JP3590696B2 - ゴム製品補強用スチールコード - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は自動車用タイヤ、コンベアベルト等のゴム製品の補強材として使用されるゴム製品補強用スチールコードに関するものであり、ゴムのスチールコード内部空洞への充填性を改善し、かつ、スチールコードの繰り返し曲げ荷重に対する疲労強度を向上させることができ、このスチールコードによって補強されたゴム製品の耐久性を著しく向上させることができるものである。
【0002】
【従来の技術】
ゴム製品補強用スチールコードは、5〜7本の素線を互いに堅く撚り合わせて密着させた、いわゆるクローズ撚りコードと、素線を互いに緩く撚り合わせた、いわゆるオープン撚りコードと、ほとんど撚り合わせない素線群に他の素線群を堅く撚り合わせたものとに大別される。
クローズ撚りコードの例として図2に示すものがある。このスチールコード21は芯素線22の回りに6本の側素線23を互いに密着させて撚り合わせたものである。このスチールコードは芯素線22の周囲に空洞部Dが存在しており、側素線23が互いに密着しているために、スチールコード21を2枚のゴムシートの間に挾んでこれを圧縮して複合シートを形成した場合、ゴム材が空洞部Dに浸入せず、単にスチールコードをゴムシートによって包み込んだだけの複合体となり、ゴム材がスチールコードの空洞部Dに完全に入り込んでゴムシートとスチールコードとが一体化された、いわば完全な複合体にはならない。このものを自動車のタイヤに組み込んだものにおいては、ゴム材とスチールコードとの接着が不十分であり、このために自動車の走行時にゴム材がスチールコードから剥離していわゆるセパレーション現象を起こす可能性が大きく、またゴム材中に浸入した水分がスチールコード21の空洞部Dに達すると、この水分は空洞部Dを伝ってたちまちスチールコード21の長手方向に伝播し、スチールコードを腐食させ、その結果その機械的強度を著しく低下させることになる。
【0003】
この問題を解決するために、上記の空洞部にゴム材が可及的に浸入し易くしたスチールコードの構造が種々提案されている。例えば図3に示すように芯素線32の線径を太くして、芯素線の回りに密着して撚り合わせた側素線33相互の間に間隙Cが形成したもの、図4に示すように、芯素線42に予め小さな半径のスパイラル状くせ付けを施しておいてこれに側素線43を密着して撚り合わせたもの(例えば特開平6−191218号公報)、あるいは図5に示すように芯素線52に予め小さな振幅の波状くせ付けを施してこれに側素線53を密着して撚り合わせたものがその一例である(例えば、特開平5−186977号公報)。さらに、素線に過大な型付けを施し、各素線間に間隙を設けながら緩く撚り合わせたいわゆるオープン撚りのスチールコード(例えば、特開昭57−43866号公報)や、図6に示すような上記オープン撚りのスチールコードをローラで偏平に潰して断面形状を楕円にした、いわゆる偏平オープン撚りスチールコード(例えば、特開平2−133687号公報)もまたその一例である。
【0004】
図3に示す従来のスチールコード31の構造は、芯素線32と側素線33との間の間隙にゴム材が十分浸入し、その結果空洞部は形成されず、したがってスチールコード内部を水分が伝播することはないが、芯素線32が太いためにスチールコード31の直径が大きくなり、そのためにゴムシートの厚みが大きくなる。これを自動車に用いた場合スチールコード31の直径が大きくなるために、スチールコードのタイヤの円周方向曲げに対する柔軟性が乏しく、乗り心地が損なわれる。
さらに、このものは芯素線32が常に側素線33に接触しているので、フレッティング摩耗を生じ、このためにスチールコードの耐疲労性が低く、耐久性に劣る。
【0005】
また、芯素線42にスパイラル状くせ付けをした図4に示すスチールコード41は、芯素線42に側素線43が常に接触しているものではないので耐疲労性は改善されるが、断面形状が略真円形状であるので、スチールコードの曲げに対する剛性がどの方向に対しても同じであり、タイヤの所定のコーナリング性能を確保するようにする(所定のタイヤの横方向剛性を確保できるようにスチールコードの直径を選択する)と、タイヤの円周方向の曲げに対する剛性が高すぎ、乗り心地が悪くなる。
また、上記スチールコード41は、図2のようなクローズ撚りのスチールコード21に比べてコード径が太くなり、カレンダー(ゴム被覆工程)後のシートが厚くなってしまい、加えてコード径が太いためにシートに所要本数のスチールコードを埋め込むことができず、シートの強度が低い。したがってこれをタイヤに用いるときはシートの重ね枚数を増やす必要があり、結果としてタイヤの重量が増加する。
【0006】
また、芯素線52に波状のくせ付けを施した図5に示すスチールコード51は、芯素線52の移動軌跡で描かれる略トラック型(いわゆる運動場のトラック)の空間(図中の点線で囲まれた空間)の中に側素線53が入り込む構造ではないために、芯素線52の自由度がある程度大きい。そのため、スチールコード製造時やゴムシート製造時の取扱い作業性が悪くなる。例えば、芯素線52が上下のゴムシートの間にスチールコードを挾んで加圧して加硫して一体化する加工(カレンダー加工)による外力により移動し易く、スチールコードの撚りの安定性が低下する。
【0007】
また、図6に示す偏平オープン状のスチールコード61においては、ゴム材が各素線62の全周に接着し、かつスチールコード内部まで十分に浸入するためには、各素線間の間隙をゴム材が浸入するに十分な間隔、すなわち0.02mm以上にする必要がある。しかし、このように間隙を各素線間に十分にとると、スチールコード製造時において撚り構造が不安定になり易く、素線の片寄りが生じたり、撚りがスチールコードの長手方向に不均一になるという問題がある。このものは各素線の自由度が比較的大きいので、スチールコードをゴムシートに埋め込んで加硫プレスする際に、折角生じた隙間が外力によって減少し、あるいは素線移動により間隙の偏りが生じ、ゴム材がコード内部に十分に浸入しにくくなる。こうなると、繰り返し曲げ応力によって座屈が生じ易くなり、スチールコードひいてはゴム製品の寿命が短くなってしまう。また、この偏平オープン状のスチールコード61は低荷重での伸びが大きいためにゴムシート製造工程における取扱いが難しい。さらにスチールコードはコード幅Wが大きいため、ゴムシートへの打ち込み本数が少なくなる問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は多数の側素線と同等の太さの芯素線を有する略楕円状のスチールコードについて、側素線間に所要の間隙を形成したスチールコードをゴムシートで挾んで加圧し加硫するときも、所定の間隙が確保されてゴムがスチールコード内部に容易、確実に浸入するようにその構造を工夫することをその課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題解決のために講じた手段は次ぎの要素(イ)〜(ニ)によって構成されるものである。
(イ)1本の略真直な芯素線の周囲に芯素線と同一線径の5本の側素線を配して撚り合わせた1+5構造のスチールコードとしたこと、
(ロ)コードの断面形状がコード長手方向に略同一向きの偏平オープン構造であり、その平均長径DLが3.3d≦DL≦3.6d(d:素線径)の範囲としたこと、
(ハ)隣接する2本の側素線の間に芯素線が部分的に割り込んだ領域を有すること、
(ニ)コード1撚りピッチにおける上記の芯素線の割り込みの最大量を芯素線直径の50%以上75%以下としたこと。
【0010】
【作 用】
図1を参照しつつ作用を説明する。
芯素線2は略真直ぐであり、5本の撚られた側素線3の中にあって、スチールコード1が圧縮加工によって略楕円形状に潰されるのであるから芯素線2が上下の側素線の間で強圧されて隣接する側素線間に割り込んで側素線と組み合わされる。そしてこの割り込みは、コードの1撚りピッチにおいて小さいところと大きい(割り込み最大)ところがあり(図1の割り込み状態を参照)、割り込みの増減がコードの1撚りピッチ間隔で周期的に繰り返す状態である。そして、隣接する側素線3と4との間に割り込んだ割込量H(図1参照)は、芯素線2の外周が側素線3と4の共通接線Lから突出した量(図示の共通接線Lと芯素線2の接線L1の間隔)である。この割込量Hはスチールコードに沿って、最大、最小の間で周期的に変動するが、この最大値の大小は、主としてスチールコード1が圧縮加工によって略楕円形状に潰されるときのその圧縮力の大小によって調節される。
【0011】
スチールコードが潰された略楕円形状に成形された状態では芯素線が側素線と堅く組み合わされるので、側素線の自由度が小さくなり、したがって、上下ゴムのシート間にスチールコードを挾んで加圧し加硫するときも、側素線間の間隙が変動しにくく、所定の間隙が保たれる。したがって、この間隙からゴムがスチールコードの内部に浸入し易く、ゴムがスチールコードの内に十分に充填される。
最大割込量が小さいと上記の作用・効果が小さくなり、反対に最大割込量が大きいと上記の作用・効果は大きいが、スチールコードに対する上記の圧縮加工のために素線表面に生じる圧痕や損傷が増大し、その結果スチールコードの疲労強度が低下する。
そして、上記最大割込量Hmaxが芯素線径dに対して0.5dに満たない場合は芯素線の上記の作用が小さく、そのために側素線の自由度が大きくなり、実用上の効果はほとんど期待されない。反対に最大割込量Hmaxが芯素線径dに対して0.75dを超えると上記の圧痕、損傷のための疲労強度の低下が顕著になり実用上望ましくない。
勿論、上記の圧痕、損傷を防止するための特別な表面処理を素線に施せば最大割込量Hmaxを0.75dよりも大きくすることが実用上可能ではあるが、最大割込量Hmaxを0.75dよりも大きくしても、上記作用・効果はそれほど増大しない。
【0012】
なお、側素線の数が少ないほど芯素線の曲がりが緩やかになり上記の作用・効果は軽微になる。反対に側素線の数が多いと芯素線の曲がりがきつくなるので、加圧加工時に素線表面に生じる圧痕や損傷が増大し、その結果、スチールコードの疲労強度が低下する。したがって、側素線の数が4本、6本でも本発明の作用・効果を全く生じないではないが、側素線を5本とするスチールコードが最も実用的である。
【0013】
また、このスチールコードは、平均長径DLを3.3d以上、3.6d以下の範囲としたので、図6で示される偏平オープン状のスチールコード61に比べて、コード幅をかなり狭くすることができる。したがって、ゴムシートへの打ち込み本数をかなり多くすることができ、単位面積当りのゴムシートの強度をかなり向上させることができる。
本発明においては、平均長径DLが3.3d未満の場合は、コードの偏平率をそれほど大きくできず、最大割込量Hmaxを0.5d以上にすることが難しくなる。また、平均長径DLが3.6dを超えると、素線間の拘束が緩くなり、コード安定性が低下するとともに、コード幅が大きくなるために、ゴムシートへの打ち込み本数が減少する。
【0014】
なお、撚り工程時にリールから繰り出される芯素線はその加工、巻き取り、繰り出し等の工程において幾分自然に変形することは避けられない。したがって、この明細書で言う「略真直な芯素線」は、人為的にくせ付けをしていない芯素線を意味し、文字通り「真直な芯素線」ではないことを意味する。
また、偏平なスチールコードにした状態においては芯素線は当然に小さく波打つのであるから、上記の「略真直な芯素線」は、偏平なスチールコードにした状態において芯素線が真直であることを意味するものではなく、スチールコードに撚る前の芯素線が略真直であることを意味するものである。
【0015】
【発明の実施の態様】
スチールコードの撚りピッチを6〜20mmとする。
6mm以下では極度の加工のために断線が生じ易く、またスチールコードの単位長さ当たりの撚り回数が多くなり生産性が低下する。
他方、スチールコードの撚りピッチが20mm以上であるときは、スチールコードの柔軟性が小さくなり、またフレアーも生じ易くなるので実用的でない。
芯素線の線径を0.2〜0.4mmとする。
素線が余り細いと素線の強度が不足し、余り太いとスチールコードの柔軟性が不足し、耐疲労性が低くなる。断面形状が楕円形状の本発明のスチールコードにおいてはこのことが一層顕著であり、0.4mmを超えると実用的でない。
【0016】
【実 施 例】
次いで、図1を参照しつつ実施例を説明する。
このスチールコード1は、素線径0.35mmの真直ぐな1本の芯素線2の周囲に型付けした5本の側素線を撚りピッチが16mmで、平均コード直径が1.07mmの略真円形に撚り合わせ、これを圧延ローラによって長径が1.19mm、短径が0.96mmの略楕円形状に成形したものである。この圧延ローラによる加圧加工により、芯素線は塑性変形して隣り合う側素線の間に割り込む。このスチールコードを樹脂に埋め込み、これをスチールコードの長手方向に2mm間隔で切断した各断面を拡大図示したものを図9(1)〜(8)に示す。図中のX印を記した素線が芯素線である。図9のうち割込量が最大(コードの1撚りピッチにおける最大)のものにおける割込量を測定することによってこの実施例における最大割込量を測定することができる。(6)番目の断面図が割込量最大である。
本発明のスチールコードの特性を確認するために、最大割込量および平均コード長径を適宜変えた本発明のスチールコード数種と従来のスチールコード数種と比較例のスチールコード数種の比較試験を行い、ゴムの浸入率、剛性比、耐疲労性、取扱作業性について定量的に評価した。この評価結果は次ぎの表1に示すとおりである。
【0017】
【表1】
【0018】
なお、このテストの試験条件、評価方法は次ぎのとおりである。
ゴム浸入率は、各コードに5Kgの引張荷重を掛けた状態でゴム中に埋め込み、加圧加硫した後、コードをゴム中から取り出してそのコードを分解して素線の一定長さを観察し、観察した長さに対してゴムと接触した形跡のある長さの比をパーセント表示した。ゴム浸入率は通常70%以上必要である。
耐疲労性は、複数本のスチールコードをゴムシートに埋め込んだ複合体シートを用いて3点プーリー曲げ疲労試験機により疲労試験を行い、埋設したスチールコードがフレッティング摩耗、座屈等を経て破断に至るまでの繰り返し回数を計数したものである。そして、実験No.7の従来のクローズ撚り構造のものの耐疲労評価値を100として指数表示したものである。この値が高いほど耐疲労強度が高いことを表している。
また、剛性比は図7に示すように、3点曲げ試験機によりテストピース71のスパン(SP)=20mmにおいて5mm押え込んだときの荷重Gを測定した値であり、スチールコードの短径軸方向のものについての上記荷重Gと長径軸方向のものについての上記荷重G1との比(G/G1)をパーセント表示したものである。この比が小さいほどこれをタイヤに適用したときのタイヤの円周方向の柔軟性が高く(剛性が低く)、横方向の剛性が高い(横方向の柔軟性が低い)ことを意味する。
図8に示すように、5本のテストコード82を横一列に、100%モジュラスが35Kg/cm2よりなるゴムシート83に埋め込んでテストピース81を作成し、これについて剛性試験を行った。上記ゴムシート83の寸法は、厚みT=4mm、幅W=15mm、長さL=100mmである。なお、短径軸方向の曲げ剛性は図8の(a)に示すようにテストコード82を横にして埋め込んだものの曲げ剛性であり、長径軸方向の曲げ剛性は同図(b)に示すように、テストコード82を縦にして埋め込んだものの曲げ剛性である。
取扱作業性は、スチールコード製造時、複合体シート成形時の作業の繁雑さならびにスチールコードの取扱作業性の評価であり、また製造時の加工の難易度も考慮して、実験No.7のスチールコードと比較して非常に劣るものを×、少し劣るものを△、差がないものを○として三段階評価したものである。
【0019】
表1の結果に基づいて各スチールコードの評価を以下に述べる。
図2に示す断面形状の従来のスチールコード(実験No.7)は、本発明の実施例(実験No.1〜実験No.3)に比べてゴム浸入率が極めて劣り、そのため耐疲労性が悪く、柔軟性に欠ける。
図4に示す断面形状の、芯素線に略スパイラル状のくせを付けた従来のスチールコード(実験No.8)は、剛性比が100であり、本発明の実施例の剛性比93〜95に比してかなり高い。
また、本発明の実施例のスチールコードに比べて短径側のコード径がかなり大きい。このためにこのようなコードを用いた場合、シート厚を薄くすることはできず、乗り心地性を悪くする結果となる。
さらにまた、芯素線にスパイラル状のくせ付け加工を施す必要があるため、製造コストや設備コストが高くなり、取扱作業性もやや悪い。
図5に示す断面形状の、芯素線に波状のくせ付けをしたスチールコード(実験No.9)は最大割込量が0.26dであって小さく、ゴム浸入率が60%であって低い。このものはスチールコード製造時およびゴムシート製造時の取扱作業性が悪く、特にスチールコードに付与する張力の適正な制御が難しい。
構造的には本発明の実施例と同じで最大割込量を0.40dとした比較例、すなわち実験No.4はスチールコードの安定性が悪く、ゴム浸入率は75%にとどまり、取扱作業性も悪かった。
最大割込量を0.80dとした同様の比較例、すなわち実験No.5のスチールコードは、本発明の実施例(実験No.1〜実験No.3)に比して耐疲労性が著しく低い。これはコードの最大割込量が大きすぎ、過度の圧縮加工による素線の圧痕、損傷が顕著であるためである。
コードの平均長径が3.6dより大きい比較例、すなわち実験No.6は、コードの安定性が悪いため耐疲労性が実験No.1〜実験No.3の実施例のコードよりかなり劣り、作業性も悪かった。
以上の、従来例、比較例に比して、本発明の実施例(実験No.1〜実験No.3)はゴム浸入率が極めて高く、耐疲労性は106〜109と高く、さらに、剛性比は93〜95と低い。このために、これをタイヤに適用した場合、タイヤはその円周方向の柔軟性が高く、したがって、乗り心地がよく、また、横方向への剛性が高く、したがってコーナリング特性がよい。
また、取扱作業性は従来のものに比して良好である。
【0020】
【効 果】
本発明のスチールコードはコード長手方向の略全域にわたってコード内部に空洞部を有さず、ゴム浸入性が安定して高い。また、ゴムに埋め込んでシートにした際のシート厚を薄くできるのでタイヤ重量を小さく抑えることができ、自動車の燃費を向上できる。
また、タイヤの円周方向(回転方向)の剛性を低くできるので乗り心地を向上でき、また、タイヤの横方向への剛性を高くできるのでコーナリング性能を高めることができる。
さらに、本発明のスチールコードは長手方向の撚りの安定性が格段に優れているので、上記のとおりゴムの浸入が極めて良好である外、スチールコードの取扱作業性が極めて良好である。
また、同じ6本の素線を用いた1×6構造の偏平オープン構造のスチールコードに比して、コード幅をかなり狭くすることができるので、ゴムシートへのコード打ち込み密度をかなり多くすることができ、シート厚を薄くできることと相まって、単位断面積当たりのゴムシートの強度をかなり向上できる。したがって、タイヤに使用するゴムシートの重量をかなり低減でき自動車の燃費向上を図るために有効である。
さらに、真直な素線を芯素線としてスチールコードを撚り合わせるものであるから、従来のバンチャー型、チューブラー型のいずれの撚線機でも製造でき、撚り不良を生じることはなく(芯素線に予めくせ付けをした図4、図5の従来のものにおいては撚り不良を生じることが製造上の問題である)、さらに、側素線の撚りピッチを芯素線のくせのピッチに合わせるためのピッチ調整が必要でないので、それだけ側素線のピッチ調整が簡単であり、取扱いも容易であり、さらに芯素線に予めくせ付けを施す必要はない。したがって、図4、図5の従来例に比して製造コストを著しく低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のスチールコードの断面図である。
【図2】芯素線の回りに6本の側素線を互いに密着させて撚り合わせた従来のスチールコードの断面図ある。
【図3】線径の太い芯素線の回りに密着して撚り合わせた側素線相互の間に間隙を形成した従来のスチールコードの断面図である。
【図4】芯素線に予め小さなスパイラル状くせを施し、これに側素線を密着して撚り合わせた従来のスチールコードの断面図である。
【図5】芯素線に予め小さい振幅の波状くせ付けを施し、これに側素線を密着して撚り合わせた従来のスチールコードの断面図である。
【図6】従来の偏平オープン撚りスチールコードの断面図である。
【図7】剛性試験機の概略図である。
【図8】(a)はスチールコードの短径軸を上下方向に向けてこれを横一列に並べて埋め込んだ試験片の斜視図、(b)はスチールコードの長径軸を上下方向に向けてこれを横一列に並べて埋め込んだ試験片の斜視図である。
【図9】本発明の実施例のスチールコード(1+5構造)の1撚りピッチにおける2mm刻みの拡大断面図である。
【符号の説明】
1・・・スチールコード
2・・・芯素線
3、4・・・側素線
L・・・側素線3と4との共通接線
L1・・・芯素線の接線
C・・・間隙
D・・・空洞部
H・・・割込量
d・・・素線径
Claims (1)
- 1本の略真直ぐな芯素線の周囲に芯素線と同一線径の5本の側素線を配して撚り合わせた1+5構造のスチールコードであって、
コードの断面形状がコード長手方向に略同一向きの偏平オープン構造であり、その平均長径DLが3.3d≦DL≦3.6d(d:素線径)の範囲にあり、
隣接する2本の側素線の間に芯素線が部分的に割り込んだ領域があり、
コード1撚りピッチにおける上記の芯素線の割り込みの最大量を芯素線直径の50%以上75%以下であるゴム製品補強用スチールコード。
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