【0019】
本発明のスチールコードは、1本の素線にあらかじめ設定のくせを付けてコア素線とし、その周囲に側素線を撚り合わせた後、表面がフラットなローラー間を通過させ、かなり強い圧縮加工を施すことにより製造可能である。従来はこのような方法では、スチールコードの撚りがつぶれてしまって、コードとして欠陥品ではないかと思われていたが、スチールコードを構成する素線それぞれに適当な張力をかけて、スチールコードに一方向から強い圧縮加工を施せば簡単に製造が可能であることも解った。この場合、コア素線にあらかじめ付与するくせは、撚りあわせる素線の本数にもよるが、撚り上がった時のスチールコードでのピッチが0.1P〜0.5Pで、くせ外径が側素線径の2倍〜2.8倍程度となるように設定するとより容易に製造できる。
【0020】
本発明のスチールコードはチューブラタイプの撚り線機でも製造できるが、バンチャータイプの撚線機で製造する方が、効率が良く実用的である。いずれの場合も一工程で撚り上げることが出来る。 バンチャータイプの撚線機を用いた場合、素線に捻りが入るためあらかじめ付けたくせとスチールコードでのくせとが異なるのでその点を考慮しておく必要がある。
【0021】
上記構成のタイヤ用スチールコードを用いて、2枚のゴムシート間に挟んで加圧加硫すると、各素線間にゴムが容易に浸入し、ゴム厚も薄くできる上、曲げ剛性も上下方向より左右方向が極端に高くなる。このときのスチールコード埋設方向は、シート水平面に対してスチールコード長径部を左右方向とし、各スチールコードは長手方向に略平行に並んでいる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。図1は本発明のスチールコードの横断面を示す概略図である。このスチールコードは、略スパイラル状のくせを有する1本のコア素線1と、同じ線径の9本の側素線2とから構成されている。なお、図中D1はコア素線のくせ外径である。
【0023】
図2は、同じくコア素線1本と側素線8本とから構成された本発明のスチールコードの横断面を示す概略図である。
【0024】
図3は、同じくコア素線1本と側素線12本とから構成された本発明のスチールコードの横断面を示す概略図である。
【0025】
図4は、1本のコア素線1と6本の側素線とから構成された本発明のスチ−ルコ−ドの一実施例を示す長手方向の外観図で、(a)は概略平面図、(b)は概略正面図である。このスチ−ルコ−ドは、1本のコア素線1(このコア素線1にはあらかじめ当該スチ−ルコ−ドの撚りピッチよりも小さいピッチのくせが付けられている)の外側に、6本の側素線2が緩く撚り合わされたものであるので、図4(a)に示すように、側素線2の間には隙間が生じる構造となる。したがって、コア素線1の周囲に6本の側素線2を撚り合わせる工程が終了した時点には、この隙間(側素線間に形成された隙間)には、側素線2の内部に配置されているコア素線1が露出している構造、換言すると、この隙間を通じて、側素線2の内部に配置されているコア素線1を側素線2の外側から視検することができる構造となっている。
このスチ−ルコ−ドは、上述の通り、上記の撚り合わせ工程の後、表面がフラットなロ−ラ間を通過させ、かなり強い圧縮加工を施すことにより製造されるのであるから、この「かなり強い圧縮加工を施す加工時」に、コア素線1がかなり強い圧縮力により側素線2の間に生じている隙間に押し込まれる、換言すればコア素線1がかなり強い圧縮力により側素線2の間に生じている隙間に強制的に割り込められて、図4(a)に示すように、コア素線1が側素線の間に一定本数間隔または不定本数間隔で内側からスチ−ルコ−ドの外側にあらわれ出る状態となる。つまり、「コア素線が内側から割り込むように出現する」状態となる。
【0026】
本発明のスチールコードの特性を評価するために、素線本数N、撚りピッチP、コア素線のくせのピッチP1 、スチールコード横断面の楕円形状の短径T、長径Wを本発明の範囲内でそれぞれ変化させたスチールコードを実施例1〜4とし、それらのうちのいずれかの構成要素の数値が本発明の範囲を外れるスチールコードを比較例1〜3とし、図8に示すような横断面形状を有するスチールコードを従来例1とし、図9に示すような横断面形状を有するスチールコードを従来例2とし、各スチールコードについて、ゴム浸入率、耐疲労性、剛性比および取扱作業性について評価したところ、以下の表1に示すような結果を得た。表1に示す各項目のテスト条件、評価方法は次の通りである。
【0027】
ゴム浸入率:各スチールコードに5kgの引張加重をかけた状態でゴム中に埋め込み、加硫した後、スチールコードをゴム中から取り出し、そのスチールコードを分解して素線の一定長さを観察し、観察した長さに対してゴムと接触した形跡のある長さの比を%表示した。表中その値の大きい方がゴム浸入率が良いことを示している。
【0028】
耐疲労性:複数本のスチールコードをゴムシートに埋め込んだ複合体シートを用いて3点プーリー曲げ疲労試験機により試験し、埋設したスチールコードがフレッティング磨耗、座屈等を経て破断するに至るまでの繰り返し回数を求め、従来例2の撚り構造のスチールコードの値を100として指数表示した。表中その値が大きい方が耐疲労性に優れている。
【0029】
剛性比:図5(a)に示すように、「5本のスチールコード3を、100%モジュラスが35kg/cm2 であるゴムシート4に対して、スチールコードの横断面長径方向が横になるように一列に埋め込んだ」テストピース5と、図5(b)に示すように、「5本のスチールコード3を、同ゴムシート4に対して、スチールコードの横断面長径方向が縦になるように並列して埋め込んだ」テストピース6を製作し、図6に示すように、テストピース5または6を、スパンSp=20mmとした3点曲げ試験機に上架して、「テストピース5を5mm押さえ込んだときの加重G」/「テストピース6を5mm押さえ込んだときの加重G」を剛性比とした。
【0030】
すなわち、「スチールコードの短径軸方向の曲げ剛性」/「スチールコードの長径軸方向の曲げ剛性」を剛性比とした。表中その値の小さい方が曲げ剛性に差があることを示している。なお、テストピース5または6の厚みは4mm、幅は15mm、長さは100mmである。
【0031】
取扱作業性:作業性良好なものを〇、作業性不良のものを×、その中間程度のものを△とした。
【0032】
【表1】
【0033】
表1より以下の点が明らかである。比較例1は、コア素線のP1 が本発明の上限より大きく、コード横断面の略楕円形状の扁平率が本発明の上限より大きく、しかもコア素線が側素線の間に内側から割り込むように出現する間隔が5〜7本間隔である場合である。すなわち、コア素線のくせピッチが大きく、扁平率は本発明の上限より大きいスチールコードである。このスチールコードは、素線間の隙間が小さく、ゴム浸入に劣り、剛性比が少し劣る。
【0034】
比較例2は、コア素線のP1 は本発明の範囲に入っているが、扁平率が上限よりさらに大きい場合である。このスチールコードにおいては、コア素線が側素線の間に内側から割り込むようにして出現する現象は、はっきり確認できない。そしてこのスチールコードは、比較例1よりさらにゴム浸入に劣り、耐疲労性、剛性比、取扱作業性全て良くない。
【0035】
比較例3は、コア素線のP1 が本発明の範囲を大きく外れており、扁平率も比較例2と同程度である。また比較例2と同様コア素線が側素線の間に内側から割り込むように出現する現象は、はっきり確認できない。このスチールコードは、比較例2よりさらに良くない結果であった。
【0036】
従来例1のスチールコードは、ゴム浸入率が充分でなく、芯素線が太いので柔軟性に欠け、耐疲労性も劣り、コード径が太いのでゴムシートも厚くなる等の問題が生じた。
【0037】
従来例2のスチールコードは、横断面が楕円形状ではなくほぼ真円形状であるため、ゴムシートでスチールコードを挟んだときゴムシートの厚みを薄くすることが出来ない。また実施例1〜4のスチールコードに比べて、ゴム浸入、耐疲労性、剛性比、取扱作業性において劣っている。
【0038】
実施例1〜4のスチールコードは、上記のような欠点がなく、剛性比も小さくなっており、タイヤに用いた場合、路面からの力に対応して変形し乗り心地がよく、しかもコーナーリング時には変形しにくくなる。ただ実施例3は、間隔が1〜6本間隔であり、1本〜6本までばらついている。このため他の実施例よりほんの少しゴム侵入性と耐疲労性において劣る結果となった。
【0039】
【発明の効果】
本発明のタイヤ補強用スチールコードは、上記のとおり構成されているので、つぎの効果を奏する。
▲1▼ スチールコード長手方向のほぼ全域にわたってコード内部に密閉された空洞部がなく、かつ横断面形状の短径が極めて小さいため(いわゆる薄いため)、スチールコード内部へのゴム浸入がよい。
▲2▼ ゴムに埋め込んでシートにした際のゴムシート厚を極端に薄くできるので、タイヤ重量を小さく抑えることができ、タイヤのコストダウン、自動車の燃費向上が可能となる。
▲3▼ タイヤ回転方向の剛性を低くできるので、乗り心地を向上でき、一方、タイヤの回転方向と直交する方向の剛性を高くできるので、コーナーリング性能を高めることができる。
▲4▼ 小さいくせを有するコア素線が、横断面の略楕円形状の長径両端部に出現せず、ほぼ中央部に位置しているので、スチールコードとしての形状が非常に安定しており、かつ内部へのゴム浸入が非常によくなる。
▲5▼ 芯素線というような状態での素線が存在せず、全ての素線で単層撚りのような構造となるため、耐疲労性が良くなる。
▲6▼ 従来のチューブラ型、バンチャー型のいずれの撚線機でも製造でき、撚り不良等のトラブルもないため、取扱作業性が優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタイヤ補強用スチールコードの一実施例を示す。1+9構造のコア素線1本と側素線9本とから構成された本発明のスチールコードの横断面を示す概略図である。
【図2】本発明のタイヤ補強用スチールコードの一実施例を示す。1+8構造のコア素線1本と側素線8本とから構成された本発明のスチールコードの横断面を示す概略図である。
【図3】本発明のタイヤ補強用スチールコードの一実施例を示す。1+12構造のコア素線1本と側素線12本とから構成された本発明のスチールコードの横断面を示す概略図である。
【図4】本発明のタイヤ補強用スチールコードの一実施例を示す。1+6構造のコア素線1本と側素線6本とから構成された本発明のスチールコードの長手方向の外観説明図で、(a)は概略平面図、(b)は概略正面図である。
【図5】 3点曲げ試験に用いたテストピースを示す図で、(a)は短径方向の曲げ剛性測定用のテストピースの概略図、(b)は長径方向の曲げ剛性測定用のテストピースの概略図である。
【図6】3点曲げ試験方法を示す説明図である。
【図7】従来のクローズ撚りの1+6構造のスチールコードの断面図である。
【図8】芯素線径を太くした従来のクローズ撚りの1+6構造のスチールコードの断面図である。
【図9】芯(コア)素線に略スパイラル状の小さいくせを付けた従来の1+6構造のスチールコードの断面図である。
【符号の説明】
1・・・コア素線
2・・・側素線
3・・・スチールコード
4・・・ゴムシート
5、6・・・テストピース
d・・・素線径
D1 ・・・コア素線のくせ外径
W・・・スチールコード横断面の長径
T・・・スチールコード横断面の短径
S・・・空洞部
Claims (2)
- 0.15mm〜0.40mmの線径を有する6本〜13本の素線を、1本をコア素線、残りの素線を側素線とし、同一方向に撚りピッチPで一度に撚り合わせたスチールコードであって、その横断面が長手方向に略同一向きで略楕円形状であるタイヤ補強用スチールコードにおいて、コア素線がくせピッチP1 =0.1P〜0.5Pの略スパイラル状の小さいくせを有し、またそのコア素線が前記略楕円の長径軸を挟む両側にほぼ整列して配置された側素線の間に一定本数間隔または不定本数間隔で内側から割り込むように出現し、しかも前記略楕円形状の扁平率が38%〜60%であることを特徴とするタイヤ補強用スチールコード。
- 請求項1において、コア素線が前記略楕円の長径軸を挟む両側に整列して配置された側素線の間に内側から割り込むように出現する頻度が、側素線2本〜5本間隔であることを特徴とするタイヤ補強用スチールコード。
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