JPH07109616A - ポリビニルアルコール系繊維とその製造方法及び乾湿式紡糸用紡糸口金 - Google Patents

ポリビニルアルコール系繊維とその製造方法及び乾湿式紡糸用紡糸口金

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JPH07109616A
JPH07109616A JP28044693A JP28044693A JPH07109616A JP H07109616 A JPH07109616 A JP H07109616A JP 28044693 A JP28044693 A JP 28044693A JP 28044693 A JP28044693 A JP 28044693A JP H07109616 A JPH07109616 A JP H07109616A
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Naohiko Nagata
直彦 永田
Shiro Murakami
志朗 村上
Kazuya Nagatomi
一也 永冨
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高強度・高初期弾性率で,かつ,マルチフィ
ラメントを構成する単糸間の繊度,強度等のばらつきが
小さい高品位のポリビニルアルコール(PVA)系繊維
とその製造方法及びその製造方法に用いる紡糸口金を提
供する。 【構成】 マルチフィラメントの引張り強度が22g/d以
上,初期弾性率が440g/d以上のPVA系繊維である。ま
た,この繊維は,マルチフィラメントを構成する単糸の
繊度CV値が5%以下,強度CV値が7%以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,ポリビニルアルコール
(以下,PVAと略記する。)系繊維,さらに詳しく
は,高強度・高初期弾性率で,かつ,マルチフィラメン
トを構成する単糸間の繊度,強度等のばらつきが小さい
高品位のPVA系繊維とその製造方法及びその製造方法
に用いる紡糸口金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】PVA系繊維は,ナイロン繊維やポリエ
ステル繊維等の汎用繊維素材に比べて強度や弾性率が高
く,接着性も良好であり,産業資材用繊維として極めて
優れた特性を有している。また,最近は,高度化する市
場の要望に応えるためにその強度と弾性率をさらに高め
ようとする試みが種々なされており,その結果,いわゆ
るゲル紡糸法によるポリエチレン繊維には及ばないもの
の,高強度・高弾性率繊維の代表とされるポリパラフェ
ニレンテレフタルアミド繊維に匹敵する強度と弾性率を
有する繊維が得られている。
【0003】例えば,特開昭59−130314号公報には,重
量平均分子量50万以上のPVAのグリセリン溶液を冷却
浴中にゲル紡糸し,固化糸条のグリセリンを除去した
後,熱延伸する方法が開示されている。また,特開昭60-
126312号公報には,重合度1800以上のPVAのジメチル
スルホキシド溶液をメタノール浴中に乾湿式紡糸し,得
られた未延伸糸を熱延伸する方法が開示されている。
【0004】これらの方法は,紡糸や延伸条件を工夫
し,高倍率に延伸することにより分子鎖を繊維軸方向に
高度に配向させて高強度・高弾性率繊維を得ようとする
ものである。しかしながら,本発明者らがこれらの方法
で得られる繊維を詳しく調べたところ,確かに強度や弾
性率はある程度改良されているものの,マルチフィラメ
ントを構成する単糸間で繊度や強度のばらつきが非常に
大きいことが判明した。
【0005】PVAは本質的に熱可塑性ではないため,
ナイロンやポリエステルのように溶融紡糸することがで
きず,これを繊維化する際には溶媒に溶解して紡糸原液
を作り,これを凝固浴,あるいは冷却浴中に湿式又は乾
湿式で紡糸するという溶液紡糸法が採用されている。従
来から製造されているPVA系繊維であるビニロンも,
PVAの水溶液を凝固浴中に湿式紡糸する方法で製造さ
れてきたし,上記の特許公報に記載されている方法も,
紡糸原液を作り,これを紡糸するという点では同じであ
り,溶液紡糸の範疇に入るものである。
【0006】しかるに,溶液紡糸法で得られる繊維は,
溶融紡糸法で得られる繊維に比べてマルチフィラメント
を構成する単糸間のばらつきが大きく,繊度CV値や強
度CV値が大きいという欠点があることが知られてい
る。例えば,PVAの溶液紡糸法によって得られるビニ
ロン繊維の単糸繊度CV値は,通常20%程度もあり,ナ
イロンやポリエステル等,溶融紡糸法によって得られる
繊維の単糸繊度CV値が2〜3%であるのに比べ,大き
く劣るものである。
【0007】その原因としては,溶融紡糸での溶融ポリ
マーに比べ,溶液紡糸の紡糸原液は粘度が格段に低く,
吐出孔にかかる圧力,いわゆるノズル圧が低いため,各
吐出孔から吐出される紡糸原液量が大きくばらつき,こ
のため,得られる繊維の単糸の繊度や強度のばらつきが
大きくなるものと考えられる。すなわち,PVAの溶液
紡糸においては,紡糸原液の粘度が低いため耐圧性の高
い紡糸口金が必要とされないことから,例えば白金製の
薄膜に吐出孔を穿って作られた,L/Dが1以下の紡糸
口金が採用されており,ほとんどノズル圧がかからない
状況で吐出されているため,各吐出孔から吐出される紡
糸原液量のばらつきが大きくなっていた。
【0008】一方,ノズル圧を高めるためには,吐出孔
のL/Dを大きくすることが効果的であることは従来か
ら知られていた。特に,溶融紡糸においては溶融ポリマ
ーの粘度が高いため,吐出孔のL/Dをそれほど大きく
しなくても十分なノズル圧が得られるため,L/Dが2
程度の紡糸口金が用いられている。しかしながら,PV
Aの溶液紡糸においては,紡糸口金の吐出孔のL/Dに
関してはほとんど考慮されていず,紡糸口金の吐出孔の
L/Dを検討して,単糸間の繊度や強度のばらつきを改
良しようとする試みはなされていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,上記の問題
を解決し,高強度・高初期弾性率で,マルチフィラメン
トを構成する単糸間の繊度,強度等のばらつきが小さい
高品位のPVA系繊維とその製造方法及びそれに用いる
乾湿式紡糸用紡糸口金を提供することを技術的な課題と
するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは,上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果,驚くべきこと
に,孔径(D)が0.1〜1mmであり,かつ,孔長(L)
と孔径(D)との比(L/D)が3〜20の吐出孔を複数
個有する紡糸口金を用いれば,吐出孔間の吐出のばらつ
きが低減されて高品位のPVA系繊維が得られることを
知見して本発明に到達した。
【0011】すなわち,本発明は,次の構成を有するも
のである。 (1) マルチフィラメントの引張り強度が22g/d以上,初
期弾性率が440g/d以上であり,かつ,マルチフィラメン
トを構成する単糸の繊度CV値が5%以下,強度CV値
が7%以下であることを特徴とするPVA系繊維。
【0012】(2) PVAを有機溶媒に溶解して調製した
紡糸原液を乾湿式紡糸し,次いで,乾熱延伸してPVA
系繊維を製造するに際し,孔径(D)が0.1〜1mmであ
り,孔長(L)と孔径(D)との比(L/D)が3〜20で
ある吐出孔を複数個有する乾湿式紡糸用紡糸口金を用い
て紡糸することを特徴とするPVA系繊維の製造方法。
【0013】(3) 孔径(D)が0.1〜1mmであり,孔の
長さ(L)と孔径(D) との比(L/D)が3〜20であ
る吐出孔を複数個有する金属製プレートからなる乾湿式
紡糸用紡糸口金。
【0014】なお,本発明における引張り強度と初期弾
性率は,JIS L-1013に準じて,つかみ間隔25cm,引張り
速度30cm/分で測定するものである。また,単糸の繊度
及び強度のCV値は,マルチフィラメントを構成する全
単糸の繊度及び強度を測定し,その平均値に対する標準
偏差値の割合を百分率で表したものである。
【0015】以下,本発明について詳細に説明する。本
発明のPVA系繊維のマルチフィラメントでの引張り強
度は22g/d以上,また初期弾性率は440g/d以上である必
要がある。引張り強度が22g/dよりも低いとロープ,漁
網,ネット及びゴム補強用繊維といったPVA系繊維の
代表的な用途に適用する際,高強度を生かした軽量化が
できない。また,初期弾性率が440g/dよりも低いと,プ
ラスチック補強,コンクリート補強等,弾性率の高さが
要求される分野で補強効果が不十分となる。
【0016】また,本発明のPVA系繊維は,マルチフ
ィラメントを構成する単糸の繊度CV値が5%以下,強
度CV値が7%以下である必要がある。繊度CV値が5
%を超えたり,強度CV値が7%を超えると,産業資材
用繊維としての性能が低下する。本発明のPVA系繊維
の単糸繊度や切断伸度は特に限定されるものではない
が,単糸繊度は2 〜12dが好ましく,また,切断伸度は
5%以上が好ましく,より好ましくは5.5%以上であ
る。
【0017】本発明の製造方法において用いるPVA
は,重合度が1500以上,7000以下,また,ケン化度が99
モル%以上であるものが好ましい。PVAを溶解する有
機溶媒としては,ジメチルスルホキシド(以下,DMS
Oと略記する。),グリセリン,エチレングリコール等を
挙げることができるが,中でもDMSOが好ましい。ま
た,紡糸原液中のPVAの濃度は,その重合度に応じて
適宜調整すればよいが,5〜24重量%の範囲で調整する
のが好ましい。本発明においては,この紡糸原液に架橋
剤,顔料,耐熱剤等を適宜混入して用いてもよい。
【0018】本発明においては,この紡糸原液を凝固浴
中に乾湿式紡糸するが,その際,孔径(D)が0.1〜1
mmで,かつ,孔長(L)と孔径との比(L/D)が3〜
20の吐出孔を複数個有する金属製の紡糸口金を用いるこ
とが重要である。紡糸口金の吐出孔径が0.1mm未満で
は,L/Dが3以上となる長さの吐出孔を精度よく作る
ことが困難であり,吐出孔径が1mmを超えると,紡糸原
液の吐出線速度が小さくなりすぎるため,紡糸原液が紡
糸口金の吐出側の面に付着してしまい,安定な紡糸を行
うことができなくなる。
【0019】また,L/Dが3未満では,十分なノズル
圧がかからないために吐出孔間で吐出量のばらつきが発
生するので,5%以下の繊度CV値,7%以下の強度C
V値を有するPVA系繊維を得るという本発明の目的を
達成できない。また,L/Dが20を超えると,孔径(D)
が0.1〜1mmの吐出孔を穿孔することが困難となる。本
発明で使用する紡糸口金の材質としては,金属やガラス
等があるが,金属製が好ましい。金属としては,ステン
レス,真鍮,軟鉄等を用いることができるが,中でもステ
ンレスが耐食性の点から好ましい。金属やガラス以外の
材質,例えば樹脂では, 耐圧が低いのでノズル圧によっ
て変形してしまい,本発明の目的を達成できない。
【0020】本発明の紡糸口金の吐出孔の数は複数であ
ればよく,所望の最終PVA系繊維の総繊度,単糸繊度
に応じて自由に設定することができる。
【0021】本発明において,この紡糸口金を保持する
いわゆるノズルホルダーの形状や材質及び紡糸口金をノ
ズルホルダーに組み込みノズルパックとする際の構成等
は特に限定されるものではない。例えば,紡糸口金の上
に多数の整流孔を有する金属製有孔プレートを配し,そ
の上に金網や燒結金属からなる濾材を配して金属製ノズ
ルホルダーに組み込んでもよい。さらに,このノズルパ
ックの外部に加熱保温用のヒータを取り付けてもよい。
【0022】本発明の製造方法においては,乾湿式紡糸
する際のエアギャップは20〜100mmとするのが好まし
い。また,凝固浴液としては,メタノール,エタノー
ル,アセトン等を用いることができるが,特にメタノー
ルが好ましい。この凝固浴液にPVAの溶媒を混合して
用いてもよい。
【0023】本発明において,紡糸原液の吐出線速度は
特に限定されるものではないが,吐出線速度(V),紡糸
口金の吐出孔径(D),紡糸原液の粘度(μ)及び密度
(ρ)によって下式で定義されるレイノルズ数(Re)が
0.1〜50となるように吐出孔径及び吐出線速度を選択す
るのが好ましい。 Re=D・V・ρ/μ
【0024】このようにして形成された凝固糸条は,そ
の後溶媒洗浄や乾燥等の工程を経て未延伸糸となるが,
洗浄は凝固浴液の主成分として用いたものと同じ溶媒を
凝固糸条の進行方向と逆方向に流し,これに接触させて
行うことができる。また,この洗浄の間,凝固糸条をい
わゆる湿延伸してもよいが,その倍率は8倍未満とする
のがよい。
【0025】洗浄後の糸条に紡糸油剤を付与した後乾燥
し,一旦巻き取ってから,又は巻き取ることなく連続し
て乾熱延伸工程に供給する。本発明において,洗浄後の
糸条に付与する紡糸油剤としては,ポリオキシエチレン
ソルビタントリオレエート,ポリオキシエチレンオレイ
ルエーテル,ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテ
ル等を主成分とし,鉱物油を希釈剤とする,いわゆるス
トレート油剤が好ましい。
【0026】本発明においては,リン酸,塩酸等の無機
酸又はパラトルエンスルホン酸,テレフタル酸等の有機
酸を脱水反応促進用触媒として紡糸油剤に混合し,紡糸
油剤と共に付与してもよく,その際には,糸条の含液率
(上記洗浄溶媒を含む糸条全体の重量に対する洗浄溶媒
の量の比率)が5〜30重量%となるように糸条を乾燥し
てから付与するのが好ましい。
【0027】乾熱延伸は,高強力PVA系繊維を生産性
よく製造するために,最終巻取速度を 100m/分以上と
し,乾熱延伸倍率を15倍以上として施すことが好まし
い。乾熱延伸で糸条を加熱する方法としては,熱風加熱
炉を用いる方法,接触型ヒータを用いる方法,輻射熱ヒ
ータを用いる方法,加熱ローラを用いる方法等を採用す
ることができ,またこれらのいくつかを組み合わせて用
いてもよい。また,乾熱延伸温度は特に限定されるもの
ではないが,例えば熱風加熱炉で延伸する場合,糸条の
入口温度を 150℃以上とし,出口温度を 270℃以下とす
ることが好ましい。
【0028】乾熱延伸後の繊維をさらに熱処理してもよ
く,その際は,乾熱延伸後の繊維に仕上げ油剤を付与し
てから0〜10%のリラックス率下で行うのが好ましい。
ここで用いる仕上げ油剤としては,ポリオキシエチレン
ソルビタントリオレエート,ポリオキシエチレンオレイ
ルエーテル,ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテ
ル等を主成分とし,鉱物油を希釈剤とする,いわゆるス
トレート油剤が好ましい。
【0029】仕上げ油剤を付与して熱処理する場合,仕
上げ油剤付着量が0.1〜2重量%となるように付与する
のが好ましい。仕上げ油剤を繊維に付与する方法は,油
剤中に糸条を浸漬させる方法,いわゆるオイリングロー
ラで付与する方法,溶液を噴霧する方法等を用いること
ができるが,中でもオイリングローラで付与する方法が
簡便で好ましい。
【0030】熱処理での糸条の加熱方法は,前述した乾
熱延伸と同様の方法を用いることができる。また,熱処
理温度は,乾熱延伸の最高温度よりも5〜10℃高い温度
で,0.5〜10秒間行うのが好ましい。
【0031】本発明によれば,マルチフィラメントを構
成する単糸間で繊度や強度のばらつきの小さい高品位の
PVA系繊維を生産性よく製造することができる。
【0032】
【作用】本発明において,高強度・高弾性率で,マルチ
フィラメントを構成する単糸間の繊度や強度のばらつき
の小さい高品位のPVA系繊維が得られるのは,L/D
が3以上の吐出孔を有する紡糸口金を用いることによ
り,各吐出孔に十分なノズル圧をかけることができるた
め,各吐出孔の吐出量のばらつきが低減されるためと認
められる。
【0033】
【実施例】次に,本発明を実施例により具体的に説明す
る。 実施例1 重合度4000,ケン化度99.9モル%のPVAを,濃度が15
重量%となるようにDMSOに溶解して紡糸原液を調製
した。この紡糸原液を,孔径が0.3mmで孔長が1.5mm
(L/D=5)の吐出孔を 300個有するステンレス製の
紡糸口金から30mmのエアギャップを通して,DMSO15
重量%を含むメタノール凝固浴中に乾湿式紡糸して凝固
糸条を得た。吐出条件はレイノルズ数が2となるように
選定した。この凝固糸条をメタノールで洗浄した後,ポ
リオキシエチレンソルビタントリオレエートを主成分と
する紡糸油剤0.9重量%をオイリングローラで付与し,
さらに80℃で乾燥し未延伸糸として巻き上げた。この未
延伸糸を構成する単糸の繊度を測定したところ,そのC
V値は4.2%と極めてばらつきの小さいものであった。
【0034】次いで,この未延伸糸を10m/分で回転し
ている表面温度が80℃の供給ローラに掛け,糸条の入口
温度が160℃,出口温度が220℃に設定された長さ3mの
熱風加熱炉を通した後,90m/分で回転している表面温
度が 160℃の第1ローラで引き取り,延伸倍率9倍の第
1段延伸を行った。次いで第1ローラを出た糸条を,入
口温度が210℃,出口温度が240℃に設定された長さ5m
の熱風加熱炉を通した後,190m/分で回転している表面
温度が180℃の第2ローラで引き取り,延伸倍率2.11倍
の第2段延伸を行った。さらに,第2ローラを出た糸条
に,ポリオキシエチレンソルビタントリオレエートを主
成分とする油剤を,付与量が0.8重量%となるようにオ
イリングローラで付与し,次いで,入口温度が230℃,
出口温度が250℃に設定された熱風加熱炉を通した後,18
5m/分で回転している非加熱型の第3ローラで引き取
ることにより,2.6%のリラックス率下で熱処理して巻
き取った。第1段延伸からの総延伸倍率は18.5倍であっ
た。
【0035】得られた繊維は1500d/300fで, 強度23.1g/
d,初期弾性率478g/d,伸度5.8%と高強力のものであ
り,マルチフィラメントを構成する各単糸の繊度と強度
を測定の測定からそれぞれのCV値を求めたところ,そ
れぞれ4.9%,5.1%といずれもばらつきの小さい高品
位のものであった。
【0036】比較例1 紡糸口金を,孔径が0.3mm,孔長が0.3mm(L/D=
1)のものに変更した以外は実施例1と同様にして乾湿
式紡糸した。得られた未延伸糸の繊度CV値は15.7%と
極めて高く,また,この未延伸糸に実施例1と同様にし
て乾熱延伸と熱処理を施したところ,マルチフィラメン
トの強度は18.8g/dであったが,繊度,強度のCV値は
それぞれ17.7%,14.9%とばらつきの大きい低品位のも
のであった。
【0037】比較例2 紡糸口金を孔径が1.5mm, 孔長を7.5mm(L/D=5)
のものに変更した以外は実施例1と同様にして乾湿式紡
糸したが,吐出線速度が低すぎたため,紡糸原液が紡糸
口金表面に付着してしまい,未延伸糸を採取することが
できなかった。
【0038】実施例2 重合度5000,ケン化度99.9モル%のPVAを濃度12重量
%となるようにDMSOに溶解して紡糸原液を調製し
た。この紡糸原液を孔径が0.5mm,孔長が9mm(L/D
=18)の吐出孔を 150個有するステンレス製の紡糸口金
から40mmのエアギャップを通して,DMSO17重量%を
含むメタノール凝固浴中に乾湿式紡糸して凝固糸条を得
た。吐出条件はレイノルズ数が8となるように選定し
た。この凝固糸条をメタノールで洗浄した後, 加熱ドラ
ムを用いて乾燥し, 糸条の含液率を25重量%としてか
ら,濃度が0.3規定となるようにリン酸を混合したポリ
オキシエチレンオレイルエーテルを主成分とする油剤0.
6重量%をオイリングローラで付与し,さらに乾燥して
未延伸糸として巻き上げた。この繊維の単糸繊度CV値
を求めたところ,4.1%と均斉度の高いものであった。
【0039】次いで,この未延伸糸を16m/分で回転し
ている表面温度が80℃の供給ローラに掛け,糸条の入口
温度が190℃,出口温度が230℃に設定された長さ3mの
熱風加熱炉を通した後,128m/分で回転している表面温
度が 180℃の第1ローラで引き取り,延伸倍率9倍の第
1段延伸を行った。次いで,第1ローラを出た糸条を,
入口温度が220℃,出口温度が240℃に設定された長さ5
mの熱風加熱炉を通した後,310m/分で回転している表面
温度が180℃の第2ローラで引き取り,延伸倍率2.42倍
の第2段延伸を行った。第2ローラを出た糸条に,ポリ
オキシエチレンオレイルエーテルを主成分とする油剤
を,付与量が1.1重量%となるようにオイリングローラ
で付与した後,入口温度が 230℃,出口温度が 250℃に
設定された長さ6mの熱風加熱炉を通し,次いで,300m
/分で回転している非加熱タイプの第3ローラで引き取
り,3.2%のリラックス率下で熱処理して巻き取った。第
1段延伸からの乾熱延伸倍率は18.8倍であった。
【0040】得られた繊維は1000d/150fで,強度23.6g/
d, 初期弾性率480g/d, 伸度5.5%と高強力であり, こ
の繊維の単糸繊度CV値は4.8%,強度CV値は6.1%
と極めて高品位の繊維であった。
【0041】
【発明の効果】本発明のPVA系繊維は,高強度・高弾
性率であり,かつ,マルチフィラメントを構成する単糸
の繊度CV値と強度CV値が小さく,均斉度が高いの
で,産業資材用繊維として広範な適用が可能となる。ま
た,本発明の製造方法によれば,上記の利点を有するP
VA系繊維を生産性よく製造することができるので,そ
の有用性は極めて高い。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マルチフィラメントの引張り強度が22g/
    d以上,初期弾性率が440g/d以上であり,かつ,マルチ
    フィラメントを構成する単糸の繊度CV値が5%以下,
    強度CV値が7%以下であることを特徴とするポリビニ
    ルアルコール系繊維。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアルコールを有機溶媒に溶解
    して調製した紡糸原液を乾湿式紡糸し,次いで,乾熱延
    伸してポリビニルアルコール系繊維を製造するに際し,
    孔径(D)が0.1〜1mmであり,孔長(L)と孔径
    (D)との比(L/D)が3〜20である吐出孔を複数個
    有する乾湿式紡糸用紡糸口金を用いて紡糸することを特
    徴とするポリビニルアルコール系繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 孔径(D)が0.1〜1mmであり,孔長
    (L)と孔径(D) との比(L/D)が3〜20である吐
    出孔を複数個有する金属製プレートからなる乾湿式紡糸
    用紡糸口金。
JP28044693A 1993-10-13 1993-10-13 ポリビニルアルコール系繊維とその製造方法及び乾湿式紡糸用紡糸口金 Pending JPH07109616A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014095170A (ja) * 2012-11-12 2014-05-22 Teijin Ltd 原着極細繊維
JP2018040097A (ja) * 2016-08-31 2018-03-15 花王株式会社 ハイドロゲルファイバの製造方法

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