JP4313623B2 - スチール・コード撚り線,スチール・コード撚り線を備えたベルトおよびタイヤ - Google Patents

スチール・コード撚り線,スチール・コード撚り線を備えたベルトおよびタイヤ Download PDF

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Description

この発明は,スチール・コード撚り線およびスチール・コード撚り線を備えたベルトおよびタイヤに関する。
ベルト,タイヤ等を補強するスチール・コード撚り線として,断面が円形の2本のスチール・コードを撚り合わされたものがある(例えば,特許文献1参照。)。また,近似的に矩形断面を有する複数本の金属線(スチール・コード)をそれらの平らな面を接触させて撚ってなる強化スチール・コード撚り線も提案されている(例えば,特許文献2参照。)。
特公平7−4883号公報 特開昭59−223386号公報
しかしながら,上記文献に記載のスチール・コード撚り線では,これをベルト,タイヤ等に埋設した場合,各スチール・コードの横断面が円形であれ,近似的に矩形であれ,2本または複数本のスチール・コードが接触しているから,それらの間に,ゴムが充分に浸透しにくいという問題がある。このため,スチール・コード撚り線が外力,衝撃力等を受けると,スチール・コードにはフレッチング(接触による摩耗)が生じる。またスチール・コードのゴムで表面が覆われていない部分で腐食が生じやすくなる。このようなスチール・コードの劣化によりスチール・コード撚り線の疲労寿命が低下する。すなわち,スチール・コード撚り線を埋設したベルト,タイヤ等の疲労寿命も低下する。
この発明は,ゴムまたは合成樹脂が充分に浸透するスチール・コード撚り線を提供することを目的とする。
この発明は,疲労強度があり,疲労寿命の優れたベルトおよびタイヤを提供することを目的とする。
この発明によるスチール・コード撚り線は,2本の扁平状の単線のスチール・コードが撚り合わされ,上記2本のスチール・コードのうち少なくとも1本のスチール・コードにクリンプが形成された(またはクリンプされた)ものである。クリンプとは,スチール・コードに波付けする(波形をつける,波を打たせる)ことである。
一実施態様では,2本のスチール・コードのうち,一方のスチール・コードにクリンプが形成され,他方のスチール・コードにはクリンプが形成されない。
他の実施態様では,2本のスチール・コードともクリンプが形成される。この場合に2本のスチール・コードのクリンプのピッチを同じとしても,異なるものとしてもよい。2本のスチール・コードのクリンプのピッチが同じ場合には,クリンプによる波形の位置をずらして2本のスチール・コードを撚り合わせることが好ましい。
スチール・コード撚り線を構成する2本のスチール・コードのうち少なくとも1本のスチール・コードにクリンプが形成されているので,撚り合わされたスチール・コードの間には隙間が形成される,または隙間が形成されやすくなる。このスチール・コード撚り線をゴム,合成樹脂等に埋設した場合に,スチール・コード撚り線に形成された隙間に,ゴムまたは合成樹脂が浸透(浸入,接触,付着)しやすくなる。ゴムまたは合成樹脂が隙間に充分浸透することによりスチール・コードのフレッチングおよび腐食の発生を少なくすることができる。
好ましくは,扁平状の単線のスチール・コードの扁平率は40%以上,80%以下である。扁平状の単線のスチール・コードの扁平率が40%以上,80%以下であれば,スチール・コード撚り線の長手方向における剛性をほぼ均一化でき,疲労強度が増大する。より好ましくは,扁平状の単線のスチール・コードの扁平率は40%以上,65%以下である。
好ましくは,クリンプのピッチは,スチール・コード撚り線の撚りピッチの20%以上,50%以下である。クリンプのピッチがスチール・コード撚り線の撚りピッチの20%以上,50%以下であれば,撚り合わされた扁平状のスチール・コード間に隙間を形成することができ(または隙間を形成しやすくすることができ),ゴムまたは合成樹脂が浸透しやすくなる。
この発明はまた,スチール・コード撚り線を,補強用に用いたゴムまたは合成樹脂製のベルトおよびタイヤを提供する。
この発明によるゴムまたは合成樹脂製のベルトは,ゴムまたは合成樹脂の中に上記のスチール・コード撚り線が埋め込まれているものである。
この発明によるゴムまたは合成樹脂製のタイヤは,ゴムまたは合成樹脂の中に上記のスチール・コード撚り線が埋め込まれているものである。
上記の通り,この発明によるスチール・コード撚り線は,ゴムまたは合成樹脂が浸透しやすいものであるから,このスチール・コード撚り線をゴムまたは合成樹脂の中に埋め込むことによりベルト,タイヤ等の疲労強度を増大させるとともに疲労寿命を向上させることができる。
図1は,第1実施例を示すもので,2本のスチール・コード,これらのスチール・コードを撚り合わせることにより形成されるスチール・コード撚り線,およびその4箇所の拡大断面を示すものである。
第1実施例のスチール・コード撚り線1Aは,クリンプの形成されていない扁平状の単線のスチール・コード2aと,クリンプが形成された扁平状の単線のスチール・コード2bとが撚り合わされて構成されている。
図2は,第2実施例のスチール・コード撚り線を示すもので,スチール・コード撚り線1Bは,ピッチを異ならせてクリンプが形成された(それぞれのピッチをCP1,CP2で示す)2本の扁平状の単線のスチール・コード2cと2dとが撚り合わされて構成されている。
図3は,第3実施例のスチール・コード撚り線を示すもので,スチール・コード撚り線1Cは同じピッチCP3でクリンプが形成された2本の扁平状の単線のスチール・コード2eと2fがクリンプによる波形の位置をずらして(この実施例では1/4ピッチ分ずらして)撚り合わされて構成されている。
図1から図3のいずれにおいても,作図の便宜上,スチール・コードを撚り合わせることにより形成される隙間がやや大きめに描かれている。また,各スチール・コードに形成されたクリンプの形は表現されていない。さらに,スチール・コード撚り線の4つの断面は拡大して描かれている。
この明細書において,扁平状のスチール・コードとは,その横断面を図4(A)〜(D)に示すように,横断面が矩形(方形)(正方形を除く長方形)のもの(図4(A)),横断面が矩形で角に丸みがつけられたもの(図4(B)),横断面において矩形の短辺が外方に向かって弧状に湾曲したもの(図4(C)),横断面が楕円形のもの(図4(D)),その他の扁平状のものを含む。
図4(A)〜(D)に示すように,スチール・コードの横断面の長い方の辺の方向の長さ(幅)を幅Wとし,短い方の辺の方向の長さ(厚さ)を厚さTという。スチール・コードの扁平率を[(横断面の厚さT)/(横断面の幅W)]×100(%)で定義する。また,スチール・コードの幅W方向の面Sを単に幅面という。
図5は,スチール・コード撚り線の横断面を拡大して示すものである。実線で示す横断面は,スチール・コード撚り線を長さ方向のある位置で切断して示すものであるが,他の位置を切断すると鎖線で示すように,2本のスチール・コード2a,2cまたは2eと2b,2dまたは2fが近づいたり離れたりしている(もっともスチール・コード2aにはクリンプが形成されていないから,実線,鎖線のいずれか一つの形をとる)。扁平状のスチール・コードの幅方向をスチール・コード撚り線における横断面の横(その長さまたは幅をAとする),2本のスチール・コードの外側の幅面間の距離をスチール・コード撚り線の横断面における縦(その距離,長さまたは厚さをBとする)という(2本のスチール・コードの幅面を対面させて撚った場合)。
好ましくは,扁平状の単線のスチール・コードの扁平率は40%以上,80%以下である。扁平状の単線のスチール・コードの扁平率が40%以上,80%以下であれば,スチール・コード撚り線は,その長さ方向のどの位置においても,横断面において縦Bと横Aが互いに近い値をとり,縦横比(B/A)の変動が小さい(縦横比は1に近い値をとる)。これにより,外力が加わったときに応力が一箇所または一方向に集中しにくくなり,スチール・コード撚り線の長手方向における剛性をほぼ均一化でき,疲労強度が増大する。より好ましくは,扁平状の単線のスチール・コードの扁平率は40%以上,65%以下である。
2本の扁平状の単線のスチール・コードを撚り合わせるとは,典型的には,スチール・コードの幅面を向かい合わせて(対面させて)(対向させて),ねじり合わせることであるが,撚る,ねじる,巻くおよび編むを含む。
図1〜図5に示される横断面図はいずれも,2本のスチール・コードをその幅面を対面させて撚った場合を示している。
好ましくは,クリンプのピッチ(CP,CP1,CP2,CP3)は,スチール・コード撚り線の撚りピッチ(SP)の20%以上,50%以下である。クリンプのピッチがスチール・コード撚り線の撚りピッチの20%以上,50%以下であれば,撚り合わされた扁平状のスチール・コード間に隙間を形成することができ(または隙間を形成しやすくすることができ),ゴムまたは合成樹脂が浸透しやすくなる。もっとも,クリンプが形成された扁平状のスチール・コードを撚り合わせるときに,扁平状のスチール・コードが延びそのクリンプのピッチが長くなる。
一例を挙げると,図1に示す第1実施例において,スチール・コード2a,2bの扁平率は50%である。スチール・コード2bのクリンプのピッチCPは,スチール・コード撚り線1Aの撚りピッチSPの35%である。
図2に示す第2実施例において,スチール・コード2c,2dの扁平率は50%である。スチール・コード2cのクリンプのピッチCP1は,スチール・コード撚り線1Bの撚りピッチSPの35%である。スチール・コード2dのクリンプのピッチCP2は,スチール・コード撚り線2Bの撚りピッチSPの25%である。
図3に示す第3実施例において,スチール・コード2e,2fの扁平率は50%,クリンプのピッチCP3は,スチール・コード撚り線1Cの撚りピッチSPの35%である。
スチール・コード撚り線は,2本の扁平状のスチール・コードのうち少なくとも1本のスチール・コードにクリンプが形成されていれば扁平状のスチール・コードを撚り合わせることにより,2本の扁平状のスチール・コード間に隙間ができる,またはできやすくなり,スチール・コード撚り線をゴム,合成樹脂等に埋設したときにゴム,合成樹脂が隙間に浸透しやすくなるから,2本の扁平状のスチール・コードにかかる外力,衝撃力等を緩和するとともに,2本の扁平状のスチール・コードのフレッチングおよび腐食を防止することができる。また,スチール・コード撚り線は,その横断面における縦横比が1に近い値をとり,かつ,その変動が小さいので,長手方向における剛性をほぼ均一化することができ,疲労強度を増大させることができる。
特に,図2に示す第2実施例においては,スチール・コード撚り線を構成する2本の扁平状のスチール・コード2c,2dにそれぞれ異なるピッチCP1,CP2でクリンプが形成されている。2本のスチール・コード2c,2dに形成されたクリンプのピッチCP1,CP2がそれぞれ異なるため,撚り合わされた場合にスチール・コード間に隙間が一層形成されやすい。
図3に示す第3実施例においては,スチール・コード撚り線を構成する2本の扁平状のスチール・コード2e,2fに同じピッチでクリンプが形成され,これらのスチール・コード2e,2fが,上記クリンプによる波形の位置をずらして撚り合わされる。したがって,同一ピッチのクリンプが形成された2本のスチール・コード2e,2fをその幅面を対面させて撚り合わせた場合であっても,2本の扁平状のスチール・コードがぴったりと接触し合うことが殆どなく,スチール・コード間2e,2fに隙間が形成されやすい。
具体的数値を挙げると,一般に,扁平状のスチール・コードの幅Wは0.15mm〜0.45mm,厚さは0.20mm〜0.50mm程度であるから,扁平状のスチール・コードに形成されたクリンプの大きさは,その幅面を向かい合わせて撚り合わされた2本の単線の扁平状のスチール・コードの幅面間の最も大きい距離(間隙)(間隔)(隙間)が,0.02mm以上,0.05mm以下となるように形成されていればよい。0.02mm以上であれば,ゴムが浸透しやすい。また,2本の扁平状のスチール・コード間の間隙の大きさが0.05mm以下であればスチール・コード撚り線の縦Bと比べてこの間隙を無視できる。一層好ましくは,2本の扁平状のスチール・コードの幅面間の間隙(隙間)の最大値は,0.03mm以上,0.04mm以下である。
横断面円形のスチール・コードを扁平状に形成し,さらにクリンプを形成する工程を図6に示す。
横断面が円形の単線のスチール・コード20を一対の駆動ロール4に通し,駆動ロール4により両側から圧延することにより扁平状にする。さらに,扁平状にされたスチール・コードを一対の波付加工ロール5に通す。この波付加工ロール5は,多数本のピン5bが円周上に平行に配置され,これらの両端が2枚の円盤5aの周縁によって支持されたものである。扁平状にされたスチール・コードの両幅面に波付加工ロール5のピン5bが押し当てられることによりスチール・コード20にクリンプが形成される。
クリンプが形成された扁平状の単線のスチール・コードとクリンプのない扁平状の単線のスチール・コードとを撚り合わせる,またはクリンプが形成された2本の扁平状の単線のスチール・コードを撚り合わせるには,例えば,バンチャー撚り線機が使用される。バンチャー撚り線機では,2本の扁平状のスチール・コード(少なくとも一方にはクリンプが形成されている)の幅面を合わせた状態で弧を描くように回転させながら,一緒に回転するボビンによって巻取ることにより,2本の扁平状のスチール・コードがねじり合わされる(撚り合わされる)。
表1は,スチール・コード撚り線の剛性の数値解析の結果を示すものである。
Figure 0004313623
数値解析は,3種類のスチール・コード撚り線X,Y,Zについて行った。スチール・コード撚り線Xは,径が0.28mmの円形状の横断面を有する2本のスチール・コードを撚り合わせたものである。スチール・コード撚り線Yは,横断面が0.23mm×0.31mm(扁平率が約75%)の扁平状の2本のスチール・コードを撚り合わせたものである。スチール・コード撚り線Zは,断面が0.18mm×0.36mm(扁平率が約50%)の扁平状の2本のスチール・コードを撚り合わせたものである。
スチール・コード撚り線X,Y,Zがその横断面において縦方向に力を受けた場合(図5にFbで示す力)の剛性および横方向から力を受けた場合(図5にFaで示す力)の剛性を数値解析した。剛性は,断面二次モーメントを用いて計算した。2本のスチール・コードは接触したまま,移動(または変形)しないものとした。また,縦方向に力を受けた場合の剛性についての数値解析において,スチール・コード撚り線を1本の単線のスチール・コードとみなして,スチール・コード撚り線の横断面の外接円の面積と外接円の断面二次モーメントを計算し,さらにスチール・コード撚り線の横断面積を計算した。これらの計算により求めた外接円の面積,断面二次モーメントおよびスチール・コード撚り線の横断面積から比率により2本のスチール・コードからなるスチール・コード撚り線の断面二次モーメントを求めた。
表1では,スチール・コード撚り線Xの横方向に力を受けた場合の剛性を基準(すなわち100 )として,スチール・コード撚り線Xの縦方向に力を受けた場合の剛性,スチール・コード撚り線Y,Zの縦方向に力を受けた場合の剛性,および横方向に力を受けた場合の剛性を比率でそれぞれ表した。スチール・コード撚り線Xでは縦方向の力に対する剛性は,横方向の力に対する剛性の約 3.5倍となった。これに対して,スチール・コード撚り線Yでは,縦方向の力に対する剛性は横方向の力に対する剛性の2倍以内であった。またスチール・コード撚り線Zにおいては,縦方向の力に対する剛性と横方向の力に対する剛性との差は小さい。したがって,扁平率が50%前後の場合には,スチール・コード撚り線の長手方向における剛性をほぼ均一化できることが分かる。このことは,クリンプが形成された2本のスチール・コードからなるスチール・コード撚り線の場合にも当てはまる。
図7は,3ロール疲労試験の様子を示すものである。
3ロール疲労試験は,一直線上に配置された駆動ロール6,8と,これらの駆動ロール6,8の間で上記一直線から外れた位置に配置された駆動ロール7の合計3つの駆動ロールを用い,これらの駆動ロール6,7,8間に試験体10を掛け,3つの駆動ロール6,7,8を同時に上記一直線方向に往復移動させて行う。駆動ロール6,7および8は径が25.4mmで上記一直線方向に等間隔で移動可能に配置されている。中央の駆動ロール7は,両側の駆動ロール6および8の半径の長さに相当する距離,上記一直線から外れて設置されている。3つの駆動ロール6,7および8は速度 330Hzで往復移動し,1ストロークは85mmである。試験体10の一端は固定され,他端には重り9により張力が加えられている。重り9は後述する試験体10に埋設されたスチール・コード撚り線の破断荷重×0.1 の重量を有する。
図8に試験体の断面図の一例(スチール・コード撚り線1Aまたは1Cが埋設されたもの)を示す。3ロール疲労試験に用いる試験体10は,縦6mm×横10mmの矩形断面を有する全長 450mmのゴム体であり,その内部中央には,構成の異なるスチール・コード撚り線が埋設されている。試験体は,5種類あり,それらに埋設されたスチール・コード撚り線は次の(i)〜(v)の通りである。
(i) 断面が円形の2本のスチール・コードを撚り合わせたものである。これを従来例1とする。
(ii)2本の扁平率75%の単線のスチール・コードを撚り合わせたものである。これを従来例2とする。
(iii) 第1実施例のスチール・コード撚り線1Aと同じ構成を有し,扁平率が75%の単線のスチール・コード(クリンプなし)と扁平率75%のクリンプが形成されたスチール・コードとを撚り合わさせたものである。
(iv)第3実施例のスチール・コード撚り線1Cと同様の構成を有し,スチール・コードの扁平率が75%のものである。
(v) 第3実施例のスチール・コード撚り線1Cと同様の構成を有し,スチール・コードの扁平率は50%である。
Figure 0004313623
表2に,上記の5種類の試験体について,スチール・コード撚り線の差渡し長さ(mm),撚りピッチ(mm),クリンプ・ピッチ(mm),単位重量(g/m),破断荷重(N),スチール・コード撚り線を構成する2本のスチール・コードのコンタクト率(%)および3ロール疲労試験の結果(%)を示した。差渡し長さとは,スチール・コード撚り線の横断面における縦方向の幅(または厚さもしくは径)の平均値である。表2中で差渡し長さの欄の括弧内に表記した値は,従来例1のスチール・コード撚り線の差渡し長さを基準(すなわち100 )として,他のスチール・コード撚り線の差渡し長さをそれぞれ比率で表したものである。同様に,破断荷重の欄の括弧内に表記した値は,従来例1のスチール・コード撚り線の破断荷重を基準(すなわち100 )として,他のスチール・コード撚り線の破断荷重をそれぞれ比率で表したものである。
スチール・コードのコンタクト率は,スチール・コード撚り線を構成する2本のスチール・コードが互いに接触している部分が,全長のうちのどのくらいの割合であるかを示すもので,試験体のゴムとスチール・コード撚り線とを分離して目視で計測し,百分率で表わしたものである。実施例1,3のスチール・コード撚り線1A,1Cは,従来例1または2のスチール・コード撚り線よりもスチール・コードのコンタクト率が小さい。すなわち,間隙が多く存在し,ゴムが浸透しやすいといえる。
3ロール疲労試験は,従来例1のスチール・コード撚り線が埋設された試験体が破断するまでの総ストローク数を基準(すなわち100 )として,他のスチール・コード撚り線が埋設された試験体が破断するまでの総ストローク数を比率(小数点以下切り捨て)でそれぞれ表わしたものである。3ロール疲労試験の結果,(iii) および(iv)(実施例1および3)のスチール・コード撚り線が埋設された試験体は,従来例1および2のスチール・コード撚り線が埋設された試験体に比べて,破断するまでの総ストローク数が約10%上がっている。さらに,(v) (実施例3)のスチール・コード撚り線が埋設された試験体は,従来例1および2のスチール・コード撚り線が埋設された試験体に比べて,破断するまでの総ストローク数が約20%上がっている。
以上のことから,クリンプ加工された2本の扁平状スチール・コードからなるスチール・コード撚り線(iii),(iv),(v)は,スチール・コードのコンタクト率が小さく,扁平状のスチール・コード間に形成された隙間にゴムが浸透しやすい。スチール・コードの隙間に充分にゴムが浸透することにより,外力および衝撃力等を緩和するとともに2本のスチール・コードのフレッチングを防止できるので,スチール・コード撚り線の疲労寿命が増大することを確認できた。
図9は,2本のクリンプが形成された扁平状のスチール・コードにより構成されたスチール・コード撚り線が埋設されたタイヤの断面図を示し,図10は,そのタイヤに用いられるベルトの斜視図を示す。
タイヤ40は,タイヤ40の骨格となるカーカス42が第3実施例のスチール・コード撚り線1Cと同様の構成を有する複数本のスチール・コード撚り線により構成されている。カーカス42の両端は,環状のビード43に連結されている。ゴム層のトレッド部44とカーカス43の間には,2つのベルト41a,41bが設けられている。
ベルト41a,41bには,複数本の第3実施例のスチール・コード撚り線1Cが一定間隔でかつベルト41a,41bの長手方向に対して斜めに埋め込まれている。ベルト41aに埋め込まれているスチール・コード撚り線1Cと,ベルト41bに埋め込まれているスチール・コード撚り線1Cとは斜めの向きが逆になっている(図10参照)。
図11は,ゴムまたは合成樹脂の中に第3実施例のスチール・コード撚り線を埋め込んだベルトの斜視図である。複数本のスチール・コード撚り線1Cは,ベルト50の長手方向に沿って埋め込まれている。
クリンプが形成された2本の扁平状のスチール・コード(1本はクリンプなしでもよい)からなるスチール・コード撚り線は,2本の扁平状のスチール・コード間にゴムまたは合成樹脂が充分浸透することにより外力,衝撃力を緩和するとともに扁平状のスチール・コードの劣化を防止する。すなわち,ゴムまたは合成樹脂の中に埋め込まれたスチール・コード撚り線の疲労寿命が向上する。したがって,上記のスチール・コード撚り線をゴムまたは合成樹脂の中に埋め込むことによりベルト,タイヤ等の疲労強度を増大させるとともに疲労寿命を向上させることができる。
第1実施例のスチール・コード撚り線の構成を示すものであり,2本のスチール・コードと,これにより構成されるスチール・コード撚り線と,その4箇所の拡大断面図を示す。 第2実施例のスチール・コード撚り線の構成を示すものであり,2本のスチール・コードと,これにより構成されるスチール・コード撚り線と,その4箇所の拡大断面図を示す。 第3実施例のスチール・コード撚り線の構成を示すものであり,2本のスチール・コードと,これにより構成されるスチール・コード撚り線と,その4箇所の拡大断面図を示す。 (A),(B),(C),(D)はそれぞれ横断面形状の異なるスチール・コードの拡大横断面図である。 スチール・コード撚り線の横断面を拡大して示すものである。 スチール・コードを扁平にし,クリンプを形成する工程を示すものである。 3ロール疲労試験の様子を示すものである。 3ロール疲労試験の試験体の拡大断面図である。 クリンプが形成された2本の扁平状スチール・コードからなるスチール・コード撚り線が埋設されたタイヤの断面図である。 タイヤ内に埋設されたベルトを示す斜視図である。 クリンプが形成された2本の扁平状スチール・コードからなるスチール・コード撚り線が埋設されたベルトの斜視図である。
符号の説明
1A,1B,1C スチール・コード撚り線
2a 扁平状のスチール・コード
2b,2c,2d,2e,2f クリンプが形成された扁平状のスチール・コード
40 タイヤ
41a,41b,50 ベルト

Claims (3)

  1. 2本の扁平状の単線のスチール・コードにそれぞれ異なるピッチでクリンプが形成され,
    上記2本のクリンプが形成された扁平状の単線のスチール・コードがその幅面を向かい合わせて撚り合わされ,
    上記単線のスチール・コードの扁平率は40%以上,80%以下であり,上記クリンプのピッチは,撚りピッチの20%以上,50%以下であるスチール・コード撚り線。
  2. ゴムまたは合成樹脂の中に上記請求項1に記載のスチール・コード撚り線が埋め込まれている,ゴムまたは合成樹脂製のベルト。
  3. ゴムまたは合成樹脂の中に上記請求項1に記載のスチール・コード撚り線が埋め込まれている,ゴムまたは合成樹脂製のタイヤ。
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