JP6059569B2 - 冷間加工性及び被削性に優れた鋼材の製造方法 - Google Patents
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(2)A3点+(5〜30)℃の温度範囲に再加熱保持する。
(3)A1点−(5〜30)℃の温度範囲で保持する。
(4)(A1点+5)〜(A3点+30)℃の温度範囲で保持する。
(5)A1点−(5〜30)℃の温度範囲で保持する。
前記ひずみ付与工程では、鋼材に0.05以上の真ひずみを導入し、
前記球状化焼鈍工程は、1段目熱処理と、これに続く2段目熱処理とから構成され、これら1段目熱処理及び2段目熱処理の条件は以下の通りである点にその要旨を有するものである。
(1)1段目熱処理
昇温速度:400℃/hr未満
加熱温度:A1点+10℃〜A1点+30℃でありかつ780℃未満
加熱保持時間:0.5〜1時間
冷却速度:A1点〜A1点−20℃の温度範囲を3℃/hr以下
冷却終了温度:A1点−35℃以下
(2)2段目熱処理
昇温速度:400℃/hr未満
加熱温度:A1点+5℃〜A1点+25℃でありかつ780℃未満
加熱保持時間:0.5〜2時間
冷却速度:A1点−15℃〜A1点−50℃の温度範囲を5℃/hr以下
本発明は、高C低Cr鋼を対象とする。高C低Cr鋼には、球状化焼鈍を安定して行うという課題がある。前記高C低Cr鋼は、具体的にはCを0.7〜1.5%(質量%の意味。以下、同じ)、Crを0.9%未満(0%を含まない)含有する。
Pは、鋼材中に不可避的に含まれる元素であり、粒界偏析を起こすと延性劣化の原因となる。従ってP量は、0.05%以下(0%を含まない)であることが好ましく、より好ましくは0.04%以下、更に好ましくは0.03%以下である。
(1)の場合、Cu:0.25%以下(0%を含まない)、Ni:0.25%以下(0%を含まない)、Mo:0.25%以下(0%を含まない)およびB:0.01%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも1種を含有させる。これらの元素は、いずれも鋼材の焼入れ性を向上させて最終製品の強度を高めるのに有効に作用する元素であり、単独で含有させてもよく、2種以上含有させてもよい。前記作用を確実に発揮させる観点から、Cuは0.01%以上、Niは0.01%以上、Moは0.01%以上、Bは0.001%以上含有させることが好ましく、より好ましくは、Cuは0.03%以上、Niは0.03%以上、Moは0.03%以上、Bは0.0015%以上である。しかし過剰に含有すると、強度が高くなり過ぎて、冷間加工性が劣化することがある。従って前記範囲よりもその上限を限定してもよく、例えば、Cuは0.15%以下、Niは0.15%以下、Moは0.2%以下、Bは0.008%以下とするのが好ましい。
2.1 ひずみ付与工程
本発明は、球状化焼鈍に先立って鋼材にひずみを付与している点に特徴がある。高C低Cr鋼は、それを安定して球状化することが難しく、工程条件の僅かな違いに感応して、一部で球状化に成功しても一部で球状化が不十分となることがある。そこで本発明では、後述する特定の2段階の熱処理によって、高C低Cr鋼であっても安定して球状化することを可能にできた。第1の熱処理に供する鋼材にあらかじめひずみを付与しておくと、この安定球状化効果を損なうことなく、第1の熱処理時間を短縮することが可能となった。
鋼材へのひずみ導入量は、真ひずみによって規定できる。ひずみ付与工程で導入される真ひずみは、0.05以上、好ましくは0.10以上、さらに好ましくは0.15以上、特に好ましくは0.20以上である。真ひずみの上限はその導入が可能な限り特に限定されないが、例えば、0.80以下、好ましくは0.60以下、さらに好ましくは0.50以下である。
なお鋼材に導入する真ひずみの量εは、例えば、伸線時の減面率をA(%)とすると、下記式から算出できる。
ε=ln(1/(1−A/100))
本発明では、ひずみを導入した高C低Cr鋼を球状化焼鈍する。本発明の球状化焼鈍方法によれば、安定した球状化焼鈍が困難な上記のような高C低Cr鋼であっても、確実に球状化焼鈍してその冷間加工性と被削性を改善できる。本発明の製造方法で採用する球状化焼鈍法は、2段階に分けて熱処理を行う点に特徴があり、1段階目の熱処理を比較的強く設計し、2段階目の熱処理は比較的弱く設計している。1段階目の熱処理についてより詳細に説明すると、以下の通りである。
1段目の熱処理では、まず鋼材を昇温速度:400℃/hr未満で加熱する。この加熱は、A1点+10℃以上、A1点+30℃以下の温度(ただし、780℃未満)まで行い、この温度で0.5〜1時間保持する。次いで冷却を開始し、この冷却では、A1点以下、A1点−20℃以上の温度範囲を3℃/hr以下の速度で徐冷する。冷却はA1点−35℃以下まで実施する。この1段目の熱処理で、元々のパーライト組織をある程度の球状化組織とし、また粒界セメンタイトも大幅に低減できる。そのため、続く2段目の熱処理で、全ての部位で確実に球状化組織を得ることができる。なおA1点は、オーステナイト+セメンタイトの相からオーステナイト+セメンタイト+フェライトの相への変態温度であり、総合熱力学計算ソフトウエア(Thermo−Calc。CRC総合研究所から購入可能。データベースはTTLFE)に、鋼材の化学成分組成を入力して求まる値である。
2段目の熱処理では、1段目の冷却終了後、鋼材を昇温速度:400℃/hr未満で加熱する。この加熱は、A1点+5℃以上、A1点+25℃以下の温度(ただし、780℃未満)まで行い、この温度で0.5〜2時間保持する。次いで冷却を開始し、この冷却では、A1点−15℃以下、A1点−50℃以上の温度範囲を5℃/hr以下の速度で徐冷する。前記1段目の熱処理の後、これよりも比較的弱い2段目の熱処理を行うことで、パーライトの再生を防止しつつ、球状化が困難な部位でも確実に球状化できる。
本発明の鋼材を製造するに当たり、前記ひずみ付与前の工程は特に限定されず、例えば、通常の鋼材の製造方法に従えばよい。例えば、所定の成分に調整した鋼材を鋳造し、必要に応じて分塊圧延した後、熱間圧延した鋼材を使用することができる。また他の方法によって得られた鋼材であっても、炭化物の球状化がなされていない鋼材であれば、いずれであっても使用できる。
下記表1に示す成分組成の鋼材(鋼種A〜G)を熱間圧延することでφ15mmの線材コイル(1トン)を一鋼種当たり21個製造した。次いで冷間で伸線することで下記表2に示す真ひずみを導入した。3段(層)積み型のバッチ式加熱炉に、一段(層)当たり7個(3段(層)の合計で21個)の伸線後の線材コイルを挿入し、下記表2に示す条件で1段目(1回目)の熱処理を行った後、2段目(2回目)の熱処理を行った。
これらに対してNo.13およびNo.15は、1段目熱処理と2段目熱処理とが適切に行われているため、LC番号とCN番号が共に1になった。しかし1段目熱処理前にひずみ導入されていない為、1段目の熱処理に3〜4時間も要した。一方、ひずみを導入しないNo.12およびNo.14の結果より明らかな様に、ひずみを導入することなく1段目熱処理を短縮すると、1段目加熱時に未固溶のパーライトや網状セメンタイトが残り、球状化焼鈍ができない部分が発生して、LC番号またはCN番号が悪化した。そこでひずみを導入した上で1段目の加熱時間を短縮すると(No.1〜6)、1段目熱処理と2段目熱処理とが適切になり、短時間でLC番号とCN番号を共に1にする事ができた。
No.7〜11でも、ひずみを導入した鋼材を適切な条件で1段目熱処理し、ついで2段目熱処理しているため、短時間でLC番号とCN番号を共に1にする事ができた。
Claims (5)
- C:0.7〜1.5%(質量%の意味。以下、同じ)、およびCr:0.9%未満(0%を含まない)を含有する鋼材を球状化焼鈍して冷間加工性及び被削性に優れた鋼材を製造する方法であって、
ひずみ付与工程と、前記ひずみ付与工程によりひずみが導入された鋼材を球状化焼鈍する球状化焼鈍工程を含み、
前記ひずみ付与工程では、鋼材に0.05以上の真ひずみを導入し、
前記球状化焼鈍工程は、1段目熱処理と、これに続く2段目熱処理とから構成され、これら1段目熱処理及び2段目熱処理の条件は以下の通りである冷間加工性及び被削性に優れた鋼材の製造方法。
(1)1段目熱処理
昇温速度:400℃/hr未満
加熱温度:A1点+10℃〜A1点+30℃でありかつ780℃未満
加熱保持時間:0.5〜1時間
冷却速度:A1点〜A1点−20℃の温度範囲を3℃/hr以下
冷却終了温度:A1点−35℃以下
(2)2段目熱処理
昇温速度:400℃/hr未満
加熱温度:A1点+5℃〜A1点+25℃でありかつ780℃未満
加熱保持時間:0.5〜2時間
冷却速度:A1点−15℃〜A1点−50℃の温度範囲を5℃/hr以下 - 前記鋼材として、Si:0.001〜0.7%、Mn:0.1〜2.0%、Al:0.001〜0.1%を更に含有し、残部が鉄および不可避的不純物であるものを用いる請求項1に記載の製造方法。
- 前記不可避的不純物として、P:0.05%以下(0%を含まない)、S:0.001〜0.05%、N:0.015%以下(0%を含まない)を含む請求項2に記載の製造方法。
- 前記鋼材が更に、
Cu:0.25%以下(0%を含まない)、
Ni:0.25%以下(0%を含まない)、
Mo:0.25%以下(0%を含まない)および
B :0.01%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。 - 前記鋼材が更に、
Ti:0.2%以下(0%を含まない)、
Nb:0.2%以下(0%を含まない)および
V :0.5%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
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