JP4943564B2 - ソーワイヤ用素線及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属材料、セラミックス材料、及び半導体材料等の切断に用いられるソーワイヤ用素線及びその製造方法に関する。
Si単結晶、Si多結晶、サファイヤ、SiC単結晶等の切断にソーワイヤが用いられる。そして、ソーワイヤ用ピアノ線及びワイヤソー用鋼線等が提案されている(特許文献1及び2)。ソーワイヤには、線径が細く、かつ高強度であることが要求される。
また、タイヤ及びベルト等の補強に用いられるスチールコードの素線にも、ソーワイヤと同様に、線径が細く、かつ高強度であることが要求される。そして、スチールコード用の種々の素線が提案されている(特許文献3〜9)。
ソーワイヤとして、遊離砥粒ソーワイヤ及び固定砥粒ソーワイヤが知られている。固定砥粒ソーワイヤは、例えばダイヤモンド等の砥粒がソーワイヤ用素線にNi電着されて構成されている。固定砥粒ソーワイヤは、発光ダイオード(LED)の基板等に用いられるサファイヤ、及び半導体部材等に用いられるSiC単結晶等の切断に用いられる。サファイヤ及びSiC単結晶はSi単結晶よりも高価である。このため、サファイヤ及びSiC単結晶のインゴットから基板を切り出す際には、切削代を小さくすることが重要である。従って、固定砥粒ソーワイヤ用素線の線径をより細くすることが要請されている。現状では、固定砥粒ソーワイヤ用素線として、主に、スチールコードよりも細径の、線径が0.18mm程度のものが用いられている。
しかしながら、線径が細いソーワイヤを用いて被切断材の切断を行うと、切断中にソーワイヤが破断しやすい。切断中にソーワイヤが切断すると、そこで切断を中止せざるを得ないため、歩留まりが低下する。従って、被切断材が高価なものであるほど、ソーワイヤの破断を抑制する必要性が高い。
特開平10−309627号公報 特開2002−212676号公報 特開2003−334606号公報 特開平8−291369号公報 特開平6−293938号公報 特開平11−199980号公報 特開2009−280836号公報 特開平11−323496号公報 特開平11−269607号公報
本発明は、被切断材の切断時の断線を抑制することができるソーワイヤ用素線及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、断線が生じる原因について鋭意検討を行った結果、被切断材を切断する際にソーワイヤにねじれが生じ、このねじれが断線の要因となっていることを見出した。
そして、本発明者らは、このような断線の抑制には、所定の張力を負荷したねじり試験で破断が生じるねじり回数が重要であることを見出した。従来、引張試験における絞り及び破断伸び、並びに、ねじり試験におけるねじり回数等が素線の延性の指標として用いられているが、これらの指標で耐断線性を評価することは困難である。
また、本発明者らは、耐断線性を高めるには、伸線加工パーライト以外の組織(フェライト、ベイナイト)の生成の抑制、及び伸線加工歪の抑制が重要であることも見出した。なお、伸線加工歪の抑制により耐断線性が向上するのは、パーライトのセメンタイト間間隔(ラメラ間隔)のばらつきが抑制されるためであると推定される。ここで、伸線加工パーライトとは、パーライトからなる組織が伸線加工によって変形された組織である。従って、伸線加工パーライト中では、伸線加工の影響を受けてフェライト及びセメンタイトが伸線方向に延びており、フェライト及びセメンタイトは、伸線方向に対してほぼ垂直な方向に積層している。
更に、本発明者らは、伸線加工歪を抑制して高強度のソーワイヤ用素線を製造するには、C、Si、Mn、及びCrの各含有量が、所定の関係を満たしていることが重要であることも見出した。
本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。本発明の要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)
質量%で、
C:0.87%〜1.2%、
Si:0.02%〜2.0%、
Mn:0.1%〜1.0%、及び
Cr:0.5%以下、
を含有し、
C、Si、Mn、及びCrの含有量に関し、下記(式1)で表わされるパラメータPの値が1000以上であり、
P含有量が0.015%以下であり、
S含有量が0.015%以下であり、
N含有量が0.01%以下であり、
残部がFe及び不可避的不純物からなり、
金属組織が、伸線加工パーライトを98%以上の面積率で含み、
直径が0.05mm〜0.18mmであり、
引張強度が4000MPa以上であり、
表面からの深さが直径×0.2以下の範囲内である表層部と、中心からの距離が直径×0.2以下の範囲内である中心部との間のビッカース硬さの差が100以下であり、
つかみ間隔が100mm、引張強度×素線の断面積×0.5の張力を負荷したねじり試験でのねじり回数が5回以上であることを特徴とするソーワイヤ用素線。
P=1098×[C]+98×[Si]−20×[Mn]+167×[Cr] ・・・(式1)
((式1)において、[C]、[Si]、[Mn]、及び[Cr]は、それぞれ、C、Si、Mn、及びCrの含有量(質量%)である。)
(2)
C含有量が0.92質量%以上であり、
前記パラメータPの値が1050以上であり、
前記金属組織が、前記伸線加工パーライトを99%以上の面積率で含むことを特徴とする(1)に記載のソーワイヤ用素線。
(3)
5回のねじりを付与した状態で引張った際の引張強度が、ねじりを付与しない状態で引張った際の引張強度の85%以上であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のソーワイヤ用素線。
(4)
5回のねじりを付与した状態で引張った際の破断伸びが、2%以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のソーワイヤ用素線。

前記ソーワイヤ用素線の表層部の残留応力が−100MPa以下であることを特徴とする(1)〜()のいずれかに記載のソーワイヤ用素線。

質量%で、
Ni:1.0%以下、
Cu:0.5%以下、
Mo:0.5%以下、
V:0.5%以下、及び
B:0.0050%以下、
からなる群から選択された少なくとも一種を含有することを特徴とする(1)〜()のいずれかに記載のソーワイヤ用素線。

鋼片の熱間圧延を行い、10℃/秒以上の速度で冷却して、線径が6mm以下であり、セメンタイトの厚さが0.03μm以下であるパーライトを97%以上含む組織の熱間圧延線材を得る工程と、
前記熱間圧延線材の一次伸線加工を行って、一次伸線加工材を得る工程と、
前記一次伸線加工材に対して最終のパテンティング処理を行って、セメンタイトの厚さが0.02μm以下であるパーライトを98%以上含む組織のパテンティング材を得る工程と
伸線加工歪εを4.5未満とし、かつ、最終ダイスの減面率を10%以下として、前記パテンティング材の仕上伸線加工を行う工程と、
を有し、
前記鋼片は、
質量%で、
C:0.87%〜1.2%、
Si:0.02%〜2.0%、
Mn:0.1%〜1.0%、及び
Cr:0.5%以下、
を含有し、
C、Si、Mn、及びCrの含有量に関し、下記(式1)で表わされるパラメータPの値が1000以上であり、
P含有量が0.015%以下であり、
S含有量が0.015%以下であり、
N含有量が0.01%以下であり、
残部がFe及び不可避的不純物からなり、
前記伸線加工歪εに関し、下記(式2)で表わされるパラメータQの値が380以上であることを特徴とするソーワイヤ用素線の製造方法。
P=1098×[C]+98×[Si]−20×[Mn]+167×[Cr] ・・・(式1)
Q=99×[C]+2.7×exp(ε/2)/(0.075−0.0112×[C]) ・・・(式2)
((式1)及び(式2)において、[C]、[Si]、[Mn]、及び[Cr]は、それぞれ、C、Si、Mn、及びCrの含有量(質量%)である。)

前記鋼片のC含有量が0.92質量%以上であり、
前記パラメータPの値が1050以上であり、
前記パラメータQの値が440超であり、
前記熱間圧延線材の組織が、セメンタイトの厚さが0.03μm以下であるパーライトを98%以上含み、
前記パテンティング材の組織が、セメンタイトの厚さが0.02μm以下であるパーライトを99%以上含むことを特徴とする()に記載のソーワイヤ用素線の製造方法。

前記鋼片が、更に、
質量%で、
Ni:1.0%以下、
Cu:0.5%以下、
Mo:0.5%以下、
V:0.5%以下、及び
B:0.0050%以下、
からなる群から選択された少なくとも一種を含有することを特徴とする()又は()に記載のソーワイヤ用素線の製造方法。
10
前記熱間圧延の仕上温度が850℃以上であることを特徴とする()〜()のいずれかに記載のソーワイヤ用素線の製造方法。
11
前記一次伸線加工材に対して最終のパテンティング処理を行って、前記パテンティング材を得る工程は、
前記一次伸線加工材を950℃〜1100℃に保持する工程と、
次いで、前記一次伸線加工材を520℃〜600℃に保持する工程と、
を有することを特徴とする()〜(10)のいずれかに記載のソーワイヤ用素線の製造方法。
本発明によれば、高強度及び高耐断線性を両立することができる。従って、このソーワイヤ用素線を用いてソーワイヤを構成すれば、切削代を小さくしながら、被切断材の切断時の断線を抑制することができる。
図1は、張力ねじり回数と断線回数との関係を示す図である。
本発明者は、サファイヤ及びSiC単結晶等の被切断材を切断する際に発生するソーワイヤの破断とソーワイヤ用素線の延性との関係について、詳細な解析を行った。この結果、引張試験における絞り及び破断伸び、並びに、ねじり試験におけるねじり回数等の従来の指標では、ソーワイヤ用素線の耐断線性を十分に評価することができないことが明確になった。従来、ねじり試験では、試験片の両端を線径の100倍の間隔で固くつかみ、素線をたわまない程度に緊張しながら、一方のつかみを一定方向に回転させ、破断したときのねじり回数を測定している。
そこで、本発明者らは、ソーワイヤ用素線の耐断線性を評価するための新たな指標について検討した。この結果、所定の張力を負荷したねじり試験で破断が生じるねじり回数(張力ねじり回数)が重要であることを見出した。例えば、つかみ間隔を100mmとし、素線の引張強度×素線の断面積×0.5の張力を負荷したねじり試験でのねじり回数が重要である。従来のねじり試験では、素線の線径が0.3mmの場合、つかみ間隔は30mmであり、素線に負荷する張力は、最大でも素線の引張強度×素線の断面積×0.1程度である。従って、つかみ間隔を100mmとし、素線の引張強度×素線の断面積×0.5の張力を負荷したねじり試験では、従来のねじり試験と比較して、つかみ間隔が長くなり、負荷する張力が大きくなる。
所定の張力を負荷したねじり試験でのねじり回数が重要であることから、耐断線性の良否は、ソーワイヤ用素線の断線が発生する部位の曲率、及びソーワイヤ用素線に負荷される張力の影響を大きく受けていると考えられる。
更に、張力を負荷せずに数回のねじりを付与した状態でソーワイヤ用素線をつかみ、そのまま引張試験を行った際の引張強度及び伸びも、耐断線性の評価に有効な指標であることも判明した。
そして、このような指標としては、特に、5回のねじりを付与した状態での引張強度(ねじり引張強度)の、ねじりを付与しない状態での引張強度に対する割合(ねじり引張強度率)、及び、5回のねじりを付与した状態での破断伸び(ねじり引張伸び)が有効であることが判明した。これら指標が有効なのは、実際の被切断材の切断の際には、ソーワイヤにねじりが生じ、その上で張力が負荷されるからであると考えられる。ここで、ねじりを付与しない状態での引張強度とは、通常の引張試験によって求められる引張強度である。
また、本発明者らは、張力ねじり回数、ねじり引張強度率、及びねじり引張伸と、ソーワイヤ用素線の組織形態、残留応力、及び伸線加工方向に垂直な断面における硬度分布との関係について種々の解析を行った。この結果、粒界フェライト及びベイナイト等のパーライト(伸線加工パーライト)以外の組織(非パーライト組織)の分率(割合)、表層部と中心部との間の硬さの差、並びに、表層部の残留応力が、張力ねじり回数、ねじり引張強度率及びねじり引張伸びに影響していることが判明した。更に、耐断線性には、パーライト中のセメンタイトの間隔(ラメラ間隔)のばらつき、及びセメンタイトの厚さが影響を及ぼしていることも判明した。
すなわち、本発明者らは、ソーワイヤ用素線の断線の抑制に、非パーライト組織の生成を抑制すること、表層部と中心部との間の硬さの差を小さくすること、及び、表層部に圧縮残留応力を付与することも有効であることを見出した。また、定性的に、ラメラ間隔のばらつきの低減、及びセメンタイトの厚さの低減が、耐断線性の向上に有効であるという知見も得られた。なお、粒界フェライトは、セメンタイトと層状をなすフェライト(ラメラフェライト)とは異なり、旧オーステナイトの粒界に生成したフェライトが伸線加工されたものである。
粒界フェライト及びベイナイト等の非パーライト組織は、局所的に歪が集中する原因となる。このため、ソーワイヤ用素線の耐断線性を高めるには、特に、非パーライト組織の分率を低下させることが有効である。粒界フェライト及びベイナイトは、熱間圧延後の線材を冷却する際に生成するため、例えば、熱間圧延後の冷却速度を高めることにより、非パーライト組織の生成を抑制でき、熱間圧延線材のパーライト組織の分率を高くすることができる。
また、パーライト組織では、ラメラ間隔が広い部分ほど強度が低く、この部分に歪が集中しやすい。このため、ラメラ間隔が不均一である場合、ラメラ間隔が広い部分において、断線が発生しやすくなる。従って、ラメラ間隔のばらつきを低減することが更に好ましい。伸線加工歪が大きくなるほど、ラメラ間隔のばらつきが大きくなる傾向があるので、伸線加工歪の抑制により、耐断線性が向上すると考えられる。
更に、本発明者らは、張力ねじり回数、ねじり引張強度率、及びねじり引張伸びが高く、引張強度が4000MPa以上のソーワイヤ用素線を製造するための条件について検討を行った。ソーワイヤ用素線の製造に当たっては、例えば、高炭素鋼の熱間圧延線材の一次伸線加工を行って所定の線径にし、その後、最終のパテンティング処理、ブラスめっき処理、及び仕上伸線加工等を行う。また、製造しようとするソーワイヤ用素線の線径によっては、一次伸線加工後、最終のパテンティング処理工程の前に、必要に応じて中間熱処理及び中間伸線加工(二次伸線加工)を行う。つまり、スチールコードの素線と同様の処理を行う。ここで、パテンティング処理とは、一次伸線加工材を加熱保持して組織をオーステナイト化した後、パーライトに恒温変態させるために、速やかにパーライト変態温度に冷却保持する熱処理である。
ソーワイヤ用素線を高強度化するためには、伸線加工歪を高めることが好ましい。一方、伸線加工歪(真歪)が大きくなると、上述のように、ラメラ間隔のばらつきによって、耐断線性が低下する。その結果、張力ねじり回数、ねじり引張強度率及びねじり引張伸びが低下する傾向がある。つまり、高強度化と耐断線性の向上とはトレードオフの関係にある。このため、耐断線性の向上を目的として伸線加工歪を小さくすると、4000MPa以上の強度を確保することが困難である。特に、4300MPa以上の強度を確保するためには、伸線加工歪を4.5以上とすることが重要であるが、伸線加工歪を4.5以上とすると、ラメラ間隔のばらつきが大きくなって耐断線性が低下しやすいという傾向が判明した。
そこで、本発明者らは、伸線加工歪の抑制を可能にするため、ソーワイヤ用素線の強度の向上に寄与する元素の含有量のバランスについて鋭意検討を重ねた。その結果、C、Si、Mn、及びCrの各含有量に関し、下記(式1)で表わされるパラメータPの値が1000以上であれば、伸線加工歪を抑制しても、4000MPa以上の強度が得られ、1050以上であれば、4300MPa超の強度が得られることを見出した。
P=1098×[C]+98×[Si]−20×[Mn]+167×[Cr] ・・・(式1)
ここで、[C]、[Si]、[Mn]、及び[Cr]は、それぞれ、C、Si、Mn、及びCrの含有量(質量%)である。
更に、本発明者らは、ソーワイヤ用素線を製造する際に、化学成分及び熱間圧延後の冷却速度が、熱間圧延線材のセメンタイトの厚さ、及びパテンティング処理後のセメンタイトの厚さに影響を及ぼすことを見出した。すなわち、パラメータPの値が1000以上である場合に、熱間圧延後の冷却速度を10℃/秒以上とすれば、セメンタイトの厚さが0.03μm以下であるパーライトを97%以上含む組織の熱間圧延線材が得られることを見出した。また、パラメータPの値が1050以上である場合に、熱間圧延後の冷却速度を10℃/秒以上とすれば、セメンタイトの厚さが0.03μm以下であるパーライトを98%以上含む組織の熱間圧延線材が得られることも見出した。
更に、熱間圧延線材に、一次伸線加工を行い、必要に応じて中間熱処理及び中間伸線加工(二次伸線加工)を行い、最終のパテンティング処理を行うと、パラメータPの値が1000以上である場合は、セメンタイトの厚さが0.02μm以下であるパーライトを98%以上含む組織のパテンティング材が得られ、パラメータPの値が1050以上である場合は、セメンタイトの厚さが0.02μm以下であるパーライトを99%以上含む組織のパテンティング材が得られることも判明した。そして、このようなパテンティング材から得られるソーワイヤ用素線の張力ねじり回数、ねじり引張強度率及びねじり引張伸びが顕著に向上することが判明した。
次に、ソーワイヤ用素線の組成について説明する。
本発明の実施形態に係る固定砥粒ソーワイヤ用素線は、質量%で、C:0.87%〜1.2%、Si:0.02〜2.0%、Mn:0.1〜1.0%、及びCr:0.5%以下、を含有する。C、Si、Mn、Crの含有量に関し、上記(式1)で表わされるパラメータPの値が1000以上である。また、P含有量が0.015%以下であり、S含有量が0.015%以下であり、N含有量が0.01%以下である。そして、残部がFe及び不可避的不純物からなる。
C:Cは、パテンティング処理後の引張強度の増加及び伸線加工における硬化率を向上し、小さな伸線加工歪で引張強度を高めることができる。Cの含有量が0.87%未満であると、小さな伸線加工歪で4000MPa以上の強度を確保することが困難になり、Cの含有量が0.92%未満であると、4300MPa超の強度を確保することが困難になる。一方、Cの含有量が1.2%を超えると、耐断線性が低下し、また、パテンティング処理時に初析セメンタイトがオーステナイト粒界に析出して伸線加工性を劣化させる。そのため、Cの含有量は0.87%〜1.2%とする。また、4300MPa超の強度を確保するためには、Cの含有量は0.92%〜1.2%とする。
Si:Siは、パーライト中のフェライトを強化させて引張強度を向上させるとともに、脱酸作用を呈する。Siの含有量が0.02%未満では、上記の効果が不十分である。一方、Siの含有量が2.0%を超えると、伸線加工性を低下させる硬質のSiO系介在物が発生しやすくなり、更に、熱間圧延線材中に非パーライト組織であるフェライト及びベイナイトが増加する。そのため、Siの含有量は0.02%〜2.0%とする。
Mn:Mnは、脱酸及び脱硫の作用を呈すると共に、焼入れ性を高めてパテンティング処理後の引張強度を向上させる。Mnの含有量が0.1%未満であると、上記の効果が不十分である。一方、Mnの含有量が1.0%を超えると、熱間圧延線材において、ベイナイトが発生しやすくなり、更にパテンティング処理時のパーライト変態を完了させるための処理時間が長くなり生産性が低下する。そのため、Mnの含有量は0.1%〜1.0%とする。
Cr:Crは、熱間圧延後及びパテンティング処理後のパーライトにおけるセメンタイトの間隔(ラメラ間隔)の微細化に寄与する有用な元素である。パテンティング処理後の引張強度を高めるとともに、伸線加工硬化率を向上させるために、0.01%以上のCrが含有されていることが好ましい。また、強度を高め、耐断線性を向上させるために、Crの含有量は0.03%以上であることがより好ましく、0.05%以上であることが更に好ましい。一方、Crの含有量が0.5%を超えると、熱間圧延線材において、ベイナイトが発生しやすくなり、更にパテンティング処理時のパーライト変態を完了させるための処理時間が長くなり生産性が低下する。そのため、Crの含有量は0.5%以下とする。
更に、本実施形態では、上記(式1)で表わされるパラメータPの値が1000以上であることが重要であり、1050以上であることが好ましい。パラメータPの値が1000未満であると、非パーライト組織の分率の低減、及びセメンタイトの厚さの低減が困難となり、耐断線性の向上が困難になる。更に、パテンティング材の強度が不十分となるため、耐断線性の向上のために伸線加工歪を小さく抑えると、4000MPa以上の引張強度を確保することが困難となる。このように、パラメータPの値が1000未満であると、強度を確保しながら、ラメラ間隔のばらつきを低減させて耐断線性を向上させることが困難になる。また、パラメータPの値が1050未満である場合には、伸線加工歪を4.5未満に抑えると、4300MPa超の引張強度を確保することが困難となる。なお、C、Si、Mn、及びCrの含有量の範囲が決められているため、パラメータPは1595.1以下となる。
P:Pは、伸線加工性及び延性を低下させる。このため、Pの含有量は0.015%以下とする。
S:Sは、伸線加工性及び延性を低下させる。このため、Sの含有量は0.015%以下とする。
N:Nは、延性を低下させる。このため、Nの含有量は0.01%以下とする。
また、本実施形態に係るソーワイヤ用素線が、Ni:1.0%以下、Cu:0.5%以下、Mo:0.5%以下、V:0.5%以下、及びB:0.0050%以下からなる群から選択された少なくとも一種を含有していてもよい。
Ni:Niは、パテンティング処理時に変態で生成するパーライトを伸線加工性の良好なものにする作用を有する。しかし、Niの含有量が1.0%を超えていても、含有量に見合うだけの効果が得られない。このため、Niの含有量は1.0%以下とすることが好ましい。また、Niの含有量が0.05%未満では、上記の効果を得にくい。このため、Niの含有量は0.05%以上とすることが好ましい。
Cu:Cuは、析出硬化によって高強度化に寄与する元素である。しかし、Cuの含有量が0.5%を超えていても、含有量に見合うだけの効果が得られない。このため、Cuの含有量は0.5%以下とすることが好ましい。また、Cuの含有量が0.01%未満では、上記の効果を得にくい。このため、Cuの含有量は0.01%以上とすることが好ましい。
Mo:Moは、パーライトのラメラ間隔を微細化し、パテンティング処理後の引張強度を高める効果がある。しかし、Moの含有量が0.5%を超えていると、含有量に見合うだけの効果が得られない。また、パーライト変態が遅延して処理時間が長くなり生産性が低下する。このため、Moの含有量は0.5%以下とすることが好ましい。また、Moの含有量が0.05%未満では、上記の効果を得にくい。このため、Moの含有量は0.05%以上とすることが好ましい。
V:Vは、パーライトのラメラ間隔を微細化し、パテンティング処理後の引張強度を高める効果がある。しかし、Vの含有量が0.5%を超えていても、含有量に見合うだけの効果が得られない。このため、Vの含有量は0.5%以下とすることが好ましい。また、Vの含有量が0.05%未満では、上記の効果を得にくい。このため、Vの含有量は0.05%以上とすることが好ましい。
B:Bは、フェライトの生成を抑制する効果がある。しかし、Bの含有量が0.0050%を超えていると、伸線加工性が低下する。このため、Bの含有量は0.0050%以下とすることが好ましい。また、Bの含有量が0.0001%未満では、上記の効果を得にくい。このため、Bの含有量は0.0001%以上とすることが好ましい。
なお、Nb、Ti、及びAlが含有されていてもよいが、Nb含有量は0.01%以下、Ti含有量は0.01%以下、Al含有量は0.005%以下であることが好ましい。Nb含有量が0.01%を超えると、Nbの炭窒化物の生成量が多くなるとともに、この炭窒化物が粗大になりやすい。このため、ソーワイヤの断線の頻度が増加することがある。Ti含有量が0.01%を超えると、Nbと同様の理由で、ソーワイヤの断線の頻度が増加することがある。Al含有量が0.005%を超えると、Alの酸化物が増加し、伸線加工時の断線及びソーワイヤの断線の頻度が増加しやすい。これらの理由から、Nb含有量は0.01%以下、Ti含有量は0.01%以下、Al含有量は0.005%以下であることが好ましい。
次に、本発明の実施形態に係るソーワイヤ用素線の組織について説明する。なお、本実施形態に係るソーワイヤ用素線の組織には、微小なボイドが生じていない。
本実施形態に係るソーワイヤ用素線では、金属組織が、伸線加工パーライト組織を98%以上の面積率で含んでいる。伸線加工パーライト組織の面積率が98%未満であると、ラメラ間隔のばらつきが所定の範囲内であっても、良好な張力ねじり回数を得ることが困難となり、高強度及び耐断線性の両立が困難となる。4300MPa以上の引張強度を得るために、伸線加工パーライト組織の面積率が99%以上であることが好ましい。
そして、耐断線性を向上させるために、伸線加工パーライト組織におけるラメラ間隔のばらつきは、極力小さくなっていることが好ましい。ばらつきの程度は特に限定されないが、例えば、伸線加工方向に垂直な断面におけるラメラ間隔の最大値と最小値との比を小さくすることが好ましく、この比を10以下とすることが特に好ましい。ラメラ間隔のばらつきを抑制するためには、伸線加工歪を低減することが好ましい。
本実施形態に係るソーワイヤ用素線の線径は0.05mm〜0.18mmであり、0.08mm〜0.16mmであることが好ましい。このように線径が非常に細いため、被切断材の切断代を低減することができる。つまり、被切断材の利用効率を向上することができる。この結果、サファイヤ及びSiC単結晶等の高価な材料を薄く切断する際等に好ましく用いることができる。線径が0.05mm未満であると、引張強度及び耐断線性が不十分となる場合がある。また、線径が0.18mmを超えていると、切断時の切断代が大きくなり、被切断材の利用効率が低くなる。
このように、本実施形態に係るソーワイヤ用素線は極めて細いので、高い引張強度が必要とされる。高精度で被切断材を切断するためには、高い張力を負荷する必要があるからである。本実施形態に係るソーワイヤ用素線では、引張強度が4000MPa以上、好ましくは4300MPa超であるため、サファイヤ及びSiC単結晶等の被切断材を切断する場合に、高い張力を負荷することが可能である。なお、引張強度の上限は特に限定しないものの、5200MPa以下であることが好ましい。引張強度が5200MPaを超えていると、耐断線性が低下する可能性があるためである。
また、本実施形態においては、表面からの深さが線径×0.2以下の範囲内の表層部と、中心からの距離が線径×0.2以下の範囲内の中心部との間でのビッカース硬さの差(HV硬度差)が100以下であることが好ましい。このHV硬度差が100以下である場合、より一層、優れた延性及びねじり特性を得ることができる。更に、HV硬度差は50以下であることがより好ましい。HV硬度差を低減するには、ソーワイヤ用素線に含まれる成分の調整によって強度を高めることが有効であり、パラメータPの値が1000以上であることが特に重要である。
また、HV硬度差の低減のためには、仕上伸線加工における加工発熱を抑制することが重要である。そして、加工発熱を抑制するためには、例えば、伸線加工速度の低下、ダイヤモンドダイスの使用、ダイス角度等のダイス形状の調整、最終ダイスの減面率を10%以下に制御、摩擦係数が0.1以下となる潤滑剤の使用、潤滑剤の温度を70℃以下に制御等の技術が有効である。また、仕上伸線加工後に矯直加工を施すことによってもHV硬度差を低減することが可能である。これらの技術を適宜組み合わせることにより、より確実、かつ容易にHV硬度差を低減することが可能となる。
本実施形態に係るソーワイヤ用素線を含むソーワイヤ、例えば固定砥粒ソーワイヤ、遊離砥粒ソーワイヤを用いてインゴットを切断する際には、ソーワイヤ用素線に張力が負荷される。このため、断線を抑制するためには、ソーワイヤ用素線の表層部に圧縮残留応力が付与されていることが好ましい。例えば、表層部における残留応力が−100MPa以下であることが好ましい。残留応力の符号は引張方向を正とするので、残留応力が−100MPa以下であることは、圧縮残留応力が100MPa以上であることを意味する。素線表層部の残留応力が−100MPa以下である場合、より一層、優れた耐断線性を得ることができる。ここで、表層部とは、例えば、ソーワイヤ用素線の表面からの深さが直径×0.2以下の範囲内の部分である。
表層部の残留応力を圧縮残留応力にするためには、ソーワイヤ用素線に含まれる成分の調整が有効であり、パラメータPの値が1000以上であることが特に重要である。また、最終ダイスの減面率を10%以下に制御することによっても、仕上伸線加工後に矯直加工又はショットピーニング処理を行うことによっても、表層部に−100MPa以下の残留応力を付与することができる。
上述のように、つかみ間隔を100mmとし、素線の引張強度×素線の断面積×0.5の張力を負荷したねじり試験でのねじり回数(張力ねじり回数)は、ソーワイヤ用素線の耐断線性の指標として極めて有効である。図1に、張力ねじり回数とサファイヤを切断した際の固定砥粒ソーワイヤの断線回数との関係の一例を示す。縦軸の断線回数は、固定砥粒ソーワイヤの長さ1000km当たりの断線回数を示している。図1から明らかなように、張力ねじり回数が5回未満では、断線回数が著しく大きく、引張ねじり回数が5回以上であると、断線回数が極端に低減される。従って、張力ねじり回数は5回以上とする。また、図1に示すように、張力ねじり回数が8回以上であれば、断線回数が更に低減されるため、引張ねじり回数は8回以上であることが好ましい。張力ねじり回数が8回以上である場合、より一層、優れた耐断線性を得ることができる。
また、本実施形態に係るソーワイヤ用素線では、ねじり引張強度の、ねじりを付与しない状態での引張強度に対する割合(ねじり引張強度率)は85%以上であることが好ましい。更に、ねじり引張伸びは2%以上であることが好ましい。上述のように、ねじり引張強度及びねじり引張伸びは、5回のねじりを付与したまま引張試験を行った際の、引張強度及び破断伸びである。ねじり引張強度率及びねじり引張伸びは、ソーワイヤ用素線を含むソーワイヤの耐断線性の指標として好適である。断線頻度をより一層低減させるために、ねじり引張強度率が90%以上であることがより好ましい。
なお、ねじり引張強度及びねじり引張伸びを測定する際には、例えば、つかみ間隔を100mmとし、張力を負荷せずに5回のねじりを付与した状態で試験片の両端をつかみ、そのまま引張試験を行えばよい。
5回のねじりを付与した状態で引張試験を行った際の、引張強度及び伸びの劣化の原因としては、ラメラ間隔のばらつき及び非パーライト組織が原因であると考えられる。従って、ねじり引張強度率及びねじり引張伸びを高めるには、ラメラ間隔のばらつきの低減及び非パーライト組織の低減を図ることが好ましい。
次に、本実施形態に係るソーワイヤ用素線の製造方法について説明する。
本実施形態に係るソーワイヤ用素線の製造に当たっては、先ず、上記の化学成分を有する鋼片の熱間圧延を行った後、冷却することにより、熱間圧延線材を得る。次いで、熱間圧延線材の一次伸線加工を行うことにより、一次伸線加工材を得る。その後、一次伸線加工材に対して最終のパテンティング処理を行うことにより、パテンティング材を得る。続いて、パテンティング材の仕上伸線加工を行う。
なお、製造しようとするソーワイヤ用素線の線径によっては、一次伸線加工のみでは所定の線径を得にくい場合がある。このような場合には、一次伸線加工と最終のパテンティング処理との間に、中間熱処理及び中間伸線加工(二次伸線加工)を行ってもよい。
また、最終のパテンティング処理と仕上伸線加工との間に、パテンティング材にめっき処理を行ってもよい。この場合、めっき処理したパテンティング材に仕上伸線加工を行えばよい。
本実施形態では、熱間圧延線材の線径を6mm以下とする。熱間圧延線材の線径が6mmを超えると、一次伸線加工のみでは所定の線径を得にくくなり、所定の線径を得るために上記の中間伸線加工及び中間熱処理の回数を増加する必要が生じて生産性が低下する。また、中間伸線加工及び中間熱処理の回数が増加すると、パテンティング材の表面肌が荒れるので、最終的にソーワイヤ用素線の張力ねじり回数、ねじり引張強度率、及びねじり引張伸びが低下する。なお、中間伸線加工及び中間熱処理の回数をより低減するために熱間圧延線材の線径は5mm以下とすることが好ましい。また、熱間圧延線材の線径は3mm以上とすることが好ましい。これは、熱間圧延線材の線径を3mm未満とすると、熱間圧延時の線材の生産性が低下するためである。
熱間圧延の温度条件は特に限定されないが、仕上圧延を行う温度(仕上温度)を850℃以上とすることが好ましい。仕上温度が850℃未満であると、熱間圧延後の冷却の際に多くの粒界フェライトが生成し、所定量のパーライトを含む組織の熱間圧延線材を得にくくなる可能性がある。
本実施形態では、熱間圧延後の冷却の速度を10℃/秒以上とする。上記のように、パラメータPの値が1000以上である場合に、熱間圧延後の冷却速度を10℃/秒以上とすれば、セメンタイトの厚さが0.03μm以下であるパーライトを97%以上含む組織の熱間圧延線材が得られる。また、パラメータPの値が1050以上である場合に、熱間圧延後の冷却速度を10℃/秒以上とすれば、セメンタイトの厚さが0.03μm以下であるパーライトを98%以上含む組織の熱間圧延線材が得られる。冷却速度は、例えば、送風により制御することができる。また、熱間圧延後の線径によって制御することも可能である。冷却速度は、非パーライト組織、特にベイナイトの生成を抑制するために、仕上温度からパーライト変態が開始する520℃〜650℃までの範囲内で制御することが特に好ましい。また、熱間圧延後に線材を速やかに520℃〜580℃の溶融ソルト浴に浸漬してパテンティング処理を行ってもよい。この場合、溶融ソルトでの冷却速度は、150℃/秒以上になる。
パーライトの分率が97%未満であると、非パーライト部にミクロボイドが発生し、ソーワイヤ用素線の張力ねじり回数、ねじり引張強度率及びねじり引張伸びが低下する。また、パーライトに含まれるセメンタイトの厚さが0.03μm超であると、一次伸線加工の際にセメンタイト付近に微小なミクロボイドが生成し、ソーワイヤ用素線の延性が低下する。従って、熱間圧延線材の組織には、セメンタイトの厚さが0.03μm以下のパーライトを97%以上、好ましくは98%以上含ませる。
上記のように、パテンティング処理とは、一次伸線加工材を加熱保持して組織をオーステナイト化した後、パーライトに恒温変態させるために、速やかにパーライト変態温度に冷却保持する熱処理である。一次伸線加工後にこのようなパテンティング処理を行うと、上記のように、パラメータPの値が1000以上である場合は、セメンタイトの厚さが0.02μm以下であるパーライトを98%以上含む組織のパテンティング材が得られ、パラメータPの値が1050以上である場合は、セメンタイトの厚さが0.02μm以下であるパーライトを99%以上含む組織のパテンティング材が得られる。
パテンティング処理では、組織をオーステナイト化する加熱保持の温度を950℃〜1100℃とすることが好ましく、パーライトに恒温変態(パーライト変態)させる冷却保持の温度を520℃〜600℃とすることが好ましい。また、パーライトに恒温変態させる温度は550℃以上及び/又は580℃以下であることがより好ましい。パーライト変態させるために用いる浴は、特に限定しないもののPb浴、流動層炉が好ましい。
最終のパテンティング処理後のパテンティング材の組織におけるパーライトの分率は、十分なソーワイヤ用素線の張力ねじり回数、ねじり引張強度率及びねじり引張伸びを得るために、98%以上、好ましくは99%以上とする。パーライトの分率が98%未満であると、仕上伸線加工の際に、非パーライト組織であるフェライト及びベイナイトを起点として、マイクロボイドが生成して断線が発生する場合がある。また、非パーライト組織が増加すると、ソーワイヤ用素線の張力ねじり回数、ねじり引張強度率及びねじり引張伸びが不十分となる場合がある。
また、パテンティング材のパーライトに含まれるセメンタイトの厚さが0.02μm超であると、仕上伸線加工の際にセメンタイト付近に微小なミクロボイドが生成し、ソーワイヤ用素線の張力ねじり回数、ねじり引張強度率及びねじり引張伸びが低下する。従って、熱間圧延線材の組織には、セメンタイトの厚さが0.02μm以下のパーライトを98%以上、好ましくは99%以上含ませる。
最終のパテンティング処理後のセメンタイトの厚さを0.02μm以下にするには、鋼片の組成に関してパラメータPの値を1000以上、好ましくは1050以上とした上で、パーライトに恒温変態させる温度を520℃〜600℃にすることが重要である。
本実施形態では、仕上伸線加工後の線径を0.05mm〜0.18mmとする。ソーワイヤ素線を用いたソーワイヤの切削代の削減等のためである。
本発明者らは、ソーワイヤ用素線の引張強度及び耐断線性と、C含有量及び仕上伸線加工の伸線加工歪(伸線加工の真歪)との関係について検討を行った。その結果、仕上伸線加工の伸線加工歪εに関し、下記(式2)で表わされるパラメータQの値が380以上であれば、優れた引張強度及び耐断線性が得られることを見出した。
Q=99×[C]+2.7×exp(ε/2)/(0.075−0.0112×[C]) ・・・(式2)
ここで、[C]はC含有量(質量%)である。
パラメータQの値が380未満であると、4000MPa以上の引張強度を確保することが困難である。4300MPa超の引張強度を確保するためには、パラメータQの値が440超であることが好ましい。また、上記のように、伸線加工歪εが4.5以上であると、ラメラ間隔のばらつきが大きくなって、張力ねじり回数、ねじり引張強度率及びねじり引張伸びが低下し、耐断線性が低下しやすい。従って、伸線加工歪εは4.5未満とする。なお、Cの含有量及び伸線加工歪の範囲が決められているため、パラメータQの値は535以下となる。そして、パラメータQの値が535超であると、ソーワイヤ用素線の耐断線性が低下しやすい。
仕上伸線加工の方法は特に限定されないが、例えば、所定の伸線加工速度で、ダイヤモンドダイスを用いて行うことが好ましい。ダイス角度等のダイス形状、並びに最終ダイスの減面率及び潤滑剤の種類等の加工条件は特に限定されないが、上記のように、ソーワイヤ用素線の表面からの深さが線径×0.2以下の範囲内の表層部と、中心からの距離が線径×0.2以下の範囲内の中心部との間でのビッカース硬さの差(HV硬度差)が100以下となるように選択することが好ましい。優れた延性及びねじり特性を得るためである。
仕上伸線加工の前及び/又は後に、必要に応じてCu−Znめっき、Cuめっき、及び/又はNiめっきを行って、線材の表面にめっき皮膜を形成してもよい。また、仕上伸線加工後に、応力除去のためのブルーイング処理を行ってもよい。ブルーイング処理は、150℃〜400℃の温度範囲内で行うことが好ましい。
仕上伸線加工後に矯直加工を行ってもよい。この場合、ソーワイヤ用素線の表層部と中心部との間のHV硬度差をより一層低減できるとともに、ソーワイヤ用素線の表層部に容易に−100MPa以下の残留応力を付与することができる。仕上伸線加工後にショットピーニング処理を行うことによっても、ソーワイヤ用素線の表層部の残留応力を容易に−100MPa以下にすることができる。
このようにして、本実施形態に係るソーワイヤ用素線を製造することができる。
そして、本実施形態に係るソーワイヤ用素線には、線径が細く、引張強度が高く、耐断線性が優れているという性質がある。このため、特に、このソーワイヤ用素線をソーワイヤに用いれば、サファイヤ及びSiC単結晶等の高価なインゴット等を切断する際の切削代を小さくすることができる。また、切断操業中の断線を防止することができる。従って、産業上の貢献が極めて顕著である。なお、本実施形態に係るソーワイヤ用素線は固定砥粒ソーワイヤに極めて好適であるが、遊離砥粒ソーワイヤに用いることも可能である。
次に、本発明者らが行った実験について説明する。これらの実験における条件等は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した例であり、本発明は、これらの例に限定されるものではない。
(第1の実験)
第1の実験では、先ず、表1に示す化学成分を有する鋼片(鋼No.1A〜1W)の熱間圧延を行った後、表2に示す冷却速度で冷却することにより、表2に示す線径の熱間圧延線材を得た(試験No.1−1〜No.1−44)。熱間圧延の仕上圧延は920℃〜950℃の温度範囲内で行った。冷却速度は送風によって制御した。そして、以下に示す方法で、熱間圧延線材のパーライト組織の分率及びセメンタイトの厚さを測定した。これらの結果を表2に示す。
熱間圧延線材のパーライト組織の分率の測定では、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて2000倍の倍率で、15視野以上の写真を撮影した。そして、画像処理によって各視野でのパーライト組織の面積分率を測定し、その平均値を当該熱間圧延線材のパーライト組織の分率とした。なお、観察(撮影)する場所は、熱間圧延線材の表層から約d/4の位置とした(d:熱間圧延線材の線径)。
熱間圧延線材のセメンタイトの厚さの測定では、熱間圧延後にコイル状に巻かれた熱間圧延線材の線材重なり部から透過型電子顕微鏡(TEM)観察用の試料を採取した。そして、TEMを用いて、セメンタイト板に垂直な視野を選択し、10000倍〜20000倍の倍率で、10視野以上の写真を撮影した。そして、各視野でのセメンタイトの厚さを測定し、その平均値を当該熱間圧延線材のセメンタイトの厚さとした。なお、観察(撮影)する場所は、熱間圧延線材の表層から約d/4の位置とした。
Figure 0004943564
Figure 0004943564
その後、一次伸線加工を行うことにより、所定の線径の一次伸線加工材を得た。続いて、最終のパテンティング処理を行うことにより、表3に示す線径のパテンティング材を得た。最終のパテンティング処理では、980℃のオーステナイト化温度に45秒間保持し、575℃のパーライト変態温度に30秒間保持した。パーライト変態を行う浴には、Pb浴を用いた。なお、試験No.1−44では、最終のパテンティング処理におけるパーライト変態温度を620℃とした。
そして、以下に示す方法で、パテンティング材のパーライト組織の分率及びセメンタイトの厚さを測定した。また、パテンティング材の引張強度を、JIS Z 2241に準拠して測定した。これらの結果を表3に示す。
パテンティング材のパーライト組織の分率の測定は、熱間圧延線材のパーライト組織の分率の測定と同様の方法で行った。ただし、観察(撮影)する場所は、パテンティング材の表層から約d/4の位置とした(d:パテンティング材の線径)。
パテンティング材のセメンタイトの厚さの測定は、熱間圧延線材のセメンタイトの厚さの測定と同様の方法で行った。ただし、観察(撮影)する場所は、パテンティング材の表層から約d/4の位置とした(d:パテンティング材の線径)。
Figure 0004943564
次いで、パテンティング材にブラスめっきを施した。その後、仕上伸線加工を行うことにより、表4に示す線径のソーワイヤ用素線を得た。仕上伸線加工は、表4に示す伸線加工歪で、ダイス角度が10゜のダイヤモンドダイスを用いて、伸線速度が900m/分の条件で行った。また、最終ダイスでの減面率は、4%〜7%とした。また、摩擦係数が0.1以下の潤滑剤を用いて、潤滑剤の温度は70℃以下に制御した。仕上伸線加工後には、ローラー型の矯直加工機を用いて、矯直加工を施した。
Figure 0004943564
このようにして製造されたソーワイヤ用素線について、以下に示す方法で、伸線加工パーライト組織の分率、ラメラ間隔の最大値と最小値との比、引張強度、張力ねじり回数、ねじり引張強度率、ねじり引張伸び、ビッカース硬さの差(HV硬度差)、及び表層部の残留応力を測定した。これらの結果を表5に示す。
ソーワイヤ用素線の伸線加工パーライト組織の分率の測定では、SEMを用いて10000倍〜20000倍の倍率で、15視野以上の写真を撮影した。そして、画像処理によって各視野での伸線加工パーライト組織の面積分率を測定し、その平均値を当該ソーワイヤ用素線の伸線加工パーライト組織の分率とした。なお、観察(撮影)する場所は、ソーワイヤ用素線の表層から約d/4の位置とした(d:ソーワイヤ用素線の線径)。
ラメラ間隔の最大値と最小値との比の測定では、TEMを用いて100000倍の倍率で組織の観察を行い、ラメラ間隔の最大値及び最小値を測定し、この比を算出した。
ソーワイヤ用素線の引張強度は、JIS Z 2241に準拠して測定した。このとき、つかみ間隔は100mmとした。
張力ねじり回数の測定では、つかみ間隔を100mmとし、引張強度×素線の断面積×0.5の張力を付与しながら、ねじり速度を60rpmとしてねじり試験を行い、破断までのねじり回数を測定した。ソーワイヤ用素線毎に5本の試験を行い、その平均値を張力ねじり回数とした。
ねじり引張強度率の測定、及びねじり引張伸びの測定では、つかみ間隔を線径の100倍として5回転のねじりをソーワイヤ用素線に付与した後、引張試験を行い、引張強度及び伸びを測定した。そして、この引張試験で得られた引張強度を、ねじりを付与していない状態での引張強度で除して得られる商(ねじり引張強度率)を算出した。ソーワイヤ用素線毎に5本の試験を行い、上記の商(ねじり引張強度率)及び伸びの平均値を、それぞれ、ねじり引張強度率及びねじり引張伸びとした。
ビッカース硬さの差(HV硬度差)の測定では、JIS Z 2244に準拠して、ソーワイヤ用素線の表面からの深さが線径×0.2以下の範囲内である表層部、及びソーワイヤ用素線の中心からの距離が線径×0.2以下の範囲内である中心部のビッカース硬さを測定した。そして、これらの差を算出した。
ソーワイヤ用素線の表層部の残留応力の測定では、長さが100mmのソーワイヤ用素線を隙間なく並べ、X線を用いて、並べたソーワイヤ用素線の中央部における伸線方向の残留応力を測定した。
Figure 0004943564
表5に示すように、本発明の実施例である試験No.1−1〜No.1−34では、引張強度が4000MPa以上、張力ねじり回数が5回以上、ねじり引張強度率が80%以上、ねじり引張伸びが2%以上と優れていた。つまり、高強度で高延性のソーワイヤ用素線が実現できた。
これに対して、試験No.1−35〜No.1−41は、鋼片の化学成分及び/又は仕上伸線加工の条件が本発明範囲から外れる比較例である。
すなわち、試験No.1−35では、C含有量が本発明範囲より少なく、Crが含有されておらず、(式1)で表わされるパラメータPの値が1000未満である。試験No.1−36では、C含有量が本発明範囲より少なく、パラメータPの値が1000未満である。このため、試験No.1−35及びNo.1−36では、熱間圧延線材、パテンティング材及びソーワイヤ用素線におけるパーライト組織の分率が本発明範囲より小さくなった。また、加工硬化率が低かった。そこで、4000MPa以上の引張強度を得るために、伸線加工歪が4.5以上の仕上伸線加工を行った。これらの結果、十分な張力ねじり回数、ねじり引張強度率、及びねじり引張伸びが得られなかった。また、試験No.1−35及びNo.1−36のソーワイヤ用素線の伸線方向に垂直な断面で、TEMを用いて100000倍の倍率で組織の観察を行った結果、定性的に、ラメラ間隔のばらつきが大きくなっていることが確認された。
試験No.1−37では、Si含有量が本発明範囲を超えており、非パーライト組織が過剰に生成した。このため、試験No.1−37では、熱間圧延線材、パテンティング材及びソーワイヤ用素線のパーライト組織の分率が本発明範囲より小さくなった。従って、十分な張力ねじり回数、ねじり引張強度率、及びねじり引張伸びが得られなかった。
試験No.1−38では、Crが添加されていない。このため、加工硬化率が低かった。そこで、4000MPa以上の引張強度を得るために、伸線加工歪が4.5以上の仕上伸線加工を行った。この結果、十分なソーワイヤ用素線の張力ねじり回数、ねじり引張強度率、及びねじり引張伸びが得られなかった。また、試験No.1−35及びNo.1−36のソーワイヤ用素線と同様のTEM観察を行ったところ、定性的に、ラメラ間隔のばらつきが大きくなっていることが確認された。
試験No.1−39では、C含有量が本発明範囲を超えており、初析セメンタイトが発生した。このため、試験No.1−39では、仕上伸線加工で断線が頻発し、ソーワイヤ用素線を製造できなかった。
試験No.1−40では、Mn含有量が本発明範囲を超えている。試験No.1−41では、Cr含有量が本発明範囲を超えている。このため、試験No.1−40及びNo.1−41では、熱間圧延線材及びパテンティング材にベイナイトが過剰に含まれており、熱間圧延線材、パテンティング材及びソーワイヤ用素線におけるパーライト組織の分率が本発明範囲より小さくなった。従って、十分な張力ねじり回数、ねじり引張強度率、及びねじり引張伸びが得られなかった。
試験No.1−42及びNo.1−43は、熱間圧延の条件が本発明範囲から外れる比較例である。
すなわち、試験No.1−42では、熱間圧延後の冷却速度が本発明範囲より遅く、セメンタイトが厚くなった。このため、ソーワイヤ用素線に微小なボイドが発生し、十分な張力ねじり回数、及びねじり引張強度率が得られなかった。
試験No.1−43では、熱間圧延線材の線径が本発明範囲を超えているため、中間伸線加工及び中間熱処理を繰り返し行った。この結果、十分なソーワイヤ用素線の張力ねじり回数、及びねじり引張強度率が得られなかった。
試験No.1−44では、パテンティング材のセメンタイトの厚さが本発明範囲を超えており、ソーワイヤ用素線に微小なボイドが発生した。このため、十分な張力ねじり回数、ねじり引張強度率、及びねじり引張伸びが得られなかった。なお、試験No.1−44では、パテンティング処理の温度(620℃)が、好ましい温度範囲(520℃〜600℃)よりも高い。
(第2の実験)
第2の実験では、先ず、表6に示す化学成分を有する鋼片(鋼No.2A〜2W)の熱間圧延を行った後、表7に示す冷却速度で冷却することにより、表7に示す線径の熱間圧延線材を得た(試験No.2−1〜No.2−45)。熱間圧延の仕上圧延は920℃〜950℃の温度範囲内で行った。冷却速度は送風によって制御した。そして、第1の実験と同様の方法で、熱間圧延線材のパーライト組織の分率及びセメンタイトの厚さを測定した。これらの結果を表7に示す。
Figure 0004943564
Figure 0004943564
その後、一次伸線加工を行うことにより、所定の線径の一次伸線加工材を得た。続いて、最終のパテンティング処理を行うことにより、表8に示す線径のパテンティング材を得た。最終のパテンティング処理では、980℃のオーステナイト化温度に45秒間保持し、575℃のパーライト変態温度に30秒間保持した。パーライト変態を行う浴には、Pb浴を用いた。なお、試験No.2−45では、最終のパテンティング処理におけるパーライト変態温度を620℃とした。
そして、第1の実験と同様の方法で、パテンティング材の引張強度、パーライト組織の分率及びセメンタイトの厚さを測定した。これらの結果を表8に示す。
Figure 0004943564
次いで、パテンティング材にブラスめっきを施した。その後、仕上伸線加工を行うことにより、表9に示す線径のソーワイヤ用素線を得た。仕上伸線加工は、表9に示す伸線加工歪で、ダイス角度が10゜のダイヤモンドダイスを用いて、伸線速度が900m/分の条件で行った。また、最終ダイスでの減面率は、4%〜7%とした。また、摩擦係数が0.1以下の潤滑剤を用いて、潤滑剤の温度は70℃以下に制御した。仕上伸線加工後には、ローラー型の矯直加工機を用いて、矯直加工を施した。
Figure 0004943564
このようにして製造されたソーワイヤ用素線について、第1の実験と同様の方法で、伸線加工パーライト組織の分率、ラメラ間隔の最大値と最小値との比、引張強度、張力ねじり回数、ねじり引張強度率、ねじり引張伸び、ビッカース硬さの差(HV硬度差)、及び表層部の残留応力を測定した。これらの結果を表10に示す。
Figure 0004943564
表10に示すように、本発明の実施例である試験No.2−1〜No.2−35では、引張強度が好ましい4300MPa以上、張力ねじり回数が5回以上、ねじり引張強度率が80%以上、ねじり引張伸びが2%以上と優れていた。つまり、高強度で高延性のソーワイヤ用素線が実現できた。
これに対して、試験No.2−36〜No.2−42は、鋼片の化学成分及び/又は仕上伸線加工の条件が本発明範囲から外れる比較例である。
すなわち、試験No.2−36では、C含有量が本発明範囲より少なく、Crが含有されておらず、パラメータPの値が1000未満である。試験No.2−37では、C含有量が本発明範囲より少なく、パラメータPの値が1000未満である。このため、試験No.2−36及びNo.2−37では、熱間圧延線材、パテンティング材及びソーワイヤ用素線におけるパーライト組織の分率が本発明範囲より小さくなった。また、加工硬化率が低かった。そこで、4000MPa以上の引張強度を得るために、伸線加工歪が4.5以上の仕上伸線加工を行った。これらの結果、十分な張力ねじり回数、ねじり引張強度率、及びねじり引張伸びが得られなかった。また、TEM観察の結果、定性的に、ラメラ間隔のばらつきが大きくなっていることが確認された。
試験No.2−38では、Si含有量が本発明範囲を超えており、非パーライト組織が過剰に生成した。このため、試験No.2−38では、熱間圧延線材、パテンティング材及びソーワイヤ用素線のパーライト組織の分率が本発明範囲より小さくなった。従って、十分な張力ねじり回数、ねじり引張強度率、及びねじり引張伸びが得られなかった。
試験No.2−39では、Crが添加されていない。このため、加工硬化率が低かった。そこで、4000MPa以上の引張強度を得るために、伸線加工歪が4.5以上の仕上伸線加工を行った。この結果、十分なソーワイヤ用素線の張力ねじり回数、ねじり引張強度率、及びねじり引張伸びが得られなかった。また、TEM観察の結果、定性的に、ラメラ間隔のばらつきが大きくなっていることが確認された。
試験No.2−40では、C含有量が本発明範囲を超えており、初析セメンタイトが発生した。このため、試験No.2−40では、仕上伸線加工で断線が頻発し、ソーワイヤ用素線を製造できなかった。
試験No.2−41では、Mn含有量が本発明範囲を超えている。試験No.2−42では、Cr含有量が本発明範囲を超えている。このため、試験No.2−41及びNo.2−42では、熱間圧延線材及びパテンティング材にベイナイトが過剰に含まれており、熱間圧延線材、パテンティング材及びソーワイヤ用素線におけるパーライト組織の分率が本発明範囲より小さくなった。従って、十分な張力ねじり回数、ねじり引張強度率、及びねじり引張伸びが得られなかった。
試験No.2−43及びNo.2−44は、熱間圧延の条件が本発明範囲から外れる比較例である。
すなわち、試験No.2−43では、熱間圧延後の冷却速度が本発明範囲より遅く、セメンタイトが厚くなった。このため、ソーワイヤ用素線に微小なボイドが発生し、十分な張力ねじり回数、及びねじり引張強度率が得られなかった。
試験No.2−44では、熱間圧延線材の線径が本発明範囲を超えているため、中間伸線加工及び中間熱処理を繰り返し行った。この結果、十分なソーワイヤ用素線の張力ねじり回数、及びねじり引張強度率が得られなかった。
試験No.2−45では、パテンティング材のセメンタイトの厚さが本発明範囲を超えており、ソーワイヤ用素線に微小なボイドが発生した。このため、十分な張力ねじり回数、ねじり引張強度率、及びねじり引張伸びが得られなかった。なお、試験No.2−45では、パテンティング処理の温度(620℃)が、好ましい温度範囲(520℃〜600℃)よりも高い。
本発明は、例えば、種々の材料の切断に用いられるソーワイヤの関連産業において利用することができる。

Claims (11)

  1. 質量%で、
    C:0.87%〜1.2%、
    Si:0.02%〜2.0%、
    Mn:0.1%〜1.0%、及び
    Cr:0.5%以下、
    を含有し、
    C、Si、Mn、及びCrの含有量に関し、下記(式1)で表わされるパラメータPの値が1000以上であり、
    P含有量が0.015%以下であり、
    S含有量が0.015%以下であり、
    N含有量が0.01%以下であり、
    残部がFe及び不可避的不純物からなり、
    金属組織が、伸線加工パーライトを98%以上の面積率で含み、
    直径が0.05mm〜0.18mmであり、
    引張強度が4000MPa以上であり、
    表面からの深さが直径×0.2以下の範囲内である表層部と、中心からの距離が直径×0.2以下の範囲内である中心部との間のビッカース硬さの差が100以下であり、
    つかみ間隔が100mm、引張強度×素線の断面積×0.5の張力を負荷したねじり試験でのねじり回数が5回以上であることを特徴とするソーワイヤ用素線。
    P=1098×[C]+98×[Si]−20×[Mn]+167×[Cr] ・・・(式1)
    ((式1)において、[C]、[Si]、[Mn]、及び[Cr]は、それぞれ、C、Si、Mn、及びCrの含有量(質量%)である。)
  2. C含有量が0.92質量%以上であり、
    前記パラメータPの値が1050以上であり、
    前記金属組織が、前記伸線加工パーライトを99%以上の面積率で含むことを特徴とする請求項1に記載のソーワイヤ用素線。
  3. 5回のねじりを付与した状態で引張った際の引張強度が、ねじりを付与しない状態で引張った際の引張強度の85%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のソーワイヤ用素線。
  4. 5回のねじりを付与した状態で引張った際の破断伸びが、2%以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のソーワイヤ用素線。
  5. 前記ソーワイヤ用素線の表層部の残留応力が−100MPa以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のソーワイヤ用素線。
  6. 質量%で、
    Ni:1.0%以下、
    Cu:0.5%以下、
    Mo:0.5%以下、
    V:0.5%以下、及び
    B:0.0050%以下、
    からなる群から選択された少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のソーワイヤ用素線。
  7. 鋼片の熱間圧延を行い、10℃/秒以上の速度で冷却して、線径が6mm以下であり、セメンタイトの厚さが0.03μm以下であるパーライトを97%以上含む組織の熱間圧延線材を得る工程と、
    前記熱間圧延線材の一次伸線加工を行って、一次伸線加工材を得る工程と、
    前記一次伸線加工材に対して最終のパテンティング処理を行って、セメンタイトの厚さが0.02μm以下であるパーライトを98%以上含む組織のパテンティング材を得る工程と
    伸線加工歪εを4.5未満とし、かつ、最終ダイスの減面率を10%以下として、前記パテンティング材の仕上伸線加工を行う工程と、
    を有し、
    前記鋼片は、
    質量%で、
    C:0.87%〜1.2%、
    Si:0.02%〜2.0%、
    Mn:0.1%〜1.0%、及び
    Cr:0.5%以下、
    を含有し、
    C、Si、Mn、及びCrの含有量に関し、下記(式1)で表わされるパラメータPの値が1000以上であり、
    P含有量が0.015%以下であり、
    S含有量が0.015%以下であり、
    N含有量が0.01%以下であり、
    残部がFe及び不可避的不純物からなり、
    前記伸線加工歪εに関し、下記(式2)で表わされるパラメータQの値が380以上であることを特徴とするソーワイヤ用素線の製造方法。
    P=1098×[C]+98×[Si]−20×[Mn]+167×[Cr] ・・・(式1)
    Q=99×[C]+2.7×exp(ε/2)/(0.075−0.0112×[C]) ・・・(式2)
    ((式1)及び(式2)において、[C]、[Si]、[Mn]、及び[Cr]は、それぞれ、C、Si、Mn、及びCrの含有量(質量%)である。)
  8. 前記鋼片のC含有量が0.92質量%以上であり、
    前記パラメータPの値が1050以上であり、
    前記パラメータQの値が440超であり、
    前記熱間圧延線材の組織が、セメンタイトの厚さが0.03μm以下であるパーライトを98%以上含み、
    前記パテンティング材の組織が、セメンタイトの厚さが0.02μm以下であるパーライトを99%以上含むことを特徴とする請求項に記載のソーワイヤ用素線の製造方法。
  9. 前記鋼片が、更に、
    質量%で、
    Ni:1.0%以下、
    Cu:0.5%以下、
    Mo:0.5%以下、
    V:0.5%以下、及び
    B:0.0050%以下、
    からなる群から選択された少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項7又は8に記載のソーワイヤ用素線の製造方法。
  10. 前記熱間圧延の仕上温度が850℃以上であることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載のソーワイヤ用素線の製造方法。
  11. 前記一次伸線加工材に対して最終のパテンティング処理を行って、前記パテンティング材を得る工程は、
    前記一次伸線加工材を950℃〜1100℃に保持する工程と、
    次いで、前記一次伸線加工材を520℃〜600℃に保持する工程と、
    を有することを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載のソーワイヤ用素線の製造方法。
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