JP6460883B2 - 加工性に優れた熱処理鋼線の製造方法 - Google Patents

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本発明は、熱処理鋼線の製造方法に関し、詳細には加工性に優れた熱処理鋼線の製造方法に関する。
自動車の軽量化や自動車エンジンの高出力化に伴い、エンジン、クラッチ、燃料噴射装置などに使用される各種ばねには、高強度化が要求されている。これら弁ばねやクラッチばねにはオイルテンパー線(以下、「熱処理鋼線」ということがある)が用いられている。
熱処理鋼線の製造方法の一例を以下に示す。まず所定の成分に精練・分塊された鋼塊を熱間圧延で直径5.0〜8.0mm程度の線材に加工し、コイル状に巻き取って冷却する。その後、鋼線材(以下、「圧延線材」ということがある)表層の疵や脱炭部を除去する皮削り処理を実施する。更にその後、高周波等で軟化焼鈍処理、またはパテンティング処理を行った後、所望の線径、例えば弁ばね用の場合は直径3〜4mm程度まで伸線加工する。得られた伸線加工線材はその後、オイルテンパーと呼ばれる焼入れ、焼戻し処理を実施して熱処理鋼線が得られる。弁ばねやクラッチばねなどの各種ばねは、このようにして得られた熱処理鋼線をばね状に加工することで得られる。
弁ばねやクラッチばねの高強度化にはばね母材とばね表層の硬さを向上させることが重要であると考えられている。例えば表層の硬さは、窒化処理、ショットピーニング処理等の表面処理を施して向上させている。また母材の硬さは伸線加工後の焼入れ、焼戻し処理によって向上させている。しかしながら焼入れ、焼戻し処理は母材の硬さを向上させるだけでなく、その後の加工性に影響を及ぼすことが知られている。例えば焼戻し温度を下げると母材の硬さは向上するが靱延性が低下するため、加工性が低下してコイリング時に断線することがある。そのため熱処理鋼線の靭延性の低下を伴わずに母材硬さを向上させることは困難であった。
そこで、このような課題に対してこれまでにも以下のような技術が提案されている。
特許文献1には、所定の化学成分組成を有し、引張強度TSが1900MPa以上、かつ検鏡面に占めるセメンタイト系球状炭化物に関して円相当径0.2μm以上の占有面積率が7%以下、円相当直径0.2〜3μmの存在密度が1個/μm2以下、円相当直径3μm超の存在密度が0.001個/μm2以下を満たし、かつ旧オーステナイト粒径番号が10番以上、最大炭化物径が15μm以下かつ最大酸化物径が15μm以下であることを特徴とするばね用熱処理鋼線が開示されている。該技術では熱処理によって鋼中炭化物形状を制御することで、バネの製造に十分なコイリング特性を確保している。
特許文献2には所定の化学成分組成を有し、熱処理後の抽出残渣分析値で[0.2μmフィルター上の残渣中のFe量]/[鋼電解量]×100≦1.1%であることを特徴とする高強度ばね用熱処理鋼が開示されている。この技術では鋼中のFe炭化物の挙動を制御することによって、高強度且つ靭性と加工性に優れた熱処理鋼が提供できる。特にこのような熱処理鋼は焼入れ後、焼戻し工程、ばね成型後のひずみ取り工程、および窒化工程において加熱温度を450℃未満に抑制することで得られることが開示されている。
特開2002−180198号公報 国際公開第2007/114490号
熱処理鋼線の靭延性向上には旧オーステナイト結晶粒(以下、「旧γ結晶粒」ということがある。)を微細化することが有効であるが、これまでに提案されている技術は、旧γ結晶粒を十分に微細化できない。そのため熱処理鋼線の靭延性を十分に改善できず、加工性に劣っていた。例えば特許文献1では、鋼中には10μmを超える粗大な炭化物を含むためコイリング性や疲労強度が十分ではなかった。また特許文献2の焼入れ処理では旧γ結晶粒径の微細化は限定的であった。また従来技術では旧γ結晶粒を微細化するためにNbやWなどの高価な元素を添加したり、或いは加工性を向上させるために炭化物の形態制御を行うなど、製造コストが高かった。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、旧γ結晶粒径をより微細化して靭延性を向上させ、加工性に優れた熱処理鋼線を製造する方法を提供することである。
上記課題を解決し得た本発明に係る熱処理鋼線の製造方法は、質量%で、C:0.5〜0.8%、Si:1.0〜2.5%、Mn: 0.5〜1.5%、P:0%超、0.02%以下、S:0%超、0.02%以下、Cr:0.3〜2.0%、Al:0%超、0.01%以下、N:0%超、0.007%以下、O:0%超、0.005%以下を含有し、残部が鉄および不可避不純物からなる鋼を熱間圧延して伸線加工した後、焼入れ、焼戻し処理を施こす際に、前記焼入れ処理は2回以上の加熱−焼入れ工程を含み、且つ最後に行われる加熱−焼入れ工程は850〜950℃の範囲で加熱すると共に、前記加熱温度までの平均加熱速度を100℃/秒以上、前記加熱温度での保持時間を5秒以下とすることに要旨を有する。
更に質量%で、Ni:0%超、0.3%以下、V:0%超、0.5%以下、B:0%超、0.01%以下よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことも好ましい実施態様である。
また本発明は前記最後に行われる加熱−焼入れ工程以外の加熱−焼入れ工程は850〜950℃の範囲内で加熱すると共に、該加熱温度以上での保持時間を20〜120秒、とすることも好ましい実施態様である。
本発明には上記製造方法によって得られる熱処理鋼線を用いて得られるばねも含まれる。
本発明の製造方法によれば、焼入れ条件を適切に制御しているため、旧γ結晶粒を微細化できる。その結果、靭延性が向上し、加工性に優れた熱処理鋼線を提供できる。
したがって本発明の製造方法によれば、WやNbなどの高価な元素を添加することなく、従来よりも微細な旧γ結晶粒を実現できる。そのため、炭化物の形態を制御しなくても熱処理鋼線の加工性を飛躍的に向上できる。
図1は実施例における3点曲げ押し込み試験の概略説明図である。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、伸線加工後の焼入れ、焼戻し処理において、焼戻し処理前に加熱−焼入れ工程を複数回行うと共に、最後に行う加熱−焼入れ工程における熱処理条件を適切に制御することで、旧γ結晶粒を飛躍的に微細化でき、熱処理鋼線の靭延性が向上して良好な加工性が得られることを見出し、本発明を完成した。
本発明では複数回の加熱−焼入れ工程を行うことで組織の均一化が図れると共に、熱処理鋼線の靭延性に悪影響を及ぼす10μmを超える粗大な未溶解炭化物を低減できる。その結果、加工時の折損などが防止されて加工性を向上できる。
また複数回の加熱−焼入れ工程のうち、焼戻し処理直前であって、一番最後の加熱−焼入れ工程における熱処理条件、特にオーステナイト化温度域での加熱を極く短時間で行うことで微細な炭化物が多数生成され、その結果、旧γ結晶粒を微細化できる。旧γ結晶粒は微細な程、熱処理鋼線の靭延が性は向上して良好な加工性が得られる。特に旧γ結晶粒を十分に微細化することによって、炭化物の形態を制御しなくても熱処理鋼線の加工性を飛躍的に向上できる。
本発明の製造方法によれば、旧γ結晶粒は好ましくはJIS G0551(2013年)に規定の結晶粒度番号GS#13.0番以上、より好ましくはGS#13.5番以上、更に好ましくはGS#14.0番以上に微細化することが可能である。
なお、加熱−焼入れ工程において加熱保持時間とは所定の加熱温度に加熱されている合計時間である。例えば実施例の試験No.1の加熱温度は880℃であり、加熱保持時間1秒とは880℃以上での加熱時間の合計である。また加熱温度は非接触温度計で測定した温度である。
まず、本発明に係る熱処理鋼線に用いられる鋼中の化学成分組成について説明する。
[C:0.5〜0.8%]
Cは、ばねの強度、耐へたり性の向上に有効な元素である。このような効果を有効に発揮させるには、C含有量は0.5%以上、好ましくは0.55%以上、より好ましくは0.6%以上である。C含有量の増加に伴ってばねの強度・耐へたり性は向上するが、添加量が過剰になると粗大セメンタイトを多量に析出し、ばね加工性、ばね特性に悪影響を及ぼす。そのためC含有量は0.8%以下、好ましくは0.7%以下、より好ましくは0.65%以下である。
[Si:1.0〜2.5%]
Siは、鋼の脱酸、及びばねの強度、耐へたり性の向上に有効な元素である。このような効果を有効に発揮させるには、Si含有量は1.0%以上、好ましくは1.2%以上、より好ましくは1.4%以上である。一方、Si含有量が過剰になると、材料を硬化させるだけでなく、延性・靭性を低下させる他、表面の脱炭量が増加して疲労特性を低下させることがある。そのためSi含有量は2.5%以下、好ましくは2.4%以下、より好ましくは2.3%以下である。
[Mn:0.5〜1.5%]
Mnは、鋼の脱酸、鋼中SをMnSとして固定することに加えて、焼入れ性を高めてばね強度の向上に貢献する。このような効果を有効に発揮させるには、Mn含有量は0.5%以上、好ましくは0.6%以上、より好ましくは0.7%以上である。一方、Mn含有量が過剰になると、焼入れ性が過度に向上するため、マルテンサイト、ベイナイト等の過冷組織が生成しやすくなる。そのため、Mn含有量は1.5%以下、好ましくは1.4%以下、より好ましくは1.3%以下である。
[P:0%超、0.02%以下]
Pは旧オーステナイト粒界に偏析し、組織を脆化させるため疲労特性が低下する。そのためP含有量は、0.02%以下、好ましくは0.018%以下である。P含有量は少ないほど好ましいが、ゼロとするのは製造上困難であり、0.003%程度は不可避不純物として含有することがある。
[S:0%超、0.02%以下]
Sは旧オーステナイト粒界に偏析し、組織を脆化させるため疲労特性が低下する。そのためS含有量は、0.02%以下、好ましくは0.015%以下である。S含有量は少ないほど好ましいが、ゼロとするのは製造上困難であり、0.003%程度は不可避不純物として含有することがある。
[Cr:0.3〜2.0%]
Crは、焼入れ性を向上させて、ばね強度を向上させることに加え、Cの活量を低下させて圧延時や熱処理時の脱炭を防止する効果がある。このような効果を有効に発揮させるにはCr含有量は、0.3%以上、好ましくは0.4%以上、より好ましくは0.5%以上である。一方、Cr含有量が多いと、熱処理時に粗大な未溶解炭化物が生成し疲労強度を低下させる。そのためCr含有量は2.0%以下、好ましくは1.8%以下、より好ましくは1.5%以下である。
[Al:0%超、0.01%以下]
Alは、鋼中でAlやAlNの介在物を形成する。これらの介在物はばねの疲労寿命を著しく低下させる。そのためAl含有量は0.01%以下、好ましくは0.005%以下である。
[N:0%超、0.007%以下]
NはAlと結合してAlNの介在物を形成する。AlN介在物はばねの疲労寿命を著しく低下させる。またNは伸線加工中の時効脆化を促進するため、二次加工を難しくする。そのためN含有量は0.007%以下、好ましくは0.005%以下である。
[O:0%超、0.005%以下]
Oは過剰に含有されると粗大な非金属介在物を生成して疲労強度を低下させる。そのためO含有量は0.005%以下、好ましくは0.003%以下である。
本発明の熱処理鋼線の基本成分は上記の通りであり、残部は実質的に鉄である。但し、鉄原料(スクラップを含む)、副原料などの資材、製造設備などの状況によって不可避的に混入するCa、Naなどの不可避不純物が鋼中に含まれることは当然に許容される。
本発明の鋼材には、必要に応じて更にNi、V、Bよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有させてもよく、含有させる元素の種類、含有量に応じて熱処理鋼線の特性を更に改善できる。これらの元素を含有させるときの好ましい範囲設定理由は下記の通りである。
[Ni:0%超、0.3%以下]
Niは、焼入れ性を向上させて、ばね強度を向上させることに加えて、更にばねの靭性を向上させる効果がある。このような効果を有効に発揮させるにはNi含有量は、好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.1%以上である。一方、Ni含有量が多いとコスト面で劣るだけでなく、焼入れ性が過度に向上するため、マルテンサイト、ベイナイト等の過冷組織が生成しやすくなる。そのため、Ni含有量は好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.25%以下、更に好ましくは0.2%以下である。
[V:0%超、0.5%以下]
Vは、熱処理時に結晶粒を微細化する作用があり、延性、靭性を向上させる。また、ばね成形後の歪取焼鈍時に2次析出硬化を起こしてばねの強度の向上に寄与する。このような効果を有効に発揮させるには、V含有量は好ましくは0.03%以上、より好ましくは0.07%以上である。一方、V含有量が多くなると、熱処理時に粗大な未溶解炭化物が生成し疲労強度を低下させる。そのため、V含有量は好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.40%以下、更に好ましくは0.35%以下である。
[B:0%超、0.01%以下]
Bは、焼入れ性の向上とオーステナイト結晶粒界の清浄化作用があり、延性・靭性を向上させる。この様な効果を有効に発揮させるには、B含有量は好ましくは0.001%以上、より好ましくは0.015%以上、更に好ましくは0.002%以上である。一方、Bを過剰に含有させるとFeとBの複合化合物が析出し、熱間圧延時の割れを引き起こす危険がある。また、焼入れ性が過度に向上するため、マルテンサイト、ベイナイト等の過冷組織が生成しやすくなる。そのため、B含有量は好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.008%以下、更に好ましくは0.006%以下である。
本発明の熱処理鋼線は、上記化学成分組成からなる鋼を熱間圧延して伸線加工した後、所定の条件で焼入れ処理した後、焼戻し処理することで製造できる。伸線加工線材の製造方法は特に限定されず、公知の製造条件を採用でき、例えば上記化学成分組成を有する鋼を溶製、鍛造、圧延した後、皮削り処理、焼鈍処理、またはパテンティング処理を行ってから伸線加工すればよい。
例えば上記所定の化学成分組成を満足する鋼塊を溶鉱炉で溶製した後、この鋳塊を分塊圧延して所定サイズのビレットを作製し、900〜1100℃程度に加熱した後、所望の圧下率で熱間圧延し、所望の線径の線材とすればよい。その後、皮削り処理、軟化焼鈍処理、パテンティング処理等を行った後、伸線加工して所望の線径を有する線材とすればよい。
本発明では伸線加工線材に対する焼入れ処理において、加熱−焼入れ工程を2回以上行うと共に、焼戻し前の最後の加熱−焼入れ工程の熱処理条件を適切に制御することが重要である。
加熱−焼入れ工程を複数回行うことで組織の均一化と、粗大な未溶解炭化物の低減を図ることができる。加熱−焼入れ工程は複数回行うが、回数が増えると製造コストも増加することから、少なくとも2回行えばよい。以下では加熱−焼入れ工程を2回行う場合を説明するが、加熱−焼入れ工程は3回以上行ってもよく、また加熱−焼入れ工程を3回以上行う場合は、最後の加熱−焼入れ工程以外は1回目の加熱−焼入れ工程と同じ熱処理条件を採用すればよい。
旧γ結晶粒の微細化は最後に行う加熱−焼入れ工程の熱処理条件が影響するため、最後に行う加熱−焼入れ工程以外の工程の熱処理条件は特に限定されないが、金属組織の均一化を図ると共に、粗大な未溶解炭化物の低減を図る観点からは、1回目の加熱−焼入れ工程の加熱温度は好ましくは850℃以上、より好ましくは880℃以上、更に好ましくは900℃以上であって、好ましくは950℃以下、より好ましくは940℃以下である。また加熱保持時間は好ましくは20秒以上、より好ましくは30秒以上、更に好ましくは40秒以上、最も好ましくは50秒以上であって、好ましくは120秒以下、より好ましくは110秒以下、更に好ましくは100秒以下である。この際の平均加熱速度は特に限定されないが好ましくは100℃/秒以上、より好ましくは200℃/秒以上であり、電気炉、高周波加熱装置による加熱が好ましい。
所定の時間加熱保持した後、焼入れを行うが、焼入れ手段も特に限定されず、例えば50〜60℃程度に加熱された油焼入れを採用できる。油焼入れによる冷却温度は特に限定されないが、好ましくは200℃以下、より好ましくは100℃以下、更に好ましくは常温である。冷却後再び加熱して焼入れを行えばよい。
最後の加熱−焼入れ工程の熱処理条件を適切に制御することで上記したように旧γ結晶粒の微細化が図れる。具体的には平均加熱速度、加熱温度、加熱保持時間を制御することが重要である。
最後に行われる加熱−焼入れ工程における加熱はオーステナイト化温度域でおこなう。加熱温度が低すぎるとオーステナイト化が不十分となり十分な強度が得られないため、加熱温度は850℃以上、好ましくは860℃以上、より好ましくは870℃以上である。一方、加熱温度が高すぎると旧γ結晶粒が成長して粗大化するため、加熱温度は950℃以下、好ましくは940℃以下、より好ましくは930℃以下である。また上記温度域での保持時間を短くすることで、微細な炭化物を多数生成させることができ、旧γ結晶粒を微細化できる。具体的には上記温度域での加熱時間は5秒以下、好ましくは4秒以下、より好ましくは3秒以下である。加熱時間の下限は特に限定されないが、加熱時間が1秒未満の場合は加熱不足により組織が不均一となり、均一な組織が得られないことがあるため、好ましくは1秒以上、より好ましくは2秒以上である。
同様に上記温度域での加熱時間を短くする観点から、平均加熱速度は100℃/秒以上、好ましくは200℃/秒以上である。加熱速度の制御は装置の出力によって制御可能であり各種加熱装置を用いることができるが、上記高速加熱に適した加熱手段としては例えば高周波加熱装置が例示される。上記加熱後の焼入れは特に限定されず、例えば上記油焼入れでよい。
本発明では複数回の加熱−焼入れ工程後に焼戻し処理を行う。焼戻し条件は特に限定されず、所望の引張強度が得られるように適宜調整すればよい。例えば引張強度は好ましくは2100MPa以上、より好ましくは2150MPa以上、好ましくは2250MPa以下、より好ましくは2200MPa以下となるように制御することが望ましい。
上記得られた本発明の熱処理鋼線は、後記実施例に示すように加工性に優れた特性を示す。本発明の熱処理鋼線は所望のコイル径、自由高さ、巻き数に加工して弁ばねやクラッチばね、エンジンばね、トランスミッションばねなど各種ばねを製造できる。熱処理鋼線には加工する際に必要に応じて窒化処理や真空浸炭処理などの公知の各種処理を施してもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
表1に示す化学成分組成の鋼塊150kgを小型真空溶解炉で溶製した後、鍛伸加工してビレットを作製した。このビレットを900℃以上に加熱し、熱間圧延して線径φ8.0mmの圧延線材を製造した。この圧延線材を皮削り処理して表層の脱炭層、疵等を除去した後、600℃で時間保持して焼鈍処理を行った後、冷間伸線加工して線径φ4.0mmになるように冷間伸線加工した。
続いて表2に示す条件で焼入れ処理を行った。なお、各試験の1回目、および2回目の加熱−焼入れ工程の加熱は平均昇温速度を約500℃/秒に調整した高周波加熱装置を使用して所定の温度まで加熱した。また焼入れは約60℃の油焼入れを行った。焼戻し処理の引張強度が2170〜2200MPaとなるように実施し、熱処理鋼線を製造した。
得られた熱処理鋼線の旧γ結晶粒径、引張強度、絞り、曲げ加工性、未熔解炭化物は次のように測定して表2に記載した。
[旧γ結晶粒径]
JIS G 0551(2013年)に記載の「オーステナイト結晶粒度の測定」に基づいて結晶粒度を測定した。結晶粒度番号13.0以上を微細化された旧γ結晶粒と判定した。
[引張強度、絞り]
オートグラフ(島津製作所製)にて評価間距離を200mm、ひずみ速度20mm/minとして引張り試験を行い引張強度、測定を行い、破面形状から絞りを測定した。絞りが45%以上であれば靭延性に優れると判定した。
[曲げ加工性]
図1に示す方法で3点曲げ押し込み試験を行い割れが発生した曲げ深さを測定した。押し込みによる曲げ深さ30mm以上を曲げ加工性に優れる「P」(Pass)、30mm未満を曲げ加工性に劣る「F」(Failure)と判定した。また曲げ深さが35mmに到達した試験片は「破断なし」と記載した。
[未溶解炭化物]
熱処理鋼線の横断面を埋め込み研磨し、ピクリン酸を用いた化学腐食を実施した後、表層を倍率1000倍でランダムに10視野(合計面積約6,000μm2)のSEM観察を行った。円相当直径で10μm超の炭化物を確認できなかった場合は「なし」、確認できた場合は「あり」と表中に記載した。
試験No.1〜16は本発明で規定する要件を満足する例であり、旧γ結晶粒が十分に微細化されていると共に粗大粒が存在していない。その結果、靭延性、曲げ加工性のいずれの特性にも優れた効果を奏した。
試験No.17、20は、2回目の加熱−焼入れ工程における加熱温度が高すぎた例である。そのため旧γ結晶粒を十分に微細化できず、靭延性に乏しかった。また曲げ試験で早期に破断した。
試験No.18、19は、2回目の加熱−焼入れ工程における加熱温度が低すぎた例である。そのためオーステナイト化が不十分であり、靭延性に乏しく、また曲げ試験で早期に破断した。
試験No.21〜23は、2回目の加熱−焼入れ工程における加熱保持時間が長すぎた例である。そのため旧γ結晶粒を十分に微細化できず、靭延性に乏しかった。また曲げ試験で早期に破断した。
試験No.24は、C含有量が多すぎた鋼材を用いた例である。そのため円相当直径10μmを超える粗大炭化物が生成した。また曲げ試験で早期に破断した。
試験No.25、はSi含有量が多すぎた鋼材を用いた例である。そのため深い脱炭が生じ、皮削り処理で除去しきれず脱炭が残存した。また曲げ試験で早期に破断した。
試験No.26は、Cr含有量が多すぎた鋼材を用いた例である。そのため円相当直径10μmを超える粗大炭化物が生成した。また曲げ試験で早期に破断した。
試験No.27、28は、2回目の加熱−焼入れ工程を実施しなかった例である。そのため旧γ結晶粒を十分に微細化できず、靭延性に乏しかった。また曲げ試験で早期に破断した。
試験No.29、30は1回目の熱処理を行わずに2回目の加熱−焼入れ工程に相当する焼入れを1度行った例である。そのためオーステナイト化が不十分であり、靭延性に乏しかった。また曲げ試験で早期に破断した。

Claims (3)

  1. 質量%で、
    C :0.5〜0.8%、
    Si:1.0〜2.5%、
    Mn: 0.5〜1.5%、
    P :0%超、0.02%以下、
    S :0%超、0.02%以下、
    Cr:0.3〜2.0%、
    Al:0%超、0.01%以下、
    N :0%超、0.007%以下、
    O :0%超、0.005%以下を含有し、
    残部が鉄および不可避不純物からなる鋼を熱間圧延して伸線加工した後、焼入れ、焼戻し処理を施こす際に、
    前記焼入れ処理は2回以上の加熱−焼入れ工程を含み、且つ
    最後に行われる加熱−焼入れ工程は850〜950℃の範囲で加熱すると共に、前記加熱温度までの平均加熱速度を100℃/秒以上、
    前記加熱温度での保持時間を5秒以下、
    とする加工性に優れた熱処理鋼線の製造方法。
  2. 更に、質量%で、
    Ni:0%超、0.3%以下、
    V :0%超、0.5%以下、
    B :0%超、0.01%以下、
    よりなる群から選ばれる少なくとも一種を含むものである請求項1に記載の熱処理鋼線の製造方法。
  3. 前記最後に行われる加熱−焼入れ工程以外の加熱−焼入れ工程は850〜950℃の範囲内で加熱すると共に、
    該加熱温度以上での保持時間を20〜120秒、
    とする請求項1または2に記載の熱処理鋼線の製造方法。
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