JP4646850B2 - 耐カッピー断線性に優れた高炭素鋼線材 - Google Patents
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[Simax]/[Si0]≦2.0 …(1)
[Simax]/[Si0]≦2.0 …(1)
Cは、強度の向上に有用な元素であり、C含有量が増加するにつれて伸線時の加工硬化量、伸線後の強度が増大することになる。本発明では、近年要求される高強度化に対応できるだけの強度を確保するべく、C含有量の下限を0.70%とした。しかしながら、C含有量が過剰になると、Cによる中心偏析が発生し易くなって、圧延線材のオーステナイト粒界に初析セメンタイトが生成して伸線加工時に断線が発生し易くなり、しかも湿式伸線後における極細線の靭性や延性を著しく劣化させることになる。こうしたことから、C含有量は0.90%以下とする必要がある。
Siは、脱酸作用と、固溶強化による強度向上作用に加え、焼入れ性を高める作用をも発揮する。これらの作用を発揮させるには、0.05%以上含有させる必要がある。好ましくは0.15%以上含有させるのが良い。但し、Si含有量が過剰になると、フェライトを固溶強化し過ぎて加工性を阻害するので、1.20%以下(好ましくは1.80%以下)にするのが良い。
Mnは、Siと同様に、脱酸作用と固溶強化による強度向上作用を有する。これらの作用を有効に発揮させるには、0.10%以上(好ましくは0.15%以上)含有させる。一方、Mn含有量が過剰になると、フェライトを固溶強化し過ぎて加工性を阻害することになる。また、Mnは偏析が生じ易い元素であり、含有量が多くなると偏析によって組織が不均一になり、伸線性が阻害されることになる。こうしたことから、Mn含有量は1.0%以下(好ましくは0.90%以下)にするのが良い。
Alは、微量に含有させることによってAlNを析出させ、圧延線材におけるパーライトのノジュールサイズをより微細に維持することができ、伸線加工性(耐カッピ断線性)を向上する上で有用な元素である。こうした効果は、その含有量が増加するにつれて増大するが、過剰に含有されると、AlNが析出しすぎて、却って伸線性が劣化するので、0.05%以下とする。より好ましくは、0.03%以下にするのが良い。
Cuは、極細鋼線の耐食性を高めると共に、脱スケール時のスケール剥離性を向上させ、ダイスの焼付け等のトラブルを防止するのに有用な元素である。しかしながら、Cuを過剰に含有させると、Sと反応して粒界中にCuSを偏析させるので、線材製造過程で鋼塊や線材等に疵を発生させることになる。こうしたことから、Cuを含有させるときには、その含有量が1%以下(より好ましくは0.2%以下)とすることが好ましい。
Niは、線材の強度や延性にあまり寄与しないが、伸線材の靭性を高める効果を発揮する元素であるが、Niを過剰に含有させても上記効果は飽和するだけであるので、1%以下(より好ましくは0.9%以下)とすることが好ましい。尚、上記効果を発揮させるための好ましい下限は0.02%程度である。
Crは、パーライトのラメラ間隔を微細化し、線材の強度や伸線加工性を向上させるのに有効な元素である。しかしながら、Cr含有量が過剰になると、変態終了時間が長くなり、熱間圧延線材中にマルテンサイトやベイナイト等の過冷組織が生じる恐れがある他、脱スケール性(メカニカルデスケーリング性)が悪くなるので、2%以下とすることが好ましく、より好ましくは1.0%以下である。尚、上記効果を発揮させるための好ましい下限は0.05%程度である。
これらの元素は、伸線加工性を向上するのに有用な元素である。このうちTiは、鋼中に固溶したNと結合してTiNとしてフリーNを無くし、伸線加工性を向上させる。しかしながら、Ti含有量が0.1%を超えると、TiNが粗大となって、断線起点材となるので伸線加工性を却って劣化させることになる。
Pは、不可避的に混入する不純物元素であり、できるだけ低減することが好ましい。特に、フェライトを固溶強化して伸線性を低下させるので0.02%以下に抑制することが好ましい。より好ましくは、0.015%以下とするのが良い。
Sも、不可避的に混入する不純物元素であり、MnS系介在物を生成して伸線性を阻害するので、できるだけ低減することが好ましい。こうした観点から、S含有量は0.02%以下に抑制することが好ましい。より好ましくは、0.015%以下とするのが良い。
Oは、酸化物系介在物を形成して伸線加工性を低下させる。特に、O含有量が0.003%を超えると、酸化物系介在物が粗大化して伸線加工性が低下するので、O含有量は0.003%以下に抑制することが好ましい。より好ましくは、0.002%以下にするのが良い。
Nも、不可避的に混入してくる不純物であり、フェライトに固溶して伸線時の発熱により時効させ、伸線性の低下への影響が大きいので、少なくとも0.006%以下に抑制することが好ましい。より好ましくは0.004%以下にするのが良い。
鋳造時の鋳造速度が0.50m/min未満では、鋳片中心部がV字状偏析となり、0.65m/minを超えると鋳片中心部が逆V字状偏析となる。
この温度差ΔTが10℃未満では、V字状偏析となり、45℃を超えると逆V字状偏析となる。
比水量が0.25L未満では鋳片の内部割れが発生し、0.65Lを越えると鋳片の表面割れが発生する。
(A)の領域においては、各ロール面間勾配が5.0mm/mを超えると逆V字状偏析となる。
(B)の領域においては、各ロール面間勾配が2.0mm/m未満では、V字状偏析となり、3.0mm/mを超えると逆V字状偏析となる。
(C)の領域においては、各ロール面間勾配が0.6mm/m未満では、V字状偏析となり、2.6mm/mを超えると逆V字状偏析となる。
(D)の領域においては、各ロール面間勾配が0.5mm/m未満では、V字状偏析態となり、1.5mm/mを超えると逆V字状偏析となる。
Claims (6)
- C:0.70〜0.90%(質量%の意味、以下同じ)、Si:0.05〜1.20%、Mn:0.10〜1.0%、Al:0.05%以下(0%を含まない)を夫々含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、線材の横断面の中心から半径の1/2の位置以内に存在するSi最大濃度[Simax]と、線材の平均のSi濃度[Si0]が下記(1)式の関係を満足することを特徴とする高炭素鋼線材。
[Simax]/[Si0]≦2.0 …(1) - 更に他の元素として、Cu:1%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1に記載の鋼線材。
- 更に他の元素として、Ni:1%(0%を含まない)を含有するものである請求項1または2に記載の鋼線材。
- 更に他の元素として、Cr:2%以下(0%を含まない)を含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の鋼線材。
- 更に他の元素として、Ti:0.1%以下(0%を含まない)、Nb:0.1%以下(0%を含まない)、V:0.3%以下(0%を含まない)およびB:0.0020%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上を含む請求項1〜4のいずれかに記載の鋼線材。
- 不可避不純物中のP:0.02%以下(0%を含まない)、S:0.02%以下(0%を含まない)、O:0.003%以下(0%を含まない)およびN:0.006%以下(0%を含まない)に夫々抑制したものである請求項1〜5のいずれかに記載の鋼線材。
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