JPH09195187A - ゴム補強用スチールコード及びラジアルタイヤ - Google Patents
ゴム補強用スチールコード及びラジアルタイヤInfo
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- JPH09195187A JPH09195187A JP8027389A JP2738996A JPH09195187A JP H09195187 A JPH09195187 A JP H09195187A JP 8027389 A JP8027389 A JP 8027389A JP 2738996 A JP2738996 A JP 2738996A JP H09195187 A JPH09195187 A JP H09195187A
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- Japan
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- cord
- wire
- pitch
- steel cord
- steel
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- D—TEXTILES; PAPER
- D07—ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
- D07B—ROPES OR CABLES IN GENERAL
- D07B1/00—Constructional features of ropes or cables
- D07B1/06—Ropes or cables built-up from metal wires, e.g. of section wires around a hemp core
- D07B1/0606—Reinforcing cords for rubber or plastic articles
- D07B1/0646—Reinforcing cords for rubber or plastic articles comprising longitudinally preformed wires
-
- D—TEXTILES; PAPER
- D07—ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
- D07B—ROPES OR CABLES IN GENERAL
- D07B2201/00—Ropes or cables
- D07B2201/20—Rope or cable components
- D07B2201/2015—Strands
- D07B2201/2022—Strands coreless
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- Ropes Or Cables (AREA)
- Tires In General (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】撚りが安定しておりしかも素線の型付率の広い
範囲にわたって安定したゴム浸透性が得られ、タイヤ製
造においても扱い易く、転がりのバランスのよいタイヤ
を得ることができ、コード製造も容易で比較的安価に製
造できる実用性の高いオープン構造のゴム補強用スチー
ルコードを提供する。 【解決手段】3本以上の素線を同一方向、同一ピッチで
同時に撚り合わせた単層撚りのスチールコードにおい
て、各素線が100%を超える過大な型付けとともにコ
ードの撚りピッチ長さより短いピッチ長さの小波くせを
有している。
範囲にわたって安定したゴム浸透性が得られ、タイヤ製
造においても扱い易く、転がりのバランスのよいタイヤ
を得ることができ、コード製造も容易で比較的安価に製
造できる実用性の高いオープン構造のゴム補強用スチー
ルコードを提供する。 【解決手段】3本以上の素線を同一方向、同一ピッチで
同時に撚り合わせた単層撚りのスチールコードにおい
て、各素線が100%を超える過大な型付けとともにコ
ードの撚りピッチ長さより短いピッチ長さの小波くせを
有している。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車用ラジアルタ
イヤや搬送用コンベアベルト等のゴム製品の補強に用い
られるスチールコード及び自動車用ラジアルタイヤに関
する。
イヤや搬送用コンベアベルト等のゴム製品の補強に用い
られるスチールコード及び自動車用ラジアルタイヤに関
する。
【0002】
【従来の技術】乗用車用タイヤのベルト補強層には、図
1(a)、(b)にその断面を示すようにタイトに撚り合わさ
れた1×4や1×5のような構造のスチールコードが用
いられてきた。しかし、このようなスチールコードにお
いては、その断面形状から明らかなように各素線間には
隙間がほとんどないため、タイヤのベルト部などに使わ
れたときコードの内部にゴムが浸透していない空間が長
手に連続して存在することになる。この結果、ゴムとス
チールコードの接着が十分でなく、ゴムとコードと複合
が十分でなくなることにより、特にタイヤの一部が損傷
してこの部分から水が内部に侵入してコードに到達する
と、コード内部の空間部を水が伝わり、これに伴って錆
びが進行してしまうことになる。そして、この錆により
コードとゴムの接着面が破壊され、セパレーションが発
生してタイヤの機能が大きく低下し、寿命も著しく短く
なるという欠点があった。
1(a)、(b)にその断面を示すようにタイトに撚り合わさ
れた1×4や1×5のような構造のスチールコードが用
いられてきた。しかし、このようなスチールコードにお
いては、その断面形状から明らかなように各素線間には
隙間がほとんどないため、タイヤのベルト部などに使わ
れたときコードの内部にゴムが浸透していない空間が長
手に連続して存在することになる。この結果、ゴムとス
チールコードの接着が十分でなく、ゴムとコードと複合
が十分でなくなることにより、特にタイヤの一部が損傷
してこの部分から水が内部に侵入してコードに到達する
と、コード内部の空間部を水が伝わり、これに伴って錆
びが進行してしまうことになる。そして、この錆により
コードとゴムの接着面が破壊され、セパレーションが発
生してタイヤの機能が大きく低下し、寿命も著しく短く
なるという欠点があった。
【0003】この対策として、各素線に過大な型付けを
施してルーズに撚り合わせたスチールコードが一部使用
されている。しかしながら、このオープンタイプのスチ
ールコードは図2に示すような構造をなし、各素線がル
ーズに撚り合わされているので、タイヤ製造における金
型中で加硫工程中にコードに1.5kgf程度の張力がかかっ
てコードが長手方向に引張られると、コードが径方向に
圧縮されて素線間の隙間が狭くなり、実際上ゴムがコー
ド内部まで浸透し難くなる。そこで素線の型付率をより
過大に施し、撚り合わせにおいて各素線の長さの不揃い
や位相のずれ等でコード断面形状を意図的に不均一に
し、それによって加硫時にコードに張力がかかっても、
コードの径方向に縮み難くして隙間がなくなるのを抑え
るようにしたものもある。しかし、このように型付率を
特に高くしたコードは、コードの製造の際に撚りが不安
定なものとならざるを得ず、一定した品質を保持するの
が難しく、特性のバラツキが非常に大きくなるという問
題がある。 更に、タイヤ製造時のカレンダー工程にお
いては、多本数のスチールコードを所定の低荷重の張力
をかけながら平行に引き揃え、ロールを用いてゴムコン
パウンドを上下から圧力をかけながらシート状に張り付
けてコード入りゴムシート(カレンダーシート)を製作
し、その後、このシートを一定間隔で裁断し、バイアス
になるように緊ぎ合わされる。この裁断時にコードに残
っている張力が解放されてコードが縮むので、スチール
コード1本1本の縮み量にバラツキがあると裁断面が不
揃いになったり、裁断したシートが凸凹状になって、裁
断シートの繋ぎ合わせが不正確になってしまい、タイヤ
になった時に転がりのバランスが悪くなるなどの欠点が
生じやすい。
施してルーズに撚り合わせたスチールコードが一部使用
されている。しかしながら、このオープンタイプのスチ
ールコードは図2に示すような構造をなし、各素線がル
ーズに撚り合わされているので、タイヤ製造における金
型中で加硫工程中にコードに1.5kgf程度の張力がかかっ
てコードが長手方向に引張られると、コードが径方向に
圧縮されて素線間の隙間が狭くなり、実際上ゴムがコー
ド内部まで浸透し難くなる。そこで素線の型付率をより
過大に施し、撚り合わせにおいて各素線の長さの不揃い
や位相のずれ等でコード断面形状を意図的に不均一に
し、それによって加硫時にコードに張力がかかっても、
コードの径方向に縮み難くして隙間がなくなるのを抑え
るようにしたものもある。しかし、このように型付率を
特に高くしたコードは、コードの製造の際に撚りが不安
定なものとならざるを得ず、一定した品質を保持するの
が難しく、特性のバラツキが非常に大きくなるという問
題がある。 更に、タイヤ製造時のカレンダー工程にお
いては、多本数のスチールコードを所定の低荷重の張力
をかけながら平行に引き揃え、ロールを用いてゴムコン
パウンドを上下から圧力をかけながらシート状に張り付
けてコード入りゴムシート(カレンダーシート)を製作
し、その後、このシートを一定間隔で裁断し、バイアス
になるように緊ぎ合わされる。この裁断時にコードに残
っている張力が解放されてコードが縮むので、スチール
コード1本1本の縮み量にバラツキがあると裁断面が不
揃いになったり、裁断したシートが凸凹状になって、裁
断シートの繋ぎ合わせが不正確になってしまい、タイヤ
になった時に転がりのバランスが悪くなるなどの欠点が
生じやすい。
【0004】一方、最近、自動車の燃費対策からタイヤ
に対しても軽量化の要求が強まり、これに伴ってスチー
ルコードに対しても軽量化が要求されている。この要求
に対してはコード強力を高くしてタイヤに使用するコー
ドの量を減らすことが有効である。コードを構成する素
線強度を上げるためには、一般には原料線材の炭素含有
量を上げることが必要になるが、線材の価格面で高いも
のになってしまう。現在のところ、炭素含有量が0.8
0〜0.85重量%の原料線材を用いて、引張り強さ:
Z=−200d+365(kgf/mm2)(dは素線径mm)からZ
=−200d+385(kgf/mm2)程度の高強度ワイヤが
実用化されているが、これでは軽量化の実現に未だ不十
分であった。
に対しても軽量化の要求が強まり、これに伴ってスチー
ルコードに対しても軽量化が要求されている。この要求
に対してはコード強力を高くしてタイヤに使用するコー
ドの量を減らすことが有効である。コードを構成する素
線強度を上げるためには、一般には原料線材の炭素含有
量を上げることが必要になるが、線材の価格面で高いも
のになってしまう。現在のところ、炭素含有量が0.8
0〜0.85重量%の原料線材を用いて、引張り強さ:
Z=−200d+365(kgf/mm2)(dは素線径mm)からZ
=−200d+385(kgf/mm2)程度の高強度ワイヤが
実用化されているが、これでは軽量化の実現に未だ不十
分であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記のような
問題点を解消するために研究して創案されたもので、そ
の目的とするところは、撚りが安定しておりしかも素線
の型付率の低いものも含め広い範囲にわたって安定した
ゴム浸透性が得られ、またタイヤ製造においても扱い易
く、転がりのバランスのよいタイヤを得ることができ、
コード製造も容易で比較的安価に製造できる実用性の高
いオープン構造のゴム補強用スチールコードを提供する
ことにある。また、本発明の第2の目的は、上記目的に
加えてタイヤ軽量化の実現を図ることが可能なゴム補強
用スチールコードを提供することにある。さらに本発明
の第3の目的は、高耐セパレーション性を備えまた転が
りのバランスもよい軽量なラジアルタイヤを提供するこ
とにある。
問題点を解消するために研究して創案されたもので、そ
の目的とするところは、撚りが安定しておりしかも素線
の型付率の低いものも含め広い範囲にわたって安定した
ゴム浸透性が得られ、またタイヤ製造においても扱い易
く、転がりのバランスのよいタイヤを得ることができ、
コード製造も容易で比較的安価に製造できる実用性の高
いオープン構造のゴム補強用スチールコードを提供する
ことにある。また、本発明の第2の目的は、上記目的に
加えてタイヤ軽量化の実現を図ることが可能なゴム補強
用スチールコードを提供することにある。さらに本発明
の第3の目的は、高耐セパレーション性を備えまた転が
りのバランスもよい軽量なラジアルタイヤを提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は、3本以上の素線を同一方向、同一ピッチで同
時に撚り合わせた単層撚りのスチールコードにおいて、
各素線が100%を超える過大な型付けとともにコード
の撚りピッチ長さより短いピッチ長さの小波くせを有し
ている構成としたものである。好適には、小波くせは、
そのピッチ長さpと高さhが次の範囲にあるようにする。
すなわち、コード撚りピッチ長さをPとし、素線径をdと
した場合、下記の式を満たすようにする。 0.25≦p/P≦0.55 1.05≦h/d≦1.45 また、第2の目的を達成するため、上記構成に加え、特
に素線の原料として炭素含有量0.80〜0.85重量
%の線材を用い、撚り合わせ前の素線の引張り強さZを
−200d+400(kgf/mm2)以上の超高強度
を有するように構成したものである。第3の目的を達成
するため本発明は、上記いずれかのスチールコードをベ
ルト部の補強に用いるようにしたものである。
本発明は、3本以上の素線を同一方向、同一ピッチで同
時に撚り合わせた単層撚りのスチールコードにおいて、
各素線が100%を超える過大な型付けとともにコード
の撚りピッチ長さより短いピッチ長さの小波くせを有し
ている構成としたものである。好適には、小波くせは、
そのピッチ長さpと高さhが次の範囲にあるようにする。
すなわち、コード撚りピッチ長さをPとし、素線径をdと
した場合、下記の式を満たすようにする。 0.25≦p/P≦0.55 1.05≦h/d≦1.45 また、第2の目的を達成するため、上記構成に加え、特
に素線の原料として炭素含有量0.80〜0.85重量
%の線材を用い、撚り合わせ前の素線の引張り強さZを
−200d+400(kgf/mm2)以上の超高強度
を有するように構成したものである。第3の目的を達成
するため本発明は、上記いずれかのスチールコードをベ
ルト部の補強に用いるようにしたものである。
【0007】
【作用】本発明においては、3本以上からなる単層撚り
のスチールコードにおいて、コードを構成する全部の素
線に対して、コードの撚りピッチより短いピッチの小波
くせを施し、その後、更に過大な型付けを施した後、各
素線を同一方向に同一ピッチで同時に撚り合わせてい
る。このように素線に小波くせを施しているので、加硫
時にコードに加えられる張力によって径方向の圧縮がか
かっても素線間の隙間が確保される。したがって、過大
な型付率のオープンコード構造にも拘らず安定したゴム
浸透性が確保できる。この特性はまた型付率が従来のオ
ープンコードと比べて相対的に小さい場合においても得
ることができる。ことに小波くせのピッチ長さp(mm)を
p/P=0.25〜0.55とし、高さhをh/d=
1.05〜1.45とした場合には、形状安定性と低荷
重伸びをバランスよく達成することができる。また、素
線として、通常使われている炭素含有量が0.80〜
0.85%の炭素鋼線材を使用するためこの面で製造コ
ストの増大をもたらさない。また、引張り強さZを−2
00d+400(kgf/mm2)以上の超高強度を有するた
め、少ない本数で良好な補強効果を達成することができ
る。
のスチールコードにおいて、コードを構成する全部の素
線に対して、コードの撚りピッチより短いピッチの小波
くせを施し、その後、更に過大な型付けを施した後、各
素線を同一方向に同一ピッチで同時に撚り合わせてい
る。このように素線に小波くせを施しているので、加硫
時にコードに加えられる張力によって径方向の圧縮がか
かっても素線間の隙間が確保される。したがって、過大
な型付率のオープンコード構造にも拘らず安定したゴム
浸透性が確保できる。この特性はまた型付率が従来のオ
ープンコードと比べて相対的に小さい場合においても得
ることができる。ことに小波くせのピッチ長さp(mm)を
p/P=0.25〜0.55とし、高さhをh/d=
1.05〜1.45とした場合には、形状安定性と低荷
重伸びをバランスよく達成することができる。また、素
線として、通常使われている炭素含有量が0.80〜
0.85%の炭素鋼線材を使用するためこの面で製造コ
ストの増大をもたらさない。また、引張り強さZを−2
00d+400(kgf/mm2)以上の超高強度を有するた
め、少ない本数で良好な補強効果を達成することができ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施例を添付図面に
基いて説明する。図3ないし図5は本発明によるゴム補
強用スチールコードの一実施例を示している。図3本発
明を適用した1×3構造のスチールコードを示してお
り、図4は図3の1ピッチ分の5か所を長手方向と直角
に切断した断面形状を模式的に示している。図3と図4
において、1a,1b,1cはそれぞれ素線である。各
素線1a,1b,1cは、表面に真ちゅうめっきを施し
た直径が0.20〜0.40mmの鋼線からなっており、互
いに同一方向に同一ピッチPで同時に撚り合わされてい
る。各素線1a,1b,1cは100%を超える型付け
の螺旋形状を有し、それらが撚り合わされることによっ
て各素線間に隙間Sが形成されている。型付け率はコー
ドを分解して取出した素線における高さHを測定し、ま
たタイトに撚り合わされた場合のコード外接円径をDと
して(H/D)×100%で表される。
基いて説明する。図3ないし図5は本発明によるゴム補
強用スチールコードの一実施例を示している。図3本発
明を適用した1×3構造のスチールコードを示してお
り、図4は図3の1ピッチ分の5か所を長手方向と直角
に切断した断面形状を模式的に示している。図3と図4
において、1a,1b,1cはそれぞれ素線である。各
素線1a,1b,1cは、表面に真ちゅうめっきを施し
た直径が0.20〜0.40mmの鋼線からなっており、互
いに同一方向に同一ピッチPで同時に撚り合わされてい
る。各素線1a,1b,1cは100%を超える型付け
の螺旋形状を有し、それらが撚り合わされることによっ
て各素線間に隙間Sが形成されている。型付け率はコー
ドを分解して取出した素線における高さHを測定し、ま
たタイトに撚り合わされた場合のコード外接円径をDと
して(H/D)×100%で表される。
【0009】しかも、本発明においては、各素線1a,
1b,1cは単純にストレートなものとなっておらず、
前記コード撚りピッチPよりも短いピッチpの小波くせ
10を有し、この小波くせ10によっても素線間に隙間
sが形成されている。前記小波くせ10は、撚り合わせ
前において、予め各素線1a,1b,1cに施されるも
ので、小波くせ10は図5に示されるようにコードの撚
りピッチ長さ(撚り合わせによる波のピッチ長さ)P(mm)
および素線径d(mm)との関係において、所定のピッチp
(mm)と所定の高さh(mm)を有している。具体的には、p
/Pが0.25〜0.55程度、h/dが1.05〜
1.45程度が好ましい。その理由は、p/Pが0.2
5よりも小さいと加工が難しいことに加え、コードの形
状が不安定となりやすく、p/Pが0.55よりも大き
いと加硫時の張力で素線が伸び、せっかく付けた小波く
せが実質的に消失してしまうからである。また、h/d
が1.05よりも小さいと小波くせを付けることによる
隙間形成効果が乏しくなり、1.45よりも大きいと破
断荷重が低下したり、コードの低荷重時の伸びが大きく
なるので好ましくないからである。
1b,1cは単純にストレートなものとなっておらず、
前記コード撚りピッチPよりも短いピッチpの小波くせ
10を有し、この小波くせ10によっても素線間に隙間
sが形成されている。前記小波くせ10は、撚り合わせ
前において、予め各素線1a,1b,1cに施されるも
ので、小波くせ10は図5に示されるようにコードの撚
りピッチ長さ(撚り合わせによる波のピッチ長さ)P(mm)
および素線径d(mm)との関係において、所定のピッチp
(mm)と所定の高さh(mm)を有している。具体的には、p
/Pが0.25〜0.55程度、h/dが1.05〜
1.45程度が好ましい。その理由は、p/Pが0.2
5よりも小さいと加工が難しいことに加え、コードの形
状が不安定となりやすく、p/Pが0.55よりも大き
いと加硫時の張力で素線が伸び、せっかく付けた小波く
せが実質的に消失してしまうからである。また、h/d
が1.05よりも小さいと小波くせを付けることによる
隙間形成効果が乏しくなり、1.45よりも大きいと破
断荷重が低下したり、コードの低荷重時の伸びが大きく
なるので好ましくないからである。
【0010】前記小波くせ10は通常の場合螺旋状であ
るが、場合によっては二次元的なものであってもよい。
前者の態様を得るには、サプライボビンから引き出され
た各素線をバンチャ−式撚り線機本体前で施せばよい。
たとえば、サプライボビンと撚り線機本体間のパスライ
ン上に、千鳥状に3本のピンを有する波つけ装置(固定)
とその下流側直後にワイヤツイスターを各々所要セット
ずつ設け、これらに各素線を通過させ、撚り合わせ時
に、ワイヤツイスターを素線に対して撚り線機本体の回
転方向と同方向に公転させて素線に捻りを入れながら波
つけ装置を通過させればよい。後者の場合には、一対の
歯車を用い、これらの間を素線を通過させて波くせを付
けて撚り線機本体内に導いて撚り合わせればよい。上記
実施例は素線数が3本であるが、これに限定されるもの
ではなく、4本(1×4)、5本(1×5)、6本(1×6)なども
本発明に含まれる。
るが、場合によっては二次元的なものであってもよい。
前者の態様を得るには、サプライボビンから引き出され
た各素線をバンチャ−式撚り線機本体前で施せばよい。
たとえば、サプライボビンと撚り線機本体間のパスライ
ン上に、千鳥状に3本のピンを有する波つけ装置(固定)
とその下流側直後にワイヤツイスターを各々所要セット
ずつ設け、これらに各素線を通過させ、撚り合わせ時
に、ワイヤツイスターを素線に対して撚り線機本体の回
転方向と同方向に公転させて素線に捻りを入れながら波
つけ装置を通過させればよい。後者の場合には、一対の
歯車を用い、これらの間を素線を通過させて波くせを付
けて撚り線機本体内に導いて撚り合わせればよい。上記
実施例は素線数が3本であるが、これに限定されるもの
ではなく、4本(1×4)、5本(1×5)、6本(1×6)なども
本発明に含まれる。
【0011】前記素線1a,1b,1cは、従来のよう
な撚り合わせ前の引張り強さすなわちZ=−200d+
365(kgf/mm2)からZ=−200d+385(kgf/mm2)
程度の高強度ワイヤを用いてもよいが、より好適には、
撚り合わせ前の素線の引張り強さがZ≧−200d+4
00(kgf/mm2)のものを使用する。このような靭性に優
れた実用的な超高強度ワイヤを、炭素含有量が0.80
〜0.85重量%の線材を用いて得るには、スチールワ
イヤを製造する上で最終の連続湿式伸線において、以下
の方法を採用することが好適である。 1)引き抜き用ダイスとして、アプローチ角2αが8〜1
0度、ベアリング長さが0.3d1(但し、d1は引き抜
き孔径)で、かつ、少なくとも最終引き抜きダイスとこ
れより上流の数個以上のダイスのニブが焼結ダイヤモン
ドからなるものを用いる(他は従来の合金ニブダイスを
用いてもよい)。 2)最終引き抜きを2枚のダイスを直列に並べたダブルダ
イスを使用して行い、出口側ダイスでの引き抜き減面率
を1.2〜3.9%のスキンパスとする。 3)スキンパス直後のスチールワイヤの温度を150℃以
下に制御する。 これらの条件を採用することにより、従来のコードより
も10%以上高強度の高耐久性スチールコードを安価に
製造できる。
な撚り合わせ前の引張り強さすなわちZ=−200d+
365(kgf/mm2)からZ=−200d+385(kgf/mm2)
程度の高強度ワイヤを用いてもよいが、より好適には、
撚り合わせ前の素線の引張り強さがZ≧−200d+4
00(kgf/mm2)のものを使用する。このような靭性に優
れた実用的な超高強度ワイヤを、炭素含有量が0.80
〜0.85重量%の線材を用いて得るには、スチールワ
イヤを製造する上で最終の連続湿式伸線において、以下
の方法を採用することが好適である。 1)引き抜き用ダイスとして、アプローチ角2αが8〜1
0度、ベアリング長さが0.3d1(但し、d1は引き抜
き孔径)で、かつ、少なくとも最終引き抜きダイスとこ
れより上流の数個以上のダイスのニブが焼結ダイヤモン
ドからなるものを用いる(他は従来の合金ニブダイスを
用いてもよい)。 2)最終引き抜きを2枚のダイスを直列に並べたダブルダ
イスを使用して行い、出口側ダイスでの引き抜き減面率
を1.2〜3.9%のスキンパスとする。 3)スキンパス直後のスチールワイヤの温度を150℃以
下に制御する。 これらの条件を採用することにより、従来のコードより
も10%以上高強度の高耐久性スチールコードを安価に
製造できる。
【0012】詳述すると、まず原料線材の化学成分とし
ては、重量比でC:0.80〜0.85%、Si:0.
15〜0.35%、Mn:0.30〜0.90%、残部
鉄及び不可避的不純物からなるものが用いられるが、こ
の基本成分のほかにCrやNiなどを合金元素として所
定量添加してもよい。炭素鋼線材の炭素含有量の下限を
0.80%としたのは、これを下回る炭素量では、好適
な最終伸線条件を採用しても、引っ張り強さがZ≧−2
00d+400(kgf/mm2)が得られないからである。上
限を0.85%としたのは、これを上回る炭素量ではコ
ストが高くなるなどの問題があるからである。
ては、重量比でC:0.80〜0.85%、Si:0.
15〜0.35%、Mn:0.30〜0.90%、残部
鉄及び不可避的不純物からなるものが用いられるが、こ
の基本成分のほかにCrやNiなどを合金元素として所
定量添加してもよい。炭素鋼線材の炭素含有量の下限を
0.80%としたのは、これを下回る炭素量では、好適
な最終伸線条件を採用しても、引っ張り強さがZ≧−2
00d+400(kgf/mm2)が得られないからである。上
限を0.85%としたのは、これを上回る炭素量ではコ
ストが高くなるなどの問題があるからである。
【0013】上記素線を製造するに当っては、前記した
成分組成の直径が4.0〜5.5mmの炭素鋼線材を通
常のように酸洗、コーティングを行い、連続乾式伸線し
てたとえば直径1.2〜2.3mmの中間線材を得る。
そして、この中間線材をパテンティング処理してベイナ
イト等の異組織を含まない均一な微細パーライト組織に
し、ゴムとの接着性のよい合金(通常、真ちゅうめっき)
を施し、最終原料線を得る。ついで、前記最終原料線を
連続湿式伸線して目的径例えば直径0.2〜0.4mm
のめっき付きスチールワイヤを得る。そして、かかる連
続湿式伸線工程において前記条件を採用するものであ
る。図6は湿式伸線工程に用いる引抜き用ダイス(後述
する仕上げ引抜き用のダブルダイスを含む)を示してお
り、11はニブ20を内蔵したダイスであり、ニブ20
はアプローチ部200の角度2αが8〜10°となって
おり、またベアリング部210の長さlが0.3d1(d
1は引き抜き孔径)となっている。従来、引抜き用ダイス
は、そのアプローチ角が12°、ベアリング長さが0.
5d1の超硬合金ニブを用いるのが一般的であった。こ
れに対して本発明は、ダイスアプローチ角を8〜10°
と小さくすることによりワイヤの表面部と中心部の加工
を均一化することができ、さらには表面残留応力も低く
なるため、総加工度を大きくとっても靭性を保持するこ
とができる。また、ベアリング長さを短くすることによ
り、ワイヤとの接触長さを短縮し、引抜き抵抗を緩和す
ることができる。これらは、前記のように素線の表面か
ら内部までの硬度分布をほぼフラットにするために効果
的である。
成分組成の直径が4.0〜5.5mmの炭素鋼線材を通
常のように酸洗、コーティングを行い、連続乾式伸線し
てたとえば直径1.2〜2.3mmの中間線材を得る。
そして、この中間線材をパテンティング処理してベイナ
イト等の異組織を含まない均一な微細パーライト組織に
し、ゴムとの接着性のよい合金(通常、真ちゅうめっき)
を施し、最終原料線を得る。ついで、前記最終原料線を
連続湿式伸線して目的径例えば直径0.2〜0.4mm
のめっき付きスチールワイヤを得る。そして、かかる連
続湿式伸線工程において前記条件を採用するものであ
る。図6は湿式伸線工程に用いる引抜き用ダイス(後述
する仕上げ引抜き用のダブルダイスを含む)を示してお
り、11はニブ20を内蔵したダイスであり、ニブ20
はアプローチ部200の角度2αが8〜10°となって
おり、またベアリング部210の長さlが0.3d1(d
1は引き抜き孔径)となっている。従来、引抜き用ダイス
は、そのアプローチ角が12°、ベアリング長さが0.
5d1の超硬合金ニブを用いるのが一般的であった。こ
れに対して本発明は、ダイスアプローチ角を8〜10°
と小さくすることによりワイヤの表面部と中心部の加工
を均一化することができ、さらには表面残留応力も低く
なるため、総加工度を大きくとっても靭性を保持するこ
とができる。また、ベアリング長さを短くすることによ
り、ワイヤとの接触長さを短縮し、引抜き抵抗を緩和す
ることができる。これらは、前記のように素線の表面か
ら内部までの硬度分布をほぼフラットにするために効果
的である。
【0014】図7は仕上げ引抜き用のダブルダイス3を
示しており、ケーシング4,4にそれぞれノーマルダイ
ス5aとスキンパス用ダイス5bを近接して直列状に配
置し、所定減面率を2分割して得るようにしている。前
記ノーマルダイス5aとスキンパス用ダイス5bのニブ
20a,20bはそれぞれ焼結ダイヤモンドで作られ、
前記したアプローチ角とベアリング長さとなっている。
本発明は、ダブルダイス3の2枚のニブ20a,20b
とこれの上流の引抜き用ダイスを含めて4枚程度のもの
に焼結ダイヤモンドニブを用いる。これにより、第1に
焼結ダイヤモンドが合金ダイスに比べて表面の粗さも非
常に平滑なため引抜き力を低くすることができ、また、
引き抜いたワイヤの表面も平滑になり、耐疲労性向上に
も効果がある。第2に焼結ダイヤモンドが特に硬いこと
から連続引抜きによる摩耗がほとんどなく、摩耗による
ダイス径の増大とこれによる減面率の変化を防止でき、
交換の手間や生産停止時間を節減することができる。ダ
イヤモンドはそれ自体は高価であるが、上記のようなこ
とから総合的にみれば安価となる。
示しており、ケーシング4,4にそれぞれノーマルダイ
ス5aとスキンパス用ダイス5bを近接して直列状に配
置し、所定減面率を2分割して得るようにしている。前
記ノーマルダイス5aとスキンパス用ダイス5bのニブ
20a,20bはそれぞれ焼結ダイヤモンドで作られ、
前記したアプローチ角とベアリング長さとなっている。
本発明は、ダブルダイス3の2枚のニブ20a,20b
とこれの上流の引抜き用ダイスを含めて4枚程度のもの
に焼結ダイヤモンドニブを用いる。これにより、第1に
焼結ダイヤモンドが合金ダイスに比べて表面の粗さも非
常に平滑なため引抜き力を低くすることができ、また、
引き抜いたワイヤの表面も平滑になり、耐疲労性向上に
も効果がある。第2に焼結ダイヤモンドが特に硬いこと
から連続引抜きによる摩耗がほとんどなく、摩耗による
ダイス径の増大とこれによる減面率の変化を防止でき、
交換の手間や生産停止時間を節減することができる。ダ
イヤモンドはそれ自体は高価であるが、上記のようなこ
とから総合的にみれば安価となる。
【0015】また、仕上げ引抜き用ダイスとしてダブル
ダイスを使用して減面率1.2〜3.9%のスキンパス
を行う。これにより、引抜きによるワイヤ発熱をシング
ルダイスの場合に比べ25〜40℃程度も低減すること
ができる。しかも、ワイヤ表面の引張りの残留応力を低
減することができる。スキンパス用ダイス5bによる引
抜き減面率を1.2〜3.9%の範囲としたのは、1.
1%以下では加工量が少なすぎて残留応力の緩和作用が
少なく、4.0%以上とあまり大すぎても残留応力の緩
和作用が少ないからである。そして、最終ダイス通過直
後のワイヤの温度を150°C以下になるように潤滑液
温度を低く制御して保持する。これにより、スキンパス
の採用と併せて時効によるワイヤの脆化を防ぐことがで
きる。潤滑液温度を低く保持する方法は、湿式伸線機の
槽外に循環ポンプと冷却機を設け、循環液を槽から強制
的に抜きこれを冷却して槽に戻す循環系とし、潤滑液温
度を例えば操業中35℃以下に温度制御すればよい。以
上の最終伸線工程条件を採用することにより、原料とし
て製造コストの増大をもたらさないC含有量が0.80
〜0.85重量%の炭素鋼線材を用いて強度が高くしか
も靭性がすぐれた素線を得ることができ、撚り合わせに
よる強度低下が少なく、耐疲労性、対座屈耐久性もすぐ
れたものになるのである。
ダイスを使用して減面率1.2〜3.9%のスキンパス
を行う。これにより、引抜きによるワイヤ発熱をシング
ルダイスの場合に比べ25〜40℃程度も低減すること
ができる。しかも、ワイヤ表面の引張りの残留応力を低
減することができる。スキンパス用ダイス5bによる引
抜き減面率を1.2〜3.9%の範囲としたのは、1.
1%以下では加工量が少なすぎて残留応力の緩和作用が
少なく、4.0%以上とあまり大すぎても残留応力の緩
和作用が少ないからである。そして、最終ダイス通過直
後のワイヤの温度を150°C以下になるように潤滑液
温度を低く制御して保持する。これにより、スキンパス
の採用と併せて時効によるワイヤの脆化を防ぐことがで
きる。潤滑液温度を低く保持する方法は、湿式伸線機の
槽外に循環ポンプと冷却機を設け、循環液を槽から強制
的に抜きこれを冷却して槽に戻す循環系とし、潤滑液温
度を例えば操業中35℃以下に温度制御すればよい。以
上の最終伸線工程条件を採用することにより、原料とし
て製造コストの増大をもたらさないC含有量が0.80
〜0.85重量%の炭素鋼線材を用いて強度が高くしか
も靭性がすぐれた素線を得ることができ、撚り合わせに
よる強度低下が少なく、耐疲労性、対座屈耐久性もすぐ
れたものになるのである。
【0016】
(1)原料は、化学的成分(重量%)でC:0.82、Si:
0.21、Mn:0.51、残部鉄及び不可避的不純物
からなる鋼線材を用いた。 (2)この鋼線材を連続乾式伸線し、所定の中間径まで加
工した。更にこれを微細パーライト組織になるように熱
処理した後、ゴムと加硫接着できるように、所定の組織
の真ちゅうめっきを施して最終原料とした。この最終原
料を、ダイスアプローチ角10°、ベアリング長さ0.
3d1、最終引抜き:スキンパス減面率2.0%のダブル
ダイス使用、ダブルダイス2枚と直前の2枚のダイスと
して焼結ダイヤモンドニブ使用、最終ダイス通過直後の
上りワイヤ温度を熱流束温度計の測定温度で147℃に制
御するという条件で連続湿式伸線し、直径0.28mmで
引張り強さが358kgf/mm2の超高強度ワイヤを製作し
た。また、前記最終原料をダイスアプローチ角12°、
ベアリング長さ0.5d1の超硬合金ニブダイスをすべ
て使用した条件で連続湿式伸線し、直径0.28mmで引
張り強さが320kgf/mm2の高強度ワイヤを製作した。
0.21、Mn:0.51、残部鉄及び不可避的不純物
からなる鋼線材を用いた。 (2)この鋼線材を連続乾式伸線し、所定の中間径まで加
工した。更にこれを微細パーライト組織になるように熱
処理した後、ゴムと加硫接着できるように、所定の組織
の真ちゅうめっきを施して最終原料とした。この最終原
料を、ダイスアプローチ角10°、ベアリング長さ0.
3d1、最終引抜き:スキンパス減面率2.0%のダブル
ダイス使用、ダブルダイス2枚と直前の2枚のダイスと
して焼結ダイヤモンドニブ使用、最終ダイス通過直後の
上りワイヤ温度を熱流束温度計の測定温度で147℃に制
御するという条件で連続湿式伸線し、直径0.28mmで
引張り強さが358kgf/mm2の超高強度ワイヤを製作し
た。また、前記最終原料をダイスアプローチ角12°、
ベアリング長さ0.5d1の超硬合金ニブダイスをすべ
て使用した条件で連続湿式伸線し、直径0.28mmで引
張り強さが320kgf/mm2の高強度ワイヤを製作した。
【0017】(3)これらのワイヤ(素線)を3本用い、バ
ンチャー式撚り線機によって実施例1〜実施例3及び従
来のオープンコードである比較例1〜比較例3を製作し
た。実施例及び比較例とも撚り方向はS方向、撚りピッ
チは16mmとした。なお、実施例1〜実施例3におけ
る素線への小波くせは、サプライボビンから引き出され
た3本の素線をバンチャ−式撚り線機本体の上流に、千
鳥状に3本のピンを有する波つけ装置(固定)とその下
流側直後にワイヤツイスターをサプライボビンと撚り線
機本体間に各々3セットずつ設け、これらに各素線を通
過させながら撚り合わせた。そしてワイヤツイスターを
素線に対して撚り線機本体の回転方向と同方向に公転さ
せて素線に捻りをいれながら波つけ装置を通過させるこ
とで素線の螺旋状の小波を施した。このようにして得ら
れた各スチールコードの特性を表1に示す。
ンチャー式撚り線機によって実施例1〜実施例3及び従
来のオープンコードである比較例1〜比較例3を製作し
た。実施例及び比較例とも撚り方向はS方向、撚りピッ
チは16mmとした。なお、実施例1〜実施例3におけ
る素線への小波くせは、サプライボビンから引き出され
た3本の素線をバンチャ−式撚り線機本体の上流に、千
鳥状に3本のピンを有する波つけ装置(固定)とその下
流側直後にワイヤツイスターをサプライボビンと撚り線
機本体間に各々3セットずつ設け、これらに各素線を通
過させながら撚り合わせた。そしてワイヤツイスターを
素線に対して撚り線機本体の回転方向と同方向に公転さ
せて素線に捻りをいれながら波つけ装置を通過させるこ
とで素線の螺旋状の小波を施した。このようにして得ら
れた各スチールコードの特性を表1に示す。
【0018】〔具体例2〕具体例1と同じ条件で素線径
0.32mm(引張り強さ:354kgf/mm2)のワイヤと、高
強度ワイヤ(引張り強さ:316kgf/mm2)のワイヤを製作
し、実施例4〜実施例6及び従来のオープンコードであ
る比較例4〜比較例6を製作した。なお、いずれも撚り
方向はS方向、撚りピッチは18mmとした。これらの
特性を表2に示す。なお、表1と表2において、型付率
はコードを分解して素線の高さ(H)を測定した結果
を、タイトに撚り合わせた場合のコードの外接円径をD
として、(H/D)×100%で表したものである。小
波付けのピッチ長さ及び高さはコードを分解して素線の
波寸法(p、h)を測定して求めた結果である。「ゴム
浸透性」はコードを100grの張力下でゴム中で加硫
した後、コードを取り出して長手方向に2分割してコー
ド内部へのゴム浸透度合いを目視観察したもので、ゴム
により被覆されている面積率で表している。「耐疲労性
指数」はコードをゴム中で加硫した帯状のサンプルを千
鳥状に配置した一定直径の3ヶのロールにコード破断荷
重の10%の負荷の下に張り渡し、このロールを左右に
繰り返し往復させてサンプルに繰り返し曲げを与えてコ
ードが破断するまでの繰り返し数を測定した結果であ
り、表1については比較例3を、表2については比較例
6をそれぞれ100として指数で表した。
0.32mm(引張り強さ:354kgf/mm2)のワイヤと、高
強度ワイヤ(引張り強さ:316kgf/mm2)のワイヤを製作
し、実施例4〜実施例6及び従来のオープンコードであ
る比較例4〜比較例6を製作した。なお、いずれも撚り
方向はS方向、撚りピッチは18mmとした。これらの
特性を表2に示す。なお、表1と表2において、型付率
はコードを分解して素線の高さ(H)を測定した結果
を、タイトに撚り合わせた場合のコードの外接円径をD
として、(H/D)×100%で表したものである。小
波付けのピッチ長さ及び高さはコードを分解して素線の
波寸法(p、h)を測定して求めた結果である。「ゴム
浸透性」はコードを100grの張力下でゴム中で加硫
した後、コードを取り出して長手方向に2分割してコー
ド内部へのゴム浸透度合いを目視観察したもので、ゴム
により被覆されている面積率で表している。「耐疲労性
指数」はコードをゴム中で加硫した帯状のサンプルを千
鳥状に配置した一定直径の3ヶのロールにコード破断荷
重の10%の負荷の下に張り渡し、このロールを左右に
繰り返し往復させてサンプルに繰り返し曲げを与えてコ
ードが破断するまでの繰り返し数を測定した結果であ
り、表1については比較例3を、表2については比較例
6をそれぞれ100として指数で表した。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】表1と表2から明らかなように、実施例1
ないし実施例3、実施例4ないし実施例6は素線にコー
ド撚りピッチ長さよりも小さい所定のピッチと所定の高
さの小波くせを付けているため、加硫時のコード張力に
よるコード径方向の圧縮が作用しても素線間に確実に隙
間が形成され、ゴム浸透性が良好かつ安定している。こ
とに型付け率を比較例に比べて小さくしても良好なゴム
浸透性が得られている。これはまた撚りが安定し、バラ
ツキの少ないコードであることを意味している。そして
実施例1,2,4および5は連続湿式伸線条件がとくに
良好であるため、引張り強度が高く、耐疲労性もすぐれ
ている。
ないし実施例3、実施例4ないし実施例6は素線にコー
ド撚りピッチ長さよりも小さい所定のピッチと所定の高
さの小波くせを付けているため、加硫時のコード張力に
よるコード径方向の圧縮が作用しても素線間に確実に隙
間が形成され、ゴム浸透性が良好かつ安定している。こ
とに型付け率を比較例に比べて小さくしても良好なゴム
浸透性が得られている。これはまた撚りが安定し、バラ
ツキの少ないコードであることを意味している。そして
実施例1,2,4および5は連続湿式伸線条件がとくに
良好であるため、引張り強度が高く、耐疲労性もすぐれ
ている。
【0022】
【発明の効果】以上説明した本発明の請求項1と請求項
2によるときには、単層撚りのオープン構造にも拘ら
ず、しかも型付け量を少なくしても確実にかつ安定した
ゴム浸透性を備え、撚りも安定した均一な品質のスチー
ルコードを提供でき、また、カレンダー加工後のシート
裁断時においてもシートの平坦性がよく、シートの繋ぎ
あわせも正確なものにすることができるというすぐれた
効果が得られる。請求項3によればさらに素線の引張り
強度が高いため、請求項1,2に加え、高耐セパレーシ
ョン性を備えた高耐久性のスチールコードを提供するこ
とができるというすぐれた効果が得られる。請求項4に
よれば、高耐セパレーション性を備えた高耐久性でかつ
転がりのバランスのよい軽量タイヤとすることができる
というすぐれた効果が得られる。
2によるときには、単層撚りのオープン構造にも拘ら
ず、しかも型付け量を少なくしても確実にかつ安定した
ゴム浸透性を備え、撚りも安定した均一な品質のスチー
ルコードを提供でき、また、カレンダー加工後のシート
裁断時においてもシートの平坦性がよく、シートの繋ぎ
あわせも正確なものにすることができるというすぐれた
効果が得られる。請求項3によればさらに素線の引張り
強度が高いため、請求項1,2に加え、高耐セパレーシ
ョン性を備えた高耐久性のスチールコードを提供するこ
とができるというすぐれた効果が得られる。請求項4に
よれば、高耐セパレーション性を備えた高耐久性でかつ
転がりのバランスのよい軽量タイヤとすることができる
というすぐれた効果が得られる。
【図1】(a)(b)は従来の単層撚りスチールコードの断面
図である。
図である。
【図2】(a)(b)は従来の単層撚りオープン構造のスチー
ルコードの断面図である。
ルコードの断面図である。
【図3】本発明によるゴム補強用スチールコードの一実
施例を示す拡大側面図である。
施例を示す拡大側面図である。
【図4】図4のコードの1撚りピッチ分の各部を模式的
に示す断面図である。
に示す断面図である。
【図5】本発明によるコードを分解して取り出した素線
を模式的に示す側面図である。
を模式的に示す側面図である。
【図6】本発明によるコードの製作に用いられる引抜き
ダイスの断面図である。
ダイスの断面図である。
【図7】本発明によるコードの製作に用いられる仕上げ
引抜き用ダイスを示す断面図である。
引抜き用ダイスを示す断面図である。
1a,1b,1c 素線 10 小波くせ P コード撚りピッチ長さ p 小波くせのピッチ d 素線径 H 素線の波高さ h 小波くせの高さ
Claims (4)
- 【請求項1】3本以上の素線を同一方向、同一ピッチで
同時に撚り合わせた単層撚りのスチールコードにおい
て、各素線が100%を超える過大な型付けとともにコ
ードの撚りピッチ長さより短いピッチ長さの小波くせを
有していることを特徴とするゴム補強用スチールコー
ド。 - 【請求項2】小波くせのピッチ長さp(mm)および高さh
(mm)が下記式を満たしている請求項1に記載のゴム補強
用スチールコード。 0.25≦p/P≦0.55 1.05≦h/d≦1.45 但し、Pは撚りピッチ長さ(mm)、dは素線径(mm) - 【請求項3】素線が原料として炭素を0.80〜0.8
5重量%含有する炭素鋼線材を用いて作られており、撚
り合わせ前の素線の引張り強さが下記式を満たすものを
使用する請求項1に記載のスチールコード。 Z≧−200d+400(kgf/mm2) 但し、Z:引張強さ、d:直径(mm) - 【請求項4】請求項1ないし3に記載のスチールコード
をベルト部の補強に用いたことを特徴とするラジアルタ
イヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8027389A JPH09195187A (ja) | 1996-01-23 | 1996-01-23 | ゴム補強用スチールコード及びラジアルタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8027389A JPH09195187A (ja) | 1996-01-23 | 1996-01-23 | ゴム補強用スチールコード及びラジアルタイヤ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09195187A true JPH09195187A (ja) | 1997-07-29 |
Family
ID=12219713
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8027389A Pending JPH09195187A (ja) | 1996-01-23 | 1996-01-23 | ゴム補強用スチールコード及びラジアルタイヤ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09195187A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1344864A2 (en) * | 2002-03-13 | 2003-09-17 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Steel cord, method of making the same and pneumatic tire including the same |
JP2007177362A (ja) * | 2005-12-27 | 2007-07-12 | Tokusen Kogyo Co Ltd | ゴム製品補強用スチールコード |
JP2007191813A (ja) * | 2006-01-18 | 2007-08-02 | Tokusen Kogyo Co Ltd | スチールコードおよび自動車用タイヤ |
JP2011132609A (ja) * | 2009-12-22 | 2011-07-07 | Tokyo Seiko Co Ltd | スチールコード |
-
1996
- 1996-01-23 JP JP8027389A patent/JPH09195187A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1344864A2 (en) * | 2002-03-13 | 2003-09-17 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Steel cord, method of making the same and pneumatic tire including the same |
EP1344864A3 (en) * | 2002-03-13 | 2004-12-22 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Steel cord, method of making the same and pneumatic tire including the same |
US6959745B2 (en) | 2002-03-13 | 2005-11-01 | Sumitomo Rubber Industries, Ltd. | Steel cord, method of making the same and pneumatic tire including the same |
JP2007177362A (ja) * | 2005-12-27 | 2007-07-12 | Tokusen Kogyo Co Ltd | ゴム製品補強用スチールコード |
JP2007191813A (ja) * | 2006-01-18 | 2007-08-02 | Tokusen Kogyo Co Ltd | スチールコードおよび自動車用タイヤ |
JP2011132609A (ja) * | 2009-12-22 | 2011-07-07 | Tokyo Seiko Co Ltd | スチールコード |
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