JP4393344B2 - 冷間加工性と耐結晶粒粗大化特性に優れた肌焼き用鋼の製造方法 - Google Patents
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C :0.10〜0.25%(質量%の意味)、
Si:0.5%以下(0%を含まない)、
Mn:0.3〜1.0%、
P :0.03%以下(0%を含む)、
S :0.03%以下(0%を含む)、
Cr:0.3〜1.5%、
Al:0.02〜0.1%、
N :0.005〜0.02%
を満たし、残部が鉄及び不可避不純物からなる鋼材を用いて、700〜850℃未満の温度で熱間仕上げ圧延または熱間仕上げ鍛造を行った後、600℃までの冷却を0.5℃/sec以下の冷却速度で行い、引き続いて室温まで放冷し、その後に行う伸線の減面率を20%未満に抑えるところに特徴を有する。
Cは、鋼の焼入性と強度確保のために必要な元素であり、本発明では0.10%以上含有させる。好ましくは0.13%以上、より好ましくは0.15%以上である。しかしC含有量が過剰になると、鋼材の靭性が低下するだけでなく、冷間加工性も劣化するので、軟化処理工程の簡略や省略を実現することができない。従ってC量の上限を0.25%とする。好ましくは0.2%以下、より好ましくは0.18%以下である。
Siは脱酸剤として作用する元素であり、0.15%以上含まれていてもよいが、Si量が過剰になると、冷間加工性が低下する傾向にあるためSiの上限を0.5%と定めた。好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.2%以下であり、Siによる脱酸効果よりもより優れた冷間加工性の確保を重んじる場合には0.1%以下に抑えることが更に好ましい。
Mnは焼入性向上元素であり、強度を高めるのに大変有用な元素であるため、0.3%以上含有させる。好ましくは0.4%以上、より好ましくは0.5%以上、更に好ましくは0.6%以上である。しかしMnが多量に含まれていると、熱間圧延後の冷却時に変態が促進されて冷間加工性が劣化し、軟化工程の簡略や省略を実現できなくなる。よってMn量は1.0%以下とする。好ましくは0.85%以下、より好ましくは0.8%以下、更に好ましくは0.7%以下である。
Pは、粒界偏析を起こして鋼材の靭延性を劣化させる元素である。よって可能な限り低減することが望ましく、本発明ではP量を0.03%以下に抑える。好ましくは0.025%以下、より好ましくは0.02%以下、更に好ましくは0.015%以下、特に好ましくは0.01%以下に抑えるのがよい。
Sは、鋼中でMnSを形成して冷間加工時の変形能に悪影響を及ぼす元素である。そこで、本発明ではS量を0.03%以下に抑えることとした。好ましくは0.025%以下、より好ましくは0.02%以下、更に好ましくは0.015%以下、特に好ましくは0.01%以下に抑える。
Crは、焼入性を高めて高強度を達成するのに有用な元素であり、この様な作用を、冷間鍛造性(特に変形能)を確保したまま発揮させることができるため、本発明では0.3%以上含有させる。好ましくは0.7%以上、より好ましくは0.85%以上である。しかし過剰に含まれていると、鋼中の炭化物が安定化して冷間加工性が低下する原因となるので、Cr量の上限を1.5%と定めた。好ましくは1.1%以下、より好ましくは1.0%以下である。
Alは、Nと結合してAlNを形成し、結晶粒を微細化する効果を発揮する。また結晶粒の微細化により耐遅れ破壊性の向上にも寄与する。この様な効果を十分に発揮させるにはAlを0.02%以上含有させる必要がある。好ましくは0.03%以上、より好ましくは0.035%以上である。しかし過剰に含まれていると、酸化物系介在物が生成して鋼材の靭延性を低下させるので、Al量の上限を0.1%と定めた。好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.045%以下である。
Nは、上記の通りAlと結合してAlNを形成し、結晶粒を微細化する効果を発揮する。この様な効果を発揮させるには、Nを0.005%以上含有させる必要がある。好ましくは0.007%以上であり、より好ましくは0.01%以上である。しかしN量が過剰になると、連続鋳造時や分塊圧延時に割れが表面に生じるので、上限を0.02%と定めた。好ましくは0.016%以下である。
Ni:0.05〜1.2%〉
Moは、焼入れ性を向上させるのに有用な元素であり、その効果は0.05%以上、より好ましくは0.1%以上含有させることによって有効に発揮される。尚、焼入れ性をより向上させるには、Moを0.35%以上とするのが更に好ましく、特に好ましくは0.4%以上である。しかしMoが多量に含まれていると微細な炭化物が析出し、冷間加工性が著しく低下するので、Mo量は0.5%以下に抑えるのが好ましい。Moによる焼入れ性の確保よりも更に優れた冷間加工性の確保を重んじる場合には、Mo量を0.3%以下とすることがより好ましく、更に好ましくは0.25%以下である。
合計で0.5%以下(0%を含まない)〉
VやNb、Ti、Wは、微細な窒化物、炭化物、炭窒化物を形成して結晶粒の微細化を図るのに有効な元素である。この様な効果を発揮させるには、V、Nb、TiおよびWよりなる群から選択される1種以上を合計で0.02%以上含有させるのが好ましく、より好ましくは合計で0.05%以上である。しかし過剰に含まれていると冷間加工性を阻害するので、これらの元素を含有させる場合であっても、合計で0.5%以下に抑えるのが好ましく、より好ましくは0.2%以下、更に好ましくは0.15%以下である。
Bは、圧延材の強度を上げることなく、熱処理時に鋼の焼入性を向上させることのできる有用な元素である。この様な効果を十分に発揮させるには、0.0005%以上のBを添加することが好ましく、より好ましくは0.001%以上である。しかし、過剰にBを添加するとかえって靭性を阻害するので、0.003%以下に抑える。好ましくは0.0025%以下である。
熱間圧延または熱間鍛造時の仕上げ(圧延または鍛造)温度は700℃〜850℃未満となるようにする。該温度が低すぎると、熱間圧延または熱間鍛造時の変形抵抗が増大して加工荷重が高くなり、適切な形状に圧延または鍛造できなくなるため700℃以上とする。好ましくは750℃以上、より好ましくは800℃以上である。一方、該温度が高すぎるとAlNが固溶してしまい、その後の熱処理(浸炭)時に結晶粒の粗大化を招くため850℃未満に抑える。好ましくは820℃以下である。
熱間圧延または熱間鍛造後の冷却速度を速くすると、部分的にベイナイトやマルテンサイト組織が形成され冷間加工性が低下する。よって本発明では、600℃までの冷却速度を0.5℃/sec以下と緩やかに冷却する。好ましくは0.3℃/sec以下、より好ましくは0.2℃/sec以下、特に好ましくは0.1℃/sec以下で冷却するのがよい。尚、生産性の観点からは、0.2℃/sec以上で冷却することが望ましい。
熱間圧延または熱間鍛造後であって部品成形前に行う伸線加工を、伸線減面率:20%未満の範囲で行なう。伸線減面率がこれより高いと、冷間加工時に変形抵抗が高くなり、良好に冷間加工できないだけでなく、冷間加工で生じたひずみ量の高い箇所で、その後の熱処理時に結晶粒の著しい粗大化が生じるためである。好ましくは伸線減面率を15%以下、より好ましくは10%以下に抑えて伸線を行なうのがよい。尚、伸線減面率が著しく低い場合には、伸線時にダイスの片当たりを起こし真円とならないので、減面率が好ましくは5%以上、より好ましくは7%以上となるよう伸線加工を行なうのがよい。
Claims (4)
- 質量%で(以下同じ)、
C :0.10〜0.25%、
Si:0.5%以下(0%を含まない)、
Mn:0.3〜1.0%、
P :0.03%以下(0%を含む)、
S :0.03%以下(0%を含む)、
Cr:0.3〜1.5%、
Al:0.02〜0.1%、
N :0.01〜0.02%
を満たし、残部が鉄及び不可避不純物からなる鋼材を用いて、700〜850℃未満の温度で熱間仕上げ圧延または熱間仕上げ鍛造を行った後、600℃までの冷却を0.5℃/sec以下の冷却速度で行い、引き続いて室温まで放冷し、その後に行う伸線の減面率を20%未満に抑えることを特徴とする冷間加工性と耐結晶粒粗大化特性に優れた肌焼き用鋼の製造方法。 - 更に他の成分として、
Mo:0.05〜0.5%および/または
Ni:0.05〜1.2%
を含む鋼材を用いる請求項1に記載の肌焼き用鋼の製造方法。 - 更に他の成分として、
V、Nb、TiおよびWよりなる群から選択される1種以上を
合計で0.5%以下含む鋼材を用いる請求項1または2に記載の肌焼き用鋼の製造方法。 - 更に他の成分として、
B:0.0005〜0.003%を含む鋼材を用いる請求項1〜3のいずれかに記載の肌焼き用鋼の製造方法。
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