JP3806602B2 - 冷間・温間鍛造性および耐遅れ破壊性に優れたボルト用の線材または鋼線 - Google Patents

冷間・温間鍛造性および耐遅れ破壊性に優れたボルト用の線材または鋼線 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用や各種産業機械用として使用されるボルト用鋼に適した線材や鋼線、その製造方法に関するものであり、特に冷間鍛造性および温間鍛造性(以下、「冷間・温間鍛造性」と略称する)に優れた線材または鋼線、必要によってこの冷間・温間鍛造性と共に、1200N/mm2以上の高強度でありながら優れた耐遅れ破壊性をも発揮する線材または鋼線、およびこの様な鋼線を製造するための有用な方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記各種用途には様々なボルトが使用されているが、強度(引張強さ)が約800N/mm2を超える様なボルトには、中炭素鋼(S45C等)や中炭素低合金鋼(SCM435、SCM440、SCr440等)が使用されている。こうした鋼材からボルトを製造するに当たっては、鋼材を所定のボルト形状に成形した後、焼入れ・焼戻し処理により必要な強度を確保する様にするのが一般的である。しかしながらこれらの鋼材は、C含有量および合金元素の効果によって焼入れ性が良好であるので、圧延材の強度が高くなり、そのままではボルトに加工することは困難である。
【0003】
こうしたことから、まず圧延材を焼きなまし処理し、その後中間伸線、球状化焼きなまし処理および仕上げ伸線を行ない、引き続いて冷間・温間鍛造によってボルト形状に成形し、最終的に所定の強度になる様に焼き入れ・焼戻し処理を施す方法も採用されている。しかしながら、こうした製造方法では、上記の様に長い工程が必要になって、材料費に加えて線材加工に要する費用が加算され、かなり高価になってしまうという欠点がある。
【0004】
一方、近年では、工程を省略してコストを低減するという観点から、ボルト成形前の熱処理を省略して製造する非調質線材への要望が高まっている。こうした方法を採用する場合には、この非調質線材が冷間・温度鍛造性に優れている必要があるが、ボルト成形前に所定の強度を確保する必要があることから、従来の線材や鋼線では優れた冷間・温間鍛造性が発揮されていないのが実状である。その結果、ボルト成形時に使用される工具寿命が著しく低下し、工具費が莫大となってコストダウンにはならないという問題がある。こうした背景の下で、ボルト成形前の熱処理を省略しても優れた冷間・温間鍛造性を発揮する線材や鋼線の実現が望まれているのが実状である。
【0005】
ところで、上記の様な線材や鋼線においては、その使用用途によってはより一層高い強度が要求されるが、特に引張強度が約1200N/mm2を超える領域になると遅れ破壊が発生する危険があり、使用に制約を受けている。こうしたことから、こうした強度領域においては耐遅れ破壊性が優れていることも要求される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、冷間・温間鍛造性に優れた線材または鋼線、必要によってこの鍛造性と共に、1200N/mm2以上の高強度でありながら優れた耐遅れ破壊性をも発揮する線材または鋼線、およびこの様な鋼線を製造するための有用な方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成し得た本発明の鋼線材とは、耐力比が0.85以下である点に要旨を有するものである。また、この線材または鋼線における、基本的な化学成分組成としては、C:0.5〜1.0%、Mn:0.2〜1.0%およびSi:1.0%以下を夫々含有するものが挙げられる。尚、本発明において「線材」とは、棒状または線状に熱間圧延された鋼材およびその後熱処理された鋼材を意味し、「鋼線」とは線材を主として伸線等の冷間加工を施したものを意味する。
【0008】
本発明の線材または鋼線は、C:0.5〜1.0%、Mn:0.2〜1.0%およびSi:1.0%以下(0%を含まない)を夫々含有する鋼材からなると共に、耐力比が0.85以下であり、且つ1200N/mm2の強度と耐遅れ破壊性を有する様にしたものである点にも要旨を有するものであり、こうした構成を採用することによって冷間・温間鍛造性と共に耐遅れ破壊性にも優れたものとなる。この線材または鋼線においては、耐遅れ破壊性を更に良好にするという観点からして、P:0.03%以下(0%を含む)およびS:0.03%以下(0%を含まない)に夫々抑制することも有効である。
【0009】
また、いずれの線材または鋼線においても、必要によって(a)Cr:1.0%以下(0%を含まない)や、(b)Al:0.1%以下(0%を含まない)を含有させることも有効であり、含有させる成分の種類に応じてその特性が更に改善される。
【0010】
一方、上記の様な各鋼線を製造するに当たっては、冷却伸線することによって耐力向上を抑制し、耐力比を0.85以下にする様にすれば良い。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、冷間・温間鍛造性に優れた線材または鋼線を実現するべく、様々な角度から検討を加えた。その結果、引張強さTSと耐力YSの比で表される耐力比(YS/TS)を0.85以下にした線材や鋼線では優れた冷間・温間鍛造性が発揮されることを見出し、本発明を完成した。また、化学成分を適切に調整すると共に、耐力比を0.85以下とし、且つ1200N/mm2以上の強度を付与した線材や鋼線では、冷間・温間鍛造性と共に耐遅れ破壊性をも優れたものとなることをも見出した。
【0012】
本発明の線材または鋼線では、前記耐力比を0.85以下にすることによって優れた冷間・温間鍛造性が発揮されるものであり、その化学成分組成については特に限定するものではないが、C,MnおよびSi等の基本成分における好ましい範囲およびその理由は、以下の通りである。
【0013】
C:0.5〜1.0%
Cは鋼の強度確保の為に必要且つ経済的な元素であり、C含有量を増加させるにつれて強度が増加する。目標強度を確保するためには、Cは0.5%以上含有させるのが良い。しかしながら、C含有量が1.0%を超えると、初析セメンタイトの析出量が増加し、靭延性の低下が顕著に現れ、伸線加工性を劣化させる。C含有量の好ましい下限は、0.65%であり、より好ましくは0.7%である。またC含有量の好ましい上限は、0.9%であり、より好ましくは0.85%である。
【0014】
Mn:0.2〜1.0%
Mnは脱酸剤としての効果と、鋼材の焼入性を向上させて鋼材の断面積組織の均一性を高める効果を有する。これらの効果は0.2%以上含有させることによって有効に発揮される。しかし、Mn量が過剰になると、Mnの偏析部にマルテンサイトやベイナイトなどの過冷組織が生成して伸線加工性を劣化させるので、Mn量の上限は1.0%とするのが良い。尚、Mn含有量の好ましい下限は、0.4%であり、より好ましくは0.45%とするのが良い。またMn含有量に好ましい上限は、0.8%であり、より好ましくは0.7%とするのが良い。
【0015】
Si:1.0%以下(0%を含まない)
Siは鋼材の焼入れ性を向上させて初析セメンタイトの析出を抑える効果を発揮する。また脱酸剤としての作用が期待され、しかもフェライトに固溶して顕著な固溶強化作用も発揮する。これらの効果は、その含有量が増加するにつれて増大するが、Si含有量が過剰になると伸線後の鋼線の延性を低下させると共に、鍛造性が著しく低下させるので1.0%を上限とする。尚、Si含有量の好ましい上限は0.5%であり、より好ましくは0.2%であり、更に好ましくは0.1%以下にするのが良い。
【0016】
本発明の線材または鋼線においては、C,MnおよびSi等の鋼材の基本成分を上記の様に適切に調整すると共に、耐力比を0.85以下とし、且つ1200N/mm2以上の強度を付与したもの、冷間・温間鍛造性と共に耐遅れ破壊性をも優れたものとなるが、こうした線材または鋼線においてはP:0.03%以下およびS:0.03%以下に夫々抑制したものであることが耐遅れ破壊性を更に向上させる上で好ましい。これらの成分の範囲限定理由は下記の通りである。
【0017】
P:0.03%以下(0%を含む)
Pは粒界偏析を起こして、耐遅れ破壊性を劣化させる元素である。そこでP含有量を0.03%以下とすることにより、耐遅れ破壊性の向上が図れる。尚、P含有量は、0.015%以下に低減するのが好ましく、より好ましくは0.01%以下、更に好ましくは0.005%以下とするのが良い。
【0018】
S:0.03%(0%を含む)
Sは鋼中でMnSを形成し、応力が負荷されたときにこのMnSが応力集中箇所となる。従って、耐遅れ破壊性の改善にはS含有量をできるだけ減少させることが必要となり、こうした観点から0.03%以下とするのが良い。尚S含有量は、0.015%以下に低減するのが好ましく、より好ましく0.01%以下、更に好ましくは0.005%以下とするのが良い。
【0019】
本発明の線材または鋼線には、必要によって、Cr:1.0%以下やAl:0.1%以下を含有させることが好ましいが、これらの成分の範囲限定理由は下記の通りである。
【0020】
Cr:1.0%以下(0%を含まない)
Crは、Siと同様に初析セメンタイトの析出を抑制する効果があり、こうした効果はその含有量が増加するほど増大するが、1.0%を超えて含有させてもその効果は飽和して不経済となるので、その上限を1.0%とした。尚、Cr含有量の好ましい範囲は、0.1〜0.5%、更に好ましい範囲は0.15〜0.3%である。
【0021】
Al:0.1%以下(0%を含まない)
Alは鋼中Nを捕捉してAlNを形成し、結晶粒を微細化することによって耐遅れ破壊性の向上に寄与する。しかしながら、Al含有量が過剰になって0.1%を超えると、窒化物および酸化物系介在物が生成し、伸線性を低下させるので0.1%以下とするのが良い。尚、Al含有量の好ましい範囲は0.01〜0.07%、更に好ましい範囲は0.025〜0.05%である。
【0022】
本発明の線材または鋼線は、通常添加される各種元素(Cu,Ni,Co,Mo,Ti,Nb,V,W,B,N等)を含有しても良いことは勿論であるが、これら必要によって含有される各元素の限定理由は下記の通りである。
【0023】
Cu:0.5%(0%を含まない)
Cuは析出硬化作用によって鋼材の高強度化に寄与する元素である。しかし過剰に添加すると粒界脆化を起こして、耐遅れ破壊性を劣化させる原因となるので0.5%を上限とする。尚、Cu含有量の好ましい下限は、0.05%であり、より好ましくは0.1%とするのが良い。またCu含有量の好ましい上限は、0.3%であり、より好ましくは0.2%とするのが良い。
【0024】
Ni:1.0%以下(0%を含まない)
Niは鋼材の強度上昇にはあまり寄与しないが、伸線材の靭性を高める効果を有する。しかし、Ni含有量が過剰になると、変態終了時間が長くなり過ぎて、設備の大型化、生産性の低下を来たすため、1.0%を上限とする。尚、Ni含有量の好ましい下限は、0.05%であり、より好ましくは0.1%とするのが良い。またNi含有量の好ましい上限は、0.5%であり、より好ましくは0.3%とするのが良い。
【0025】
Co:0.5%以下(0%を含まない)
Coは、SiやCrと同様に初析セメンタイトの析出を抑制する効果があり、初析セメンタイトの低減を図る本発明の高強度線材または鋼線における添加成分としては特に有効である。こうした効果は、その含有量が増加するほど増大するが、0.5%を超えて含有させてもその効果は飽和して不経済となるので、その上限を0.5%とした。尚、Co含有量の好ましい範囲は、0.03〜0.5%、更に好ましい範囲は0.1〜0.2%である。
【0026】
Mo,Ti,Nb,VおよびWよりなる群から選ばれる1種以上:合計で0.01〜0.5%
これらの元素は、いずれも微細な炭・窒化物を形成して耐遅れ破壊性の向上に寄与する。またこれらの窒化物および炭化物は、結晶粒の微細化に有効である。こうした効果を発揮させる為には、合計で0.01%以上含有させる必要があるが、過剰に含有させると耐遅れ破壊性および靭性を阻害するので、合計で0.5%以下にする必要がある。尚、これらの元素含有量の好ましい下限は、合計で0.02%であり、より好ましくは0.03%とするのが良い。また好ましい上限は、合計で0.3%であり、より好ましくは0.1%とするのが良い。
【0027】
B:0.0005〜0.003%
Bは鋼の焼入れ性向上の為に添加されるが、その作用を発揮させる為には、0.0005%以上含有させる必要がある。しかしながら、0.003%を超えて過剰に含有すると却って靭性を阻害する。尚、B含有量の好ましい下限は0.001%であり、好ましい上限は0.0025%である。
【0028】
N:0.015%(0%を含まない)
NはAlNやTiNの窒化物形成によって結晶粒の微細化ひいては耐遅れ破壊性の向上に好影響を与える。しかし、過剰に含有すると窒化物が増加し過ぎて伸線性に悪影響を及ぼすだけでなく、固溶Nが伸線中の時効を促進することがあるので、0.015%以下にする必要がある。尚、N含有量の好ましい上限は、0.007%であり、より好ましくは0.005%にするのが良い。
【0029】
本発明の線材または鋼線の化学成分組成は上記の通りであり、残部は実質的に鉄からなるものである。ここで「実質的に鉄」とは、本発明の高強度線材または鋼線にはFe以外にもその特性を阻害しない程度の微量成分(許容成分)をも含み得るものであり、こうした許容成分としては例えばCa,Zr,Pb,Bi,Te,As,Sn,Sb等の元素が挙げられる。またその特性を更に良好にするという観点からして、不純物であるOについては下記の様に抑制することが好ましい。
【0030】
O:0.005%以下(0%を含む)
Oは常温では鋼にほとんど固溶せず、硬質の酸化物系介在物として存在し、伸線時にカッピー断線を引き起こす原因となる。従って、O含有量は極力少なくすべきであり、少なくとも0.005%以下に抑える必要がある。尚、O含有量は、0.003%以下に低減することが好ましく、より好ましくは0.002%以下に低減するのが良い。
【0031】
本発明の線材または鋼線では、前記耐力比を0.85以下にすることによって優れた冷間・温間鍛造性が発揮されるものであり、その為の手段については特に限定するものではないが、例えば鋼線の場合には冷却伸線することによって耐力向上を抑制して耐力比を0.85以下にすることが挙げられる。この冷却伸線は、後記図1に示す様な装置によって鋼線材を冷却しつつ伸線するものであり、こうした冷却伸線によって耐力向上が抑制されることは既に知られている(例えば、特開昭49−103868号、同60−73828号等)。しかしながら、耐力比を所定の値以下にすることによって冷間・温間鍛造性が向上することは知られていない。尚、本発明の線材や鋼線において、1200N/mm2以上の強度を付与する為には、パテンティング後に強伸線を行なうことが有効であるが、パテンティング後の状態で1200N/mm2の強度が達成されておれば、必ずしも強伸線を行なう必要はない。
【0032】
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変形することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0033】
【実施例】
実施例1
下記表1に示す化学成分組成を有する供試鋼を用い、線径:7.06〜11.0mmφまで熱間圧延した後、パテンティング処理(加熱温度:750〜940℃、恒温変態:495〜665℃×4分)を行なった。その後、線径:7.06mmφまで伸線して鋼線とした。
【0034】
図1は、伸線に用いた装置(冷却伸線装置)の構成を示す概略説明図であり、図中1は冷却筒、2はダイスケース、3はケースフタ、4は伸線前の線材、4aは伸線後の鋼線、5はエアーシール、6はダイスボックス、7はスペーサ、9はダイスを夫々示す。この冷却伸線装置は、ダイスボックス6に冷却伸線装置を取り付け、冷却筒1内に給水を行なって線材を冷却しつつ伸線して鋼線とする様に構成したものである。そして、この装置を用いて伸線を行なうとき、給水する場合を冷却伸線「有り」、給水しない場合を冷却伸線「無し」とした。
【0035】
【表1】
Figure 0003806602
【0036】
得られた各種鋼線を用い、下記の条件でボルト冷圧試験および遅れ破壊試験を行った。また、一部のものについてはパテンティングままの線材を用いて同様の試験を行なった。
【0037】
(ボルト冷圧試験)
図2(a)〜(d)に示す加工工程でM8用フランジボルトを作製した。このボルト成形時の第3パンチピンの平均寿命で評価し、工具寿命が30000個以上圧造できたものを合格とした。このとき、第3パンチピンの材質は、SKH9とし、硬さはHRC61〜62のものを使用した。
【0038】
(遅れ破壊試験)
上記で作製したボルトの中から引張強さが1200N/mm2以上で且つボルト冷圧試験で30000個圧造できたものについて遅れ破壊試験を行なった。遅れ破壊試験は、ボルトを酸中に浸漬後(35%HCl×30分)、水洗・乾燥して大気中で応力負荷(負荷応力は引張強さの70%)し、100時間後の破断の有無で評価した。
【0039】
これらの結果を、線材および鋼線の条件および機械的特性と共に下記表2に夫々示す。この結果から明らかな様に、本発明鋼の要件を満足する線材または鋼線を使用してボルトを製造した場合には、優れた冷間・温間鍛造性の下でボルトが得られると共に、得られたボルトのうち引張強さ1200N/mm2以上であっても優れた遅れ破壊特性を発揮していることが分かる。
【0040】
【表2】
Figure 0003806602
【0041】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されており、優れた冷間・温間鍛造性を発揮する線材または鋼線が実現でき、また引張強度が1200N/mm2以上としたものでは、冷間・温間鍛造性と共に耐遅れ破壊性にも優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において伸線に用いた装置の構成を示す概略説明図である。
【図2】M8用フランジボルトを作製する加工工程を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 冷却筒
2 ダイスケース
3 ケースフタ
4 伸線前の線材
4a 伸線後の鋼線
5 エアーシール
6 ダイスボックス
7 スペーサ
9 ダイス

Claims (8)

  1. C:0.5〜0.9(質量%の意味、以下同じ)、Mn:0.2〜1.0%Si:0.5%以下(0%を含まない)、Al:0.1%以下(0%を含まない)、P:0.03%以下(0%を含まない)、S:0.03%以下(0%を含まない)、N:0.015%(0%を含まない)、およびO:0.005%以下(0%を含まない)を含有し、残部:鉄および不純物である鋼材からなると共に、耐力比が0.83以下であり、且つ1200N/mm2の強度と耐遅れ破壊性を有することを特徴とする冷間・温間鍛造性および耐遅れ破壊性に優れたボルト用の線材または鋼線。
  2. C:0.5〜1.0%、Mn:0.2〜1.0%Si:0.24%以下(0%を含まない)、Al:0.1%以下(0%を含まない)、P:0.03%以下(0%を含まない)、S:0.03%以下(0%を含まない)、N:0.015%(0%を含まない)、およびO:0.005%以下(0%を含まない)を含有し、残部:鉄および不純物である鋼材からなると共に、耐力比が0.83以下であり、且つ1200N/mm2の強度と耐遅れ破壊性を有することを特徴とする冷間・温間鍛造性および耐遅れ破壊性に優れたボルト用の線材または鋼線。
  3. 更にCr:1.0%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1または2に記載の線材または鋼線。
  4. 更にCu:0.5%(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の線材または鋼線。
  5. 更にNi:1.0%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の線材または鋼線。
  6. 更にCo:0.5%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜5のいずれかに記載の線材または鋼線。
  7. 更にMo,Ti,Nb,VおよびWよりなる群から選ばれる1種以上を合計で0.01〜0.5%含有するものである請求項1〜6のいずれかに記載の線材または鋼線。
  8. 更にB:0.0005〜0.003%を含有するものである請求項1〜7のいずれかに記載の線材または鋼線。
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