JPH08337844A - 鋼線材および鋼線とその製造方法 - Google Patents

鋼線材および鋼線とその製造方法

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JPH08337844A
JPH08337844A JP16831295A JP16831295A JPH08337844A JP H08337844 A JPH08337844 A JP H08337844A JP 16831295 A JP16831295 A JP 16831295A JP 16831295 A JP16831295 A JP 16831295A JP H08337844 A JPH08337844 A JP H08337844A
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JP
Japan
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steel wire
wire
hydrogen
temperature
ferrite
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Application number
JP16831295A
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English (en)
Inventor
Nozomi Kawabe
望 河部
Takeshi Yoshioka
剛 吉岡
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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  • Metal Extraction Processes (AREA)
  • Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ばね用ピアノ線やスチールコードなどに加工
されるパーライト組織やフェライトーパーライト組織を
有する炭素鋼線材や鋼線において、脆性の原因となる水
素を除去し、高強度、高靱性の鋼線を得る。 【構成】 成分が重量%で、C: 0.6〜0.95、Si:0.
05〜1.0 、Mn: 0.1〜1.0 、もしくは前記成分にC
r: 0.1〜0.5 を有し、それぞれの残部がFeと不可避
的不純物よりなり、フェライト組織又はフェライト−パ
ーライト組織を有する鋼線材を50〜500 ℃の領域の温度
T℃において、t時間該温度に保持して(40/√T)≦
t≦( 20000/T)を満足する熱処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はばね用ピアノ線やスチー
ルコードなどに線引加工される鋼線材ならびに線引加工
された鋼線とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ばね用ピアノ線やスチールコードには中
高炭素鋼線材を線引加工することによって高強度化した
鋼線が使用されている。なお、本明細書で鋼線材とは線
引加工前の母線を指し、鋼線とは線引加工した後の線を
指す。これらの製品で要求される特性は第1に強度であ
り、その用途により靱性(伸び、絞り、捻回値)や耐食
性、成形性、ゴムとの密着性などが挙げられる。この中
で特に機械的特性に注目すると、一般に強加工する程、
強度は高くなるものの、靱性が劣化するという問題があ
り、これが実用化における制約となり、強度の上限が決
まる。すなわち、靱性を向上させることができれば、従
来強度のワイヤならばより信頼性の高い強靱なワイヤと
なり、従来より高強度(強加工)材でも従来並の靱性が
確保できる。
【0003】今日まで、高靱性化の研究は数多く行われ
ており、組織制御がその主流である。高強度と高靱性を
両立させ、経済的にも有利な材料は、パーライト組織も
しくはフェライト−パーライト組織を有する炭素鋼線材
を伸線加工したワイヤであることは需要の面からみても
明らかである。この領域では、特にパーライト組織を構
成するフェライトとセメンタイトの間隔であるラメラ間
隔の微細化、均一化が開発の主流であり、特開昭 61-26
1436号公報、特公昭63-45448号公報、特開平4-346618号
公報、特開平 5-98349号公報等に開示され、その他セメ
ンタイトの球状化抑制のためのSiの添加について特開
平3-271329号公報、フェライト中の炭化物析出を指向し
たV添加については特開昭 57-140822号公報、偏析低減
によるパーライト単相化については特開昭 62-238327号
公報などが挙げられる。
【0004】一方、鉄鋼材料の脆性は、水素存在による
水素脆性として以前より注目され、その対策も施され、
現在も多くの研究がなされている。しかしながら、その
対象となっているものは、ステンレス(材料:vol.43,
No.490 ,pp867-873 ,July1994、材料:vol.43, No.
488 ,pp562-566 ,May1994 )、軟鋼(日本機械学会論
文集:A編60巻 576号(1994-8)p17-21)、低合金鋼
(まてりあ:第33巻第7号(1994)pa922-931 )、高張
力鋼(鉄と鋼:vol.80,1994, No.11,p49-53)などが
主であり、パーライト組織を有する炭素鋼についてほと
んど見当らない。
【0005】水素除去が有効であることは分っているも
のの、基本的には水素による遲れ破壊を防止する程度に
限られ、マルテンサイト組織を有する鋼やステンレス鋼
が対象となっており、電離性放射線によるものが特開昭
59-44384号公報に、熱間圧延後の徐冷によるものが特開
昭57-50851号公報、特開平 5-57334号公報、特開平5-14
0642号公報、特開平2-236218号公報等に示され、また低
温加熱によるものが特開平4-289129号公報、特開平 5-5
7334号などにより提案されている。これらによれば、い
ずれも水素減少は図れると考えられるものの鋼線の靱性
をさらに向上させるべき処理とはなっていない。水素量
に着目したものとしては、特開昭 56-166320号公報、特
開昭 56-166321号公報、特開平6-306551号公報の開示が
あるが、前2者は非調質高張力鋼の製造方法において、
必要な鋼板の降伏応力に対応して所要脱水素を行うもの
であり、後者はマルテンサイトステンレスにおける脱水
素処理を開示したものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来技術はいずれも水
素を減少させることにより、水素脆性による材料特性劣
化をできるだけ抑制しようとするものであるが、すでに
触れたようにステンレス鋼やマルテンサイト鋼などが改
善の対象で、圧延後の割れなどを防ぐ、遅れ破壊防止が
目的である。これに対して、本発明は、ピアノ線などの
パーライト組織、フェライト−パーライト組織を有する
炭素鋼を線引加工して得られる前記ピアノ線を含む鋼線
について、その高強度と高靱性が両立する鋼線を得よう
とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前記高強度と高
靱性が両立する鋼線を得るため、成分が重量%で、C:
0.6〜0.95、Si:0.05〜1.0 、Mn: 0.1〜1.0 、も
しくはC: 0.6〜0.95、Si:0.05〜1.0 、Mn: 0.1
〜1.0 、Cr: 0.1〜0.5 、それぞれの残部がFeなら
びに不可避的不純物よりなり、フェライト組織又はフェ
ライト−パーライト組織を有し、そのラメラ間隔が平均
で0.07〜0.3 μで水素含有量が 0.05ppm以下で、そのう
ち 100℃より 500℃に達するまでに放出される水素量が
0.04ppm以下の鋼線材を提供し、このような鋼線材を得
るため、上記のC: 0.6〜0.95、Si:0.05〜1.0 、M
n: 0.1〜1.0 もしくは、C: 0.6〜0.95、Si:0.05
〜1.0 、Mn: 0.1〜1.0 、Cr: 0.1〜0.5 、残部が
Feと不可避的不純物からなり、フェライト組織又はフ
ェライト−パーライト組織を有する鋼線材を、50〜500
℃の領域の温度T℃においてt時間該温度に保持して下
式を満足する熱処理を施して鋼線材中の水素を除去す
る。 (40/√T)≦t≦( 20000/t)(1)
【0008】上記のようにして製造された鋼線材に減面
率30〜98%の線引加工を施して鋼線を得て、そして必要
に応じ、線引加工前にCu、Zn、Niの少なくとも1
種もしくはそれ以上の無電解もしくは電解めっきを鋼線
材に施し、一方線引加工を行う伸線ダイスについて最終
仕上げから1枚以上、ダイスのアプローチ角度6〜8°
としたものを用いて150 ℃以上で線引加工を行う。
【0009】あるいは、C: 0.6〜0.95、Si: 0.5〜
1.0 、Mn: 0.1〜1.0 もしくはC: 0.6〜0.95、S
i: 0.5〜1.0 、Mn: 0.1〜1.0 、Cr: 0.1〜0.5
、それぞれ残部がFeならびに不可避的不純物よりな
り、フェライト組織又はフェライト−パーライト組織を
有する鋼線材を減面率30〜98%の線引加工を施し、製造
された鋼線を直接に、もしくはCu、Zn、Niの少な
くとも1種もしくはそれ以上の電解もしくは無電解めっ
きを施して、減面率で30〜98%の線引加工を施し、その
あと 100〜200 ℃の領域の温度T℃において該鋼線材を
t時間、前記温度に保持して前記(1)式を満足する熱
処理を施す等に特徴を有している。
【0010】以上概略説明したように本発明は、鋼線材
を鋼線およびこれら鋼線材と鋼線を製造する方法を提案
するものである。
【0011】
【作用】
(成分) C:強度に寄与。0.95%以上ではセメンタイトネットな
どの欠陥が発生しやすく、最終的に靱性を著しく劣化さ
せる。 Si:脱酸および固溶強化。0.05%以下では脱酸効果及
び固溶強化小、 1.0%以上では脱炭が起きやすく、又疵
が多発する。 Mn:脱酸焼入れ性向上。 0.1%以下では脱酸、焼入れ
性の効果小。 1.0%以上では中心偏析によりマルテンサ
イトが発生しやすく、伸線断線の原因になりやすい。 Cr: 0.1%以上添加することによって、より焼入れ性
が向上し、ラメラ間隔が均一になりやすい。 0.5%以上
では変態時間が長くなりすぎ、生産性を著しく阻害す
る。 (組織)組織はパーライトもしくはフェライト−パーラ
イト組織であり、ラメラ間隔が平均で0.07μ〜0.3 μで
ある。これは走査型電子顕微鏡での測定によるが、ラメ
ラ間隔はセメンタイト層にフェライト層を加えた積層1
層の厚みである。ラメラ間隔0.07μ以上はベイナイト組
織が混在してしまうため、不均一特性を有する材料にな
りやすい。 0.3μ以上では加工性に劣るうえ、高強度が
達成できない。 (水素)パーライト組織、フェライト−パーライト組織
を有する炭素鋼中に含まれる水素の総含有量が分析によ
り 0.05ppm以上あれば線引後、充分な靱性向上が図れな
い。分析により 100℃から 500℃に達するまでに鋼中よ
り放出される水素量が 0.04ppm以上あれば、同様に線引
後、充分な靱性向上が図れない。これらの点については
後述する。 (水素除去処理)水素の除去については前記(1)式を
満足するように、鋼線材を50〜500 ℃C領域の温度T℃
においてt時間該温度に保持して熱処理を行うが、これ
らの点については後述する。 (線引加工)減面率30〜98%としているのは、30%以下
では充分な強度が得られず、98%以上では靱性が劣化す
る。線引加工温度を 150℃以下常温の間としているのは
150℃以上では歪時効の影響で靱性が低下することを考
慮しているためである。また、ダイスのアプローチ角度
を最終仕上ダイス側から1枚以上6〜8°としているの
は、6°以下では引抜力が大きすぎ、潤滑性が劣り、実
用化困難、8°以上では靱性が低下する。またこれを最
終仕上げ側より1枚以上用いることにより靱性の維持効
果が大きい。また、必要に応じて線引加工前に鋼線にめ
っきし、場合により線引加工後にCu、Zn、Niの少
なくとも1種もしくはそれ以上を電解もしくは無電解め
っきによって鋼線表面に付着させるが、これは製品の機
能向上が主目的であり、実用材としては不可欠である。
たとえば、スチールコードのブラスめっき、ビードワイ
ヤの銅めっき、パラレルワイヤの亜鉛めっきがその具体
例である。 (線引加工後における熱処理)また、前記の重量%で、
C: 0.6〜0.95、Si: 0.5〜1.0 、Mn: 0.1〜0.5
もしくはこれにCr: 0.1〜0.5 、残部がFeと不可避
的不純物よりなり、フェライト組織又はフェライト−パ
ーライト組織を有する鋼線材に線引加工を施したのち、
前記(1)式に従って、 100〜200 ℃のある一定温度T
℃に前記鋼線材を保持して、t時間熱処理する方法もと
られる。
【0012】
【実施例】下記の表1に示す成分の炭素鋼を溶解・鋳造
後、熱間鋳造、熱間圧延により 5.5mmφに加工し、供試
材として線引加工前にいずれも 100℃×24H保持を行っ
たのち、 1.3mmφまで線引した。
【0013】
【表1】
【0014】(成分、ラメラ間隔) (1)表1に示す伸び(%)はいずれも線引後、 400℃
×7秒間焼鈍後、引張試験を行なった結果を示すもので
ある。 (2)Cの高いものはセメントタイトネットが多く、S
i、Mnの少ないものは脱酸不足で介在物も多く、逆に
Siの多いものは表面脱炭が大きく、Mnの多いもの、
Crの多いものは偏析や変態不足のため、マルテンサイ
ト発生による断線が発生するため、いずれも本発明の対
象からはずした。 (3)ラメラ間隔については、1−3−1,1−3−4
に示すように微細すぎても粗大すぎても断線したり、線
くせが悪かったため本発明の対象からはずした。ラメラ
間隔は走査型電子顕微鏡を用いて測定した。 (4)Cr添加は伸び特性を良好にするものと認められ
る。
【0015】(水素除去)表1の1−3に示した成分の
圧延鋼線材を20、50、 100、 200、 300、500 ℃で、そ
れぞれ1、2、3、10、24、 100、 200、1000H保持
し、水素を除去した後、水素量と線引後の鋼線の伸びを
調べた。線引加工は 5.5mmφから 1.3mmφで、減面率は
94.4%である。引張試験の前に420℃で7秒間低温焼鈍
を行なった。図1は前記試験結果を示す。図中の○印は
総水素量が 0.05ppm以下、 100〜500 ℃の温度において
拡散性水素が 0.03ppm以下で、伸びが3%以上で良好な
ものを、×印は水素量が 0.05ppm以上あり、伸びが3%
以下であったものを、△印は水素量が 0.05ppm以下であ
り、 100〜500 ℃拡散性水素が 0.03ppm以下であったに
もかかわらず伸びが3%以下であったものを示す。この
結果より、鋼線材保持温度T(℃)と、前記温度保持時
間t(時間)の間には、前記○、×、△のデータを整理
し、 (40/√T)≦t≦( 20000/T) (1) の関係を持たし、10〜500 ℃領域の温度T℃により熱処
理を行うとき、t時間熱処理すればよいことになる。前
記水素除去については、密閉気中に供試材を入れ、供試
材を10〜500 ℃の領域の一定温度で加熱し、不活性ガス
を注入し、ダクトから水素を排気する。
【0016】(水素分析)水素量が総水素量において0.
005ppm以下、 100〜500 ℃において 0.04ppm以下である
ことを測定するためには水素分析が必要であるが、水素
分析については、定量分析と一定の昇温速度による各温
度での放出水素量の分析がある。定量分析法は、不活性
ガス中で、試材を加熱し、融解−熱伝導法により水素を
分析する方法である。本発明では、試材(鋼線材もしく
は鋼線)を融解するまで加熱し、その時までに発生した
全水素量を測定する。前記表1から認められるように、
総水素量は 0.05ppm以下であることが必要である。一
方、前記 100〜500 ℃領域の温度T℃において(1)式
を満足するようにt時間熱処理された鋼線材についてそ
の 100〜500 ℃まで鋼線材中に存在する水素を測定する
ためには、一定の昇温速度による各温度での放出水素量
を分析する方法がとられ、室温から800 ℃までを10分間
で、分析装置の加熱るつぼ内で、試材を一定速度で昇温
し、 100℃より 500℃に達する水素発生量は、この分析
方法で積算して行う。本分析においては、HORIBA
製EMGA−621を用いた。前記表1から認められる
ように 100℃より 500℃において試材より放出される水
素量が 0.04ppm以下であることが必要である。なお 600
℃以上くらいからノイズが入るので分析はしていない。
【0017】(伸縮条件)表1の1−3に示した成分の
圧延線材を 100℃×24H熱処理(水素除去)した鋼線材
を減面率94.4%で線引加工した。この時、温度およびダ
イスのアプローチ角度を変更することによって伸び特性
を調べた。この結果を表2に示す。
【0018】
【表2】
【0019】加工温度が 150℃以下ならば伸びが良好で
あり、またダイスのアプローチ角度が6〜8°のものを
用いるとさらに良好となることが明らかである。
【0020】(焼鈍条件)表1の1−2の成分の圧延鋼
線材を 100℃×24H熱処理(水素除去)した鋼線材を減
面率94.4%で線引加工した後、図2に示す焼鈍処理し、
引張試験を行なった。この結果より、 250℃〜500 ℃で
3秒間以上10秒間以内で条件を選択することによって伸
び3%以上の特性が得られることがわかる。また、 500
℃以上では、伸線後の引張強さに対し、10%以上の強度
低下が認められるので実用的でない。なお焼鈍時間
(秒)については鋼線材、鋼線の中心が所定の温度にな
ってからの秒数である。
【0021】(線引加工度)表1の1−3の成分の圧延
鋼線材を、 150℃×10H熱処理(水素除去)し、 5.5mm
φを 4.5mmφ(減面率33.1%)、 2.6mmφ(減面率77.7
%)、 1.6mmφ(減面率91.5%)、 0.8mmφ(減面率9
7.9%)、 0.6mmφ(減面率 98.8 %)まで5種のサイ
ズまで伸線加工した。これらのワイヤを 400℃で7秒間
焼鈍した後、引張試験を行った。図3に伸びの結果を示
す。0.6mmφ(減面率98.8%)まで線引加工したものは
減面率が大きすぎ伸びは3%以下となった。
【0022】(線引後熱処理)表1の1−3に示した成
分の圧延線材を 100℃×24Hの処理をしない状態で、1.
0mmφまで線引加工を行ない、その後、図4に示すよう
に、50、 100、 200、300℃でそれぞれ、1、2、3、1
0、24、 200、3000時間保持後に引張試験した。図4に
その結果を示す。○印は安定して伸びが3%以上出たも
のを示し、△印は、伸びは3%達成するもばらつきが大
きいものを示し、また×印は、伸びが3%に達しないも
のを示している。30℃、50℃でも3000時間で伸びが向上
したが生産性が著しく劣るため対象外とした。
【0023】(めっき)表1の1−2に示した成分の圧
延線材にCuめっき、Cuめっき後Znめっき、Niめ
っき、Cuめっき後ZnめっきとNiめっきした4種類
のめっき線材を用意し、その後 450℃で4時間保持し、
1.6mmφまで線引加工した。線引後、 200〜500 ℃で5
秒間焼鈍を行い、引張試験を行なった。図5はその結果
を示す。400℃で5秒間焼鈍を行えばいずれのめっき線
も伸びが良好であることが確認された。
【0024】(水素量)表1の3で用いた成分の 4.0mm
φの圧延線材および前記線材から 1.0mmφ(減面率93.8
%)まで線引加工した鋼線に、それぞれ 100〜500 ℃、
1−24時間、 100〜200 ℃、1−24時間の任意の温度、
時間における焼鈍を行ない、その焼鈍後の鋼線材および
鋼線をHeガス中で10分間室温から600 ℃まで昇温し、
熱伝導法によって水素を検出した。その結果を表3に示
す。またこれらの試材に対して線材Rの方は4.0mm φか
ら1.0mm φまで線引加工を施し、すでに線引加工したも
のWに対しては焼鈍後、それぞれ420 ℃で5秒間低温焼
鈍後、引張試験を行ない伸びを調べた。図6のa、b、
cの水素検出グラフは例示であって、表3のサンプルR
−5、R−4、R−3にそれぞれ対応する。そしてこれ
らの試材に対して、線材Rの方には4.0mm φから1.0mm
φまで線引加工を施し、すでに線引加工したものWに対
しては焼鈍後、いずれも 420℃で5秒間低温焼鈍後、引
張試験を行い伸びを調べた。
【0025】
【表3】
【0026】Aは室温〜 600℃で放出した水素量、Bは
室温〜 500℃で放出した水素量である。500 ℃以下の放
出水素が0.04ppm 以下ならば伸びは3%以上になること
を示している。
【0027】
【発明の効果】本発明により線材を用いることにより従
来以上に靱性の優れた鋼線を得ることができる。本発明
は線引加工によって得られるピアノ線、硬鋼線をはじめ
ビードワイヤ、スケールコード、PC鋼線、PC鋼より
線、ACSRパラレルワイヤなど広い分野での展開が期
待できる。更に形状を間わないため、板、管、柱などに
も適用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において施される水素除去処理の際の鋼
線材の加熱温度T℃と加熱時間tとの関係を示す。
【図2】本発明において水素除去処理を施した鋼線材よ
りの、線引加工後における鋼線の焼鈍処理の温度処理時
間(秒)を変えて、鋼線の伸び(%)と焼鈍温度の関係
を示す。
【図3】本発明における水素を除去処理を施した鋼線材
より種々の減面率で線引加工した鋼線の伸び(%)と焼
鈍温度の関係を示す。
【図4】本発明において鋼線材に水素除去処理を施すこ
となく線引加工した鋼線への水素除去処理の際の鋼線の
加熱温度T℃と加熱時間tとの関係を示す。
【図5】本発明において鋼線材にめっきを施したのち、
水素除去処理を行い、線引加工された鋼線について、鋼
線の伸び(%)と焼鈍温度(℃)の関係を示す。
【図6】a、b、cは水素検出グラフを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 30/00 C23C 30/00 B

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成分が重量%で、C: 0.6〜0.95、S
    i:0.05〜1.0 、Mn: 0.1〜1.0 、もしくは、C:
    0.6〜0.95、Si:0.05〜1.0 、Mn: 0.1〜1.0 、C
    r: 0.1〜0.5 、それぞれの残部がFeならびに不可避
    的不純物よりなり、フェライト組織又はフェライト−パ
    ーライト組織を有し、そのラメラ間隔が平均で0.07〜0.
    3 μであり、水素含有量が 0.05ppm以下で、そのうち 1
    00℃より 500℃に達するまでに放出される水素量が 0.0
    4ppm以下であることを特徴とする鋼線材。
  2. 【請求項2】 成分が重量%で、C: 0.6〜0.95、S
    i:0.05〜1.0 、Mn: 0.1〜1.0 、もしくは、C:
    0.6〜0.95、Si:0.05〜1.0 、Mn: 0.1〜1.0 、C
    r: 0.1〜0.5 、それぞれの残部がFeならびに不可避
    的不純物よりなり、フェライト組織又はフェライト−パ
    ーライト組織を有し、そのラメラ間隔が平均で0.07〜0.
    3 μであり、水素含有量が 0.05ppm以下で、そのうち 1
    00℃より 500℃に達するまでに放出される水素量が 0.0
    4ppm以下であることを特徴とする鋼線。
  3. 【請求項3】 成分が重量%で、C: 0.6〜0.95、S
    i:0.05〜1.0 、Mn: 0.1〜1.0 、もしくは、C:
    0.6〜0.95、Si:0.05〜1.0 、Mn: 0.1〜1.0 、も
    しくはC: 0.6〜0.95、Si: 0.5〜1.0 、Mn: 0.1
    〜1.0 、Cr: 0.1〜0.5 それぞれの残部がFeと不可
    避的不純物よりなり、フェライト組織又はフェライト−
    パーライト組織を有する鋼線材を50〜500 ℃の領域の温
    度T℃においてt時間該温度に保持して下式を満足する
    熱処理を施すことを特徴とする鋼線材の製造方法。 (40/√T)≦t≦( 20000/T)
  4. 【請求項4】 請求項3記載の製造方法により熱処理さ
    れた鋼線材に減面率30〜98%の線引加工を施すことを特
    徴とする鋼線の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の製造方法により鋼線に線
    引加工する際、加工時の鋼線温度が 150℃以下常温の間
    にあり、該温度範囲において、線引加工に使用される伸
    線ダイスのアプローチ角度を最終仕上げダイスから1枚
    以上6〜8°として線引加工を行うことを特徴とする鋼
    線の製造方法。
  6. 【請求項6】 鋼線材の線引加工前にCu、Zn、Ni
    の少なくとも1種もしくはそれ以上の電解もしくは、無
    電解めっきを施して請求項4記載もしくは請求項5記載
    の線引加工を行うことを特徴とする鋼線の製造方法。
  7. 【請求項7】 成分が重量%で、C: 0.6〜0.95、S
    i:0.05〜1.0 、Mn: 0.1〜1.0 、もしくはC: 0.6
    〜0.95、Si:0.05〜1.0 、Mn: 0.1〜1.0、Cr:
    0.1〜0.5 、それぞれの残部がFeと不可避的不純物よ
    りなり、フェライト組織又はフェライト−パーライト組
    織を有する鋼線材に減面率で30〜98%の線引加工を施し
    たのち、 100〜200 ℃の領域の温度T℃において該鋼線
    をt時間前記温度に保持して下式を満足する熱処理を施
    すことを特徴とする鋼線の製造方法。 (40/√T)≦t≦( 20000/T)
  8. 【請求項8】 成分が重量%で、C: 0.6〜0.95、S
    i:0.05〜1.0 、Mn: 0.1〜1.0 、もしくはC: 0.6
    〜0.95、Si:0.05〜1.0 、Mn: 0.1〜1.0、Cr:
    0.1〜0.5 、それぞれの残部がFeと不可避的不純物よ
    りなり、フェライト組織又はフェライト−パーライト組
    織を有する鋼線材にCu、Zn、Niの少なくとも1種
    もしくはそれ以上の電解もしくは無電解めっきを施し、
    減面率で30〜98%の線引加工を施したのち、 100〜200
    ℃の領域の温度T℃において該鋼線をt時間前記温度に
    保持して下式を満足する熱処理を施すことを特徴とする
    鋼線の製造方法。 (40/√T)≦t≦( 20000/T)
  9. 【請求項9】 請求項4、請求項5、請求項6、請求項
    7もしくは請求項8記載の製造方法により製造され、そ
    の後 250〜500 ℃で3秒間ないし10秒間焼鈍された鋼
    線。
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