JP2776017B2 - ポリフェニレンサルファイド繊維およびその製造方法 - Google Patents
ポリフェニレンサルファイド繊維およびその製造方法Info
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Description
製造方法に関するものであり、更に詳しくは、ポリフェ
ニレンサルファイド繊維の特徴である耐熱性および耐薬
品性を生かした各種産業資材用途、例えばバグフィルタ
ースクリム基布、モーター結節紐、モーターバインダー
テープ等に適した高強度で適度な収縮特性を有するフィ
ラメント繊維を提供すること、および該繊維を効率的に
製造するための新規な製造方法を提供するものである。
および耐薬品性の特徴を生かして高性能エンジニアリン
グプラスチックとして注目され、実用的な利用が広がり
つつある。
示されて以来、製糸技術の進歩により繊維物性の改良お
よび製造プロセスの改良に関する技術が開示されてい
る。例えば特開昭57−143518号公報、特開昭61−615715
号公報、および特開平1−239109号公報等がある。
ァイド(以下PPSと略記する)の繊維化に係る基本特許
であり、一般的な繊維化技術の適用が述べられているに
過ぎず、PPSポリマの特徴を生かした新規な製糸技術は
開示されていない。そして得られたPPS繊維の物性も優
れたものではなく、例えば実施例2によれば強度はたか
だか2.75g/dのものが記載されているに過ぎない。
術であり、2段延伸法の条件を開示しているものの、繊
維構造との関連については明確にされてなく、明細書中
には最も優れた力学特性の場合でも強度が5.8g/d、伸度
が13%に過ぎず、得られるPPS繊維は十分な強伸度を有
しているとは云えない。
溶融粘度μ(310℃)が6000〜20000ポイズの比較的高粘
度ポリマのポリアリーレンチオエーテル(ポリフェニレ
ンサルファイド)を製糸して、直径1〜50μ、引張り強
度≧40kg/mm2(3.3g/d)、引張り弾性率≧500kg/mm2(4
1g/d)、引張り強度(200℃)≧20kg/mm2(1.7g/d)のP
PS繊維を得る方法を開示している。
際、融点−100℃以上の高温で0.02〜100秒熱処理する方
法を開示している。
強度は最高でも70kg/mm2(5.78g/d)で、伸度について
は記載がなく、十分な強伸度が得られているとは云えな
い。また、直接紡糸延伸において熱処理温度が(融点−
100℃)以上の高温であることから、収縮率の低いポリ
フェニレンサルファイド繊維が得られることを特徴とし
ている。
度、20%以上の高伸度、および適度な収縮特性を有する
繊維は得られていない。またPPS繊維の耐熱性および、
耐薬品性を生かしたバグフィルタースクリム基布をはじ
めとする織物用繊維として最適な毛羽の著しく少ない繊
維が提供されないという課題を有していた。
を有し、織物用途に適した著しく毛羽の少ない、例えば
百万m当り1ケ以下、好ましくは0.1ケ以下の繊維を効
率的に製造することにある。
からなるポリフェニレンサルファイド繊維であって、下
記(イ)〜(ニ)の繊維構造パラメータを同時に満足す
ることを特徴とするポリフェニレンサルファイド繊維。
(200)が20Å〜28Åであること。
と。
温度(Tα)が165℃以上であること。
ド繊維において、下記(ホ)〜(ト)の繊維物性を有す
るポリフェニレンサルファイド繊維。
いて、メルトフローレート(MFR)が100〜600のポリフ
ェニレンサルファイドポリマを用い、該ポリマーからな
るペレットを310〜340℃の温度で溶融した後、20μ以下
の細孔を有する濾過フィルターおよび直径0.1〜0.5mmの
口金孔を順次通過させて紡出糸条となし、該紡出糸条
を、前記口金孔が穿孔された口金の直下5〜30cm間の雰
囲気温度が150〜350℃となるよう調節された保温筒また
は加熱筒で囲まれた高温雰囲気中を通過させた後、100
℃以下の温風または冷風で冷却するして冷却糸条とな
し、該冷却糸条に油剤を付与した後、速度300〜1000m/
分で回転する引取りロールで引取り、該引取りロールで
引取った未延伸糸条を一旦巻取ることなく連続して熱延
伸域に移行させ、延伸倍率3.0〜5.5倍で、延伸時の雰囲
気またはロール表面の最高温度を120〜180℃となして熱
延伸を施こすることを特徴とするポリフェニレンサルフ
ァイド繊維の製造方法。
PPS繊維という)は単糸繊度が50デニール以下の連続し
たフィラメントである。単糸繊度が50デニールを越える
と、本発明に係るPPS繊維の特徴とする繊維構造パラメ
ーターおよび繊維物性の全てを満足することはできず、
また本発明に係る製造方法によっては得られない。
350×10-3以上と高配向である。複屈折が300×10-3以下
では5.5g/d以上の高強度繊維が得られない。
晶サイズD(200)が20〜28Å、好ましくは22〜26Åと比較
的小さいことが特徴である。従来のPPS繊維は26Å以
上、通常は28〜30Åである。紡糸と延伸を分割した2工
程法で製造したり、直接紡糸延伸法に於いて、高温、長
時間の熱処理をした場合は結晶サイズが大きくなり、本
発明繊維の比較的小さな結晶サイズは直接紡糸延伸法
で、本発明に係る方法で特定した熱履歴を経た場合に達
せられる。
周期構造が認められないことを特徴とする。従来のPPS
繊維は100〜120Åの長周期構造が認められる。高配向、
高強度でありながら長周期構造を示さないPPS繊維は本
発明に係る特定の条件からなる直接紡糸延伸法によって
得られる。
PPS繊維に比較して特異であり、正接損失主分散ピーク
温度が165℃以上、好ましくは170℃以上と高い。従来の
PPS繊維は165℃未満である。
束されていることを示しており、この高温特性はPPS繊
維の特徴である耐熱性を一層顕著にする。
PPS繊維は強度が5.5g/d以上、伸度が20%以上、好まし
くはそれぞれ5.8g/d以上、25%以上と高強度で高タフネ
スである。また沸騰水収縮率が2.0〜8.0%、好ましくは
3.0〜6.0%とPPS繊維の用途に適した収縮率を有する。
特に強伸度は従来繊維では得られなかった優れた特性を
有している。
PPS繊維は以下の新規な方法によって製造することがで
きる。
メルトフローレート(MFR)が100〜600の実質的に線状
のポリマを用いるが、トリクロロベンゼン(TCB)を0.1
重量%以下含有した架橋ポリマであってもよい。
を5kgfとしたASTM D 1238−82法によって測定されたポ
リマの溶融流れである。
℃で2時間以上、通常は4〜48時間乾燥することが好ま
しい。主として低沸点物の除去およびまたは適度に結晶
化させておくことが紡糸機への噛みこみ特性をよくする
からである。
くはエクストルーダー型紡糸機で溶融し、20μ以下、好
ましくは10μ以下の開孔を有する濾過フィルターを通過
させた後、0.1〜0.5mm、好ましくは0.2〜0.3mmの細孔を
有する紡糸口金より紡出し紡出糸条となす。
150〜350℃となるように保温筒または加熱筒で囲まれた
高温雰囲気中を通過させた後、100℃以下の温風で冷却
する。口金直下に設けた高温雰囲気は、ポリマのメルト
フローレート(MFR)、糸条の繊度、紡糸速度等に合わ
せて適切な条件を選択する。
ると、特に太い繊度糸状を安定に紡糸延伸することが困
難である。該高温雰囲気を通過せしめた糸条の冷却は10
0℃以下、好ましくは80〜20℃の温風ないし冷風を用い
る。
いる油剤を付与した後、速度300〜1000m/分で回転する
引取りロールで引取られ未延伸糸条となる。紡糸速度が
1000m/分を越えると5.5g/d以上で、20%以上の伸度を有
する高強度、高タフネス糸は得られない。300m/分未満
では製糸効率が低く、工業的に不利である。
延伸する。通常は2段以上の多段延伸が用いられる。延
伸倍率は紡糸条件に応じて3.0〜5.5倍、好ましくは3.5
〜5.0倍である。2段延伸を用いるの場合、1段目の延
伸は総合延伸倍率の70%以上、通常は75〜85%とし、残
りを2段目の延伸で行う。延伸温度は最高温度を120〜1
80℃とする。120℃未満または180℃を越えると本発明繊
維の構造パラメーターおよび繊維物性を有するポリフェ
ニレンサルファイド繊維は得られない。また本発明の目
的とする織物用途に適した毛羽の著しく少ない繊維を得
ることはできない。
緩熱処理をした後巻取る。弛緩率は0〜10%、好ましく
は2〜6%の範囲で行う。
定の繊維構造パラメーターと高強度、高タフネスで適度
な収縮特性を有し、織物用途に適した、著しく毛羽の少
ない、例えば百万m当り1ケ以下、好ましくは0.1ケ以
下の繊維を効率的に製造することができる。
文、及び実施例中に記載した繊維特性の定義、及び測定
法は次の通りである。
にナトリウム−D線を用いた通常のベレックコンペンセ
ーター法によって測定した。
て、CuKα(Niフィルター使用)を線源として、カウン
ター法で測定した。出力は35kv、15mmAでスリットは1mm
φピンホールコリメーターを用いた。撮影条件は、カメ
ラ半径40mm、フィルムはKodak DEF−5、露出時間30分
とした。
クの半値幅から、下記のScherrerの式を用いて計算し
た。
きさ、Kは1.0、λはX線の波長、β0=(βE 2−
βI 2)1/2、βEは見かけの半値巾(測定値)、βI=
0.6、θBはブラッグ角である。
ukα(Niフィルター使用)を線源として写真法で測定し
た。出力は50KV、200mmAで、スリットは0.3mmφピンホ
ールコリメーターを用いた。撮影条件は、カメラ半径40
0mm、フィルムはKodak DEF−5、露出時間90分とした。
い、振動数110Hz、昇温速度3℃/分で空気浴中で測定
した。
法によった。SS曲線を得るための引張り試験の具体的条
件は次の通りである。
部屋に24時間以上放置後、“テンシロン UTL−4L"型引
張試験機(オリエンテック(株)製)を用い、試長25c
m、引張速度30cm/分で測定した。
時間以上放置した後、試料の0.1g/dに相当する荷重をか
けて測定した長さL0の試料を、無張力状態で沸騰水浴中
で30分間処理した後、浴から取り出して、上記温湿度調
整室で4時間放置し、再び上記荷重をかけて測定した長
さL1から次式により算出した。
イドポリマをエクストルーダー型紡糸機で330℃で溶融
し、紡糸パック中で5μの細孔を有する金属フィルター
で濾過した後、0.25mmφの細孔を100ホール有する紡糸
口金を通して紡出して紡出糸条となし、吐出量は巻取り
糸条が約400デニールとなるよう製糸条件に合せて変化
させた。
保持した加熱筒中を通過させた後、60℃の温風で冷却
し、冷却固化した糸条に水系エマルジョン油剤を付与
し、次いで所定の速度で回転する非加熱の引取りロール
で引取り未延伸糸条となし、該糸条は一旦巻取ることな
く連続して60℃に加熱したフィードロールとの間で5%
のストレッチをかけた後、該フィードロールと100℃の
第1延伸ロールとの間で1段目の延伸をし、次いで該1
段延伸ロールと所定温度に加熱した第2延伸ロールとの
間で2段めの延伸を行なった。次に該2段延伸ロールと
非加熱のリラックスロールとの間で弛緩させた後、ワイ
ンダーで巻取り本発明繊維を得た。
プであり、1段延伸中に4kg/cm2Gの圧空で交絡処理を行
なった。
PPS繊維(実施例−1)の繊維の特性は第2表(実施
例)に示す通りである。
維を得た。各製糸条件を示すとともに得られたPPS繊維
の特性は第2表に示す通りであった。
以上の高伸度を有し、かつ特定の範囲の収縮率を有する
PPS繊維であって、特に織物用途に適した著しく毛羽の
少ない、例えば百万m当り1ケ以下であるPPS繊維を製
造する方法を提供するものである。
にバグフィルタースクリム基布、モーター結束紐および
モーター用バインドテープ等に好適である。
糸工程の安定性に優れ、前記の本発明に煮かかる優れた
特性を有するPPS繊維を効率的に製造することができ
る。
Claims (3)
- 【請求項1】単糸繊度50デニール以下の連続したフィラ
メントからなるポリフェニレンサルファイド繊維であっ
て、下記(イ)〜(ニ)の繊維構造パラメータを同時に
満足することを特徴とするポリフェニレンサルファイド
繊維。 (イ)複屈折(Δn)が300×10-3以上であること。 (ロ)広角X線散乱から求めた見掛けの結晶サイズD
(200)が20Å〜28Åであること。 (ハ)小角X線散乱による長周期構造が認めらないこ
と。 (ニ)動的粘弾性によって求めた正接損失主分散ピーク
温度(Tα)が165℃以上であること。 - 【請求項2】特許請求の範囲第(1)項記載のポリフェ
ニレンサルファイド繊維において、下記(ホ)〜(ト)
の繊維物性を有するポリフェニレンサルファイド繊維。 (ホ)強度が5.5g/d以上であること。 (ヘ)伸度が20%以上であること。 (ト)沸騰水収縮率が2.0〜8.0%であること。 - 【請求項3】ポリフェニレンサルファイド繊維の製造方
法において、メルトフローレート(MFR)が100〜600の
ポリフェニレンサルファイドポリマを用い、該ポリマー
からなるペレットを310〜340℃の温度で溶融した後、20
μ以下の細孔を有する濾過フィルターおよび直径0.1〜
0.5mmの口金孔を順次通過させて紡出糸条となし、該紡
出糸条を、前記口金孔が穿孔された口金の直下5〜30cm
間の雰囲気温度が150〜350℃となるよう調節された保温
筒または加熱筒で囲まれた高温雰囲気中を通過させた
後、100℃以下の温風または冷風で冷却して冷却糸条と
なし、該冷却糸条に油剤を付与した後、速度300〜1000m
/分で回転する引取りロールで引取り、該引取りロール
で引取った未延伸糸条を一旦巻取ることなく連続して熱
延伸域に移行させ、延伸倍率3.0〜5.5倍で、延伸時の雰
囲気またはロール表面の最高温度を120〜180℃となして
熱延伸を施こすることを特徴とするポリフェニレンサル
ファイド繊維の製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP21947590A JP2776017B2 (ja) | 1990-08-20 | 1990-08-20 | ポリフェニレンサルファイド繊維およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (2)
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---|---|
JPH04100916A JPH04100916A (ja) | 1992-04-02 |
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Family
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21947590A Expired - Lifetime JP2776017B2 (ja) | 1990-08-20 | 1990-08-20 | ポリフェニレンサルファイド繊維およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2776017B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
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-
1990
- 1990-08-20 JP JP21947590A patent/JP2776017B2/ja not_active Expired - Lifetime
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