JP2000273537A - 局部延性に優れた高炭素鋼板の製造法 - Google Patents
局部延性に優れた高炭素鋼板の製造法Info
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Abstract
鋼板を加熱し、必要に応じて650℃からAc1までの平均
昇温速度が5〜80℃/hとなるように昇温するか、「Ac1
−50℃〜Ac1未満」の温度範囲に0.5時間以上保持した
のち、「Ac1〜Ac1+100℃」の温度範囲に0.5〜30時間
保持して鋼板中の未溶解炭化物を鋼板断面100μm2あた
り10〜100個の密度に残存させた状態とし、この状態か
らAr1以下の温度まで50℃/h以下の速度で冷却し、必要
に応じてさらに「Ar1−80℃〜Ar1」の温度範囲に2〜6
0時間保持する、局部延性に優れた高炭素鋼板の製造
法。
Description
高炭素鋼板を得るための製造法に関するものである。
特に0.8質量%超える、いわゆる高炭素鋼板は、焼入れ
強化が可能であるとともに、ある程度の未溶解炭化物を
残存させることにより耐摩耗性向上効果もあるため、各
種機械部品や軸受け部品,工具,刃物等の素材として広
く使用されている。このような高炭素鋼板は一般に硬
く、加工性があまり良くないため、従来より部品の製造
にあたっては、打抜加工や軽度の曲げ成形が施され、さ
らに切削加工が施されることもある。また、部品形状が
複雑な場合は、二ないし三部品を溶接して製造される場
合も多い。そしてこれらの加工部品は熱処理を経て各種
用途の部品に仕上げられていく。
べく、部品の一体成形や、部品加工の工程簡略化が進め
られている。このことは素材側から見ればより加工率の
高い(=塑性変形量の大きい)加工に耐えなくてはなら
ないことを意味する。つまり、加工技術の高度化に伴
い、素材である高炭素鋼板自体にもより高い加工性が要
求されるようになってきた。特に昨今では、打抜加工や
曲げ加工のみならず、伸びフランジ成形加工(例えば穴
拡げ加工等)といった局所的な延性が要求される高度な
加工にも耐え得る鋼板素材のニーズが高まりつつある。
公平5−70685号公報,および特開平4−333527号公報に
は、加工方法あるいは熱処理方法を工夫することによっ
て棒鋼中の炭化物を球状化し、棒鋼線材の加工性を改善
する技術が紹介されている。しかし、これらはいずれも
棒鋼線材を対象とするものであり、素材が板材である場
合に問題となる伸びフランジ性や穴拡げ性の改善方法は
明らかにされていない。
ass%以上含有し、炭化物の占める面積率が20%以下
で、粒径1.5μm以上の炭化物の割合が30%以上である加
工用高炭素鋼板が示されており、その製造方法として仕
上熱延機出側温度を750〜810℃とし、10℃/sec以下で冷
却して仕上温度とコイル巻取り温度との差を300℃以下
として巻取り、720℃×20時間の球状化焼鈍を施し、26
℃/hの冷却速度で100℃まで冷却した後空冷して常温ま
で冷却する方法が開示されている。しかし、この技術は
鋼板の加工性を改善するものであるが、伸びフランジ性
といった局部的な延性が要求される高度な加工性を改善
する方法については明らかにされていない。
20〜0.60%の他、Si,Al,N,B,Ca等の黒鉛化を促進す
る元素を含有し、C含有量の10〜50%が黒鉛化してお
り、断面の鋼組織が3μm以上の黒鉛粒子を特定量含んだ
球状化セメンタイトの分散したフェライト相になってい
る加工性に優れた薄鋼板が示されている。その製造方法
として、仕上温度750〜900℃で熱間圧延し、450〜650℃
で巻取り、冷間圧延後に600〜720℃で焼鈍する方法等が
示されている。この薄鋼板は穴拡げ性と二次加工性に優
れているという。しかし、含有炭素の黒鉛化を利用する
ものであるから、黒鉛化を促進する元素の添加が必要と
なり、一般的な市販の中・高炭素鋼種に広く適用できる
ものではない。加えて3μm以上の粗大な黒鉛粒子の存在
は、先の例と同様、部品加工後の焼入れ処理の加熱にお
いて炭素の十分な固溶化を遅らせ、短時間加熱による焼
入れ処理の適用を困難にする。
の中でも特に「伸びフランジ性」といった局部延性を改
善した高炭素鋼板のニーズが高いにもかかわらず、一般
的な高炭素の鋼種において、鋼板の局部延性を改善する
手法は未だ明らかにされていない。また、加工性を重視
した場合、加工後の焼入れ性をある程度犠牲にせざるを
得ないのが現状である。
となく、一般的な高炭素鋼の鋼種において、昨今特に重
要視されつつある局部延性を安定的に改善することがで
き、かつ、部品加工後の焼入れ性をも十分に確保するこ
とができる高炭素鋼板素材の製造法を提供することを目
的とする。
に、請求項1の発明は、C:0.7〜1.5質量%を含有する
鋼の熱延鋼板を加熱し、「Ac1〜Ac1+100℃」の温度
範囲に保持して鋼板中の未溶解炭化物を鋼板断面100μm
2あたり10〜100個の密度に残存させた状態とし、この状
態からAr1以下の温度まで50℃/h以下の速度で冷却す
る、局部延性に優れた高炭素鋼板の製造法である。
変態点(℃)、Ar1は降温過程におけるA1変態点
(℃)を意味する。
含有する鋼の熱延鋼板を加熱し、「Ac1−50℃〜Ac1未
満」の温度範囲に0.5時間以上保持したのち、「Ac1〜
Ac1+100℃」の温度範囲に0.5〜30時間保持して鋼板中
の未溶解炭化物を鋼板断面100μm2あたり10〜100個の密
度に残存させた状態とし、この状態からAr1以下の温度
まで50℃/h以下の速度で冷却する製造法である。これ
は、請求項1の製造法において、「Ac1〜Ac1+100
℃」の加熱を行う前に、前段階として「Ac1−50℃〜A
c1未満」の温度範囲に0.5時間以上保持する点、および
「Ac1〜Ac1+100℃」の加熱を0.5〜30時間保持する点
を規定したものである。
平均昇温速度が5〜80℃/hとなるように昇温し、「Ac1
〜Ac1+100℃」の温度範囲に0.5〜30時間保持して鋼板
中の未溶解炭化物を鋼板断面100μm2あたり10〜100個の
密度に残存させた状態とし、この状態からAr1以下の温
度まで50℃/h以下の速度で冷却する製造法である。これ
は、請求項2の製造法にける「Ac1−50℃〜Ac1未満」
の加熱保持の代わりに、「Ac1〜Ac1+100℃」で行う
加熱の昇温過程でゆっくり昇温させる手法を採用するも
のである。
において、Ar1以下の温度まで50℃/h以下の速度で冷却
したのち、さらに「Ar1−80℃〜Ar1」の温度範囲に2
〜60時間保持する点を規定したものである。すなわち
「Ac1〜Ac1+100℃」で行う加熱保持からの降温過程
において、さらに「Ar1−80℃〜Ar1」の温度範囲で保
持する工程を入れた製造法である。
において、加熱対象素材である「C:0.7〜1.5質量%を
含有する鋼の熱延鋼板」を、「C:0.7〜1.5質量%を含
有する鋼の熱延鋼板に冷延率70%以下の冷間圧延を施し
た鋼板」に代えたものである。
いて、冷延率が10〜50%である点を規定したものであ
る。すなわち、請求項6の発明における加熱対象素材は
「C:0.7〜1.5質量%を含有する鋼の熱延鋼板に冷延率1
0〜50%の冷間圧延を施した鋼板」である。
において、対象とする鋼がC:0.7〜1.5質量%を含有
し、Sを0.01質量%以下に制限した鋼である点を規定し
たものである。
において、対象とする鋼が、質量%において、C:0.7〜
1.5%,Si:0〜0.40%(無添加を含む),Mn:0〜1.0%
(無添加を含む)を含有し、Pを0.03%以下,Sを0.01%
以下,T.Alを0.1%以下に制限し、残部がFeおよび不可
避的不純物からなる鋼である点を規定したものである。
ここで、T.Alは鋼板中に含まれるトータルAl量を意味す
る。
において、対象とする鋼が、質量%において、C:0.7〜
1.5%,Si:0〜0.40%(無添加を含む),Mn:0〜1.0%
(無添加を含む),Cr:0〜1.6%(無添加を含む),M
o:0〜0.3%(無添加を含む),Cu:0〜0.3%(無添加
を含む),Ni:0〜2.0%(無添加を含む)を含有し、P
を0.03%以下,Sを0.01%以下,T.Alを0.1%以下に制限
し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼である点
を規定したものである。
法において、使用する熱延鋼板が、パーライトラメラ間
隔が0.2μm以下の金属組織を呈するものである点を規定
したものである。すなわち、加熱対象素材が「C:0.7〜
1.5質量%を含有する鋼の熱延鋼板」である製造法にお
いては、当該熱延鋼板の金属組織が「パーライトラメラ
間隔が0.2μm以下」であることを意味し、加熱対象素材
が「C:0.7〜1.5質量%を含有する鋼の熱延鋼板に冷延
率70%以下の冷間圧延を施した鋼板」または「C:0.7〜
1.5質量%を含有する鋼の熱延鋼板に冷延率10〜50%の
冷間圧延を施した鋼板」である場合の製造法において
は、冷間圧延に供する熱延鋼板の金属組織が「パーライ
トラメラ間隔が0.2μm以下」であることを意味する。
造法において、対象とする鋼のC含有量が特に0.8超え〜
1.5質量%である点を規定したものである。
ついて、加工性を改善する手段を種々検討してきた。そ
の結果、一般的な打抜加工性や曲げ加工性が向上する
場合でも、伸びフランジ性等の局部延性が改善されると
は限らないこと、炭化物を単に球状化させるだけでは
局部延性の安定した改善は図れないこと、局部延性
は、鋼板中における炭化物の分散形態に大きく依存し、
具体的には炭化物のより一層の球状化と、平均炭化物間
距離を長くすることによって改善し得ることを知見し
た。
が、他の加工性の挙動と必ずしも一致しない理由につい
て現時点では不明な点が多いが、次のようなことが考え
られる。すなわち、局部延性は一般に穴拡げ試験で評価
される特性であり、具体的には例えば、円板に予め設け
た直径d0の穴にポンチを押し込んで穴を押し拡げてい
き、穴縁に板厚を貫通する割れが発生したときの穴直径
dを測定し、そのときの(d−d0)/d0の値で評価すること
のできる特性である。この穴拡げ率は穴縁に板厚を貫通
する割れが発生したときの円周方向ひずみの公称値を意
味することから、局部延性は、穴縁に「くびれ」あるい
は「割れ」が発生し始めるときの円周方向ひずみの限界
値によって評価し得る特性である。つまり、ここでいう
局部延性は、局部的に高い応力が集中する場合の成形性
を表していることになる。このような「くびれ」や「割
れ」は、加工変形中に生じる非常に局所的な欠陥によっ
て敏感に引き起こされるものと考えられる。局部延性が
他の一般的な加工性と異なる挙動を示すのは、一般的な
加工性には影響を及ぼさないようなミクロ的な欠陥が、
局部延性に対しては敏感に影響するためであると推察さ
れる。
生成原因として、炭化物(セメンタイト)を起点として
生じたミクロボイドの成長(連結)が考えられる。そこ
で発明者らは、加工変形時における上記ミクロボイドの
生成および成長ができるだけ抑制されるような金属組織
にしておくことが、高炭素鋼板の局部延性を改善するう
えで重要であると考えた。
と局部延性の間には密接な関係があり、平均炭化物間距
離を長くすることが局部延性の向上に有効であることが
確かめられた。これは、平均炭化物間距離が長いほど個
々の炭化物を起点として生成したミクロボイドの連結を
抑制する効果が大きいことを示していると考える。一
方、炭化物の球状化率を高めることも局部延性の向上に
有効であることがわかった。これは、炭化物の形態が球
状になることによって、ミクロボイドの生成そのものが
抑制させることを示していると考えられる。以下、本発
明を特定するための事項について説明する。
る高炭素鋼、あるいは特にC:0.8超え〜1.5質量%含有
する高炭素鋼を対象とする。Cは炭素鋼において最も基
本となる合金元素であり、その含有量によって加工性や
焼入れ硬さおよび炭化物量が大きく変動する。C含有量
が0.7質量%以上になると、部品加工後に焼入れを行っ
た際、残存する未溶解炭化物によって高い耐摩耗性が発
揮される。特にC含有量が0.8%を超えると共析鋼あるい
は過共析鋼の組織を呈し、耐摩耗性は一層向上する。一
方、C含有量が1.5質量%を超えると、熱間圧延後の靱性
が低下して鋼帯の製造性・取扱い性が悪くなるととも
に、焼鈍後においても十分な延性が得られないため本発
明の特徴である優れた局部延性向上効果は発揮されな
い。したがって、本発明では加工性の良好な高炭素鋼板
を提供する観点から、C含有量が0.7〜1.5質量%、ある
いは0.8超え〜1.5%の範囲の鋼を対象とする。
この介在物の量が多くなると局部延性が劣化するので、
鋼中のS含有量はできるだけ低減することが望ましい。
本発明ではS含有量を特別に低減していない一般的な市
販鋼に対しても局部延性の向上効果は得られる。しか
し、C含有量が1.5質量%近くまで高くなった場合でも、
後述するElv値およびλ値がそれぞれ例えば32%以上,3
0%以上というように高い局部延性を安定して確保する
ためには、S含有量を0.01質量%以下に低減した鋼を使
用することが望ましい。
質量%以下の含有量とすることが望ましい。Alは溶鋼の
脱酸剤として添加されるが、鋼中のT.Al量が0.1質量%
を超えると鋼の清浄度が損なわれて鋼板に表面疵が発生
しやすくなるので、T.Al含有量は0.1質量%以下とする
ことが望ましい。
の1つである。Siを過剰に添加すると固溶強化作用によ
りフェライトが硬化し、成形加工時に割れ発生の原因と
なる。またSi含有量が増加すると製造過程で鋼板表面に
スケール疵が発生する傾向を示し、表面品質の低下を招
く。Siを添加する場合は0.40質量%以下の含有量に抑え
るのがよい。加工性を特に重視する用途ではSi含有量は
0.1質量%以下とすることが望ましい。
素である。1.0質量%を超えて多量に含有させるとフェ
ライトが硬化し、加工性の劣化を招く。そこで、Mnは
1.0質量%以下の範囲で含有させることが望ましい。
Ni等の元素を添加して各特性の改善を図った鋼を使用で
きる。Crは、焼入れ性を改善するとともに焼戻し軟化抵
抗を大きくする元素である。しかし、1.6質量%を超え
る多量のCrが含まれると、A1点以下での長時間焼鈍や
A1点以上の加熱を利用した本発明で規定する熱処理を
施しても軟質化しにくく、焼入れ前のプレス成形性や加
工性が劣化するようになる。したがってCrを添加する場
合は1.6質量%以下の範囲とするのがよい。
焼戻し軟化抵抗の改善に寄与する。しかし、0.3質量%
を超える多量のMoが含まれるとA1点以下での長時間焼
鈍や本発明で規定した熱処理を施しても軟質化しにく
く、焼入れ前のプレス成形性や加工性が劣化するように
なる。したがってMoを添加する場合は0.3質量%以下の
範囲とするのがよい。
離性を向上させるので、鋼板の表面性状の改善に有効で
ある。しかし、0.3質量%以上含有させると溶融金属脆
化により鋼板表面に微細なクラックが生じやすくなるの
で、Cuを添加する場合は0.3質量%以下の範囲とするの
がよい。
性を防止する元素である。またNiは、Cu添加によって問
題となる溶融金属脆化の悪影響を打ち消す作用を示すの
で、特にCuを約0.2%以上添加する場合にはCu添加量と
同程度のNiを添加することが極めて効果的である。しか
し、2.0質量%を超える多量のNiが含まれるとA1点以下
での長時間焼鈍や本発明で規定する熱処理を施しても軟
質化しにくく、焼入れ前のプレス成形性や加工性が劣化
するようになる。したがってNiを添加する場合は2.0質
量%以下の範囲とするのがよい。
ールについて説明する。本発明は、高炭素鋼板におい
て、炭化物の球状化率を高め、かつ平均炭化物間距離を
長くした金属組織を得るために、i)鋼板に対しA1点以
上の加熱を利用した焼鈍を施す際に、そのA1点以上の
加熱保持終了時点における鋼板中の未溶解炭化物の密度
を規定した点、および、ii)その温度からAr1点以下へ
の降温速度を遅くするように規定した点に大きな特徴が
ある。
ると炭化物のうち微細なものはオーステナイト中に固溶
し、その後Ar1点以下の温度に冷却すると再び炭化物と
して析出する。その際、Ac1点以上で未溶解炭化物をあ
る程度多く残存させた場合には、Ar1点以下への降温速
度を遅くすることによって、オーステナイト中に固溶し
たCはパーライトを生成せずに未溶解炭化物を核として
析出するようになるので、焼鈍後の炭化物の球状化率を
高くすることができる。またこの場合、Ac1点以上にお
ける炭化物の数は焼鈍前より減少しており、降温速度が
十分に遅いと新たに核生成しないので、焼鈍後の炭化物
数は焼鈍前より減少し、結果的に炭化物間距離も長くな
る。
て未溶解炭化物の個数が少なくなりすぎると、その後A
r1点以下の温度への冷却過程で、オーステナイト中に固
溶したCはラメラ間隔の大きい再生パーライトとして析
出する。その結果、炭化物の球状化率は極めて低くな
り、鋼板の局部延性は向上しない。逆に、Ac1点以上の
温度域において未溶解炭化物が多く残存しすぎると冷却
後の炭化物も多くなり、平均炭化物間距離が十分に長く
ならず、やはり局部延性の優れた鋼板は得られない。
の目的は、鋼板をAc1点以上の温度に保持し、オーステ
ナイト化した部分において微細な炭化物を溶解させると
ともに、比較的大きな球状炭化物を未溶解のまま残すこ
と、および、残存した炭化物をオストワルド成長させる
ことである。つまり、続く冷却過程での炭化物の析出核
となるべき未溶解炭化物の数および分散状態を決定付け
る過程である。保持温度がAc1点未満ではオーステナイ
トが生成しない。一方、Ac1+100℃の温度を超える
と、後述する前段階での加熱保持や昇温速度のコントロ
ールによって炭化物が球状化されていても、その多くは
オーステナイト中に溶解してしまい、未溶解炭化物の数
が少なくなりすぎるか、または存在しなくなる。そうな
ると続く冷却過程で再生パーライトが生成し、局部延性
を十分改善するに足る高い炭化物球状化率と長い平均炭
化物間距離が実現できない。
その熱延鋼板に70%以下の冷間圧延を施した鋼板につい
て、Ac1点以上の加熱を利用した焼鈍を種々行い、Ac1
点以上の温度域における炭化物形態と焼鈍後の鋼板にお
ける加工性の関係を把握した。その際、Ac1点以上の温
度域における炭化物形態は、その温度の鋼板を油中に焼
入れ、鋼板断面を走査型電子顕微鏡で観察する方法で調
べた。また加工性は後述する切欠引張試験および穴拡げ
試験により評価した。この調査の結果、Ac1点以上の加
熱保持終了段階の鋼板の断面組織において、未溶解炭化
物が100μm2あたり10〜100個の密度で存在しているもの
において、顕著な局部延性向上効果が認められた。した
がって本発明では、このAc1点以上の加熱保持におい
て、鋼板中の未溶解炭化物を鋼板断面100μm2あたり10
〜100個の密度に残存させた状態とする。
が0.5時間未満ではオーステナイト中への微細炭化物の
溶解が不十分であり、30時間を超える長時間加熱では平
衡状態に近づくため未溶解炭化物の数を十分確保するこ
とが難しくなる。したがって、この加熱保持は0.5〜30
時間の範囲で行うことが望ましい。
却速度が速いとオーステナイトの過冷度が大きくなり、
再生パーライトが生成しやすくなる。再生パーライトの
生成を十分抑制するためには冷却速度を50℃/h以下に遅
くする必要がある。一方、冷却速度を遅くしすぎると、
冷却に長時間を要するため、生産性を考慮すると5℃/h
以上の冷却速度とすることが望ましい。
持〕この加熱保持は、上記のAc1以上での加熱保持の前
段階として行うもので、必ずしも必須ではない。この加
熱保持の目的は、Ac1未満の温度に鋼板を保持し、熱間
圧延で生成したパーライトを分断して炭化物(セメンタ
イト)の球状化を図ることである。Ac1未満の温度で保
持すると、その初期の段階でパーライトの分断が起こ
る。分断化した炭化物は比較的サイズが細かいものの、
保持時間の経過に伴って球状化および若干の粗大化が進
み、熱延パーライトの状態よりも炭化物単位体積あたり
の表面積を減少させることができる。それにより、上記
Ac1以上での加熱に際し、炭化物/オーステナイト界面
の面積が減少し、炭化物の固溶を遅らせることができる
ので、未溶解炭化物の残存量をコントロールすることが
容易になるのである。
には、Ac1未満の温度範囲でなるべく高温が望ましい。
Ac1−50℃より低温では球状化が十分に進まない。一
方、Ac1点以上になると炭化物がオーステナイト中に溶
解していくので目的が達成できない。したがって、前段
階として行うこの加熱保持は「Ac1−50℃〜Ac1未満」
の温度範囲とすることが望ましい。また、その温度範囲
での保持時間が0.5時間未満では球状化が十分に図れな
い。保持時間の上限は特に規定する必要はないが、工業
的な実施を考慮したとき、20時間以内とすることが望ま
しい。
後は、そのまま昇温して上記のAc1点以上での加熱を実
施してもよいし、一旦常温まで冷却した後に改めて昇温
して上記Ac1点以上での加熱に供してもよい。さらに、
設備の都合等により1回の加熱で0.5時間以上の保持時
間を確保できないときは、Ac1未満でのこの加熱を複数
回に分けて行ってもよい。その場合は、上記温度範囲内
での保持時間がトータル0.5時間以上となるようにすれ
ばよい。
の加熱保持と同様の効果は、Ac1点以上での加熱保持を
実施する際の昇温過程において、昇温速度を十分に遅く
コントロールすることによっても得ることができる。そ
の場合、650℃以上の温度域で昇温速度を遅くすること
が、熱延パーライトの分断・球状化を促進するうえで有
効となる。昇温速度を遅くコントロールする温度範囲
は、Ac1点未満の温度域で任意に設定することができ、
その昇温パターンも種々考えられる。例えばAc1点が71
0℃の鋼であれば、670〜700℃の間の昇温速度を十分遅
くするようコントロールしてもよいし、600℃付近から
Ac1点以上の保持温度までの昇温速度を一様に遅くして
も構わない。あるいは700℃で0.5時間以上保持するよう
な昇温パターンを採用してもよいが、これは上記の前段
階として行う加熱保持の一態様ともなる。発明者は詳細
な検討を重ね、650℃からAc1点までの平均昇温速度が
結果的に5〜80℃/hとなるような昇温パターンで昇温す
れば、熱延パーライトの分断・球状化を促進する目的が
効果的に達成されることを見出した。
この加熱保持は、Ar1点以下の温度まで十分遅い冷却速
度で降温させた鋼板に対して行うもので、必ずしも必須
ではない。この加熱保持の目的は、Ac1点以上での加熱
保持を経た鋼板をAr1点以下の温度に保持し、Ac1点以
上の温度からの冷却でオーステナイト→フェライト変態
に伴ってオーステナイトから吐き出されるCを未溶解炭
化物を核として析出させるとともに、これらの炭化物を
オストワルド成長させることである。つまり、炭化物の
数はAc1点以上での加熱保持で残存させた未溶解炭化物
の数をほぼそのまま維持し、かつ炭化物の球状化率を高
める工程である。保持温度がAr1点以下でないとオース
テナイト→フェライト変態が起こらないので目的が達成
されない。また、保持温度がAr1−80℃より低温の場合
や、保持時間が2時間未満では、オストワルド成長が十
分進まない。ただし、保持時間が60時間を超えてもその
効果が飽和し、工業的なメリットはない。したがって、
降温過程で行うこの加熱保持は、「Ar1−80℃〜Ar1」
の温度範囲で2〜60時間保持することが望ましい。
ライトラメラ間隔が0.2μm以下になっている熱延鋼板を
用いると、Ac1点未満の温度域において炭化物の分断化
および球状化が起こりやすいので、本発明で規定する熱
処理の目的を達成するうえで非常に有利となる。ここで
いうパーライトラメラ間隔とは、鋼板断面の金属組織観
察において、観察視野内のパーライトラメラが最も密で
あるパーライトラメラ間隔を測定し、この測定を観察視
野を変えて10回行い、10個の測定値のうち小さいものか
ら選んだ5個の平均値として求まる値をいう。
受けて大きく変化する。本発明を工業的規模での大量生
産に適用する場合、次のような条件で製造した熱延鋼帯
を用いるのがよい。
イトが粗大化し、パーライト中の板状の炭化物は厚くな
るため、本発明の熱処理においては炭化物の分断化・球
状化が進みにくくなり、不利となる。熱延巻取温度は60
0℃以下とすることが望ましい。
と変形抵抗が極めて高くなり、また鋼種によってはセメ
ンタイト+オーステナイトの2相域圧延となってしまう
ので、鋼帯の寸法精度の劣化や金属組織の不均一が生じ
やすい。一方、熱延最終パス温度が850℃を超えるとオ
ーステナイト粒径が粗大化し、熱延材の靱性が低下す
る。したがって、熱延最終パス温度は750〜850℃の範囲
にするのが望ましい。
最終パスの圧下率が15%未満の場合は、オーステナイト
粒径が粗大化し、熱延材の靱性が低下する。したがっ
て、仕上圧延の全圧下率は85%以上とし、かつ最終パス
の圧下率は15%以上とすることが望ましい。
工すると、導入された加工ひずみによって焼鈍時に再結
晶化が促進され、その結果冷間加工を施さなかった場合
に比較して軟質なものが得られる。また、加熱・昇温時
には、加工ひずみによりパーライト中の炭化物の分断・
球状化が促進されるので、熱延鋼板に冷間圧延を施した
鋼板を加熱対象素材として用いることが効果的である。
炭化物の分断・球状化促進効果は、冷延率10%以上の冷
間圧延を施した鋼板において顕著に現れる。しかし、冷
延率が70%を超えても冷延による炭化物の分断・球状化
促進の効果は飽和するうえ、板切れ等のトラブルが発生
しやすくなる。したがって焼鈍前の冷延率は70%以下と
した。なお、冷延率を高めるとパス回数が多くなり、そ
の分製造コストの上昇を招くことになるので、冷延率の
範囲は10〜50%とすることが好ましい。
上,かつλ値が25%以上の局部延性に優れた高炭素鋼板
を得ることができる。また得られた鋼板は、部品加工後
の焼入れ処理によって高硬度化することができる。
した。表1中にはAc1変態点,およびAr1変態点も示し
てある。ここで、Ac1変態点およびAr1変態点は、直径
5mm×長さ10mmの供試鋼試験片を「10℃/hで昇温→900℃
で10分間保持して完全にオーステナイト化→10℃/hで冷
却」というヒートパターンで加熱・冷却しながら試験片
の収縮・膨張を測定し、その収縮・膨張曲線の変化から
求めた値である。
仕上熱延での全圧下率80%,仕上熱延における最終パス
の圧下率10%,巻取温度600℃の条件で熱間圧延を行っ
て熱延鋼帯を製造し、酸洗したのち、種々の条件で熱処
理を行った。各熱処理条件につき、加工性調査用試料と
金属組織調査用試料を熱処理に供し、熱処理途中のAc1
点以上の加熱保持終了段階において金属組織調査用試料
を40℃の油中に焼入れ、未溶解炭化物数の測定に用い
た。加工性調査用試料は熱処理後に板厚2.3mmの状態
で、引張試験,切欠引張試験,穴拡げ試験に使用した。
入れた試料のL-断面の金属組織を走査顕微鏡で観察し、
3000μm2中の炭化物数を計測する方法で行い、その値を
100μm2あたりの炭化物数に換算した。引張試験は、JIS
5号引張試験片を用い、平行部の標点間距離を50mmとし
て行った。引張強さをTS(N/mm2)、伸びをT.El(%)とし
て表した。切欠引張試験は、JIS 5号引張試験片の平行
部長手方向中央位置における幅方向両サイドに開き角45
°,深さ2mmのVノッチを形成した試験片を用いて引張試
験を行う方法で行った。平行部長手方向中央部の標点間
距離5mmに対する伸び率を破断後に求め、その伸び率を
切欠引張伸びElv(%)とした。穴拡げ試験は、150mm角の
鋼板の中央部にクリアランス20%にて10mm(d0)の穴を打
抜いた後、その穴部について、50mmφ球頭ポンチにて押
し上げる方法で行い、穴周囲に板厚を貫通する亀裂が発
生した時点での穴径dを測定して、次式で定義される穴
拡げ率λ(%)を求めた。 λ=(d−d0)/d0×100 これらElv値およびλ値は局部延性を表す指標であり、
伸びフランジ性を定量的に評価し得るものである。この
Elv値が25%以上、かつλ値が25%以上のものは従来の
高炭素鋼版と比べ、十分に高い局部延性を有していると
言える。これらの試験結果を熱処理条件と併せて表2〜
3に示す。表2〜3中、Ac1以上での保持を行う前にA
c1未満での保持を行った場合は、その温度での保持後に
そのまま昇温してAc1以上での保持に供した。なお、A
c1以上での保持を行う前にAc1未満での保持を行ってい
ない場合、650℃〜Ac1の平均昇温速度は概ね50℃/h程
度である。
熱処理を本発明で規定する条件で行い、Ac1点以上での
断面組織における100μm2中の未溶解炭化物数を規定範
囲内としても、Elv値は18%,λ値は19%にしかなら
ず、局部延性は劣っていた(No.2-12)。C含有量が本発
明規定範囲内であるB鋼,D鋼においても、熱処理温度
がAc1点より低いNo.2-1,2-2は、Elv値が23%以下,λ
値が23%条件以下であり、局部延性は劣っていた。ま
た、Ac1点以上のでの断面組織における100μm2あたり
の未溶解炭化物数が10個未満であるNo.2-20〜2-22は再
生パーライトが生成したためElv値,λ値とも低くなっ
た。逆にこの炭化物数が100個よりも多いNo.2-23〜2-25
の場合には、炭化物が十分に粗大化しなかったため、や
はりElv値,λ値とも低くなった。
本発明規定範囲にあるものは、Elv値が28%以上,λ値
が27%以上と、優れた局部延性を示した。C含有量が同
レベルのB鋼とF鋼の結果を比較すると、S含有量が低
いB鋼の方が良好な局部延性を示すことがわかる。
とElv値の関係をプロットしてある。一般的な加工性の
指標であるT.El値が同レベルであっても、局部延性を示
すElv値に関しては、発明例と比較例で大きな差が生じ
ていることが注目される。
製した。表4中には、実施例1と同様の方法で求めたA
c1変態点,およびAr1変態点も示してある。
施例1と同様の条件・方法で各種試験を行った。試験結
果を熱処理条件と併せて表5に示す。
熱処理を本発明で規定する条件で行い、Ac1点以上での
断面組織における100μm2中の未溶解炭化物数を規定範
囲内としても、Elv値は22%,λ値は23%にしかなら
ず、局部延性は劣っていた(No.2-37)。C含有量が本発
明規定範囲内であるI鋼,L鋼においても、熱処理温度
がAc1点より低いNo.2-41,2-42は、Elv値が22%以下,
λ値が23%条件以下であり、局部延性は劣っていた。ま
た、Ac1点以上のでの断面組織における100μm2あたり
の未溶解炭化物数が10個未満であるNo.2-43〜2-46は再
生パーライトが生成したためElv値,λ値とも低くなっ
た。逆にこの炭化物数が100個よりも多いNo.2-47,2-48
の場合には、炭化物が十分に粗大化しなかったため、や
はりElv値,λ値とも低くなった。Ar1への冷却速度が5
5℃/hと速いNo.2-49は再生パーライトが生成したためEl
v値,λ値とも低くなった。
本発明規定範囲にあるものは、No.2-50を除き、Elv値が
31%以上,λ値が30%以上と、優れた局部延性を示し
た。No.2-50はAr1以下での保持温度が600℃と低かった
ため、炭化物の粗大化があまり顕著ではなく、Elv値,
λ値は若干低めの値であった。C含有量が同レベルのI
鋼とM鋼の結果を比較すると、S含有量が低いI鋼の方
が良好な局部延性を示すことがわかる。
v値の関係をプロットしてある。一般的な加工性の指標
であるT.El値が同レベルであっても、局部延性を示すEl
v値に関しては、発明例と比較例で大きな差が生じてい
ることが注目される。
板に種々の圧下率の冷間圧延を施し、熱処理後の加工性
に及ぼす熱処理前の冷間圧延率の影響を調べた。表6
に、冷間圧延率,熱処理条件と各種試験結果を示す。熱
処理は本発明で規定する適正な条件で行っている。
たものは特に高いElv値およびλ値を示しており、非常
に優れた局部延性を呈する高炭素鋼板が安定して得られ
ることがわかる。
実施例2で得たI鋼の熱延鋼板に種々の圧下率の冷間圧
延を施し、熱処理後の加工性に及ぼす熱処理前の冷間圧
延率の影響を調べた。表7に、冷間圧延率,熱処理条件
と各種試験結果を示す。熱処理は本発明で規定する適正
な条件で行っている。
延率で冷間圧延したものは特に高いElv値およびλ値を
示しており、非常に優れた局部延性を呈する高炭素鋼板
が安定して得られることがわかる。
トラメラ間隔の異なる種々の熱延鋼板を製造し、熱処理
後の加工性に及ぼす熱延鋼板のパーライトラメラ間隔の
影響を調べた。表8に、熱延条件,パーライトラメラ間
隔,熱処理条件と各種試験結果を示す。熱処理は本発明
で規定する適正な条件で行っている。パーライトラメラ
間隔の測定は前述の方法で行った。なお、熱処理前に冷
間圧延は行っていない。
間隔を0.2μm以下した熱延鋼板を使用すると、同じ鋼に
同じ熱処理を施す場合でも、Elv値およびλ値を顕著に
向上させることができる。
表4のI鋼を用いてパーライトラメラ間隔の異なる種々
の熱延鋼板を製造し、熱処理後の加工性に及ぼす熱延鋼
板のパーライトラメラ間隔の影響を調べた。表9に、熱
延条件,パーライトラメラ間隔,熱処理条件と各種試験
結果を示す。なお、熱処理前に冷間圧延は行っていな
い。
トラメラ間隔を0.2μm以下した熱延鋼板を使用すること
によってElv値およびλ値を顕著に向上させることがで
きることがわかる。
素鋼板が安定的に造れるようになった。本発明の製造法
は、一般的な高炭素鋼の鋼種に広く適用でき、いずれの
鋼種においても局部延性の改善効果が得られる。したが
って、本発明は高炭素鋼板の用途拡大に貢献するもので
ある。
すグラフである。
すグラフである。
Claims (11)
- 【請求項1】 C:0.7〜1.5質量%を含有する鋼の熱延
鋼板を加熱し、「Ac 1〜Ac1+100℃」の温度範囲に保
持して鋼板中の未溶解炭化物を鋼板断面100μm 2あたり1
0〜100個の密度に残存させた状態とし、この状態からA
r1以下の温度まで50℃/h以下の速度で冷却する、局部延
性に優れた高炭素鋼板の製造法。 - 【請求項2】 C:0.7〜1.5質量%を含有する鋼の熱延
鋼板を加熱し、「Ac 1−50℃〜Ac1未満」の温度範囲に
0.5時間以上保持したのち、「Ac1〜Ac1+100℃」の温
度範囲に0.5〜30時間保持して鋼板中の未溶解炭化物を
鋼板断面100μm 2あたり10〜100個の密度に残存させた状
態とし、この状態からAr1以下の温度まで50℃/h以下の
速度で冷却する、局部延性に優れた高炭素鋼板の製造
法。 - 【請求項3】 C:0.7〜1.5質量%を含有する鋼の熱延
鋼板を加熱し、650℃からAc1までの平均昇温速度が5〜
80℃/hとなるように昇温し、「Ac1〜Ac1+100℃」の
温度範囲に0.5〜30時間保持して鋼板中の未溶解炭化物
を鋼板断面100μm2あたり10〜100個の密度に残存させた
状態とし、この状態からAr1以下の温度まで50℃/h以下
の速度で冷却する、局部延性に優れた高炭素鋼板の製造
法。 - 【請求項4】 Ar1以下の温度まで50℃/h以下の速度で
冷却したのち、さらに「Ar1−80℃〜Ar1」の温度範囲
に2〜60時間保持する、請求項1〜3に記載の製造法。 - 【請求項5】 C:0.7〜1.5質量%を含有する鋼の熱延
鋼板を加熱することに代えて、C:0.7〜1.5質量%を含
有する鋼の熱延鋼板に冷延率70%以下の冷間圧延を施し
た鋼板を加熱する、請求項1〜4に記載の製造法。 - 【請求項6】 冷延率が10〜50%である請求項5に記載
の製造法。 - 【請求項7】 鋼がC:0.7〜1.5質量%を含有し、Sを0.
01質量%以下に制限したものである、請求項1〜6に記
載の製造法。 - 【請求項8】 鋼が、質量%において、C:0.7〜1.5
%,Si:0〜0.40%(無添加を含む),Mn:0〜1.0%
(無添加を含む)を含有し、Pを0.03%以下,Sを0.01%
以下,T.Alを0.1%以下に制限し、残部がFeおよび不可
避的不純物からなるものである、請求項1〜6に記載の
製造法。 - 【請求項9】 鋼が、質量%において、C:0.7〜1.5
%,Si:0〜0.40%(無添加を含む),Mn:0〜1.0%
(無添加を含む),Cr:0〜1.6%(無添加を含む),M
o:0〜0.3%(無添加を含む),Cu:0〜0.3%(無添加
を含む),Ni:0〜2.0%(無添加を含む)を含有し、P
を0.03%以下,Sを0.01%以下,T.Alを0.1%以下に制限
し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるものであ
る、請求項1〜6に記載の製造法。 - 【請求項10】 熱延鋼板が、パーライトラメラ間隔が
0.2μm以下の金属組織を呈するものである、請求項1〜
9に記載の製造法。 - 【請求項11】 鋼のC含有量が0.8超え〜1.5質量%で
ある、請求項1〜10に記載の製造法。
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