JP3156456B2 - 金属コード及びこれとゴムとの複合物 - Google Patents
金属コード及びこれとゴムとの複合物Info
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Classifications
-
- D—TEXTILES; PAPER
- D07—ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
- D07B—ROPES OR CABLES IN GENERAL
- D07B1/00—Constructional features of ropes or cables
- D07B1/06—Ropes or cables built-up from metal wires, e.g. of section wires around a hemp core
- D07B1/0606—Reinforcing cords for rubber or plastic articles
- D07B1/0646—Reinforcing cords for rubber or plastic articles comprising longitudinally preformed wires
- D07B1/0653—Reinforcing cords for rubber or plastic articles comprising longitudinally preformed wires in the core
-
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- D07—ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
- D07B—ROPES OR CABLES IN GENERAL
- D07B7/00—Details of, or auxiliary devices incorporated in, rope- or cable-making machines; Auxiliary apparatus associated with such machines
- D07B7/02—Machine details; Auxiliary devices
- D07B7/025—Preforming the wires or strands prior to closing
-
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- D07B2207/00—Rope or cable making machines
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- D07B2207/207—Sequential double twisting devices
Landscapes
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐食性及び耐疲労性に
優れたゴム物品補強用の金属コードと、これを補強材と
してゴム中に埋設して作られたタイヤ、コンベアベル
ト、高圧ホース等の複合物に関する。
優れたゴム物品補強用の金属コードと、これを補強材と
してゴム中に埋設して作られたタイヤ、コンベアベル
ト、高圧ホース等の複合物に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴム物品の補強に用いられる金属コード
は、通常、高炭素鋼線(JIS G3502ピアノ線
材)を素材として、ゴムとの接着性を付与するために表
面にブラス、銅、亜鉛などの金属めっきを施し、直径
0.1〜0.5mmまで伸線加工したものを単撚り、複
撚り、または層撚りしたものであり、自動車タイヤ、コ
ンベアベルト、高圧ホースなどの補強材として広く用い
られている。例えば、乗用車用ラジアルタイヤにはベル
ト部補強材料として4本または5本の金属フィラメント
を撚り合わされた1×4または1×5の単撚り構造の金
属コードが使用されている。
は、通常、高炭素鋼線(JIS G3502ピアノ線
材)を素材として、ゴムとの接着性を付与するために表
面にブラス、銅、亜鉛などの金属めっきを施し、直径
0.1〜0.5mmまで伸線加工したものを単撚り、複
撚り、または層撚りしたものであり、自動車タイヤ、コ
ンベアベルト、高圧ホースなどの補強材として広く用い
られている。例えば、乗用車用ラジアルタイヤにはベル
ト部補強材料として4本または5本の金属フィラメント
を撚り合わされた1×4または1×5の単撚り構造の金
属コードが使用されている。
【0003】このゴム補強用材料としての金属コードに
要求される品質特性には、ゴムとの接着性、耐食性、耐
疲労性、並びに他の種々の機械的性能(切断荷重、剛性
など)がある。これらのうち、耐食性に関しては、ゴム
中に埋設された金属コードにゴム未被覆部が存在する
と、タイヤが走行中に石や釘などを踏んで切り傷を受
け、その傷が金属コードまで達したとき、コードが傷を
伝って浸透する水分により短期間のうちに腐食し、コー
ドの切断荷重や耐疲労性が低下する。また、コードとゴ
ムとの接着性が低下し、剥離してタイヤのセパレーショ
ンによる品質トラブルを起こす恐れもある。
要求される品質特性には、ゴムとの接着性、耐食性、耐
疲労性、並びに他の種々の機械的性能(切断荷重、剛性
など)がある。これらのうち、耐食性に関しては、ゴム
中に埋設された金属コードにゴム未被覆部が存在する
と、タイヤが走行中に石や釘などを踏んで切り傷を受
け、その傷が金属コードまで達したとき、コードが傷を
伝って浸透する水分により短期間のうちに腐食し、コー
ドの切断荷重や耐疲労性が低下する。また、コードとゴ
ムとの接着性が低下し、剥離してタイヤのセパレーショ
ンによる品質トラブルを起こす恐れもある。
【0004】一般によく用いられる前述の1×4または
1×5のクローズドコードは、図6に示すような断面形
状をしており、コード中央部に空洞が存在する。このた
めに、これらの金属コードをゴム中に埋設すると、コー
ド内部にゴムが浸入せず、ゴムによる被覆がなされない
中空スペースが生じる。このような中空スペースを内部
にもつ金属コードとゴムの複合体は、水分の浸透で金属
コードの腐食や金属コードとゴム間のセパレーション等
の品質トラブルを起こすため短寿命となる。
1×5のクローズドコードは、図6に示すような断面形
状をしており、コード中央部に空洞が存在する。このた
めに、これらの金属コードをゴム中に埋設すると、コー
ド内部にゴムが浸入せず、ゴムによる被覆がなされない
中空スペースが生じる。このような中空スペースを内部
にもつ金属コードとゴムの複合体は、水分の浸透で金属
コードの腐食や金属コードとゴム間のセパレーション等
の品質トラブルを起こすため短寿命となる。
【0005】この問題を解決するために、ゴム未被覆部
を無くする金属コードの改良が試みられている。例え
ば、特開昭55−90962号では図7に示すように金
属フィラメント2相互間に隙間があるように撚り合わせ
たオープンコードが提案され、また、特公昭58−31
438号では図8に示すようにコード内部にほとんど空
洞が存在しない2(平行)+2コードが提案されて両者
ともタイヤ用の補強材料として既に実用化されている。
を無くする金属コードの改良が試みられている。例え
ば、特開昭55−90962号では図7に示すように金
属フィラメント2相互間に隙間があるように撚り合わせ
たオープンコードが提案され、また、特公昭58−31
438号では図8に示すようにコード内部にほとんど空
洞が存在しない2(平行)+2コードが提案されて両者
ともタイヤ用の補強材料として既に実用化されている。
【0006】一方、近年の環境保護の高まりから、自動
車の排ガス量を減らすための開発が種々行なわれてい
る。低燃費化は排ガス量の抑制に直結するのでこの面で
の開発は特に盛んであり、自動車用タイヤにおいても転
がり抵抗の低減や重量減の観点から、軽量化の強い要求
がある。このため、金属コードの直径を小さくし、さら
に被覆ゴムの厚さが薄くて済むようにコードの撚り構成
を簡素化する試みがなされている。例えば、特開昭62
−117893号や特開昭62−234921号には、
図2に示すように2本の金属フィラメント2を撚り合わ
せただけの非常に簡素な1×2コードが提案されてい
る。このコードは、内部に空洞が存在しないのでフィラ
メント接触部以外は埋設ゴムで被覆され、耐食性も極め
て優れているという特長を有している。また、特開平2
−229286号には、2本の金属フィラメントの撚り
合わせくせ付けの度合を適正範囲に設定することによっ
て2本の金属フィラメント間に部分的に隙間を設け、こ
れによりゴム被覆率をさらに改善して耐食性を向上させ
た1×2の改良コードが提案されている。
車の排ガス量を減らすための開発が種々行なわれてい
る。低燃費化は排ガス量の抑制に直結するのでこの面で
の開発は特に盛んであり、自動車用タイヤにおいても転
がり抵抗の低減や重量減の観点から、軽量化の強い要求
がある。このため、金属コードの直径を小さくし、さら
に被覆ゴムの厚さが薄くて済むようにコードの撚り構成
を簡素化する試みがなされている。例えば、特開昭62
−117893号や特開昭62−234921号には、
図2に示すように2本の金属フィラメント2を撚り合わ
せただけの非常に簡素な1×2コードが提案されてい
る。このコードは、内部に空洞が存在しないのでフィラ
メント接触部以外は埋設ゴムで被覆され、耐食性も極め
て優れているという特長を有している。また、特開平2
−229286号には、2本の金属フィラメントの撚り
合わせくせ付けの度合を適正範囲に設定することによっ
て2本の金属フィラメント間に部分的に隙間を設け、こ
れによりゴム被覆率をさらに改善して耐食性を向上させ
た1×2の改良コードが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記特開昭62−11
7893号や特開昭62−234921号に開示された
1×2コードは、埋設ゴムに被覆され耐食性に優れてい
るばかりでなく、最小単位の撚り本数で構成されている
ため自動車用タイヤの軽量化にも適しているが、一方で
は次の欠点を有する。即ち、実際に乗用車用タイヤにお
いて従来よく使用される1×4または1×5コードに代
えて1×2コードを使用する場合、金属コードの強力や
剛性等を考慮して撚り本数が少なくなった分を補うため
に従来よりもフィラメントの直径を大きくしたものが用
いられる。また、1×2コードは図2の(b)、(c)
からも分るように、コードの横断面をみると、金属フィ
ラメント2が水平あるいは垂直に配列された形態となっ
ており、長手方向に凹凸の大きい不均一な構造となって
いる。
7893号や特開昭62−234921号に開示された
1×2コードは、埋設ゴムに被覆され耐食性に優れてい
るばかりでなく、最小単位の撚り本数で構成されている
ため自動車用タイヤの軽量化にも適しているが、一方で
は次の欠点を有する。即ち、実際に乗用車用タイヤにお
いて従来よく使用される1×4または1×5コードに代
えて1×2コードを使用する場合、金属コードの強力や
剛性等を考慮して撚り本数が少なくなった分を補うため
に従来よりもフィラメントの直径を大きくしたものが用
いられる。また、1×2コードは図2の(b)、(c)
からも分るように、コードの横断面をみると、金属フィ
ラメント2が水平あるいは垂直に配列された形態となっ
ており、長手方向に凹凸の大きい不均一な構造となって
いる。
【0008】このようにフィラメントの直径が大きく、
また、長手方向に不均一な構造になっているとコードの
耐疲労性(曲げ疲労や圧縮疲労)が悪くなる。特に、乗
用車用タイヤのベルト部に使用した場合、急速な旋回時
に生じるタイヤベルト部のバックリング現象により金属
コードに圧縮応力が繰り返し負荷されるが、この繰り返
しバックリング現象に対する圧縮疲労性が悪いという問
題がある。
また、長手方向に不均一な構造になっているとコードの
耐疲労性(曲げ疲労や圧縮疲労)が悪くなる。特に、乗
用車用タイヤのベルト部に使用した場合、急速な旋回時
に生じるタイヤベルト部のバックリング現象により金属
コードに圧縮応力が繰り返し負荷されるが、この繰り返
しバックリング現象に対する圧縮疲労性が悪いという問
題がある。
【0009】そこで、本発明は、耐食性や軽量化に優れ
た1×2コードに代表される2本撚りコードに関し、従
来問題となっていた曲げ疲労や圧縮疲労のような耐疲労
性を改良した金属コードと、このコードを補強材料とし
て耐久性を向上させたタイヤ、コンベアベルト、高圧ホ
ース等の複合体を提供しようとするものである。
た1×2コードに代表される2本撚りコードに関し、従
来問題となっていた曲げ疲労や圧縮疲労のような耐疲労
性を改良した金属コードと、このコードを補強材料とし
て耐久性を向上させたタイヤ、コンベアベルト、高圧ホ
ース等の複合体を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに開発した本発明の金属コードは、1本の金属フィラ
メント1の周りにn(=1〜2)本の金属フィラメント
2を撚り合わせて成る1(平行)+n構造の金属コード
であって、撚り(捩れ)の生じない中心の金属フィラメ
ント1がn本の他の金属フィラメント2との撚り合わせ
状態においてコード撚りピッチよりも小さい波状のくせ
を有しており、かつこの金属フィラメント1は、周囲の
金属フィラメント2よりも太径であることを特徴とする
ものである。
めに開発した本発明の金属コードは、1本の金属フィラ
メント1の周りにn(=1〜2)本の金属フィラメント
2を撚り合わせて成る1(平行)+n構造の金属コード
であって、撚り(捩れ)の生じない中心の金属フィラメ
ント1がn本の他の金属フィラメント2との撚り合わせ
状態においてコード撚りピッチよりも小さい波状のくせ
を有しており、かつこの金属フィラメント1は、周囲の
金属フィラメント2よりも太径であることを特徴とする
ものである。
【0011】かかる金属コードは、nを1として1(平
行)+1の撚り構造にしたものが好ましい。
行)+1の撚り構造にしたものが好ましい。
【0012】また、金属フィラメント1は、撚り合わせ
前にピッチp1 =0.20〜0.75P(P=コード撚
りピッチ)、高さh1 =0.18〜0.50mmの螺旋
状の波を施し、その波が他のn本の金属フィラメントを
撚り合わせることによって変化し、変化後にピッチp=
0.21〜0.77P、高さh=0.05〜0.25m
mの範囲に収まっているものがよい。
前にピッチp1 =0.20〜0.75P(P=コード撚
りピッチ)、高さh1 =0.18〜0.50mmの螺旋
状の波を施し、その波が他のn本の金属フィラメントを
撚り合わせることによって変化し、変化後にピッチp=
0.21〜0.77P、高さh=0.05〜0.25m
mの範囲に収まっているものがよい。
【0013】さらに、この場合には、中心の金属フィラ
メント1の直径をdc、周りの金属フィラメントこの直
径をdsとしたときにdc=1.07ds〜2.50d
sの条件を満足させるとなおよい。
メント1の直径をdc、周りの金属フィラメントこの直
径をdsとしたときにdc=1.07ds〜2.50d
sの条件を満足させるとなおよい。
【0014】金属フィラメント1に施す螺旋波状のくせ
を二次元の波状のくせに置き換えても同様な金属コード
が得られる。
を二次元の波状のくせに置き換えても同様な金属コード
が得られる。
【0015】このような構造を有する本発明の金属コー
ドは、内側サプライ、外側テイクアップのいわゆるイン
・アウトタイプの二度撚り撚線機を使って製造すること
ができる。例えば、波状のくせを付ける金属フィラメン
ト1をテイクアップと反対側の位置で撚線機の外側に配
置し、くせ付けピンをフィラメントのパスライン周りに
回転させてそのピンでしごきながら螺旋波状のくせを付
ける回転波付け装置や、一対の歯車状成形型の間を通過
させて二次元の波を付ける装置で予備成形を行ってその
後に撚線機内で金属フィラメント1の周りに他のn本の
金属フィラメント2を撚り合わせ、再びテイクアップ側
で機外に出して巻取る方法を採ると効率良く製造するこ
とができる。
ドは、内側サプライ、外側テイクアップのいわゆるイン
・アウトタイプの二度撚り撚線機を使って製造すること
ができる。例えば、波状のくせを付ける金属フィラメン
ト1をテイクアップと反対側の位置で撚線機の外側に配
置し、くせ付けピンをフィラメントのパスライン周りに
回転させてそのピンでしごきながら螺旋波状のくせを付
ける回転波付け装置や、一対の歯車状成形型の間を通過
させて二次元の波を付ける装置で予備成形を行ってその
後に撚線機内で金属フィラメント1の周りに他のn本の
金属フィラメント2を撚り合わせ、再びテイクアップ側
で機外に出して巻取る方法を採ると効率良く製造するこ
とができる。
【0016】かかる金属コードを、天然ゴム、又は合成
ゴムを主体とするゴム中に補強材として埋設して作られ
るタイヤ、コンベアベルト、高圧ホース等が本発明のゴ
ム複合物であって、この複合物は、同じ2本撚りコード
を用いた従来の複合物に比べて耐久性に優れる。
ゴムを主体とするゴム中に補強材として埋設して作られ
るタイヤ、コンベアベルト、高圧ホース等が本発明のゴ
ム複合物であって、この複合物は、同じ2本撚りコード
を用いた従来の複合物に比べて耐久性に優れる。
【0017】なお、金属フィラメント1、2の表面に
は、ゴムとの接着性を良くするために、ブラス、銅、亜
鉛、或いはブラスにCo、Ni、Sn等の元素を添加し
た三元合金等の金属めっきを被覆しておくのが望まし
い。
は、ゴムとの接着性を良くするために、ブラス、銅、亜
鉛、或いはブラスにCo、Ni、Sn等の元素を添加し
た三元合金等の金属めっきを被覆しておくのが望まし
い。
【0018】
【作用】図5に示す通常の1(平行)+1の撚り構造の
金属コードを、図4に示すようなイン・アウトタイプの
二度撚り撚線機で撚り合わせると、1(平行)側の金属
フィラメント1は略コードの中心に位置し、撚り合わせ
後も図4のパスラインからも解るように、捩れが付加さ
れないため、撚り相当分の捩れが加わる周囲のフィラメ
ント2に比べて撚り減りによる強度低下が殆ど見られ
ず、高強度が維持される。しかも、コードの中心に位置
しているため、曲げ疲労試験及び圧縮曲げ疲労試験を行
うと、側線になっている金属フィラメント2が先に破断
する例が非常に多い。
金属コードを、図4に示すようなイン・アウトタイプの
二度撚り撚線機で撚り合わせると、1(平行)側の金属
フィラメント1は略コードの中心に位置し、撚り合わせ
後も図4のパスラインからも解るように、捩れが付加さ
れないため、撚り相当分の捩れが加わる周囲のフィラメ
ント2に比べて撚り減りによる強度低下が殆ど見られ
ず、高強度が維持される。しかも、コードの中心に位置
しているため、曲げ疲労試験及び圧縮曲げ疲労試験を行
うと、側線になっている金属フィラメント2が先に破断
する例が非常に多い。
【0019】そこで、発明者は、曲げに対する負荷配分
を捩れていない中心の金属フィラメント1に多く負担さ
せ、その分、金属フィラメント2の負担を軽減できない
かと考えて検討を重ねた。その結果、中心線となる金属
フィラメント1を周りの金属フィラメント2よりも太径
にすれば曲げに対する負荷配分を理想に近づけることが
でき、また、負荷配分の増える金属フィラメント1は、
コード撚りピッチより小さい波状のくせを付けておけば
曲げに対する抗力が増して疲労が抑制されるとの結論に
達し、本発明のコードを完成するに至った。
を捩れていない中心の金属フィラメント1に多く負担さ
せ、その分、金属フィラメント2の負担を軽減できない
かと考えて検討を重ねた。その結果、中心線となる金属
フィラメント1を周りの金属フィラメント2よりも太径
にすれば曲げに対する負荷配分を理想に近づけることが
でき、また、負荷配分の増える金属フィラメント1は、
コード撚りピッチより小さい波状のくせを付けておけば
曲げに対する抗力が増して疲労が抑制されるとの結論に
達し、本発明のコードを完成するに至った。
【0020】本発明の金属コードは、例えば、乗用車タ
イヤのトレッド部直下の補強材として使用しても優れた
耐久性を発揮する。トレッド部直下の補強材は、悪路で
の曲げ変形や急速旋回時のバックリング現象による座屈
変形で単純曲げ、或いは圧縮を伴う曲げを受けるので従
来のコードは破断し易かったが、本発明のコードは、そ
の破断が起こり難い。これは以下の理由による。
イヤのトレッド部直下の補強材として使用しても優れた
耐久性を発揮する。トレッド部直下の補強材は、悪路で
の曲げ変形や急速旋回時のバックリング現象による座屈
変形で単純曲げ、或いは圧縮を伴う曲げを受けるので従
来のコードは破断し易かったが、本発明のコードは、そ
の破断が起こり難い。これは以下の理由による。
【0021】即ち、従来コードで破断し易かった側線の
負荷が軽減されること及び中心線が負荷を肩代わりする
分側線を細径化できることにより金属フィラメント2に
作用する曲げ応力が小さくなって側線の耐疲労性が向上
する。
負荷が軽減されること及び中心線が負荷を肩代わりする
分側線を細径化できることにより金属フィラメント2に
作用する曲げ応力が小さくなって側線の耐疲労性が向上
する。
【0022】また、負荷配分の多い中心の太径金属フィ
ラメント1は、捩れが生じないので引張応力は側線に比
べて少し大きくなるが問題となる圧縮応力は小さくて済
み、さらに、小さく波打った部分のばね効果で外部エネ
ルギーを吸収して外部から加わる力を緩和する働きがあ
り、このため、繰り返し単純曲げや圧縮曲げに耐える機
能は太径であるにも拘らず充分に確保され、これ等のこ
とが有効に働いて早期破断が防止される。
ラメント1は、捩れが生じないので引張応力は側線に比
べて少し大きくなるが問題となる圧縮応力は小さくて済
み、さらに、小さく波打った部分のばね効果で外部エネ
ルギーを吸収して外部から加わる力を緩和する働きがあ
り、このため、繰り返し単純曲げや圧縮曲げに耐える機
能は太径であるにも拘らず充分に確保され、これ等のこ
とが有効に働いて早期破断が防止される。
【0023】さらに、特開昭62−117893号や特
開昭62−243921号に開示されている2本撚りコ
ードでは、各フィラメントが連続的に相互接触する。こ
れに対し、本発明のコードは小さい螺旋波状のくせを有
しているので、不連続な接触状態を呈しており、接触部
間においてフィラメント相互間に隙間が生じている。こ
の隙間を通してゴムの浸透が行なわれるため前2者のコ
ードに比べてゴム被覆率が良くなり、より一層の耐食性
向上を達成することができる。また、フィラメント相互
の接触部分が非常に少なくなっているのでフレッチング
摩耗が減少するという利点もある。特開平2−2292
86号には2本の金属フィラメント間に部分的に隙間を
設けてゴム被覆率を改善したオープンタイプの金属コー
ドが開示されているが、これは、本発明のように撚り合
わせ以外の小さい螺旋波状のくせを施していないので耐
疲労性が悪い。
開昭62−243921号に開示されている2本撚りコ
ードでは、各フィラメントが連続的に相互接触する。こ
れに対し、本発明のコードは小さい螺旋波状のくせを有
しているので、不連続な接触状態を呈しており、接触部
間においてフィラメント相互間に隙間が生じている。こ
の隙間を通してゴムの浸透が行なわれるため前2者のコ
ードに比べてゴム被覆率が良くなり、より一層の耐食性
向上を達成することができる。また、フィラメント相互
の接触部分が非常に少なくなっているのでフレッチング
摩耗が減少するという利点もある。特開平2−2292
86号には2本の金属フィラメント間に部分的に隙間を
設けてゴム被覆率を改善したオープンタイプの金属コー
ドが開示されているが、これは、本発明のように撚り合
わせ以外の小さい螺旋波状のくせを施していないので耐
疲労性が悪い。
【0024】また、金属フィラメントに小さい波状のく
せ付けを施したコードとして、特開平2−307994
号は、3本以上の金属フィラメントの内、少なくとも1
本のフィラメントを、一対のかみ合い状歯車の歯面間に
通してここでジグザグ状にくせ付けしたのち撚り合わ
せ、フィラメント間に設けた隙間によってゴム浸透性を
改善することを提案しているが、これは3本以上の単撚
り構造であり、軽量化指向の要求に応え難い。
せ付けを施したコードとして、特開平2−307994
号は、3本以上の金属フィラメントの内、少なくとも1
本のフィラメントを、一対のかみ合い状歯車の歯面間に
通してここでジグザグ状にくせ付けしたのち撚り合わ
せ、フィラメント間に設けた隙間によってゴム浸透性を
改善することを提案しているが、これは3本以上の単撚
り構造であり、軽量化指向の要求に応え難い。
【0025】実公昭60−6475号も、スパイラル状
にくせ付けした金属フィラメントをラッピングワイヤで
並行に束ねてフィラメント間に隙間を生じさせた安価な
金属コードを提案しているが、これは撚り合わされてい
ないので可撓性が充分ではなく、タイヤ製造時の成型性
やタイヤ走行時の乗心地性が悪くなるという欠点があ
る。また、特公昭63−63293号には、くせ付けさ
れていない2本撚りのコアの周りに螺旋状にくせ付けさ
れた6本のフィラメントを撚り合わせた2層撚り構造の
金属コードが開示されているが、このコードは撚り本数
が多いので自動車タイヤの軽量化に適さず、コスト増に
もつながる。さらに、くせ付けされていない2本撚りの
ストランドをコアとして用いているので品質的にも問題
がある。
にくせ付けした金属フィラメントをラッピングワイヤで
並行に束ねてフィラメント間に隙間を生じさせた安価な
金属コードを提案しているが、これは撚り合わされてい
ないので可撓性が充分ではなく、タイヤ製造時の成型性
やタイヤ走行時の乗心地性が悪くなるという欠点があ
る。また、特公昭63−63293号には、くせ付けさ
れていない2本撚りのコアの周りに螺旋状にくせ付けさ
れた6本のフィラメントを撚り合わせた2層撚り構造の
金属コードが開示されているが、このコードは撚り本数
が多いので自動車タイヤの軽量化に適さず、コスト増に
もつながる。さらに、くせ付けされていない2本撚りの
ストランドをコアとして用いているので品質的にも問題
がある。
【0026】本発明の金属コードは、このような問題点
をも解決し、耐疲労性や耐食性を向上させており、ゴム
物品の耐久性改善に優れた効果を奏する。
をも解決し、耐疲労性や耐食性を向上させており、ゴム
物品の耐久性改善に優れた効果を奏する。
【0027】ここで、周囲に配する金属フィラメント2
についてその組合せ本数nを1にするのが望ましいとし
たのは以下の理由による。1(平行)+2の撚り構造の
場合、中心の金属フィラメント1に小さい波状のくせが
付されていなかったり、そのくせが弱かったり(波の高
さが小さい)するとフィラメント1の太径化に限界があ
ってそれ程太くすることができず、コード強力の維持の
観点からはnを2にして3本撚コードにする必要がある
が、本発明コードのように、撚り合わせ後も中心の金属
フィラメント1が小さい波状のくせを保有している場合
には、このフィラメント1の直径を充分に太くすること
ができるので、nは1本でもコード強力を維持でき、ま
た、中心の金属フィラメントの増径でゴム補強材として
重要な曲げ剛性も維持できるため、軽量化に最適なコー
ドとなる。
についてその組合せ本数nを1にするのが望ましいとし
たのは以下の理由による。1(平行)+2の撚り構造の
場合、中心の金属フィラメント1に小さい波状のくせが
付されていなかったり、そのくせが弱かったり(波の高
さが小さい)するとフィラメント1の太径化に限界があ
ってそれ程太くすることができず、コード強力の維持の
観点からはnを2にして3本撚コードにする必要がある
が、本発明コードのように、撚り合わせ後も中心の金属
フィラメント1が小さい波状のくせを保有している場合
には、このフィラメント1の直径を充分に太くすること
ができるので、nは1本でもコード強力を維持でき、ま
た、中心の金属フィラメントの増径でゴム補強材として
重要な曲げ剛性も維持できるため、軽量化に最適なコー
ドとなる。
【0028】次に、金属フィラメント1に付す波状のく
せについて、そのピッチは規則的であることは撚り合わ
せ前後とも同じであるが、波の高さが最初大きくて撚り
合わせ過程で小さくなるためフィラメントが引き伸ばさ
れ、その分撚り合わせ前のピッチp1 よりも撚り合わせ
後のピッチpの方が若干大きくなる。これより、予備成
形のピッチp1 が大き過ぎるとコード撚り合わせ時に各
種ガイドとの摩擦抵抗などにより波が消える傾向にあ
り、耐疲労性の向上効果が下がる。また、このピッチp
1 が小さ過ぎると図4(a)の回転波付け装置を用いる
場合にはその高速化が、一方、同図(b)の二次元波付
け装置を用いる場合には歯形の精密小型化が各々必要に
なり、設備コストも合わせてコスト負担が重くなる。
せについて、そのピッチは規則的であることは撚り合わ
せ前後とも同じであるが、波の高さが最初大きくて撚り
合わせ過程で小さくなるためフィラメントが引き伸ばさ
れ、その分撚り合わせ前のピッチp1 よりも撚り合わせ
後のピッチpの方が若干大きくなる。これより、予備成
形のピッチp1 が大き過ぎるとコード撚り合わせ時に各
種ガイドとの摩擦抵抗などにより波が消える傾向にあ
り、耐疲労性の向上効果が下がる。また、このピッチp
1 が小さ過ぎると図4(a)の回転波付け装置を用いる
場合にはその高速化が、一方、同図(b)の二次元波付
け装置を用いる場合には歯形の精密小型化が各々必要に
なり、設備コストも合わせてコスト負担が重くなる。
【0029】そこで、これらの不具合を回避する上での
好ましい値として事前のくせ付けピッチp1 はコード撚
りピッチPの0.20〜0.75倍の値を選んだ。撚り
合わせ後の波のピッチpは、フィラメント1の伸びによ
りp1 より少し大きくなってコード撚りピッチPの0.
21〜0.77倍となる。
好ましい値として事前のくせ付けピッチp1 はコード撚
りピッチPの0.20〜0.75倍の値を選んだ。撚り
合わせ後の波のピッチpは、フィラメント1の伸びによ
りp1 より少し大きくなってコード撚りピッチPの0.
21〜0.77倍となる。
【0030】また、撚り合わせ後の波の高さhは、大き
くなるに従い外力に対する緩和作用も増大し、耐疲労性
向上に効果があるので、金属フィラメント間にゴムが浸
透できる隙間の大きさも併せ考慮して、その下限を0.
05mmとした。また、この波の高さhが過大であると
コード径が大きくなり、コードの撚りの均一性維持も難
しくなるので、直径が一般的な範囲にある金属フィラメ
ントを用いてコードの撚りピッチを上記の範囲に定める
ケースでの上限を0.25mmとした。
くなるに従い外力に対する緩和作用も増大し、耐疲労性
向上に効果があるので、金属フィラメント間にゴムが浸
透できる隙間の大きさも併せ考慮して、その下限を0.
05mmとした。また、この波の高さhが過大であると
コード径が大きくなり、コードの撚りの均一性維持も難
しくなるので、直径が一般的な範囲にある金属フィラメ
ントを用いてコードの撚りピッチを上記の範囲に定める
ケースでの上限を0.25mmとした。
【0031】一方、撚り合わせ前の波の高さh1 は、撚
り合わせ過程で各種ローラガイドや撚り合わせ後の伸直
ローラ等の接触によるしごきで波の高さが低くなるの
で、この低下量を見込み、撚り合わせ後に高さhを前述
の範囲に保てる値として0.18〜0.50mmの値を
選んだ。
り合わせ過程で各種ローラガイドや撚り合わせ後の伸直
ローラ等の接触によるしごきで波の高さが低くなるの
で、この低下量を見込み、撚り合わせ後に高さhを前述
の範囲に保てる値として0.18〜0.50mmの値を
選んだ。
【0032】なお、ここで云う波のピッチ及び高さは図
3に示すように定義するものであり、螺旋状の波、二次
元の波のどちらを付与する場合にも、好ましい数値限定
に関しては同じことが云える。
3に示すように定義するものであり、螺旋状の波、二次
元の波のどちらを付与する場合にも、好ましい数値限定
に関しては同じことが云える。
【0033】次に、中心の金属フィラメント1の直径d
cと、周りの金属フィラメント2の直径dsの比につい
て、好ましい数値を限定した理由を述べる。本発明の狙
いは、1(平行)+nの撚り構造でフィラメント配列の
特徴及び撚り合わせ後のフィラメントの捩れの有無など
を考慮して中心のフィラメント1と周囲のフィラメント
2に対する外力(圧縮曲げ側を主とする外力)の負荷配
分をフィラメント1、2の直径を変えて適正かつ合理的
に決めることにある。中心の金属フィラメント1は、波
付けしなくてもある程度は太径化できるが、本発明では
この金属フィラメント1の耐疲労性を波を付与して向上
させ、これによりdc/dsの比率をより大きくするこ
とを可能ならしめているので、フィラメント1の波の形
状を無視して前述の比率を定めると撚り合わせ後に波形
状を保てなくなると云った事態が生じてくる。そこで、
実験して確認した結果、波のピッチpが撚りピッチpの
0.77倍、波の高さのhが0.05mmの場合でdc
はdsの1.07倍、逆に波のピッチpが下限の0.2
P、高さが上限dsの1.07倍、逆に波のピッチpが
下限の0.21P、高さhが上限の0.25mmのとき
には前述の比率が2.50倍であると最も適正で合理的
な負荷配分になることが判った。
cと、周りの金属フィラメント2の直径dsの比につい
て、好ましい数値を限定した理由を述べる。本発明の狙
いは、1(平行)+nの撚り構造でフィラメント配列の
特徴及び撚り合わせ後のフィラメントの捩れの有無など
を考慮して中心のフィラメント1と周囲のフィラメント
2に対する外力(圧縮曲げ側を主とする外力)の負荷配
分をフィラメント1、2の直径を変えて適正かつ合理的
に決めることにある。中心の金属フィラメント1は、波
付けしなくてもある程度は太径化できるが、本発明では
この金属フィラメント1の耐疲労性を波を付与して向上
させ、これによりdc/dsの比率をより大きくするこ
とを可能ならしめているので、フィラメント1の波の形
状を無視して前述の比率を定めると撚り合わせ後に波形
状を保てなくなると云った事態が生じてくる。そこで、
実験して確認した結果、波のピッチpが撚りピッチpの
0.77倍、波の高さのhが0.05mmの場合でdc
はdsの1.07倍、逆に波のピッチpが下限の0.2
P、高さが上限dsの1.07倍、逆に波のピッチpが
下限の0.21P、高さhが上限の0.25mmのとき
には前述の比率が2.50倍であると最も適正で合理的
な負荷配分になることが判った。
【0034】なお、金属フィラメントの直径は、一般に
コードを構成するフィラメント本数、コード強力又は曲
げ剛性などを考慮して0.10〜0.50mmの範囲の
中から選ばれる。中でも、2〜3本撚り金属コードで
は、0.27〜0.35mmの範囲がよく用いられる
が、本発明の金属コードの場合、中心の金属フィラメン
ト1は、波の作用により、前述の範囲を越えて0.6m
mぐらいまでの選択が許容される。
コードを構成するフィラメント本数、コード強力又は曲
げ剛性などを考慮して0.10〜0.50mmの範囲の
中から選ばれる。中でも、2〜3本撚り金属コードで
は、0.27〜0.35mmの範囲がよく用いられる
が、本発明の金属コードの場合、中心の金属フィラメン
ト1は、波の作用により、前述の範囲を越えて0.6m
mぐらいまでの選択が許容される。
【0035】このほか、撚りを入れる金属フィラメント
2の撚りピッチも5〜20mmの範囲が好ましい。この
撚りピッチが5mm未満ではコードの生産性が低下し、
逆に20mmを越えるとコード切断時の端末ばらけや可
撓性の低下が生じる。1(平行)+nを基本とする本発
明の2〜3本撚りコードの場合、実用的には10〜16
mmの撚りピッチが適している。
2の撚りピッチも5〜20mmの範囲が好ましい。この
撚りピッチが5mm未満ではコードの生産性が低下し、
逆に20mmを越えるとコード切断時の端末ばらけや可
撓性の低下が生じる。1(平行)+nを基本とする本発
明の2〜3本撚りコードの場合、実用的には10〜16
mmの撚りピッチが適している。
【0036】
【実施例】直径0.30mmのブラスめっき金属フィラ
メント1の周りに、直径0.25mmのブラスめっき金
属フィラメント2を1本、図4(a)に示す撚線機を用
いて撚りピッチP=14mmにて撚り合わせ、図1に示
すような構造の金属コード3を作成した(実施例1)。
メント1の周りに、直径0.25mmのブラスめっき金
属フィラメント2を1本、図4(a)に示す撚線機を用
いて撚りピッチP=14mmにて撚り合わせ、図1に示
すような構造の金属コード3を作成した(実施例1)。
【0037】このコードは、機外のサプライリール5か
ら繰り出した太径の金属フィラメントを回転波付け装置
8のくせ付けピン6間に通し、ここで波の高さh1 =
0.33mm、波のピッチp1 =0.39P(5.5m
m)の螺旋波状のくせ付けを行った後、機内のサプライ
リール10から繰り出される細径金属フィラメント2を
波付けされた金属フィラメント1の周りに撚り合わせ
た。完成したコードは、金属フィラメント1の波の高さ
hが0.15mm、ピッチpが5.7mmになってい
る。また、金属フィラメント1はコードの略中心に位置
している。即ち、波付けしたこの太径金属フィラメント
1は、図1の径dの円に内接してコード撚りピッチの
0.41倍のピッチで螺旋を画き、一方、径dの円はコ
ード径を決める径Dの円と略同芯になって径dの円の周
りに金属フィラメント2がピッチPで撚り合わされた状
態になっている。
ら繰り出した太径の金属フィラメントを回転波付け装置
8のくせ付けピン6間に通し、ここで波の高さh1 =
0.33mm、波のピッチp1 =0.39P(5.5m
m)の螺旋波状のくせ付けを行った後、機内のサプライ
リール10から繰り出される細径金属フィラメント2を
波付けされた金属フィラメント1の周りに撚り合わせ
た。完成したコードは、金属フィラメント1の波の高さ
hが0.15mm、ピッチpが5.7mmになってい
る。また、金属フィラメント1はコードの略中心に位置
している。即ち、波付けしたこの太径金属フィラメント
1は、図1の径dの円に内接してコード撚りピッチの
0.41倍のピッチで螺旋を画き、一方、径dの円はコ
ード径を決める径Dの円と略同芯になって径dの円の周
りに金属フィラメント2がピッチPで撚り合わされた状
態になっている。
【0038】直径の異なるブラスめっき金属フィラメン
ト1、2を用いて直径比率の異なる金属コード(実施例
2、3)と両金属フィラメント1、2の直径は実施例1
と同じにして太径金属フィラメント1の撚り合わせ後の
波の高さhが0.04mm、波のピッチPがコード撚りピ
ッチPの0.80倍になる金属コード(比較例2)も作
った。さらに、比較例1として図2に示す従来の1×2
×0.30の撚り構造のコンパクトコード4を、また、
同一フィラメントを使用して1(平行)+1×0.30
の撚り構造をもち、かつ、中央の金属フィラメント1が
波の高さh=0.10mm、波のピッチP=0.41Pの
くせを保有するコード(比較例3)を各々用意した。
ト1、2を用いて直径比率の異なる金属コード(実施例
2、3)と両金属フィラメント1、2の直径は実施例1
と同じにして太径金属フィラメント1の撚り合わせ後の
波の高さhが0.04mm、波のピッチPがコード撚りピ
ッチPの0.80倍になる金属コード(比較例2)も作
った。さらに、比較例1として図2に示す従来の1×2
×0.30の撚り構造のコンパクトコード4を、また、
同一フィラメントを使用して1(平行)+1×0.30
の撚り構造をもち、かつ、中央の金属フィラメント1が
波の高さh=0.10mm、波のピッチP=0.41Pの
くせを保有するコード(比較例3)を各々用意した。
【0039】さらに、波の形状は上と同じく螺旋波と
し、撚り構造を1(平行)+2に、撚りピッチPを12
mmに各々変えた比較例5と実施例4、5、6を作る一
方で比較例4として1×3×0.27の撚り構造のコン
パクトコード(C、C)も用意した。
し、撚り構造を1(平行)+2に、撚りピッチPを12
mmに各々変えた比較例5と実施例4、5、6を作る一
方で比較例4として1×3×0.27の撚り構造のコン
パクトコード(C、C)も用意した。
【0040】このほか、波の種類を図4(b)の二次元
波付け装置9で波付けした二次元の波とし、フィラメン
ト直径、波の高さ及びピッチ、撚り構造については条件
を前述のものに合わせた比較例6、7及び実施例7、
8、9も作った。
波付け装置9で波付けした二次元の波とし、フィラメン
ト直径、波の高さ及びピッチ、撚り構造については条件
を前述のものに合わせた比較例6、7及び実施例7、
8、9も作った。
【0041】次に、これ等の試料を用いて、耐食性の代
用特性であるゴム中に埋設したときのゴム被覆率を測定
し、また、耐疲労性の代用特性としてコード単体での屈
曲疲労試験、並びにコードとゴムの複合体についてのコ
ード軸方向圧縮疲労試験を実施した。その結果を表1に
示す。
用特性であるゴム中に埋設したときのゴム被覆率を測定
し、また、耐疲労性の代用特性としてコード単体での屈
曲疲労試験、並びにコードとゴムの複合体についてのコ
ード軸方向圧縮疲労試験を実施した。その結果を表1に
示す。
【0042】
【表1】
【0043】同表から判るように、実施例1〜9は、比
較例3を除く他の比較例1、2及び4、7のコード比べ
てゴム浸透性がさらに完全され、ゴム被覆率が非常に良
くなっている。また、屈曲疲労試験及び圧縮疲労試験も
いずれの比較例より優れた結果が得られている。
較例3を除く他の比較例1、2及び4、7のコード比べ
てゴム浸透性がさらに完全され、ゴム被覆率が非常に良
くなっている。また、屈曲疲労試験及び圧縮疲労試験も
いずれの比較例より優れた結果が得られている。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の金属コー
ドは、コード中心にあるために圧縮曲げの影響が側線よ
りも少なく、また、撚り(捩れ)が生じないため撚り減
りによる強度低下も生じない金属フィラメント1にコー
ド撚りピッチよりも小さい波をつけ、しかもその金属フ
ィラメントの直径を側線(金属フィラメント2)よりも
太径にして外力の負荷配分を適正化し、破断し易かった
側線の負荷の軽減、細径化による耐疲労性の向上を図っ
たので、単純曲げや圧縮曲げに対する耐久性が向上し、
また、フィラメント間に生じる隙間によりゴム被覆率が
改善されるので、耐食性の向上、フレッチング摩耗の減
少にもつながると云う効果が得られる。
ドは、コード中心にあるために圧縮曲げの影響が側線よ
りも少なく、また、撚り(捩れ)が生じないため撚り減
りによる強度低下も生じない金属フィラメント1にコー
ド撚りピッチよりも小さい波をつけ、しかもその金属フ
ィラメントの直径を側線(金属フィラメント2)よりも
太径にして外力の負荷配分を適正化し、破断し易かった
側線の負荷の軽減、細径化による耐疲労性の向上を図っ
たので、単純曲げや圧縮曲げに対する耐久性が向上し、
また、フィラメント間に生じる隙間によりゴム被覆率が
改善されるので、耐食性の向上、フレッチング摩耗の減
少にもつながると云う効果が得られる。
【0045】従って、かかる金属コードをゴム中に埋設
して作られるタイヤ、コンベアベルト、高圧ホースなど
のゴム複合体も当然に耐疲労性、耐食性が高まって耐久
性が向上する。また、2本撚りコードであるので複合体
の軽量化も実現できる。
して作られるタイヤ、コンベアベルト、高圧ホースなど
のゴム複合体も当然に耐疲労性、耐食性が高まって耐久
性が向上する。また、2本撚りコードであるので複合体
の軽量化も実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属コードの一例を示す図であり、
(a)は外観を、(b)は(a)のb−b線部の断面
を、(c)は同じくc−c線部の断面を、(d)は同じ
くd−d線部の断面を各々表わす。
(a)は外観を、(b)は(a)のb−b線部の断面
を、(c)は同じくc−c線部の断面を、(d)は同じ
くd−d線部の断面を各々表わす。
【図2】従来の2本撚りコンパクトコードを示す図であ
り、(a)は外観を、(b)は(a)のb−b線部の断
面を、(c)は同じくc−c線部の断面を表わす。
り、(a)は外観を、(b)は(a)のb−b線部の断
面を、(c)は同じくc−c線部の断面を表わす。
【図3】螺旋波状又は二次元のくせ付け(波付け)を施
した金属フィラメントの平面図
した金属フィラメントの平面図
【図4】本発明の金属コードを製造するイン・アウトタ
イプの二度撚り撚線機の概念図
イプの二度撚り撚線機の概念図
【図5】1(平行)+1コードの断面図
【図6】1×5のクローズドコードの断面図(a)と、
1×4のクローズドコードの断面図(b)
1×4のクローズドコードの断面図(b)
【図7】1×5のオープンコードの断面図
【図8】2(平行)+2コードの断面図
1 小さい螺旋波状のくせ付けをした金属フィラメント 2 波状のくせ付けをしていない金属フィラメント 3 本発明の金属コード 4 従来の金属コード 5 サプライリール(機外) 6 くせ付けピン 7 くせ付け用かみ合いギヤ 8 回転波付け装置 9 二次元波付け装置 10 サプライリール(機内) 11 二度撚り撚線機(イン・アウトタイプ) 12 オーバーツイスタ 13 引取りキャプスタン 14 トラバースローラ 15 巻取りリール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI D07B 5/12 B29C 67/14 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D07B 1/06 - 1/10 D07B 5/12 B29C 70/06 B29D 30/38 B60C 9/00
Claims (6)
- 【請求項1】 1本の金属フィラメント1の周りにn
(=1〜2)本の金属フィラメント2を撚り合わせて成
る1(平行)+n構造の金属コードであって、撚り(捩
れ)の生じない中心の金属フィラメント1がn本の他の
金属フィラメント2との撚り合わせ状態においてコード
撚りピッチよりも小さい波状のくせを有しており、かつ
この金属フィラメント1は、周囲の金属フィラメント2
よりも太径であることを特徴とする金属コード。 - 【請求項2】 前記nを1として1(平行)+1構造に
してある請求項1記載の金属コード。 - 【請求項3】 前記金属フィラメント1は、周りの金属
フィラメント2を撚り合わせ前にピッチp1 =0.20
〜0.75P(P=コード撚りピッチ)、高さh1 =
0.18〜0.50mmの螺旋状の波を施したものであ
り、その波が撚り合わせによりピッチp=0.21〜
0.77P、高さh=0.05〜0.25mmに変化し
ている請求項1又は2記載の金属コード。 - 【請求項4】 金属フィラメント1に付す請求項3の螺
旋波状のくせを二次元の波状のくせに置き換え、撚り合
わせ前、撚り合わせ後の波のピッチ、高さについては請
求項3の波と同じにしてある請求項1又は2記載の金属
コード。 - 【請求項5】 中心の金属フィラメント1の直径をd
c、周りの金属フィラメント2の直径をdsとして次式
を満足させてある請求項3又は4に記載の金属コード。 dc=1.07ds〜2.50ds - 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかの金属コード
を、天然ゴム、又は合成ゴムを主体とするゴム中に補強
材として埋設して作られたタイヤ、コンベアベルト、高
圧ホース等のゴム複合物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19843093A JP3156456B2 (ja) | 1993-08-10 | 1993-08-10 | 金属コード及びこれとゴムとの複合物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP19843093A JP3156456B2 (ja) | 1993-08-10 | 1993-08-10 | 金属コード及びこれとゴムとの複合物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0754287A JPH0754287A (ja) | 1995-02-28 |
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ID=16390962
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19843093A Expired - Fee Related JP3156456B2 (ja) | 1993-08-10 | 1993-08-10 | 金属コード及びこれとゴムとの複合物 |
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JP (1) | JP3156456B2 (ja) |
-
1993
- 1993-08-10 JP JP19843093A patent/JP3156456B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH0754287A (ja) | 1995-02-28 |
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