JP4646850B2 - 耐カッピー断線性に優れた高炭素鋼線材 - Google Patents

耐カッピー断線性に優れた高炭素鋼線材 Download PDF

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Description

本発明は、自動車用タイヤの補強材であるスチールコードやビードワイヤー等の素材として用いられる高炭素鋼線材に関するものであり、殊に、カッピー断線が生じないような高炭素鋼線材に関するものである。
高炭素鋼線材は、熱間圧延によって製造され、所定の線径にまで伸線加工することによって、スチールコードやビードワイヤーの素材とされることになる。特に、スチールコードにおいては、伸線の途中でパテンティング処理を1〜2回程度施し、極細鋼線にまで伸線されるので、高い伸線加工性を有することが要求される。
近年、自動車生産台数の増加から、スチールコードやビードワイヤの生産性向上が要求されるようになっており、乾式伸線途中で行なう中間パテンティング工程を省略できる高炭素鋼線材の開発が進められている。しかしながら、こうした工程では、乾式伸線工程でダイレクトに高加工度まで引抜くため、線材長手方向にV字状に亀裂(シェブロンクラック)による断線(カッピー断線)がより発生しやすい状況になっている。
カッピー断線を防止するために、線材中の偏析を改善する技術が様々提案されている。こうした技術として、例えば特許文献1には、線材の横断面内の中心から半径の1/2の位置以内に存在するところの線材の平均組成の1.3倍を超えるCやMnの偏析帯の最大値を、線材の直径の0.01以下とすることによって、中心偏析に起因する加工性低下を防止した高炭素鋼線線材の製造方法が提案されている。また特許文献2には、縦断面内に、C濃度が平均炭素濃度の1.3倍以上となる偏析部分が存在する偏析帯が観察されるサンプルの総和を13%以下とする技術について提案されている。
これらの技術は、CやMn等の偏析を低減することによって伸線性を良好にして、カッピー断線等が発生しないようにしたものであるが、CやMnの偏析を防止しただけでは、カッピー断線の発生が効果的に低減されるとは限らず、これらの元素の偏析を十分に低減した場合であっても、上記の断線が発生することがある。
一方、線材中のC,Si,Mn等の基本成分や不純物としてのPやSの拡散を図るために、熱間圧延工程とパテンティング工程の間で、不活性ガス内で所定の温度でソーキング処理を行う技術について開始されている(特許文献3)。
この技術では、結果的に元素を偏析の改善を図ったものであるが、伸線後の捻回特性を改善するためのものであって、伸線段階でカッピー断線の発生を防止するものではない。
こうしたことから、乾式伸線工程でダイレクトに高加工度まで引抜くような工程であっても、カッピー断線が発生しにくいような高炭素鋼線材の実現が望まれているのが実情である。
特許第2130672号公報 特許請求の範囲等 特許第3427740号公報 特許請求の範囲等 特開2000−297323号公報 特許請求の範囲等
本発明はこの様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、乾式伸線途中で中間パテンティング処理を省略してもカッピー断線を発生することなく高加工度まで伸線できるような耐カッピー断線性に優れた高炭素鋼線材を提供することにある。
上記目的を達成することのできた本発明の高炭素鋼線材とは、C:0.70〜0.90%(質量%の意味、以下同じ)、Si:0.05〜1.20%、Mn:0.10〜1.0%、Al:0.05%以下(0%を含まない)を夫々含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、線材の横断面の中心から半径の1/2の位置以内に存在するSi最大濃度[Simax]と、線材の平均のSi濃度[Si0]が下記(1)式の関係を満足する点に要旨を有するものである。尚、本発明の「鋼線材」とは、熱間圧延後であって伸線加工前のものをいい、伸線加工により得られる「鋼線」とは区別される。
[Simax]/[Si0]≦2.0 …(1)
本発明の高炭素鋼線材には、必要によって更に他の元素として、(a)Cu:1%以下(0%を含まない)、(b)Ni:1%(0%を含まない)、(c)Cr:2%以下(0%を含まない)、(d)Ti:0.1%以下(0%を含まない)、Nb:0.1%以下(0%を含まない)、V:0.3%以下(0%を含まない)およびB:0.0020%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上、等を含有させることも有効であり含有させる元素の種類に応じて鋼材の特性が更に改善されることになる。
また必要によって、不可避不純物中のP:0.02%以下(0%を含まない)、S:0.02%以下(0%を含まない)、O:0.003%以下(0%を含まない)およびN:0.006%以下(0%を含まない)に夫々抑制することも有用である。
本発明によれば、鋼線材の化学成分組成を特定すると共に、線材の横断面の中心から半径の1/2の位置以内に存在するSi最大濃度[Simax]と、線材の平均のSi濃度[Si0]が所定の関係を満足する様にすることによって、耐カッピー断線が生じないような高炭素鋼線材が実現でき、こうした鋼線材はスチールコードやビードワイヤーの素材として極めて有用である。
本発明者らは、乾式伸線途中で中間パテンティング処理を省略してもカッピー断線を発生しないような高炭素鋼線材を実現するべく、様々な角度から検討した。その結果、これまで焼入れ性には影響を及ぼすが、偏析しにくいとされていたSiの偏析度合いが耐カッピー断線性と相関関係があるとの着想が得られた。
そして、本発明者らが、上記試験に基づいて更に検討を重ねたところ、線材の横断面の中心から半径の1/2の位置以内に存在するSi最大濃度[Simax]と、線材の平均のSi濃度[Si0]が下記(1)式の関係を満足するように制御されていれば、上記目的に適う高炭素鋼線材が実現できることを見出し、本発明を完成した。
[Simax]/[Si0]≦2.0 …(1)
本発明の高炭素鋼線材では、その化学成分組成も適切に制御する必要があるが、基本的な成分の範囲限定理由は下記の通りである。
[C:0.70〜0.90%]
Cは、強度の向上に有用な元素であり、C含有量が増加するにつれて伸線時の加工硬化量、伸線後の強度が増大することになる。本発明では、近年要求される高強度化に対応できるだけの強度を確保するべく、C含有量の下限を0.70%とした。しかしながら、C含有量が過剰になると、Cによる中心偏析が発生し易くなって、圧延線材のオーステナイト粒界に初析セメンタイトが生成して伸線加工時に断線が発生し易くなり、しかも湿式伸線後における極細線の靭性や延性を著しく劣化させることになる。こうしたことから、C含有量は0.90%以下とする必要がある。
[Si:0.05〜1.20%]
Siは、脱酸作用と、固溶強化による強度向上作用に加え、焼入れ性を高める作用をも発揮する。これらの作用を発揮させるには、0.05%以上含有させる必要がある。好ましくは0.15%以上含有させるのが良い。但し、Si含有量が過剰になると、フェライトを固溶強化し過ぎて加工性を阻害するので、1.20%以下(好ましくは1.80%以下)にするのが良い。
[Mn:0.10〜1.0%]
Mnは、Siと同様に、脱酸作用と固溶強化による強度向上作用を有する。これらの作用を有効に発揮させるには、0.10%以上(好ましくは0.15%以上)含有させる。一方、Mn含有量が過剰になると、フェライトを固溶強化し過ぎて加工性を阻害することになる。また、Mnは偏析が生じ易い元素であり、含有量が多くなると偏析によって組織が不均一になり、伸線性が阻害されることになる。こうしたことから、Mn含有量は1.0%以下(好ましくは0.90%以下)にするのが良い。
[Al:0.05%以下(0%を含まない)]
Alは、微量に含有させることによってAlNを析出させ、圧延線材におけるパーライトのノジュールサイズをより微細に維持することができ、伸線加工性(耐カッピ断線性)を向上する上で有用な元素である。こうした効果は、その含有量が増加するにつれて増大するが、過剰に含有されると、AlNが析出しすぎて、却って伸線性が劣化するので、0.05%以下とする。より好ましくは、0.03%以下にするのが良い。
本発明で規定する含有元素は上記の通りであって、残部はFeおよび不可避不純物(P,S,O,N等)であるが、必要によって、下記元素を積極的に含有させて特性を一段と高めることも有効である。
[Cu:1%以下(0%を含まない)]
Cuは、極細鋼線の耐食性を高めると共に、脱スケール時のスケール剥離性を向上させ、ダイスの焼付け等のトラブルを防止するのに有用な元素である。しかしながら、Cuを過剰に含有させると、Sと反応して粒界中にCuSを偏析させるので、線材製造過程で鋼塊や線材等に疵を発生させることになる。こうしたことから、Cuを含有させるときには、その含有量が1%以下(より好ましくは0.2%以下)とすることが好ましい。
[Ni:1%以下(0%を含まない)]
Niは、線材の強度や延性にあまり寄与しないが、伸線材の靭性を高める効果を発揮する元素であるが、Niを過剰に含有させても上記効果は飽和するだけであるので、1%以下(より好ましくは0.9%以下)とすることが好ましい。尚、上記効果を発揮させるための好ましい下限は0.02%程度である。
[Cr:2%以下(0%を含まない)]
Crは、パーライトのラメラ間隔を微細化し、線材の強度や伸線加工性を向上させるのに有効な元素である。しかしながら、Cr含有量が過剰になると、変態終了時間が長くなり、熱間圧延線材中にマルテンサイトやベイナイト等の過冷組織が生じる恐れがある他、脱スケール性(メカニカルデスケーリング性)が悪くなるので、2%以下とすることが好ましく、より好ましくは1.0%以下である。尚、上記効果を発揮させるための好ましい下限は0.05%程度である。
[Ti:0.1%以下(0%を含まない)、Nb:0.1%以下(0%を含まない)、V:0.3%以下(0%を含まない)およびB:0.0020%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上]
これらの元素は、伸線加工性を向上するのに有用な元素である。このうちTiは、鋼中に固溶したNと結合してTiNとしてフリーNを無くし、伸線加工性を向上させる。しかしながら、Ti含有量が0.1%を超えると、TiNが粗大となって、断線起点材となるので伸線加工性を却って劣化させることになる。
Nbの添加は、オーステナイトの回復、再結晶、粒成長を抑制するのに有効であり、パーライト変態が促進されて引張強さの低下、ノジュールサイズの微細化を促進することによって伸線性が向上する。しかしながら、Nb含有量が0.1%を超えると、伸線加工性を却って劣化させることになる。
VもNbと同様に、オーステナイトの回復、再結晶、粒成長を抑制するのに有効であり、パーライト変態が促進されて引張強さの低下、ノジュールサイズの微細化を促進することによって伸線性が向上する。しかしながら、V含有量が0.3%を超えると、伸線加工性を却って劣化させることになる。
Bは、鋼中に固溶したNと結合してBNを形成し、固溶Nを低減して伸線加工性を向上させる。しかしながら、B含有量が0.0020%を超えると、粗大なBNが生成して伸線加工性を却って劣化させることになる。
本発明の高炭素鋼線材には、上記の成分の他、MgやCa等を含有したものであっても良い。これらの元素は、介在物の形態を制御して熱間加工性を高める作用を発揮させるが、過剰に含有させてもその効果が飽和するので、いずれも5ppmまでとするのが良い。
本発明の高炭素鋼には、不可避的に不純物が含まれることになるが、この不可避不純物のうちP,S,O,N等については、下記のように抑制することが好ましい。また、製鋼原料としにスクラップを用いた場合には、これらの他にSb,Sn,As,La等も不純物として混入してくるが、伸線性を良好にするという観点からこれらの元素はいずれも5ppm以下に抑制されることが好ましい。
[P:0.02%以下(0%を含まない)]
Pは、不可避的に混入する不純物元素であり、できるだけ低減することが好ましい。特に、フェライトを固溶強化して伸線性を低下させるので0.02%以下に抑制することが好ましい。より好ましくは、0.015%以下とするのが良い。
[S:0.02%以下(0%を含まない)]
Sも、不可避的に混入する不純物元素であり、MnS系介在物を生成して伸線性を阻害するので、できるだけ低減することが好ましい。こうした観点から、S含有量は0.02%以下に抑制することが好ましい。より好ましくは、0.015%以下とするのが良い。
[O:0.003%以下(0%を含まない)]
Oは、酸化物系介在物を形成して伸線加工性を低下させる。特に、O含有量が0.003%を超えると、酸化物系介在物が粗大化して伸線加工性が低下するので、O含有量は0.003%以下に抑制することが好ましい。より好ましくは、0.002%以下にするのが良い。
[N:0.006%以下(0%を含まない)
Nも、不可避的に混入してくる不純物であり、フェライトに固溶して伸線時の発熱により時効させ、伸線性の低下への影響が大きいので、少なくとも0.006%以下に抑制することが好ましい。より好ましくは0.004%以下にするのが良い。
本発明の高炭素鋼線材では、上記のような化学成分組成を有すると共に、所定位置におけるSi最大濃度[Simax]と、線材の平均のSi濃度[Si0]が前記(1)式の関係を満足するように偏析が制御されているものであるが、次にこうした鋼線材を製造する条件に説明する。
高炭素鋼の基本的な製造手順としては、高炭素鋼を溶製後、鋳型内に注入し、鋳型表面からゆっくりと凝固させた鋳片を連続的に下方に引き抜き(連続鋳造)、鋳型から出た鋳片を、複数のロール対によって少なくとも鋳片厚み方向の両端面から挟み込んで支持しつつ、鋳片中心まで凝固を完了させ、鉄鋼半製品であるブルーム鋳片を製造し、その後分塊圧延によりビレットを作製し、これに必要に応じて加熱後、熱間圧延することになる。
本発明の高炭素鋼線材を製造するには、上記の手順において、鋳造時の鋳造速度を0.50〜0.65m/min、溶鋼が凝固する温度と溶鋼の温度差ΔTを10〜45℃、連続鋳造機を鋳片が通過する間にかける水の量(鋼材1kg当りの水量:比水量):0.25〜0.65L(リットル)/kgの範囲に制御すると共に、隣接するロールの面間距離をそのロール間距離(鋳片厚み方向の両端面距離)で割った値(各ロール面間勾配)が、鋳型内メニスカスからの距離に応じて下記表1のように制御されていることが重要である。
Figure 0004646850
上記製造条件の範囲の設定理由は下記の通りである。これらの範囲を外れると、下記の理由によって、最終的に高炭素鋼線材のおける伸線加工性が劣化してカッピー断線が発生することになる。
[鋳造時の鋳造速度:0.50〜0.65m/min]
鋳造時の鋳造速度が0.50m/min未満では、鋳片中心部がV字状偏析となり、0.65m/minを超えると鋳片中心部が逆V字状偏析となる。
[溶鋼が凝固する温度と溶鋼の温度差ΔT:10〜45℃]
この温度差ΔTが10℃未満では、V字状偏析となり、45℃を超えると逆V字状偏析となる。
[比水量:0.25〜0.65L(リットル)/kg]
比水量が0.25L未満では鋳片の内部割れが発生し、0.65Lを越えると鋳片の表面割れが発生する。
[(A)の領域:各ロール面間勾配0〜5.0mm/m]
(A)の領域においては、各ロール面間勾配が5.0mm/mを超えると逆V字状偏析となる。
[(B)の領域:各ロール面間勾配2.0〜3.0mm/m]
(B)の領域においては、各ロール面間勾配が2.0mm/m未満では、V字状偏析となり、3.0mm/mを超えると逆V字状偏析となる。
[(C)の領域:各ロール面間勾配0.6〜2.6mm/m]
(C)の領域においては、各ロール面間勾配が0.6mm/m未満では、V字状偏析となり、2.6mm/mを超えると逆V字状偏析となる。
[(D)の領域:各ロール面間勾配0.5〜1.5mm/m]
(D)の領域においては、各ロール面間勾配が0.5mm/m未満では、V字状偏析態となり、1.5mm/mを超えると逆V字状偏析となる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
下記表2に示す化学成分組成に調整した各溶鋼を転炉で溶製し、鋳型内に注入し、鋳型表面からゆっくりと凝固させた鋳片を連続的に下方に引き抜き、鋳型から出た鋳片を、複数のロール対によって少なくとも鋳片厚み方向の両端面から挟み込んで支持しつつ、鋳片中心まで凝固を完了させ、鉄鋼半製品であるブルーム鋳片(断面形状600mm×380mm)を、鋳造速度、温度差ΔT、比水量を変化させつつ製造した。
Figure 0004646850
得られたブルーム鋳片を、3時間加熱した後、分塊圧延によって断面形状が155mm×155mmのビレットを作製した。これを必要に応じて、1150℃に加熱した後、熱間圧延を行なって直径:5.5mmまたは5.0mmの線材を得た。巻き取った線材をステルモア冷却装置にかけ、ステルモアコンベア上での冷却速度を調整すると共に、圧延速度およびステルモアコンベアの搬送速度を調整して線材を冷却した後、一束2t(トン)のコイルを圧延した。
次いで、直径:5.5mmの線材について、その端部を廃却した後、最底部から100リング目を1000mm程度採取し、横断面をEPMA(Electron Probe Micro−Analysis:電子線マイクロアナリシス)を用いて元素の濃化度を調査した。このときのEPMA測定条件は、加速電圧:15eV、照射電流:0.5μA、積分時間:30msec,ビーム径:10μmとした。また、測定方法は、サンプルステージをX−Y方向でスキャンするステージスキャンを用い、電子線を照射して発生したX線(Kα線)を取り込んで、成分濃度化を測定し、平均組成に対する測定成分濃度の最大値を、C、SiおよびMnの夫々について算出した。そして、各元素の最大値[Cmax]、[Simax]および[Mnmax](線材の横断面中心から半径の1/2の位置以内)と,夫々の元素の平均濃度[C0]、[Si0]および[Mn0]に基づき、各元素の偏析度([Cmax]/[C0]、[Simax]/[Si0]および[Mnmax]/[Mn0]を評価した。
上記方法で得られた線材のスケールを除去し、皮膜処理を行なった後、金属石鹸を主成分とする潤滑材を巻き込みながら伸線を行なった。メカニカルデスケラーによりスケールを除去後、ホウ砂皮膜(ボラックス)を添加させる方法により伸線前処理を行い、9ブロックのストレート式連続伸線機を用いて、9ブロックまで中間線径:1.98mmまで伸線した後、一度巻き取り、再度9ブロックで線径:0.95mmまで伸線を行なった。このとき(最終伸線時)、1000m/minで一束2tの伸線を行ない、シェブロンクラッの発生による断線(カッピー断線)について調査した。その結果を、線材製造条件(鋳造速度、ΔT、比水量、各領域(A)〜(D)における各ロール間勾配)、およびC、Si、Mnの各偏析度と共に、下記表3、4に示す。また、これらの結果の代表的な値に基づき、偏析度([Cmax]/[C0])が断線に与える影響を図1に、偏析度[Simax]/[Si0]が断線に与える影響を図2に、および偏析度[Mnmax]/[Mn0]が断線に与える影響を図3に夫々示す。
Figure 0004646850
Figure 0004646850
これらの結果から明らかなように、製造条件を適切にして偏析度[Simax]/[Si0]を2.0以下にしたものでは、カッピー断線が発生することなく、良好な伸線加工性が得られていることが分かる。また、Cの偏析度([Cmax]/[C0])やMnの偏析度([Mnmax]/[Mn0])は、カッピー断線には直接影響がないことも分かる。
偏析度([Cmax]/[C0])が断線に与える影響を示したグラフである。 偏析度[Simax]/[Si0]が断線に与える影響を示したグラフである。 偏析度[Mnmax]/[Mn0]が断線に与える影響を示したグラフである。

Claims (6)

  1. C:0.70〜0.90%(質量%の意味、以下同じ)、Si:0.05〜1.20%、Mn:0.10〜1.0%、Al:0.05%以下(0%を含まない)を夫々含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、線材の横断面の中心から半径の1/2の位置以内に存在するSi最大濃度[Simax]と、線材の平均のSi濃度[Si0]が下記(1)式の関係を満足することを特徴とする高炭素鋼線材。
    [Simax]/[Si0]≦2.0 …(1)
  2. 更に他の元素として、Cu:1%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1に記載の鋼線材。
  3. 更に他の元素として、Ni:1%(0%を含まない)を含有するものである請求項1または2に記載の鋼線材。
  4. 更に他の元素として、Cr:2%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の鋼線材。
  5. 更に他の元素として、Ti:0.1%以下(0%を含まない)、Nb:0.1%以下(0%を含まない)、V:0.3%以下(0%を含まない)およびB:0.0020%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上を含む請求項1〜4のいずれかに記載の鋼線材。
  6. 不可避不純物中のP:0.02%以下(0%を含まない)、S:0.02%以下(0%を含まない)、O:0.003%以下(0%を含まない)およびN:0.006%以下(0%を含まない)に夫々抑制したものである請求項1〜5のいずれかに記載の鋼線材。
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