JP3005743B2 - ゴム補強用極超高強度スチールワイヤおよびスチールコード - Google Patents

ゴム補強用極超高強度スチールワイヤおよびスチールコード

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JP3005743B2
JP3005743B2 JP7084570A JP8457095A JP3005743B2 JP 3005743 B2 JP3005743 B2 JP 3005743B2 JP 7084570 A JP7084570 A JP 7084570A JP 8457095 A JP8457095 A JP 8457095A JP 3005743 B2 JP3005743 B2 JP 3005743B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車両用タイヤや高圧ホー
ス等のゴム製品の補強に用いられる靭性の良好な実用極
超高強度スチールワイヤ及びスチールコードに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術及びその技術的課題】車両用ラジアルタイ
ヤや高圧ホース等のゴム製品の補強用として、一般に真
鍮めっきを施したスチールワイヤやこれを複数本撚合わ
せてなるスチールコードが使われている。このようなワ
イヤやコードは高い引張強さに加えて良好な靭性をも
ち、耐疲労性にも優れた特性を有することが要求され
る。しかも最近、ワイヤやコードによって補強されたゴ
ム製品は燃費や取り扱い性等の改善のため軽量化が強く
要望され、その対策として、スチールコードの高強度化
を行なってその使用量を減らすともにゴムにおいてもそ
のの使用量を減らすことが研究されている。
【0003】従来一般に、この種のスチールワイヤとし
ては、炭素含有量0.70〜0.75重量%の鋼線材が
使用され、これにより製造されたスチールワイヤは図1
に示すようにその強度(Y)と直径(d)との関係にお
いてY≧−200d+335(kgf/mm2)程度で
あった。そしてその後高強度化が進められ、現在では炭
素含有量0.80〜0.85重量%の線材を使ってY≧
−200d+365(kgf/mm2)程度の高強度ス
チールワイヤが実用化され、それなりの効果が得られて
いる。しかし軽量化の要求はさらに一段と増しており、
これに応えるには、スチールワイヤの更に大幅な高強度
化を行い、従来の高強度材より25〜30%程度も強度
アップした強度Y≧−200d+450(kgf/mm
2)の極超高強度スチールワイヤやこれを用いたスチー
ルコードが得られれば効果が格段なものになることは明
らかである。
【0004】この対策としては、炭素含有量の多い鋼線
材を使用することが考えられるが、原料コストのかなり
のアップを招くと共に、またスチールワイヤ製造時にお
ける熱処理なども難しくなるという問題がある。したが
って、原料線材の炭素含有量を増さないで強度向上を達
成することが好ましいが、次の問題があるため、従来で
は強度Y≧−200d+450(kgf/mm2)の極
超高強度スチールワイヤやこれを用いたスチールコード
は実際上存在しなかった。すなわち、原料線材の炭素含
有量を増さないで極超高強度化を実現するためには、ワ
イヤ製造時において伸線加工度を大幅に上げてその加工
硬化により目的強度を得る必要があるが、こうすると一
般に加工限度を越えてしまい、靭性が急激に劣化してし
まい、伸線加工や撚り線加工で断線が多発して実用的に
生産できなくなったり耐疲労性も低下してしまう。これ
らはワイヤ強度が特に高くなると著しくなる。また、加
工限界を越えるとワイヤ内部に生じた欠陥によりワイヤ
強度が逆に低下してしまうこともある。さらに従来で
は、加工限度(靭性の良否限界)を超えているか否か適
切な判定基準がなく、極超高強度でしかも靭性を兼ね備
えているスチールワイヤはどういうものかそれ自体が不
明であった。
【0005】すなわち、従来では、スチールワイヤをそ
の軸線と直角面において中心軸の周りにねじり、スチー
ルワイヤが破断するまでの回数(捻回値)をもって靭性
の良否を判断してきたが、同じ捻回値のスチールワイヤ
であってもその後のスチールワイヤの成形加工性や耐疲
労性が異なることが多く、このため捻回値では厳密かつ
実用的な靭性良否の臨界を意義付けることは不可能で、
加工限度の尺度として信頼性がなく、現実問題としては
実際にできたスチールワイヤを実際に使ってみないと判
らないという状況であった。ここでいう成形加工性と
は、例えば高圧ホース製造においては、スチールワイヤ
をスパイラル状にくせ付けを行なったり、ブレードに編
み込むような加工を言い、また複数のワイヤを撚り合わ
せてコードにする加工などを指す。即ち、このような加
工においてこれに使うスチールワイヤの靭性が劣化して
いると断線が多発して実用的生産ができなかったり、
又、撚ることによるワイヤ強度の低下が大きくなった
り、その耐疲労性も低下してしまうのである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前記のような問
題点を解消するために創案されたもので、その目的とす
るところは、Cを0.80〜0.85重量%含有する炭
素鋼線材のままこれよりも約25〜30%強度の高い極
超高強度でかつ高靭性を備え、耐疲労性にもすぐれ、ゴ
ム製品の適切な軽量化を実現できるゴム補強用スチール
ワイヤとスチールコードを提供することにある。
【0007】上記目的を達成するため本発明は、炭素を
0.80〜0.85重量%含有する炭素鋼線材を使用
し、所定中間径まで伸線した後熱処理とめっき及び伸線
を施して得られるスチールワイヤであって、該スチール
ワイヤが、スチールワイヤの引張強さが下記式を満足
し、しかも下記の最終湿式伸線条件にて製造されて、一
方向捻り後、逆方向捻りを与える捻回試験でのトルクの
低下率が7%以内にあることを特徴としている。 Y≧−200d+450 [Y:引張強さ(kgf/mm2)、d:スチールワイ
ヤ直径(mm)] 引抜き用ダイスとして、アプローチ角2αが8〜10
°、ベアリング長さが0.25〜0.35d1(但し、
1は引抜き孔径)の焼結ダイヤモンドニブを用いる。
湿式伸線工程を2工程に分け、総減面率の70〜9
9.8%の間で前引きしたワイヤを一旦巻取り、巻き取
ったワイヤの尻の方から伸線を行なう逆引きを1回以上
行なう。最終引抜きを2枚のダイスを直列に並べたダ
ブルダイスを使用し、出口側ダイスでの引抜き減面率
1.2〜3.9%のスキンパスとする。スキンパス直
後のスチールワイヤ温度を150℃以下に制御する。ま
た、本発明の他の特徴は、前記スチールワイヤを複数本
撚合したスチールコードとしたことにある。
【0008】
【作用】本発明は現在使われている炭素含有量が0.8
0〜0.85重量%の炭素鋼線材を用いるため、この面
で製造コストの増大をもたらさない。また引っ張り強さ
がY≧−200d+450kgf/mm2の超高強度を
有するため、少ない本数で良好な補強効果を実現するこ
とができる。なお、ワイヤの強度レベルの上限について
は、炭素含有量が0.80〜0.85重量%である関係
から、−200d+490kgf/mm2程度まで可能
である。しかも、本発明は靭性の良否判断の手段として
一方向ねじりと逆方向ねじりによるねじり試験を採用
し、この試験での捻回−トルク曲線においてトルク低下
率を0〜7%の範囲にあるものを靭性良好としている。
このため、極超高強度と靭性を兼ね備え、撚り効率が良
好で耐疲労性も良好なゴム補強用の超高強度スチールワ
イヤとなり、これを複数本撚り合わせたスチールコード
は高強度、高靭性および耐疲労性にすぐれ、ゴム製品の
補強材として使用することにより、コスト低減や軽量化
を実現することができる。
【0009】本発明の靭性良否判断法は、所定のつかみ
間隔としてワイヤ軸線方向に軽く張力を掛けながら一定
速度で一定方向(たとえば時計方向)に所定回数ねじ
り、ここで一旦回転を止め、その後逆方向(たとえば反
時計方向)にねじり返してワイヤが破断するまでの捻回
−トルク曲線をとるものである。かかる一方向−逆方向
ねじり方式による捻回−トルク試験を採用したのは次の
ような理由による。すなわち、図2(a)のように一方
向にねじって捻回−トルク曲線を測定した場合、トルク
が連続して右上がりとなる正常な曲線を描いて破断に到
るものと、破断に到る間でトルク低下が生ずるものとが
現われる。かかるトルクの低下は伸線強加工によりワイ
ヤ内部に生じた微細欠陥から割れが入ることにより起こ
るものと考えられる。しかし、この試験でトルク低下が
見られないワイヤを実際に使用しこれを撚合してスチー
ルコードを作ってみると、断線が発生したり、疲労特性
が不十分なものが多数現われ、したがって、この試験に
よるトルク減少判断では靭性可否の判別は不十分かつ不
正確である。
【0010】そこで、本発明者は、図2(b)のように一
方向−逆方向にねじってその逆方向の捻回−トルク過程
におけるトルク低下を実測して見た。その結果、かかる
一方向−逆方向捻回トルク試験においてトルク低下率が
0〜7%の範囲にあるワイヤはそれ自体強度も高く、靭
性も良好で、スチールコードへの撚り合わせ工程におい
ても問題なく撚り線とすることができ、撚ることによる
破断力の低下も少なく、また耐疲労性も良好であること
がわかった。これに対して、一方向ねじり過程でトルク
不良が現われないものの逆方向ねじり過程で8%以上の
トルク低下が生じたワイヤは、靭性が明らかに劣化して
おり、疲労性の改善がいまだ不十分となっていた。そし
て撚り合わせ工程においても断線の発生があり、しかも
撚り効率が悪く、得られたスチールコードはワイヤの強
度が十分に発揮されず、耐疲労性の改善も十分でなかっ
た。
【0011】なお、前記トルク低下は直径や材質を異に
する多数のワイヤについて一方向−逆方向ねじり方式に
よる捻回−トルク試験を行い、捻回−トルクの低下率を
測定してみた結果に基づくもので、いかなる場合でもト
ルク低下率が8%以上では前記した良好な特性が得られ
ないことを突き止めた。すなわち、トルク低下率△T
は、図2(b)の捻回−トルク曲線において、最初の一
方向捻りでのねじり弾性限すなわち図における右上がり
直線部分の上限でのトルク値をTとし、逆方向ねじりで
の低下部トルク値の最小値をtとすると、トルク低下率
△Tは次式で表される。但し、トルク低下のない場合は
t=Tとする。 △T=[(T−|t|)/T]×100(%) このトルク低下率△Tが8%以上では前記した不具合が
生じていた。したがって、一般的にトルク低下率△T=
7%がトルク異常低下の分水嶺であり、7%以内の特性
を示すスチールワイヤのみを靭性が正常と考えることが
できる。
【0012】本発明は前記スチールワイヤを複数本撚合
したスチールコードを含むものであり、該スチールコー
ドの構造は1×n構造さらにはこれの外周に複数本のス
チールワイヤを配して撚り合われたものや、2+2,3
+3を始めとするn+m構造のものなど任意である。こ
のスチールコードも、前記した特殊な靭性限界判定法に
おいてクリヤしたスチールワイヤ用ているため極超高強
度で耐疲労性に優れた特性を発揮できる。
【0013】以下本発明を添付図面に基いて説明する。
まず本発明で対象とするものは、C量が0.80〜0.
85重量%の炭素鋼線材を使用し、これを所定中間径に
伸線し、熱処理・めっき・めっき拡散を施した後乾式伸
線を行い、次いで目的線径まで湿式伸線を行なって得ら
れるスチールワイヤである。炭素鋼線材の炭素含有量の
下限を0.80%としたのは、これを下回る炭素量で
は、後述する好適な最終伸線条件を採用しても、引っ張
り強さがY≧−200d+450(kgf/mm2)が
得られないからである。上限を0.85%としたのは、
これを上回る炭素量では、コストが高くなるなどの問題
があるからである。具体的な化学的成分組成としては、
C:0.80〜0.85%、Si:0.15〜0.35
%、Mn:0.3〜0.9%、残部鉄および不可避的不
純物からなるものであるが、前記基本成分組成にCrや
Niなどを合金元素として所定量添加していてもよい。
【0014】前記炭素鋼線材は直径が4.0〜5.5m
mのものが使用される。これを通常のように酸洗、コー
ティングを行い、連続乾式一次伸線してたとえば直径
3.00〜3.50mmの中間線材を得る。この段階で
必要に応じてパテンティング熱処理を行い、コーティン
グ処理を行って4〜5回程度の連続乾式二次伸線を行
う。これにより線径2.00〜2.60mm程度の中間
線を得る。そして、この中間線の熱処理工程に移る。こ
の熱処理は例えばガス直火式などの加熱炉を用いて行
い、ここで、中間線は900〜960℃に所定時間加熱
し、オーステナイト化される。次いで、加熱流動砂又は
溶融鉛で冷却するパテンティング炉中に送入され、ここ
で480〜560℃程度に焼入れされ、パーライト変態
される。最終熱処理(パテンテイング処理)において
は、ベイナイト組織等の異組織を含まない均一な微細パ
ーライト組織とする。この時の線の強度は128〜13
5kgf/mm2程度にすることが好ましい。次いでこ
の線はめっき前処理槽内で電解酸洗され、表面の酸化皮
膜を除去する。そして次に電気めっき槽に通され、所定
量の銅めっきと亜鉛めっきが順次施され、2層めっきと
なる。次に、この線は加熱流動砂を使った拡散炉中に通
すか、又は線に直接通電して加熱し、めっきの銅と亜鉛
を相互に拡散させて真鍮にする。その後、冷却されてめ
っき付きの中間線となる。この拡散処理においては約6
00℃程度で所定時間加熱を行なうが、β真鍮が多いと
その後の伸線加工性が悪くなるため、線の引張り強度を
低下させない範囲内でα真鍮ができるだけ多くなるよう
な加熱温度と時間を選ぶことが好ましい。
【0015】ついで、前記中間径スチールワイヤを10
〜14回引きにより目的径の減面率88〜93%程度ま
で乾式伸線して最終原料ワイヤを得る。拡散めっきした
中間線を直ちに目的径まで湿式伸線せず上記減面率の範
囲で乾式伸線するのは、この伸線が湿式伸線に比べて摩
擦係数が低く、最終仕上がり線径での靭性の劣化を抑制
できるからである。この乾式伸線の引抜きダイスとして
は合金ダイスでもよく、ダイスはアプローチ角(2α)
が8〜10°、ベアリング長さが0.25〜0.35d
1(d1は引抜き孔径)が好適である。この理由はワイヤ
の引張強さが上昇し、靭性も維持されるためであり、ア
プローチ角が8°未満では引抜き抵抗が高くなりすぎ、
10°を超える大きなものではワイヤの引張強さが低
く、靭性も悪くなるため不可である。ワイヤのダイス出
口温度は170℃以下が好ましい。それは歪時効を抑え
るためであり、これは引抜きブロックの内部にスプレー
ノズルを配して大量の冷却水をブロック内面に作用させ
る方法などで実現できる。
【0016】そして前記最終原料ワイヤを液体潤滑剤を
使用して特定条件で湿式伸線して目的径例えば直径0.
1〜0.4mmのめっき付きスチールワイヤを得るので
あり、かかるスチールワイヤにおいて、目標強度を満た
しかつ前記したように一方向−逆方向ねじり方式による
捻回−トルク試験でトルク異常低下が生じないもの(ト
ルク低下率△Tが7%以内のもの)が得られるのであ
る。
【0017】この湿式伸線工程においては、一方向−逆
方向ねじり方式による捻回−トルク試験でトルク低下率
が0〜7%にするため、次の条件を採用することが好適
である。引抜き用ダイスとしてアプローチ角度(2
α)が8〜10°、ベアリング長さが0.25〜0.3
5d1(d1=引抜き孔径)の焼結ダイヤモンドニブを使
用する。湿式伸線工程を2工程に分け、総減面率の7
0〜99.8%の間で前引きしたワイヤを一旦巻取り、
巻き取ったワイヤの尻の方から伸線を行なう逆引きを1
回以上行なう。最終引抜きにおいて、2枚のダイスを
直列に並べたダブルダイスを使用し、出口側ダイスでの
引抜き減面率を1.2〜3.9%の範囲でスキンパスを
行う。スキンパス直後のスチールワイヤ温度を150
℃以下に制御する。
【0018】詳述すると、図3と図4はこの湿式伸線工
程を模式的に示しており、Aは前引き用湿式伸線部、B
は逆引き用伸線部であり、各伸線部A,Bには潤滑液槽
10,10’が設けられ、これに通常のスチールコード
用潤滑剤を水に濃度10〜30%溶解した潤滑液11が
収容されている。前記各潤滑液槽10,10’内には、
それぞれ潤滑液11に浸漬されるように平行状に一対の
キャプスタン12,12’が回転自在に横架され、下流
側のキャプスタン12’は図示しない可変速モータによ
り駆動されるようになっている。そして前引き用伸線部
Aの一対のキャプスタン12,12’の間には複数個の
前引き用ダイスDが、また逆引き用伸線部Bの一対のキ
ャプスタン12,12’の間には少なくとも1個以上で
かつ前引き用伸線部のダイス数よりも少ない数の逆引き
用ダイスD,D’が配置され、キャプスタン12,1
2’の溝に掛けられたワイヤが順次ダイスを通ることに
より引き抜かれるようになっている。D’は最終ダイス
ないし仕上げダイスである。前記前引き用湿式伸線部A
の上流には拡散めっき付きの最終原料ワイヤWのリール
13が配され、前引き用湿式伸線部の下流にはトラバー
サ140を介して巻取りリール14が配されている。逆
引き用伸線部Bの上流側には前引き用湿式伸線部Aの巻
取りリール14がペイオフ側リールとして装備され、下
流側には最終製品としてのめっき付き極超高強力ワイヤ
W’の巻取りリール17がトラバーサ170を介して装
備されている。
【0019】図5は前記前引き用湿式伸線部Aと逆引き
用伸線部Bの引抜き用ダイスDを示しており、1はダイ
ス本体、2はダイス本体1に内蔵された焼結ダイヤモン
ド製のニブであり、該ニブ2はアプローチ部20の角度
2αが8〜10°となっており、また、べアリング部2
1の長さlが0.25〜0.35d1となっている。図
6は仕上げないし最終の引抜きダイスD’を示してお
り、ケーシング4,4にノーマルダイス5aとスキンパ
ス用ダイス5bを近接して直列状に配置し、所定減面率
を2分割して得るようにしたダブルスキンパスダイスか
らなっている。ノーマルダイス5aとスキンパス用ダイ
ス5bはそれぞれ焼結ダイヤモンド製のニブ2a,2b
を内蔵しており、各ニブ2a,2bはアプローチ部20
の角度(2α)が8〜10°、ベアリング部21の寸法は
0.25〜0.35d1となっている。
【0020】まず本発明は引抜きダイスとしてアプロー
チ角度2αが8〜10°とする理由は次のとおりであ
る。伸線での引抜き力は12°程度が最も低いことから
従来これを採用しているが、本発明はこれよりもアプロ
ーチ角度を小さくする。これは加工硬化度を大きくする
とともに伸線加工限界を高め、かつ表面残留応力を低く
して耐疲労性を向上させるためである。加工硬化度を高
くする理由は、C量0.80〜0.85%材で極超高強
度を出すためには加工度を非常に高くとらなければなら
ず、そのままでは加工限界を越えてしまうからであり、
そこで8〜10°の低アプローチ角度ダイスを用いて伸
線加工限界を高め、しかも1パス毎の加工硬化度を高く
して相対的に総加工度を低く抑えるものである。しか
し、その角度が8°より小さくなるとスチールワイヤの
引抜き抵抗が高すぎてしまうので不適当である。また、
ダイスのベアリング長さ1は孔径d1に対して0.25
〜0.35d1とするのは、従来のように0.5d1程度
のベアリング長さとすると引き抜き抵抗が大きくなるた
め発熱が著しくなる。そこでスチールワイヤとの接触面
積を小さくしてスチールワイヤの発熱を少なく抑えるべ
く、ベアリング長さを短くしたのであり、これと前記ア
プローチ角度とのバランスにより伸線加工限界を高めつ
つ引き抜き抵抗を緩和することができる。
【0021】さらに、前引き用湿式伸線部Aと逆引き用
伸線部Bの引抜き用ダイスD,D,D’に焼結ダイヤモ
ンドニブを使用する理由は、ダイス1枚当りの加工硬化
度が大きくなることによるダイス寿命の低下問題がある
からである。すなわち、従来のタングステン・カーバイ
ドの焼結合金ニブではその表面が粗くて引抜き抵抗が大
きいうえにスチールワイヤの表面も粗くなり、耐疲労性
にも悪影響を与える。これに対して、焼結ダイヤモンド
ニブは焼結合金ニブに比べてその表面が平滑であるた
め、これで伸線すると引抜き抵抗も低くまたスチールワ
イヤの表面も平滑にすることができる。また、ダイヤモ
ンドニブはそれ自体の価格はかなり高いが、引き抜きに
よる孔径の太りが殆ど起こらず、寿命も非常に長く、交
換の手間と時間や生産停止時間が節減できるため、総合
的には安価となるからである。
【0022】ダイスによる毎回の減面率は後段ほど低い
減面率になるようにすることが好ましいが、最終パスは
前記のごとくダブルダイスによるスキンパス伸線とす
る。このようなダブルダイスによるスキンパス伸線を採
用するのは、伸線加工中に蓄積されるワイヤ表面の引張
りの残留応力を緩和させることができるとともに仕上げ
ダイス通過直後のワイヤ温度を低く抑えることができる
からである。さらに潤滑液温度を低く抑えることもワイ
ヤ温度の上昇を抑える効果があり、ワイヤの時効硬化に
よる靭性劣化を防止することができる。しかし、スキン
パス用ダイス5bによるスキンバス減面比は、これが
4.0%以上とあまり大きすぎては残留応力の緩和作用
が少なく、逆に1.1%以下とあまり小さくても、加工
量が小さすぎて残留応力の緩和作用が少ないため1.2
〜3.9%とする。これによりスチールワイヤの発熱を
低く抑えるとともに、伸線したスチールワイヤの表面残
留応力を低減し、靭性の回復を図ることができるのであ
る。
【0023】湿式伸線の引き回数は通常8〜14回程度
が採用される。これはワイヤの靭性を考慮したためであ
り、下限を下回る回数では、1パス当りの減面率が大き
くなりすぎワイヤの靭性が劣化する。また、上限を超え
る回数では引き回数が多くなりすぎ、製造コストの面で
不利である。さらに本発明の特徴は、湿式伸線工程を2
工程に分け、後半の工程で総湿式伸線回数の半数未満の
回数で前半の工程とは逆方向に伸線を行うことである。
この理由は、前引きだけではワイヤ表面の残留応力が引
っ張り側に大きくなりすぎるため、逆引きを行うことで
ワイヤ表面の残留応力を緩和でき、また逆引きは伸線加
工で低下した靭性を再度高めることができるからであ
る。この逆引きは湿式伸線の後半の工程で、かつ1回以
上半数未満で行われる。逆引き法としては前記減面率に
達した段階で図3のように巻取りリール14に一旦巻取
り、その巻取りリール14を逆引き用伸線部Bに取り付
けて巻き取った尻の部分から伸線を行えばよい。
【0024】なお、潤滑液温度を制御する方法は、図4
に示すように槽外には循環ポンプ15と冷却機16を設
け、潤滑液11,11を潤滑液槽10,10’から強制
的に抜きこれを冷却して槽に戻す循環系とし、温度計測
器によって潤滑液11,11を連続測温し、これによっ
て冷却機16の能力を調整すればすればよく、潤滑液は
操業中35℃以下好適には30〜35℃程度に温度制御
される。これにより、上がりワイヤ温度を確実に熱流束
式温度測定器での測温温度で150℃以下にすることが
可能である。
【0025】
【実施例】次に本発明の実施例を説明する。 [具体例1] (実施例1について) 1)原料としてJIS G 3502の82A相当の直径
5.5mmのピアノ線材を用いた。その成分は、C:
0.84%、Si:0.20%、Mn:0.50%残部
鉄及び不可避的不純物であった。この線材を一次,二次
乾式伸線して直径2.35mmの中間線にした。この中
間原料スチールワイヤを直火式加熱炉及び流動床式冷却
炉で熱処理して微細パーライトの金属組織とした。この
時の線の引張強さは、132kgf/mm2であった。
次いでこの線を前処理した後、銅めっき及び亜鉛めっき
を施して2層めっきとし、更にこれを加熱拡散させて真
鍮めっきとした。続いて、拡散炉において再加熱してめ
っきの拡散を十分行い、引抜き加工性向上を図った。 2)次いで連続乾式伸線機により直径0.70mm(減
面率:91.1%)まで伸線した。ダイスはアプローチ
角度10°、ベアリング長さ0.30d1の合金ダイス
を使用し、11回引きで行い最終原料スチールワイヤを
得た。3)さらに最終原料スチールワイヤを連続湿式伸
線機により伸線し、仕上げ直径0.28mmの真鍮めっ
きワイヤを得た。この時の潤滑液は通常の湿式潤滑剤を
使用し、冷却循環系により液温を制御して上リワイヤ温
度を150℃以下に保った。この工程でのダイスはアプ
ローチ角度10°、ベアリング長さ0.30d1の焼結
ダイヤモンドニブからなっており、11回引きで伸線し
たがそのうち6回を前引きで行い(湿式伸線部分の総減
面率の74.7%)、この前引きを終えたワイヤをリー
ルに巻取り、そのリールを他の湿式伸線機にかけて、こ
こで5回の逆引きを行なった。最後にダブルのスキンパ
スダイスに導入し、減面率11%で伸線したがスキンパ
ス減面率を2.0%とした。最終ダイス通過直後のワイ
ヤの温度は熱流束温度計で測定したところ135℃であ
った。
【0026】(比較例1について) ダイスアプローチ角度12°とし、湿式伸線の前引き回
数を5回、後引き回数を6回とし、他は実施例1と同条
件にした。 (比較例2について) ダイスアプローチ角度を12°とし、他は実施例1と同
条件とした。 (比較例3について) スキンパス減面率を1.0%とし、他は実施例1と同条
件にした。 (比較例4について) 湿式伸線において2段階に分けずに1段階で他は実施例
1と同条件とした。 (実施例2について) 直径2.45mmの中間線に熱処理、めっき、拡散を行
い、他を実施例1に準じた条件で伸線した。
【0027】[具体例2] 前記実施例と比較例に示すスチールワイヤを使用してス
チールコードとした。(実施例1Aについて) 実施例1の直径0.28mmのワイヤ4本を用いて、バ
ンチャー式撚り線機で撚り合わせて2+2構造(撚り方
向:S、撚りピッチ:16mm)のスチールコードを製
作した。 (実施例2Aについて) 実施例2のワイヤ4本を用いて同様に2+2構造のスチ
ールコードを得た。(比較例1Aについて) 比較例1のワイヤ4本を用いて同じく2+2構造のスチ
ールコードを得た。(比較例2Aについて) 比較例2のワイヤ4本を用いて同じく2+2構造のスチ
ールコードを得た。(比較例3Aについて) 比較例3のワイヤ4本を用いて同じく2+2構造のスチ
ールコードを得た。(従来例について) 従来の高強度ワイヤ4本を用いて同じく2+2構造のス
チールコードを得た。
【0028】以上の実施例、比較例、従来例についての
特性を表1,2に示す。なお、表1と表2および後述す
る表3,4において、「捻回値」は図7に示す固定側の
掴み具6と可動側の掴み具7の掴み間隔L=100d
(dはスチールワイヤ直径)で製品スチールワイヤ8を
掴み、固定側の掴み具6から延出したスチールワイヤ軸
方向に軽く張力を掛けながら可動側の掴み具7を可変速
モータ9により回転数=30rpmで一方向に捻ってス
チールワイヤが破断するまでの回数を測定したものであ
る。一方向のみの捻回試験は、図7において固定側の掴
み具6と可動側の掴み具7の掴み間隔Lを300d(d
はスチールワイヤ直径)とし、固定側の掴み具6から延
出したスチールワイヤ軸方向に一定の重りを吊り下げて
軽く張力を掛けながら、可動側の掴み具7を可変速モー
タ9により捻り速度=30rpmでワイヤが破断するま
で捻回−トルク曲線を読み取ることで行った。また一方
向+逆方向捻回試験は、図7に示すように固定側の掴み
具6と可動側の掴み具7の掴み間隔Lを300d(dは
スチールワイヤ直径)とし、固定側の掴み具6から延出
したスチールワイヤ軸方向に一定の重りを吊り下げて軽
く張力を掛けながら、可動側の掴み具7を可変速モータ
9により捻り速度=30rpmで一方向に10回ねじっ
た後一旦、回転を止め、その後、更に逆方向にワイヤが
破断するまでねじり返しを行って捻回−トルク曲線を読
み取ることで行った。
【0029】表中の「一方向捻り試験結果」の○はトル
ク低下率△Tが7%以下のものを指し、×はトルク低下
率△Tが8%以上が生じたものを示す。「一方向+逆方
向捩り試験結果」の○は逆方向ねじり過程でトルク低下
率△Tが0〜7%のものを指し、×は逆方向ねじり過程
でトルク低下率△Tが8%以上が生じたものを示す。疲
労限はハンター式回転曲げ疲労試験により測定した値で
ある。「撚り線性」の○は問題なし、△は断線あり、×
は断線多数を示している。「耐疲労性」は、所定の径を
もつ回転自在の3ヶのロールを千鳥状に配して、これに
沿わせてコードをその破断荷重の10%の負荷の下に張
り渡し、このロールを左右に繰り返し移動させてコード
に繰り返し曲げを与えるもので、コードが破断するまで
の回数を測定したもので、表中の数値は従来例を100
として指数表示したものである。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】これら表1と表2から、捻回値や一方向捻
回−トルク試験でなく、本発明による一方向+逆方向捻
回−トルク試験が靭性のパラメータとして適切であり、
これによる結果の良好な実施例1,2のスチールワイヤ
は引張り強さと疲労限をバランスよくクリアしており、
これらを使用した実施例1A、実施例2Aのスチールコ
ードは、撚り線特性、破断荷重、疲労特性が比較例より
すぐれていることがわかる。ことにC含有量0.80〜
0.85重量%の従来例と比べた場合、約30%強度が
高く、しかも靭性にすぐれ、耐疲労性にも非常に優れて
いることがわかる。また、このようなすぐれた特性は最
終伸線工程でのダイス条件、逆引き、スキンパス減面
率、上りワイヤ温度を満足する場合に得られることがわ
かる。
【0033】[具体例3] (実施例5について) 1)原料としてJIS G 3502の82A相当の直径
5.5mmの線材(成分:C=0.82%、Si=0.
18%、Mn=0.52%、残部鉄及び不可避的不純
物)を用いた。この線材を乾式伸線して直径1.75m
mの中間線にした。この中間線を熱処理し、引張強さ=
135kgf/mm2の線とし、次いで銅めっきと亜鉛
めっき及び拡散を施して真鍮めっきとした。2)次に、
連続乾式伸線機により、直径0.51mmまで伸線し
た。ダイスはアプローチ角度10°ベアリング長さ0.
30dの合金ダイスを使用した。更に湿式伸線により仕
上げ直径0.20mmのワイヤを得た。この工程でのダ
イスはアプローチ角度8°、ベアリング長さ0.30d
1の焼結ダイヤモンドニブを用い、11回引きで伸線し
た。そのうちの6回を前引きで終えたワイヤを更に5回
の逆引き伸線を行なった。この時、最後にダブルダイス
でのスキンパス(減面率=2%)を実施した。最終ダイ
ス通過直後のワイヤ温度は128℃であった。
【0034】(比較例8について) ダイスアプローチ角度を10°、ダイスベアリング長さ
を0.5d1とし、又、スキンパス減面率を1.0%と
し、他は実施例5と同一条件とした。 (実施例6について) 実施例5と同一線材を用いて乾式伸線を行なって直径
2.75mmの中間線とした。更に前記実施例と同様に
して中間線に熱処理とめっき及び拡散を行なって真鍮め
っきとした。この線の引張強さは130kgf/mm2
であった。次いで、乾式伸線機により、仕上げ直径0.
84mmのワイヤとした。更に湿式伸線機により直径
0.35mmの目的線径に伸線した。この湿式伸線にお
いても前引きは6回、後の逆引きは5回行い、後引き最
後はダブルダイスでスキンパス(減面率=2%)を行な
った。最終ダイス通過直後のワイヤ温度は148℃であ
った。なお、いずれのダイス条件も前記実施例と同様で
ある。 (比較例9について) ダイスアプローチ角度8°、ベアリング長さ0.5d1
スキンパス減面率4.5%他は実施例6と同一条件にし
た。 (比較例10について)ダイスアプローチ角度8°と
し、他は実施例6と同一とした。
【0035】(実施例7について) 実施例5の直径0.20mmのワイヤ及び実施例6の
0.35mmのワイヤを用いてスチールコードを製作し
た。即ち、0.20mmのワイヤ3本をピッチ10mm
でS方向に撚り合わせて1×3構造の芯ストランドと
し、更にこの芯ストランドの周りに0.35mmのワイ
ヤ6本を撚りピッチ18mmでS方向に撚り合わせて1
×3+6構造のスチールコードとした。 (比較例11について) 比較例8のワイヤ及び比較例9のワイヤを用いて同じく
1×3+6構造のスチールコードとした。 (従来例について) 従来使われている高強度の1×3(0.20)+6
(0.35)構造のスチールコードである。以上の実施
例、比較例、従来例についての特性を表3と表4に示
す。
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】この表3から明らかなように、一方向+逆
方向捻回−トルク試験を靭性のパラメータとしその結果
の良好な実施例5,6のスチールワイヤは、引張り強さ
と疲労限をバランスよく実現できており、これを使用し
た実施例7のスチールコードは、C含有量0.80〜
0.85重量%の従来例と比べた場合、約30%強度が
高く、しかも靭性にすぐれ、耐疲労性にも非常に優れ、
また撚り線特性、破断荷重、疲労特性が比較例よりすぐ
れていることがわかる。また、このようなすぐれた特性
は上記の最終伸線工程でのダイス条件、逆引き、スキン
パス減面率、上りワイヤ温度を満足する場合に得られる
ことがわかる。
【0039】
【発明の効果】以上説明した本発明の請求項1によるワ
イヤによれば、引抜き用ダイスとして、アプローチ角2
αが8〜10°、ベアリング長さが0.25〜0.35
1(但し、d1は引抜き孔径)の焼結ダイヤモンドから
なるものを用い、湿式伸線工程を2工程に分け、総減面
率の70〜99.8%の間で前引きしたワイヤを一旦巻
取り、巻き取ったワイヤの尻の方から伸線を行なう逆引
きを1回以上行い、最終引抜きを2枚のダイスを直列に
並べたダブルダイスを使用して行い、出口側ダイスでの
引抜き減面率1.2〜3.9%のスキンパスし、スキン
パス直後のスチールワイヤ温度を150℃以下に制御す
る特定の最終湿式製造条件を採用して製造し、一方向捻
り後、逆方向捻りを与える捻回−トルク試験でのトルク
低下値を7%以内としているので、C含有量0.80〜
0.85重量%の線材を用いながら、従来の高強度ワイ
ヤよりも約20〜30%強度の高い極超高強度を有し、
しかもそれでいて高い靭性を備えて耐疲労性もよく、コ
ードとする場合の撚り効率の低下を少なくすることがで
き、これにより良好な特性のゴム補強用スチールコード
用材料を提供できるというすぐれた効果が得られる。ま
た請求項2によれば、ゴム製品に対する補強効果が高
く、耐疲労性にすぐれ、ゴム製品の軽量化の実現にきわ
めて有効なスチールコードとすることができるというす
ぐれた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】使用線材と実用ワイヤ強度の関係を示す線図で
ある。
【図2】(a)は一方向捻り-トルク試験における捻回-ト
ルク曲線を示す線図であり、(b)は本発明による一方向
+逆方向捻り-トルク試験における捻回-トルク曲線を示
す線図である。
【図3】本発明における湿式伸線工程を模式的に示す平
面図である。
【図4】本発明における湿式伸線工程を模式的に示す断
面図である。
【図5】本発明に使用する引抜きダイスの断面図であ
る。
【図6】本発明で使用する最終引抜きダイス断面図であ
る。
【図7】スチールワイヤのねじり−トルク試験の概要を
示す説明図である。
【符号の説明】
Y 引張り強度 T ねじり弾性限でのトルク値 t 低下部でのトルク値の最小値 D 引抜きダイス D’ 最終の引抜きダイス 2 ニブ 20 アプローチ部 21 ベアリング部 5a ノーマルダイス 5b スキンパス用ダイス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 301 B60C 9/00 C08J 5/06 D07B 1/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素を0.80〜0.85重量%含有する
    炭素鋼線材を使用し、所定中間径まで伸線した後熱処理
    とめっき及び伸線を施して得られるスチールワイヤであ
    って、該スチールワイヤが、スチールワイヤの引張強さ
    が下記式を満足し、しかも下記の最終湿式伸線条件にて
    製造されて、一方向捻り後、逆方向捻りを与える捻回試
    験でのトルクの低下率が7%以内にあることを特徴とす
    るゴム補強用極超高強度スチールワイヤ。 Y≧−200d+450 [Y:引張強さ(kgf/mm2)、d:スチールワイ
    ヤ直径(mm)] 引抜き用ダイスとして、アプローチ角2αが8〜10
    °、ベアリング長さが0.25〜0.35d1(但し、
    1は引抜き孔径)の焼結ダイヤモンドニブを用いる。
    湿式伸線工程を2工程に分け、総減面率の70〜9
    9.8%の間で前引きしたワイヤを一旦巻取り、巻き取
    ったワイヤの尻の方から伸線を行なう逆引きを1回以上
    行なう。最終引抜きを2枚のダイスを直列に並べたダ
    ブルダイスを使用し、出口側ダイスでの引抜き減面率
    1.2〜3.9%のスキンパスとする。スキンパス直
    後のスチールワイヤ温度を150℃以下に制御する。
  2. 【請求項2】請求項1記載のワイヤを複数本撚り合せて
    なるゴム補強用極超高強度スチールコード。
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