JP2012246599A - ポリフェニレンサルファイド繊維およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、特別な設備を用いずとも、特に剛性の求められる産業資材用途として好適な単糸繊度の大きいポリフェニレンサルファイド繊維を提供すること、および該ポリフェニレンサルファイド繊維を製糸性よく安価に製造する技術を提供することにある。
【解決手段】単糸繊度が10〜50dtex、強度が4.5〜6cN/dtexであることを特徴とするポリフェニレンサルファイド繊維。また、0.1〜1重量%の水系油剤を付着させた後、総付着油分量が0.5〜2重量%となるように非水系油剤を付着させることを特徴とするポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】単糸繊度が10〜50dtex、強度が4.5〜6cN/dtexであることを特徴とするポリフェニレンサルファイド繊維。また、0.1〜1重量%の水系油剤を付着させた後、総付着油分量が0.5〜2重量%となるように非水系油剤を付着させることを特徴とするポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、ポリフェニレンサルファイド繊維とその製造方法に関するものである。詳しくは、特に産業資材用途に適した単糸繊度の大きいポリフェニレンサルファイド繊維とその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、製糸時の毛羽・糸切れ等が少なく、高い生産効率で得ることができるポリフェニレンサルファイド繊維およびその製造方法に関するものである。
ポリフェニレンサルファイドは、耐熱性、耐薬品性、難燃性、電気絶縁性等に優れた特性を具備しており、過酷な環境下で使用される高性能エンジニアリングプラスチックとして知られている。繊維の分野においても、素材の特徴をいかし、その用途が拡大されつつあるが、現在実用化されている繊維の種類は、単糸繊度が数dtexのマルチフィラメントと直径が数百μmのモノフィラメントに大別され、それらの単独または混合使用によって最終製品が製造されており、それらの中間の太さのマルチフィラメントは製造されていない。これは単糸繊度の大きいポリフェニレンサルファイド繊維の製糸が極めて困難であったことが理由であり、このような単糸繊度の大きいポリフェニレンサルファイド繊維からなるマルチフィラメントを製糸性よく製造する技術はほとんど開示されていない。
特許文献1には、ポリフェニレンサルファイドの繊維化に関する基本的事項が開示されており、ポリアミドやポリエステルと同様の溶融紡糸技術でポリフェニレンサルファイド繊維が製造できることが記載されている。しかしながら特許文献1で提案された方法では、近年要求されている高強度で高タフネスなポリフェニレンサルファイド繊維を得ることはできないものであった。また、糸条が太い場合には冷却強化用に液状の冷媒を使用するといった提案もなされているものの、実際に製造した例は開示されておらず、冷媒の使用に特殊な設備を使用せざるを得ないため、直接紡糸延伸法ではその適用が困難であるといった問題があった。
また特許文献2には、繊維構造パラメータを特定の範囲に制御することで、高強度、高タフネスで適度な収縮特性を有し、織物用途に適した毛羽の少ない単糸繊度50デニール以下のポリフェニレンサルファイド繊維とその製造方法が開示されている。しかしながら、特許文献2に記載の技術では、結晶サイズを小さくするために、延伸時の雰囲気またはローラ表面の最高温度を120〜180℃と比較的低温にしているが故に、寸法安定性に劣るものであるばかりか、実際に特許文献2に記載の技術を利用しても、単糸繊度10dtex以上のポリフェニレンサルファイドを安定して得ることはできないものであった。
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものであり、従来の直接紡糸延伸法を用い、製糸時の毛羽・糸切れ等が少なく安価に製造することができる単糸繊度の大きいポリフェニレンサルファイド繊維の提供を目的とするものである。
上記目的を達成するために本発明によれば、単糸繊度が10〜50dtex、強度が4.5〜6cN/dtexであることを特徴とするポリフェニレンサルファイド繊維が提供される。
なお、本発明のポリフェニレンサルファイド繊維においては、
繊維表面に少なくとも界面活性剤成分および酸化防止剤成分が付着していること、
繊維重量に対する総付着油分量が0.5〜2重量%であり、そのうち界面活性剤成分量が0.01〜1重量%であり、酸化防止剤成分量が0.002〜0.1重量%であること、
総繊度が100〜1000dtexで、単糸数が2〜50本で無撚であること、
伸度が15〜25%であり、150℃乾熱収縮率が2〜10%であること、
繊度斑が0.5〜1%であること
がいずれも好ましい条件であり、これらの条件の適用によりさらに優れた効果を期待することができる。
繊維表面に少なくとも界面活性剤成分および酸化防止剤成分が付着していること、
繊維重量に対する総付着油分量が0.5〜2重量%であり、そのうち界面活性剤成分量が0.01〜1重量%であり、酸化防止剤成分量が0.002〜0.1重量%であること、
総繊度が100〜1000dtexで、単糸数が2〜50本で無撚であること、
伸度が15〜25%であり、150℃乾熱収縮率が2〜10%であること、
繊度斑が0.5〜1%であること
がいずれも好ましい条件であり、これらの条件の適用によりさらに優れた効果を期待することができる。
またポリフェニレンサルファイド樹脂を溶融紡糸し、付着油分量が0.1〜1重量%となるように水系エマルジョン油剤で糸条を処理して引き取った後、一旦巻き取ることなく総合延伸倍率3.8〜4.5倍で延伸することを特徴とする単糸繊度が10〜100dtexのポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法が提供される。
さらに、本発明のポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法においては、
引き取った糸条に、総付着油分量が0.5〜2重量%となるように非水系油剤を付着させること、
水系エマルジョン油剤の濃度が15〜40重量%であること、
がいずれも好ましい条件であり、これらの条件の適用によりさらに優れた効果を期待することができる。
引き取った糸条に、総付着油分量が0.5〜2重量%となるように非水系油剤を付着させること、
水系エマルジョン油剤の濃度が15〜40重量%であること、
がいずれも好ましい条件であり、これらの条件の適用によりさらに優れた効果を期待することができる。
本発明によれば、以下に説明するとおり、単糸が太く、高強度、高タフネスの産業資材用途に好適なポリフェニレンサルファイド繊維を高品位かつ高い生産効率で安価に製造することができ、例えば織物用途として使用しても、従来の単糸の細い繊維と遜色ない。
以下、本発明について図1の製造方法の模式図の一例を参照しながら詳細に説明する。
本発明のポリフェニレンサルファイド繊維においては、単糸繊度が10〜100dtexであることが必要であり、好ましくは10〜50dtex、より好ましくは15〜45dtex、更に好ましくは20〜40dtexである。単糸繊度が10dtex未満では従来のポリフェニレンサルファイドマルチフィラメントを用いた製品との特性に大差はない。一方、100dtexを越える繊維を製造することはできるものの、この場合は冷却が不足するため製糸性や繊維物性が悪化したり、これを回避するために紡糸速度を極端に低くせざるを得なくなったり、いずれにしても生産性が悪化するため好ましくない。また、本発明のポリフェニレンサルファイド繊維は強度が4.5〜6cN/dtexであることが必要であり、より好ましい範囲は4.8〜5.5cN/dtexである。この範囲は製品として要求される特性というよりもむしろ、従来の単糸繊度が数dtexのポリフェニレンサルファイド繊維(以下、単糸細繊度糸とする)製造時と同等の良好な製糸性を得るために必須な範囲であることを究明したものである。強度が4.5cN/dtex未満では、激しく毛羽が発生し、糸切れが多発するため、繊維製品をほとんど巻き取ることができないばかりか、得られた繊維パッケージから繊維を解舒して使用することすらできない。これは従来の単糸細繊度糸では認められない極めて特異な現象であり、従来の単糸細繊度糸においては、例えば4.0cN/dtex前後の強度でも安定して製糸することができるし、また、ポリアミドやポリエステルを製糸する場合も前記した低強度側で製糸性が悪化するということはなく、同一の原料を用いた場合は低強度側の方が製糸性は良好となる。即ち、従来の溶融紡糸では、毛羽や糸切れが多い場合は延伸倍率を低くするなどの方法で低強度化するのが好ましいのに対し、本発明の単糸繊度の大きいポリフェニレンサルファイド繊維(以下、単糸太繊度糸とする)においては、延伸倍率を高くして、より高強度側で製糸性が向上する効果があることを見いだしたのである。強度が6cN/dtexを越えた場合は、通常の溶融紡糸で知られているように、延伸に耐えきれずに繊維が破断する現象がみられる。即ち、ポリフェニレンサルファイドからなる単糸太繊度糸の製造においては、高強度側の狭い範囲で適正な範囲があるのである。このような強度範囲の単糸太繊度糸を得るには、直接紡糸延伸法で総合延伸倍率3.8〜4.5倍で延伸することが好ましい。
また本発明のポリフェニレンサルファイド繊維を得るためには、付着油分量が固形分として0.1〜1重量%となるように水系エマルジョン油剤で糸条を処理することが好ましい。一般に延伸熱処理時の毛羽や糸切れを有効に抑制させるために、繊維に付着させる油分量は比較的多い方が好ましく、例えば特開2001−262436号公報によればポリフェニレンサルファイドには水系油剤を用いること、その付着油分量は固形分として1.0〜3.0重量%であることが好ましいとされ、単繊維繊度4.5dtexのポリフェニレンサルファイドにおいては、1.5〜2.5重量%の付着量で製糸性よく繊維が得られる一方、その付着量が0.6重量%では毛羽や糸切れが悪化することが開示されている。本発明の単糸太繊度のポリフェニレンサルファイド繊維でも付着油分量が低い場合は、ポリアミド等と同様に製糸性が悪化する。しかしながら、水系エマルジョン油剤を用いて固形分として1重量%を越える量を付着させた場合も製糸性が極端に悪化し、激しく毛羽が発生し、糸切れが多発するため、繊維製品をほとんど巻き取ることができないばかりか、得られた繊維パッケージ18から繊維を解舒して使用することすらできない。この傾向は単糸繊度が大きくなるにつれて顕著となり、驚くべき事に、単糸を太くした場合は水系油剤の使用量を少なくした方が製糸性よく繊維を得ることができるのである。さらに驚くべき事に、単糸の太いポリフェニレンサルファイドの未延伸糸に、水系油剤を用いることなく、非水系の油剤を付着させた場合は製糸性が良好となるものの繊維の強度と伸度はいずれも低下し、その傾向は単糸が太くなるほど、また非水系油剤の付着量が多くなるほど大きくなる。単糸繊度が大きく、高強度なポリフェニレンサルファイド繊維を製糸性を損なうことなく得るためには、前記した通り、水系エマルジョン油剤を固形分として0.1〜1重量%付着させることが好ましいことを究明したのである。
また、総付着油分量が0.5〜2重量%となるように非水系油剤を第2段目給油させることが好ましい。特に水系油剤の固形分付着量を0.5重量%未満に調整しなければならないほど、単糸繊度が大きいポリフェニレンサルファイド繊維を製造する場合に有効である。総付着油分量は、適宜製造条件等を勘案しながら決定すればよいが、製糸性や毛羽品位が良好であれば総付着油分量が少ない方が経済的であるため、通常は総付着油分0.5〜1重量%程度で問題はない。単糸繊度50dtex以下の場合には特に有効である。
このようなポリフェニレンサルファイド繊維の物性と製糸性に水がどのような影響を及ぼしているかは定かではないが、ポリフェニレンサルファイド繊維の飽和水分率は極めて小さいこと、水系エマルジョン油剤を付着させた未延伸糸と非水系油剤を付着させた未延伸糸の間には、強度および伸度の差はほとんど認められないこと、ポリフェニレンサルファイド繊維は処理温度でその特性が大きく変化すること等から、毛管現象で単糸表面に付着していた水分が延伸熱処理時に気化することによる熱量交換が大きく関係しているものと推察される。即ち、水系エマルジョン油剤を用いることなく非水系油剤のみを給油する場合でも、給油前に霧状、あるいはスチーム状といった方法で水分を供給することで、本発明のポリフェニレンサルファイド繊維が得られる可能性があるが、水系エマルジョン油剤として用いる方が経済的である。単糸繊度が50dtex以下、好ましくは40dtex以下、より好ましくは25dtex以下のポリフェニレンサルファイド繊維に付着させる水系エマルジョン油剤の固形分付着量は、好ましくは0.5〜1重量%であり、より好ましくは0.6〜0.9重量%、さらに好ましくは0.7〜0.8重量%である。この範囲内であると製糸性を損なうことなく高強度繊維を得やすくなるが、さらにコストを勘案した上で公知の組成の非水系油剤を総付着量が2重量%以下、より好ましくは1.5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下となるように追加で給油することは何ら差し支えない。単糸繊度が25dtex未満の場合は、水系エマルジョンのみでも充分である。一方、単糸繊度が50dtexを越えるような場合は、水系エマルジョン油剤の固形分付着量は、0.1〜0.5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜0.3%、さらに好ましくは0.1〜0.2%である。この場合はさらに非水系油剤を総付着量が0.5重量%を越え、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1.5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下となるように追加で給油することが有効である。さらに水系エマルジョン油剤の濃度は15〜40重量%であることが好ましく、より好ましくは15〜30重量%、さらに好ましくは18〜22重量%である。この範囲内に濃度調整することで、安価で安定性の高い水系エマルジョン油剤を得ることができるし、ポリフェニレンサルファイド繊維への給油においても適度な水分を付着させることができるため好ましいのである。また、油剤中に界面活性剤と酸化防止剤成分を添加することで繊維表面にこれらの成分を付着させることが好ましく、その量は繊維重量に対して界面活性剤成分が0.01〜1重量%、酸化防止剤成分が0.002〜0.1重量%であることがより好ましい。さらに好ましくは、界面活性剤成分が0.1〜0.5重量%、酸化防止剤成分が0.003〜0.05重量%である。両成分をこの範囲内に調整して付着させることで、延伸熱処理の際に受けるダメージを軽減し、強伸度のバラツキが小さく、高タフネス性を維持しやすくなるのである。
また、本発明のポリフェニレンサルファイド繊維は、総繊度が100〜1000dtexであることが好ましく、より好ましくは200〜900dtex、さらに好ましくは400〜700dtexである。100dtex未満であっても製造できるが、その場合は所望される繊維強力を満たさなくなることが多くなるし、合糸したり、合撚糸して目的とする製品に加工されることもあるため、総繊度が細いと効率が悪く好ましくない。一方、1000dtexを超える総繊度のポリフェニレンサルファイド繊維も得ることができるが、その場合は適当に合糸して用いれば良く、敢えて大型の製糸設備を用いて太繊度糸を製造する必要はない。
また、単糸数が2〜50本であることが好ましく、より好ましくは10〜40本である。単糸数が1本、即ちモノフィラメントの状態では、本発明の単糸繊度の範囲で現状展開できる用途はほとんどなく、複数本からなるマルチフィラメントを製造して分繊した方が高生産性となる場合が多い。一方、単糸数が50本を越える場合は、紡糸設備の大きさにもよるが、単糸太繊度糸の製造に好ましいレベルの冷却を現状の直接紡糸延伸技術で与えることが困難である。さらに本発明のポリフェニレンサルファイド繊維は無撚であることが好ましい。単糸太繊度糸はマルチフィラメントとして使用することもでき、この場合は高次工程で所望の撚りをかければよいが、分繊して使用することもでき、撚りが施されていると分繊できないため、好ましくない。通常の直接紡糸延伸法で用いられる公知の巻取機を使用すれば、無撚で繊維パッケージ18を得ることができる。
伸度は15〜25%が好ましく、より好ましくは17〜23%である。15%未満では、製糸時の毛羽や糸切れが多発するばかりか、タフネス性が低下するため高次加工性も悪化する。25%を大きく上回る場合は、強度が本発明の要件を満たし難くなるため好ましくないが、延伸後の弛緩率を可能な限り大きくとれば25%を越えるポリフェニレンサルファイドを得ることも可能である。
150℃乾熱収縮率は2〜10%であることが好ましく、より好ましくは2〜6%、さらに好ましくは2〜4%である。本発明の単糸太繊度のポリフェニレンサルファイドは比較的高強度なため、2%未満の150℃乾熱収縮率は得難い。一方、高次加工時の高温熱セットを利用して製品の剛性を向上させたい場合は、収縮率が高い方が好ましいが、10%を越えるような場合は、最終延伸ローラの温度を低くする必要が生じ、延伸張力が高くなる等の理由で、製糸性が悪化する傾向やタフネス性低下が起こり、繊維が自由収縮して取り扱いが複雑になるため好ましくない。
繊度斑は0.5〜1%であることが好ましく、より好ましくは0.6〜0.8%である。0.5%以下の繊度斑は現状の技術では得難い。一方、1%を越えるような場合は、紡糸性や延伸性が悪くなるため好ましくない。
本発明のポリフェニレンサルファイド繊維は以下の方法で製造することができる。
メルトフローレート(MFR)が50〜600のポリフェニレンサルファイドペレットを、低沸点異物の除去のため140〜180℃で2〜24時間程度乾燥し、溶融紡糸する。なお、ここでいうメルトフローレート(MFR)とは、設定温度316℃、荷重5kgfとしたときにASTM D1238−82法によって測定されたポリマの溶融流れ性を示すパラメーターである。また、本発明で用いるポリフェニレンサルファイドは実質的に線状であることが好ましいが、トリクロロベンゼン(TCB)を0.1重量%以下含有していてもよく、その他添加剤を少量含有していてもよい。
本発明ポリフェニレンサルファイドのポリマペレットの溶融には、エクストルーダー型紡糸機を用いることが好ましい。紡糸温度は300〜320℃とし、紡糸パック中で5〜20μmのフィルターを通過させて濾過する。濾過したポリマ−は紡糸口金1を用い、口金細孔から紡出し、口金直下の徐冷ゾ−ンを通過させた後、冷風を吹き付けて冷却固化する。該口金においては、通常の千鳥配列や環状配列で口金細孔を配列させ、その孔径や孔長は口金背面圧力が70〜150kg/cm2で、口金孔からの吐出線速度と引取速度の比で定義される紡糸ドラフトが20〜50となるように適宜設計すればよい。紡糸ドラフトが50を越えると繊度斑が悪化する。より好ましい口金背面圧力の範囲は90〜110kg/cm2である。徐冷ゾ−ンは、長さ5〜10cmの断熱筒2を取り付け、口金直下10cm下における雰囲気温度が150〜250℃となるよう温度制御する。冷却は、10〜30℃の冷却風4を30〜40m/分の速度で吹き付けて行うが、35m/分以上の速度で吹き付けることが好ましい。本願発明の単糸太繊度糸は冷却を強化させる必要があるため、吹き付ける冷風の速度は高い方がよいが、従来の単糸細繊度糸と比較すると紡糸張力が大きく低下するため、40m/分以上の速度で冷風を吹き付けると、糸条5が紡糸ダクト6から飛び出しやすくなったり、紡糸ダクトと接触して繊維物性の低下や毛羽が多発するため好ましくない。紡出糸条に対し直角に冷風を吹き付ける横吹き出し冷却チムニー3を用いてもよく、環状冷却チムニーを用いて紡出糸条束の外周から中心に、あるいは中心から外周に向けて吹き付けても良いが、横吹き出し冷却チムニーを使用することが好ましい。
次に、冷却固化した糸条に油剤を付与し、該糸条は、所定の速度で回転する引き取りローラ8に捲回されて引き取られる。油剤付与はローラ給油、ガイド給油等、公知の方法を用いて実施することができる。ここで使用する油剤は、平滑剤、活性剤、乳化剤などを主成分とする水系エマルジョン油剤と非水系油剤のいずれを用いても構わないが、第1段目給油は第1給油ローラ7を用いて水系エマルジョン油剤を給油し、第2段目給油は第2給油ローラ9を用いて非水系油剤を給油することが好ましい。油剤組成としては、例えば平均分子量が600〜6000のポリテトラメチレングリコールと、二塩基酸と、一価脂肪酸とから形成されるエステル化合物であり、平均分子量が2000〜15000であるポリエーテルエステルを含有することができるが、この限りではなく、必要に応じてアルキルアミンのアルキレンオキサイド付加物などのpH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、フッ素化合物などその他の添加剤を添加していてもよい。
平滑剤成分の具体例としては、ネオペンチルグリコールジラウレート、ジエチレングリコールジオレートなどの2価アルコールと高級脂肪酸のエステル、グリセリントリオレート、トリネチルロールプロパントリオレートなどの3価アルコールと高級脂肪酸のエステル、ペンタエリスリトールテトラオレートなどの4価以上のアルコールと高級脂肪酸エステル、ジオクチルセバケート、ジオレイルアジペート、ジイソステアリルチオジプロピオネートなどの高級アルコールと2塩基酸のエステル、ジオレイルフタレート、トリオクチルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテートなどの高級アルコールと芳香族カルボン酸のエステル、およびビチルステアレート、イソステアリルパルミテート、オレイルラレート、オレイルオレートなどの高級アルコールと高級脂肪酸のエステルなどが挙げられる。
界面活性剤成分の具体例としては、多価アルコールアルキレンオキサイド付加物のエステル化合物であって、アルキレンオキサイドの付加モル数が10〜40モルの化合物とモノカルボン酸および/またはジカルボン酸との反応物が挙げられる。該エステル化合物とは、硬化ヒマシ油EO(25)、硬化ヒマシ油エチレンオキサイドEO(25)のステアリン酸、マレイン酸エステル、およびエチレンオキサイドEO(20)ジステアレートなどである。
酸化防止剤の具体例としては、フェノール系酸化防止剤、リン酸系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ヒンダード系酸化防止剤、およびイオウ系酸化防止剤などの単一成分または2種以上混合したものが挙げられる。なお、酸化防止剤は界面活性剤に含まれる。
引き取りローラ8は、片掛け型、ネルソン型またはセパレートローラ型が用いられ、それらいずれを使用してもよく、その温度は通常常温であるが、該ローラ内部に水を循環させて20〜40℃に温度制御する。引取速度は400〜1000m/分、好ましくは500〜800m/分である。該引き取り速度、即ち紡糸速度が400m/分未満であると、単位時間あたりの生産量が少なくなり、ポリフェニレンサルファイド繊維を生産性よく得ることができなくなるし、本願発明の強度範囲を満たすポリフェニレンサルファイド繊維を安定して製造するための適正な延伸倍率を設定し難くなる。一方、1000m/分を越える場合は、口金から吐出されるポリマ量が多くなりすぎ、現状の紡糸技術では充分な冷却を施し難くなるため、製糸性の悪化等を招き好ましくない。ポリフェニレンサルファイド糸条をガラス転移点以下まで一旦冷却させることが必要である。
引き取りローラ8は、片掛け型、ネルソン型またはセパレートローラ型が用いられ、それらいずれを使用してもよく、その温度は通常常温であるが、該ローラ内部に水を循環させて20〜40℃に温度制御する。引取速度は400〜1000m/分、好ましくは500〜800m/分である。該引き取り速度、即ち紡糸速度が400m/分未満であると、単位時間あたりの生産量が少なくなり、ポリフェニレンサルファイド繊維を生産性よく得ることができなくなるし、本願発明の強度範囲を満たすポリフェニレンサルファイド繊維を安定して製造するための適正な延伸倍率を設定し難くなる。一方、1000m/分を越える場合は、口金から吐出されるポリマ量が多くなりすぎ、現状の紡糸技術では充分な冷却を施し難くなるため、製糸性の悪化等を招き好ましくない。ポリフェニレンサルファイド糸条をガラス転移点以下まで一旦冷却させることが必要である。
次に、引取糸条は、品質・製糸性を安定化させるため一旦巻き取ることなく、フィードローラ10に捲回して、引取ローラとフィードローラ間で糸条にプレストレッチをかけた後、ポリアミドやポリエステルと同様の多段延伸法を用いて巻取ることもできるし、特開2001−262436号公報で提案されているポリフェニレンサルファイド繊維の製造に適した独自の多段延伸法を用いて巻取ることもできるが、紡糸速度が低い場合は後者を用いることが好ましい。
ポリアミド等と同様の多段延伸法では以下の方法でポリフェニレンサルファイド繊維を延伸熱処理する。プレストレッチは、2〜10%、好ましくは4〜8%である。フィードローラ10の温度は70〜110℃に制御することが好ましい。次に、該フィードローラと第1延伸ローラ11間で1段目の延伸を行う。第1延伸ローラは80〜120℃に加熱して行う。本願発明のポリフェニレンサルファイド繊維を得るには、第1段目延伸倍率を3.3〜3.8倍と単糸切れが発生しない程度で可能な限り高くすることが好ましい。1段延伸した糸条は、第2延伸ローラ13との間で2段目の延伸を行う。第2延伸ローラは180〜250℃の範囲に設定する。第2段目延伸倍率は、1.05〜1.3倍に設定することが好ましい。この時、第1延伸ローラと第2延伸ローラとの間には集束エアノズル12を用いて糸条を集束させると製糸糸切れが減少するため好ましい。また、必要に応じて、更に第3延伸ローラ14との間で3段目の延伸を行っても良い。この場合、第3延伸ローラの温度は180〜250℃とし、通常は第2延伸ローラより高い温度に設定する。また、第3段目延伸倍率は、通常は前記第2段目延伸倍率を分割し、2段延伸倍率を3段延伸倍率より高く設定する。総合延伸倍率は、3.8〜4.5倍とすることが好ましく、より好ましくは3.9〜4.4倍、さらに好ましくは4.0〜4.3倍である。このような狭い範囲の総合延伸倍率を適用しなければ、本願発明の毛羽や糸切れの少ないポリフェニレンサルファイドからなる単糸太繊度糸を得ることはできず、この範囲外の倍率を選択しただけで製糸不能状態へと陥る。特に第2延伸ローラの温度が200℃以上の高温である場合は、該高温ローラと接触するまでに可能な限り配向を高め、高強度化しておく必要がある。2段延伸または3段延伸された糸条は、次に弛緩ローラ15との間で弛緩熱処理される。弛緩ローラは非加熱または150℃以下に設定する。弛緩率は2〜10%、好ましくは4〜8%である。上記第1延伸ローラから弛緩ローラまでの各ローラはネルソンタイプのローラを用いることが好ましい。
紡糸速度が低く、前記した条件でも製糸ができない場合は、以下の方法でポリフェニレンサルファイド繊維を延伸熱処理する。前記プレストレッチを1.2〜1.6倍とし、第1段目延伸倍率を2.5〜3.5倍とし、その他の条件は全て前記条件とすればよい。また、前記第1段目延伸倍率を1.2〜1.6とし、第2段目延伸倍率を2.5〜3.5倍とし、第3段目延伸倍率を総合延伸倍率が3.8〜4.5倍となるように設定する方法も用いることができる。この場合、第1延伸ローラの温度を70〜110℃、第2延伸ローラの温度を80〜120℃、第3延伸ローラの温度を180〜250℃とすることが好ましい。
また、得られたポリフェニレンサルファイド糸条を分繊せず用いる場合は、糸条を巻取るまでの間に、流体処理により交絡を付与することが好ましい。交絡を付与するためには、流体処理のための交絡付与装置16、処理時の流体の流量、巻き取り張力等を適宜設定して行えばよく、交絡数が5〜20個/mとなるように行うことが好ましい。
以上の方法によって本発明のポリフェニレンサルファイド繊維が得られる。そして、本発明のポリフェニレンサルファイド繊維は、直接紡糸延伸法により、製糸速度2000m/分以上で多糸条同時延伸でき、かつ製糸工程における延伸性は極めて良好で、糸切れおよび単糸の切断による毛羽は殆どなく、また繊維を解舒して使用する際の毛羽による引っ掛かりも殆どない。即ち、従来のポリフェニレンサルファイドからなる単糸細繊度糸と比べても遜色ないレベルでの高次工程通過性を得ることができる。本発明のポリフェニレンサルファイド繊維は、ポリフェニレンサルファイドの特性と剛性が求められる用途、特に産業資材用途として好適に用いられる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。本発明における各特性の定義および測定法は以下の通りである。
(1)総繊度:JIS L1013(1999) 8.3.1 A法により、所定荷重0.045cN/dtexで正量繊度を測定して総繊度とした。
(2)単糸数:JIS L1013(1999) 8.4の方法で算出した。
(3)単糸繊度:上記総繊度を上記単糸数で除することで算出した。
(4)付着油分量:JIS L1013(1999) 8.27 b)の方法で、ジエチルエ−テル抽出分を測定し、付着油分量とした。水系油剤付着量は、第1段目給油を施した未延伸糸を採取して付着油分量を測定した。総付着油分量は、巻き取った延伸糸から測定した。界面活性剤と酸化防止剤の付着量は、第1段目と第2段目の油剤組成と付着量から求めた。
(5)強度・伸度:JIS L1013 8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件で測定した。試料をオリエンテック社製“テンシロン”(TENSILON)UCT−100を用い、掴み間隔は25cm、引張り速度は30cm/分で行った。なお、伸度はS−S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。
(6)150℃乾熱収縮率:JIS L1013(1999) 8.18.2 b)の方法で、150℃に加熱された乾燥機を用いて測定した。
(7)交絡数:水浸漬法により長さ1mm以上の交絡部の個数を測定し、1mあたりの個数に換算した。原糸10本を測定し、その平均値で示した。
水浸漬バスは、長さ70cm、幅15cm、深さ5cmで、長手方向の両端より10cmの位置に仕切板を設けたものを用いた。このバスに純水を満たし、原糸サンプルを水浸させ、交絡部個数を測定した。なお、油剤等の不純物の影響を排除するために測定毎に純水を交換した。
(8)繊度斑:ツェルベガー・ウースター(Zellweger USTER)社製のウースター・テスター・モニターC(USTER TESTER MONITOR C)を用いてハーフ値を測定した。INEATモードを使用して、糸条速度25m/分にて125mの測定を行った。
(9)製糸糸切れ:繊維パッケージ重量で合計300kgとなるまで製糸できた時の糸切れ回数である。
(10)製糸毛羽:延伸弛緩熱処理ローラと巻取機間に設置したローラから5mm離れた箇所にレーザー式毛羽検知器を設置し、繊維パッケージ重量で合計300kgとなるまでに検知された毛羽個数を1万kmあたりの個数に換算して表示した。
(11)解舒性:得られた繊維パッケージ6本(30kg)を300m/分の速度で巻き返し、巻き返しの途中で毛羽によって引っ掛かり、解舒できなくなった回数を数えた。
(12)合撚糸の毛羽立ち:得られた繊維を3本引き揃え、撚糸機で撚数5turn/10cmとなるように撚糸し、得られた撚糸品の毛羽立ち有無を確認した。
[実施例1]
MFRが200の東レ製ポリフェニレンサルファイドポリマを、1.33kPa真空下の状態でエクストルーダー型紡糸機によりポリマ温度が315℃になるように溶融し、紡糸パック中で溶融ポリマを5μmの細孔を有する金属フィルターで濾過した後、直径0.50mmの吐出孔を19個有した千鳥1列配列の紡糸口金を用いて紡出した。吐出量は得られた繊維が440dtexとなるように巻取り速度から算出し、計量ポンプを調整した。口金直下には長さ100mmの加熱筒を設け、糸条を徐冷却した後、横吹き出し冷却チムニーを使用して25℃で38m/分の冷風により冷却固化せしめ、次に平滑剤等を有する水系エマルジョン油剤(水系20)を10rpmで回転する給油ローラにて付与し、558m/分の速度で回転した紡糸引き取りローラに捲回し、紡出糸条を引き取った。前記水系エマルジョン油剤(水系20)は、竹本油脂製のポリテトラメチレングリコールとアジピン酸とオレイン酸のエステルからなる平滑剤であるポリエーテルエステルを主成分とし、酸化防止剤であるチバ・ジャパン株式会社のIRGANOX245、ラウリル(EO)2ホスフェートK塩やラウリルアルコールPO・EO付加物からなる極圧剤、硬化ヒマシ油EO25等の界面活性剤とを含んだものと80重量%の純水とを乳化せしめたもので、油剤中の成分比率は界面活性剤が42.3重量%、その内、酸化防止剤は0.96重量%である。
MFRが200の東レ製ポリフェニレンサルファイドポリマを、1.33kPa真空下の状態でエクストルーダー型紡糸機によりポリマ温度が315℃になるように溶融し、紡糸パック中で溶融ポリマを5μmの細孔を有する金属フィルターで濾過した後、直径0.50mmの吐出孔を19個有した千鳥1列配列の紡糸口金を用いて紡出した。吐出量は得られた繊維が440dtexとなるように巻取り速度から算出し、計量ポンプを調整した。口金直下には長さ100mmの加熱筒を設け、糸条を徐冷却した後、横吹き出し冷却チムニーを使用して25℃で38m/分の冷風により冷却固化せしめ、次に平滑剤等を有する水系エマルジョン油剤(水系20)を10rpmで回転する給油ローラにて付与し、558m/分の速度で回転した紡糸引き取りローラに捲回し、紡出糸条を引き取った。前記水系エマルジョン油剤(水系20)は、竹本油脂製のポリテトラメチレングリコールとアジピン酸とオレイン酸のエステルからなる平滑剤であるポリエーテルエステルを主成分とし、酸化防止剤であるチバ・ジャパン株式会社のIRGANOX245、ラウリル(EO)2ホスフェートK塩やラウリルアルコールPO・EO付加物からなる極圧剤、硬化ヒマシ油EO25等の界面活性剤とを含んだものと80重量%の純水とを乳化せしめたもので、油剤中の成分比率は界面活性剤が42.3重量%、その内、酸化防止剤は0.96重量%である。
引き続き、連続して前記と同様の成分からなり、界面活性剤が43.4重量%、酸化防止剤が1.42重量%の油剤を14重量%の鉱物油で希釈した非水系油剤を8rpmで回転する給油ローラにて両面給油し、延伸・熱処理ゾーンに供給することで、直接紡糸延伸法によりポリフェニレンサルファイド繊維を製造した。
まず、引き取りローラとフィードローラの間で6%のストレッチをかけ、次いでフィードローラと第1延伸ローラの間で第1段目の延伸、第1延伸ローラと第2延伸ローラの間で第2段目の延伸を行った。引き続き、第2延伸ローラと弛緩ローラとの間で5%の弛緩熱処理を施し、交絡付与装置にて糸条を交絡処理した後、巻取機にて巻き取った。各ローラの表面温度は、引き取りローラが常温、フィードローラが80℃、第1延伸ローラが110℃、第2延伸ローラは235℃、弛緩ローラが150℃となるように設定した。第1延伸ローラと第2延伸ローラの回転速度は、第1段目延伸倍率が3.70倍、総合延伸倍率が4.30倍となるように設定した。
得られたポリフェニレンサルファイド繊維の特性と評価結果を表1に示す。高延伸倍率で高強度化し、給油方法および付着油分量も適正なため、製糸糸切れ、製糸毛羽も少なく、また解舒時の毛羽による引っ掛かりもなく、例えば品位要求の厳しい織物用途としても問題ない繊維パッケージを得ることができた。また、毛羽立ちのない合撚糸を得ることができた。
[実施例2および3]
実施例2は直径0.70mmの吐出孔を8個有する千鳥1列配列の紡糸口金を用い、引き取り速度を512m/分としてそれに伴う各ローラ回転速度を変更し、第2段目の給油ローラの回転数を12rpmにしたこと以外は実施例1と同様に、また実施例3は直径0.75mmの吐出孔を5個有する千鳥1列配列の紡糸口金を用い、引き取り速度を512m/分としてそれに伴う各ローラ回転速度を変更し、第2段目の給油ローラの回転数を15rpmにしたこと以外は実施例1と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を得た。得られたポリフェニレンサルファイド繊維の特性と評価結果を表1に示す。実施例1に対して、製糸糸切れ、製糸毛羽、解舒性がやや劣る結果となり、単糸繊度が大きくなるに伴い強度および伸度が低下したが、満足する評価結果を得ることができた。
実施例2は直径0.70mmの吐出孔を8個有する千鳥1列配列の紡糸口金を用い、引き取り速度を512m/分としてそれに伴う各ローラ回転速度を変更し、第2段目の給油ローラの回転数を12rpmにしたこと以外は実施例1と同様に、また実施例3は直径0.75mmの吐出孔を5個有する千鳥1列配列の紡糸口金を用い、引き取り速度を512m/分としてそれに伴う各ローラ回転速度を変更し、第2段目の給油ローラの回転数を15rpmにしたこと以外は実施例1と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を得た。得られたポリフェニレンサルファイド繊維の特性と評価結果を表1に示す。実施例1に対して、製糸糸切れ、製糸毛羽、解舒性がやや劣る結果となり、単糸繊度が大きくなるに伴い強度および伸度が低下したが、満足する評価結果を得ることができた。
[実施例4]
引き取り速度を628m/分としてそれに伴う各ローラ回転速度を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を得た。得られたポリフェニレンサルファイド繊維の特性と評価結果を表1に示す。実施例1に対して、製糸糸切れ、製糸毛羽がやや劣る結果となったが、満足する評価結果を得ることができた。
引き取り速度を628m/分としてそれに伴う各ローラ回転速度を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を得た。得られたポリフェニレンサルファイド繊維の特性と評価結果を表1に示す。実施例1に対して、製糸糸切れ、製糸毛羽がやや劣る結果となったが、満足する評価結果を得ることができた。
[実施例5]
総繊度が220dtexとなるように計量ポンプを調整し、直径0.50mmの吐出孔を10個有する千鳥1列配列の紡糸口金を用い、第1段目の給油ローラの回転数を15rpm、第2段目の給油ローラの回転数を5rpmにしたこと以外は、実施例1と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を得た。得られたポリフェニレンサルファイド繊維の特性と評価結果を表1に示す。実施例1に対して、製糸糸切れ、製糸毛羽がやや劣る結果となったが、満足する評価結果を得ることができた。
総繊度が220dtexとなるように計量ポンプを調整し、直径0.50mmの吐出孔を10個有する千鳥1列配列の紡糸口金を用い、第1段目の給油ローラの回転数を15rpm、第2段目の給油ローラの回転数を5rpmにしたこと以外は、実施例1と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を得た。得られたポリフェニレンサルファイド繊維の特性と評価結果を表1に示す。実施例1に対して、製糸糸切れ、製糸毛羽がやや劣る結果となったが、満足する評価結果を得ることができた。
[実施例6]
第1段目の給油ローラの回転数を25rpm、第2段目の給油を実施しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を得た。得られたポリフェニレンサルファイド繊維の特性と評価結果を表1に示す。実施例1に対して、製糸毛羽がやや劣る結果となったが、満足する評価結果を得ることができた。
第1段目の給油ローラの回転数を25rpm、第2段目の給油を実施しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を得た。得られたポリフェニレンサルファイド繊維の特性と評価結果を表1に示す。実施例1に対して、製糸毛羽がやや劣る結果となったが、満足する評価結果を得ることができた。
[実施例7および8]
総合延伸倍率を変更して紡糸速度等の製造条件を表2に記載の通りとしたこと以外は、実施例6と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を得た。得られたポリフェニレンサルファイド繊維の特性と評価結果を表2に示す。実施例6に対して、製糸糸切れ、製糸毛羽、解舒性がやや劣る結果となったが、満足する評価結果を得ることができた。
総合延伸倍率を変更して紡糸速度等の製造条件を表2に記載の通りとしたこと以外は、実施例6と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を得た。得られたポリフェニレンサルファイド繊維の特性と評価結果を表2に示す。実施例6に対して、製糸糸切れ、製糸毛羽、解舒性がやや劣る結果となったが、満足する評価結果を得ることができた。
[実施例9]
直径0.35mmの吐出孔を30個有した千鳥2列配列の紡糸口金を用いて、紡糸速度を690m/分、第1段目延伸倍率を3.50倍、総合延伸倍率を4.20倍となるように製造条件を表2に記載の通りとし、第1段目給油ローラの回転数を35rpmに変更したこと以外は実施例6と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を得た。得られたポリフェニレンサルファイド繊維の特性と評価結果を表2に示す。製糸毛羽数が増加したが、満足する結果を得ることができた。
直径0.35mmの吐出孔を30個有した千鳥2列配列の紡糸口金を用いて、紡糸速度を690m/分、第1段目延伸倍率を3.50倍、総合延伸倍率を4.20倍となるように製造条件を表2に記載の通りとし、第1段目給油ローラの回転数を35rpmに変更したこと以外は実施例6と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を得た。得られたポリフェニレンサルファイド繊維の特性と評価結果を表2に示す。製糸毛羽数が増加したが、満足する結果を得ることができた。
[実施例10]
第1段目給油に用いる水系エマルジョン油剤の酸化防止剤成分を半分にし、第2段目給油に用いる非水系油剤から酸化防止剤成分を除去したこと以外は、実施例1と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を得た。得られたポリフェニレンサルファイド繊維の特性と評価結果を表2に示す。実施例1に対して、酸化防止剤成分が少なくなったため、強度と伸度が低下し、製糸糸切れ、製糸毛羽、解舒性が劣る結果となったが、概ね満足する評価結果を得ることができた。
第1段目給油に用いる水系エマルジョン油剤の酸化防止剤成分を半分にし、第2段目給油に用いる非水系油剤から酸化防止剤成分を除去したこと以外は、実施例1と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を得た。得られたポリフェニレンサルファイド繊維の特性と評価結果を表2に示す。実施例1に対して、酸化防止剤成分が少なくなったため、強度と伸度が低下し、製糸糸切れ、製糸毛羽、解舒性が劣る結果となったが、概ね満足する評価結果を得ることができた。
[実施例11]
第1段目の給油ローラの回転数を15rpmにしたこと以外は、実施例6と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を得た。得られたポリフェニレンサルファイド繊維の特性と評価結果を表2に示す。実施例6に対して、強度と伸度、製糸糸切れ、製糸毛羽、解舒性が劣る結果となったが、概ね満足する評価結果を得ることができた。
第1段目の給油ローラの回転数を15rpmにしたこと以外は、実施例6と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を得た。得られたポリフェニレンサルファイド繊維の特性と評価結果を表2に示す。実施例6に対して、強度と伸度、製糸糸切れ、製糸毛羽、解舒性が劣る結果となったが、概ね満足する評価結果を得ることができた。
[比較例1および2]
総合延伸倍率を変更して紡糸速度等の製造条件を表2に記載の通りとし、第1段目給油ローラの回転数を30rpmとしたこと以外は、実施例6と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を製糸した結果を表3に示す。比較例1は低強度であるため、製糸糸切れが多発し、繊維特性を測定するだけの量しかポリフェニレンサルファイド繊維を採取することができなかった。製糸毛羽は、レーザー式毛羽検知機で常時検知された。比較例2は総合延伸倍率が高すぎ、繊維サンプルすら採取できなかった。
総合延伸倍率を変更して紡糸速度等の製造条件を表2に記載の通りとし、第1段目給油ローラの回転数を30rpmとしたこと以外は、実施例6と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を製糸した結果を表3に示す。比較例1は低強度であるため、製糸糸切れが多発し、繊維特性を測定するだけの量しかポリフェニレンサルファイド繊維を採取することができなかった。製糸毛羽は、レーザー式毛羽検知機で常時検知された。比較例2は総合延伸倍率が高すぎ、繊維サンプルすら採取できなかった。
[比較例3および4]
第1段目給油ローラの回転数をそれぞれ比較例3では35rpm、比較例4では50rpmに変更したこと以外は、実施例6と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を製糸した結果を表3に示す。
第1段目給油ローラの回転数をそれぞれ比較例3では35rpm、比較例4では50rpmに変更したこと以外は、実施例6と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を製糸した結果を表3に示す。
比較例3は付着油分量が多いため、製糸糸切れ、製糸毛羽、解舒性が非常に悪化し、発生した毛羽もかなり大きいものであるため、合撚糸の毛羽立ちも多数認められた。
比較例4は従来の単糸細繊度のポリフェニレンサルファイド繊維と同等の付着油分量であるが、本願発明の単糸太繊度糸ではその付着油分量が多すぎるため、製糸糸切れが多発し、繊維サンプルすら採取できなかった。
[比較例5]
直径0.40mmの吐出孔を24個有した千鳥配列の紡糸口金を用いて、第1段目給油ローラの回転数を45rpmに変更したこと以外は、実施例6と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を製糸した結果を表3に示す。
製糸糸切れ、製糸毛羽が明らかに劣る結果となったが、比較例4ほどではなく、解舒性も問題なく、合撚糸の毛羽立ちも認められなかった。
比較例4は従来の単糸細繊度のポリフェニレンサルファイド繊維と同等の付着油分量であるが、本願発明の単糸太繊度糸ではその付着油分量が多すぎるため、製糸糸切れが多発し、繊維サンプルすら採取できなかった。
[比較例5]
直径0.40mmの吐出孔を24個有した千鳥配列の紡糸口金を用いて、第1段目給油ローラの回転数を45rpmに変更したこと以外は、実施例6と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を製糸した結果を表3に示す。
製糸糸切れ、製糸毛羽が明らかに劣る結果となったが、比較例4ほどではなく、解舒性も問題なく、合撚糸の毛羽立ちも認められなかった。
[比較例6]
第1段目給油に用いる水系エマルジョン油剤を90重量%の純水で乳化したもの(水系10)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を製糸した結果を表3に示す。水系油剤の付着量が少なく、水分付与量が多くなったため、製糸糸切れが多発し、繊維特性を測定するだけの量しかポリフェニレンサルファイド繊維を採取することができなかった。
第1段目給油に用いる水系エマルジョン油剤を90重量%の純水で乳化したもの(水系10)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を製糸した結果を表3に示す。水系油剤の付着量が少なく、水分付与量が多くなったため、製糸糸切れが多発し、繊維特性を測定するだけの量しかポリフェニレンサルファイド繊維を採取することができなかった。
[比較例7]
実施例1の油剤と同様の組成からなり、鉱物油成分を除いた時の油剤中の成分比率として界面活性剤が31重量%、酸化防止剤が0.4重量%であり、75重量%の鉱物油で希釈された非水系油剤を第1段目給油として用い、その給油ローラの回転数を25rpmとし、第2段目給油は実施しなかったことを以外は、実施例1と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を製糸した結果を表4に示す。製糸糸切れ、製糸毛羽、解舒性は良好であったが、強度および伸度が大きく低下した。
実施例1の油剤と同様の組成からなり、鉱物油成分を除いた時の油剤中の成分比率として界面活性剤が31重量%、酸化防止剤が0.4重量%であり、75重量%の鉱物油で希釈された非水系油剤を第1段目給油として用い、その給油ローラの回転数を25rpmとし、第2段目給油は実施しなかったことを以外は、実施例1と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を製糸した結果を表4に示す。製糸糸切れ、製糸毛羽、解舒性は良好であったが、強度および伸度が大きく低下した。
[比較例8]
直径0.60mmの吐出孔を12個有した千鳥一列配列の紡糸口金を用いて、引き取り速度を512m/分としてローラ速度等の製造条件を表2に記載の通りとしたこと以外は、比較例7と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を製糸した結果を表4に示す。製糸糸切れ、製糸毛羽、解舒性は良好であったが、強度および伸度がより一層低下した。
直径0.60mmの吐出孔を12個有した千鳥一列配列の紡糸口金を用いて、引き取り速度を512m/分としてローラ速度等の製造条件を表2に記載の通りとしたこと以外は、比較例7と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を製糸した結果を表4に示す。製糸糸切れ、製糸毛羽、解舒性は良好であったが、強度および伸度がより一層低下した。
[比較例9]
直径0.80mmの吐出孔を4個有した千鳥一列配列の紡糸口金を用い、第1段目給油ローラの回転数を15rpm、第2段目給油ローラの回転数を20rpmとしたこと以外は、実施例2と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を製糸した結果を表4に示す。強度および伸度が低下し、製糸糸切れ、製糸毛羽、解舒性も劣る結果であった。
直径0.80mmの吐出孔を4個有した千鳥一列配列の紡糸口金を用い、第1段目給油ローラの回転数を15rpm、第2段目給油ローラの回転数を20rpmとしたこと以外は、実施例2と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を製糸した結果を表4に示す。強度および伸度が低下し、製糸糸切れ、製糸毛羽、解舒性も劣る結果であった。
[参考例1〜3]
表4に示す製造条件で製糸した従来の単糸細繊度のポリフェニレンサルファイド繊維を示す例である。参考例1は実施例1の第1段目給油の水系エマルジョン油剤をローラ回転数25rpmで付与し、参考例2と3は比較例7の第1段目給油の非水系油剤をローラ回転数がそれぞれ17rpmと25rpmとなるように調整した。参考例1は強度、付着油分量ともに本願発明の範囲に属していないが、良好な製糸実績を有する。参考例2と3も参考例1と同等の結果であり、非水系油剤を多量に使用しても物性の低下は認められなかった。
表4に示す製造条件で製糸した従来の単糸細繊度のポリフェニレンサルファイド繊維を示す例である。参考例1は実施例1の第1段目給油の水系エマルジョン油剤をローラ回転数25rpmで付与し、参考例2と3は比較例7の第1段目給油の非水系油剤をローラ回転数がそれぞれ17rpmと25rpmとなるように調整した。参考例1は強度、付着油分量ともに本願発明の範囲に属していないが、良好な製糸実績を有する。参考例2と3も参考例1と同等の結果であり、非水系油剤を多量に使用しても物性の低下は認められなかった。
本発明によれば、特殊な設備を用いない従来の直接紡糸延伸法にて、単糸繊度の大きいポリフェニレンサルファイド繊維を単糸細繊度糸と同等の良好な製糸性で得ることができる。
したがって、本発明の技術は、特に従来のポリフェニレンサルファイド繊維製品よりも剛性の求められる産業資材用の分野で貢献するところが極めて大きい。
1:紡糸口金
2:断熱筒
3:横吹き出し冷却チムニー
4:冷却風
5:糸条
6:紡糸ダクト
7:第1給油ローラ
8:引き取りローラ
9:第2給油ローラ
10:フィードローラ
11:第1延伸ローラ
12:集束エアノズル
13:第2延伸ローラ
14:第3延伸ローラ
15:弛緩ローラ
16:交絡付与装置
17:巻取機
18:繊維パッケージ
2:断熱筒
3:横吹き出し冷却チムニー
4:冷却風
5:糸条
6:紡糸ダクト
7:第1給油ローラ
8:引き取りローラ
9:第2給油ローラ
10:フィードローラ
11:第1延伸ローラ
12:集束エアノズル
13:第2延伸ローラ
14:第3延伸ローラ
15:弛緩ローラ
16:交絡付与装置
17:巻取機
18:繊維パッケージ
比較例3は付着油分量が多いため、製糸糸切れ、製糸毛羽、解舒性が非常に悪化し、発生した毛羽もかなり大きいものであるため、合撚糸の毛羽立ちも多数認められた。
比較例4は従来の単糸細繊度のポリフェニレンサルファイド繊維と同等の付着油分量であるが、本願発明の単糸太繊度糸ではその付着油分量が多すぎるため、製糸糸切れが多発し、繊維サンプルすら採取できなかった。
[実施例12]
直径0.40mmの吐出孔を24個有した千鳥配列の紡糸口金を用いて、第1段目給油ローラの回転数を45rpmに変更したこと以外は、実施例6と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を製糸した結果を表3に示す。
製糸糸切れ、製糸毛羽が明らかに劣る結果となったが、比較例4ほどではなく、解舒性も問題なく、合撚糸の毛羽立ちも認められなかった。
比較例4は従来の単糸細繊度のポリフェニレンサルファイド繊維と同等の付着油分量であるが、本願発明の単糸太繊度糸ではその付着油分量が多すぎるため、製糸糸切れが多発し、繊維サンプルすら採取できなかった。
[実施例12]
直径0.40mmの吐出孔を24個有した千鳥配列の紡糸口金を用いて、第1段目給油ローラの回転数を45rpmに変更したこと以外は、実施例6と同様にして、ポリフェニレンサルファイド繊維を製糸した結果を表3に示す。
製糸糸切れ、製糸毛羽が明らかに劣る結果となったが、比較例4ほどではなく、解舒性も問題なく、合撚糸の毛羽立ちも認められなかった。
Claims (9)
- 単糸繊度が10〜100dtex、強度が4.5〜6cN/dtexであることを特徴とするポリフェニレンサルファイド繊維。
- 繊維表面に少なくとも界面活性剤成分および酸化防止剤成分が付着していることを特徴とする請求項1記載のポリフェニレンサルファイド繊維。
- 繊維重量に対する総付着油分量が0.5〜2重量%であり、そのうち界面活性剤成分量が0.01〜1重量%であり、酸化防止剤成分量が0.002〜0.1重量%であることを特徴とする請求項1または2記載のポリフェニレンサルファイド繊維。
- 総繊度が100〜1000dtexで、単糸数が2〜50本で無撚であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のポリフェニレンサルファイド繊維。
- 伸度が15〜25%であり、150℃乾熱収縮率が2〜10%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のポリフェニレンサルファイド繊維。
- 繊度斑が0.5〜1%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のポリフェニレンサルファイド繊維。
- ポリフェニレンサルファイド樹脂を溶融紡糸し、付着油分量が0.1〜1重量%となるように水系エマルジョン油剤で糸条を処理して引き取った後、一旦巻き取ることなく総合延伸倍率3.8〜4.5倍で延伸することを特徴とする単糸繊度が10〜100dtexのポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法。
- 引き取った糸条に、総付着油分量が0.5〜2重量%となるように非水系油剤を付着させることを特徴とする請求項7記載のポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法。
- 水系エマルジョン油剤の油剤濃度が15〜40重量%であることを特徴とする請求項7または8記載のポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法。
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