JPH1133617A - ゴム補強用強靱スチールワイヤの製造法および強靱スチールコード - Google Patents

ゴム補強用強靱スチールワイヤの製造法および強靱スチールコード

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JPH1133617A
JPH1133617A JP9199436A JP19943697A JPH1133617A JP H1133617 A JPH1133617 A JP H1133617A JP 9199436 A JP9199436 A JP 9199436A JP 19943697 A JP19943697 A JP 19943697A JP H1133617 A JPH1133617 A JP H1133617A
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die
wire
dies
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Kazuhiro Ishimoto
和弘 石本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高強度化に伴う靭性の低下を大幅に改善し、強
靱で加工性に富み、しかも耐疲労性に優れたスチールワ
イヤの製造法を提供する。 【解決手段】仕上げの連続湿式伸線工程において、最終
段の引抜きを3枚以上のダイス重ねダイスでかつこのダ
イスの頭の1枚のダイスを除く上り側の2枚以上のダイ
スでそれぞれ1.2〜3.9%の減面率のスキンパスを
行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はゴム製品の補強に用
いられる強靱なスチールワイヤの製造法とこの製法によ
り得たスチールワイヤを用いたスチールコードに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】車輌用タイヤ、搬送用コンベアなどで代
表されるゴム製品においては、補強材としてスチールワ
イヤを複数本撚合したスチールコードが使用されてお
り、また、高圧ホースには補強材としてスチールワイヤ
が使用されている。もとより細径ロープにもスチールワ
イヤが使用されている。
【0003】かかるスチールワイヤは、一般に、高炭素
鋼線材あるいは通常成分に若干の合金元素を添加した鋼
線材を使用し、パテンティングと呼ばれる熱処理を施し
た後、連続伸線をすることで製造される。そして、ゴム
との接着性や耐食性を図るため、前記熱処理を行なった
後、伸線加工前に真ちゅうや亜鉛めっきが施されるのを
通例としている。
【0004】近年、スチールコードやロープは取り扱い
性の向上などのため軽量化とコンパクト化が強く要望さ
れ、これに伴い、スールコードも高強度化が要求されて
いる。かかる高強度化を図るため、一般的に、原料とし
ての鋼線材として強度の高いものすなわち高炭素鋼線材
を用いるとともに、その後の伸線加工において加工度を
高めて加工硬化による強度増加を行なっている。
【0005】しかしながら、伸線加工における加工度を
アップすることによりワイヤは硬くなるとともに靭性が
低下する。このような靭性の低下は大きな問題を生じさ
せる。すなわち、得られたスチールワイヤを撚合して撚
り合わせたり、高圧ホース製造のため編組したりワイヤ
にくせ付けを施した際に断線が多発して経済的に目的製
品を作れなくなったり、出来上がったスチールコードや
高圧ホースの耐久性が大幅に低下するなどの問題が生ず
るのである。したがって、高強度化においては靭性をい
かに保持するかが最重要課題となるのであるが、かかる
課題について従来では適切な解決策がなかった。
【0006】こうしたスチールワイヤの靭性低下防止対
策として、本出願人は、特開平8−218282号公報
や特開平8−260096号公報において、仕上げの連
続湿式伸線工程において最終段階で従来のシングルスキ
ンパスに代えてダブルスキンパスを適用する方法を提案
した。この方法によれば、高強度化に伴う靭性低下を大
幅に改善することができたが、更なる高強度化を実現す
る場合にはいまだこの先行技術の方法では靭性低下防止
効果が不十分であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記のような
問題点を解決するために創案されたもので、その目的と
するところは、高強度化に伴う靭性の低下を大幅に改善
し、強靱で加工性に富み、しかも耐疲労性に優れたスチ
ールワイヤの製造法を提供することにある。また、本発
明の他の目的は、高強度でしかも優れた靭性を備え、軽
量化コンパクト化に適したスチールコードを提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は、鋼線材に熱処理とめっきを施した後中間径ま
で伸線し、連続湿式伸線して目的径のスチールワイヤを
得る方法であって、仕上げの連続湿式伸線工程におい
て、最終段の引抜きを3枚以上のダイス重ねダイスでか
つこのダイスの頭の1枚のダイスを除く上り側の2枚以
上のダイスでそれぞれ1.2〜3.9%の減面率のスキ
ンパスを行なう構成としたものである。
【0009】上記連続湿式伸線は、好適には下記の条件
とする。 最終段の3枚のダイスとしてアプローチ角度2αが8
〜10°、ベアリング長さが0.25〜0.35d
1(d1=ダイス孔径)のものを用いる。 最終段の3枚のダイスあるいはさらにその数段前のダ
イスとして、ダイアモンドニブを使用する。 最終ダイス通過直後のスチールワイヤ温度を150℃
以下に保持する。
【0010】また前記目的を達成するため本発明は、高
炭素鋼線材を熱処理した後伸線して得られるスチールワ
イヤであって、仕上げの連続湿式伸線工程において、最
終段の引抜きを3枚以上のダイス重ねダイスでかつこの
ダイスの頭の1枚のダイスを除く上り側の2枚以上のダ
イスでそれぞれ1.2〜3.9%の減面率のスキンパス
を行って製造されたスチールワイヤを複数本撚り合わせ
た構成としたものである。なお、本発明は前記スチール
コードをゴムに埋設したゴム複合体、さらにこれをベル
ト層などに配したラジアルタイヤも含むものである。
【0011】
【作用】本発明においては連続湿式伸線工程の最終段に
おいて、3枚以上のダイスを重ね、前段までの減面率を
多分割して引き抜きかつ出口側の2枚以上のダイスでそ
れぞれ1.2〜3.9%の2回以上のスキンパスを行な
うため、伸線で強加工を施してもスチールワイヤの残留
応力が低減し、また、引抜き直後のスチールワイヤ温度
を大幅に低くすることができ、これらにより靭性を良好
なものとすることができる。
【0012】そして、3枚重ねの各ダイスのアプローチ
角度を8〜10°の低角度とすることによりワイヤ表面
と内部が均一に加工され、ワイヤ表面の残留応力を低減
され、ベアリング長さを0.25〜0.35d1と短く
することと表面が非常に平滑なダイヤモンドニブを使用
ことにより引抜き抵抗を低減することができる。そして
ダイヤモンドニブの使用により摩耗によるダイス孔径の
増加を防ぐことができるとともにワイヤ表面の平滑性が
向上し、耐疲労性も向上する。そして最終ダイス通過直
後のワイヤ温度を150℃以下に保持することにより時
効による脆化を防ぐことができる。これらの相乗効果に
より高強度でかつ靭性のすぐれたスチールワイヤを工業
的に安定して製造することができる。
【0013】
【発明の実施の態様】以下本発明の実施態様を添付図面
に基いて説明する。図1は連続伸線工程を模式的に示し
ており、10は潤滑液槽で、スチールワイヤ用潤滑剤を
水で所定の濃度に溶解した潤滑液11が満たされてい
る。前記潤滑液槽10の上流側にはペイオフリール13
が装備され、潤滑液槽10の下流側には伸線の終了した
スチールワイヤの巻取りリール14が装備されている。
【0014】前記潤滑液槽10内には、それぞれ潤滑液
11に浸漬されるように平行状に1対のキャプスタン1
2,12’が回転自在に横架されており、下流側のキャ
プスタン12’は図示しない可変速モータにより駆動回
転されるようになっている。そして一対のキャプスタン
12,12’の間には複数個の引抜き用ダイスDが配置
され、キャプスタン12,12’に設けられた溝にスチ
ールワイヤは掛けられ、この状態で順次引抜き用ダイス
Dの孔を通過することにより引き抜かれるようになって
いる。通常これら引抜き用ダイスは各段すなわちキャプ
スタン12,12’の軸線方向で1枚づつとなってお
り、最終段の引抜き用ダイスD’も一段である。
【0015】連続湿式伸線の引き回数すなわち前記引抜
き用ダイスの段数は、ワイヤの靭性を考慮して通常23
〜26回程度とすればよい。23回を下回る回数では、
1パス当りの減面率が大きくなりすぎるためワイヤの靭
性が劣化する。また、26回を超える回数では引き回数
が多くなりすぎ、製造コストの面で不利である。
【0016】図2は本発明における最終段のダイスD”
の第1実施例を示しており、上流側にはケーシング4に
1枚のノーマルダイス5aを、これに近接して下流側に
はケーシング4にスキンパス用ダイス5b,5bを2枚
直列状に配置し、これにより所定減面率を3分割して得
るようにし、そして2枚のスキンパス用ダイス5b,5
bでそれぞれ減面率1.2〜3.9%のスキンパスを行
なう。
【0017】図3は同じく最終段のダイスD”の第2実
施例を示しており、上流側にはケーシング4に1枚のノ
ーマルダイス5aを、これに近接して下流側にはケーシ
ング4にスキンパス用ダイス5b,5b,5bを3枚直
列状に配置し、これにより所定減面率を4分割して得る
ようにし、そして3枚のスキンパス用ダイス5b,5
b,5bでそれぞれ減面率1.2〜3.9%のスキンパ
スを行なう。前記スキンパス用ダイスの一つ前のノーマ
ルダイス5aでは減面率を2.8〜9.8%とすること
が適当である。
【0018】本発明において最終段の引抜きを上りの2
枚ダイスまたは上りの3枚ダイスでスキンパス伸線する
のは、伸線加工中に蓄積されるワイヤ表面の引張りの残
留応力を緩和させることができるとともに仕上げダイス
通過直後のワイヤ温度を低く抑えることができるからで
ある。1枚ダイスによるスキンパスでは残留応力の緩和
とワイヤ温度の抑制効果が不十分である。これはことに
炭素含有量が0.90%以上の高炭素鋼線材を使用する
場合に顕著である。
【0019】しかし、上りの2枚ダイスまたは上りの3
枚ダイスによるスキンバス減面比は、それぞれが1.2
%以下とあまり小さいと、加工量が小さすぎて残留応力
の緩和作用が少ない。しかし、これが4.0%以上とあ
まり大きすぎても残留応力の緩和作用が少なく、したが
って、1.2〜3.9%とする。これによりスチールワ
イヤの発熱を低く抑えるとともに、伸線したスチールワ
イヤの表面残留応力を低減し、靭性の回復を図ることが
できるのである。
【0020】前記ノーマルダイス5aとスキンパス用ダ
イス5bは、いずれもダイス本体50とダイス本体50
に内蔵された焼結ダイヤモンド製のニブ60からなって
おり、該ニブ60はアプローチ部600の角度2αが8
〜10°となっており、また、べアリング部601の長
さlがダイス孔直径d1に対し、約0.25〜0.35
1となっている。
【0021】ノーマルダイス5aとスキンパス用ダイス
5bに焼結ダイヤモンド製のニブ60を用いるのは、従
来のタングステン・カーバイドの焼結合金ニブではその
表面が粗くて引抜き抵抗が大きいうえにスチールワイヤ
の表面も粗くなり、耐疲労性にも悪影響を与える。これ
に対して、焼結ダイヤモンドニブは焼結合金ニブに比べ
てその表面が平滑であるため、これで伸線すると引抜き
抵抗も低くまたスチールワイヤの表面も平滑にすること
ができる。また、ダイヤモンドニブはそれ自体の価格は
かなり高いが、引き抜きによる孔径の太りが殆ど起こら
ず、寿命も非常に長く、交換の手間と時間や生産停止時
間が節減できるため、総合的には安価となるからであ
る。なお、本発明は、ノーマルダイス5aよりも上流の
ダイスについても、少なくとも1枚さらに好ましくは2
枚以上のニブを焼結ダイヤモンド製とすることも推奨さ
れる。
【0022】前記ノーマルダイス5aとスキンパス用ダ
イス5bのアプローチ角度2αを8〜10°とする理由
は、加工硬化度を大きくするとともに伸線加工限界を高
め、かつ表面残留応力を低くして耐疲労性を向上させる
ためである。加工硬化度を高くする理由は、超高強度を
出すためには加工度を非常に高くとらなければならず、
そのままでは加工限界を越えてしまうからであり、そこ
で8〜10°の低アプローチ角度ダイスを用いて伸線加
工限界を高め、しかも1パス毎の加工硬化度を高くして
相対的に総加工度を低く抑えるものである。しかし、そ
の角度が8°より小さくなるとスチールワイヤの引抜き
抵抗が高すぎてしまうので不適当である。
【0023】また、ダイスのベアリング長さ1をダイス
孔径d1に対して0.25〜0.35d1とするのは、ベ
アリング長さを従来のように0.5d1と大きくする
と、引き抜き抵抗が大きくなるため発熱が著しくなるた
め、スチールワイヤとの接触面積を小さくしてスチール
ワイヤの発熱を少なく抑えるべく、ベアリング長さを短
くしたのであり、これと前記アプローチ角度とのバラン
スにより伸線加工限界を高めつつ引き抜き抵抗を緩和す
ることができる。
【0024】さらに本発明は好適には最終ダイス通過直
後のワイヤ温度を150℃以下にする。これは前記のよ
うにアプローチ角とベアリング部長さの規定によるとこ
ろが大きいが、潤滑液温度を低く抑えることもワイヤ温
度の上昇を抑える効果があり、ワイヤの時効硬化による
靭性劣化を防止することができる。潤滑液温度を制御す
る方法は、潤滑液槽の外に循環ポンプと冷却機を設け、
潤滑液11を潤滑液槽10から強制的に抜きこれを冷却
して槽に戻す循環系とし、温度計測器によって潤滑液1
1を連続測温して冷却機の能力を調整して、潤滑液を操
業中35℃以下好適には30〜35℃程度に温度制御す
ればよい。これにより、上がりワイヤ温度を確実に熱流
束式温度測定器での測温温度で150℃以下にすること
が可能である。
【0025】前記のような仕上げ伸線までの工程を説明
すると、製造対象とするスチールワイヤは、C量が0.
80〜0.1.03重量%の炭素鋼線材を使用し、これ
を所定中間径に伸線し、熱処理・めっき・めっき拡散を
施した後乾式伸線を行い、次いで目的線径まで湿式伸線
を行なって得られるスチールワイヤである。炭素鋼線材
の炭素含有量の下限を0.80%としたのは、これを下
回る炭素量では、前記のような好適な最終伸線条件を採
用しても、軽量化とコンパノト化のための引っ張り強さ
YとしてY≧440−200d(kgf/mm2)が得られない
からである。具体的な化学的成分組成としては、C:
0.80〜1.03%、Si:0.15〜0.35%、
Mn:0.3〜0.9%、残部鉄および不可避的不純物
からなるものであるが、前記基本成分組成にCrやNi
などを合金元素として所定量添加していてもよい。
【0026】前記炭素鋼線材は直径が4.0〜5.5m
mのものが使用される。これを通常のように酸洗、コー
ティングを行い、連続乾式一次伸線して直径2.3〜
3.5mmの中間線材を得る。この段階で必要に応じて
パテンティング熱処理を行い、コーティング処理を行っ
て4〜5回程度の連続乾式二次伸線を行う。これにより
線径1.40〜2.60mm程度の中間線を得る。たと
えばCが0.92%の場合で製品素線径0.35mmを
製造する場合には、直径5.5mmの炭素鋼線材を乾式
一次伸線して直径3.25mmの中間線材を得しめ、こ
れを連続乾式二次伸線して2.20〜2.40mmの中
間線を得る。また同じ炭素量の場合において、製品素線
径0.20mmを得る場合には、直径4.0mmの炭素
鋼線材を乾式一次伸線して直径2.50mmの中間線材
を得しめ、これを連続乾式二次伸線して1.45mmの
中間線を得る。そして、この中間線の熱処理工程に移
り、この熱処理は例えばガス直火式などの加熱炉を用い
て行い、中間線は所定時間加熱され、オーステナイト化
される。次いで、加熱流動砂又は溶融鉛で冷却するパテ
ンティング炉中に送入され、ここで焼入れされ、パーラ
イト変態される。最終熱処理(パテンテイング処理)に
おいては、ベイナイト組織等の異組織を含まない均一な
微細パーライト組織とする。この時の線の強度は125
〜140kgf/mm2程度にすることが好ましい。
【0027】次いで、この線はめっき前処理槽内で電解
酸洗され、表面の酸化皮膜を除去する。そして次に電気
めっき槽に通され、所定量の銅めっきと亜鉛めっきが順
次施され、2層めっきとなる。次に、この線は加熱流動
砂を使った拡散炉中に通すか、又は線に直接通電して加
熱し、めっきの銅と亜鉛を相互に拡散させて真鍮にす
る。その後、冷却されることでめっき付きの最終原料ワ
イヤとなる。この拡散処理においては所定温度で所定時
間加熱を行なうが、β真鍮が多いとその後の伸線加工性
が悪くなるため、線の引張り強度を低下させない範囲内
でα真鍮ができるだけ多くなるような加熱温度と時間を
選ぶことが好ましい。そして前記最終原料ワイヤを液体
潤滑剤を使用して前記のような特定条件で連続湿式伸線
して目的径例えば直径0.1〜0.4mmのめっき付き
スチールワイヤを得るのである。
【0028】
【実施例】次に本発明の実施例を示す。原料として重量
%でC:0.92、Mn:0.53、Si:0.20、
Cr:0.23残部不可避的不純物の直径5.5mmの
高炭素鋼線材を用いた。この線材を乾式伸線して直径
2.24mmの中間原料線とし、さらにこの中間原料線
をパテンティング熱処理した後、真ちゅうめっきを施し
て最終原料ワイヤとし、引き続き、図1に示す伸線機を
使用し、24段で最終湿式連続伸線加工を行なって、直
径0.35mm(総減面率:98.0%)のスチールワ
イヤを製作した。
【0029】このときに使用したダイスはすべてアプロ
ーチ角度10°、ベアリング長さ0.3d1とした。ま
た、最終段における引抜きは、ノーマルダイスと2枚ス
キンパス用ダイス(3枚並べ=3分割)とノーマルダイ
スと3枚スキンパス用ダイス(4枚並べ=4分割)とし
た。あわせて比較のためノーマルダイスと1枚スキンパ
ス用ダイス(2枚並べ=2分割)の場合およびノーマル
ダイス1枚による引抜き(分割なし)も実施した。
【0030】使用したダイスのニブは最終段のものすべ
てに焼結ダイヤモンドを用い、かつそのすぐ上流の3枚
についても焼結ダイヤモンドニブを使用した。スキンパ
ス減面率は次の通りであり、数値は上流側のものから下
流側のものを順次示している。なお、分割なしの場合
(試料4)の減面率12.4%である。 3枚並べ(試料1):2.8%−2.8% 4枚並べ(試料2):2.8%−2.8%−2.8% 2枚並べ(試料3):2.8% 以上の条件で製作されたスチールワイヤの特性を調べた
結果は表1のとおりである。また、製作されたスチーメ
ワイヤを使用して1×2のスチールコードを作成した結
果を表2に示す。
【0031】なお、表1において、「正−逆デラミ」と
は、試料の長さを線径の300倍にとって一方向に10
回捻ったのち、逆方向に捻りを与える捻回−トルク測定
試験結果を意味し、一般にトルク低下率が7%以下が適
正である。この試験における結果が良好なものと結果が
不良なものの傾向を図5(a)(b)に示す。また、
「引掛け荷重」とは長さ300mmの試料をU状に曲げ
るとともに互いに交差させて自由端側をそれぞれ固定
し、その状態で牽引力を付加して切断荷重を測定した結
果である。またこれは(引掛け荷重/切断荷重)×10
0として表される。靭性は、伸び2.0%以上でかつ、
前記「正−逆デラミ」のトルク低下率が7%以下でかつ
(引掛け荷重/切断荷重)×100が50%以上である
場合に良好と判断される。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】この表1から明らかなように、本発明を適
用した試料1と試料2は高減面率により高強度化されて
いるにもかかわらず、靭性が非常に良好である。これに
対してスキンパスなしの場合(試料4)は当然のことと
して、スキンパス1枚の場合(試料3)は高強度化はさ
れているものの、靭性の面で劣っていることがわかる。
【0035】
【発明の効果】以上説明した本発明の請求項1と2によ
れば、非常に高加工を取っても靭性が非常に優れたスチ
ールワイヤを製造することができるというすぐれた効果
が得られる。請求項3によれば、高強度でしかも優れた
靭性を備え、軽量化コンパクト化に適したスチールコー
ドを提供することができるというすぐれた効果が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の適用される仕上げ連続湿式伸線
工程を模式的に示す平面図、(b)は同じくその模式的
断面図である。
【図2】本発明による最終段のダイスの一例と引抜き状
態を示す断面図である。
【図3】本発明による最終段のダイスの他の例と引抜き
状態を示す断面図である。
【図4】(a)は正−逆デラミ試験において特性が良好
な場合の傾向線図、(b)は正−逆デラミ試験において
特性が不良な場合の傾向線図である。
【符号の説明】
D” 最終段のダイス 5a ノーマルダイス 5b スキンパス用ダイス

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼線材に熱処理とめっきを施した後中間径
    まで伸線し、連続湿式伸線して目的径のスチールワイヤ
    を得る方法であって、仕上げの連続湿式伸線工程におい
    て、最終段の引抜きを3枚以上のダイス重ねダイスでか
    つこのダイスの頭の1枚のダイスを除く上り側の2枚以
    上のダイスでそれぞれ1.2〜3.9%の減面率のスキ
    ンパスを行なうことを特徴とするゴム補強用強靱スチー
    ルワイヤの製造法。
  2. 【請求項2】3枚以上の重ねダイスとしてそれぞれアプ
    ローチ角度2αが8〜10°、ベアリング長さが0.2
    5〜0.35d1(d1=ダイス孔径)のダイアモンドニ
    ブを使用し、最終ダイス通過のスチールワイヤ温度を1
    50℃以下に保持する請求項1に記載のゴム補強用強靱
    スチールワイヤの製造法。
  3. 【請求項3】高炭素鋼線材を熱処理した後伸線して得ら
    れるスチールワイヤであって、仕上げの連続湿式伸線工
    程において、最終段の引抜きを3枚以上のダイス重ねダ
    イスでかつこのダイスの頭の1枚のダイスを除く上り側
    の2枚以上のダイスでそれぞれ1.2〜3.9%の減面
    率のスキンパスを行って製造されたスチールワイヤを複
    数本撚り合わせたことを特徴とする強靱スチールコー
    ド。
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