JP2975420B2 - ポリエステル繊維とその製造法 - Google Patents

ポリエステル繊維とその製造法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は,タイヤコード,Vベルトあるいはコンベアベ
ルトで代表されるゴム補強用繊維として適した寸法安定
性の改良されたポリエステル繊維及びその製造法に関す
るものである。
(従来の技術) ポリエチレンテレフタレート繊維で代表されるポリエ
ステル繊維は,衣料用,産業資材用として広く用いられ
ているが,近年,産業資材用繊維,特にタイヤコードあ
るいはVベルト用繊維の高性能化への要求が高まってお
り,熱に対する寸法安定性が良好な繊維が要望されてい
る。
寸法安定性の向上したポリエステル繊維を製造するた
めには,未延伸糸の複屈折率を高くするとよいことが知
られており,例えば,特公昭63−528号公報及び同63−5
29号公報には,ポリエステル繊維を製造する際に,紡糸
速度を高めて高配向の未延伸糸とし,連続して延伸する
方法が提案されている。しかし,これらの公報に開示さ
れた方法では,紡出糸条を加熱筒を通すことなく急冷し
ているため紡糸の操業性に問題があると同時に,得られ
る繊維の収縮率は依然として大きく,寸法安定性が十分
でない。特開昭60−259620号公報には,高速で溶融紡糸
して巻取った後,多段延伸して初期モジュラスが高く,
低収縮のポリエステル繊維を製造する方法が提案されて
いるが,この方法で得られる繊維は,延伸倍率の配分が
適切でないためと,延伸温度が高いため,高複屈折率
で,非晶部の配向がかなり進行しており,収縮率が高
く,寸法安定性に劣るものである。特開昭63−165547号
公報には,高弾性率ポリエステルタイヤコード及びその
製造法について開示されており,ポリエステル繊維を製
造するに際し,5000m/分以上の紡糸速度で溶融紡糸した
後,1.2〜1.8倍に燃延伸する方法が開示されているが,
いわゆる2工程法であり,コスト的に問題がある。ま
た,特開昭63−159518号公報にも熱的に安定なポリエス
テル繊維について開示されているが,粘度の高いポリマ
ーを7000m/分以上の速度で紡糸しており,操業上問題が
ある。
さらに,特開昭60−59119号公報には,500〜2000m/分
の紡糸速度で引き取り,延伸する方法が開示されている
が,紡糸速度が低く,そのため伸度を低くしようとする
と,延伸倍率を高くするすることが必要になり,収縮を
考えた場合,好ましい方法ではない。特開昭60−246811
号公報にも寸法安定性を改良したタイプの原糸が提案さ
れているが,加熱筒の長さが長く,紡糸時に操作性が悪
く,かつ紡糸速度を高くしても延伸倍率を大きくしなけ
ればならず,収縮率の改善は期待されない。また,特開
昭61−19812号公報,同61−132616号公報,同62−69819
号公報でも同様な方法あるいは繊維が開示されている
が,いずれも結晶サイズが大きいため,糸条が硬くな
り,撚糸時に強力がダウンする問題がある。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は,第一に熱に対する寸法安定性が良好で,産
業資材用繊維として適したポリエステル繊維を提供しよ
うとするものであり,第二にこのようなポリエステル繊
維を比較的低い紡糸速度で製造することのできるポリエ
ステル繊維の製造法を提供しようとするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明は,上記の課題を解決するものであり,その要
旨は次のとおりである。
(1) ポリエチレンテレフタレート又はこれを主成分
とするポリエステルからなる繊維であって,強度が6g/d
以上,フェノール吸着量が繊維重量に対して,モル分率
0.02のフェノール水溶液において5〜15%,モル分率0.
80のフェノール水溶液において35〜45%であることを特
徴とするポリエステル繊維。
(2) 溶融紡糸法によってポリエチレンテレフタレー
ト又はこれを主成分とするポリエステルからなる繊維を
製造するに際し,紡糸孔を環状に配置した紡糸口金から
紡出した糸条を,紡糸口金直下に設けた長さ2.5〜15cm
の加熱筒を通した後,糸条の中心から外側に向かって冷
却風を吹き付ける装置で冷却固化し,次いで2500m/分以
上の速度で引き取り,連続して下記式を満足条件で多段
延伸することを特徴とするポリエステル繊維の製造法。
ここで,T1は第一段目の延伸温度(℃),Tgは未延伸糸
のガラス転移温度(℃),DR1は第一段目の延伸倍率,TDR
は全延伸倍率を示す。
以下,本発明について詳細に説明する。
まず,本発明のポリエステル繊維は,強度が6g/d以上
であることが必須である。強度がこれより低い場合に
は,ゴム補強用として使用するには低すぎて不適当であ
る。
次に,本発明のポリエステル繊維は,寸法安定性に関
し,特に重要な非晶部の構造に特徴を持つものである。
寸法安定性は当然非晶配向関数にも関係するが,たとえ
非晶配向関数が低くても非晶部の構造が適切でないポリ
エステル繊維は,寸法安定性に欠け,非晶配向関数が高
くても,非晶部が特定の構造をしている繊維は良好な寸
法安定性を示すことが分かったのである。
すなわち,本発明のポリエステル繊維は,フェノール
吸着法によって測定したラテラルオーダー分布のうち,
フェノール吸着量が繊維重量に対して,モル分率0.02の
フェノール水溶液において5〜15%,モル分率0.80のフ
ェノール水溶液において35〜45%のものである。これは
原糸においては非晶部分のうち,比較的配向しておら
ず,拘束を受けていない非晶部が多いことを示している
が,引続き行なわれるディップ処理時に受ける張力・熱
により,この部分が配向し,均一な微細構造となるため
熱に対する安定性が向上し,寸法安定性の改良された繊
維となるものである。モル分率0.02のフェノール水溶液
におけるフェノール吸着量が5%より少ないときは,非
晶部のうち,あまり配向してない自由に挙動できる部分
が少ないことを示し,非晶部分のフレキシビリティが失
われるため,ディップ処理しても自由度の低い非晶部し
か持たない繊維となり,寸法安定性に良くないばかり
か,糸条が硬くなり強力がダウンする。逆に,15%より
多いときは,自由で拘束されていない非晶部が非常に多
いため,ディップ処理時に非晶部分があまり配向せず,
寸法安定性にとって好ましくない。一方,モル分率0.80
のフェノール水溶液におけるフェノール吸着量が45%よ
り多いとディップ処理時に均一に配向しきれず,寸法安
定性にとって好ましくなく,一方,この値が35%より少
ないとすでに配向している割合が多く,これは原糸製造
時に配向しすぎているため,ディップ処理時の張力・熱
による構造変化が少なく,非晶部が均一に配向されず,
やはり寸法安定性に劣った繊維となる。
本発明でいうフェノール吸着法について詳述する。
この方法は,繊維学会誌,第27巻,501頁(1971)に記
載されており,フェノールがポリエステル繊維のカルボ
キシル基に平衡吸着することを利用した方法で,ポリエ
ステル繊維間の凝集エネルギーがフェノールと繊維との
溶媒和エネルギーで置き換えられ,さらにその溶媒和エ
ネルギーは,フェノール水溶液濃度と対応する関係を利
用したものである。すなわち,フェノール水溶液濃度が
低い場合のフェノール吸着量は,あまり配向していない
非晶部分の量を示し,フェノール濃度が高い場合のフェ
ノール吸着量は,その濃度で新たに吸着するかなり配向
した非晶部分をも含めた非晶部分の割合を示す。
フェノール吸着量は次の式で求めた。
x1={(f−b・(e+f))/(1−b)} +(b/(1−b))・x2 ここで,e,f,x1,x2は収着浴から取り出した後,直ちに
遠心脱水したポリエステル繊維に含まれる単位絶乾試料
当りの水,フェノール,吸着フェノール及び結合水の重
量であり,bは残浴のフェノール水溶液濃度の重量%であ
る。
これから求めたフェノール吸着量x1から,それが全繊
維重量に対して占める割合を,吸着等温式より平衡定数
Kを求め,下記の式を用いて算出した。
X=(M/A)・100 M=m′・〔1+(1/K・x′)〕 ここで,Xはそのフェノール水溶液濃度における非晶部
分の全繊維重量に対して占める割合,x′は測定に用いた
フェノール水溶液濃度(モル/g),m′はフェノール水溶
液濃度x′で測定したときの単位絶乾試料当りの吸着フ
ェノールのモル数,つまりx1をモル数に換算した値,Aは
X線法で求めた結晶化度から求めた繊維全体量中のカル
ボキシル基量である。
本発明の繊維は,上記全ての項目が満たされ,初めて
効果を発揮するものであり,いずれかの項目が本発明の
範囲外にあれば,後に引き続いて行なわれる撚糸工程,
ディップ工程を経たコードの物性値の強度あるいは寸法
安定性において好ましい範囲から外れてしまう。
本発明の原糸を用いて得られるディップコードは,強
度5.5g/d以上,乾熱収縮率2.5%以下という極めて寸法
安定性の良好な特性を示す。
次に本発明のポリエステル繊維の製造法について説明
する。
本発明のポリエステル繊維の製造法の特徴は,紡出糸
条の冷却方法にある。通常,産業資材用繊維を製造する
場合,紡出糸条を冷却固化する過程では,図2に示すよ
うに,走行する糸条の外側から冷却風を吹付ける方法あ
るいは吸引する方法が採用されるが,引取速度が増大
し,かつ繊度の大きい繊維を製造する際,この方法で
は,糸条が持ち込む熱量が多いため,十分糸条が冷却さ
れない。本発明では,繊維の持ち込む熱量を走行する糸
条から外へ逃がすため,走行する糸条の中心から外側に
向かって冷却風を送り込み,糸条を固化させる方法が採
用される。すでに繊度の極端に大きい短繊維では一部こ
の方法も採用されてはいるが,高強力原糸を製造するた
めに適用された例はない。この方法によれば,複屈折率
の高い未延伸糸を採取する場合,通常の方法では4000m/
分以上の速度で引き取らなければならないのに対し,冷
却効果が優れているため,2500〜3500m/分程度の速度で
十分達成可能となる。
なお,この冷却装置は紡糸口金から2.5〜15cm下方に
設置される。この間にはいわゆる加熱フードが設けら
れ,その温度は200〜450℃に設定されるが,この加熱フ
ードがない場合には,急激な冷却が起こりすぎ,操業性
に問題がある。
図面を用いて具体的に説明する。図1は,本発明の方
法で使用する装置の一例を示す。糸条は紡糸孔が環状に
配置された紡糸口金1から紡出され,紡糸口金1の直下
に設けられた加熱筒2を通った後,冷却装置3により糸
条の中心から外側に向かって送り込まれる風によって冷
却される。一方,従来の方法である図2では,糸条は走
行する糸条の外側から内側に向かって冷却風を吹きつけ
る冷却装置3′により冷却される。
図1のような装置で紡糸された糸条は,2500m/分以
上,好ましくは3000m/分以上の速度で引取られるが,そ
のまま巻取ることなく連続して延伸に供される。その際
は,全延伸倍率TDRが1.5〜2.3となるように2段以上の
多段で延伸されなければならない。延伸倍率は,当然引
取速度に異存するが,1.5倍より低い場合には強度が不足
し,産業資材用に適さない。また,逆に,2.3倍より高い
場合には操業性に問題が生じる。また,非晶部の割合を
本発明の要件を満足する範囲にするためには,当然延伸
条件も大きな要因となるが,特に第一段目の延伸条件に
より基本的な糸質特性は決定される。このため,第一段
目の延伸条件として次のような条件を採用しなければな
らない。
第一に,延伸温度T1を未延伸糸のガラス転移温度Tg以
上150℃以下にすることが必要である。Tgよりも低い温
度で延伸すると,配向だけが優先し,結晶化が伴わない
ため,逆に,150℃よりも高い場合は,結晶化が進行し過
ぎ,やはり続く第二段目の延伸操業性に問題が生じる。
第二に,DR1の範囲になければならない。
全延伸倍率TDRが同じ原糸ならば,延伸倍率の配分を
どのように変更しようとも,得られる原糸の強度,トー
タルの配向度はほとんど同じであるが,延伸倍率の配分
により原糸の微細構造は異なり,そのため後に引続き行
なわれる例えば撚糸,ディップ工程を経たコードの強度
が低くなったり,寸法安定性に欠けるものとなる。
なお,本発明において,第一段目の延伸には,例えば
1.05倍程度以下の張力を掛け,構成単糸を引き揃えるよ
うな目的で行われるものは含まれない。
第二段目以降の延伸方法は特に制限されるものではな
いが,結晶化温度以上,糸条が融着を起こすまでの温度
で第二段目の延伸を行い,次いでリラックスローラを介
して巻取る方法が好ましい。(延伸後リラックス処理す
る場合のリラックス率はTDRに考慮しない。)また,第
二段目の延伸には過熱水蒸気を用いる方法を採用するの
も好ましい。
なお,本発明におけるポリエステルとしては,ポリエ
チレンテレフタレート及びこれを主体とするポリエステ
ルが使用され,相対粘度(フェノールとテトラクロルエ
タンとの等重量混合物を溶媒とし,濃度0.5g/dl,温度25
℃で測定)が1.45以上,好ましくは1.50以上のものが使
用される。また、耐熱性を向上させるために,エポキシ
化合物等の末端カルボキシル基封鎖剤を添加して紡糸す
ることが好ましい。さらに,必要に応じて艶消剤,顔
料,光安定剤,熱安定剤,酸化防止剤,帯電防止剤等が
含有されていても何らさしつかえない。
本発明の繊維は,産業資材用,特にタイヤコード,Vベ
ルト,コンベアベルト等で代表されるゴム補強用に適し
たポリエステル繊維であり,総繊度250〜2000d,フィラ
メント数36〜1000とするのが適当である。
(実施例) 以下,本発明を実施例によりさらに具体的に説明す
る。
なお,強伸度,初期ヤング率は,JIS L−1017に準じ,
島津製作所製オートグラフS−100を用い,試料長25cm,
引張速度30cm/分の条件で測定した。
複屈折率は,浸液としてトリクレジルホスフェートを
用い,ベレックコンペンセータを備えた偏光顕微鏡で測
定した。
乾熱収縮率は,JIS L−1017に準じ,試料を180℃で30
分間無張力下で熱処理して測定した。
実施例1 相対粘度が1.58のポリエチレンテレフタレートチップ
を通常のエクストルーダ型溶融紡糸機に供給して紡糸温
度300℃で,直径0.06cmの紡糸孔392個が3重の同心円状
に配置された紡糸口金から紡出した。(ポリエステルの
末端カルボキシル基を減らすため,N−グリシジルフタル
イミドを0.3重量%添加した。) この際,紡糸口金直下には,温度350℃で第1表に示
す種々の長さの加熱筒を設置し,その直下に図1又は図
2に示した形式の長さ30cm,温度18℃の冷却風が0.6m/秒
の速度で供給される円筒型冷却装置を設置して冷却固化
し,油剤を付与した後,2500m/分で100℃の加熱ローラで
引取り,連続してこの加熱ローラと140℃の第1延伸ロ
ーラ(ネルソン式)との間で1.50倍に延伸し,次いで第
1延伸ローラと240℃の第2延伸ローラ(ネルソン式)
との間で延伸後,200℃の加熱ローラ(ネルソン式)で熱
処理し,全延伸倍率が2.20となるように延伸,熱処理
し,1000d/392fの延伸糸を得た。
この際の未延伸糸の複屈折率等を第1表に,得られた
延伸糸の糸質特性を第2表に示す。
なお,第1表中,未延伸の複屈折率は,室温の引張ロ
ーラに巻き付けて採取した試料について測定したもので
ある。
次に,上記の延伸糸を用い,次のようにして生コード
を作成し,ディップコード化し,ディップコードの強
度,強力保持率,収縮率を測定した。
この結果を併せて第2表に示す。
延伸糸を,リング撚糸機によりZ方向に49回/10cmの
下撚をかけ,これを2本合糸してS方向に49回/10cmの
上撚をかけて生コードとした。次いで,リッツラー社製
ディッピングマシンを用い,固形分15重量%の下記ディ
ップ液を3.5〜4.0%付着させ,乾燥ゾーン160℃×60
秒,熱処理ゾーン240℃×60秒×2回の条件で中間伸度
が3.5±0.2%となるようにディップ処理した。
ディップ液は,レゾルシンとホルムアルデヒドとをモ
ル比1:1.2で反応させた初期縮合物1重量部に,固形分
濃度20重量%のゼンタックラテックス(ゼネラルタイヤ
社製商品名)を固形分として4.3重量部混合した水溶液
を水酸化ナトリウムでpH9.5に調整したものと,バルカ
ボンドE(バルナックス社製商品名)とを83:17の重量
比で混合した混合液を用いた。
これらの結果から明らかなように,本発明例であるN
o.2,3,4の繊維では,非晶部分の構造が適切に形成され
ており,ディップコード特性としての強度,乾熱収縮率
が優れている。一方,加熱筒を設けない比較例であるN
o.1では,延伸の際に毛羽が多発し,操業性に大きな問
題が生じた。また,加熱筒が長すぎるNo.5では,2500m/
分の引取ローラ速度では,未延伸糸複屈折率が0.031と
低く,モル分率0.80のフェノール水溶液におけるフェノ
ール吸着量も45%を超え,結果として乾熱収縮率が高
く,寸法安定性に欠けるものであった。同じように,外
側から冷却風を送り込む装置を用いたNo.6でも,寸法安
定性が悪かった。
実施例2 実施例1のNo.3と同様の条件で紡糸し,冷却した糸条
を2500m/分の速度で引き取った。その際引取ローラの温
度を第3表に示す温度に設定し,第1延伸ローラの速度
を第3表に示す速度とし,DR1,TDRをそれぞれ変更し,同
じく1000d/392fの延伸糸を得た。
さらに,この延伸糸を用い,実施例1と同様に生コー
ド化し,ディップ処理し,コード特性を評価した。
製糸時の操業性等を第3表に,延伸糸及びディップコ
ードの特性値を第4表に示す。
これらの結果から明らかなように,DR1が本発明の範囲
外にあるNo.7,12では紡糸工程中に毛羽の発生がみられ
ると同時に,モル分率0.02及び0.80のフェノール水溶液
におけるフェノール吸着量のどちらかが本発明の範囲外
にあり,乾熱収縮率が高くなった。さらに引取ローラの
温度(T1)が低すぎるNo.8,高すぎるNo.10も同様の傾向
があり,寸法安定性に好ましくないことがわからる。さ
らにTDRの高すぎるNo.11は,紡糸時に毛羽が多発し,操
業性に問題があった。
実施例3 実施例1と同じポリマー,紡糸機を用い,紡糸温度30
0℃で,直径0.05cmの紡糸孔500個が3重の同心円状に配
置された紡糸口金から紡出した。(ポリマーの末端カル
ボキシル基を減らすため,N−グリシジルフタルイミドを
0.3重量%添加した。) この際,紡糸口金直下に長さ10cm,温度300℃の加熱筒
を設置し,その直下に設置した温度18℃の冷却風が1.0c
m/秒の速度で供給される長さ30cmの図1の円筒型冷却装
置で冷却固化し,油剤付与後,80℃に加熱した第5表に
示す速度の引取ローラで引取り,連続して延伸し,1500d
/500fの延伸糸を得た。
延伸は2段で実施し,80℃の引取ローラと非加熱の第
1延伸ローラとの間で第1段の延伸を行い,次いで,第
1延伸ローラと250℃の第2延伸ローラ(ネルソン式)
との間で,第1延伸ローラの15cm下流位置に配設した温
度450℃のスチームを噴射するスチームジェット装置を
使用して第2段延伸を行った。引続き,200℃の加熱ロー
ラ(ネルソン式)で熱処理して巻き取った。
この際の各ローラの速度,TDR及び操業性等を第5表に
示す。
次いで,実施例1に準じ,延伸糸にそれぞれ40回/10c
m下撚及び上撚をかけて生コード化し,中間伸度が3.8±
0.2%となるようディップ処理を行った。
延伸糸及びディップコードの特性値を第6表に示す。
これらの結果から明らかなように,本発明例であるN
o.13,14では,強度,乾熱収縮率とも優れた特性を示す
が,TDRの低すぎるNo.15では,ディップコードの強度が
低く,実用に供し得ないものであった。
(発明の効果) 本発明によれば,ディップ処理した後に優れた寸法安
定性を示し,かつ強度も優れたゴム補強用に適したポリ
エステル繊維が提供される。
また,本発明の方法によれば,高速度で,生産性良
く,操業できるポリエステル繊維の製造法が提供され
る。
【図面の簡単な説明】
図1は,本発明の方法で使用する装置の一例,図2は従
来の装置の概略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−15615(JP,A) 特公 昭46−28246(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 6/62 D01D 5/092

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエチレンテレフタレート又はこれを主
    成分とするポリエステルからなる繊維であって,強度が
    6g/d以上,フェノール吸着量が繊維重量に対して,モル
    分率0.02のフェノール水溶液において5〜15%,モル分
    率0.80のフェノール水溶液において35〜45%であること
    を特徴とするポリエステル繊維。
  2. 【請求項2】溶融紡糸法によってポリエチレンテレフタ
    レート又はこれを主成分とするポリエステルからなる繊
    維を製造するに際し,紡糸孔を環状に配置した紡糸口金
    から紡出した糸条を,紡糸口金直下に設けた長さ2.5〜1
    5cmの加熱筒を通した後,糸条の中心から外側に向かっ
    て冷却風を吹き付ける装置で冷却固化し,次いで2500m/
    分以上の速度で引き取り,連続して下記式を満足条件で
    多段延伸することを特徴とするポリエステル繊維の製造
    法。 ここで,T1は第一段目の延伸温度(℃),Tgは未延伸糸の
    ガラス転移温度(℃),DR1は第一段目の延伸倍率,TDRは
    全延伸倍率を示す。
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