JPH11241280A - 鋼線及びその製造方法 - Google Patents

鋼線及びその製造方法

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JPH11241280A
JPH11241280A JP4351898A JP4351898A JPH11241280A JP H11241280 A JPH11241280 A JP H11241280A JP 4351898 A JP4351898 A JP 4351898A JP 4351898 A JP4351898 A JP 4351898A JP H11241280 A JPH11241280 A JP H11241280A
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wire
die
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steel
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    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
    • D07B1/00Constructional features of ropes or cables
    • D07B1/06Ropes or cables built-up from metal wires, e.g. of section wires around a hemp core
    • D07B1/0606Reinforcing cords for rubber or plastic articles
    • D07B1/066Reinforcing cords for rubber or plastic articles the wires being made from special alloy or special steel composition

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 伸線加工時においても断線し難い優れた延性
を持ち、かつ撚線等の加工を加えても、あるいはさらに
加熱により時効硬化しても延性の低下が少ない高強度鋼
線と、その製造方法とを提供する。 【解決手段】 0.85から1.10重量%の炭素を含
有する高炭素鋼線材に熱処理と伸線加工を施して得られ
る直径が0.10から0.40mmの鋼線であり、引張
強さTS(N/mm)が、TS≧2500−1450
logD(Dは鋼線の直径(mm)、logは常用対
数)で表される関係を満足し、かつ、軸線が直線となる
ように保持した鋼線に、鋼線の直径の100倍の長さ当
たり3回に相当する捻りを加えてから元の状態に捻り戻
すことを繰り返したときに、鋼線にクラックが発生する
まで加えた捻り及び捻り戻しの総量である繰り返し捻り
試験値RT(回/100D)が、logRT≧2.0−
0.001{TS−(2500−1450logD)}
で表わされる関係を満足する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム物品の補強材
等に用いられる、延性に優れた高強度鋼線およびその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、スチールラジアルタイヤ、高圧ホ
ース等のゴム物品の補強に用いられる鋼線は、0.70
から0.90重量%程度の炭素を含む高炭素鋼鋼材を所
定の中間線径まで伸線して熱処理と黄銅めっき処理とを
施して高炭素鋼線材とし、さらに、この高炭素鋼線材を
最終線径まで伸線することにより製造されている。この
製造方法における熱処理としては、鋼線材を加熱してオ
ーステナイト化した後に冷却して微細パーライト組織と
する、いわゆるパテンティング処理が一般に行われてい
る。また、最終線径までの伸線は、液体潤滑剤を用いた
湿式伸線法が広く行われている。この鋼線をゴム物品の
補強に用いる場合には、単線、あるいは撚合わせてスチ
ールコードを形成したものを未加硫ゴム中に埋設し、こ
れを加熱して、ゴムの加硫および鋼線とゴムとの接着が
行われる。
【0003】近年、省エネ、省資源に対する要請の高ま
りを背景として、より高強度な鋼線の発現が望まれてい
る。上記のような製造方法により高強度な鋼線を製造す
るためには、鋼線材に施す伸線加工量を増加する必要が
ある。ところが、伸線加工量を増加すると鋼線の延性が
低下し、製造中の断線あるいは使用時の耐久性の低下等
の問題が生じ易くなる。そこで、より少ない伸線加工量
で高強度を得るべく、鋼線材の成分に関し、炭素含有量
増加やクロム等の合金元素の添加が提案されている。
【0004】例えば、特開平4−311523号公報に
は、炭素含有量が0.80〜1.10重量%であり、
0.1〜0.3重量%のクロムを含有する高炭素鋼線材
が開示されている。また、特開平5−295436号公
報には、炭素含有量が0.9〜1.10重量%の鋼線
材、あるいはこれにさらに0.10〜0.50重量%の
クロムを添加した鋼線材が開示されている。ところが、
上記のような鋼線材を用いればより少ない伸線加工量で
高強度を得ることができるが、延性は必ずしも改善され
るとは限らず、高強度と高延性とを両立するためには熱
処理と伸線加工を適正な条件で行うことが必要である。
【0005】炭素含有量が多い、いわゆる過共析鋼の熱
処理にあたっては、初析セメンタイトの生成を抑制する
ことが肝要とされており、例えば、特開平2−2944
26号公報には、加熱してオーステナイト化した後に冷
却してパーライト変態を起こさせる過程において、加熱
後から共析温度通過までの時間を0.8秒以下に設定す
ることにより、初析セメンタイトの発生を抑制する熱処
理方法が開示されている。また、特開平8−28386
7号公報には、オーステナイト化後の冷却過程において
パーライト変態開始前に加工を加え、炭素含有量に応じ
た特定範囲で変態させることにより、初析セメンタイト
の無い鋼線材を得る熱処理方法が開示されている。しか
しながら、これらの熱処理方法においてはパーライト変
態開始時の核発生頻度の著しい上昇を伴うため、得られ
る鋼線材のパーライトノジュールサイズが必要以上に小
さくなってしまう。このため、熱処理したままの鋼線材
の延性は良好になるものの、伸線加工による強度上昇率
が小さくなるために所要の強度を得るための伸線加工量
はさほど減少せず、伸線加工によって得られた鋼線の延
性もさほど改善されないという問題点がある。
【0006】また、特開平6−332040号公報に
は、0.90〜1.10重量%の炭素を含有する鋼線、
あるいは更に0.10〜0.30重量%のクロムを含有
する鋼線をオーステナイト化し、変態開始前に一旦35
0〜500℃に保定した後に600℃以下の温度まで1
0℃以上昇温して保定し、ベイナイト組織が面積率で8
0%以上の鋼線とする技術が開示されている。しかしな
がら、この方法によって得られる鋼線も伸線加工による
強度上昇率が小さいため、上述の初析セメンタイト抑制
に関する技術と同様の問題点がある。
【0007】一方、高強度鋼線を製造するための伸線加
工においては、加工される鋼線材の変形抵抗が高いため
に加工に伴う発熱が大きくなり、時効硬化による鋼線の
劣化や、ダイス摩耗の促進等の問題が発生し易い。そこ
で、伸線加工中の発熱を抑制を図り、例えば、次のよう
な技術が提案されている。
【0008】特開平8−24938号公報には、最終ダ
イスの摩擦係数を規制しつつ減面率を2〜11%とした
スキンパス伸線を施すことにより最終ダイスにおける発
熱を抑制する伸線方法が開示されている。また、特開平
8−218282号公報には、ダイスのベアリング長
さを短めにして引き抜き抵抗を下げ、最終引き抜きに
はダブルダイスを用いてスキンパス伸線とし、最終ダ
イスを含む伸線下流の数枚のダイスとして燒結ダイヤモ
ンドニブのものを用いて引き抜き力を低減し、さらに
潤滑液温度を低く保持する伸線技術が開示されている。
しかしながら、これらの伸線方法によれば、伸線直後の
鋼線の延性は良好となるものの、撚線等の加工を加えた
とき、あるいはゴム中に埋設後の加硫により時効硬化が
進行したときに延性が大きく低下するという問題点があ
る。これは、スキンパス等によりダイスの減面率を低く
して伸線すると、鋼線の表層部に加工歪みが集中するた
め、表層部の延性が大きく低下するためと推察される。
【0009】そこで、伸線加工によって導入される加工
歪みの分布の均一化を図り、加工歪みが最大となる表層
部の延性低下を抑制する技術が提案されている。例え
ば、特開平7−305285号公報には、最終ダイスで
の伸線加工歪みε(ε=2・ln(d/d)、d
=伸線加工前の鋼線材の直径(mm)、d=ダイス通
過後の鋼線の直径(mm),ln=自然対数)が4.0
以上となる伸線加工を行うにあたり、εが0.75未
満の伸線加工で用いるダイスの減面率を(22.67ε
+3)%から29%の範囲に、εが0.75以上2.
25以下の伸線加工で用いるダイスの減面率を20%か
ら29%の範囲に、εが2.25をこえる伸線加工で
用いるダイスの減面率を(−6.22ε+43)%から
(−5.56ε+32.5)%の範囲に調整して伸線す
ることを特徴とする鋼線の製造方法が開示されている。
しかしながら、このような製造方法によれば、表層部の
実質的な加工歪みは抑制されるが、伸線加工中の発熱に
よる時効硬化の抑制効果は不十分であり、伸線速度を増
加すると、伸線加工時あるいは撚線加工時に断線が生じ
易くなり、経済的な生産が困難であるという問題点があ
る。また、最終ダイスでの伸線加工歪みεが4.0以上
となる伸線加工についての条件を与えるものであり、炭
素含有量の増加、あるいはクロム等の添加により所要の
伸線加工歪みεを4.0未満にまで減少させて伸線する
場合の最適条件を与えるものではない。
【0010】また、従来、鋼線の延性の試験方法とし
て、鋼線が破断するまでに加えることのできる一方向の
捻り量である破断捻回値の大小で評価する方法、あるい
は、破断捻回値の大小と破断面の形態とを考慮して延性
の優劣を判断する方法等が採用されていた。また、特開
平8−218282号公報に開示されている発明におい
ては、一方向に所定回数捻った後、逆方向に捻り返して
鋼線が破断するまでの捻回−トルク曲線により延性の優
劣を判定する方法が採用されている。しかしながら、上
記のような従来の試験において良好な特性を示す鋼線
は、試験に供した時点での延性は良好であるものの、鋼
線に撚線等の加工を加えた後、あるいはさらに加熱によ
り時効硬化した後の延性が良好であるとは限らず、これ
らを補強材として使用したゴム物品の耐久性の向上が保
証されるものではないという問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の従来技術の問題点をふまえ、伸線加工時においても断
線し難い優れた延性を持ち、かつ撚線等の加工を加えて
も、あるいはさらに加熱により時効硬化しても延性の低
下が少ない高強度鋼線と、その製造方法とを提供するこ
とにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々実
験、検討の結果、前記課題を解決するためには、鋼線
の表層部の実質的な歪みを、特定の繰り返し捻り試験値
に基づき評価、規定すること、およびこれを製造する
ためには、単に過共析鋼線材を用いるのみならず、熱処
理条件、伸線条件あるいはその両者を適正化することに
より、伸線加工によって導入される加工歪みの分布の均
一化を図ることが重要であることを見出し、本発明を完
成するに至った。
【0013】すなわち、本発明の鋼線は、0.85から
1.10重量%の炭素を含有する高炭素鋼線材に熱処理
と伸線加工を施して得られる直径が0.10から0.4
0mmの鋼線であり、引張強さTS(N/mm)がT
S≧2500−1450logD(式中、Dは鋼線の直
径(mm)、logは常用対数を示す)で表される関係
を満足し、かつ、軸線が直径となるように保持した鋼線
に、鋼線の直径の100倍の長さ当たり3回に相当する
捻りを加えてから元の状態に捻り戻すことを繰り返した
ときに、鋼線にクラックが発生するまで加えた捻りおよ
び捻り戻しの総量である繰り返し捻り試験値RT(回/
100D)がlogRT≧2.0−0.001{TS−
(2500−1450logD)}で表わされる関係を
満足することを特徴とする。
【0014】本発明の鋼線は、好ましくは0.10から
0.50重量%のクロムを含有する。また、引張強さT
Sについては、TS≧2750−1450logDで表
される関係を満足することが好ましい。
【0015】また、本発明は、上述の鋼線の製造方法に
関するものであり、所定の中間線径の鋼線材に熱処理を
施してパーライト組織とする熱処理工程と、該熱処理を
施した鋼線材を最終線径まで伸線加工する湿式連続伸線
工程とを含む鋼線の製造方法において、熱処理工程が、
0.85から1.10重量%の炭素を含有する高炭素鋼
線材を加熱してオーステナイト相とする加熱段階と、オ
ーステナイト相とした線材を冷却して過冷オーステナイ
トとする冷却段階と、パーライト変態が進行する温度に
保持する保持段階とを含み、加熱段階における到達線温
度を800℃以上、1000℃未満とし、冷却段階以降
パーライト変態開始前に、線材の表層部温度がその内部
温度よりも低くなる時期を設け、鋼線内部の平均パーラ
イトノジュールサイズが2.5〜3.5μmであり、表
層部の平均パーライトノジュールサイズがその内部の平
均パーライトノジュールサイズよりも0.3μm以上小
さい組織とすることを特徴とする。
【0016】ここで、パーライトノジュールとは、パー
ライト組織を構成するセメンタイトラメラの方向がほぼ
一定となっている領域を指し、平均パーライトノジュー
ルサイズとは、断面に現われたパーライトノジュールの
平均円相当直径を指す。また、表層部とは、鋼線材の表
面からの深さが約100μm未満の部分を指し、内部と
は、鋼線材の表面からの深さが約100μm以上の部分
を指す。
【0017】本発明の鋼線の製造方法は、湿式連続伸線
工程における各ダイスでの伸線加工歪みεをε=2×l
n(D/d)(式中、Dは伸線加工前の鋼線材の直
径(mm)、dはダイス通過後の鋼線の直径(mm)、
lnは自然対数を示す)で表わし、各ダイスでの伸線加
工歪みεと最終ダイスでの伸線加工歪みεとの伸線加
工歪みの差△εを△ε=ε−εで表したときに、 最終ダイスにおける伸線加工歪みεを3.0から
4.0に、 最終ダイスの減面率を4.0%から8.0%に、 △ε≦1.0のダイスの減面率を(10.0×△ε+
8.0)%から(12.0×△ε+13.0)%に、 ε≦0.75のダイスの減面率を(20.0×ε+
3.0)%から25%に、の残りのダイスの減面率を
18%から25%として湿式連続伸線を行うことが好ま
しい。また、鋼線材として、好ましくは0.10から
0.50重量%のクロムを含有するものを用いる。
【0018】
【発明の実施の形態】先ず、本発明において採用する上
記繰り返し捻り試験を具体的に説明する。この試験は、
軸線が直線となるように保持した鋼線に、鋼線の直径の
100倍の長さ当たり3回に相当する量の捻りを繰り返
し与え、鋼線にクラックを発生させる試験である。試験
中の鋼線の軸線を直線に保持するためには、鋼線の軸線
方向に軽く張力を掛けておく。この鋼線をまず所定回数
回捻り、この時点から逆方向に同量だけ捻り戻すこ
とによりもとの状態に戻す。これを1サイクルとして繰
り返し、鋼線にクラックを発生させる。ここで、所定回
数Nとは鋼線の直径の100倍の長さ当たり3回に相
当する捻り回数であり、捻りに供される鋼線の長さをL
(mm)、鋼線の直径をD(mm)とすれば、式N
3×(L/100D)で表される値である。
【0019】また、繰り返し捻り試験値RTとは、上記
の試験において鋼線にクラックが発生するまでに加えら
れた捻りおよび捻り戻しの総量を、長さ100D当たり
の捻り回数で表わした値であり、次のようにして求め
る。すなわち、N回の捻りと捻り戻しサイクルをn回
繰り返した次のサイクルでNf1回(Nf1≦N)捻
った時点でクラックが発生したとすれば、繰り返し捻り
試験値RT(回/100D)は、次式、 RT=(2nN+Nf1)/(L/100D) (6a) で表わされる。また、N回の捻りと捻り戻しサイクル
をn回繰り返した次のサイクルで、N回捻り、ここか
らNf2回(Nf2≦N)だけ捻り戻した時点でクラ
ックが発生したとすれば、繰り返し捻り試験値RT(回
/100D)は、次式、 RT={(2n+1)N+Nf2}/(L/100D) (6b) で表わされる。
【0020】上記繰り返し捻り試験の好適な条件は下記
の通りである。 (1)捻りに供される鋼線の長さは、約50mmとす
る。 (2)鋼線の軸方向に掛ける張力は、鋼線の直径が0.
25mm以下のときは約1.0kgに、0.25mmを
超えるときは約1.5kgとする。 (3)鋼線の捻り速度は、約30回/分とする。 (4)クラック発生の検出は、クラック発生に伴うアコ
ースティックエミッション(AE波)を検出することに
より行う。AE波は、固体が変形または破壊する際の歪
みエネルギーの開放によって発生する弾性波である。こ
れをAEセンサーを用いて電気信号としてとらえること
により、試験片が破断する以前の微小なクラック発生を
も正確に検出することができ、精度よく評価することが
できる。
【0021】本発明において、鋼線の延性の指標として
前述した繰り返し捻り試験値を採用したのは、繰り返し
捻り試験値の高い鋼線は、試験に供した時点での延性が
高いのみならず、これに撚線等の加工を加えても、ある
いは加熱により時効硬化させても延性の低下が小さいこ
とを新規に知見したためである。
【0022】一般に、鋼線の引張強さが高いほど、ある
いは鋼線の直径が大きいほど延性の確保が困難となる。
このため、従来の鋼線は、TS≧2500−1450l
ogD、およびlogRT≧2.0−0.001{TS
−(2500−1450logD)}を同時に満足する
ものではなかったが、本発明の鋼線はこれら両者を満足
し、実際にゴム物品の補強材等として使用されるとき
も、高い強度と優れた延性を併せ持つものである。
【0023】鋼線の強度については、引張強さTS(N
/mm)がTS≧2500−1450logDを満足
すればゴム物品の補強材として好適に使用することがで
きるが、TS≧2750−1450logDを満足する
ようにすれば、ゴム物品の軽量化に対して顕著な効果を
もたらす。
【0024】上記のような繰り返し捻り試験値が高い鋼
線とするためには、鋼線の表層部の延性が、伸線加工に
伴う延性低下の少ない鋼線内部の延性に近いことが望ま
しい。この鋼線の表層部と内部の延性の比較は、鋼線の
体積の約10%に当たる表層部を除去した鋼線の繰り返
し捻り試験値と、表層部を除去しない鋼線の繰り返し捻
り試験値とを比較することにより行うことができ、表層
部を除去しない鋼線の繰り返し捻り試験値が、表層部を
除去した鋼線の繰り返し捻り試験値の80%以上である
ことが好ましい。
【0025】なお、本発明の鋼線をゴム物品の補強材と
して使用するときには、表面にゴム接着性の皮膜を設け
ることができる。ゴム接着性の皮膜を設ける手段として
は、熱処理を施した鋼線材の表面に黄銅めっき層を形成
してから伸線加工する等の、従来の手段を適用すること
ができる。
【0026】次に、本発明の鋼線の製造方法について説
明する。本発明の鋼線の製造方法は、所定の中間線径の
鋼線材に熱処理を施してパーライト組織とする熱処理工
程と、該熱処理を施した鋼線材を最終線径まで伸線加工
する湿式連続伸線工程とを含む鋼線の製造方法におい
て、次のような熱処理を施すことを特徴とする。
【0027】すなわち、本発明の鋼線の製造方法におけ
る熱処理工程では、0.85から1.10重量%の炭素
を含有する高炭素鋼線材を使用し、これを加熱してオー
ステナイト相とする加熱段階と、オーステナイト相とし
た線材を冷却して過冷オーステナイトとする冷却段階
と、パーライト変態が進行する温度に保持する保持段階
とを含み、加熱段階における到達線温度を800℃以
上、1000℃未満とし、冷却段階以降パーライト変態
開始前に、線材の表層部温度がその内部温度よりも低く
なる時期を設け、鋼線内部の平均パーライトノジュール
サイズが2.5〜3.5μmであり、表層部の平均パー
ライトノジュールサイズがその内部の平均パーライトノ
ジュールサイズよりも0.3μm以上小さい組織とす
る。
【0028】ここで、0.85から1.10重量%の炭
素を含有する高炭素鋼線材を用いるのは、炭素含有量を
0.85重量%以上とすることにより、熱処理後の鋼線
材の引張強さを高め、所要の引張強さの鋼線を得るため
に必要な伸線加工量を低減することができ、伸線加工に
よって導入される加工歪みを低減することができるため
である。一方、炭素含有量が1.10%を超えると、伸
線加工性が悪化し、経済的な製造が困難になるためであ
る。好ましくは、0.88から0.95重量%の炭素を
含有する高炭素鋼線材を用い、熱処理後の引張強さが1
35から150kg/mmとなるようにする。また、
同様の理由から、0.10から0.50重量%のクロム
を含有する高炭素鋼線材を用いることが有利である。
【0029】本発明の鋼線材の製造方法における熱処理
の主たる特徴は、冷却段階以降パーライト変態開始前
に、線材の表層部温度が内部温度よりも低くなる時期を
設けることであり、好ましくは、表層部温度と内部温度
との差が5℃以上、さらに好ましくは、10℃以上とな
る時期を設ける。すなわち、表層部のオーステナイトの
過冷度を内部のオーステナイトの過冷度よりも大きくす
ることにより、続くパーライト変態での表層部における
パーライト核発生の頻度を内部よりも多くし、表層部の
平均パーライトノジュールサイズを内部よりも小さくす
る。
【0030】このような温度履歴を与えるためには、加
熱によりオーステナイト相とした線材を過冷オーステナ
イトとする段階において、線材表面から熱を奪う速度
を、線材内部から表層部に熱が移動する速度よりも大き
くすることが必要である。一方、パーライト変態が進行
する温度に保持する保持段階においては、パーライト変
態に伴って発生する潜熱を奪いつつも線温度が過剰に低
下しないように保持し、ベイナイトの発生を抑制しつつ
鋼線材の強度を確保することが好ましい。
【0031】そこで、冷却段階に用いる冷却手段と保持
段階に用いる保持手段とを夫々設け、これらの冷却能力
を個別に制御できるようにすることがこの発明の実施に
おいて有利である。冷却手段および保持手段としては、
溶融鉛浴、流動層浴、強制空冷および水冷却等を用いる
ことができる。また、冷却手段と保持手段とが同じ手段
である必要はなく、異なる手段を組み合わせてもよい。
【0032】なお、冷却手段および保持手段として流動
層を用いる場合は、表層部の平均パーラートノジュール
サイズをその内部のそれよりも0.3μm以上小さい組
織とするためには、冷却用流動層の温度を保持用流動層
の温度よりも30°以上低くし、冷却段階において線材
表面から速やかに熱を奪うようにすることが好ましい。
さらに好ましくは、冷却用流動層の温度を保持用流動層
の温度よりも50°以上低くする。
【0033】また、加熱してオーステナイト相とする段
階においては、オーステナイト化を完全にするために、
到達線温度を800℃以上にする。そして、平均パーラ
イトノジュールサイズを2.5〜3.5μmとするため
には、到達線温度を800℃以上1000℃以下、好ま
しくは950℃以下とし、オーステナイト粒の大きさが
過大にならないようにする。
【0034】さらに、線材の黒化処理、高周波誘導炉加
熱等により、オーステナイト化のための加熱の昇温速度
を速くして短時間でオーステナイト化を行えば、この発
明をさらに有利に実施することができる。すなわち、こ
のようにすることにより、オーステナイト粒の大きさを
より小さくすることができるため、鋼線内部の平均パー
ライトノジュールサイズを2.5〜3.5μmとするこ
とがより容易となる。
【0035】本発明において、鋼線材の内部の平均パー
ライトノジュールサイズが2.5〜3.5μmとなるよ
うにするのは、続く湿式連続伸線工程における、伸線加
工性と加工硬化性とを両立させるためである。すなわ
ち、鋼線材内部の平均パーライトノジュールサイズが
2.5μm未満であると伸線加工による強度の増加率が
低下し、所要の強度の鋼線を得るには伸線加工量を増加
しなければならなくなる。一方、鋼線材内部の平均パー
ライトノジュールサイズが3.5μmを超えると延性が
低下し、続く湿式連続伸線工程において、内部クラック
等が発生しやすくなる。
【0036】また、表層部の平均パーライトノジュール
サイズをその内部のそれよりも0.3μm以上小さい組
織とするのは、鋼線材の表層部の平均パーライトノジュ
ールサイズが小さいほど伸線加工後の鋼線の表層部のフ
ェライト実質歪みが小さくなるという関係が有り、表層
部の平均パーライトノジュールサイズをその内部のそれ
よりも0.3μm以上小さい組織とすることにより、鋼
線の繰り返し捻り試験値の改善に対して顕著な効果が得
られることを見出したためである。
【0037】従って、鋼線材内部の平均パーライトノジ
ュールサイズを2.5から3.5μmとし、かつ表層部
の平均パーライトノジュールサイズを内部のそれよりも
0.3μm以上小さくすることで、伸線加工性と加工硬
化特性に優れ、かつ伸線加工による表層部の歪み増加が
少ない鋼線材を得ることができる。
【0038】上記熱処理に続く湿式連続伸線工程におい
て、鋼線材表層部への伸線加工歪みの集中がなるべく生
じない条件で伸線することが望ましい。一般に、ダイス
アプローチ角度が小さいほど、あるいはダイスの減面率
が大きいほど加工歪みの分布は均一となり、鋼線表層部
への加工歪みの集中は緩和される。そこで、表層部への
加工歪み集中緩和に関しては、引抜力が加工される鋼線
材の破断強度を超えない範囲内で、各ダイスのアプロー
チ角度をなるべく小さく、減面率はなるべく大きく設定
することが望ましい。しかしながら、実際の操業におい
ては、ダイス加工精度、潤滑性等の観点から、アプロー
チ角度が狭小な、例えば5度未満のダイスを鋼線材の伸
線に用いることは現実的でない。そこで、減面率を極力
大きく設定することが望ましいのであるが、各ダイスの
減面率を一律に高く設定すると、良好な潤滑が困難とな
ってかえって表層部の歪みが増加したり、断線が増加し
たりして、生産性良く経済的に製造することが困難とな
る。そこで、伸線加工歪み分布の均一性に加え、湿式連
続伸線における鋼線通過速度、鋼線の変形抵抗、鋼線の
表面状態等の推移をも考慮して設定することが好まし
い。
【0039】具体的には、鋼線材の伸線に一般に使用さ
れている形状のダイス、例えばアプローチ角が8°から
12°、ベアリング長さが0.3dから0.6d程度の
ものを使用する場合、次のような条件で湿式連続伸線を
実施することが好ましい。すなわち、湿式連続伸線工程
における各ダイスでの伸線加工歪みεをε=2×ln
(D/d)(式中、Dは伸線加工前の鋼線材の直径
(mm)、dはダイス通過後の鋼線の直径(mm)、l
nは自然対数を示す)で表わし、各ダイスでの伸線加工
歪みεと最終ダイスでの伸線加工歪みεnとの伸線加工
歪みの差△εを△ε=εn−εで表したときに、 最終ダイスにおける伸線加工歪みεnを3.0から
4.0に、 最終ダイスの減面率を4.0%から8.0%に、 △ε≦1.0のダイスの減面率を(10.0×△ε+
8.0)%から(12.0×△ε+13.0)%に、 ε≦0.75のダイスの減面率を(20.0×ε+
3.0)%から25%に、の残りのダイスの減面率を
18%から25%として湿式連続伸線を行う。
【0040】上記によって規定されるダイス減面率の好
ましい範囲を、図1に斜線領域にて示す。最終ダイスの
減面率を他のダイスの減面率よりも低く4%から8%の
範囲に設定するのは、次の理由による。通常の湿式連続
伸線装置においては、最終ダイス以外のダイスでの伸線
は潤滑液中で行われるのに対し、最終ダイスを通過した
鋼線は潤滑液に浸漬されない。このため、最終ダイスの
減面率を8%よりも高く設定すると、最終ダイス通過後
の鋼線の温度が高くなって時効による延性低下が大きく
なり、伸線速度の増加によってさらにそれが助長され
る。また、潤滑性が損なわれ、ダイス寿命の低下や、鋼
線表面の損傷等の問題も生じやすい。そこで、最終ダイ
スの減面率の上限を8%とする。一方、最終ダイスの減
面率が4%未満の、いわゆるスキンパス伸線を施すと、
伸線加工歪みが鋼線表層部に集中し、繰り返し捻り試験
値の低下をもたらすため、最終ダイスの減面率の下限値
を4%とした。
【0041】また、△ε=ε−ε(式中、εは最終
ダイスにおけるε値)が1.0以下の伸線加工で用いる
ダイスの減面率を、図1に示すように、最終ダイスに向
かって上限と下限とが漸減する範囲とし、(10.0×
△ε+8.0)%から(12.0×△ε+13.0)%
に設定するのは、伸線加工歪み分布を過度に不均一にし
ない範囲で、伸線中の温度上昇による鋼線の延性劣化や
潤滑性の劣化を抑制するためである。すなわち、△εが
0.1以下になると鋼線の変形抵抗が急に増加するよう
になるとともに鋼線の通過速度も増加する。このため、
△εが0.1以下のダイスの減面率を(12.0×△ε
+13.0)%を超えて設定すると、伸線加工に伴う発
熱が大きくなり、伸線中および撚線工程における断線や
ダイス寿命の低下等が生じやすくなる。一方、△εが
0.1以下のダイスの減面率を(10.0×△ε+8.
0)%未満に設定すると、表層部への加工歪みの集中が
大きくなり、鋼線の繰り返し捻り試験値の低下をもたら
す。
【0042】なお、εと鋼線材の変形抵抗との関係は、
鋼線材の炭素含有量、Cr含有量等によって異なるが、
上述のようにダイスの減面率を△εとの関係において設
定することにより、鋼線材の成分に拘らず、最終ダイス
近傍における時効硬化による延性劣化を伸線加工歪み分
布を過度に不均一にせず、抑制することができる。
【0043】その上流の、△εが0.1を超えるダイス
においては、鋼線材の変形抵抗と通過速度がともにさほ
ど高くないため、伸線加工歪み分布をなるべく均一にす
べく、ダイス減面率を18%以上とすることが好ましい
が、25%を超えると引抜力過大による断線が生じやす
くなる。また、εが0.75以下のダイスにおいては、
鋼線材の表面の潤滑性が悪く、ダイス減面率を高くする
と断線が生じやすい場合がある。特に、表面に黄銅めっ
き等を施した鋼線材は、伸線初期のダイスの減面率を大
きく設定するとめっきの剥離等が生じやすく、鋼線材表
層部の損傷等により、製造される鋼線の表層部の歪みが
かえって大きくなってしまうことがある。このような場
合は、第1パス目のダイスの減面率を低く設定し、下流
向かってダイスの減面率を漸増することが好ましいが、
伸線加工歪み分布を過度に不均一にしないように、εが
0.75以下のダイスの減面率の下限を(20.0×ε
+3.0)%とする。
【0044】特に好ましくは、上述のダイス減面率の範
囲内において、εが0.75近傍のダイスの減面率をな
るべく高く設定し、その下流のダイスの減面率の略推移
がεの増加に従って減少するように設定する。特に、引
張強さTS(N/mm)がTS≧2750−1450
logDを満足するような高強度鋼線の製造に対して効
果的である。
【0045】なお、本発明の鋼線の製造方法において
は、0.85から1.10重量%の炭素を含有する高炭
素鋼線材を用いるため、εn、すなわち総伸線加工歪み
量を高々3.0以上とすることで、引張強さが高く、ゴ
ム物品補強材として好適な鋼線を製造することができ
る。また、εnが4.0未満でも引張強度が4000N
/mmを超えるような超高強力鋼線が製造できるた
め、εnが4.0を超えるような過度な伸線を敢えて施
すこと無く、高い強度と延性を両立する鋼線を容易に製
造することができる。
【0046】また、伸線加工を施した後に、張力を加え
ながら繰り返し曲げ加工を施すことも好ましい。これに
より表層部の加工歪みがさらに低減するために延性が改
善され、同時に表面引張り残留応力も低減することがで
き、優れた耐久性を持つ鋼線とすることができる。な
お、ダイス減面率を上述の条件に設定して伸線した鋼線
は、厳しい曲げ加工を施すときでも断線し難く、繰り返
し曲げ加工を容易に実施することができる。
【0047】
【実施例】実施例1〜3、比較例1,2 約4000N/mmの引張強さを有する直径0.19
mmの鋼線に関する実施例および比較例について説明す
る。約0.90重量%の炭素を含有しクロムを含有しな
い直径約5.5mmの高炭素鋼材(90C材)に乾式伸
線を施し、直径約1.32mmの鋼線材を製造した。ま
た、約0.90重量%の炭素と約0.20重量%のクロ
ムを含有する直径約5.5mmの高炭素鋼材(90C−
Cr材)に乾式伸線を施し、直径約1.25mmの鋼線
材を製造した。さらに、比較のために、約0.82重量
%の炭素を含有しクロムを含有しない直径約5.5mm
の高炭素鋼材(82C材)に乾式伸線を施し、直径約
1.46mmの鋼線材を製造した。これらの鋼線材に、
図2の熱処理−めっき工程フローの説明図に示すような
(I)〜(VIII)からなる設備を用い、下記表1に示す
条件での熱処理と黄銅めっき処理とを施し、黄銅めっき
鋼線材を製造した。なお、黒化処理は、鋼線材を炭素懸
濁液中に通過させた後に乾燥することで実施した。
【0048】
【表1】
【0049】上記表1において、鋼線材(I)および
(II)では、鋼線材表面から熱を奪う速度を線材内部か
ら表層部に熱が移動する速度よりも大きくすべく、冷却
用流動層の温度を保持用流動層の温度よりも50℃以上
低く設定し、表層部の平均パーライトノジュールサイズ
を内部のそれよりも0.3μm以上小さくした。これら
適合例の熱処理の冷却段階以降パーライト変態開始前に
おける、鋼線材の表層部と内部の温度差の最大値は、約
10℃と見積もられる。
【0050】鋼線材(III)は、冷却用流動層の設定温
度と保持用流動層の設定温度との差が小さく、表層部の
平均パーライトノジュールサイズと内部のそれとの差が
0.3μm未満である従来の熱処理を施した例である。
また、鋼線材(IV)は、表層部の平均パーライトノジュ
ールサイズを内部のそれよりも0.3μm以上小さくし
ているが、炭素含有量の少ない82C材を用いた例であ
る。
【0051】上記表1に示す引張強さは、JIS G3
510の引張試験に基づき測定した。また、平均パーラ
イトノジュールサイズは次の(1)〜(4)に従い測定
した。 (1)黄銅めっき鋼線材を樹脂に埋め込み横断面を鏡面
研磨した後に、1%硝酸アルコール溶液にてエッチング
した。 (2)エッチングした横断面をSEMにて5000倍に
拡大し、写真撮影した。写真撮影の総視野面積は、表層
部および内部の各々の部分について1000μm以上
とした。 (3)撮影した総視野中のパーライトノジュールの個数
を求め、パーライトノジュール1個当たりの平均面積を
求めた。 (4)上記平均面積と同面積となる円の直径を求め、平
均パーライトノジュールサイズとした。
【0052】次に、これらの黄銅めっき鋼線材(I)〜
(IV)を、下記表2に示す条件にて伸線し、直径0.1
9mmの鋼線を製造した。伸線にあたり、アプローチ角
が約12°でベアリング長さが約0.5dの超硬合金ダ
イスと、スリップ式の湿式連続伸線機を用いた。また、
湿式連続伸線機の最終ダイスと巻取りとの間に図3の
(イ)に示すような曲げ加工装置を設置し、ローラー径
12mm、ローラー個数20個、カミ量約3mm(図3
(ロ))、張力約2kgの条件にて鋼線に繰り返し曲げ
加工を施した。
【0053】
【表2】
【0054】表2において、パススケジュールAおよび
Bは、ダイス減面率を、本発明の鋼線の製造方法におけ
る好適な範囲に設定した例である。パススケジュールC
は、各ダイス減面率を本発明の鋼線の範囲において低く
設定した例である。また、比較例2におけるパススケジ
ュールDは、εが4.0を超える伸線加工を施すにあた
り、特開平7−305285号公報に開示されたダイス
減面率の条件に適合するパススケジュールを採用した。
これらの4種類のパススケジュールの詳細を下記表3か
ら表6に、またεとダイス減面率との関係を図4から図
7に夫々示す。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】各々の条件にて製造した鋼線の引張強さT
Sおよび繰り返し捻り試験値RTを測定した。測定条件
は下記の通りである。引張強さTSは、JIS G35
10の引張り試験に準拠して測定した。
【0060】繰り返し捻り試験値RTは、図10に示す
装置を用いて行った。図10において、6は試験に供す
る鋼線1の一端を把持する回転側チャックであり、装置
ベース12上に固定された駆動機構8により、把持した
鋼線1の軸周りに回転される。7は固定側チャックであ
り、鋼線1の他端を回転しないように把持する。固定側
チャック7は、鋼線1の軸線方向に移動できるように装
置ベース12上に支持されている。固定側チャック7の
鋼線1とは反対側には、プーリー10を介して重り11
をぶら下げたワイヤ9が接続されており、鋼線1に張力
を掛けるようになっている。
【0061】繰り返し捻り試験値RTの測定にあたり、
捻りに供される鋼線の長さが50mmとなるように、回
転側チャック6と固定側チャック7との間の鋼線1の長
さを調整し、鋼線1の端部を回転側チャック6および固
定側チャック7で把持した。また、重り11は、重さが
約1.0kgのものを用いた。鋼線の直径の100倍の
長さ当たり3回に相当する回転数Nは、式N=3×
(L/100D)よりN=7.89であり、駆動機構
8により、回転側チャック6を時計方向へ7.89回転
させてから反時計方向へ7.89回転させて元の位置に
捻り戻すことを繰り返し、鋼線1に、鋼線の直径の10
0倍の長さ当たり3回に相当する量の捻りを繰り返し与
えた。なお、回転側チャック6の回転速度は約30回/
分とした。
【0062】また、クラック発生の検出は、図10にお
いて鋼線1の直下に配置したAEセンサー4により行っ
た。また、AEセンサー4の上にはグリース5を盛り付
けて鋼線1がグリース5中を貫通するようにし、AE波
を効率よく検出できるようにした。なお、AEセンサー
は、利得が約40dBのプリアンプを内蔵する周波数帯
域90〜300kHzのものを用い、50kHzのハイ
パスフィルタおよび1000kHzのローパスフィルタ
を通して利得60dBのメインアンプに接続し、メイン
アンプ出力を記録計に表示させた。試験中のノイズに起
因するメインアンプの出力は、±数十μVであったのに
対し、クラック発生時には±数百μVの出力が得られ、
クラック発生の時点を明確に特定することができた。
【0063】得られた結果を下記の表7および図11に
示す。なお、繰り返し捻り試験値は、各々の鋼線につい
て5回測定した。
【0064】
【表7】
【0065】表7に示すように、各実施例および比較例
の鋼線の引張強さはほぼ同等であり、狙いの引張強さを
満足するものであった。また、図11に示すように、実
施例1〜3の鋼線は本発明に規定する繰り返し捻り試験
値を満たすが、比較例1,2の鋼線はこれを満たすもの
ではなかった。また、クロムを含有する鋼線材を用いて
本発明に適合する熱処理を施し、かつ好適なダイス減面
率で湿式伸線した実施例2の鋼線は、特に高い繰り返し
捻り試験値を示した。
【0066】実施例4、比較例3 次に約3300N/mmの引張強さを有する直径0.
28mmの鋼線に関する実施例および比較例について説
明する。
【0067】約0.90重量%の炭素と約0.20重量
%のクロムを含有する直径約5.5mmの高炭素鋼材
(90C−Cr材)に乾式伸線を施し、直径約1.32
mmの鋼線材を製造した。さらに、比較のために、約
0.82重量%の炭素を含有しクロムを含有しない直径
約5.5mmの高炭素鋼材(82C材)に乾式伸線を施
し、直径約1.53mmの鋼線材を製造した。これらの
鋼線材に、図2の熱処理−めっき工程フローの説明図に
示すような設備を用い、下記表8に示す条件での熱処理
と黄銅めっき処理とを施し、黄銅メッキ鋼線材を製造し
た。
【0068】
【表8】
【0069】表8において、鋼線材(V)では、冷却用
流動層の温度を保持用流動層の温度より50℃以上低く
設定し、表層部の平均パーライトノジュールサイズを内
部のそれよりも0.3μm以上小さくした。また、鋼線
材(VI)は、82C材を用い、表層部の平均パーライ
トノジュールサイズと内部のそれとの差が0.3μm未
満である従来の熱処理を施した例である。
【0070】次に、これらの黄銅メッキ鋼線材を、下記
表9に示す条件にて伸線し、直径0.28mmの鋼線を
製造した。伸線にあたり、アプローチ角が約12°でベ
アリング長さが約0.5dの超硬合金ダイスと、スリッ
プ式の湿式連続伸線機を用いた。また、湿式連続伸線機
の最終ダイスと巻取り部との間に図3に示すような曲げ
加工装置を接地し、ローラー径16mm、ローラー個数
9個、カミ量約6mm、張力約2kgの条件にて鋼線に
繰り返し曲げ加工を施した。
【0071】
【表9】
【0072】表9において、パススケジュールEおよび
Fは、ダイス減面率を、本発明の鋼線の製造方法におけ
る好適な範囲に設定した例である。これらの4種類のパ
ススケジュールの詳細を下記表10と表11に、またε
とダイス減面率との関係を図8と図9に夫々示す。
【0073】
【表10】
【0074】
【表11】
【0075】各々の条件にて製造した鋼線の引張強さT
Sおよび繰り返し捻り試験値RTを測定した。繰り返し
捻り試験値RTは、N=5.36、重り11の重さ約
1.5kgとし、その他の条件は直径0.19mmの鋼
線の実施例と同じにして測定した。その結果を下記表1
2および図11に示す。なお、繰り返し捻り試験値は、
各々の鋼線について5回測定した。
【0076】
【表12】
【0077】表12に示すように、実施例4および比較
例3の鋼線の引張強さはほぼ同等であり、狙いの引張強
さを満足するものであった。また、図11に示すよう
に、実施例4の鋼線は本発明に規定する繰り返し捻り試
験値を満たすが、比較例3の鋼線はこれを満たすもので
はなかった。
【0078】次に、実施例2および比較例2の鋼線につ
いて、ゴム物品補強材としての耐久性を次のようにして
評価した。各々の鋼線を3+8構造のスチールコードに
撚り上げ、図12に示すように、このスチールコード2
1をゴム22中に多数本を並列して埋設し、145℃で
45分間の加硫処理を行い、耐久性試験片20を作製し
た。これらの試験片20に、図13に示すプーリー30
を用いた装置を使用し、コード1本あたり5kgの張力
を加えながら繰り返しまげを与え、破断に要する繰り返
し曲げ回数を測定した。その結果、図14に示すよう
に、実施例2の鋼線は、比較例2の鋼線に比べ優れた耐
久性を示した。
【0079】
【発明の効果】以上に説明してきたように、本発明の鋼
線は、高い強度と優れた延性を併せ持つものであり、し
かも撚線等の加工、加硫により加熱時効等を施しても延
性の低下が少なく、ゴム物品の補強材として用いるとき
にも優れた耐久性を示すものである。このように優れた
特性を有する鋼線は、本発明の製造方法により得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鋼線材の製造方法における、ダイス減
面率の好適な範囲を示す線図である。
【図2】熱処理−めっき工程のフローの説明図である。
【図3】繰り返し曲げ加工装置の説明図である。
【図4】パススケジュールAのダイス減面率を示す線図
である。
【図5】パススケジュールBのダイス減面率を示す線図
である。
【図6】パススケジュールCのダイス減面率を示す線図
である。
【図7】パススケジュールDのダイス減面率を示す線図
である。
【図8】パススケジュールEのダイス減面率を示す線図
である。
【図9】パススケジュールFのダイス減面率を示す線図
である。
【図10】繰り返し捻り試験に用いた装置の説明図であ
る。
【図11】実施例および比較例の鋼線の繰り返し捻り試
験値を示す線図である。
【図12】耐久性試験片の透視斜視図である。
【図13】耐久性試験に用いた装置の説明図である。
【図14】実施例2および比較例2の鋼線による耐久試
験片の破断までの曲げ回数を示す線図である。
【符号の説明】
1 鋼線 2 ローラー 3 カミ量 4 AEセンサー 5 グリース 6 回転側チャック 7 固定側チャック 8 駆動機構 9 ワイヤ 10 プーリー 11 重り 12 装置ベース 20 耐久試験片 21 スチールコード 22 ゴム 30 プーリー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22C 38/00 301 C22C 38/00 301Y 38/18 38/18

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.85から1.10重量%の炭素を含
    有する高炭素鋼線材に熱処理と伸線加工を施して得られ
    る直径が0.10から0.40mmの鋼線であり、引張
    強さTS(N/mm)が次式、 TS≧2500−1450logD (1) (式中、Dは鋼線の直径(mm)、logは常用対数を
    示す)で表される関係を満足し、 かつ、軸線が直線となるように保持した鋼線に、鋼線の
    直径の100倍の長さ当たり3回に相当する捻りを加え
    てから元の状態に捻り戻すことを繰り返したときに、鋼
    線にクラックが発生するまで加えた捻り及び捻り戻しの
    総量である繰り返し捻り試験値RT(回/100D)
    が、次式、 logRT≧2.0−0.001{TS−(2500−1450logD)} (2) で表わされる関係を満足することを特徴とする鋼線。
  2. 【請求項2】 0.10から0.50重量%のクロムを
    含有する請求項1記載の鋼線。
  3. 【請求項3】 引張強さが次式、 TS≧2750−1450logD (3) (式中、TS、D、及びlogは前記と同じものを示
    す)で表わされる関係を満足する請求項1又は2記載の
    鋼線。
  4. 【請求項4】 所定の中間線径の鋼線材に熱処理を施し
    てパーライト組織とする熱処理工程と、該熱処理を施し
    た鋼線材を最終線径まで伸線加工する湿式連続伸線工程
    とを含む請求項1記載の鋼線の製造方法において、 熱処理工程が、0.85から1.10重量%の炭素を含
    有する高炭素鋼源線材を加熱してオーステナイト相とす
    る加熱段階と、オーステナイト相とした線材を冷却して
    過冷オーステナイトとする冷却段階と、パーライト変態
    が進行する温度に保持する保持段階とを含み、 加熱段階における到達線温度を800℃以上、1000
    °未満とし、 冷却段階以降パーライト変態開始前に、線材の表層部温
    度がその内部温度よりも低くなる時期を設け、 線材内部の平均パーライトノジュールサイズが2.5〜
    3.5μmであり、表層部の平均パーライトノジュール
    サイズがその内部の平均パーライトノジュールサイズよ
    りも0.3μm以上小さい組織とすることを特徴とする
    鋼線の製造方法。
  5. 【請求項5】 湿式伸線連続伸線工程における各ダイス
    での伸線加工歪みεを次式、 ε=2×ln(D/d) (4) (式中、Dは伸線加工前の綱線材の直径(mm)、d
    はダイス通過後の鋼線の直径(mm),lnは自然対数
    を示す)で表わし、各ダイスでの伸線加工歪みεと最終
    ダイスでの伸線加工歪みεとの伸線加工歪みの差Δε
    を次式 Δε=ε−ε (5) で表したときに、 最終ダイスにおける伸線加工歪みεを3.0から
    4.0に、 最終ダイスの減面率を4.0%から8.0%に、 Δε≦1.0のダイスの減面率を(10.0×Δε+
    8.0)%から(12.0×Δε+13.0)%に、 ε≦0.75のダイスの減面率を(20.0×ε+
    3.0)%から25%に、 残りのダイスの減面率を18%から25% として湿式連続伸線を行う請求項5記載の鋼線の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 0.10から0.50重量%のクロムを
    含有する綱線材を用いる請求項4または5記載の鋼線の
    製造方法。
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