JP4425368B2 - 局部延性に優れた高炭素鋼板の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、局部延性に優れた高炭素鋼板を得るための製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鋼中のC含有量が概ね0.7質量%以上、特に0.8質量%超える、いわゆる高炭素鋼板は、焼入れ強化が可能であるとともに、ある程度の未溶解炭化物を残存させることにより耐摩耗性向上効果もあるため、各種機械部品や軸受け部品,工具,刃物等の素材として広く使用されている。このような高炭素鋼板は一般に硬く、加工性があまり良くないため、従来より部品の製造にあたっては、打抜加工や軽度の曲げ成形が施され、さらに切削加工が施されることもある。また、部品形状が複雑な場合は、二ないし三部品を溶接して製造される場合も多い。そしてこれらの加工部品は熱処理を経て各種用途の部品に仕上げられていく。
【0003】
ところが近年、部品の製造コストを低減すべく、部品の一体成形や、部品加工の工程簡略化が進められている。このことは素材側から見ればより加工率の高い(=塑性変形量の大きい)加工に耐えなくてはならないことを意味する。つまり、加工技術の高度化に伴い、素材である高炭素鋼板自体にもより高い加工性が要求されるようになってきた。特に昨今では、打抜加工や曲げ加工のみならず、伸びフランジ成形加工(例えば穴拡げ加工等)といった局所的な延性が要求される高度な加工にも耐え得る鋼板素材のニーズが高まりつつある。
【0004】
こうした中、特公昭61−15930号公報,特公平5−70685号公報,および特開平4−333527号公報には、加工方法あるいは熱処理方法を工夫することによって棒鋼中の炭化物を球状化し、棒鋼線材の加工性を改善する技術が紹介されている。しかし、これらはいずれも棒鋼線材を対象とするものであり、素材が板材である場合に問題となる伸びフランジ性や穴拡げ性の改善方法は明らかにされていない。
【0005】
また、特開平8−3687号公報には、Cを0.3mass%以上含有し、炭化物の占める面積率が20%以下で、粒径1.5μm以上の炭化物の割合が30%以上である加工用高炭素鋼板が示されており、その製造方法として仕上熱延機出側温度を750〜810℃とし、10℃/sec以下で冷却して仕上温度とコイル巻取り温度との差を300℃以下として巻取り、720℃×20時間の球状化焼鈍を施し、26℃/hの冷却速度で100℃まで冷却した後空冷して常温まで冷却する方法が開示されている。しかし、この技術は鋼板の加工性を改善するものであるが、伸びフランジ性といった局部的な延性が要求される高度な加工性を改善する方法については明らかにされていない。
【0006】
さらに特開平8−120405号公報には、C:0.20〜0.60%の他、Si,Al,N,B,Ca等の黒鉛化を促進する元素を含有し、C含有量の10〜50%が黒鉛化しており、断面の鋼組織が3μm以上の黒鉛粒子を特定量含んだ球状化セメンタイトの分散したフェライト相になっている加工性に優れた薄鋼板が示されている。その製造方法として、仕上温度750〜900℃で熱間圧延し、450〜650℃で巻取り、冷間圧延後に600〜720℃で焼鈍する方法等が示されている。この薄鋼板は穴拡げ性と二次加工性に優れているという。しかし、含有炭素の黒鉛化を利用するものであるから、黒鉛化を促進する元素の添加が必要となり、一般的な市販の中・高炭素鋼種に広く適用できるものではない。加えて3μm以上の粗大な黒鉛粒子の存在は、先の例と同様、部品加工後の焼入れ処理の加熱において炭素の十分な固溶化を遅らせ、短時間加熱による焼入れ処理の適用を困難にする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、加工性の中でも特に「伸びフランジ性」といった局部延性を改善した高炭素鋼板のニーズが高いにもかかわらず、一般的な高炭素の鋼種において、鋼板の局部延性を改善する手法は未だ明らかにされていない。また、加工性を重視した場合、加工後の焼入れ性をある程度犠牲にせざるを得ないのが現状である。
【0008】
そこで本発明は、特殊な元素を添加することなく、一般的な高炭素鋼の鋼種において、昨今特に重要視されつつある局部延性を安定的に改善することができ、かつ、部品加工後の焼入れ性をも十分に確保することができる高炭素鋼板素材の製造法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、質量%において、C:0.8超え〜1.5%,Si:0〜0.40%(無添加を含む),Mn:0〜1.0%(無添加を含む)を含有し、Pを0.03%以下,Sを0.01%以下,T.Alを0.1%以下に制限し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼の熱延鋼板を加熱し、「Ac1〜Ac1+100℃」の温度範囲に保持して鋼板中の未溶解炭化物を鋼板断面100μm2あたり10〜100個の密度に残存させた状態とし、この状態からAr1以下の温度まで50℃/h以下の速度で冷却したのち、さらに「Ar 1 −80℃〜Ar 1 」の温度範囲に2〜60時間保持する、局部延性に優れた高炭素鋼板の製造法である。
【0010】
ここで、Ac1は昇温過程における鋼のA1変態点(℃)、Ar1は降温過程におけるA1変態点(℃)を意味する。
【0011】
請求項2の発明は、質量%において、C:0.8超え〜1.5%,Si:0〜0.40%(無添加を含む),Mn:0〜1.0%(無添加を含む)を含有し、Pを0.03%以下,Sを0.01%以下,T.Alを0.1%以下に制限し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼の熱延鋼板を加熱し、「Ac1−50℃〜Ac1未満」の温度範囲に0.5時間以上保持したのち、「Ac1〜Ac1+100℃」の温度範囲に0.5〜30時間保持して鋼板中の未溶解炭化物を鋼板断面100μm2あたり10〜100個の密度に残存させた状態とし、この状態からAr1以下の温度まで50℃/h以下の速度で冷却する製造法である。これは、請求項1の製造法において、「Ac1〜Ac1+100℃」の加熱を行う前に、前段階として「Ac1−50℃〜Ac1未満」の温度範囲に0.5時間以上保持する点、および「Ac1〜Ac1+100℃」の加熱を0.5〜30時間保持する点を規定したものである。
【0012】
請求項3の発明は、650℃からAc1までの平均昇温速度が5〜80℃/hとなるように昇温し、「Ac1〜Ac1+100℃」の温度範囲に0.5〜30時間保持して鋼板中の未溶解炭化物を鋼板断面100μm2あたり10〜100個の密度に残存させた状態とし、この状態からAr1以下の温度まで50℃/h以下の速度で冷却する製造法である。これは、請求項2の製造法にける「Ac1−50℃〜Ac1未満」の加熱保持の代わりに、「Ac1〜Ac1+100℃」で行う加熱の昇温過程でゆっくり昇温させる手法を採用するものである。
【0013】
請求項4の発明は、請求項2または3の製造法において、Ar1以下の温度まで50℃/h以下の速度で冷却したのち、さらに「Ar1−80℃〜Ar1」の温度範囲に2〜60時間保持する点を規定したものである。すなわち「Ac1〜Ac1+100℃」で行う加熱保持からの降温過程において、さらに「Ar1−80℃〜Ar1」の温度範囲で保持する工程を入れた製造法である。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の製造法において、対象とする鋼が、質量%において、C:0.7〜1.5%,Si:0〜0.40%(無添加を含む),Mn:0〜1.0%(無添加を含む),Cr:0〜1.6%(無添加を含む),Mo:0〜0.3%(無添加を含む),Cu:0〜0.3%(無添加を含む),Ni:0〜2.0%(無添加を含む)を含有し、Pを0.03%以下,Sを0.01%以下,T.Alを0.1%以下に制限し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼である点を規定したものである。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の製造法において、使用する熱延鋼板が、パーライトラメラ間隔が0.2μm以下の金属組織を呈するものである点を規定したものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
発明者らは、一般的な高炭素鋼について、加工性を改善する手段を種々検討してきた。その結果、▲1▼一般的な打抜加工性や曲げ加工性が向上する場合でも、伸びフランジ性等の局部延性が改善されるとは限らないこと、▲2▼炭化物を単に球状化させるだけでは局部延性の安定した改善は図れないこと、▲3▼局部延性は、鋼板中における炭化物の分散形態に大きく依存し、具体的には炭化物のより一層の球状化と、平均炭化物間距離を長くすることによって改善し得ることを知見した。
【0022】
伸びフランジ性等の局部延性の改善挙動が、他の加工性の挙動と必ずしも一致しない理由について現時点では不明な点が多いが、次のようなことが考えられる。すなわち、局部延性は一般に穴拡げ試験で評価される特性であり、具体的には例えば、円板に予め設けた直径d0の穴にポンチを押し込んで穴を押し拡げていき、穴縁に板厚を貫通する割れが発生したときの穴直径dを測定し、そのときの(d−d0)/d0の値で評価することのできる特性である。この穴拡げ率は穴縁に板厚を貫通する割れが発生したときの円周方向ひずみの公称値を意味することから、局部延性は、穴縁に「くびれ」あるいは「割れ」が発生し始めるときの円周方向ひずみの限界値によって評価し得る特性である。つまり、ここでいう局部延性は、局部的に高い応力が集中する場合の成形性を表していることになる。このような「くびれ」や「割れ」は、加工変形中に生じる非常に局所的な欠陥によって敏感に引き起こされるものと考えられる。局部延性が他の一般的な加工性と異なる挙動を示すのは、一般的な加工性には影響を及ぼさないようなミクロ的な欠陥が、局部延性に対しては敏感に影響するためであると推察される。
【0023】
高炭素鋼板においては、そのような欠陥の生成原因として、炭化物(セメンタイト)を起点として生じたミクロボイドの成長(連結)が考えられる。そこで発明者らは、加工変形時における上記ミクロボイドの生成および成長ができるだけ抑制されるような金属組織にしておくことが、高炭素鋼板の局部延性を改善するうえで重要であると考えた。
【0024】
発明者らの検討の結果、平均炭化物間距離と局部延性の間には密接な関係があり、平均炭化物間距離を長くすることが局部延性の向上に有効であることが確かめられた。これは、平均炭化物間距離が長いほど個々の炭化物を起点として生成したミクロボイドの連結を抑制する効果が大きいことを示していると考える。一方、炭化物の球状化率を高めることも局部延性の向上に有効であることがわかった。これは、炭化物の形態が球状になることによって、ミクロボイドの生成そのものが抑制させることを示していると考えられる。
以下、本発明を特定するための事項について説明する。
【0025】
本発明では、C:0.8超え〜1.5質量%含有する高炭素鋼を対象とする。Cは炭素鋼において最も基本となる合金元素であり、その含有量によって加工性や焼入れ硬さおよび炭化物量が大きく変動する。C含有量が0.7質量%以上になると、部品加工後に焼入れを行った際、残存する未溶解炭化物によって高い耐摩耗性が発揮される。特にC含有量が0.8%を超えると共析鋼あるいは過共析鋼の組織を呈し、耐摩耗性は一層向上する。一方、C含有量が1.5質量%を超えると、熱間圧延後の靱性が低下して鋼帯の製造性・取扱い性が悪くなるとともに、焼鈍後においても十分な延性が得られないため本発明の特徴である優れた局部延性向上効果は発揮されない。したがって、本発明では加工性の良好な高炭素鋼板を提供する観点から、C含有量が0.8超え〜1.5%の範囲の鋼を対象とする。
【0026】
Sは、MnS系介在物を形成する元素である。この介在物の量が多くなると局部延性が劣化するので、鋼中のS含有量はできるだけ低減することが望ましい。本発明ではS含有量を特別に低減していない一般的な市販鋼に対しても局部延性の向上効果は得られる。しかし、C含有量が1.5質量%近くまで高くなった場合でも、後述するElv値およびλ値がそれぞれ例えば32%以上,30%以上というように高い局部延性を安定して確保するためには、S含有量を0.01質量%以下に低減した鋼を使用することが望ましい。
【0027】
Pは、延性や靱性を劣化させるので、0.03質量%以下の含有量とすることが望ましい。
Alは溶鋼の脱酸剤として添加されるが、鋼中のT.Al量が0.1質量%を超えると鋼の清浄度が損なわれて鋼板に表面疵が発生しやすくなるので、T.Al含有量は0.1質量%以下とすることが望ましい。
【0028】
Siは、局部延性に対して影響の大きい元素の1つである。Siを過剰に添加すると固溶強化作用によりフェライトが硬化し、成形加工時に割れ発生の原因となる。またSi含有量が増加すると製造過程で鋼板表面にスケール疵が発生する傾向を示し、表面品質の低下を招く。Siを添加する場合は0.40質量%以下の含有量に抑えるのがよい。加工性を特に重視する用途ではSi含有量は0.1質量%以下とすることが望ましい。
【0029】
Mnは、鋼板の耐摩耗性向上に有効な添加元素である。1.0質量%を超えて多量に含有させるとフェライトが硬化し、加工性の劣化を招く。そこで、Mnは1.0質量%以下の範囲で含有させることが望ましい。
【0030】
また本発明では必要に応じてCr,Mo,Cu,Ni等の元素を添加して各特性の改善を図った鋼を使用できる。
Crは、焼入れ性を改善するとともに焼戻し軟化抵抗を大きくする元素である。しかし、1.6質量%を超える多量のCrが含まれると、A1点以下での長時間焼鈍やA1点以上の加熱を利用した本発明で規定する熱処理を施しても軟質化しにくく、焼入れ前のプレス成形性や加工性が劣化するようになる。したがってCrを添加する場合は1.6質量%以下の範囲とするのがよい。
【0031】
Moは、少量の添加でCrと同様に焼入れ性・焼戻し軟化抵抗の改善に寄与する。しかし、0.3質量%を超える多量のMoが含まれるとA1点以下での長時間焼鈍や本発明で規定した熱処理を施しても軟質化しにくく、焼入れ前のプレス成形性や加工性が劣化するようになる。したがってMoを添加する場合は0.3質量%以下の範囲とするのがよい。
【0032】
Cuは、熱延中に生成する酸化スケールの剥離性を向上させるので、鋼板の表面性状の改善に有効である。しかし、0.3質量%以上含有させると溶融金属脆化により鋼板表面に微細なクラックが生じやすくなるので、Cuを添加する場合は0.3質量%以下の範囲とするのがよい。
【0033】
Niは、焼入れ性を改善するとともに低温脆性を防止する元素である。またNiは、Cu添加によって問題となる溶融金属脆化の悪影響を打ち消す作用を示すので、特にCuを約0.2%以上添加する場合にはCu添加量と同程度のNiを添加することが極めて効果的である。しかし、2.0質量%を超える多量のNiが含まれるとA1点以下での長時間焼鈍や本発明で規定する熱処理を施しても軟質化しにくく、焼入れ前のプレス成形性や加工性が劣化するようになる。したがってNiを添加する場合は2.0質量%以下の範囲とするのがよい。
【0034】
次に、熱処理による炭化物形態のコントロールについて説明する。
本発明は、高炭素鋼板において、炭化物の球状化率を高め、かつ平均炭化物間距離を長くした金属組織を得るために、i)鋼板に対しA1点以上の加熱を利用した焼鈍を施す際に、そのA1点以上の加熱保持終了時点における鋼板中の未溶解炭化物の密度を規定した点、および、ii)その温度からAr1点以下への降温速度を遅くするように規定した点に大きな特徴がある。
【0035】
一般的に、鋼をAc1点以上の温度に加熱すると炭化物のうち微細なものはオーステナイト中に固溶し、その後Ar1点以下の温度に冷却すると再び炭化物として析出する。その際、Ac1点以上で未溶解炭化物をある程度多く残存させた場合には、Ar1点以下への降温速度を遅くすることによって、オーステナイト中に固溶したCはパーライトを生成せずに未溶解炭化物を核として析出するようになるので、焼鈍後の炭化物の球状化率を高くすることができる。またこの場合、Ac1点以上における炭化物の数は焼鈍前より減少しており、降温速度が十分に遅いと新たに核生成しないので、焼鈍後の炭化物数は焼鈍前より減少し、結果的に炭化物間距離も長くなる。
【0036】
しかしながら、Ac1点以上の温度域において未溶解炭化物の個数が少なくなりすぎると、その後Ar1点以下の温度への冷却過程で、オーステナイト中に固溶したCはラメラ間隔の大きい再生パーライトとして析出する。その結果、炭化物の球状化率は極めて低くなり、鋼板の局部延性は向上しない。逆に、Ac1点以上の温度域において未溶解炭化物が多く残存しすぎると冷却後の炭化物も多くなり、平均炭化物間距離が十分に長くならず、やはり局部延性の優れた鋼板は得られない。
【0037】
〔Ac1点以上での加熱保持〕
この加熱保持の目的は、鋼板をAc1点以上の温度に保持し、オーステナイト化した部分において微細な炭化物を溶解させるとともに、比較的大きな球状炭化物を未溶解のまま残すこと、および、残存した炭化物をオストワルド成長させることである。つまり、続く冷却過程での炭化物の析出核となるべき未溶解炭化物の数および分散状態を決定付ける過程である。保持温度がAc1点未満ではオーステナイトが生成しない。一方、Ac1+100℃の温度を超えると、後述する前段階での加熱保持や昇温速度のコントロールによって炭化物が球状化されていても、その多くはオーステナイト中に溶解してしまい、未溶解炭化物の数が少なくなりすぎるか、または存在しなくなる。そうなると続く冷却過程で再生パーライトが生成し、局部延性を十分改善するに足る高い炭化物球状化率と長い平均炭化物間距離が実現できない。
【0038】
発明者らは、高炭素鋼の熱延鋼板あるいはその熱延鋼板に70%以下の冷間圧延を施した鋼板について、Ac1点以上の加熱を利用した焼鈍を種々行い、Ac1点以上の温度域における炭化物形態と焼鈍後の鋼板における加工性の関係を把握した。その際、Ac1点以上の温度域における炭化物形態は、その温度の鋼板を油中に焼入れ、鋼板断面を走査型電子顕微鏡で観察する方法で調べた。また加工性は後述する切欠引張試験および穴拡げ試験により評価した。この調査の結果、Ac1点以上の加熱保持終了段階の鋼板の断面組織において、未溶解炭化物が100μm2あたり10〜100個の密度で存在しているものにおいて、顕著な局部延性向上効果が認められた。したがって本発明では、このAc1点以上の加熱保持において、鋼板中の未溶解炭化物を鋼板断面100μm2あたり10〜100個の密度に残存させた状態とする。
【0039】
Ac1点以上の温度域における加熱保持時間が0.5時間未満ではオーステナイト中への微細炭化物の溶解が不十分であり、30時間を超える長時間加熱では平衡状態に近づくため未溶解炭化物の数を十分確保することが難しくなる。したがって、この加熱保持は0.5〜30時間の範囲で行うことが望ましい。
【0040】
〔Ar1点以下の温度への冷却速度〕
この冷却速度が速いとオーステナイトの過冷度が大きくなり、再生パーライトが生成しやすくなる。再生パーライトの生成を十分抑制するためには冷却速度を50℃/h以下に遅くする必要がある。一方、冷却速度を遅くしすぎると、冷却に長時間を要するため、生産性を考慮すると5℃/h以上の冷却速度とすることが望ましい。
【0041】
〔前段階として行うAc1未満での加熱保持〕
この加熱保持は、上記のAc1以上での加熱保持の前段階として行うもので、必ずしも必須ではない。この加熱保持の目的は、Ac1未満の温度に鋼板を保持し、熱間圧延で生成したパーライトを分断して炭化物(セメンタイト)の球状化を図ることである。Ac1未満の温度で保持すると、その初期の段階でパーライトの分断が起こる。分断化した炭化物は比較的サイズが細かいものの、保持時間の経過に伴って球状化および若干の粗大化が進み、熱延パーライトの状態よりも炭化物単位体積あたりの表面積を減少させることができる。それにより、上記Ac1以上での加熱に際し、炭化物/オーステナイト界面の面積が減少し、炭化物の固溶を遅らせることができるので、未溶解炭化物の残存量をコントロールすることが容易になるのである。
【0042】
熱延パーライトの分断・球状化促進のためには、Ac1未満の温度範囲でなるべく高温が望ましい。Ac1−50℃より低温では球状化が十分に進まない。一方、Ac1点以上になると炭化物がオーステナイト中に溶解していくので目的が達成できない。したがって、前段階として行うこの加熱保持は「Ac1−50℃〜Ac1未満」の温度範囲とすることが望ましい。また、その温度範囲での保持時間が0.5時間未満では球状化が十分に図れない。保持時間の上限は特に規定する必要はないが、工業的な実施を考慮したとき、20時間以内とすることが望ましい。
【0043】
なお、Ac1未満でのこの加熱保持を行った後は、そのまま昇温して上記のAc1点以上での加熱を実施してもよいし、一旦常温まで冷却した後に改めて昇温して上記Ac1点以上での加熱に供してもよい。さらに、設備の都合等により1回の加熱で0.5時間以上の保持時間を確保できないときは、Ac1未満でのこの加熱を複数回に分けて行ってもよい。その場合は、上記温度範囲内での保持時間がトータル0.5時間以上となるようにすればよい。
【0044】
〔650℃からの昇温速度〕
上述した前段階の加熱保持と同様の効果は、Ac1点以上での加熱保持を実施する際の昇温過程において、昇温速度を十分に遅くコントロールすることによっても得ることができる。その場合、650℃以上の温度域で昇温速度を遅くすることが、熱延パーライトの分断・球状化を促進するうえで有効となる。昇温速度を遅くコントロールする温度範囲は、Ac1点未満の温度域で任意に設定することができ、その昇温パターンも種々考えられる。例えばAc1点が710℃の鋼であれば、670〜700℃の間の昇温速度を十分遅くするようコントロールしてもよいし、600℃付近からAc1点以上の保持温度までの昇温速度を一様に遅くしても構わない。あるいは700℃で0.5時間以上保持するような昇温パターンを採用してもよいが、これは上記の前段階として行う加熱保持の一態様ともなる。発明者は詳細な検討を重ね、650℃からAc1点までの平均昇温速度が結果的に5〜80℃/hとなるような昇温パターンで昇温すれば、熱延パーライトの分断・球状化を促進する目的が効果的に達成されることを見出した。
【0045】
〔降温過程で行うAr1以下での加熱保持〕
この加熱保持は、Ar1点以下の温度まで十分遅い冷却速度で降温させた鋼板に対して行うもので、必ずしも必須ではない。この加熱保持の目的は、Ac1点以上での加熱保持を経た鋼板をAr1点以下の温度に保持し、Ac1点以上の温度からの冷却でオーステナイト→フェライト変態に伴ってオーステナイトから吐き出されるCを未溶解炭化物を核として析出させるとともに、これらの炭化物をオストワルド成長させることである。つまり、炭化物の数はAc1点以上での加熱保持で残存させた未溶解炭化物の数をほぼそのまま維持し、かつ炭化物の球状化率を高める工程である。保持温度がAr1点以下でないとオーステナイト→フェライト変態が起こらないので目的が達成されない。また、保持温度がAr1−80℃より低温の場合や、保持時間が2時間未満では、オストワルド成長が十分進まない。ただし、保持時間が60時間を超えてもその効果が飽和し、工業的なメリットはない。したがって、降温過程で行うこの加熱保持は、「Ar1−80℃〜Ar1」の温度範囲で2〜60時間保持することが望ましい。
【0046】
〔熱延鋼板のパーライトラメラ間隔〕
パーライトラメラ間隔が0.2μm以下になっている熱延鋼板を用いると、Ac1点未満の温度域において炭化物の分断化および球状化が起こりやすいので、本発明で規定する熱処理の目的を達成するうえで非常に有利となる。
ここでいうパーライトラメラ間隔とは、鋼板断面の金属組織観察において、観察視野内のパーライトラメラが最も密であるパーライトラメラ間隔を測定し、この測定を観察視野を変えて10回行い、10個の測定値のうち小さいものから選んだ5個の平均値として求まる値をいう。
【0047】
熱延鋼板の金属組織は、熱延条件の影響を受けて大きく変化する。本発明を工業的規模での大量生産に適用する場合、次のような条件で製造した熱延鋼帯を用いるのがよい。
【0048】
鋼帯の熱延巻取温度が高温になるとパーライトが粗大化し、パーライト中の板状の炭化物は厚くなるため、本発明の熱処理においては炭化物の分断化・球状化が進みにくくなり、不利となる。熱延巻取温度は600℃以下とすることが望ましい。
【0049】
鋼帯の熱延最終パス温度が750℃を下回ると変形抵抗が極めて高くなり、また鋼種によってはセメンタイト+オーステナイトの2相域圧延となってしまうので、鋼帯の寸法精度の劣化や金属組織の不均一が生じやすい。一方、熱延最終パス温度が850℃を超えるとオーステナイト粒径が粗大化し、熱延材の靱性が低下する。したがって、熱延最終パス温度は750〜850℃の範囲にするのが望ましい。
【0050】
仕上熱延の全圧下率が85%未満の場合や、最終パスの圧下率が15%未満の場合は、オーステナイト粒径が粗大化し、熱延材の靱性が低下する。したがって、仕上圧延の全圧下率は85%以上とし、かつ最終パスの圧下率は15%以上とすることが望ましい。
【0052】
以上のようにして、後述のElv値が25%以上,かつλ値が25%以上の局部延性に優れた高炭素鋼板を得ることができる。また得られた鋼板は、部品加工後の焼入れ処理によって高硬度化することができる。
【0053】
【実施例】
〔実施例1〕
表1に示す化学組成の鋼を溶製した。表1中にはAc1変態点,およびAr1変態点も示してある。ここで、Ac1変態点およびAr1変態点は、直径5mm×長さ10mmの供試鋼試験片を「10℃/hで昇温→900℃で10分間保持して完全にオーステナイト化→10℃/hで冷却」というヒートパターンで加熱・冷却しながら試験片の収縮・膨張を測定し、その収縮・膨張曲線の変化から求めた値である。
【0054】
【表1】
【0055】
表1の鋼について、仕上パス温度880℃,仕上熱延での全圧下率80%,仕上熱延における最終パスの圧下率10%,巻取温度600℃の条件で熱間圧延を行って熱延鋼帯を製造し、酸洗したのち、種々の条件で熱処理を行った。各熱処理条件につき、加工性調査用試料と金属組織調査用試料を熱処理に供し、熱処理途中のAc1点以上の加熱保持終了段階において金属組織調査用試料を40℃の油中に焼入れ、未溶解炭化物数の測定に用いた。加工性調査用試料は熱処理後に板厚2.3mmの状態で、引張試験,切欠引張試験,穴拡げ試験に使用した。
【0056】
未溶解炭化物数の測定は、上記の油中に焼入れた試料のL-断面の金属組織を走査顕微鏡で観察し、3000μm2中の炭化物数を計測する方法で行い、その値を100μm2あたりの炭化物数に換算した。
引張試験は、JIS 5号引張試験片を用い、平行部の標点間距離を50mmとして行った。引張強さをTS(N/mm2)、伸びをT.El(%)として表した。
切欠引張試験は、JIS 5号引張試験片の平行部長手方向中央位置における幅方向両サイドに開き角45°,深さ2mmのVノッチを形成した試験片を用いて引張試験を行う方法で行った。平行部長手方向中央部の標点間距離5mmに対する伸び率を破断後に求め、その伸び率を切欠引張伸びElv(%)とした。
穴拡げ試験は、150mm角の鋼板の中央部にクリアランス20%にて10mm(d0)の穴を打抜いた後、その穴部について、50mmφ球頭ポンチにて押し上げる方法で行い、穴周囲に板厚を貫通する亀裂が発生した時点での穴径dを測定して、次式で定義される穴拡げ率λ(%)を求めた。
λ=(d−d0)/d0×100
これらElv値およびλ値は局部延性を表す指標であり、伸びフランジ性を定量的に評価し得るものである。このElv値が25%以上、かつλ値が25%以上のものは従来の高炭素鋼版と比べ、十分に高い局部延性を有していると言える。
これらの試験結果を熱処理条件と併せて表2〜3に示す。表2〜3中、Ac1以上での保持を行う前にAc1未満での保持を行った場合は、その温度での保持後にそのまま昇温してAc1以上での保持に供した。なお、Ac1以上での保持を行う前にAc1未満での保持を行っていない場合、650℃〜Ac1の平均昇温速度は概ね50℃/h程度である。
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】
C含有量が1.5質量%を超えているG鋼は、熱処理を本発明で規定する条件で行い、Ac1点以上での断面組織における100μm2中の未溶解炭化物数を規定範囲内としても、Elv値は18%,λ値は19%にしかならず、局部延性は劣っていた(No.2-12)。C含有量が本発明規定範囲内であるB鋼,D鋼においても、熱処理温度がAc1点より低いNo.2-1,2-2は、Elv値が23%以下,λ値が23%条件以下であり、局部延性は劣っていた。また、Ac1点以上のでの断面組織における100μm2あたりの未溶解炭化物数が10個未満であるNo.2-20〜2-22は再生パーライトが生成したためElv値,λ値とも低くなった。逆にこの炭化物数が100個よりも多いNo.2-23〜2-25の場合には、炭化物が十分に粗大化しなかったため、やはりElv値,λ値とも低くなった。
【0060】
これに対し、C含有量および熱処理条件が本発明規定範囲にあるものは、Elv値が28%以上,λ値が27%以上と、優れた局部延性を示した。C含有量が同レベルのB鋼とF鋼の結果を比較すると、S含有量が低いB鋼の方が良好な局部延性を示すことがわかる。
【0061】
図1には、表2〜3に示したB鋼のT.El値とElv値の関係をプロットしてある。一般的な加工性の指標であるT.El値が同レベルであっても、局部延性を示すElv値に関しては、発明例と比較例で大きな差が生じていることが注目される。
【0062】
〔実施例2〕
表4に示す化学組成の鋼を溶製した。表4中には、実施例1と同様の方法で求めたAc1変態点,およびAr1変態点も示してある。
【0063】
【表4】
【0064】
表4の鋼について、熱処理条件を除き、実施例1と同様の条件・方法で各種試験を行った。試験結果を熱処理条件と併せて表5に示す。
【0065】
【表5】
【0066】
C含有量が1.5質量%を超えているN鋼は、熱処理を本発明で規定する条件で行い、Ac1点以上での断面組織における100μm2中の未溶解炭化物数を規定範囲内としても、Elv値は22%,λ値は23%にしかならず、局部延性は劣っていた(No.2-37)。C含有量が本発明規定範囲内であるI鋼,L鋼においても、熱処理温度がAc1点より低いNo.2-41,2-42は、Elv値が22%以下,λ値が23%条件以下であり、局部延性は劣っていた。また、Ac1点以上のでの断面組織における100μm2あたりの未溶解炭化物数が10個未満であるNo.2-43〜2-46は再生パーライトが生成したためElv値,λ値とも低くなった。逆にこの炭化物数が100個よりも多いNo.2-47,2-48の場合には、炭化物が十分に粗大化しなかったため、やはりElv値,λ値とも低くなった。Ar1への冷却速度が55℃/hと速いNo.2-49は再生パーライトが生成したためElv値,λ値とも低くなった。
【0067】
これに対し、C含有量および熱処理条件が本発明規定範囲にあるものは、No.2-50を除き、Elv値が31%以上,λ値が30%以上と、優れた局部延性を示した。No.2-50はAr1以下での保持温度が600℃と低かったため、炭化物の粗大化があまり顕著ではなく、Elv値,λ値は若干低めの値であった。C含有量が同レベルのI鋼とM鋼の結果を比較すると、S含有量が低いI鋼の方が良好な局部延性を示すことがわかる。
【0068】
図2には、表5に示したI鋼のT.El値とElv値の関係をプロットしてある。一般的な加工性の指標であるT.El値が同レベルであっても、局部延性を示すElv値に関しては、発明例と比較例で大きな差が生じていることが注目される。
【0075】
〔実施例3〕
表1のB鋼を用いてパーライトラメラ間隔の異なる種々の熱延鋼板を製造し、熱処理後の加工性に及ぼす熱延鋼板のパーライトラメラ間隔の影響を調べた。表6に、熱延条件,パーライトラメラ間隔,熱処理条件と各種試験結果を示す。熱処理は本発明で規定する適正な条件で行っている。パーライトラメラ間隔の測定は前述の方法で行った。なお、熱処理前に冷間圧延は行っていない。
【0076】
【表6】
【0077】
表6からわかるように、パーライトラメラ間隔を0.2μm以下した熱延鋼板を使用すると、同じ鋼に同じ熱処理を施す場合でも、Elv値およびλ値を顕著に向上させることができる。
【0078】
〔実施例4〕
実施例3と同様に、こんどは表4のI鋼を用いてパーライトラメラ間隔の異なる種々の熱延鋼板を製造し、熱処理後の加工性に及ぼす熱延鋼板のパーライトラメラ間隔の影響を調べた。表7に、熱延条件,パーライトラメラ間隔,熱処理条件と各種試験結果を示す。なお、熱処理前に冷間圧延は行っていない。
【0079】
【表7】
【0080】
表7からも、実施例3と同様に、パーライトラメラ間隔を0.2μm以下した熱延鋼板を使用することによってElv値およびλ値を顕著に向上させることができることがわかる。
【0081】
【発明の効果】
本発明によれば、局部延性に優れた高炭素鋼板が安定的に造れるようになった。本発明の製造法は、一般的な高炭素鋼の鋼種に広く適用でき、いずれの鋼種においても局部延性の改善効果が得られる。したがって、本発明は高炭素鋼板の用途拡大に貢献するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】表1のB鋼におけるT.El値とElv値の関係を表すグラフである。
【図2】表4のI鋼におけるT.El値とElv値の関係を表すグラフである。
Claims (6)
- 質量%において、C:0.8超え〜1.5%,Si:0〜0.40%(無添加を含む),Mn:0〜1.0%(無添加を含む)を含有し、Pを0.03%以下,Sを0.01%以下,T.Alを0.1%以下に制限し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼の熱延鋼板を加熱し、「Ac1〜Ac1+100℃」の温度範囲に保持して鋼板中の未溶解炭化物を鋼板断面100μm2あたり10〜100個の密度に残存させた状態とし、この状態からAr1以下の温度まで50℃/h以下の速度で冷却したのち、さらに「Ar 1 −80℃〜Ar 1 」の温度範囲に2〜60時間保持する、局部延性に優れた高炭素鋼板の製造法。
- 質量%において、C:0.8超え〜1.5%,Si:0〜0.40%(無添加を含む),Mn:0〜1.0%(無添加を含む)を含有し、Pを0.03%以下,Sを0.01%以下,T.Alを0.1%以下に制限し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼の熱延鋼板を加熱し、「Ac1−50℃〜Ac1未満」の温度範囲に0.5時間以上保持したのち、「Ac1〜Ac1+100℃」の温度範囲に0.5〜30時間保持して鋼板中の未溶解炭化物を鋼板断面100μm2あたり10〜100個の密度に残存させた状態とし、この状態からAr1以下の温度まで50℃/h以下の速度で冷却する、局部延性に優れた高炭素鋼板の製造法。
- 質量%において、C:0.8超え〜1.5%,Si:0〜0.40%(無添加を含む),Mn:0〜1.0%(無添加を含む)を含有し、Pを0.03%以下,Sを0.01%以下,T.Alを0.1%以下に制限し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼の熱延鋼板を加熱し、650℃からAc1までの平均昇温速度が5〜80℃/hとなるように昇温し、「Ac1〜Ac1+100℃」の温度範囲に0.5〜30時間保持して鋼板中の未溶解炭化物を鋼板断面100μm2あたり10〜100個の密度に残存させた状態とし、この状態からAr1以下の温度まで50℃/h以下の速度で冷却する、局部延性に優れた高炭素鋼板の製造法。
- Ar1以下の温度まで50℃/h以下の速度で冷却したのち、さらに「Ar1−80℃〜Ar1」の温度範囲に2〜60時間保持する、請求項2または3に記載の製造法。
- 鋼が、質量%において、C:0.8超え〜1.5%,Si:0〜0.40%(無添加を含む),Mn:0〜1.0%(無添加を含む),Cr:0〜1.6%(無添加を含む),Mo:0〜0.3%(無添加を含む),Cu:0〜0.3%(無添加を含む),Ni:0〜2.0%(無添加を含む)を含有し、Pを0.03%以下,Sを0.01%以下,T.Alを0.1%以下に制限し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるものである、請求項1〜4のいずれかに記載の製造法。
- 熱延鋼板が、パーライトラメラ間隔が0.2μm以下の金属組織を呈するものである、請求項1〜5のいずれかに記載の製造法。
製造法。
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