JP5157230B2 - 伸線加工性の優れた高炭素鋼線材 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、タイヤ補強用スチールコード、スチールベルトコード、ソーワイヤ等に使用される、伸線加工性の優れた高炭素鋼線材に関するものである。
従来、自動車用タイヤ、産業用各種ベルト類などの補強用に使用されているスチールコードや、スチールベルトコード、ソーワイヤなどの極細鋼線は、高炭素鋼の熱間圧延線材に中間伸線と中間パテンティング処理を繰り返し行って所定の線径にした後、最終パテンティング処理を行い、所定の線径まで湿式伸線加工することにより製造される。このような製造工程のうち、中間パテンティング処理については、製造コスト削減の観点から、省略が検討されている。
一方、極細鋼線は、軽量化等の観点から高強度化の要求が一段と高まっている。しかしながら、極細鋼線の強度が増加するほど、断線頻度が増加し、生産性が著しく低下するため、中間パテンティング処理を省略して高強度の極細鋼線を製造する際には、伸線加工工程や撚り線工程における断線率の増加が問題になる。したがって、熱間圧延線材から最終パテンティング線径まで伸線加工が可能な伸線加工性の優れた高炭素鋼線材の要求が強まっている。
このような伸線加工性に優れた鋼線として、析出物、介在物を制御する技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3を参照)。また、断面における硬度差を抑制した素材を、ダイスのアプローチ角度および減面率を制御して、伸線加工する技術が提案されている(例えば、特許文献4を参照)。
さらに、中間パテンティング処理を省略する技術として、平均線径が5.0mm未満の熱間圧延線材における引張強さの最小値及び引張強さのばらつきの規制、破断絞りの最小値などを規制する技術が提案されている(例えば、特許文献5を参照)。また、オーステナイト結晶粒度制御や、パーライトコロニーサイズ制御、初析フェライト、初析セメンタイトの形状制御等により、中間パテンティング処理の省略が可能な圧延線材の線径が4.5mm以下の伸線加工性の優れた熱間圧延線材が提案されている(例えば、特許文献6を参照)。
しかしながら、中間パテンティングを省略した場合の熱間圧延線材の伸線加工性と、最終伸線及び撚り線工程における高強度極細鋼線の断線との関係や断線原因の詳細は、よく分かっていない。したがって、その対策技術も十分に確立されていないのが実態であり、中間パテンティング処理を省略した際の断線率の低下技術には限界があった。
特開2000−319757号公報 特開2001−131697号公報 特開2003−183778号公報 特開2005−2413号公報 特開2004−149816号公報 特開2001−181789号公報
本発明は、上記の実状に鑑みてなされたものであって、最終線径が0.05〜0.4mmである高強度極細鋼線の製造において、中間パテンティングの省略を可能にし、伸線加工工程及び撚り線工程の断線率の低下を実現することが可能な、伸線加工性の優れた高炭素鋼圧延線材を提供することを目的とするものである。
本発明は、熱間圧延線材の非拡散性水素量、パーライト分率及びラメラー間隔を制御することにより、熱間圧延線材の伸線加工性が向上し、高強度極細鋼線の製造工程における断線頻度を抑制することができるという知見に基づくものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1) 質量%で、C:0.80〜1.20%、Si:0.01〜1.50%、Mn:0.05〜1.00%、Al:0.005%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、パーライトの面積分率が95%以上であり、ラメラー間隔が0.08〜0.35μmであり、非拡散性水素量が0.5ppm以下であることを特徴とする伸線加工性の優れた高炭素鋼線材。
(2) 更に、質量%で、Cr:0.01〜1.00%、Nb:0.001〜0.200%、V:0.01〜0.50%の少なくとも1種又は2種以上を含有することを特徴とする上記(1)に記載の伸線加工性の優れた高炭素鋼線材。
(3) 更に、質量%で、Ni:0.01〜2.00%、Co:0.01〜1.00%の一方又は双方を含有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の伸線加工性の優れた高炭素鋼線材。
(4) 更に、質量%で、Mo:0.01〜0.50%、B:0.0001〜0.0070%の一方又は双方を含有することを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか一項に記載の伸線加工性の優れた高炭素鋼線材。
以上のように、本発明の伸線加工性の優れた高炭素鋼線材では、熱間圧延線材のラメラー間隔、パーライト分率及び非拡散性水素量を制御することによって、高強度の極細鋼線を製造する際の断線回数を低減させることができ、中間パテンティング処理の省略が可能になるなど、産業上の貢献が極めて顕著である。
以下、本発明の伸線加工性の優れた高炭素鋼線材について詳細に説明する。
本発明者らは、中間パテンティング処理を省略した場合の熱間圧延線材の伸線加工性に及ぼす組織因子等の影響、熱間圧延線材の組織因子と最終伸線工程や撚り線工程における断線頻度との関係等を詳細に解析した。その結果、最終伸線工程、撚り線工程における断線は、介在物以外に熱間圧延線材中に存在する非拡散性水素が著しく影響することを見出した。さらに、熱間圧延線材の伸線性加工性は、パーライト組織におけるセメンタイト間の間隔であるラメラー間隔及びパーライト組織分率が影響することを明確にした。
本発明で目的とする中間パテンティング処理を省略し、なお且つ最終伸線及び撚り線工程での断線を防止する上で最も重要となる非拡散性水素の限定理由を以下に説明する。
図1は、熱間圧延線材中の非拡散性水素量と、中間パテンティング処理を省略した最終伸線及び撚り線工程での断線回数との関係を測定した解析結果の一例である。
図1に測定結果から、非拡散性水素量が低下するほど、断線回数が低下することがわかる。ここで、非拡散性水素量が0.5ppm以下で特に断線回数が低下することから、本発明では、非拡散性水素量の上限を0.5ppm以下に限定した。また、断線率を安定的に低下する上で、更に好ましい条件は0.3ppm以下である。
本発明の限界拡散性水素量は、熱間圧延線材を100mmに切断し、線材表層のスケールをエメリー紙で除去した後、ガスクロマトグラフを用いた昇温水素分析装置で測定する。より具体的には、以下の(i)〜(iii)に示す通りである。
(i) 線材を室温から800℃まで100℃/hrの昇温速度で加熱し、線材から放出される水素量を測定する。
(ii) 上記(i)で昇温した線材を昇温水素分析装置内で室温まで冷却し、再び室温から800℃まで100℃/hrの昇温速度で加熱し、放出される水素量、すなわち「バックグラウンドの水素量」を測定する。
(iii) 上記(i)の水素量から上記(ii)の水素量を引いた値を線材中に含まれる「非拡散性水素量」として求める。
上記(i)〜(iii)の手順に従った測定結果の一例として、高炭素鋼線材における非拡散性水素の水素放出速度曲線を図2に示す。なお、図2中に示す非拡散性水素量(△)は、上記(i)の実測値(○)から上記(ii)のバックグラウンドの水素量(□)を引いた値であり、400〜650℃で放出される水素量である。
鋼材中の水素には、大きく分類すると拡散性水素と非拡散性水素との2種類がある。このうち、拡散性水素は、室温付近で鋼材中を拡散できる水素であり、転位、粒界、空孔にトラップされた原子状の水素であると理解されている。また、拡散性水素が遅れ破壊などの水素脆化を引き起こす水素であると考えられている。一方、非拡散性水素は、室温付近では拡散できない水素であり、遅れ破壊などの水素脆化には関与しない水素であると考えられている。
非拡散性水素の鋼中での存在状態は明確になっていないものの、本発明者らは非拡散性水素がMnS、Alなどの介在物にトラップされた水素であり、介在物/地鉄界面の空隙に分子状の水素として存在していることをほぼ明確にした。伸線加工の工程で介在物/地鉄界面も変形されるため、新たな面(新生面)が現れる。さらに、本発明者らは、新生面には分子状水素を原子状水素にしやすくする触媒作用があることを明確にした。したがって、線材中に分子状の非拡散性水素が多量に存在すると、伸線加工の工程で、分子状の非拡散性水素の一部が原子状の拡散性水素に変化するため、断線を引き起こすと考えられる。
高炭素鋼圧延線材の非拡散性水素量は、以下の(A)〜(F)に示す方法のうち、2つ以上の方法によって低減することができる。
(A) 製鋼時の溶鋼中の水素量を脱ガス処理によって2.0ppm以下に低減する。より好ましくは、1.5ppm以下に制御する。
(B) MnS、Alなど硫化物、酸化物及びこれらの複合の介在物サイズの低減及び介在物数を低減する。特に好ましい条件は介在物サイズの低減であり、最大厚みを20μm以下にする。介在物サイズの低減及び介在物数を低減するためには、Sが0.01%以下、Alが0.005%以下、Oが0.0025%以下にすることが好ましい条件である。
(C) 連続鋳造時の凝固後の冷却速度を低下させる。特に、800〜400℃の平均冷却速度を300℃/時間未満とするのが好ましい条件である。
(D) 熱間線材圧延の際のビレット加熱温度を高温にし、更に加熱保定時間を長くする。好ましい条件は、加熱温度が1100℃以上、保定時間が30分以上である。
(E) 熱間圧延後の線材の冷却速度を低下させる。特に、パーライト変態後の冷却速度、具体的には500〜100℃の平均冷却速度を10℃/秒以下とする。
(F) 熱間圧延後の線材を300〜600℃の温度範囲に加熱する。
なお、線材の非拡散性水素量を低減させるためには、上記(A)〜(F)の中から2つ以上の方法を用いることが重要であるが、具体的な選択は個々の設備能力、生産性などの観点に立って、決定されるべきものである。
次に、熱間圧延線材の組織形態の制御による伸線加工性の向上について説明する。
熱間圧延線材の組織は、強度と伸線加工性を両立させるため、パーライト組織であることが好ましい。これは、粒界フェライトやベイナイトが存在すると伸線加工性が劣化し、最終伸線工程及び撚り線工程での断線が発生しやすくなるためである。したがって、本発明の熱間圧延線材は、パーライト組織の分率を95%以上に限定する。更に好ましい条件は、98%以上である。
さらに、熱間圧延線材のパーライトのラメラー間隔を0.35μm以下にすることにより、圧延線材の伸線工程で内部欠陥の発生を抑制することができる。伸線工程で発生した内部欠陥は、最終パテンティング処理後の最終伸線工程及び撚り線工程での断線の原因になる。したがって、パーライトのラメラー間隔の上限値を0.35μmに限定することが必要である。一方、パーライトのラメラー間隔を0.08μm未満にすると、熱間圧延線材の強度が高くなり、伸線加工性が劣化するため、その下限値を0.08μmに限定した。
熱間圧延線材のパーライト分率、パーライトのラメラー間隔は、特に、熱間圧延後の冷却速度及び化学成分によって変化する。後述する本発明の化学成分の範囲内であれば、熱間圧延後の800〜500℃の平均冷却速度を5〜25℃/sとすることによって、パーライト分率95%以上、ラメラー間隔0.08〜0.35μmに制御することが可能となる。なお、平均冷却速度が5℃未満では、ラメラー間隔が0.35μmを超えやすく、また、パーライト分率が95%を下回る可能性が高くなる。一方、平均冷却速度が25℃/sを超えると、ラメラー間隔が0.08未満になりやすく、更に、ベイナイトなどの過冷組織が発生しパーライト分率が95%を下回る頻度が増加する。以上のことから、熱間圧延線材の800〜500℃の平均冷却速度は、5〜25℃/sとすることが好ましい。
パーライト分率は、走査型電子顕微鏡で倍率が2000〜5000で20視野以上を写真撮影し、画像処理によってパーライト組織の面積分率を測定し、その平均値を求めた値である。また、パーライトのラメラー間隔の測定は、走査型電子顕微鏡を用いて、倍率が5000〜10000で20視野以上を写真撮影し、その平均値を求めて行えばよい。
次に、本発明による高炭素鋼線材の成分を限定した理由について説明する。
(C:0.80〜1.20%)
Cは、最終パテンティング処理後の引張強さの増加及び伸線加工硬化率を高める効果があり、より少ない伸線加工歪で極細鋼線の引張強さを高めることができる。しかしながら、Cが0.80%未満では本発明の目的とする高強度の極細鋼線を製造することが困難となり、一方、Cが1.20%を超えるとパテンティング処理時に初析セメンタイトがオーステナイト粒界に析出して伸線加工性が劣化し、伸線加工工程又は撚り線加工工程で断線が頻発してしまう。このため、Cを0.80〜1.20%の範囲に限定した。
(Si:0.01〜1.50%)
Siは、パーライト中のフェライトを強化させるためと鋼の脱酸のために有効な元素である。しかしながら、Siが0.01%未満では上記の効果が期待できず、一方、Siが1.5%を超えると伸線加工性に対して有害な硬質のSiO系介在物が発生しやすくなる。このため、Siを0.01〜1.50%の範囲に制限した。
(Mn:0.05〜1.00%)
Mnは、脱酸、脱硫のために必要であるばかりでなく、鋼の焼入性を向上させパテンティング処理後の引張強さを高めるために有効な元素である。しかしながら、Mnが0.05%未満では上記の効果が得られず、一方、Mnが1.00%を超えると上記の効果が飽和し、更にパテンティング処理時のパーライト変態を完了させるための処理時間が長くなりすぎて生産性が低下してしまう。このため、Mnを0.05〜1.00%の範囲に限定した。
本発明による高炭素鋼線材においては、上記の元素に加えて、ラメラー間隔を微細化させるための元素として、Cr、Nb、Vの少なくとも1種又は2種以上を添加してもよい。また、伸線加工性を高めるための元素として、Ni、Coの一方又は双方を添加してもよい。さらに、焼入れ性を高めるための元素として、Mo、Bの一方又は双方を添加してもよい。以下、これらの成分を限定した理由について説明する。
(Cr:0.01〜1.00%)
Crは、パーライトのラメラー間隔を微細化し、最終パテンティング処理後の引張強さを高めるとともに、特に伸線加工硬化率を向上させる有効な元素である。しかしながら、Crが0.01%未満では効果が小さく、一方、Crが1.00%を超えるとパテンティング処理時のパーライト変態終了時間が長くなり生産性が低下してしまう。このため、Crは0.01〜1.00%の範囲とすることが好ましい。
(Nb:0.001〜0.200%)
Nbは、パーライトのラメラー間隔を微細化し、パテンティング処理後の引張強さを高める効果があり、更に最終パテンティング処理時のオーステナイト粒の細粒化効果を有する。しかしながら、Nbが0.001%未満ではその効果が小さく、一方、Nbが0.200%を超えて添加されてもその効果が飽和してしまう。このため、Nbは0.001〜0.200%の範囲とすることが好ましい。
(V:0.01〜0.50%)
Vは、パーライトのラメラー間隔を微細化し、パテンティング処理後の引張強さを高める効果がある。しかしながら、この効果はVが0.01%未満ではその効果が小さく、一方、Vが0.50%を超えるとその効果が飽和してしまう。このため、Vは0.01〜0.50%の範囲とすることが好ましい。
(Ni:0.01〜2.00%)
Niは、パテンティング処理時に変態生成するパーライトを伸線加工性の良好なものにする作用を有する。しかしながら、Niが0.01%未満ではその効果が小さく、一方、Niが2.00%を超えても添加量に見合うだけの効果が発揮できない。このため、Niは0.01〜2.00%の範囲とすることが好ましい。
(Co:0.01〜1.00%)
Coは、熱間圧延線材及び最終パテンティング処理後の鋼線の伸線加工性を高める作用がある。しかしながら、Coが0.01%未満ではその効果が小さく、一方、Coが1.00%を超えても添加量に見合う効果が発揮できない。このため、Coは0.01〜1.00%の範囲とすることが好ましい。
(Mo:0.01〜0.50%)
Moは、焼入性向上効果により、パテンティング処理時の強度を増加させる効果がある。しかしながら、Moが0.01%未満ではその効果が小さく、一方、Moが0.50%を超えても熱間圧延後の組織に伸線加工性を劣化させるベイナイト発生しやすくなる。このため、Moは0.01〜0.50%の範囲とすることが好ましい。
(B:0.0001〜0.0070%)
Bは、焼入性の向上効果によりパテンティング処理後の強度を向上させるために添加する。しかしながら、Bが0.0001%未満ではその効果が小さく、一方、Bが0.0070%を超えもその効果が飽和してしまう。このため、Bは0.0001〜0.0070%の範囲とすることが好ましい。
なお、その他の元素については、特に限定しないが、P:0.01%以下、S:0.01%以下、N:0.007%以下が好ましい範囲である。また、Alは0.005%を超えると鋼中の介在物の中で最も硬質なAl系介在物が生成しやすくなり、伸線加工又は撚り線加工の際の断線原因となる。このため、Alは0.005%以下が好ましい範囲である。
以下、実施例により本発明の効果を更に具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
Figure 0005157230
表1に供試材の化学組成を示す。なお、表1の空欄は、成分元素を意図的に添加していないことを意味する。これらの供試材を熱間圧延し、線径5.5mmの鋼線を得た。なお、熱間圧延後の、800℃から500℃までの平均冷却速度を変化させた。得られた鋼線に、中間パテンティング処理を省略し、線径1.6mmまで一次伸線加工(乾式伸線)を施した。その後、最終パテンティング処理、ブラスめっき処理を行い、引き続き伸線速度が900m/分の条件で線径0.2mmまで湿式伸線加工を行った。その後、線径0.2mmの極細鋼線の撚り線加工を行った。
Figure 0005157230
表2には、各高炭素鋼線材の製造条件、上述した非拡散性水素量の制御方法(A)〜(F)、熱間圧延後の冷却速度、高炭素鋼線材のラメラー間隔、パーライト組織分率、非拡散性水素量、湿式伸線加工と撚り線加工時の断線回数を示す。なお、断線回数の単位[回/100トン]は、100トンの鋼線材を湿式伸線加工、撚り線加工した際の断線回数を意味する。
表2中の試験No.1〜17が本発明例であり、試験No.18〜26が比較例である。 同表に見られるように、本発明例は、何れも高炭素鋼線材のラメラー間隔、パーライト分率、非拡散性水素量が適切に制御されているために、極細鋼線の伸線加工及び撚り線工程での断線回数が低下していることがわかる。
これに対して、比較例であるNo.18,26は、線材の化学成分が不適切な例である。すなわち、No.18は、C含有量が高すぎるために、熱間圧延時の冷却過程で初析セメンタイトが析出し、断線回数が増加した例である。No.26は、Mo含有量が高すぎるために、熱間圧延線材においてベイナイト組織が発生し、パーライト分率が低下し、伸線加工性が低下して、断線回数が増加した例である。
また、比較例のNo.19,20,24は、熱間圧延後の冷却速度が5℃/sよりも遅いか、25℃/sよりも速いものであり、パーライト組織のラメラー間隔、パーライト分率が不適切な例である。No.19は、ラメラー間隔が粗大化し、No.20,24は、ラメラー間隔が細かく、パーライト分率も低く、更にNo.24は非拡散性水素量も不適切なために、何れも断線回数が改善効果を得られなかった例である。
さらに、比較例のNo.21,22,23,25は、何れもラメラー間隔、パーライト組織分率は適正であるものの、上述の非拡散性水素量の制御方法のうち、B又はDのみを実施したものであり、非拡散性水素量が多いために、断線回数が高かった例である。
図1は、高炭素鋼線材中の非拡散性水素量と断線回数との関係を示すグラフである。 図2は、高炭素鋼線材における非拡散性水素の水素放出速度曲線を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.80〜1.20%、
    Si:0.01〜1.50%、
    Mn:0.05〜1.00%
    Al:0.005%以下
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、パーライトの面積分率が95%以上であり、ラメラー間隔が0.08〜0.35μmであり、非拡散性水素量が0.5ppm以下であることを特徴とする伸線加工性の優れた高炭素鋼線材。
  2. 更に、質量%で、
    Cr:0.01〜1.00%、
    Nb:0.001〜0.200%、
    V:0.01〜0.50%
    の少なくとも1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の伸線加工性の優れた高炭素鋼線材。
  3. 更に、質量%で、
    Ni:0.01〜2.00%、
    Co:0.01〜1.00%
    の一方又は双方を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の伸線加工性の優れた高炭素鋼線材。
  4. 更に、質量%で、
    Mo:0.01〜0.50%、
    B:0.0001〜0.0070%
    の一方又は双方を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の伸線加工性の優れた高炭素鋼線材。
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