JP2007191813A - スチールコードおよび自動車用タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】十分なゴム侵入性と優れた耐疲労性とを有する単層撚りのゴム製品補強用スチールコードおよび該スチールコードを補強材に使用した自動車用タイヤを提供する。
【解決手段】1×nのスチールコード10の少なくとも1本の素線11を予め小さなスパイラル状又は波状にくせ付けした素線とし、撚りほぐした後のくせ付け素線11の投影面における軌跡とコード撚りのためのスパイラルくせの基準線(正弦波)との乖離巾Lと素線径dとの比率L/dが素線全周角で0.7を超える箇所が存在せず、0.07〜0.7の範囲内である箇所が撚りスパイラル1ピッチ当たり2箇所以上存在するようコード外周からの突出量を調整する。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車用タイヤ等のゴム製品の埋設補強材として使用されるスチールコード、特に、十分なゴム侵入性と優れた耐疲労性とを兼ね備えたスチールコード、および該スチールコードを使用した自動車用タイヤに関する。
自動車用タイヤ、コンベアベルト等のゴム製品の補強用に使用するスチールコードとして、例えば、3〜6本の素線(スチールフィラメント)を単層稠密に撚り合わせたクローズド撚り構造(所謂クローズタイプ)のものが従来からよく使用されている。このスチールコードは、複数本が平行に引き揃えられてゴム材で被覆されて複合体シートに成形された後、ゴム製品に埋設されるもので、3本のスチールフィラメントを撚り合わせたものを、1×3構造といい、その他、素線数に応じて、1×4、1×5、1×6構造という。図3は、コード撚りのためのスパイラルくせ以外はくせ付けを有しない真直性のある3本の素線を撚り合わせてなる通常の1×3構造のクローズタイプのスチールコード(クローズコード)の断面図である。通常のクローズコードは、図3に示すように素線同士が略密着し、コード断面の外径が略円形を呈する。図3において、20はスチールコード、21,22,23は各素線、20Aはコード外接円を示している。
ところが、このようなクローズタイプのスチールコードは、コード内部に長手方向に連続する密閉された空隙S2があり、スチールコードをゴム材で被覆して複合体シートを成形する時に、そのコード内部の空隙S2はゴム材が侵入しないでそのまま空隙として残る。そして、その空隙は、タイヤ成形工程等のゴム加硫加圧時に、コード表面を取り巻くゴムがコード内部に侵入することによって減少はするが、完全にゴムで埋まることはなく、コード中心を長手方向に延びるストロー状の中空部となって残ってしまう。そして、その中空部には、ゴム材より生起したガスが凝縮した結果生じた湿気や、外部の傷口等から浸入した水分等が浸透していき、その結果、コード内部から腐食が進んで、スチールコードの強度が低下するとともに、スチールコードとゴム材との接着性が低下して、スチールコードとゴム材とが剥離する、いわゆるセパレーション現象を起し、それが製品寿命を著しく縮める要因となっていた。
また、コード内部にゴム材が侵入するよう各素線間に隙間を設けながら単層に撚り合わせた、撚りの甘いオープン撚り構造(所謂オープンタイプ)のスチールコードも考えられ、従来から使用されている。しかし、オープン撚り構造のスチールコードは、コード内部にゴム材を十分侵入させるには各素線間の隙間を大きく(少なくとも0.01mm以上)とる必要があり、隙間が大きいと、各素線の移動できる自由空間が大きくなるため、素線の片寄り等が生じ、撚りが長手方向に不均一になって、繰り返し曲げ応力が加わった場合に座屈を生じ易くなり、また、極低荷重での伸びが大きいため、取扱作業性が悪いばかりでなく、複合体シート成形時に張力が加わることにより隙間が減少してしまって、コード内部へゴム材が十分に侵入しない場合がある。
そこで、コード撚りのためのスパイラルくせとは別に小さなスパイラル状又は波状のくせを有する素線と、コード撚りのためのスパイラルくせ以外はくせ付けを有しない真直性のある素線とを撚り合わせてなる単層撚りのスチールコードが開発されている(例えば、特許文献1、2等参照。)。図4は、コード撚りのためのスパイラルくせとは別に予め小さなスパイラル状のくせを付けた素線1本と、コード撚りのためのスパイラルくせ以外はくせ付けを有しない真直性のある素線2本とを堅く撚り合わせてなる1×3構造のスチールコードの断面図であり、図5は、コード撚りのためのスパイラルくせとは別に予め小さな波状のくせを付け素線1本と、コード撚りのためのスパイラルくせ以外はくせ付けを有しない真直性のある素線2本とを堅く撚り合わせてなる1×3構造のスチールコードの断面図である。図4において、30はスチールコード、31,32,33は各素線、30Aはコード外接円を示している。また、図5において、40はスチールコード、41,42,43は各素線、40Aはコード外接円を示している。これらのスチールコードは、大半の撚り部分で素線同士が略密着するが、一部素線の小さなスパイラル状又は波状のくせによって、一部素線に予め小さなスパイラルくせを付けて撚り合わせたコードでは、くせ付けした素線31の見掛けの外径線31Aが図4に示すように他の素線32,33より径の大きい略円形となり、一部素線に予め波状くせを付けて撚り合わせたコードでは、くせ付けした素線41の見掛けの外径線41Aが図5に示すように略楕円状あるいは長丸状になって、いずれも、撚り合わせた状態で素線間に密閉されない隙間S3,S4ができる。
特公平7−68673号公報 特許第3179915号公報
単層撚りのスチールコードは、上記のようにコード撚りのためのスパイラルくせとは別に小さなスパイラル状又は波状のくせを有する素線と、コード撚りのためのスパイラルくせ以外はくせ付けを有しない真直性のある素線とを撚り合わせた構成とすることで、撚り自体は稠密であっても、一部素線の小さなスパイラル状又は波状のくせによって、撚り合わせた状態で素線間にゴム材を侵入させる隙間ができ、かつ、ゴム材との複合体シート成形時に加えられる張力に対し、真直性のある素線の抗力によりスチールコードの伸びを抑え、小さなスパイラル状又は波状のくせが消滅するのを防ぐことができて、コード内部にゴム材が十分に侵入するだけの隙間を素線間に保持することが可能になり、また、撚り自体は稠密として極低荷重での伸びを抑え、取扱作業性を改善するとともに、コード長手方向の撚りを安定させ、繰り返し曲げ応力によっても容易に座屈を生じない耐疲労性に優れたスチールコードとすることが可能になると考えられる。
しかしながら、このように小さなスパイラル状又は波状のくせを有する素線と真直性のある素線とを撚り合わせて単層撚りとしたスチールコードは、小さなスパイラル状又は波状にくせ付けした素線の外径部の一部がコード外径(外接円)より突出することがあり、外力(曲げ力、引っ張り力、せん断力)による負荷がかかると、その突出した部分に応力が集中し、これが起点となって疲労破断が起こる可能性がある。
また、このような小さなスパイラル状又は波状のくせを有する素線と真直性のある素線とを撚り合わせた単層撚りの従来のスチールコードは、コード撚りのためのスパイラルくせとは別の、撚り合わせ前の素線のスパイラル状又は波状のくせが素線長手方向に略一定のピッチで、且つ、略均一のくせ付け高さで設けられているため、例えば複合体シート成形時に張力が加わると、隙間が全て同じように減少してしまい、くせ付け高さが小さい場合や、張力が高いレベルである場合など、隙間が多数あっても、それら全てなくなって、コード内部にゴム材が全く侵入しないことがある。そして、この問題を解決するために、くせ付け高さを大きくすると、図4および図5に示すように、小さなスパイラル状又は波状にくせ付けした素線の一部がコード外接円より突出する量が大きくなり、大きな突起が長手方向に不連続にできて、その突起に応力が集中し、ここが起点となって疲労破断が起こる可能性が高まる。また、このような長手方向に不連続に大きな突起ができると、ゴム製品加工のカレンダー工程においてローラ表面或いは固定バー表面でコードがローラと沿わずに振動し、それがコードの並びを長手方向に不均一とする原因となるばかりか、コードがローラから外れるといった事故の原因となる場合がある。
本発明はこうした問題を解決するためのもので、十分なゴム侵入性と優れた耐疲労性とを有する単層撚りのゴム製品補強用スチールコードおよび該スチールコードを補強材に使用した自動車用タイヤを提供することを目的とする。
本発明のスチールコードは、n本(n=3〜6)の素線を撚り合わせてなる単層撚りで、少なくとも1本の素線がコード撚りのためのスパイラルくせとは別の小さなスパイラル状又は波状のくせを有するスチールコードであって、スパイラル状又は波状のくせを有する素線は、スチールコードを撚りほぐした後の素線を水平に配置し水平面に投影したときの投影面において素線の軌跡とコード撚りのためのスパイラルくせの正弦波状の基準線との該基準線の接線に垂直な直線上における乖離巾L(mm)と素線径d(mm)との比率L/dが0.7を超える箇所が該素線を水平面上で回転させ素線全周にわたり角度を変えて投影した軌跡のいずれにおいても存在せず、且つ、スパイラル状又は波状のくせを有する素線の少なくとも1本は、比率L/dが該素線を水平面上で回転させ素線全周にわたり角度を変えて投影した軌跡のいずれかにおいて0.07〜0.7の範囲内である箇所が、コード撚りのためのスパイラルくせの1ピッチ当たり2箇所以上存在することを特徴とする。
小さなスパイラル状のくせとは、三次元的な螺旋状のくせであり、波状のくせとは、螺旋を投影した形状の二次元的なくせであり、いずれもコード撚りのためのスパイラルくせより小さいくせであって、同等の効果を有する。また、スパイラル状のくせの方向は、コード撚り方向と同じでもよいし、逆方向でもよい。
このスチールコードは、大半の撚り部分で素線同士が略密着するように堅く撚り合わせることにより、低荷重伸度をクローズコードと同水準の低い値とすることができるとともに、n本(n=3〜6)の素線のうちの少なくとも1本の素線がコード撚りのためのスパイラルくせとは別に小さなスパイラル状又は波状のくせを有し、そのスパイラル状又は波状のくせを有する素線の少なくとも1本が、スチールコードを撚りほぐした後の該素線を水平に配置し水平面に投影したときの投影面において該素線の軌跡とコード撚りのためのスパイラルくせの正弦波状の基準線との該基準線の接線に垂直な直線上における乖離巾L(mm)と素線径d(mm)との比率L/dが該素線を水平面上で回転させ素線全周にわたり角度を変えて投影した軌跡のいずれかにおいて0.07〜0.7の範囲内である箇所が、コード撚りのためのスパイラルくせの1ピッチ当たり2箇所以上存在することにより、撚り合わせた状態で素線間にゴム材を侵入させる隙間ができて、例えばゴム材との複合体シート成形において張力が負荷されたときの負荷に対する抗力の低下を小さくし、スチールコードの伸びを抑え、小さなスパイラル状又は波状のくせが消滅するのを防いで、コード内部にゴム材が十分に侵入するだけの隙間を素線間に保持することができ、また、L/dが0.7を超える箇所が該素線を水平面上で回転させ素線全周にわたり角度を変えて投影した軌跡のいずれにおいても存在しないことにより、くせ付けした素線の外径部の一部がコード外径より大きく突出し応力が集中することによる疲労破断を防止することができるとともに、ゴム製品加工のカレンダー工程においてローラ表面或いは固定バー表面でコードがローラと沿わずに振動するのを防止して、コードの並びが長手方向に不均一となったり、コードがローラから外れるといった事故が発生しないようにすることができ、コード長手方向に撚りの形状を安定させ、繰り返し曲げ応力によっても容易に座屈を生じない耐疲労性に優れたものとすることができる。
L/dが0.07より小さいと、コード中心部へのゴム侵入性が低下する。また、L/dが0.7を越えると、コード外周部の突起が大きくて、耐疲労性が低下するとともに、ゴム製品加工のカレンダー工程においてローラ表面或いは固定バー表面でコードがローラと沿わずに振動し、コードの並びが長手方向に不均一となったり、コードがローラから外れるといった事故が発生しやすくなる。また、L/dが素線を水平面上で回転させ素線全周にわたり角度を変えて投影した軌跡のいずれかにおいて0.07〜0.7の範囲内である箇所が、コード撚りのためのスパイラルくせの1ピッチ当たり1箇所しかないと、隙間が少なすぎて十分なゴム侵入性が得られない。
また、このスチールコードの、スパイラル状又は波状のくせを有する素線の少なくとも1本は、該スパイラル状又は波状のくせが、スチールコードを撚りほぐした後の素線を水平に配置し水平面に投影したときの投影面において素線長手方向に不規則かつ不均一に存在するのがよい。このように、スパイラル状又は波状のくせが、不規則かつ不均一に存在することにより、例えば複合体シート成形時に張力が加わっても、コード長手方向の各位置で隙間の減少度合が異なり、引っ張り応力や曲げ応力が大きくても全ての隙間がなくなるということはなくて、安定したゴム侵入性が得られる
このスチールコードは、例えば自動車用タイヤのゴム中に埋設する補強材として好適である。
以上のとおり、本発明によれば、十分なゴム侵入性と優れた耐疲労性とを有する単層撚りのゴム製品補強用スチールコードおよび該スチールコードを補強材に使用した自動車用タイヤが得られる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態の一例のスチールコードの断面図、図2は、該スチールコードを撚りほぐした後のくせ付け素線を水平に配置し水平面に投影したときの投影面における素線の軌跡を示す図である。
この実施の形態のスチールコードは、図1に示すように、例えば3本の素線11,12,13(フィラメント)を撚り合わせてなる1×3構造のスチールコード10で、1本の素線11は、コード撚りのためのスパイラルくせとは別の小さなスパイラル状のくせ又は波状のくせを有する素線とし、他の2本の素線12,13は、コード撚りのためのスパイラルくせ以外はくせ付けを有しない真直性のある素線(ノーマルフィラメント)として、それらを大半の撚り部分で素線同士が略密着するように堅く撚り合わせることにより形成している。ここで、小さなスパイラル状のくせとは、三次元的な螺旋状のくせのことである。スパイラル状のくせの方向は、コード撚り方向と同じでもよいし、逆方向でもよい。また、波状のくせとは、螺旋を投影した形状の二次元的なくせのことである。これらスパイラル状又は波状のくせは、好ましくは、素線長手方向に不規則かつ不均一に形成される。素線11,12,13の直径(素線径)は、例えば0.20〜0.38mmである。
そして、スチールコード10を撚りほぐした後の各素線11,12,13の内、コード撚りのためのスパイラルくせ以外はくせ付けを有しない真直性のある素線12,13は、水平に配置し水平面に投影したときの投影面における軌跡が正弦波状である。また、コード撚りのためのスパイラルくせとは別の小さなスパイラル状のくせ又は波状のくせを有する素線11は、図2に実線で示すように、正弦波状の基準線10Bに沿って不規則に乖離しつつ屈折の無い滑らかな曲線の凹凸を描く波形状を呈する。
このスチールコード10は、大半の撚り部分で素線同士が略密着するが、くせ付け素線11の小さなスパイラル状又は波状のくせによって、くせ付けした素線11の見掛けの外径線11Aが他の素線12,13より径の大きい略円形や、略楕円状あるいは長丸状になって、撚り合わせた状態で素線間に密閉されない隙間S1ができる。
そして、このスチールコード10は、3本の素線11,12,13を撚り合わせた後、複数個のローラを千鳥状に配置した矯正機に通すことによって、コード外周部の突起を押える。その際、繰り出しテンション、巻取りテンション、ローラ径、ローラピッチ、押圧力等を調整することにより、図2に示すように、スチールコード10を撚りほぐした後のくせ付け素線11を水平に配置し水平面に投影したときの、投影面Tにおいて該素線11の軌跡11Bとコード撚りのためのスパイラルくせの正弦波状の基準線10Bとの該基準線10Bの接線に垂直な直線上における乖離巾L(mm)と素線径d(mm)との比率L/dが0.7を超える箇所が該素線11を水平面上で回転させ素線全周にわたり角度を変えて投影した軌跡のいずれにおいても存在せず(すなわち、素線全周角で0.7を超える箇所が存在せず)、且つ、L/dが該素線を水平面上で回転させ素線全周にわたり角度を変えて投影した軌跡のいずれかにおいて0.07〜0.7の範囲内である箇所が、コード撚りのためのスパイラルくせ(撚りスパイラル)の1ピッチ当たり2箇所以上存在するように、コード外周部の突起の突出量が調整される。
ただし、この突出量の調整は、他に、撚られたコードをダイスに通したり、予めくせ付けした素線をローラ矯正機に通してから撚り合わせるようにしても可能である。
このスチールコード10は、例えば自動車用タイヤの補強材としてカーカスとトレッドの間の補強層(ブレーカあるいはベルト)の外層部に埋め込まれるもので、その場合、周囲に未加硫ゴムを被覆してゴム材との複合体シートに成形し、タイヤ補強材としてタイヤ成形時にタイヤ本体のゴムに埋め込む。その際、スチールコード10周囲に未加硫ゴムを被覆すると、未加硫ゴムは、くせ付けした素線11と真直な素線12,13との間の隙間S1から侵入し、タイヤ成形時に加硫化されてコード内部に浸透する。そして、スチールコード10は、予めくせ付けした素線11のコード外接円10Aからの突出量が上記のように調整されることにより、例えばゴム材との複合体シート成形において張力が負荷されたときの負荷に対する抗力の低下は小さくて、スチールコード10の伸びが抑えられ、小さなスパイラル状又は波状のくせが消滅することはなくて、コード内部にゴム材が十分に侵入するだけの隙間が保持され、また、くせ付けした素線11の突出部分を起点とする疲労破断が生じ難くなり、コード長手方向に撚りの形状が安定し、繰り返し曲げ応力によっても容易に座屈を生じない耐疲労性に優れたものとなる。
そして、このスチールコード10は、予めくせ付けする素線11のスパイラル状又は波状のくせを、スチールコード10を撚りほぐした後の素線11を水平に配置し水平面に投影したときの投影面において素線長手方向に不規則かつ不均一に存在するよう形成することにより、複合体シート成形時のゴム侵入性が安定する。
なお、図示の例では、スチールコードを構成する3本の素線のうちの2本の素線を、真直性を有する素線とし、1本の素線を小さなスパイラル状又は波状のくせを有する素線としているが、小さなスパイラル状又は波状のくせを有する素線は、スチールコードを構成する素線のうちの少なくとも1本であればよく、複数本でもよい(全部でもよい)。そして、スパイラル状又は波状のくせを有する素線が複数本の場合、その複数本の素線の全てについて上記のように突出量を調整するのがよい。
また、図示の例は、1×3構造の場合であるが、本発明は、1×4、1×5および1×6構造のスチールコードにも同様に適用できる。
表1は、表面にブラスメッキを施した複数本の素線を撚り合わせた1×3構造、1×4構造、1×6構造の各種構成のスチールコードの試作品の試験結果を、1×3、1×4、1×6の各構造別に示したものである。
表1において、「乖離巾L」は、スチールコードを撚りほぐした後の波状くせ付け素線を水平に配置し水平面に投影したときの投影面において該素線の軌跡とコード撚りのためのスパイラルくせの正弦波状の基準線との該基準線の接線に垂直な直線上における乖離巾であって、最大乖離部の値を示している。また、「凹凸数」は、乖離巾L(mm)と素線径d(mm)との比率L/dが0.07〜0.7の乖離のある箇所の、撚りスパイラル1ピッチ当たりの個数を示している。また、「突出量」は、くせ付け素線の外径の一部がコード外周部から突出する量であって、その最大値の2倍を示している。
そして、「ゴム侵入性(%)」は、各スチールコードに49Nの引張荷重をかけた状態でゴムに埋設し、加硫(180℃、20分)した後、スチールコードをゴムから抜きとって、素線を引き剥がし、素線全周を観察して、ゴム材と接触した面積率を測った結果を示している。
また、「疲労値」は、ハンター式疲労試験において、コードを略U字形状に曲げた状態で連続回転させ(この時、コードの最大曲率点に150Kg/mm2の応力がかかるように曲げの形状を設定)、最大曲率点付近が破断するまでの総回転数で示したものである。
1×3構造では、本発明コード(実施例)は、素線径dが0.25mm、くせ付け素線の本数が1本、最大乖離部の乖離巾Lが0.10mmで、そのL/d値が0.40、1ピッチ当たりの凹凸数が2、コード径が0.54mm、突出量の最大値の2倍が0mmのスチールコードと、素線径dが0.25mm、くせ付け素線の本数が1本、最大乖離部の乖離巾Lが0.18mmで、そのL/d値が0.72、1ピッチ当たりの凹凸数が2、コード径が0.55mm、突出量の最大値の2倍が0.01mmのスチールコードと、素線径dが0.25mm、くせ付け素線の本数が1本、最大乖離部の乖離巾Lが0.17mmで、そのL/d値が0.68、1ピッチ当たりの凹凸数が2、コード径が0.56mm、突出量の最大値の2倍が0.02mmのスチールコードと、素線径dが0.25mm、くせ付け素線の本数が1本、最大乖離部の乖離巾Lが0.05mmで、そのL/d値が0.20、1ピッチ当たりの凹凸数が4、コード径が0.55mm、突出量の最大値の2倍が0.01mmのスチールコードである。また、比較例は、素線径dが0.25mm、くせ付け素線の本数が1本、最大乖離部の乖離巾Lが0.21mmで、そのL/d値が0.84、1ピッチ当たりの凹凸数が2、コード径が0.61mm、突出量の最大値の2倍が0.06mmのスチールコードと、素線径dが0.25mm、くせ付け素線の本数が1本、最大乖離部の乖離巾Lが0.06mmで、そのL/d値が0.24、ピッチ当たりの凹凸数が1、コード径が0.57mm、突出量の最大値の2倍が0.02mmのスチールコードである。また、従来例は、素線径dが0.25mm、くせ付け素線無しのクローズタイプ、コード径が0.54mmのスチールコードである。
1×4構造では、本発明コード(実施例)は、素線径dが0.25mm、くせ付け素線の本数が1本、最大乖離部の乖離巾Lが0.14mmで、そのL/d値が0.56、1ピッチ当たりの凹凸数が2、コード径が0.63mm、突出量の最大値の2倍が0.02mmのスチールコードと、素線径dが0.25mm、くせ付け素線の本数が2本、最大乖離部の乖離巾Lが0.06mmで、そのL/d値が0.24、1ピッチ当たりの凹凸数が2、コード径が0.61mm、突出量の最大値の2倍が0mmのスチールコードである。また、比較例は、素線径dが0.25mm、くせ付け素線の本数が1本、最大乖離部の乖離巾Lが0.18mmで、そのL/d値が0.72、1ピッチ当たりの凹凸数が2、コード径が0.64mm、突出量の最大値の2倍が0.03mmのスチールコードである。また、従来例は、素線径dが0.25mm、くせ付け素線無しのクローズタイプ、コード径が0.61mmのスチールコードである。
1×6構造では、本発明コード(実施例)は、素線径dが0.25mm、くせ付け素線の本数が4本、最大乖離部の乖離巾Lが0.02mmで、そのL/d値が0.08、1ピッチ当たりの凹凸数が2、コード径が0.79mm、突出量の最大値の2倍が0mmのスチールコードと、素線径dが0.25mm、くせ付け素線の本数が3本、最大乖離部の乖離巾Lが0.12mmで、そのL/d値が0.48、1ピッチ当たりの凹凸数が2、コード径が0.81mm、突出量の最大値の2倍が0.02mmのスチールコードと、素線径dが0.25mm、くせ付け素線の本数が2本、最大乖離部の乖離巾Lが0.15mmで、そのL/d値が0.60、1ピッチ当たりの凹凸数が4、コード径が0.80mm、突出量の最大値の2倍が0.01mmのスチールコードである。また、比較例は、素線径dが0.25mm、くせ付け素線の本数が1本、最大乖離部の乖離巾Lが0.19mmで、そのL/d値が0.76、1ピッチ当たりの凹凸数が2、コード径が0.86mm、突出量の最大値の2倍が0.07mmのスチールコードと、素線径dが0.25mm、くせ付け素線の本数が2本、最大乖離部の乖離巾Lが0.09mmで、そのL/d値が0.36、ピッチ当たりの凹凸数が1、コード径が0.79mm、突出量の最大値の2倍が0.02mmのスチールコードである。また、従来例は、素線径dが0.25mm、くせ付け素線無しのクローズタイプ、コード径が0.79mmのスチールコードである。
Figure 2007191813
本発明コード(実施例)は、従来例のスチールコードに比べてゴム侵入性および耐疲労性が格段に優れている。それに対し、比較例のスチールコードは、L/dの値が0.7を越える乖離があるものでは、耐疲労性が十分でなく、凹凸数(L/dが0.07〜0.7の乖離がある箇所の数)が1ピッチ当たり1個のものでは、ゴム侵入性が悪く、耐疲労性も十分でない。
本発明の実施の形態の一例のスチールコードの断面図である。 本発明の実施の形態のスチールコードを撚りほぐした後のくせ付け素線を水平に配置し水平面に投影したときの投影面における素線の軌跡を示す図である。 従来の1×3構造のクローズコードの断面図である。 従来の一部素線にスパイラルくせを有する素線を使用した1×3構造のスチールコードの断面図である。 従来の一部素線に波状くせを有する素線を使用した1×3構造のスチールコードの断面図である。
符号の説明
10 スチールコード
10A コード外接円
10B 基準線
11 くせ付けした素線
11B 軌跡
12、13 真直な素線
L 乖離巾
S1 隙間
T 投影面

Claims (3)

  1. n本(n=3〜6)の素線を撚り合わせてなる単層撚りで、少なくとも1本の素線がコード撚りのためのスパイラルくせとは別の小さなスパイラル状又は波状のくせを有するスチールコードであって、
    前記スパイラル状又は波状のくせを有する素線は、当該スチールコードを撚りほぐした後の該素線を水平に配置し水平面に投影したときの投影面において該素線の軌跡とコード撚りのためのスパイラルくせの正弦波状の基準線との該基準線の接線に垂直な直線上における乖離巾L(mm)と素線径d(mm)との比率L/dが0.7を超える箇所が該素線を水平面上で回転させ素線全周にわたり角度を変えて投影した軌跡のいずれにおいても存在せず、且つ、前記スパイラル状又は波状のくせを有する素線の少なくとも1本は、前記比率L/dが該素線を水平面上で回転させ素線全周にわたり角度を変えて投影した軌跡のいずれかにおいて0.07〜0.7の範囲内である箇所が、コード撚りのためのスパイラルくせの1ピッチ当たり2箇所以上存在することを特徴とするスチールコード。
  2. 前記スパイラル状又は波状のくせを有する素線の少なくとも1本は、該スパイラル状又は波状のくせが前記投影面において素線長手方向に不規則かつ不均一に存在することを特徴とする請求項1記載のスチールコード。
  3. 請求項1または2記載のスチールコードを補強材としてゴム中に埋設したことを特徴とする自動車用タイヤ。
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