JP6724435B2 - 熱間圧延線材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
その結果、以下の知見を得て、本発明に至ることができた。
1)線材の組織や強度をC量に応じて適正範囲に制御することで、断線の抑制および鋼線の延性が向上する。
2)線材の強度のばらつきが大きいほど、鋼線の強度ばらつきも増加し、延性の低下や断線につながる。
3)線材強度のばらつき抑制には線径の細径化や、圧延後に600℃以上で変態させることが有効である。
4)更に600℃以上で変態させる際に初析フェライトを抑制するには変態前のオーステナイト粒を30〜70μmに制御することが有効である。
5)一方、変態温度が600℃以上の場合、変態完了後も、変態温度近傍で保持するとラメラセメンタイトが分断し、圧延材の強度の低下や伸線加工材の強度や延性が低下する。
(1)質量%でC:0.50超〜0.75%、Si:0.10〜0.50%、Mn:0.10〜1.00%、を含有し、残部はFeおよび不可避の不純物よりなり、パーライトが面積率80%以上とする主組織であり、残部が初析フェライトおよびベイナイトの1種又は2種からなり、強度TS(MPa)が800×C量(%)+320≦TS≦800×C量(%)+420を満足し、かつ1コイル内の圧延線材の強度のばらつきが平均強度から±50MPa以内であり、線材表面のスケール量が40〜60g/m 2 であり、かつ、スケール/母材界面近傍(母材境界からスケール厚さ1/2Dの領域)において粒径が2.0μm以上のスケール面積率が50%以上であることを特徴とするスケールはく離性に優れた直径3.0〜4.0mmの高強度鋼線用熱間圧延線材。
(2)更に、質量%でCr:0.50%以下、Ni:0.50%以下、Co:1.00%以下、Mo:0.20%以下、B:2〜30ppmのいずれか1種もしくは2種以上を含有することを特徴とする上記(1)に記載の直径3.0〜4.0mmの高強度鋼線用熱間圧延線材。
(3)熱間圧延でオーステナイト粒径を30〜70μmの範囲に制御した後、巻取り後、650℃まで5〜20℃/sで冷却し、その後、600℃までは0.5〜5℃/sに冷却速度を低下させ、かつ600℃以下では、更に冷却速度5℃/s以上の速度で、300℃以下まで冷却することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の直径3.0〜4.0mmの高強度鋼線用熱間圧延線材の製造方法。
Cは、鋼材の必要強度を付与するために必須の元素である。0.50%以下では初析フェライトの抑制が困難であり、鋼線の強度や延性の低下を招く。そのために、0.50%超添加する。一方、0.75%を超えると、鋼材強度が過度に高くなり、伸線加工性の低下や、伸線材の延性低下を招く。
Siは脱酸剤として有用な元素であり、また、パーライト中のフェライト強度を増加させる作用がある有用な元素である。このような作用を有効に発揮させるためには、0.10%以上添加することが必要である。しかしながら、過剰に添加すると、伸線加工性に有害なSiO2系介在物が発生し易くなるため、その上限を0.50%に定めた。より好ましくは0.4%以下である。
Mnは脱酸及び脱硫に有用であるのみならず、鋼のオーステナイトからの相変態を遅延させる効果があり、パーライト組織を得るために有用な元素である。このような作用を有効に発揮させるには、0.10%以上添加することが必要である。但し、過剰に添加しても上記効果が飽和してしまい、経済的に無駄である他、熱間圧延後の冷却過程で、ベイナイトなどの組織が発生しやすくなるため、その上限を1.00%に定めた。より好ましくは0.8%以下である。
Crは鋼のオーステナイトからの相変態を遅延させる効果があり、パーライト組織を得るために有用な元素である。また、パーライトの加工硬化能を高め、低歪でより高い強度を得ることができる。しかし、0.50%超では焼入れ性が過大となり、熱間圧延後の冷却過程でベイナイト、マルテンサイトなどの過冷組織が発生し、加工性が低下する。好ましくは、0.4%以下である。
Niは鋼のオーステナイトからの相変態を遅延させる効果があり、パーライト組織を得るために有用な元素である。その他、伸線材の靭性を高める元素である。これらの効果を得るためには0.10%以上の添加が望ましい。一方、過剰に添加すると、焼入れ性が過大となり、熱間圧延後の冷却過程でベイナイト、マルテンサイトなどの過冷組織が発生し、加工性が低下するため、上限を0.50%以下とした。
Coは、圧延材における初析フェライトの析出を抑制するのに有効な元素である。また、伸線材の延性を向上させるのに有効な元素である。このような作用を有効に発揮させるには0.1%以上の添加が好ましい。一方、Coを過剰に添加してもその効果は飽和して経済的に無駄であるので、その上限値を1.00%とした。
Moは鋼のオーステナイトからの相変態を遅延させる効果があり、パーライト組織を得るために有用な元素である。しかしながら、0.20%超では、焼入れ性が過大となり、熱間圧延後の冷却過程でベイナイト、マルテンサイトなどの過冷組織が発生しやすくなるため、その上限を0.20%とした。
Bは粒界に濃化して、初析フェライトの抑制に有効な元素である。これらの効果を得るためには2ppm以上の添加が必要である。一方、過剰に添加するとオーステナイト中にFe3(CB)6などの炭化物を形成し、伸線加工性を低下させるので、その上限を30ppmとした。好ましくは、5〜20ppmである。
800×C量(%)+320≦TS≦800×C量(%)+420・・・式(1)
冷却速度1:巻取り後650℃までの冷却速度
冷却速度2:650℃から600℃までの冷却速度
冷却速度3:600℃から300℃までの冷却速度
を意味する。表1、2で本発明範囲から外れる数値にアンダーラインを付している。
Claims (3)
- 質量%で
C:0.50超〜0.75%、
Si:0.10〜0.50%、
Mn:0.10〜1.00%、
を含有し、残部はFeおよび不可避の不純物よりなり、パーライトが面積率80%以上とする主組織であり、残部が初析フェライトおよびベイナイトの1種又は2種からなり、強度TS(MPa)が式(1)を満足し、かつ1コイル内の圧延線材の強度のばらつきが平均強度から±50MPa以内であり、
線材表面のスケール量が40〜60g/m 2 であり、かつ、スケール/母材界面近傍(母材境界からスケール厚さ1/2Dの領域)において粒径が2.0μm以上のスケール面積率が50%以上であることを特徴とするスケールはく離性に優れた直径3.0〜4.0mmの高強度鋼線用熱間圧延線材。
800×C量(%)+320≦TS≦800×C量(%)+420・・・式(1) - 更に、質量%でCr:0.50%以下、Ni:0.50%以下、Co:1.00%以下、Mo:0.20%以下、B:2〜30ppmのいずれか1種もしくは2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の直径3.0〜4.0mmの高強度鋼線用熱間圧延線材。
- 熱間圧延でオーステナイト粒径を30〜70μmの範囲に制御した後、巻取り後、650℃まで5〜20℃/sで冷却し、その後、600℃まで0.5〜5℃/sに冷却速度を低下させ、かつ600℃以下で、更に冷却速度5℃/s以上の速度で、300℃以下まで冷却することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の直径3.0〜4.0mmの高強度鋼線用熱間圧延線材の製造方法。
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