JP2003193198A - 機械構造用電縫鋼管及びその熱処理方法 - Google Patents
機械構造用電縫鋼管及びその熱処理方法Info
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Abstract
き入れにより十分な強度を確保できる機械構造用電縫鋼
管を安価に提供する手段を確立する。 【解決手段】 機械構造用電縫鋼管を、C:0.30〜0.50
%,Si:0.5%以下,Mn:0.20〜 2.0%,sol.Al:0.005
〜0.05%,N:0.005%以下を含み、更に必要によりCr,
B,Tiをも含有する化学組成に構成する。この電縫鋼管
は、「Ac1変態点〜(Ac1変態点+Ac3変態点)/2」の
温度域に加熱・保持してから放冷することによりフェラ
イト,パ−ライト,セメンタイトが混在した組織となっ
て良好な成形性が付与されるが、焼き入れによって機械
部品に必要な高強度(高硬度)を確保することができ
る。
Description
(例えば自動車用部品)等への成形加工が容易である
上、成形加工を行った後に焼入れにより所要強度を確保
することができる機械構造用電縫鋼管に関し、更には当
該機械構造用電縫鋼管に良好な成形性を付与するための
熱処理方法に関するものである。
ャフト,ステアリングシャフト,アクスルハウジング,
ショックアブゾ−バ−,スタビライザ−,ドラッグリン
グ,バルブロッカ−シャフト等),自動二輪用部品(フ
ロントフォ−ク等),自転車用部品,建設機械用部品,
各種シリンダ−用部品,家具,その他の機械構造部品等
の素材として用いられる機械構造用電縫鋼管は、一般に
目的とする部品形状への成形加工(冷間鍛造加工,転
造,スウェ−ジング加工,プレス加工,曲げ加工,ハイ
ドロフォ−ミング,爆発成形等)が施された後、焼入れ
処理による必要強度(硬度)の付与がなされて使用に供
されている。ただ、焼入れによって電縫鋼管製機械構造
部品の強度(硬度)を上げるためには素材である電縫鋼
管のC含有量を高くすることが必要であるが、C含有量
が高ければ成形性が悪化するという問題がある。
Ac3変態点以上の温度で加熱・保持する焼きならし処理
が実施される。しかし、この方法では、オ−ステナイト
単相の組織となるAc3変態点以上の温度領域に保持され
るのでCの濃化が起こらずに組織が粗大化しがちであ
り、従ってある程度の強度低下(成形性の向上)を達成
できるものの成形性向上効果が十分でない場合があっ
た。そのため、成形加工が施される機械構造用電縫鋼管
に適用する処理法としては満足できるものではなかっ
た。
としては球状化熱処理が一般的であるが、この方法では
熱処理工程に時間がかかり、そのため生産能率の面で著
しい不利を伴う。その上、球状化熱処理を施した鋼はC
がほぼ完全に球状化しているので、最終的に焼入れを実
施する場合に焼きが入りにくいという問題や、被削性が
劣化するという問題があった。従って、この処理法もや
はり機械構造用電縫鋼管に適したものとは言えなかっ
た。
見ると、「C:0.05〜0.25%(以降は、 成分割合を表す
%は重量%とする),Si: 0.6%以下,Mn:0.20〜2.00
%,Al: 0.005〜 0.050%,N:0.0030%以下を含有す
る鋼帯で製造した電縫鋼管素管を二相域加熱温度で熱処
理することから成る、 成形性の優れた高延性電棒鋼管の
製造方法」に関する発明が開示されている。
含有量が少ないために強度が低くて比較的成形しやすい
電縫鋼管を得ることはできるが、機械構造用電縫鋼管と
しては焼き入れ後の強度が十分であるとは言えなかっ
た。更に、上記方法では加熱温度領域を二相域と指定し
てはいるものの、その実施例から分かるように、本質は
二相域の中でも比較的高めの温度で熱処理することを目
指しているので、得られる電縫鋼管の機械的性質は焼き
ならし処理の場合と殆ど変わらず、成形性の点でも十分
に満足できるものではなかった。
には「C:0.05〜0.25%,Si: 0.3〜 2.5%,Mn:0.50
〜3.00%,Al: 0.005〜 0.050%,N:0.0050%以下,
S:0.005 %以下,P:0.15%以下を含有する鋼帯で製
造した電縫鋼管を、 二相域温度に加熱して20分以下保
持した後、 0.5℃/s以上で冷却して、 〔Ms 変態点+1
00℃〜Ms 変態点〕の温度で30〜300sec 保持し
てから空冷することから成る、 加工性に優れた電縫鋼管
の製造方法」に関する発明が示されている。
少ないために強度が低くて比較的成形しやすい電縫鋼管
を得ることはできるものの、機械構造用電縫鋼管として
は焼き入れ後の強度が十分でなかった。しかも、この方
法は、熱処理の冷却過程で一定温度に保持する工程が必
要であるので生産能率の点で不満足なものあった。
本発明が目的としたのは、機械構造部品への加工に必要
な良好な成形性を容易にかつ安定して付与できると共
に、焼き入れによって十分な強度(硬度)を確保するこ
とができる機械構造用電縫鋼管を提供することである。
また、本発明の目的は、上記機械構造用電縫鋼管に良好
な成形性を付与するための簡便な手段を提供することに
も置かれた。
達成すべく数多くの試験を繰り返しながら研究を行った
結果、次のような知見を得ることができた。 a) 前述したように、鋼の成形性を向上させる場合に
は、通常、Ac3変態点以上の温度に加熱・保持して徐冷
する“焼きならし”が行われるが、熱処理温度を前記焼
きならし処理において採用される温度よりも低い“Ac1
変態点に近い温度”、つまり二相温度域の中でもより低
めの「Ac1変態点〜(Ac1変態点+Ac3変態点)/2」の
温度領域に加熱・保持してから放冷してやると、フェラ
イト,パ−ライト,セメンタイトが混在した組織が得ら
れ、C含有量が比較的高い鋼であっても焼きならしの場
合よりも一層顕著で安定した強度(硬度)低下がなされ
て成形性が向上する。
構造部品を製造するための素材として用いる電縫鋼管
に、成形性の観点からこれまで適用が試みられることの
なかった比較的C含有量の高い材料(C含有量が0.30%
以上の材料)を適用すると、前記「Ac1変態点〜(Ac1
変態点+Ac3変態点)/2」の温度域での熱処理効果に裏
打ちされて機械構造部品への加工に必要な良好な成形性
を付与できると共に、C含有量が高いが故に成形後の焼
入れ処理によって高い強度(硬度)を確保することので
きる機械構造用電縫鋼管が実現される。
されたものであり、次の〜項に示す機械構造用電縫
鋼管並びにその熱処理方法を提供するものである。 C:0.30〜0.50%, Si: 0.5%以下, Mn:0.20
〜 2.0%,sol.Al: 0.005〜0.05%, N: 0.005%以
下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物である化学組
成を有して成ることを特徴とする、機械構造用電縫鋼
管。 C:0.30〜0.50%, Si: 0.5%以下, Mn:0.20
〜 2.0%,sol.Al: 0.005〜0.05%, N: 0.005%以
下を含むと共に、更にCr:0.05〜0.50%, B:0.0005
〜0.0050%のうちの1種又は2種をも含有し、残部がFe
及び不可避的不純物である化学組成を有して成ることを
特徴とする、機械構造用電縫鋼管。 C:0.30〜0.50%, Si: 0.5%以下, Mn:0.20
〜 2.0%,sol.Al: 0.005〜0.05%, N: 0.005%以
下,B:0.0005〜0.0050%, Ti: 0.005〜0.05%を含
有し、残部がFe及び不可避的不純物である化学組成を有
して成ることを特徴とする、機械構造用電縫鋼管。 C:0.30〜0.50%, Si: 0.5%以下, Mn:0.20
〜 2.0%,sol.Al: 0.005〜0.05%, N: 0.005%以
下,Cr:0.05〜0.50%, B:0.0005〜0.0050%, T
i: 0.005〜0.05%を含有し、残部がFe及び不可避的不
純物である化学組成を有して成ることを特徴とする、機
械構造用電縫鋼管。 前記項乃至項のうちの何れかに記載の化学組成
を有して成る電縫鋼管素管を、「Ac1変態点〜(Ac1変
態点+Ac3変態点)/2」の温度域に加熱・保持してから
放冷することにより組織の99%以上をフェライト,パ
−ライト及びセメンタイトが混在した組織とすることを
特徴とする、機械構造用電縫鋼管の熱処理方法。
管は、「Ac1変態点〜(Ac1変態点+Ac3変態点)/2」
の温度域に加熱・保持してから放冷することによって組
織の99%以上をフェライト,パ−ライト及びセメンタ
イトが混在した組織とすることができ、この状態におい
て硬さ(強度)がHv 200以下(殆どがHv 180以
下)にまで低下する。一般に、鋼の成形性はその強度
(硬さ)が低いほど良好になることが知られているが、
電縫鋼管素材から機械構造部品を冷間で安定に成形加工
する場合には電縫鋼管素材の硬さ(強度)はHv 200
以下であることが必要である。従って、簡便な熱処理に
よってHv 200以下にまで硬さ(強度)が低下する本
発明に係る電縫鋼管は、成形加工に供する機械構造部品
の製造素材として非常に好ましい材料であると言える。
は、C含有量が0.30%以上と高いため焼き入れ処理によ
って容易に高強度化することができる。因みに、本発明
に係る機械構造用電縫鋼管を焼き入れしてマルテンサイ
ト組織が99%以上を占める組織とすると、その硬さ
(強度)は安定してHv 550以上を示すようになり、
機械部品としての耐摩耗性や強度は十分となる。なお、
本発明に係る機械構造用電縫鋼管では、「Ac1変態点〜
(Ac1変態点+Ac3変態点)/2」の温度域に加熱・保持
してから放冷するという成形性付与熱処理が施されても
その焼き入れ性に何ら悪影響が及ぶものでないことは言
うまでもない。
電縫鋼管の化学組成や電縫鋼管素管の熱処理条件を前記
の如くに限定した理由を、それらの作用と共に説明す
る。 [A] 電縫鋼管の化学組成 a) C Cは電縫鋼管の強度確保に有効な元素であり、焼き入れ
後のマルテンサイト組織での強度(硬さ)はC含有量で
ほぼ決まる。そして、焼き入れ後のマルテンサイト組織
が99%以上を占める組織において機械部品として十分
な耐摩耗性や強度を発揮するHv 550以上の硬さ(強
度)を確保するためには、機械構造用電縫鋼管のC含有
量は0.30%以上、好ましくは0.32%以上、より好ましく
は0.35%以上とする必要がある。一方、C含有量が高す
ぎると、前記熱処理によって鋼の強度がより低い状態で
あるフェライト・パ−ライト・セメンタイトが混在した
組織とした場合でも成形に必要な十分な強度低下が得ら
れないので、C含有量の上限は0.50%とする。C含有量
が0.50%以下であれば、前記熱処理によって組織の99
%以上をフェライト・パ−ライト・セメンタイトが混在
した組織とすることにより、電縫鋼管素材から機械構造
部品を冷間で安定に成形加工できる素材硬さ(強度)H
v 200以下を十分に達成することができ、Hv 180
以下にまで硬さ(強度)を低減して成形性を高めること
が可能になる。
脆化を招いて成形性が悪化するので、Si含有量の上限は
0.5%と定めた。 c) Mn Mnは、機械構造用電縫鋼管に必要な強度・靱性を確保す
る作用を有しているので0.20%以上含有させることとし
たが、多すぎると強度が高くなりすぎて電気抵抗溶接部
の靱性を劣化させることから、Mn含有量の上限は 2.0%
と定めた。
溶Nによる降伏点伸びの回復を抑える作用を有している
ので、sol.Al量で 0.005%以上含有させることとした
が、過剰に添加すると鋼中にアルミナが増えて非金属介
在物による溶接不良の原因となることから、その上限を
sol.Al量で0.05%と定めた。 e) N Nは鋼材の耐時効性を最も劣化させる元素であって、少
ないほど好ましい不純物元素であるが、鋼材の製造コス
トと悪影響の程度を考慮してN含有量の上限を0.005 %
と定めた。
るので、必要に応じて焼き入れ性向上効果が顕著化する
0.05%以上の割合で含有せしめられるが、含有量が多す
ぎると酸化物となって溶接不良を発生しやすくなるの
で、Cr含有量の上限は 0.5%と定めた。
るので、必要に応じて焼き入れ性向上効果が顕著化する
0.0005%以上の割合で含有せしめられるが、含有量が多
すぎると鋼材の靱性劣化を招くことから、B含有量の上
限は0.0050%と定めた。
BNが析出するのを抑制し、その結果としてBが鋼中に
固溶して焼き入れ性向上効果を発揮するのを助ける作用
を発揮する。従って、TiはB添加を行う場合に必要に応
じて含有せしめられるが、Ti含有量が 0.005%以下であ
るとTi添加の効果が顕著でない。一方、Ti含有量が多す
ぎてもTi添加の効果は変わらず、コストが高くつくこと
から、Ti含有量の上限は0.05%と定めた。
実施するにあたり、素材硬さ(強度)を低減させて良好
な成形性を付与すべく「Ac1変態点〜(Ac1変態点+A
c3変態点)/2」の温度域に加熱・保持してから放冷する
熱処理が施される。
二相域熱処理であっても、Ac3変態点に近い領域ではフ
ェライトからオ−ステナイト化する比率が大きいので大
部分のCがオ−ステナイト中に固溶してしまい、結局、
加熱処理後の温度が下がった状態になるとパ−ライトに
なってしまうため、素材の硬さ(強度)は“焼きなら
し”の場合と有為差がなくなって良好な成形性に結びつ
かない。
c1変態点〜(Ac1変態点+Ac3変態点)/2の温度域}へ
の加熱では、フェライトからオ−ステナイト化する比率
が僅かであるためにパ−ライトが部分的に分解せず、一
部のCのみがオ−ステナイト中に固溶する。そして、加
熱処理後の放冷中にオ−ステナイト中から析出する過程
で、Cは固溶せずに残っていたセメンタイトと結合して
安定な球状となり、実質的に(組織の99%以上が)フ
ェライト,パ−ライト及びセメンタイトの混在した組織
が得られる。そして、このような部分的なCの球状化に
より、“焼きならし”の場合よりも硬さ(強度)が低く
て伸びが大きいという機械的性質が得られる。このよう
に、「Ac1変態点〜(Ac1変態点+Ac3変態点)/2」の
温度域への加熱処理を施すとC含有量が比較的高い電縫
鋼管素管であっても良好な成形性が付与され、機械構造
部品への冷間成形を支障なく行うことができるようにな
る。
によって一部分解したパ−ライトからCがオ−ステナイ
ト中に固溶するだけの保持時間を必要とする。これによ
り、冷却後の組織が実質的にフェライト,パ−ライト及
びセメンタイトの混在した組織となる。上記加熱処理で
の保持時間は、操業の効率化を考えると、電棒鋼管の肉
厚に応じて加減するのが良い。即ち、「Ac1変態点〜
(Ac1変態点+Ac3変態点)/2」の温度域において分解
したパ−ライトからその一部がオ−ステナイト中にC固
溶するには、鋼管肉厚1mm当り 0.5分の保持時間が必要
であるが、鋼管肉厚1mm当り5分以上の保持時間を確保
してもその効果は変わらない。従って、tを鋼管肉厚(m
m)、Tを保持時間(分)とすると、前記温度域での保持
時間Tは「 0.5t≦T≦5t」に調整するのが良い。
点)/2」の温度域に加熱・保持した後の冷却手段として
は、大気中への放冷が好ましい。つまり、一般的な球状
化熱処理では、Ac1変態点直上の温度に数時間のオ−ダ
−で保持した後に更に数時間のオ−ダ−で600℃程度
まで徐冷する手法が採られるが、前述したように本発明
では完全な球状化を狙うわけではなく、そのため大気中
への放冷が好ましいと言える。なぜなら、本発明に係る
化学組成の電縫鋼管は大気中への放冷であっても機械構
造部品への冷間成形に必要な十分な強度低下が得られる
上、大気中への放冷であれば実操業において高い処理効
率を確保することができるからである。
では、通常の焼入れ処理により容易に硬さHv 550以
上にまで高強度化することができる。そのため、電縫鋼
管に前記成形性付与熱処理{硬さ(強度)低下処理}を
施して機械構造部品への成形加工を行い、その後に焼き
入れを行ってマルテンサイト組織が99%以上を占める
組織とすれば、その硬さがHv 550以上となって機械
部品として十分な耐摩耗性や強度が付与される。
に説明する。
鋼帯を連続的に管状に成形し、この管状鋼帯のエッジ部
を高周波溶接によって溶接し素管(外径:31.8mm,肉
厚:5.0mm )とした後、「Ac1変態点〜(Ac1変態点+
Ac3変態点)/2」の温度域に加熱・保持してから大気中
で放冷した。この時の熱処理条件を表2に示す。
面)から試験片を切り出し、その組織を観察した。な
お、組織観察は次の手順で実施した。 (1) 切り出した試験片を研磨する,(2) 5%硝酸+95%
エチルアルコ−ルの溶液に、研磨した試験片を常温で1
0秒間程度浸して表面を腐食させる,(3) 腐食した試験
片表面を光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡で観察して組
織の形態を観察する。この組織観察結果を前記表2に併
せて示した。
き、ビッカ−ス硬さ(Hv 10kg)の測定も実施した。こ
の測定結果も前記表2に併記した。
態点+Ac3変態点)/2での熱処理}後の電縫鋼管に高周
波焼き入れ(950℃に加熱してから水冷の処理)を施
し、得られた焼き入れ処理電縫鋼管について前記と同様
の手法で組織観察及び硬さ測定を行った。その結果、焼
き入れ処理電縫鋼管の組織は何れも99%以上がマルテ
ンサイト組織で占められており、それらの硬さは前記表
2に併記した通りであった。
ば、簡便な熱処理によって硬さ(強度)を非常に良好な
冷間成形性につながるHv 180以下にまで低下させる
ことができる上、その後に焼き入れ処理を施すことによ
り機械部品としての十分な耐摩耗性や強度が確保される
Hv 550以上にまで硬さ(強度)が上昇する機械構造
用電縫鋼管を提供できることが明らかである。
鋼帯を連続的に管状に成形し、この管状鋼帯のエッジ部
を高周波溶接によって溶接し素管(外径:31.8mm,肉
厚:5.0mm )とした後、表4に示す処理温度に加熱・保
持してから大気中で放冷した。
面)から試験片を切り出し、その組織観察とビッカ−ス
硬さ(Hv 10kg)の測定を実施した。なお、組織観察及
び硬さ測定は実施例1におけるのと同様の手法で行い、
その結果を表4に併せて示した。
き入れ(950℃に加熱してから水冷の処理)を施し、
得られた焼き入れ処理電縫鋼管について前記と同様の手
法で組織観察及び硬さ測定を行った。その結果、焼き入
れ処理電縫鋼管の組織は何れも99%以上がマルテンサ
イト組織で占められており、それらの硬さは前記表4に
併記した通りであった。
って「Ac1変態点〜(Ac1変態点+Ac3変態点)/2」の
温度域で熱処理を施すと、炭素含有量が比較的高い電縫
鋼管であってもその硬さ(強度)を良好な冷間成形性に
つながるHv 200以下にまで低下させることができる
上、その後に焼き入れ処理を施すことにより機械部品と
しての十分な耐摩耗性や強度が確保されるHv 550以
上にまで硬さ(強度)が上昇する機械構造用電縫鋼管を
提供できることが分かる。
ば、簡便な手法によって機械構造部品への加工に必要な
良好な成形性を付与することができ、かつ焼き入れによ
り十分な強度上昇がなされて機械部品として満足できる
強度,耐摩耗性が備わる機械構造用電縫鋼管を安価に提
供すること可能になるなど、産業上有用な効果がもたら
される。
Claims (5)
- 【請求項1】 重量割合にてC:0.30〜0.50%, Si:
0.5%以下, Mn:0.20〜 2.0%,sol.Al: 0.005〜0.
05%, N: 0.005%以下を含有し、残部がFe及び不可
避的不純物である化学組成を有して成ることを特徴とす
る、機械構造用電縫鋼管。 - 【請求項2】 重量割合にてC:0.30〜0.50%, Si:
0.5%以下, Mn:0.20〜 2.0%,sol.Al: 0.005〜0.
05%, N: 0.005%以下を含むと共に、更にCr:0.05
〜0.50%, B:0.0005〜0.0050%のうちの1種又は2
種をも含有し、残部がFe及び不可避的不純物である化学
組成を有して成ることを特徴とする、機械構造用電縫鋼
管。 - 【請求項3】 重量割合にてC:0.30〜0.50%, Si:
0.5%以下, Mn:0.20〜 2.0%,sol.Al: 0.005〜0.
05%, N: 0.005%以下,B:0.0005〜0.0050%,
Ti: 0.005〜0.05%を含有し、残部がFe及び不可避的不
純物である化学組成を有して成ることを特徴とする、機
械構造用電縫鋼管。 - 【請求項4】 重量割合にてC:0.30〜0.50%, Si:
0.5%以下, Mn:0.20〜 2.0%,sol.Al: 0.005〜0.
05%, N: 0.005%以下,Cr:0.05〜0.50%, B:
0.0005〜0.0050%, Ti: 0.005〜0.05%を含有し、残
部がFe及び不可避的不純物である化学組成を有して成る
ことを特徴とする、機械構造用電縫鋼管。 - 【請求項5】 請求項1乃至4のうちの何れかに記載の
化学組成を有して成る電縫鋼管素管を、「Ac1変態点〜
(Ac1変態点+Ac3変態点)/2」の温度域に加熱・保持
してから放冷することにより組織の99%以上をフェラ
イト,パ−ライト及びセメンタイトが混在した組織とす
ることを特徴とする、機械構造用電縫鋼管の熱処理方
法。
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