JP5282501B2 - 高強度非調質鍛造部品の製造方法 - Google Patents

高強度非調質鍛造部品の製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、フェライト・パーライト組織を有する高強度非調質鍛造部品の製造方法に関する。
従来、自動車のコネクティングロッド(以下コンロッドとする)等の自動車部品その他の機械構造部品は、素材を熱間鍛造した後に焼入れ焼戻し処理(調質処理)を行い、所要の機械的強度を付与した状態で使用されてきた。
しかしながらこの場合調質処理のためにコストがかかることから、近年にあってはこのような調質処理を省略し、鍛造加工のままで所要の強度を発現させることのできる非調質鋼が使用されるに到っている。
通常この非調質鋼の場合、鋼にVを含有させてV炭化物,V炭窒化物(以下単にV炭窒化物とする)の析出による強化で鍛造部品を高強度化している。詳しくは、鍛造加工後の組織をフェライト・パーライト組織とし、そこにVの炭窒化物を析出させることによって鍛造部品に所要の機械的強度を付与するようにしている。
その際、従来の非調質鍛造部品の製造方法では添加したVを鋼の強化のために十分に活用できておらず、強化が不十分であるといった問題があった。
従来の製造方法の場合、鋼を一旦1100℃以上の高温に加熱した後に、熱間(略1050〜1200℃くらいの温度域)で鍛造加工を行い、その後空冷により直接室温まで冷却し、その際の冷却途中でフェライト変態、引き続いてパーライト変態させるようにしており、そしてそのフェライト変態に際してオーステナイト組織中に固溶させたVをフェライトの素地中に炭窒化物として析出させるようにしている。
ところがこの場合、鋼の温度降下の途中で且つ高温域からVの炭窒化物が析出し始めるためにVの炭窒化物の粒が大きくなり、しかも添加したVが炭窒化物として十分析出しきらないうちに鋼が室温まで冷却してしまう。
即ち従来の製造方法の場合、Vの炭窒化物の粒が大きく且つまたVの添加量の割にはVの炭窒化物の析出量が少ないために、その炭窒化物による析出強化を十分に引き出すことができず、結果として鍛造部品の強度を十分に高強度となし得ない問題があった。
これに対して、下記特許文献1には非調質鋼鍛造加工品の製造方法として、鋼を熱間鍛造してフェライト・パーライト組織を有する中間鍛造加工品を得、そして冷却過程で予熱を利用してAr点以下〜200℃の温度範囲内で温間鍛造加工を施し、これによる加工硬化によって耐力と疲労強度を向上させるようにした点が開示されている。
この特許文献1の製造方法の場合、1回目の熱間での鍛造加工と、これよりも低い温度での2回目の鍛造加工とを行うものであるが、この特許文献1の製造方法の場合、2回目の鍛造加工をフェライト・パーライト変態後の低い温度域で行うことから、2回目の鍛造加工の際に鍛造金型への負荷が大となり、金型寿命を短くしてしまって鍛造コストを高めてしまう問題を有している。
他方、下記特許文献2には非調質熱間鍛造部品の製造方法として、鋼を1100〜1300℃まで加熱してオーステナイト温度域で熱間鍛造加工し(仕上温度が950℃を超える温度)、その後オーステナイトからフェライト・パーライト組織への変態が完了する温度以下まで冷却した上で、500〜700℃,15〜60分保持する時効処理を施し、変態にて生成したフェライト中にV炭窒化物を析出させることで降伏強度を高めるようになした点が開示されている。
しかしながらこの特許文献2の製造方法の場合、時効処理のために500〜700℃の温度範囲で15〜60分の長時間保持を行わなければならず、設備のラインが長くなるとともに、熱処理のための所要エネルギーが大となって熱処理コストが高くなる問題がある。
またこの特許文献2の製造方法は、熱間鍛造後において2回目の鍛造加工を行っておらず、製造方法において本発明とは基本的に異なったものである。
特開2003−55714号公報 特開2003−113419号公報
本発明は以上のような事情を背景とし、鍛造設備への負荷を抑えつつ、V添加量に見合うだけの析出強化を図り得、鍛造コストを増大させることなく鍛造部品のより一層の高強度化を達成することのできる高強度非調質鍛造部品の製造方法を提供することを目的としてなされたものである。
而して請求項1はフェライト・パーライト組織を有する高強度非調質鍛造部品の製造方法に関するもので、質量%でC:0.35〜0.55%,Si:0.20〜1.20%,Mn:0.50〜1.30%,Cu:0.5%以下,Ni:0.5%以下,Cr:0.05〜0.5%,V:0.20%〜0.45%,N:0.0080〜0.0200%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物の組成を有する熱間鍛造用非調質鋼を一旦1100℃以上に加熱して1050℃以上の熱間で1回目の鍛造加工を行った後、10℃/s以上の速い冷却速度で冷却を行って、引き続き連続して580〜540℃の温度範囲で2回目の鍛造加工を行い、引き続き連続して600℃〜540℃の温度範囲に600秒以上保持する保持処理を行った後、室温まで冷却することを特徴とする。
発明の作用・効果
以上のように本発明は、Vを0.20〜0.45%含有する鋼(熱間鍛造用非調質鋼)を、図1(A)の模式図に示しているように一旦1100℃以上に加熱し、そして1050℃以上の熱間で先ず1回目の鍛造加工を行う。
この1回目の熱間での鍛造加工は、鍛造部品の大まかな全体形状を形成する加工としての意味を持つ。
このときの加工は熱間での加工であるため変形抵抗は小さく、鍛造金型への負荷を可及的に小さくすることができ、鍛造設備への負荷を抑えることができる。
本発明の製造方法では、上記の1回目の熱間での鍛造加工に引き続いて、図1(A)に示しているように10℃/s以上の速い冷却速度で冷却を行う。そして引き続き580〜540℃の温度範囲内で2回目の鍛造加工を行う。
そして更に引き続いて600〜540℃の温度に600秒以上保持する保持処理を行い、その後に室温までの冷却を行う。
ここで1回目の熱間での鍛造加工に続く急速冷却は、V炭窒化物の析出による強化を最大限引き出すため、冷却途中にフェライト変態が生じたり、また冷却途中の高温域で炭窒化物が析出してV炭窒化物が粗大粒子化するのを防ぐ意味を有している。
またこの急速冷却に引き続く2回目の鍛造加工は、その後のフェライト変態及びフェライト変態と同時に発生する微細なV炭窒化物の析出を誘起し、併せてマトリックス組織(フェライト・パーライト組織)を微細化する意味を有している。
そしてその後の600〜540℃の温度範囲での600秒以上の保持処理は、この間にフェライト変態を生ぜしめるとともに、併せて微細なV炭窒化物をV添加量に見合った十分な量で析出させる意味を有している。
尚、図1(B)のSは本発明に従って鍛造部品を製造したときのフェライト変態開始ノーズ(フェライト変態開始曲線)を表しており、S′は従来の製造方法に従って鍛造部品を製造したときのフェライト変態開始ノーズを表している。本発明では1回目の鍛造加工に続く急速冷却及び2回目の鍛造加工によってフェライト変態開始ノーズがS′→Sへと短時間側に移行している。
またFはフェライト変態終了ノーズ(フェライト変態終了曲線)を表しており、加工によりF´→Fへと短時間側に移行する。
即ち本発明では、フェライト変態開始前に2回目の鍛造加工を終了し、そしてその後上記の所定温度での保持によってフェライト変態を開始させ、且つフェライト変態が完了するまでその所定温度への保持を行う。そしてフェライト変態を完了させた後において室温までの冷却を行う。
尚、図1(B)中のBはベイナイト変態開始ノーズ(ベイナイト変態開始曲線)を表している。
また図1(B)の2点鎖線は、熱間での鍛造加工の後、そのまま室温まで空冷にて冷却する従来の製造方法の鍛造加工後のプロセスを模式的に表している。
従来の製造方法に従って熱間での鍛造加工の後、室温までの空冷を行い、図2(ロ)の模式図に示しているように、変態する前のオーステナイト粒10の状態から通常に変態させると、その粒界に沿ってフェライト粒12が析出し、そしてその後フェライト粒12で囲まれた内側のオーステナイト粒10が変態によりパーライト粒14となる。即ち変態する前のオーステナイト粒10のサイズがそのままパーライト粒14のサイズとなり、結果としてパーライト粒14のサイズは大きくなる。
これに対して、580〜540℃での2回目の鍛造加工を行うと、図2(イ)の模式図に示しているようにオーステナイト粒10が加工によって潰れるように変形し、またこのとき同時に歪みバンドと言われる変形帯16が生じて、フェライト粒12がオーステナイト粒10の粒界のみならず、この変形帯16に沿っても析出する。
オーステナイト粒10は、その後パーライト変態するが、このときパーライト粒14のサイズは変形帯16で分断されたサイズとなる。
即ちその変形帯16にて分断されたサイズが、パーライト粒14のサイズとなる。
因みにこの2回目の鍛造加工を高温度で行うと、オーステナイト粒12が直ぐに再結晶してしまい、変形帯16が直ぐに消えてしまうため高温度での鍛造加工は意味をなさない。
本発明に従って2回目の鍛造加工を施した場合、このようにしてマトリックス組織(フェライト・パーライト組織)が微細化され、その微細化の効果によって鍛造部品が高強度化する。
また本発明では、その後に600〜540℃の低い温度で所定時間保持する工程で、V炭窒化物が微細に析出し(低い温度での析出であるためV炭窒化物がフェライト素地中微細に析出する)、加えて本発明では、その所定温度での保持をフェライト変態が完了するまで行うため、鋼に固溶していたVがその添加量に見合った量でV炭窒化物として多量にフェライト素地中に析出する。
そしてそのことによってフェライト自体が効果的に高強度化され、そしてそのフェライトの高強度化とパーライトの小サイズ化による高強度化とが相まって、即ちそれらの相乗効果によって鍛造部品が効果的に高強度化される。
即ち本発明によればV添加量に見合った量でV炭窒化物が多量に析出し、しかもそのV炭窒化物が微細に析出する。またこれと併せてマトリックス組織の微細化により鍛造部品の強度が高強度化する。
また2回目の鍛造加工では、1回目の熱間での鍛造加工により鍛造部品の全体の大まかな形状が既に形成されているため、鍛造加工の加工量は少なくて済み(2回目の鍛造加工は主として高強度化を図るための加工である)、従って2回目の鍛造加工は低温での加工であるにも拘らず鍛造金型への負荷が小さい。
即ち本発明では、全体として鍛造設備への負荷は小さく、既存の鍛造設備をそのまま用いることが可能で、鍛造部品製造のためのコストを安価に抑えることができる。
また本発明は、鋼に添加したVを鍛造部品の強化に十分に活用できるため、鍛造部品を従来に増して一層高強度化でき、また強度を従来と同等レベルに維持する場合にはV添加量を従来よりも少なくすることができ、材料コストひいては鍛造部品製造の所要コストを低減することができる。
更に本発明ではフェライト変態,V炭窒化物の析出を行わせるのに先立って、それらフェライト変態,V炭窒化物析出を促進するための2回目の鍛造加工を行っているため、2回目の鍛造加工後におけるフェライト変態,V炭窒化物析出のための所定温度での保持時間を最短600秒まで短縮することができ(特許文献2の製造方法では時効処理のため15〜60分程度の保持時間が必要である)、従って設備のラインを短くでき、また熱処理コストを低減することができる。
尚、本発明では2回目の鍛造加工を圧下率10%以上,30%以下で行うことが望ましい。
また2回目の鍛造加工後の600〜540℃の温度での保持の時間は600秒以上,1500秒以下とすることが望ましい。
本発明では、上記熱間鍛造非調質鋼として、質量%でC:0.35〜0.55%,Si:0.20〜1.20%,Mn:0.50〜1.30%,Cu:0.5%以下,Ni:0.5%以下,Cr:0.05〜0.5%,V:0.20%〜0.45%,N:0.0080〜0.0200%を含有し、残部Fe及び不可避的不純物の組成を有するものを用る。

次に本発明における各化学成分及び製造条件の限定理由を以下に詳述する。
C:0.35〜0.55%
Cは強度向上のための重要な元素であって、0.35%未満では強度不足となる。しかしながら0.55%を越えると引張強度が高くなり、切削性を損なう。
Si:0.20〜1.20%
Siはフェライトに固溶して耐力向上に寄与する。但し含有量が0.20%未満では強度不足となる。一方1.20%を越えて添加すると切削性の低下や熱間鍛造性の劣化を招く。
Mn:0.50〜1.30%
Mnは鋼の焼入性を高めて強度向上に有効である。但し0.50%未満では強度不足となる。一方1.30%を越えるとベイナイト組織を生じ易くなり、切削性の悪化を招く。
Cu:0.5%以下
Cuは析出強化による強度向上に寄与する。但し0.5%を超えると熱間加工性が悪化するため0.5%を上限とする。
Ni:0.5%以下
Niは鋼の焼入性を高めて強度向上に有効な元素である。但しあまり多量に添加すると焼入性が過剰となり、ベイナイト組織を形成することと、経済性を損ねるため、0.5%以下とする。
Cr:0.05〜0.5%
Crは鋼の焼入性を高めて強度向上に有効である。但し0.50%未満では強度不足となる。一方1.30%を越えるとベイナイト組織を生じ易くなり、切削性の悪化を招く。
V:0.20%〜0.45%
Vはフェライト中に炭化物あるいは炭窒化物として析出して強度を向上させる重要な元素である。0.20%未満ではこの効果が十分に得られない。但し0.5%を越えると鋼の経済性が損なわれる。
N:0.0080〜0.0200%
NはVと炭窒化物を形成し強度向上に寄与する。この作用を有効に利用するためには0.0080%以上含有させることが望ましい。但し0.0200%を越えると熱間鍛造性が悪化するため、これ以下に抑える必要がある。
加熱温度:1100℃以上
添加したVを十分に固溶させるため、加熱温度は1100℃以上とする。
1回目鍛造:1050℃以上
鍛造荷重の増大を防止するため、1050℃以上の温度で1回目の鍛造を行う必要がある。
1回目鍛造後の冷却速度:10℃/s以上の速い冷却
冷却中にフェライト変態を生ぜしめないため、この速度以上の速い速度で冷却を行う必要がある。フェライト変態が発生すると粗大なV炭窒化物が析出し、十分な析出強化が得られなくなる。
2回目鍛造の際の圧下率:2回目の鍛造で、その後のフェライト変態を十分に誘起するため、この2回目の鍛造加工を10%以上の加工率(圧下率)で行うことが望ましい。
但しあまり加工量が大きいと鍛造設備への負荷が大きくなるため、30%以下に抑えることが望ましい。
2回目鍛造温度:580〜540℃
2回目鍛造後の保持温度:600〜540℃
これらの温度が上記下限値よりも低い温度であると、ベイナイトが析出して耐力が低下する。従って2回目の鍛造加工及びその後の保持については540℃以上とする必要がある。
一方2回目の鍛造加工及びその後の保持の温度が高過ぎると、変態が短時間で完了しなくなるため、2回目の鍛造加工については580℃以下、その後の温度保持は600℃以下とする必要がある。
保持時間:600秒以上
保持の時間が短か過ぎると変態が完了せず、その後の冷却で急冷を行ったときにマルテンサイト変態が生じてしまう。従って最短でも600秒以上の保持が必要である。
一方保持時間が長過ぎると鋼が軟化し、耐力が低下してしまうため、1500秒以下の保持時間とすることが望ましい。
保持後の冷却:保持後の冷却については、冷却が緩冷であると鋼が軟化するため急冷することが望ましい。具体的には3℃/s以上の冷却速度とすることが望ましい。
次に本発明の実施形態を以下に詳しく説明する。
表1に示す化学組成の鋼(表1中の各成分の数値は質量%で残部はFe。表1ではVが0.45%含有されている)を用いて、図3に示す鍛造部品(ここではテストピース)20を製造した。
詳しくは、表2中のB,C(B,Cは実施例)については、図4(イ)のプロセス(I)に従ってφ26×90mmの素材22(図3参照)を高周波誘導加熱(IH加熱)で1200℃まで加熱して60秒保持し、その後1100℃まで空冷した後、圧下率30%で1回目の鍛造加工を行い、中間加工品24(図3参照)とした後、更に10℃/sの速度で冷却して、表2に示す温度で引続き連続して2回目の鍛造加工(圧下率10%)を行い、引続き連続して同じ温度で600秒保持した後、3℃/sの冷却速度で室温まで冷却した。
尚圧下率は、加工前の高さから加工後の高さを差し引いた値を加工前の高さで除した値に100を掛けた値である。
例えば図3に示すように中間加工品24の高さをh,鍛造部品20の高さをh′としたとき、中間加工品24から鍛造部品20を加工したときの圧下率は
圧下率=(h−h′)/h×100
で表される。
また表2中のAについては、図4(ロ)の従来のプロセス(II)に従って同じサイズの素材22を1200℃まで加熱し、その後1100℃まで空冷した後、圧下率30%の鍛造加工を行い、その後室温まで空冷した。
一方、表2中のD〜Gは比較例としてのもので、図4(イ)のプロセス(I)に準じて鍛造加工を行っているが、2回目の鍛造加工前の冷却速度,2回目の鍛造加工の温度,その後の保持の温度等が本発明の条件から外れている。
以上のような条件で鍛造加工を行った最終加工品から引張試験片を採取し(図3中のXは採取個所を示している)、引張試験を行って0.2%耐力を測定した。その結果が表2に併せて示してある(表2及び図4では、冷却速度の数値に−を付けて温度が降下することを表している)。
尚引張試験はJIS Z 2241に準じて行った。試験片はJIS Z 2201に規定する試験片とした。
Figure 0005282501
Figure 0005282501
表2の結果において、従来の鍛造プロセスに従って鍛造加工したAについては0.2%耐力が低いものとなっている。
一方比較例としてのDは、2回目の鍛造加工に先立つ冷却の際の冷却速度が3℃/sと小さいため、冷却途中に粗大なV炭窒化物が析出して、そのため十分な強度向上が得られていない。
また比較例Eについては、2回目の鍛造加工温度及びその後の保持温度が低いため、ベイナイト(B)が析出してしまっている。そのため切削性が悪い。
比較例Fは、2回目の鍛造加工温度が600℃と高過ぎるため、V炭窒化物が粗大化して、その結果0.2%耐力が低いものとなっている。
比較例Gは、2回目の鍛造加工後の保持時間が短か過ぎ、変態が完了しないまま冷却したためにマルテンサイト組織となっている。
これに対し実施例のB,Cは0.2%耐力が高く、強度向上が十分に行われている。
次に表3に示す化学成分の鋼を用いて(この例は鋼の組成をV含有量0.20%の組成とした例である)、上記と同様にして鍛造加工を行い、最終鍛造部品から引張試験片を採取して引張試験を行い、0.2%耐力を測定した。
その結果が表4に示してある。
Figure 0005282501
Figure 0005282501
この表4の結果に見られるように、V含有量が本発明の下限値である0.20%である場合においても、V添加量が低い分0.2%耐力が全体に亘って小さくなっているものの、上記とほぼ同じような結果が得られている。
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
本発明の製造方法を模式化して表した図である。 オーステナイト粒からの変態の様子を模式的に表した図である。 本発明の実施形態における鍛造部品の加工の工程を示した図である。 同実施形態の鍛造部品鍛造のプロセスを従来のプロセスとともに示した図である。

Claims (1)

  1. 質量%で
    C:0.35〜0.55%
    Si:0.20〜1.20%
    Mn:0.50〜1.30%
    Cu:0.5%以下
    Ni:0.5%以下
    Cr:0.05〜0.5%
    V:0.20%〜0.45%
    N:0.0080〜0.0200%
    を含有し、残部Fe及び不可避的不純物の組成を有する熱間鍛造用非調質鋼を一旦1100℃以上に加熱して1050℃以上の熱間で1回目の鍛造加工を行った後、10℃/s以上の速い冷却速度で冷却を行って、引き続き連続して580〜540℃の温度範囲で2回目の鍛造加工を行い、引き続き連続して600℃〜540℃の温度範囲に600秒以上保持する保持処理を行った後、室温まで冷却することを特徴とするフェライト・パーライト組織を有する高強度非調質鍛造部品の製造方法。
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