JP6724400B2 - 強度と延性のバランスに優れた高強度極細鋼線及びその製造方法 - Google Patents
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Description
詳しくは、ダイスを用いて冷間で伸線加工強化された線径0.04〜0.4mm、強度4600MPa級以上の極細鋼線及びその製造方法に関する。
(1) 質量%で、C:0.8〜1.2%、Si:0.05〜2.0%、Mn:0.2〜2.0%を含有し、残部がFe及び不純物からなり、
フェライト及びセメンタイトの結晶が鋼線の長手方向に配向したパーライト組織を有し、
鋼線の長手方向に対して垂直な断面において、鋼線中心を中心とする鋼線半径1/2円内の領域の引張強度が、鋼線の全体の引張強度に対して105〜130%の引張強度であり、さらに鋼線表面における鋼線長手方向の残留圧縮応力が600MPa以上であり、前記鋼線の引張強度が、4620MPa以上であり、捻回値が23回以上であることを特徴とする強度と延性のバランスに優れた高強度極細鋼線。
(2) 質量%で、C:0.8〜1.2%、Si:0.05〜2.0%、Mn:0.2〜2.0%を含有し、
さらに、Nb:0.001〜0.1%、Mo:0.01〜0.1%の1種または2種を含有し、
残部がFe及び不純物からなり、
フェライト及びセメンタイトの結晶が鋼線の長手方向に配向したパーライト組織を有し、
鋼線の長手方向に対して垂直な断面において、鋼線中心を中心とする鋼線半径1/2円内の領域の引張強度が、鋼線の全体の引張強度に対して105〜130%の引張強度であり、さらに鋼線表面における鋼線長手方向の残留圧縮応力が600MPa以上であることを特徴とする強度と延性のバランスに優れた高強度極細鋼線。
(3) (1)または(2)に記載の化学成分を有する鋼材に対して熱間圧延工程、パテンティング工程、伸線工程を行うことにより高強度極細鋼線を製造する方法であって、
最終のパテンティング工程以後の工程として、下記のc工程、e工程及びh工程を行うか、または、下記のc工程、d工程及びf工程を行う、請求項1または請求項2に記載の強度と延性のバランスに優れた高強度極細鋼線の製造方法。
c工程:最終の伸線工程の最終段以前に、楕円形状の穴を有する楕円形ダイスと、円形状の穴を有する円形ダイスと、最初の楕円形ダイスの穴に対して90°回転した穴を有する楕円形ダイスとを用いて伸線加工を行う。
d工程:最終の伸線工程の最終段に減面率が1%〜5%のスキンパス工程を1回、好ましくは複数回行う。
e工程:最終の伸線工程の最終段後にショットピーニング工程を行う。
f工程:最終の伸線工程後、140〜180℃の加熱保持を1〜10分施す。
h工程:最終の伸線工程後、240〜320℃の加熱保持を0.1〜0.4分施す。
鋼線の長手方向と直交する断面における中心部の引張強度、すなわち、鋼線中心を中心とする鋼線半径1/2円内の領域の引張強度が、鋼線全体の引張強度の105〜130%の引張強度とした理由は、強度を鋼線の中心部で担うことで、鋼線に曲げや捻りを与えた際の表層部の局所歪み量を小さくすることができるためである。鋼線半径の1/2円内の領域の引張強度が全体強度の105%に満たない場合は、その効果がほとんど発現しない。一方、130%を上限とした理由は、これより大きな値である場合には表層領域との中心領域の硬度差が非常に大きくなるため、硬度の非常に高い中心部分からの破壊が起こり、延性低下の原因になるからである。また、工業的に鋼線の中心部分の引張強度を大きく高めることは容易ではなく、コスト増加につながる。一方、単に表層領域を軟化させると、取り扱い疵等の表面疵等が生じ、延性劣化の原因になる場合もある。したがって、105%〜130%が好ましく、より好ましい範囲は115〜125%である。
a工程:最終の伸線工程における最終段の伸線速度を200m/分以下、好ましくは50m/分以下の低速伸線とする。
低速伸線を行うことによって、摩擦や塑性変形による加工発熱量を小さくすることができる。これによって特に鋼線表層領域のパーライト組織中のセメンタイトの分解を抑制しフェライト中に拡散する炭素量を減らすことができ、また、表層領域の不要な硬化を避けることができる。
通常、伸線加工を受けた鋼線の表面温度は瞬時に上昇し直ぐに降下する。これとは別に、適当な温度の加熱処理を伸線加工パス間に施すことによって、伸線加工中にセメンタイトが分解してフェライト中に溶け込んだ過飽和な炭素を、パス間の加熱処理によってフェライトから排出させフェライト中のC濃度を低下させると共に、不要な転位や欠陥を消滅させることができる。これによって、延性を回復し高ひずみ量の加工、すなわち、フェライト間隔の微細化を可能にする。但し、この処理は伸線加工パス間すべてに施すのではなく、特定パス間に施すことが有効である。
d工程:最終の伸線工程の最終段にスキンパス工程を1回、好ましくは複数回行う。
減面率が1%〜5%のスキンパス工程を最終段に1回、好ましくは複数回行うことで、鋼線表面に圧縮の残留応力を印加すると共に、表面のラメラ構造をより均一なものに揃える。
最終段後にショットピーニング工程を行うことで、鋼線表面に圧縮の残留応力を付与すると共に、表面のラメラ構造をより均一なものに揃える。ショットピーニングは、例えば、空気投射式で空気圧力3000〜6000MPa、時間は4〜8秒が好ましく、ショット球は直径10〜80μmのものが好ましい。
f工程:最終の伸線工程後、140〜180℃の加熱保持を1〜10分施す。
g工程:最終の伸線工程後、180〜240℃の加熱保持を0.5〜2分施す。
h工程:最終の伸線工程後、240〜320℃の加熱保持を0.1〜0.4分施す。
表1に示す化学組成を有する供試材を熱間圧延で所定の線径にした後、鉛浴を用いてパテンティング処理、伸線加工、めっき処理を行い、線径が0.04〜0.40mmのブラスめっきを有する伸線パーライト組織からなる高強度極細鋼線を試作した。鋼線の引張強さは4600MPa以上となるように製造条件を調整した。表2に高強度極細鋼線の製造方法、線径、鋼線強度、鋼線内部強度比率(パーセント)、鋼線方向の表面残留応力、引張強さ、及び延性指標として捻回値を示す。製造方法は、a〜fの記号で表した。各記号は、先に説明したI〜IIIグループにおけるa工程〜f工程に対応する。伸線加工の真ひずみ量は4.0〜5.5の間であった。ねじり試験は、試験片の両端線径の100倍のつかみの間隔で固定し、破断するまでの捻り回数を捻回値とした。引張強さが4600MPa以上でかつねじり回数が19回以上のものを延性が良好、23回以上のものを延性が非常に良好と評価した。鋼線表面領域の鋼線方向の残留応力は、デバイリングフィッティング法により測定した。残留応力が負の場合は圧縮応力を表し、正の場合は引張応力を表す。
また、I〜IIIグループのうち2グループの工程を採用した試験例はいずれも比較例であるが(No.14(c,d)、No.15(d,f)、No.16(b,g)及びNo.20(c,f))、これら以外の組合せであれば、2グループの工程を採用する場合であっても本発明品が得られると期待できる。
また、一つのグループから同時に2つの工程を採用した試験例(No.13(b,c,d,h)、No.18(d,e,g)、No.19(b,d,e)、No.21(a,b)、No.22(a,b,f)、No.24(b,f,g)及びNo.25(c,d,e))はいずれも、効果が相殺された。
更に、3つのグループからそれぞれ1つの工程を採用する場合は、No.12(b,d,g)を除き、何れも効果が発揮されると期待できる。
Claims (3)
- 質量%で、C:0.8〜1.2%、Si:0.05〜2.0%、Mn:0.2〜2.0%を含有し、残部がFe及び不純物からなり、
フェライト及びセメンタイトの結晶が鋼線の長手方向に配向したパーライト組織を有し、
鋼線の長手方向に対して垂直な断面において、鋼線中心を中心とする鋼線半径1/2円内の領域の引張強度が、鋼線の全体の引張強度に対して105〜130%の引張強度であり、さらに鋼線表面における鋼線長手方向の残留圧縮応力が600MPa以上であり、前記鋼線の引張強度が、4620MPa以上であり、捻回値が23回以上であることを特徴とする強度と延性のバランスに優れた高強度極細鋼線。 - 質量%で、C:0.8〜1.2%、Si:0.05〜2.0%、Mn:0.2〜2.0%を含有し、
さらに、Nb:0.001〜0.1%、Mo:0.01〜0.1%の1種または2種を含有し、
残部がFe及び不純物からなり、
フェライト及びセメンタイトの結晶が鋼線の長手方向に配向したパーライト組織を有し、
鋼線の長手方向に対して垂直な断面において、鋼線中心を中心とする鋼線半径1/2円内の領域の引張強度が、鋼線の全体の引張強度に対して105〜130%の引張強度であり、さらに鋼線表面における鋼線長手方向の残留圧縮応力が600MPa以上であることを特徴とする強度と延性のバランスに優れた高強度極細鋼線。 - 請求項1または請求項2に記載の化学成分を有する鋼材に対して熱間圧延工程、パテンティング工程、伸線工程を行うことにより高強度極細鋼線を製造する方法であって、
最終のパテンティング工程以後の工程として、下記のc工程、e工程及びh工程を行うか、または、下記のc工程、d工程及びf工程を行う、請求項1または請求項2に記載の強度と延性のバランスに優れた高強度極細鋼線の製造方法。
c工程:最終の伸線工程の最終段以前に、楕円形状の穴を有する楕円形ダイスと、円形状の穴を有する円形ダイスと、最初の楕円形ダイスの穴に対して90°回転した穴を有する楕円形ダイスとを用いて伸線加工を行う。
d工程:最終の伸線工程の最終段に減面率が1%〜5%のスキンパス工程を1回、好ましくは複数回行う。
e工程:最終の伸線工程の最終段後にショットピーニング工程を行う。
f工程:最終の伸線工程後、140〜180℃の加熱保持を1〜10分施す。
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