JP2002241898A - 冷間・温間鍛造性に優れた線材または鋼線、および鋼線の製造方法 - Google Patents

冷間・温間鍛造性に優れた線材または鋼線、および鋼線の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷間・温間鍛造性に優れた線材または鋼線、
必要によってこの鍛造性と共に、1200N/mm2
上の高強度でありながら優れた耐遅れ破壊性をも発揮す
る線材または鋼線、およびこの様な鋼線を製造するため
の有用な方法を提供する。 【解決手段】 本発明の線材または鋼線は、耐力比を
0.85以下としたものであり、また必要によって、こ
うした要件に加え、C:0.5〜1.0%、Mn:0.
2〜1.0%およびSi:1.0%以下(0%を含まな
い)を夫々含有する鋼材からなると共に、1200N/
mm2の強度と耐遅れ破壊性を有する様にしたものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用や各種産
業機械用として使用されるボルト用鋼に適した線材や鋼
線、その製造方法に関するものであり、特に冷間鍛造性
および温間鍛造性(以下、「冷間・温間鍛造性」と略称
する)に優れた線材または鋼線、必要によってこの冷間
・温間鍛造性と共に、1200N/mm2以上の高強度
でありながら優れた耐遅れ破壊性をも発揮する線材また
は鋼線、およびこの様な鋼線を製造するための有用な方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上記各種用途には様々なボルトが使用さ
れているが、強度(引張強さ)が約800N/mm2
超える様なボルトには、中炭素鋼(S45C等)や中炭
素低合金鋼(SCM435、SCM440、SCr44
0等)が使用されている。こうした鋼材からボルトを製
造するに当たっては、鋼材を所定のボルト形状に成形し
た後、焼入れ・焼戻し処理により必要な強度を確保する
様にするのが一般的である。しかしながらこれらの鋼材
は、C含有量および合金元素の効果によって焼入れ性が
良好であるので、圧延材の強度が高くなり、そのままで
はボルトに加工することは困難である。
【0003】こうしたことから、まず圧延材を焼きなま
し処理し、その後中間伸線、球状化焼きなまし処理およ
び仕上げ伸線を行ない、引き続いて冷間・温間鍛造によ
ってボルト形状に成形し、最終的に所定の強度になる様
に焼き入れ・焼戻し処理を施す方法も採用されている。
しかしながら、こうした製造方法では、上記の様に長い
工程が必要になって、材料費に加えて線材加工に要する
費用が加算され、かなり高価になってしまうという欠点
がある。
【0004】一方、近年では、工程を省略してコストを
低減するという観点から、ボルト成形前の熱処理を省略
して製造する非調質線材への要望が高まっている。こう
した方法を採用する場合には、この非調質線材が冷間・
温度鍛造性に優れている必要があるが、ボルト成形前に
所定の強度を確保する必要があることから、従来の線材
や鋼線では優れた冷間・温間鍛造性が発揮されていない
のが実状である。その結果、ボルト成形時に使用される
工具寿命が著しく低下し、工具費が莫大となってコスト
ダウンにはならないという問題がある。こうした背景の
下で、ボルト成形前の熱処理を省略しても優れた冷間・
温間鍛造性を発揮する線材や鋼線の実現が望まれている
のが実状である。
【0005】ところで、上記の様な線材や鋼線において
は、その使用用途によってはより一層高い強度が要求さ
れるが、特に引張強度が約1200N/mm2を超える
領域になると遅れ破壊が発生する危険があり、使用に制
約を受けている。こうしたことから、こうした強度領域
においては耐遅れ破壊性が優れていることも要求され
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこの様な事情
に着目してなされたものであって、その目的は、冷間・
温間鍛造性に優れた線材または鋼線、必要によってこの
鍛造性と共に、1200N/mm2以上の高強度であり
ながら優れた耐遅れ破壊性をも発揮する線材または鋼
線、およびこの様な鋼線を製造するための有用な方法を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明の鋼線材とは、耐力比が0.85以下である点に要
旨を有するものである。また、この線材または鋼線にお
ける、基本的な化学成分組成としては、C:0.5〜
1.0%、Mn:0.2〜1.0%およびSi:1.0
%以下を夫々含有するものが挙げられる。尚、本発明に
おいて「線材」とは、棒状または線状に熱間圧延された
鋼材およびその後熱処理された鋼材を意味し、「鋼線」
とは線材を主として伸線等の冷間加工を施したものを意
味する。
【0008】本発明の線材または鋼線は、C:0.5〜
1.0%、Mn:0.2〜1.0%およびSi:1.0
%以下(0%を含まない)を夫々含有する鋼材からなる
と共に、耐力比が0.85以下であり、且つ1200N
/mm2の強度と耐遅れ破壊性を有する様にしたもので
ある点にも要旨を有するものであり、こうした構成を採
用することによって冷間・温間鍛造性と共に耐遅れ破壊
性にも優れたものとなる。この線材または鋼線において
は、耐遅れ破壊性を更に良好にするという観点からし
て、P:0.03%以下(0%を含む)およびS:0.
03%以下(0%を含まない)に夫々抑制することも有
効である。
【0009】また、いずれの線材または鋼線において
も、必要によって(a)Cr:1.0%以下(0%を含
まない)や、(b)Al:0.1%以下(0%を含まな
い)を含有させることも有効であり、含有させる成分の
種類に応じてその特性が更に改善される。
【0010】一方、上記の様な各鋼線を製造するに当た
っては、冷却伸線することによって耐力向上を抑制し、
耐力比を0.85以下にする様にすれば良い。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明者らは、冷間・温間鍛造性
に優れた線材または鋼線を実現するべく、様々な角度か
ら検討を加えた。その結果、引張強さTSと耐力YSの
比で表される耐力比(YS/TS)を0.85以下にし
た線材や鋼線では優れた冷間・温間鍛造性が発揮される
ことを見出し、本発明を完成した。また、化学成分を適
切に調整すると共に、耐力比を0.85以下とし、且つ
1200N/mm2以上の強度を付与した線材や鋼線で
は、冷間・温間鍛造性と共に耐遅れ破壊性をも優れたも
のとなることをも見出した。
【0012】本発明の線材または鋼線では、前記耐力比
を0.85以下にすることによって優れた冷間・温間鍛
造性が発揮されるものであり、その化学成分組成につい
ては特に限定するものではないが、C,MnおよびSi
等の基本成分における好ましい範囲およびその理由は、
以下の通りである。
【0013】C:0.5〜1.0% Cは鋼の強度確保の為に必要且つ経済的な元素であり、
C含有量を増加させるにつれて強度が増加する。目標強
度を確保するためには、Cは0.5%以上含有させるの
が良い。しかしながら、C含有量が1.0%を超える
と、初析セメンタイトの析出量が増加し、靭延性の低下
が顕著に現れ、伸線加工性を劣化させる。C含有量の好
ましい下限は、0.65%であり、より好ましくは0.
7%である。またC含有量の好ましい上限は、0.9%
であり、より好ましくは0.85%である。
【0014】Mn:0.2〜1.0% Mnは脱酸剤としての効果と、鋼材の焼入性を向上させ
て鋼材の断面積組織の均一性を高める効果を有する。こ
れらの効果は0.2%以上含有させることによって有効
に発揮される。しかし、Mn量が過剰になると、Mnの
偏析部にマルテンサイトやベイナイトなどの過冷組織が
生成して伸線加工性を劣化させるので、Mn量の上限は
1.0%とするのが良い。尚、Mn含有量の好ましい下
限は、0.4%であり、より好ましくは0.45%とす
るのが良い。またMn含有量に好ましい上限は、0.8
%であり、より好ましくは0.7%とするのが良い。
【0015】Si:1.0%以下(0%を含まない) Siは鋼材の焼入れ性を向上させて初析セメンタイトの
析出を抑える効果を発揮する。また脱酸剤としての作用
が期待され、しかもフェライトに固溶して顕著な固溶強
化作用も発揮する。これらの効果は、その含有量が増加
するにつれて増大するが、Si含有量が過剰になると伸
線後の鋼線の延性を低下させると共に、鍛造性が著しく
低下させるので1.0%を上限とする。尚、Si含有量
の好ましい上限は0.5%であり、より好ましくは0.
2%であり、更に好ましくは0.1%以下にするのが良
い。
【0016】本発明の線材または鋼線においては、C,
MnおよびSi等の鋼材の基本成分を上記の様に適切に
調整すると共に、耐力比を0.85以下とし、且つ12
00N/mm2以上の強度を付与したもの、冷間・温間
鍛造性と共に耐遅れ破壊性をも優れたものとなるが、こ
うした線材または鋼線においてはP:0.03%以下お
よびS:0.03%以下に夫々抑制したものであること
が耐遅れ破壊性を更に向上させる上で好ましい。これら
の成分の範囲限定理由は下記の通りである。
【0017】P:0.03%以下(0%を含む) Pは粒界偏析を起こして、耐遅れ破壊性を劣化させる元
素である。そこでP含有量を0.03%以下とすること
により、耐遅れ破壊性の向上が図れる。尚、P含有量
は、0.015%以下に低減するのが好ましく、より好
ましくは0.01%以下、更に好ましくは0.005%
以下とするのが良い。
【0018】S:0.03%(0%を含む) Sは鋼中でMnSを形成し、応力が負荷されたときにこ
のMnSが応力集中箇所となる。従って、耐遅れ破壊性
の改善にはS含有量をできるだけ減少させることが必要
となり、こうした観点から0.03%以下とするのが良
い。尚S含有量は、0.015%以下に低減するのが好
ましく、より好ましく0.01%以下、更に好ましくは
0.005%以下とするのが良い。
【0019】本発明の線材または鋼線には、必要によっ
て、Cr:1.0%以下やAl:0.1%以下を含有さ
せることが好ましいが、これらの成分の範囲限定理由は
下記の通りである。
【0020】Cr:1.0%以下(0%を含まない) Crは、Siと同様に初析セメンタイトの析出を抑制す
る効果があり、こうした効果はその含有量が増加するほ
ど増大するが、1.0%を超えて含有させてもその効果
は飽和して不経済となるので、その上限を1.0%とし
た。尚、Cr含有量の好ましい範囲は、0.1〜0.5
%、更に好ましい範囲は0.15〜0.3%である。
【0021】Al:0.1%以下(0%を含まない) Alは鋼中Nを捕捉してAlNを形成し、結晶粒を微細
化することによって耐遅れ破壊性の向上に寄与する。し
かしながら、Al含有量が過剰になって0.1%を超え
ると、窒化物および酸化物系介在物が生成し、伸線性を
低下させるので0.1%以下とするのが良い。尚、Al
含有量の好ましい範囲は0.01〜0.07%、更に好
ましい範囲は0.025〜0.05%である。
【0022】本発明の線材または鋼線は、通常添加され
る各種元素(Cu,Ni,Co,Mo,Ti,Nb,
V,W,B,N等)を含有しても良いことは勿論である
が、これら必要によって含有される各元素の限定理由は
下記の通りである。
【0023】Cu:0.5%(0%を含まない) Cuは析出硬化作用によって鋼材の高強度化に寄与する
元素である。しかし過剰に添加すると粒界脆化を起こし
て、耐遅れ破壊性を劣化させる原因となるので0.5%
を上限とする。尚、Cu含有量の好ましい下限は、0.
05%であり、より好ましくは0.1%とするのが良
い。またCu含有量の好ましい上限は、0.3%であ
り、より好ましくは0.2%とするのが良い。
【0024】Ni:1.0%以下(0%を含まない) Niは鋼材の強度上昇にはあまり寄与しないが、伸線材
の靭性を高める効果を有する。しかし、Ni含有量が過
剰になると、変態終了時間が長くなり過ぎて、設備の大
型化、生産性の低下を来たすため、1.0%を上限とす
る。尚、Ni含有量の好ましい下限は、0.05%であ
り、より好ましくは0.1%とするのが良い。またNi
含有量の好ましい上限は、0.5%であり、より好まし
くは0.3%とするのが良い。
【0025】Co:0.5%以下(0%を含まない) Coは、SiやCrと同様に初析セメンタイトの析出を
抑制する効果があり、初析セメンタイトの低減を図る本
発明の高強度線材または鋼線における添加成分としては
特に有効である。こうした効果は、その含有量が増加す
るほど増大するが、0.5%を超えて含有させてもその
効果は飽和して不経済となるので、その上限を0.5%
とした。尚、Co含有量の好ましい範囲は、0.03〜
0.5%、更に好ましい範囲は0.1〜0.2%であ
る。
【0026】Mo,Ti,Nb,VおよびWよりなる群
から選ばれる1種以上:合計で0.01〜0.5% これらの元素は、いずれも微細な炭・窒化物を形成して
耐遅れ破壊性の向上に寄与する。またこれらの窒化物お
よび炭化物は、結晶粒の微細化に有効である。こうした
効果を発揮させる為には、合計で0.01%以上含有さ
せる必要があるが、過剰に含有させると耐遅れ破壊性お
よび靭性を阻害するので、合計で0.5%以下にする必
要がある。尚、これらの元素含有量の好ましい下限は、
合計で0.02%であり、より好ましくは0.03%と
するのが良い。また好ましい上限は、合計で0.3%で
あり、より好ましくは0.1%とするのが良い。
【0027】B:0.0005〜0.003% Bは鋼の焼入れ性向上の為に添加されるが、その作用を
発揮させる為には、0.0005%以上含有させる必要
がある。しかしながら、0.003%を超えて過剰に含
有すると却って靭性を阻害する。尚、B含有量の好まし
い下限は0.001%であり、好ましい上限は0.00
25%である。
【0028】N:0.015%(0%を含まない) NはAlNやTiNの窒化物形成によって結晶粒の微細
化ひいては耐遅れ破壊性の向上に好影響を与える。しか
し、過剰に含有すると窒化物が増加し過ぎて伸線性に悪
影響を及ぼすだけでなく、固溶Nが伸線中の時効を促進
することがあるので、0.015%以下にする必要があ
る。尚、N含有量の好ましい上限は、0.007%であ
り、より好ましくは0.005%にするのが良い。
【0029】本発明の線材または鋼線の化学成分組成は
上記の通りであり、残部は実質的に鉄からなるものであ
る。ここで「実質的に鉄」とは、本発明の高強度線材ま
たは鋼線にはFe以外にもその特性を阻害しない程度の
微量成分(許容成分)をも含み得るものであり、こうし
た許容成分としては例えばCa,Zr,Pb,Bi,T
e,As,Sn,Sb等の元素が挙げられる。またその
特性を更に良好にするという観点からして、不純物であ
るOについては下記の様に抑制することが好ましい。
【0030】O:0.005%以下(0%を含む) Oは常温では鋼にほとんど固溶せず、硬質の酸化物系介
在物として存在し、伸線時にカッピー断線を引き起こす
原因となる。従って、O含有量は極力少なくすべきであ
り、少なくとも0.005%以下に抑える必要がある。
尚、O含有量は、0.003%以下に低減することが好
ましく、より好ましくは0.002%以下に低減するの
が良い。
【0031】本発明の線材または鋼線では、前記耐力比
を0.85以下にすることによって優れた冷間・温間鍛
造性が発揮されるものであり、その為の手段については
特に限定するものではないが、例えば鋼線の場合には冷
却伸線することによって耐力向上を抑制して耐力比を
0.85以下にすることが挙げられる。この冷却伸線
は、後記図1に示す様な装置によって鋼線材を冷却しつ
つ伸線するものであり、こうした冷却伸線によって耐力
向上が抑制されることは既に知られている(例えば、特
開昭49−103868号、同60−73828号
等)。しかしながら、耐力比を所定の値以下にすること
によって冷間・温間鍛造性が向上することは知られてい
ない。尚、本発明の線材や鋼線において、1200N/
mm2以上の強度を付与する為には、パテンティング後
に強伸線を行なうことが有効であるが、パテンティング
後の状態で1200N/mm2の強度が達成されておれ
ば、必ずしも強伸線を行なう必要はない。
【0032】以下、本発明を実施例によって更に詳細に
説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもの
ではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変形することは
いずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0033】
【実施例】実施例1 下記表1に示す化学成分組成を有する供試鋼を用い、線
径:7.06〜11.0mmφまで熱間圧延した後、パ
テンティング処理(加熱温度:750〜940℃、恒温
変態:495〜665℃×4分)を行なった。その後、
線径:7.06mmφまで伸線して鋼線とした。
【0034】図1は、伸線に用いた装置(冷却伸線装
置)の構成を示す概略説明図であり、図中1は冷却筒、
2はダイスケース、3はケースフタ、4は伸線前の線
材、4aは伸線後の鋼線、5はエアーシール、6はダイ
スボックス、7はスペーサ、9はダイスを夫々示す。こ
の冷却伸線装置は、ダイスボックス6に冷却伸線装置を
取り付け、冷却筒1内に給水を行なって線材を冷却しつ
つ伸線して鋼線とする様に構成したものである。そし
て、この装置を用いて伸線を行なうとき、給水する場合
を冷却伸線「有り」、給水しない場合を冷却伸線「無
し」とした。
【0035】
【表1】
【0036】得られた各種鋼線を用い、下記の条件でボ
ルト冷圧試験および遅れ破壊試験を行った。また、一部
のものについてはパテンティングままの線材を用いて同
様の試験を行なった。
【0037】(ボルト冷圧試験)図2(a)〜(d)に
示す加工工程でM8用フランジボルトを作製した。この
ボルト成形時の第3パンチピンの平均寿命で評価し、工
具寿命が30000個以上圧造できたものを合格とし
た。このとき、第3パンチピンの材質は、SKH9と
し、硬さはHRC61〜62のものを使用した。
【0038】(遅れ破壊試験)上記で作製したボルトの
中から引張強さが1200N/mm2以上で且つボルト
冷圧試験で30000個圧造できたものについて遅れ破
壊試験を行なった。遅れ破壊試験は、ボルトを酸中に浸
漬後(35%HCl×30分)、水洗・乾燥して大気中
で応力負荷(負荷応力は引張強さの70%)し、100
時間後の破断の有無で評価した。
【0039】これらの結果を、線材および鋼線の条件お
よび機械的特性と共に下記表2に夫々示す。この結果か
ら明らかな様に、本発明鋼の要件を満足する線材または
鋼線を使用してボルトを製造した場合には、優れた冷間
・温間鍛造性の下でボルトが得られると共に、得られた
ボルトのうち引張強さ1200N/mm2以上であって
も優れた遅れ破壊特性を発揮していることが分かる。
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、優
れた冷間・温間鍛造性を発揮する線材または鋼線が実現
でき、また引張強度が1200N/mm2以上としたも
のでは、冷間・温間鍛造性と共に耐遅れ破壊性にも優れ
たものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において伸線に用いた装置の構成を示す
概略説明図である。
【図2】M8用フランジボルトを作製する加工工程を示
す概略説明図である。
【符号の説明】
1 冷却筒 2 ダイスケース 3 ケースフタ 4 伸線前の線材 4a 伸線後の鋼線 5 エアーシール 6 ダイスボックス 7 スペーサ 9 ダイス

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐力比が0.85以下であることを特徴
    とする冷間・温間鍛造性に優れた線材または鋼線。
  2. 【請求項2】 C:0.5〜1.0%(質量%の意味、
    以下同じ)、Mn:0.2〜1.0%およびSi:1.
    0%以下(0%を含まない)を夫々含有する鋼材からな
    るものである請求項1に記載の線材または鋼線。
  3. 【請求項3】 C:0.5〜1.0%、Mn:0.2〜
    1.0%およびSi:1.0%以下(0%を含まない)
    を夫々含有する鋼材からなると共に、耐力比が0.85
    以下であり、且つ1200N/mm2の強度と耐遅れ破
    壊性を有する様にしたものであることを特徴とする冷間
    ・温間鍛造性および耐遅れ破壊性に優れた線材または鋼
    線。
  4. 【請求項4】 P:0.03%以下(0%を含む)およ
    びS:0.03%以下(0%を含まない)に夫々抑制し
    たものである請求項3に記載の線材または鋼線。
  5. 【請求項5】 更にCr:1.0%以下(0%を含まな
    い)を含有するものである請求項2〜4のいずれかに記
    載の線材または鋼線。
  6. 【請求項6】 更にAl:0.1%以下(0%を含まな
    い)を含有するものである請求項2〜5のいずれかに記
    載の線材または鋼線。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の鋼線を
    製造するに当たり、冷却伸線することによって耐力向上
    を抑制し、耐力比を0.85以下にすることを特徴とす
    る冷間・温間鍛造性に優れた鋼線の製造方法。
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