JP2007277654A - 冷間鍛造部品、それを得るための製造方法および鋼材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】C:0.11〜0.30%、Si:0.6%以下、Mn:0.1〜1.80%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Ni:0.3%以下、Cr:1.0%以下、Mo:0.3%以下、Al:0.01〜0.06%、N:0.007%以下、およびV:0.05〜0.3%、Nb:0.1%以下、およびTi:0.1%以下を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、前記合金元素が式:0.55≦[C]+0.195[Si]+0.22[Mn]+0.11[Ni]+0.196[Cr]+0.21[Mo]+0.1[V]+1.19[Nb]+0.2[Ti])≦0.8を満たす鋼材を、冷間鍛造した後に、焼ならし・焼戻しする冷間鍛造部品の製造方法。
【選択図】なし
Description
また本発明の目的は、そのような製造方法のために用いられる鋼材、特に良好な変形能を有し、冷間鍛造時に割れにくい鋼材を提供することにある
さらに本発明は、特徴的な組織構造により、優れた強度と延性とを併せ持つ冷間鍛造部品を提供することも目的とする。
C:0.11〜0.30%(質量%の意味、以下同じ)、
Si:0.6%以下(0%を含まない)、
Mn:0.1〜1.80%、
P:0.03%以下(0%を含まない)、
S:0.03%以下(0%を含まない)、
Ni:0.3%以下(0%を含まない)、
Cr:1.0%以下(0%を含まない)、
Mo:0.3%以下(0%を含む)、
Al:0.01〜0.06%、
N:0.007%以下(0%を含まない)、
V:0.05〜0.3%、
Nb:0.1%以下(0%を含む)、および
Ti:0.1%以下(0%を含む)
を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、
前記合金元素が下記式:
0.55≦A≦0.8 … (1)
A=[C]+0.195[Si]+0.22[Mn]+0.11[Ni]
+0.196[Cr]+0.21[Mo]+0.1[V]+1.19[Nb]
+0.2[Ti] … (2)
〔式中、[C]、[Si]、[Mn]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[V]、[Nb]および[Ti]は、それぞれの合金元素の含有量(質量%)を示す。〕
を満たす鋼材を、冷間鍛造した後に、900〜1090℃で焼ならし、次いで500〜700℃で焼戻しすることを特徴とする冷間鍛造部品の製造方法に関するものである。前記焼ならし時の冷却速度を3〜8℃/秒に設定することが推奨される。
[C:0.11〜0.30%]
Cは、鋼材および冷間鍛造部品の必要強度を得る上で必須の元素である。Cが0.11%未満であると必要な強度が得られない。一方Cが0.30%を超えると充分な延性が得られず、また鋼材の変形能が低下し、冷間鍛造時に割れが生ずる原因となり得る。
Siは脱酸剤として用いられる。しかしSiを必要以上に添加することは、鋼材の変形能を低下させる要因となり、また冷間鍛造の変形抵抗も増大する。特に鋼材が0.6%を超えるSiを含有すると、変形能の低下が顕著に現れる。従って変形能および変形抵抗の観点から、鋼材中のSi量はできる限り低い方が望ましい。なお工業生産的には、鋼材のSi量を0%にすることは困難で、かつ本発明ではSi量を0.01%未満にまで低減する必要ない。
Mnは、脱酸および脱硫のために必要な元素であり、さらに冷間鍛造後の熱処理により強度を向上させるうえで有効な元素である。Mn量が0.1%未満では上記効果が充分に得られず、一方1.80%を超えると、鋼材の変形能および部品の延性に悪影響を及ぼし得る。
Pは、強度を向上させるための元素としては有効である。しかしPの量が多すぎると、Pが凝固時にミクロ偏析すること、および熱間加工時に粒界に偏析することにより、バンド組織が生成し易くなる。その結果、冷間加工時に割れ可能性が高くなる。そこでP量の上限を、0.03%と定めた。なお工業生産的には、鋼材のP量を0%にすることは困難で、かつ本発明ではP量を0.001%未満にまで低減する必要ない。
Sは、MnSの硫化物系介在物を形成し、これが熱間加工時に粒界に偏析することにより、鋼材を脆化させ得る。このような鋼材は、冷間加工時に割れる可能性が高くなる。よって割れを低減させるために鋼材中のS量の上限を0.03%と定めた。しかしSが0.001%未満の鋼材は工業的に安定生産が困難で、かつ本発明ではS量を0.001%未満にまで低減する必要ない。
[Cr:1.0%以下(0%を含まない)]
NiおよびCrは、鋼材および冷間鍛造部品の強度を向上させる作用を有する。この作用を充分に発揮させるために、NiおよびCrを、それぞれ0.05%以上の量で含有させることが好ましい。しかしこれらが過剰になると、冷間鍛造部品の延性がなくなるため、Ni量の上限を0.3%と、Cr量の上限を1.0%と定めた。なおNiやCrは、不純物として含まれ得るので、その量が工業的に0%になることは無い。
Moも、NiやCrと同様に、鋼材および冷間鍛造部品の強度を向上させる作用を有し、必要に応じて含有させることができる。好ましいMo量の下限は0.05%である。しかしMo量が過剰になると、冷間鍛造部品の延性がなくなるため、その上限を0.3%と定めた。
Alは、脱酸のため、および焼ならし加熱の際にオーステナイト結晶粒の粗大化を防止するために、鋼材に添加する。このようなAlの効果は、その量が0.01%未満では充分に発揮されない。一方Al量が0.06%を超えると、上記効果が飽和することに加えて、結晶粒が不安定になる。
Nは、冷間鍛造時に、ひずみ時効を引き起こして、変形抵抗の上昇、変形能の低下の要因となる。そのためN量の上限を0.007%と定めた。
Vは、本発明の鋼材および冷間鍛造部品中の必須元素である。これを焼ならし時に溶かし込むことによって、焼入性を増加させて、ベイナイト組織の生成を促進できる。またVの微細な炭化物が焼戻し時に析出することにより、焼戻しに起因する部品強度の大幅な低下を防ぐことができる。この効果は、V量が0.05%未満では充分に発揮されない。一方、V量が0.3%を越えても、この効果は飽和する。
[Ti:0.1%以下(0%を含む)]
NbおよびTiも、Vと同様に、焼戻し時にその炭化物が微細析出することによって、冷間鍛造部品の強度の低下を防ぐ効果を有する。よって本発明の鋼材および冷間鍛造部品は、必須元素であるVに加えて、Nbおよび/またはTiを任意に含有することができる。これらの効果を充分に発揮させるために、NbおよびTiを、それぞれ0.02%以上の量で含有させることが好ましい。逆に0.1%を超えても効果が飽和するので、Nbおよび/またはTiを含有させる場合、それらの量の上限を、それぞれ0.1%と定めた。
Pb、Bi、MgおよびCaは、鋼材に被削性を付与する効果を有する。よって鋼材に被削性が求められる場合、任意に、Pb、Bi、Mg、Caのいずれか1種以上を合計で0.1%以下(0%を含まない)含有していてもよい。しかしこれらの合計が0.1%を超えると、強度や延性に悪影響を及ぼし得る。
0.55≦A≦0.8 … (1)
A=[C]+0.195[Si]+0.22[Mn]+0.11[Ni]
+0.196[Cr]+0.21[Mo]+0.1[V]+1.19[Nb]
+0.2[Ti] … (2)
〔式中、[C]、[Si]、[Mn]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[V]、[Nb]および[Ti]は、それぞれの合金元素の含有量(質量%)を示す。〕
を満たすことも特徴とする。
まず本発明の製造方法では、鋼材の冷間鍛造を行う。この点、本発明の鋼材は、上記の組成を有し、変形能に優れるため、冷間鍛造において割れにくいという利点を有する。
表1に示す組成の鋼材を、圧延、球状化焼なまし、伸線して、鋼線(径D:24.4mm)を作製し、この鋼線を切断して、円柱形状の試験片(径D:24.4mm、高さH:36.6mm)を作製した。この試験片を、同心円溝付の拘束型耐圧盤により、高さ方向に冷間圧縮して(圧縮率80%)、割れの有無を目視で判定した。その結果を表2に示す。
表1に示す組成の鋼材を、圧延、球状化焼なまし、伸線して、鋼線(径D:24.4mm)を作製し、この鋼線を、円柱形状(径D:24.4mm、高さH:36.6mm)に切断した。次いでこの円柱の片方の底面に六角形(対辺17mm)の後方押出し(減面率56.5%)を行い、もう片方の底面に正方形(対辺12.7mm)の後方押出し(減面率34.5%)を行って冷間鍛造部品を作製した。この部品を、表3に示す条件で熱処理して、割れの有無を目視で判定した。その結果を表3に示す。
表1に示す組成の鋼材の中で、上記[熱処理による割れの判定]試験において割れなかったものを、圧延、球状化焼なまし、伸線して、鋼線(径D:24.4mm)を作製し、この鋼線を切削して、JIS Z2201の14A号の形状の試験片(径D:8.0mm、標点距離L:40mm、平行部の長さP:44mm、肩部の半径R:16mm)を作製した。この試験片を、[熱処理による割れの判定]試験と同じ条件で熱処理した後、引張試験を行い、0.2%耐力または上降伏点、引張り強さ、伸びおよび絞りを測定した。その結果を表4に示す。
一方、本発明の組成要件を満たす鋼材Cから、焼ならし、および低温(450℃)焼戻しによる熱処理(熱処理C1およびC5)で得られたものは、伸びおよび絞りの値が低く、延性が劣っている。
比較鋼Gを、本発明の焼ならし・焼戻し条件で熱処理(熱処理G1)することにより得られたものは、伸びおよび絞りが劣っている。これは、比較鋼G中のSi、Mn量が多く、A値が大きいためである。
比較鋼Iから、焼ならし、および低温(450℃)焼戻しによる熱処理(熱処理H3)で得られたものは、絞りの値が低く、延性が劣っている。
Claims (6)
- C:0.11〜0.30%(質量%の意味、以下同じ)、
Si:0.6%以下(0%を含まない)、
Mn:0.1〜1.80%、
P:0.03%以下(0%を含まない)、
S:0.03%以下(0%を含まない)、
Ni:0.3%以下(0%を含まない)、
Cr:1.0%以下(0%を含まない)、
Mo:0.3%以下(0%を含む)、
Al:0.01〜0.06%、
N:0.007%以下(0%を含まない)、
V:0.05〜0.3%、
Nb:0.1%以下(0%を含む)、および
Ti:0.1%以下(0%を含む)
を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、
前記合金元素が下記式:
0.55≦A≦0.8 … (1)
A=[C]+0.195[Si]+0.22[Mn]+0.11[Ni]
+0.196[Cr]+0.21[Mo]+0.1[V]+1.19[Nb]
+0.2[Ti] … (2)
〔式中、[C]、[Si]、[Mn]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[V]、[Nb]および[Ti]は、それぞれの合金元素の含有量(質量%)を示す。〕
を満たす鋼材を、冷間鍛造した後に、900〜1090℃で焼ならし、次いで500〜700℃で焼戻しすることを特徴とする冷間鍛造部品の製造方法。 - 前記焼ならし時の冷却速度が3〜8℃/秒である、請求項1に記載の方法。
- C:0.11〜0.30%(質量%の意味、以下同じ)、
Si:0.6%以下(0%を含まない)、
Mn:0.1〜1.80%、
P:0.03%以下(0%を含まない)、
S:0.03%以下(0%を含まない)、
Ni:0.3%以下(0%を含まない)、
Cr:1.0%以下(0%を含まない)、
Mo:0.3%以下(0%を含む)、
Al:0.01〜0.06%、
N:0.007%以下(0%を含まない)、
V:0.05〜0.3%、
Nb:0.1%以下(0%を含む)、および
Ti:0.1%以下(0%を含む)
を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、
前記合金元素が下記式:
0.55≦A≦0.8 … (1)
A=[C]+0.195[Si]+0.22[Mn]+0.11[Ni]
+0.196[Cr]+0.21[Mo]+0.1[V]+1.19[Nb]
+0.2[Ti] … (2)
〔式中、[C]、[Si]、[Mn]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[V]、[Nb]および[Ti]は、それぞれの合金元素の含有量(質量%)を示す。〕
を満たすことを特徴とする、請求項1または2の製造方法に用いられる鋼材。 - さらにPb、Bi、Mg、Caのいずれか1種以上を合計で0.1%以下(0%を含まない)含有する、請求項3に記載の鋼材。
- C:0.11〜0.30%(質量%の意味、以下同じ)、
Si:0.6%以下(0%を含まない)、
Mn:0.1〜1.80%、
P:0.03%以下(0%を含まない)、
S:0.03%以下(0%を含まない)、
Ni:0.3%以下(0%を含まない)、
Cr:1.0%以下(0%を含まない)、
Mo:0.3%以下(0%を含む)、
Al:0.01〜0.06%、
N:0.007%以下(0%を含まない)、
V:0.05〜0.3%、
Nb:0.1%以下(0%を含む)、および
Ti:0.1%以下(0%を含む)
を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、
前記合金元素が下記式:
0.55≦A≦0.8 … (1)
A=[C]+0.195[Si]+0.22[Mn]+0.11[Ni]
+0.196[Cr]+0.21[Mo]+0.1[V]+1.19[Nb]
+0.2[Ti] … (2)
〔式中、[C]、[Si]、[Mn]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[V]、[Nb]および[Ti]は、それぞれの合金元素の含有量(質量%)を示す。〕
を満たし、
ミクロ組織の90%以上が、ベイナイト組織であり、
V、並びに任意にNbおよび/またはTiの炭化物が微細析出していることを特徴とする冷間鍛造部品。 - 前記冷間鍛造部品のミクロ組織が、実質的にベイナイト組織単相である請求項5に記載の冷間鍛造部品。
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- 2006-04-07 JP JP2006106755A patent/JP4801485B2/ja not_active Expired - Fee Related
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