JP2906035B2 - ゴム補強用高強度スチールコード及びラジアルタイヤ - Google Patents
ゴム補強用高強度スチールコード及びラジアルタイヤInfo
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- D07B1/062—Reinforcing cords for rubber or plastic articles the reinforcing cords being characterised by the strand configuration
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Description
送用コンベアベルトなどのゴム製品の補強に用いられる
のに好適な高強度、高性能かつ安価なスチールコードと
これを用いた自動車用ラジアルタイヤに関する。
ヤにおいては、図10に示すようにベルト補強層13
a,13bが不可欠であり、これらの補強材として、一
般に4本または5本の素線を同時に撚り合わせた1×4
構造または1×5構造のスチールコードが用いられてい
た。しかし、このような構造においては、図2(a)(b)に
その断面を示すように、素線間に隙間がほとんどないた
め、製造されたタイヤの補強層はスチールコードの内部
までゴムが浸透していないものとなる。このような状態
のゴムと補強材との複合体はその機能が長期にわたって
十分に発揮されなくなる。すなわち、タイヤが外傷を受
けてここから水分がタイヤ中に侵入すると、スチールコ
ード内部のゴムの浸透していない空隙を伝わって錆が伝
播してしまう。これによりスチールコードの強度低下そ
して時には破断が起こるだけでなく、錆の進行によって
素線表面とゴムとの接着層が破壊され、いわゆる剥離
(セパレーション)現象が発生してしまう。その結果、ゴ
ムと補強材としてのスチールコードとの一体性が損なわ
れ、タイヤとしての機能が大きく低下する。
透しやすい構造のスチールコードが採用されるようにな
ってきている。図4はその例を示しており、(a)はほぼ
平行に束ねた2本の素線a,a,の周りに2本の素線
b,bを巻き付けるように撚り合わせた2+2構造のス
チールコードである。(b)は5本の素線a,b,c,
d,eをそれぞれ過大な型付けを施してルーズに撚り合
わせた1×5ルーズオープン構造のスチールコードであ
る。
ヤの軽量化が強く要求され、それと同時にコストの低減
の要求も強くなっている。前者の対策としては、スチー
ルコードの強度をより高いものにして、補強層における
単位幅あたりのコード使用量を減らすことが有効であ
る。すなわち、従来のスチールコードの素線は、一般
に、炭素を0.70〜0.76重量%含有する炭素鋼を
原料として使用し、図5に示すように引張り強さZを素
線直径d(mm)との関係においてZ=−200d+(33
5〜355)(kgf/mm2)程度にしたものであった。これに
対して、炭素を0.80〜0.86重量%含有する炭素
鋼を用いて、Z=−200d+(365〜395)(kgf/m
m2)程度の高強度素線とし、これを用いてスチールコー
ドを作ることが現在普及しつつある。また、後者のコス
ト削減の対策としては、スチールコードを構成する素線
本数を少なくし、簡易な構造たとえば1×3構造とする
ことが行われている。
ドとして原料に炭素含有量の高い炭素鋼線材を用いるこ
とは原料コストの上昇を避けられない。しかも、原料線
材の炭素含有量が高くなるほど製鋼工程で偏析が生じや
すく、また、その原料線材を加工して素線を製造する工
程においても、熱処理が難しくなったり、その後の伸線
や撚り線工程で非金属介在物の悪影響が大きく現われた
りする。また、スチールコードの構造について素線本数
を少なくして従来のような1×3構造にしたのでは、図
3のような断面形状となって素線間に隙間が生じないた
め、やはり前述したようなゴム浸透性の問題が生ずる。
しかも、スチールコードを構成する素線本数を減らした
場合には、スチールコードとして所定の強度を維持する
ために素線の強度を上げるとともに素線径を大きくする
必要があるが、素線径が大きくなると、線径効果により
曲げに対する耐疲労性が大きく低下してしまう。この問
題点を解消するには良好な靭性や特に良好な耐疲労性を
備えることが必要であるが、従来ではかかる特性を備え
たものが得られていなかったのが実情である。
問題点を解消するために研究して創案されたもので、そ
の目的とするところは、素線として炭素含有量が0.8
0%に満たない炭素鋼線線材を使用した単純な構造で、
従来の高強度スチールコードと同等以上の強度を効率よ
く実現できると共に耐食性にすぐれ、しかも素線径が大
きくなっても耐疲労性がすぐれた安価なゴム補強用スチ
ールコードを提供することにある。かかる本発明による
スチールコードはラジアルタイヤに好適であるほか、搬
送用ベルトなどのゴム製品の補強材としても好適であ
る。また本発明の第2の目的は、寿命が長く、しかも軽
量化が可能なラジアルタイヤを提供することにある。
本発明のゴム補強用高強度スチールコードは、3本の素
線からなるスチールコードにおいて、炭素を0.70〜
0.76重量%含有する炭素鋼線材からなり、コードに
撚り合わせ前の引張り強さが下記式を満たし、しかもコ
ード撚り合わせ前の素線の集合強度Aと撚り合わせ後の
コードの強力Bとの比B/Aが0.935以上であり、
かつ一方向捻り後、逆方向捻りを与える捻回試験での捻
回ートルク曲線においてトルクの低下率が7%以下であ
る素線を用い、該素線の2本をほぼ平行に束ね、その周
りに1本の素線を巻き付けるように撚り合わせたことを
特徴としている。 Z≧ー200d+365 [Z:引張り強さ(kgf/mm2)、d:直径(mm)]
が素線径dに対して40d〜65dの範囲である。ま
た、好ましくは、3本の素線が、炭素を0.70〜0.7
6重量%含有する炭素鋼線材を使用して中間伸線し、め
っきを施して最終原料を作り、この最終原料を、下記の
条件で湿式伸線して製造したものである。引抜きダイ
スとしてアプローチ角度(2α)が8〜10°、ベアリ
ング長さが0.3d1(d1=引抜き孔径)のものを使用
する。仕上げ引抜きを2個のダイスを重ねたダブルダ
イスを使用して行い、出口側ダイスで減面率を1.2〜
3.9%としたスキンパスを行う。引抜き用ダイスと
しては、少なくともダブルダイスの2枚とそれよりも上
流のもの数枚のものに焼結ダイヤモンドニブを用いる。
最終引抜きダイス通過直後のワイヤの温度が150°
C以下になるように制御する。また、第2の目的を達成
するため本発明は、上記スチールコードをベルト部の補
強に用いたものである。
細に説明する。図1(a)は本発明によるゴム補強用スチ
ールコードの一例を示しており、線径が同一の3本の素
線から構成されているが、特に、2本の素線1a,1a
をほぼ平行に束ね、この束の周りに1本の素線1bをス
パイラル状に巻き付けるようにして撚り合わせた2+1
構造となっている。2本の素線1a,1aはこの例では
常に密接しているが、これに限られず、互いに離間する
部分が存在していてもよい。図1(b)は上記スチールコ
ードの1ピッチ分を5分割した各位置での断面形状を模
式的に示している。前記のように単に3本の素線を同時
に撚り合わせて1×3構造のスチールコードとした場合
には、図3に示すような断面形状になってしまい、コー
ドの中心部にはゴムがほとんど浸透しない空隙が長手方
向に生じてしまうが、本発明においては、2本のほぼ平
行に束ねた素線1a,1aに1本の素線1bが巻き付け
られているため、3本の素線1a,1a,1bが隣接し
あったいわゆる閉輪郭部分が生じず、どの断面位置にお
いてもコード中心部に達する空隙sが常に存在する。し
たがってゴムとの付着面積が広く、隅々までゴムと接着
することができ、耐セパレーション性にすぐれたものに
なる。また、2本の素線1a,1aは束ねられほぼ平行
になっているから、コードに撚り合わせることによる強
度の低下が少なく、しかも構造的にコードがばらけない
程度にピッチPを長く取ることができ、素線の強度利用
率がよいことから、スチールコードの強度をより高いも
のとすることができる。
1a,1bは、炭素を0.80〜0.86重量%程度含
有する原料素線を用いた高強度スチールコードの素線と
同程度ないしそれ以上の強度と靭性を備えている。詳細
にのべると、まず、本発明の素線1a,1a,1bは炭
素を0.70〜0.76重量%含有する炭素鋼線材を用
いて所定の中間径まで伸線した後、熱処理とめっきおよ
び伸線を施して作られたもので、撚り合わせ前の引っ張
り強さZがZ≧ー200d+365(kgf/mm2)の高強度
となっている。炭素鋼線材の炭素含有量の下限を0.7
0重量%としたのは、これを下回る炭素量では、好適な
最終伸線条件を採用しても、引っ張り強さがZ≧−20
0d+365(kgf/mm2)が得られないからである。上限
を0.76%としたのは、これを上回る炭素量ではコス
トが高くなるなどの問題があるからである。具体的な化
学的成分組成としては、重量比でC:0.70〜0.76
%、Si:0.12〜0.35%、Mn:0.3〜0.9
%、残部鉄および不可避的不純物からなるものである
が、前記基本成分組成にCrやNiなどを合金元素とし
て所定量添加していてもよい。撚り合わせ前の引っ張り
強さZがZ<ー200d+365(kgf/mm2)では従来の
ものとの差が少なく、高強度化によるタイヤの軽量化に
は効果を発揮できない。
1bが、コード撚り合わせ前の集合強力Aとコード撚り
合わせ後のコード強力Bとの比(B/A)を0.935
以上としている。これは言い換えると、撚り減りを少な
くするような撚り効率とするということであり、B/A
が0.935未満では、素線の引張り強さが前記条件を
満たしていても、撚り合わせたコードとしては強度が不
十分となるため好ましくない。また、コードの撚りピッ
チPすなわち、素線1bの巻き付けピッチは、素線径d
の40〜65倍の範囲が好適である。コードの撚りピッ
チPが素線径dに対して40d未満では、ピッチが短過
ぎて撚り効率(B/A×100%)が低くなったり、ゴム
浸透性に低下傾向が見られるため不可である。一方、6
5dを超えるような長いピッチPとした場合には、コー
ドがばらけやすくなるため不可である。素線径dは一般
的に0.20〜0.35mmの範囲から適宜選択される。
1a,1bが撚り合わせ前および撚り合わせ後において
良好な靭性を備えている。これは具体的には、一方向捻
り後、逆方向捻りを与える捻回試験において、捻回−ト
ルクの連続曲線をとったときに破断までの間でのトルク
値の低下が7%以下ということである。詳しく説明する
と、従来では靭性に関して適切な評価法と尺度がなく、
素線を所定のつかみ間隔として素線軸線に軽く張力を掛
けながら一定方向に捻り、素線が切断するまでの回数を
もって靭性を評価していた。これに対して、本発明で
は、靭性良否判断の手段として、一方向と逆方向の捻り
を与える捻回試験を採用し、この試験における捻回ート
ルク曲線においてトルク低下率が7%以下であるものを
靭性良好としたのである。このパラメータの採用によ
り、素線が高強度と靭性を兼ね備え、コードに撚り合わ
せても強度低下が少なく(撚り効率が高く)、その強度が
十分に発揮され、しかも耐疲労性においても従来のコー
ドに比べて大幅にすぐれたものを得ることができるので
ある。
ように、所定の間隔Lに対峙させた固定側の掴み具6と
可動側の掴み具7で素線Wを掴み、固定側の素線に錘を
吊下げるで矢印のように素線軸方向に軽く張力を掛け、
この状態で可動側の掴み具7をモータ9により一定速度
で一定方向(例えば時計回り方向)に所定回数回転させて
捻り、ここで一旦可動側の掴み具7の回転を止め、その
後逆方向(例えば、反時計回り方向)に捻り返して素線が
破断するまでの捻回ートルク曲線をとるものである。図
6(a)のように一方向に捻って捻回ートルク曲線を測定
した場合には、トルクが連続して右上がりとなる正常な
曲線を描いて破断に到る間でトルクの低下するものが現
れる。かかるトルクの低下は伸線強加工により素線内部
に生じた微細欠陥から割れが入ることにより生じるもの
と考えられる。しかし、一方向のみの捻回試験でトルク
低下が見られない素線を実際に使用してこれを撚り合わ
せてみると、断線が発生したり、コードの強度低下が大
きかったり、耐疲労性も不十分なものが多数現れた。従
って、この試験による靭性可否の判別は不十分かつ不正
確である。
数の素線について図6(b)のように一方向−逆方向に捻
って捻回ートルク曲線をとってみた。その結果、かかる
一方向ー逆方向捻回試験においてもトルクの低下率7%
以下の素線は、強度が十分に高く、靭性も良好で撚り合
わせてコードにしても強度の低下も少なく、耐疲労性も
良好であることが判った。これに対して、一方向捻りの
みの捻回試験でトルク低下が現れないものの、一方向−
逆方向捻回試験の逆方向捻り過程で8%以上のトルク低
下が生じた素線は靭性が明らかに不十分であり、撚り線
工程においても断線の発生もあり、しかも撚り効率も悪
く、得られたスチールコードは素線の強度が十分に発揮
されず、耐疲労性も十分といえるものではなかった。前
記トルク低下率△Tは、図6(b)の捻回ートルク曲線に
おいて、最初の一方向捻りでの捻りの弾性限即ち、図に
おける右上がり直線部分の上限でのトルク値をTとし、
逆方向の捻りでの低下部の最小トルク値をtとすると、
トルク低下率△Tは次式で表される。但し、トルク低下
0の場合はt=Tとする。 △T=[(Tー|t|)/T]×100(%) このトルク低下率8%以上が現れる素線においては前記
した不具合が生じ、それ以外の素線は靭性が十分でスチ
ールコードにしても補強材として最適である。
の素線を製造する方法を説明する。まず、前記した成分
組成の直径が4.0〜5.5mmの炭素鋼線材を通常の
ように酸洗、コーティングを行い、連続乾式伸線を行っ
てたとえば直径1.2〜2.3mmの中間線を得る。そ
して、この中間線をパテンティング処理してベイナイト
等の異組織を含まない均一な微細パーライト組織にし、
ゴムとの接着性のよい合金(通常、真ちゅう)めっきを
施し、最終原料線を得る。次いで、前記最終原料線を湿
式伸線して目的の直径例えば直径0.20〜0.35m
mのめっき付きスチールワイヤを得る。そして、かかる
湿式伸線工程において次の条件を採用する。引抜きダ
イスとしてアプローチ角度(2α)が8〜10°、ベア
リング長さが0.3d1(d1=引抜き孔径)のものを使
用する。仕上げ引抜きを2個のダイスを重ねたダブル
ダイスを使用して行い、出口側ダイスで減面率を1.2
〜3.9%としたスキンパスを行う。使用する引抜き
用ダイスは、少なくともダブルダイスの2枚とそれより
も上流のもの数枚のものに焼結ダイヤモンドニブを用い
る。他は従来の合金ニブを用いてもよい。最終引抜き
ダイス通過直後のワイヤの温度が150°C以下になる
ように制御する。
ると、図8は湿式伸線工程に用いる引抜き用ダイス(後
述する仕上げ引抜き用のダブルダイスを含む)を示して
いる。1はニブ2を内蔵したダイスであり、ニブ2はア
プローチ部20の角度2αが8〜10°となっており、
またベアリング部21の長さlが0.3d1となってい
る。従来、アプローチ角は引抜き力が最も低くなること
から12°が一般に採用され、またベアリング長さは
0.5d1を用いるのが一般的であったが、本発明はダ
イスアプローチ角を8〜10°と小さくするもので、こ
れにより伸線ワイヤの表面と内部の加工を均一化するこ
とができ、さらには表面残留応力も低くなるため総加工
度を大きくとっても靭性を保持することができる。ま
た、ベアリング長さを短くすることにより、ワイヤとの
接触長さを短縮し、引抜き抵抗を緩和することができ
る。
示しており、ケーシング4,4にそれぞれノーマルダイ
ス5aとスキンパス用ダイス5bを近接して直列状に配
置し、所定減面率を2分割して得るようにしている。前
記ノーマルダイス5aとスキンパス用ダイス5bのニブ
2a,2bはそれぞれ焼結ダイヤモンドで作られ、前記
したアプローチ角とベアリング長さとなっている。上記
のようにダブルダイス3の2枚のニブ2a,2bとこれ
の上流の引抜き用ダイスを含めて4枚程度以上のものに
焼結ダイヤモンドニブを用いることにより、第1に焼結
ダイヤモンドが合金に比べて表面の粗さも非常に平滑な
ため引抜き力を低くすることができる。また、引き抜い
たワイヤの表面も平滑になり、耐疲労性向上にも効果が
ある。第2に焼結ダイヤモンドが特に硬いことから、連
続引抜きによる摩耗がほとんどなく、摩耗によるダイス
径の増大とこれによる減面率の変化を防止できる。ま
た、ダイス交換の手間や生産停止時間を節減することが
できる。ダイヤモンドはそれ自体は高価であるが、上記
のようなことから総合的にみれば安価となる。
ダイスを使用して減面率1.2〜3.9%のスキンパス
を行う。これにより、引抜きによるワイヤ発熱を低減
し、引抜き直後のワイヤ温度をシングルダイスの場合に
比べて25〜40℃程度も低減することができる。しか
も、ワイヤ表面の残留応力をマイナス側に低く抑えるこ
とができる。スキンパス用ダイス5bによる引抜き減面
率を1.2〜3.9%の範囲としたのは、1.1%以下
では加工量が少なすぎて残留応力の緩和作用が少なく、
4.0%以上とあまり大すぎても残留応力の緩和作用が
少ないからである。そして、最終ダイス通過直後のワイ
ヤの温度を150°C以下になるように潤滑液温度を低
く保持する。これにより、スキンパスの採用と併せて時
効によるワイヤの脆化を防ぐことができる。潤滑液温度
を低く保持する方法は、湿式伸線機の槽外に循環ポンプ
と冷却機を設け、循環液を槽から強制的に抜きこれを冷
却して槽に戻す循環系とし、潤滑液温度を例えば操業中
35℃以下に温度制御すればよい。以上の最終伸線工程
条件を採用することにより、原料として製造コストの増
大をもたらさない炭素含有量が0.70〜0.76重量
%の炭素鋼線材を用いながら、強度が高く、しかも靭性
がすぐれた素線を得ることができ、したがって3本とい
う少ない素線本数のコードでも撚り合わせによる強度低
下が少なく、耐疲労性も非常にすぐれたものになるので
ある。
i:0.21、Mn:0. 52、残部Fe及び不可避
的不純物からなる直径5.5mmの線材を用いた。 該
原料線材を酸洗、コーティイング等の前処理を施した
後、連続乾式伸線をし て中間線とした。この中間線を
ガス炉で加熱した後、流動床炉にて焼き入れ( パテン
ティング処理)した後、電解酸洗に続いて、所定量の銅
と亜鉛の2層電気めっきを施し、この後、流動床炉でめ
っきを熱拡散させて真鍮めっきとし、これを最終原料と
した。 2)さらにこの最終原料を連続湿式伸線して直径0.2
8mmの素線を製作した。 この時の伸線条件を変えて
(但し、最終ダイス通過直後の素線の温度は熱流束 温
度計の測定値で150℃以下に制御した)素線を製作し
た。そして、この素 線3本を用いてバンチャー式撚線
機によって2+1構造のスチールコードを製 作し、そ
れぞれ実施例1〜5、比較例1〜3とした。また、同一
原料線材を用 いて従来の方法で従来強度の素線を製作
してスチールコードを作り、従来例1 とした。さらに
化学成分が重量%でC:0.83、Si:0.21、M
n:0.50、残部鉄および不可避的不純物からなる直
径5.5mmの線材を用いて従来法で高強度素線とコード
を作成し、比較例4とした。これら製造条件と素線特性
及びコード特性を表1に示す。
0.23、Mn:0.53、残部Fe及び不可避的不純
物からなる直径5.5mmの線材を用いるほか、具体例
1と同じ工程で直径0.25mmの素線を製作した。こ
の時、最終の連続湿式伸線において条件を変えて素線を
製作し、引き続いて同様に2+1構造のスチールコード
を製作した。これをそれぞれ実施例6及び7とした。ま
た同一原料線材を用いて従来の方法で従来強度の素線を
製作してコードを作り、従来例2とした。さらに具体例
1の比較例4と同一線材(C:0.83材)を用いて従
来法で高強度素線とコードを作成し、比較例5とした。
これらの条件と素線及びコード特性を表2に示す。
て同様に直径0.32mmの素線及びそれによる2+1の
スチールコードを製作し、実施例8,9及び従来例3と
した。これら製造条件と素線特性及びコード特性を表3
に示す。
図7の固定側の掴み具6と可動側の掴み具7との間隔L
を300d(dは素線直径mm)とし、直線状素線W(撚
り線後の素線についてはコードの撚りを解いて特に手で
伸ばす等の加工は施さずにそのままの状態)を掴んだ状
態で固定側に400grの重りを吊り下げて軽く張力を
かけ、この状態で可動側の掴み具7をモーター9により
30rpmの速度で回転させて一方向に破断するまで捻
回ートルク曲線をとって判定し、また、一方向に10回
転捻った後、一旦、回転を止め、更に素線が破断するま
で前記捻り速度で逆方向に捻り返しを行い、捻回ートル
ク曲線をとって判定したものである。表中の「捻回試験
結果」において、○はトルク低下率が7%以下のもの
(良好)を指し、×はトルク低下率が8%以上のもの(不
良)を示す。「ゴム浸透性」は1本の直線状のコードを1
00grの張力下で未加硫ゴム中に入れて加硫してサンプル
を作った後、ゴム中のコードを取り出し、このコードを
長手方向に分解し、ゴムのコード内部への浸透度を目視
で観察して完全に浸透しているものを100%として判
定した。「耐疲労性指数」は1本の直線状のコードを未
加硫ゴム中に入れて加硫した帯状のサンプルを作り、こ
れを千鳥状に配置した回転自在の3個のロールに張り渡
し、コードに破断荷重の10%の引張り荷重をかけた状
態の下で、ロールを左右に繰り返し移動させてサンプル
に繰り返し曲げを与え、コードが破断するまでの繰り返
し数を測定した結果であり、各表においてそれぞれの従
来例を100として指数で表した。
例1〜9は破断荷重、撚り効率、ゴム浸透性、耐疲労性
のいずれの特性も、原料として0.80重量%以上の炭
素を含有している原料線材を用いている比較例4,5に
比べて同程度以上(耐疲労性は格段に良好)の特性を有し
ており、従来例1,2に比べて何れの特性においても優
れている。これに対して、比較例1〜3は一方向−逆方
向捻回試験による靭性が不良であり、撚り合わせ前と撚
り合わせ後の強力の比が低いため、ゴム浸透性を満足し
ていても、耐疲労性が不良である。なお、捻回試験での
捻回ートルク曲線において、コードに撚る前の素線と撚
った後の素線ではほぼ同一の曲線になり、撚る前の素線
で不良なものは撚った後でも不良であり、撚ることによ
って靭性が回復することはなかった。
2本をほぼ平行に束ね、その周りに1本の素線を巻き付
けるように撚り合わせた2+1構造であるためゴム浸透
性が良好であり、しかも、素線が炭素を0.70〜0.7
6重量%含有する炭素鋼線材からなっており、コードに
撚り合わせ前の引張り強さが下記式を満たし、しかもコ
ード撚り合わせ前の素線の集合強度Aと撚り合わせ後の
コードの強力Bとの比B/Aが0.935以上であり、
かつ一方向捻り後、逆方向捻りを与える捻回試験での捻
回ートルク曲線においてトルクの低下率が7%以下であ
るため、コストの安い通常の炭素量の原料を使用してい
るにもかかわらず高強度でかつ良好な靭性を備え、撚り
効率も従来の強度材に劣らず、耐疲労性も特にすぐれて
いるので、ゴムに対する補強効果が高いというすぐれた
効果が得られる。請求項2によれば、コードの撚りピッ
チが素線径dに対して40d〜65dの範囲にあるの
で、良好な撚り効率とゴム浸透性を有しまたコードがば
らけず安定した形状保持をおこなえるというすぐれた効
果が得られる。
プローチ角度(2α)が8〜10°、ベアリング長さが
0.3d1(d1=引抜き孔径)のものを使用し、仕上げ
引抜きを2個のダイスを重ねたダブルダイスを使用して
行い、出口側ダイスで減面率を1.2〜3.9%とした
スキンパスを行い、引抜き用ダイスとして、少なくとも
ダブルダイスの2枚とそれよりも上流の もの数枚のも
のに焼結ダイヤモンドニブを用い、最終引抜きダイス通
過直後のワイヤの温度が150°C以下になるように制
御する最終伸線工程条件を採用して製造した素線を用い
るため、原料として製造コストの増大をもたらさない炭
素含有量が0.70〜0.76重量%の炭素鋼線材を用
いながら、強度が高く、しかも靭性がすぐれた素線を得
ることができるというすぐれた効果が得られる。請求項
4によれば、コード強力が10%以上も高くなっている
のでスチールコードの使用量を減らしても補強効果が維
持でき、しかも寿命の長い軽量なラジアルタイヤとする
ことができるというすぐれた効果が得られる。
大して示す側面図、(b)は同じくその1ピッチ分の模式
的拡大断面図である。
を示す断面図である。
す断面図である。
す断面図である。
る。
よる一方向−逆方向捻りトルク曲線図である。
験機の概要を示す説明図である。
る。
である。
である。
Claims (4)
- 【請求項1】3本の素線からなるスチールコードにおい
て、炭素を0.70〜0.76重量%含有する炭素鋼線材
からなり、コードに撚り合わせ前の引張り強さが下記式
を満たし、しかもコード撚り合わせ前の素線の集合強度
Aと撚り合わせ後のコードの強力Bとの比B/Aが0.
935以上であり、かつ一方向捻り後、逆方向捻りを与
える捻回試験での捻回ートルク曲線においてトルクの低
下率が7%以下である素線を用い、該素線の2本をほぼ
平行に束ね、その周りに1本の素線を巻き付けるように
撚り合わせたことを特徴とするゴム補強用高強度スチー
ルコード。 Z≧ー200d+365 [Z:引張り強さ(kgf/mm2)、d:直径(mm)] - 【請求項2】コードの撚りピッチが素線径dに対して4
0d〜65dの範囲にある請求項1に記載のゴム補強用
高強度スチールコード。 - 【請求項3】3本の素線が、炭素を0.70〜0.76重
量%含有する炭素鋼線材を使用して中間伸線し、めっき
を施して最終原料を作り、この最終原料を、下記の条件
で湿式伸線して製造したものである請求項1または2に
記載のゴム補強用高強度スチールコード。引抜きダイ
スとしてアプローチ角度(2α)が8〜10°、ベアリ
ング長さが0.3d1(d1=引抜き孔径)のものを使用
する。仕上げ引抜きを2個のダイスを重ねたダブルダ
イスを使用して行い、出口側ダイスで減面率を1.2〜
3.9%としたスキンパスを行う。引抜き用ダイスと
しては、少なくともダブルダイスの2枚とそれよりも上
流のもの数枚のものに焼結ダイヤモンドニブを用いる。
最終引抜きダイス通過直後のワイヤの温度が150°
C以下になるように制御する。 - 【請求項4】請求項1ないし請求項3に記載のスチール
コードをベルト部の補強に用いた自動車用ラジアルタイ
ヤ。
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---|---|---|---|
JP8070870A JP2906035B2 (ja) | 1996-03-04 | 1996-03-04 | ゴム補強用高強度スチールコード及びラジアルタイヤ |
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JP8070870A JP2906035B2 (ja) | 1996-03-04 | 1996-03-04 | ゴム補強用高強度スチールコード及びラジアルタイヤ |
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JP2906035B2 true JP2906035B2 (ja) | 1999-06-14 |
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Family Applications (1)
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-
1996
- 1996-03-04 JP JP8070870A patent/JP2906035B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH09241982A (ja) | 1997-09-16 |
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