JP4801485B2 - 冷間鍛造部品、それを得るための製造方法および鋼材 - Google Patents

冷間鍛造部品、それを得るための製造方法および鋼材 Download PDF

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Description

本発明は、冷間鍛造部品、殊に優れた強度および延性を兼ね備えた冷間鍛造部品、その製造方法、およびその製造方法に用いられる鋼材に関するものである。
冷間鍛造は、熱間鍛造または切削加工に比較して生産性が高い上に、鋼材の歩留まりが良いことから、ボルト、ナット、ねじ等の機械部品や電装部品の製造方法として広く利用されている。この冷間鍛造後に、部品の性質を調整するため、特に部品の強度を向上させるために焼入れが、次いで部品の延性を高めるために焼戻しがよく行われる。
鋼材の焼入れ性を高めるためには合金元素を添加する必要があるが、そのような合金元素を含む鋼材は変形能に劣り、焼入れ前の冷間鍛造時に割れることがある。また焼入れ時にも焼割れが起こり得る。このような割れのため、冷間鍛造に焼入れ・焼戻しを組み合わせる製造プロセスは、生産性に問題がある。
従って本発明の目的は、優れた強度と延性とを併せ持つ冷間鍛造部品を、効率よく製造することができる製造方法を提供することにある。
また本発明の目的は、そのような製造方法のために用いられる鋼材、特に良好な変形能を有し、冷間鍛造時に割れにくい鋼材を提供することにある
さらに本発明は、特徴的な組織構造により、優れた強度と延性とを併せ持つ冷間鍛造部品を提供することも目的とする。
上記目的を達成することができた本発明とは、
C:0.11〜0.30%(質量%の意味、以下同じ)、
Si:0.6%以下(0%を含まない)、
Mn:0.1〜1.80%、
P:0.03%以下(0%を含まない)、
S:0.03%以下(0%を含まない)、
Ni:0.3%以下(0%を含まない)、
Cr:1.0%以下(0%を含まない)、
Mo:0.3%以下(0%を含む)、
Al:0.01〜0.06%、
N:0.007%以下(0%を含まない)、
V:0.05〜0.3%、
Nb:0.1%以下(0%を含む)、および
Ti:0.1%以下(0%を含む)
を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、
前記合金元素が下記式:
0.55≦A≦0.8 … (1)
A=[C]+0.195[Si]+0.22[Mn]+0.11[Ni]
+0.196[Cr]+0.21[Mo]+0.1[V]+1.19[Nb]
+0.2[Ti] … (2)
〔式中、[C]、[Si]、[Mn]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[V]、[Nb]および[Ti]は、それぞれの合金元素の含有量(質量%)を示す。〕
を満たす鋼材を、冷間鍛造した後に、900〜1090℃で焼ならし、次いで500〜700℃で焼戻しすることを特徴とする冷間鍛造部品の製造方法に関するものである。前記焼ならし時の冷却速度を3〜8℃/秒に設定することが推奨される。
また本発明は、上記の特定組成を有する鋼材自体も提供する。本発明の鋼材は、上記の元素に加えて、さらにPb、Bi、Mg、Caのいずれか1種以上を合計で0.1%以下(0%を含まない)含有してもよい。
さらに本発明は、上記の特定組成を有する本発明の鋼材を用い、且つ本発明の製造方法によって製造することができる冷間鍛造部品であって、ミクロ組織の90%以上がベイナイト組織であり、V、並びに任意にNbおよび/またはTiが微細析出していることを特徴とする冷間鍛造部品も提供する。本発明の冷間鍛造部品は、そのミクロ組織が、実質的にベイナイト組織単相であるものが好ましい。
本発明の製造方法は、冷間鍛造後の熱処理として、強度向上のために通常行われる焼入れ・焼戻しではなく、焼ならし・焼戻しを行うことにより、焼割れを防止し、優れた強度と延性とを併せ持つ冷間鍛造部品を効率よく製造することができる。また本発明は、特に変形能に優れる組成の鋼材を用いることによって、冷間鍛造時の割れを低減するという効果も有し、これによりさらに生産性を上げることができる。
本発明では、焼ならしを行うことによって、ミクロ組織の90%以上がベイナイト組織である部品が得られる。このベイナイト組織の部品は、従来の焼入れで得られるマルテンサイト組織の部品と比べて強度は劣るが、延性に優れるという利点を有する。またベイナイト組織の部品は、フェライト・パーライト組織の部品と比べると強度に優れる。即ち本発明のベイナイト組織の部品は、優れた延性と強度とを併せもつという特徴を有する。本発明の好ましい製造方法において、焼ならし時の冷却速度を3〜8℃/秒とすることによって、ミクロ組織の90%以上がベイナイト組織、より好ましくは実質的にベイナイト組織単相である部品を製造することができる。
本発明では、部品の延性をさらに高めるため、焼ならし後に焼戻しも行う。この点、本発明の鋼材は、必須的にVを、任意にNbおよび/またはTiを含有しており、これら金属の微細な炭化物が焼戻し時に析出することによって、焼戻しに起因する強度の低下(引張強さおよび0.2%耐力または上降伏点の低下)を防止している。さらに本発明の製造方法は、このVの炭化物、任意にNbおよび/またはTiの炭化物の効果をより高めるために、焼ならしを900〜1090℃で行って、これらの炭化物を部品(の鋼材)中に充分に溶かし込み、さらに焼戻しを500〜700℃で行って、微細炭化物を多量に析出させることを特徴とする。また焼戻し温度が高いことから、焼戻しによる延性の向上効果が高められる。
このように本発明の冷間鍛造部品は、そのミクロ組織の90%以上がベイナイト組織、好ましくは実質的にベイナイト組織単相であり、さらにVの炭化物、任意にNbおよび/またはTiの炭化物が微細析出している組織構造を有するので、優れた強度と延性とを兼備している。
発明を実施するための形態
本発明の実施形態の説明として、まず本発明の鋼材および冷間鍛造部品の組成を説明する。
[C:0.11〜0.30%]
Cは、鋼材および冷間鍛造部品の必要強度を得る上で必須の元素である。Cが0.11%未満であると必要な強度が得られない。一方Cが0.30%を超えると充分な延性が得られず、また鋼材の変形能が低下し、冷間鍛造時に割れが生ずる原因となり得る。
[Si:0.6%以下(0%を含まない)]
Siは脱酸剤として用いられる。しかしSiを必要以上に添加することは、鋼材の変形能を低下させる要因となり、また冷間鍛造の変形抵抗も増大する。特に鋼材が0.6%を超えるSiを含有すると、変形能の低下が顕著に現れる。従って変形能および変形抵抗の観点から、鋼材中のSi量はできる限り低い方が望ましい。なお工業生産的には、鋼材のSi量を0%にすることは困難で、かつ本発明ではSi量を0.01%未満にまで低減する必要ない。
[Mn:0.1〜1.80%]
Mnは、脱酸および脱硫のために必要な元素であり、さらに冷間鍛造後の熱処理により強度を向上させるうえで有効な元素である。Mn量が0.1%未満では上記効果が充分に得られず、一方1.80%を超えると、鋼材の変形能および部品の延性に悪影響を及ぼし得る。
[P:0.03%以下(0%を含まない)]
Pは、強度を向上させるための元素としては有効である。しかしPの量が多すぎると、Pが凝固時にミクロ偏析すること、および熱間加工時に粒界に偏析することにより、バンド組織が生成し易くなる。その結果、冷間加工時に割れ可能性が高くなる。そこでP量の上限を、0.03%と定めた。なお工業生産的には、鋼材のP量を0%にすることは困難で、かつ本発明ではP量を0.001%未満にまで低減する必要ない。
[S:0.03%以下(0%を含まない)]
Sは、MnSの硫化物系介在物を形成し、これが熱間加工時に粒界に偏析することにより、鋼材を脆化させ得る。このような鋼材は、冷間加工時に割れる可能性が高くなる。よって割れを低減させるために鋼材中のS量の上限を0.03%と定めた。しかしSが0.001%未満の鋼材は工業的に安定生産が困難で、かつ本発明ではS量を0.001%未満にまで低減する必要ない。
[Ni:0.3%以下(0%を含まない)]
[Cr:1.0%以下(0%を含まない)]
NiおよびCrは、鋼材および冷間鍛造部品の強度を向上させる作用を有する。この作用を充分に発揮させるために、NiおよびCrを、それぞれ0.05%以上の量で含有させることが好ましい。しかしこれらが過剰になると、冷間鍛造部品の延性がなくなるため、Ni量の上限を0.3%と、Cr量の上限を1.0%と定めた。なおNiやCrは、不純物として含まれ得るので、その量が工業的に0%になることは無い。
[Mo:0.3%以下(0%を含む)]
Moも、NiやCrと同様に、鋼材および冷間鍛造部品の強度を向上させる作用を有し、必要に応じて含有させることができる。好ましいMo量の下限は0.05%である。しかしMo量が過剰になると、冷間鍛造部品の延性がなくなるため、その上限を0.3%と定めた。
[Al:0.01〜0.06%]
Alは、脱酸のため、および焼ならし加熱の際にオーステナイト結晶粒の粗大化を防止するために、鋼材に添加する。このようなAlの効果は、その量が0.01%未満では充分に発揮されない。一方Al量が0.06%を超えると、上記効果が飽和することに加えて、結晶粒が不安定になる。
[N:0.007%以下(0%を含まない)]
Nは、冷間鍛造時に、ひずみ時効を引き起こして、変形抵抗の上昇、変形能の低下の要因となる。そのためN量の上限を0.007%と定めた。
[V:0.05〜0.3%]
Vは、本発明の鋼材および冷間鍛造部品中の必須元素である。これを焼ならし時に溶かし込むことによって、焼入性を増加させて、ベイナイト組織の生成を促進できる。またVの微細な炭化物が焼戻し時に析出することにより、焼戻しに起因する部品強度の大幅な低下を防ぐことができる。この効果は、V量が0.05%未満では充分に発揮されない。一方、V量が0.3%を越えても、この効果は飽和する。
[Nb:0.1%以下(0%を含む)]
[Ti:0.1%以下(0%を含む)]
NbおよびTiも、Vと同様に、焼戻し時にその炭化物が微細析出することによって、冷間鍛造部品の強度の低下を防ぐ効果を有する。よって本発明の鋼材および冷間鍛造部品は、必須元素であるVに加えて、Nbおよび/またはTiを任意に含有することができる。これらの効果を充分に発揮させるために、NbおよびTiを、それぞれ0.02%以上の量で含有させることが好ましい。逆に0.1%を超えても効果が飽和するので、Nbおよび/またはTiを含有させる場合、それらの量の上限を、それぞれ0.1%と定めた。
[Pb、Bi、Mg、Caのいずれか1種以上を合計で0.1%以下]
Pb、Bi、MgおよびCaは、鋼材に被削性を付与する効果を有する。よって鋼材に被削性が求められる場合、任意に、Pb、Bi、Mg、Caのいずれか1種以上を合計で0.1%以下(0%を含まない)含有していてもよい。しかしこれらの合計が0.1%を超えると、強度や延性に悪影響を及ぼし得る。
本発明の鋼材および冷間鍛造部品は、その中に含まれる合金元素が下記式:
0.55≦A≦0.8 … (1)
A=[C]+0.195[Si]+0.22[Mn]+0.11[Ni]
+0.196[Cr]+0.21[Mo]+0.1[V]+1.19[Nb]
+0.2[Ti] … (2)
〔式中、[C]、[Si]、[Mn]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[V]、[Nb]および[Ti]は、それぞれの合金元素の含有量(質量%)を示す。〕
を満たすことも特徴とする。
A値が0.8を超えると、部品の強度は良好であるが、延性が劣化する。また鋼材の変形能が低下し、冷間鍛造時の割れの原因となり得る。逆にA値が0.55未満であれば、部品の延性は良好であるが、強度が不足する。さらに部品のミクロ組織として、ベイナイトが生成しにくくなる。そこで鋼材(および冷間鍛造部品)中の合金組成の関係で、上記のようなA値の範囲を定めた。
次に上記の鋼材を用いた、本発明の冷間鍛造部品の製造方法について説明する。
まず本発明の製造方法では、鋼材の冷間鍛造を行う。この点、本発明の鋼材は、上記の組成を有し、変形能に優れるため、冷間鍛造において割れにくいという利点を有する。
このようにして得られた冷間鍛造部品に強度と延性とを付与するため、部品の焼ならしを行う。本発明は、焼ならし時の加熱温度が900〜1090℃であることを特徴とする。このような焼ならし温度により、V、並びにNbおよび/またはTiを充分に溶かし込むことができる。焼ならし温度が900℃未満であると、V等の溶け込み量が少ないため、焼戻し時の強度低下が大きくなる。一方焼ならし温度が1090℃を超えると、Vが溶け込み過ぎることにより、急激な結晶粗大化が生じ、延性が不足する。焼ならし加熱温度の好ましい下限は925℃であり、より好ましくは950℃以上である。その好ましい上限は1065℃であり、より好ましくは1040℃以下である。この焼ならしの加熱時間は、部品の大きさや形状に依存するが、通常5〜60分、好ましくは15〜50分、より好ましくは20〜40分である。
焼ならしの加熱後に、加熱部品を、通常200℃まで、好ましくは100℃まで、より好ましくは室温まで冷却して、焼ならし工程を完結させる。この際の焼ならし冷却速度は、本発明において、3〜8℃/秒であることが推奨される。このような適切な冷却速度により、ミクロ組織の90%以上がベイナイト組織、好ましくは実質的にベイナイト組織単相である強度および延性に優れた冷間鍛造部品を製造できるからである。より好ましい焼ならし後の冷却速度の下限は3.5℃/秒であり、さらに好ましくは4℃/秒以上である。より好ましい上限は7.5℃/秒であり、さらに好ましくは6℃/秒以下である。
本発明の製造方法では、部品の延性をさらに向上させるため、焼ならし後に、焼戻しを行う。本発明における焼戻しの加熱温度は、500〜700℃である。焼戻し温度が500℃未満であると充分な延性が得られない。一方焼戻し温度が700℃を超えると、軟化が進み、引張強さが急激に下降し始める。焼戻し加熱温度の好ましい下限は550℃であり、より好ましくは600℃以上である。その好ましい上限は690℃であり、より好ましくは680℃以下である。
焼戻しの加熱時間は、部品の大きさや形状に依存するが、通常10〜180分、好ましくは20〜120分、より好ましくは30〜100分である。焼戻しの加熱後に、加熱部品を、通常50℃まで、好ましくは30℃まで、より好ましくは20℃まで冷却して、焼戻し工程を完結させる。好ましい焼戻し冷却速度の下限は、5℃/秒であり、より好ましくは10℃/秒以上である。その好ましい上限は100℃/秒であり、より好ましくは75℃/秒以下である。
本発明の冷間鍛造部品は、ミクロ組織の90%以上がベイナイト組織、好ましくは実質的にベイナイト単相であり、かつV等の炭化物が微細析出しているという特徴的な組織構造を有し、優れた強度と延性とを併せ持つ。このような優れた冷間鍛造部品は、様々な用途で有用である。本発明の冷間鍛造部品の用途として、例えば自動車用部品、機械部品、電装部品等、より詳細にはボルト、ねじ、ナット、ソケット、ボールジョイント、トーションバー、クラッチケース、ケージ、ハウジング、ハブ、カバー、ケース、受座金、タペット、サドル、バルブ、インナーケース、クラッチ、スリーブ、アウターレース、スプロケット、コアー、ステ-タ、アンビル、スパイダー、ロッカーアーム、ボディー、噴射管、フランジ、ドラム、継手、コネクター、プーリー、金具、ヨーク、口金、バルブリフタ-、スパークプラグ、ブラケットナット、ブラケットボルト、ユニバーサルジョイント等を挙げることができる。
[冷間鍛造(圧縮)による割れの判定]
表1に示す組成の鋼材を、圧延、球状化焼なまし、伸線して、鋼線(径D:24.4mm)を作製し、この鋼線を切断して、円柱形状の試験片(径D:24.4mm、高さH:36.6mm)を作製した。この試験片を、同心円溝付の拘束型耐圧盤により、高さ方向に冷間圧縮して(圧縮率80%)、割れの有無を目視で判定した。その結果を表2に示す。
Figure 0004801485
Figure 0004801485
表1および2から、本発明の組成要件を満たす鋼材A〜Dは、圧縮率80%でも割れず、良好な変形能を有することが示される。一方、本発明の組成要件を満たさない比較鋼G〜Iは割れが生じている。割れの理由として、比較鋼Gの場合はSi、Mn量が多く、A値が大きいこと、比較鋼Hの場合はC量が多く、A値が大きいこと、比較鋼Iの場合はC量が大きいことが挙げられる。
[熱処理による割れの判定]
表1に示す組成の鋼材を、圧延、球状化焼なまし、伸線して、鋼線(径D:24.4mm)を作製し、この鋼線を、円柱形状(径D:24.4mm、高さH:36.6mm)に切断した。次いでこの円柱の片方の底面に六角形(対辺17mm)の後方押出し(減面率56.5%)を行い、もう片方の底面に正方形(対辺12.7mm)の後方押出し(減面率34.5%)を行って冷間鍛造部品を作製した。この部品を、表3に示す条件で熱処理して、割れの有無を目視で判定した。その結果を表3に示す。
Figure 0004801485
表1および3から、本発明の組成要件を満たす鋼材A〜Dを焼ならしする熱処理では部品の割れが無く、一方、比較鋼HおよびIを焼入れする熱処理(熱処理H1および2、I1および2)では部品の割れが生じており、本発明の焼ならしによる製造方法は、生産性に優れることが示される。
[引張特性の測定]
表1に示す組成の鋼材の中で、上記[熱処理による割れの判定]試験において割れなかったものを、圧延、球状化焼なまし、伸線して、鋼線(径D:24.4mm)を作製し、この鋼線を切削して、JIS Z2201の14A号の形状の試験片(径D:8.0mm、標点距離L:40mm、平行部の長さP:44mm、肩部の半径R:16mm)を作製した。この試験片を、[熱処理による割れの判定]試験と同じ条件で熱処理した後、引張試験を行い、0.2%耐力または上降伏点、引張り強さ、伸びおよび絞りを測定した。その結果を表4に示す。
Figure 0004801485
表1および4から、本発明の組成要件を満たす鋼材A〜を用いて、本発明の焼ならし・焼戻し条件で熱処理することにより得られた試験片は、その上降伏点または0.2%耐力が600N/mm2以上であり、引張強さが650N/mm2以上であり、伸びが20%以上であり、絞りが60%以上であり、優れた強度と延性とを有することが示される。
一方、本発明の組成要件を満たす鋼材Cから、焼ならし、および低温(450℃)焼戻しによる熱処理(熱処理C1およびC5)で得られたものは、伸びおよび絞りの値が低く、延性が劣っている。
本発明の組成要件を満たさない比較鋼Eを、本発明の焼ならし・焼戻し条件で熱処理(熱処理E1)することにより得られたものは、0.2%耐力または上降伏点および引張強さの両方が劣っている。これは、比較鋼EがVを含有しないため、本発明の熱処理条件でもベイナイトができず、フェライト・パーライト組織が形成されたためであると考えられる。
比較鋼Fを、本発明の焼ならし・焼戻し条件で熱処理(熱処理F1)することにより得られたものは、0.2%耐力または上降伏点が劣っている。これは、比較鋼FがVを含有しておらず、焼戻しによる軟化の影響を大きく受けたためである。
比較鋼Gを、本発明の焼ならし・焼戻し条件で熱処理(熱処理G1)することにより得られたものは、伸びおよび絞りが劣っている。これは、比較鋼G中のSi、Mn量が多く、A値が大きいためである。
比較鋼Hから、焼ならし、および低温(450℃)焼戻しによる熱処理(熱処理H3)で得られたものは、伸びおよび絞りの値が低く、延性が劣っている。
比較鋼Iから、焼ならし、および低温(450℃)焼戻しによる熱処理(熱処理H3)で得られたものは、絞りの値が低く、延性が劣っている。

Claims (5)

  1. C:0.11〜0.30%(質量%の意味、以下同じ)、
    Si:0.6%以下(0%を含まない)、
    Mn:0.1〜1.80%、
    P:0.03%以下(0%を含まない)、
    S:0.03%以下(0%を含まない)、
    Ni:0.3%以下(0%を含まない)、
    Cr:1.0%以下(0%を含まない)、
    Mo:0.3%以下(0%を含む)、
    Al:0.01〜0.06%、
    N:0.007%以下(0%を含まない)、
    V:0.05〜0.3%、
    Nb:0.1%以下(0%を含む)、および
    Ti:0.1%以下(0%を含む)
    を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、
    前記合金元素が下記式:
    0.55≦A≦0.8 … (1)
    A=[C]+0.195[Si]+0.22[Mn]+0.11[Ni]
    +0.196[Cr]+0.21[Mo]+0.1[V]+1.19[Nb]
    +0.2[Ti] … (2)
    〔式中、[C]、[Si]、[Mn]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[V]、[Nb]および[Ti]は、それぞれの合金元素の含有量(質量%)を示す。〕
    を満たす鋼材を、冷間鍛造した後に、900〜1090℃で焼ならし、次いで500〜700℃で焼戻しすることを特徴とする冷間鍛造部品の製造方法。
  2. 前記焼ならし時の冷却速度が3〜8℃/秒である、請求項1に記載の冷間鍛造部品の製造方法。
  3. C:0.11〜0.30%(質量%の意味、以下同じ)、
    Si:0.6%以下(0%を含まない)、
    Mn:0.1〜1.80%、
    P:0.03%以下(0%を含まない)、
    S:0.03%以下(0%を含まない)、
    Ni:0.3%以下(0%を含まない)、
    Cr:1.0%以下(0%を含まない)、
    Mo:0.3%以下(0%を含む)、
    Al:0.01〜0.06%、
    N:0.007%以下(0%を含まない)、
    V:0.05〜0.3%、
    Nb:0.1%以下(0%を含む)、および
    Ti:0.1%以下(0%を含む)
    を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、
    前記合金元素が下記式:
    0.55≦A≦0.8 … (1)
    A=[C]+0.195[Si]+0.22[Mn]+0.11[Ni]
    +0.196[Cr]+0.21[Mo]+0.1[V]+1.19[Nb]
    +0.2[Ti] … (2)
    〔式中、[C]、[Si]、[Mn]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[V]、[Nb]および[Ti]は、それぞれの合金元素の含有量(質量%)を示す。〕
    を満たすことを特徴とする、請求項1または2の製造方法に用いられる鋼材。
  4. C:0.11〜0.30%(質量%の意味、以下同じ)、
    Si:0.6%以下(0%を含まない)、
    Mn:0.1〜1.80%、
    P:0.03%以下(0%を含まない)、
    S:0.03%以下(0%を含まない)、
    Ni:0.3%以下(0%を含まない)、
    Cr:1.0%以下(0%を含まない)、
    Mo:0.3%以下(0%を含む)、
    Al:0.01〜0.06%、
    N:0.007%以下(0%を含まない)、
    V:0.05〜0.3%、
    Nb:0.1%以下(0%を含む)、および
    Ti:0.1%以下(0%を含む)
    を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、
    前記合金元素が下記式:
    0.55≦A≦0.8 … (1)
    A=[C]+0.195[Si]+0.22[Mn]+0.11[Ni]
    +0.196[Cr]+0.21[Mo]+0.1[V]+1.19[Nb]
    +0.2[Ti] … (2)
    〔式中、[C]、[Si]、[Mn]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[V]、[Nb]および[Ti]は、それぞれの合金元素の含有量(質量%)を示す。〕
    を満たし、
    ミクロ組織の90%以上が、ベイナイト組織であり、
    V、並びに任意にNbおよび/またはTiの炭化物が微細析出していることを特徴とする冷間鍛造部品。
  5. 前記冷間鍛造部品のミクロ組織が、ベイナイト組織単相である請求項に記載の冷間鍛造部品。
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