JP2001164425A - ポリケトン繊維の製造方法およびポリケトン繊維 - Google Patents

ポリケトン繊維の製造方法およびポリケトン繊維

Info

Publication number
JP2001164425A
JP2001164425A JP34322999A JP34322999A JP2001164425A JP 2001164425 A JP2001164425 A JP 2001164425A JP 34322999 A JP34322999 A JP 34322999A JP 34322999 A JP34322999 A JP 34322999A JP 2001164425 A JP2001164425 A JP 2001164425A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
polyketone
drying
dtex
polyketone fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP34322999A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4342055B2 (ja
Inventor
Tatsu Taniguchi
龍 谷口
Jinichiro Kato
仁一郎 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP34322999A priority Critical patent/JP4342055B2/ja
Publication of JP2001164425A publication Critical patent/JP2001164425A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4342055B2 publication Critical patent/JP4342055B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 繰り返し単位の97重量%以上が1−オ
キソトリメチレン単位であるポリケトンポリマーをハロ
ゲン化亜鉛を10〜80重量%含有する水溶液に溶解し
て湿式紡糸するポリケトン繊維の製造方法であって、凝
固した糸条を乾燥温度120〜260℃、乾燥張力0.
02〜0.2cN/dtexの範囲にて繊維の水分率が
10重量%以下になるまで乾燥する工程を含むポリケト
ン繊維の製造方法。 【効果】 高強度・高弾性率の優れた機械的特性、高い
融点を有するとともに、高い透明性、光沢性を有したポ
リケトン繊維の製造方法が提供でき、これによって、タ
イヤコードやコンクリート補強剤、ベルト、土木用ネッ
ト等の産業用資材、カーペットや座席シート等の業務用
資材、生活資材や婦人アウターや婦人インナー、紳士ア
ウター、スポーツアウター、ユニフォーム、作業衣等の
衣料用途へ適したポリケトン繊維を安価に生産性よく提
供することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲン化亜鉛を
溶剤とするポリケトン繊維の湿式紡糸製造方法におい
て、高強度・高弾性率の優れた機械的特性と優れた耐疲
労性、耐熱性を有する産業用資材に適したポリケトン繊
維の製造方法、およびそれから得られるポリケトン繊維
に関する。さらに詳しくは、ハロゲン化亜鉛を溶剤とす
るポリケトン繊維の湿式紡糸製造方法において、強度1
0cN/dtex以上、弾性率200cN/dtex以
上の優れた機械的特性を有するポリケトン繊維を製造す
るための乾燥工程を含むポリケトン繊維の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、一酸化炭素とエチレン、プロペン
のようなオレフィンをパラジウムやニッケルを触媒とし
て重合させることにより、一酸化炭素とオレフィンが実
質完全に交互共重合した脂肪族ポリケトンポリマーが得
られることが見いだされ(工業材料、12月号、第5ペ
ージ、1997年)、以後ポリケトンポリマーの繊維化
の検討が行われている。ポリケトン繊維は、従来のポリ
オレフィン繊維に比べて融点が高く、また高強度・高弾
性率の繊維が得られることが知られており、この優れた
物性を活かして産業用資材、土木用資材、生活資材、衣
料用途など幅広い用途への展開が検討されている。中で
も高強度、高弾性率の優れた機械的特性と高融点の熱的
特性を活かして産業用資材用途、特にタイヤコード用途
への展開が期待されている。これまで高強度、高弾性率
のポリケトン繊維の製造については、溶融紡糸法や有機
・無機溶液を溶剤とする湿式紡糸法が提案されている。
【0003】しかしながら、これらの公知の製造方法で
は、いずれも得られるポリケトン繊維の性能や安全性、
製造コストに大きな問題があった。例えば、特開平1−
124617号公報、Polym.Prepr.(A
m.Chem.Soc.,Div.Polym.Che
m.),36,1,291−292、Prog.Pol
ym.Sci.,Vol.22,8,1547−160
5(1997)等に開示されている溶融紡糸法ではポリ
ケトンの熱架橋が起こるため、エチレン/一酸化炭素に
プロペンを共重合して融点を230℃以下まで低くしな
ければ紡糸が出来なかった。しかしながらこれら共重合
によって、ポリケトン繊維の融点が低下し耐熱性が悪く
なる問題、高弾性率の繊維が得られない、などの問題が
あった。
【0004】また、エチレン/一酸化炭素が交互共重合
した高融点のポリケトンポリマーを用いた湿式紡糸方法
については、特開平2−112413号公報、特開平4
−228613号公報、特表平4−505344号公
報、特開平2−112413号公報、特表平7−508
317号公報、特表平8−507328号公報などに、
m−クレゾール、レゾルシン/水、フェノール/アセト
ン、ヒドロキノン/プロピレンカーボネート、レゾルシ
ン/プロピレンカーボネート等を溶剤とする紡糸方法が
開示されている。この製造法では高強度・高弾性率で高
融点の繊維を得ることは出来るものの、溶剤に毒性や爆
発性があるなどして安全性、取り扱い性に問題があり、
また製造コストが極めて高価で、実用的な製造方法では
なかった。
【0005】これらの製造法に対して、実用的な湿式紡
糸方法として、WO9918143号公開パンフレット
ではアルカリ金属やアルカリ土類金属、塩化亜鉛などの
金属塩を含む溶液にポリケトンポリマーを溶解し繊維を
製造する技術が開示されている。しかしながらこの特許
文献では、実施例10において、融点が220℃のエチ
レン/プロピレン/一酸化炭素のターポリマーを用いて
塩化亜鉛溶剤に溶解し、紡糸、延伸した繊維のみしか記
載されておらず、この繊維は融点が低く耐熱性に問題が
あり、また、弾性率が170cN/dtexと低く、タ
イヤコードとしては全く不十分な性能であった。以上の
ように高強度、高弾性率の優れた力学特性と高耐疲労
性、高融点で優れた熱特性を有し、産業用繊維、特にタ
イヤコードに適したポリケトン繊維を安全かつ安価に製
造する方法については一切知られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らはハロゲン
化亜鉛を溶剤とするポリケトン繊維の湿式紡糸製造方法
において、高強度・高弾性率で優れた耐疲労性、耐熱性
を有するポリケトン繊維を製造するための条件を鋭意検
討した結果、凝固糸の乾燥条件の組み合わせが極めて重
要であることを見いだした。すなわち、本発明の課題は
ハロゲン化亜鉛を溶剤とする湿式紡糸法において高強
度、高弾性率で高耐疲労性、高耐熱性のポリケトン繊維
を得るための凝固糸の乾燥条件の組み合わせである。具
体的には、ハロゲン化亜鉛溶剤を用いた湿式紡糸方法に
より製造したポリケトン繊維において、強度10cN/
dtex以上、弾性率200cN/dtex以上の高物
性を達成するための乾燥温度、乾燥張力を決定すること
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリケトンポ
リマーをハロゲン化亜鉛を10〜80重量%含有する水
溶液に溶解して湿式紡糸するポリケトン繊維の製造方法
であって、凝固した糸条を乾燥温度120〜260℃、
乾燥張力0.02〜0.2cN/dtexの範囲にて繊
維の水分率が10重量%以下になるまで乾燥する工程を
含むポリケトン繊維の製造方法およびその製造方法によ
って得られるポリケトン繊維である。本発明に用いるポ
リケトンポリマーはオレフィンと一酸化炭素の共重合ポ
リマーである。強度、寸法安定性、耐湿潤特性、高温繊
維物性等の観点からエチレンと一酸化炭素が結合した1
−オキソトリメチレンを主たる繰り返し単位とするポリ
マーが好ましい。繰り返し単位中の1−オキソトリメチ
レン単位の割合は、多ければ多いほど高融点、高力学物
性の繊維が得られるため、好ましくは97重量%以上、
特に好ましくは100重量%が1−オキソトリメチレン
単位であることが望ましい。
【0008】このオレフィンと一酸化炭素が結合した繰
り返し単位同士は、部分的にケトン基同士、エチレン同
士が結合していてもよいが、90重量%以上がオレフィ
ンと一酸化炭素が交互に配列したポリケトンポリマーで
あることが望ましい。耐光性、耐熱性、高温時の物性の
低下の観点からオレフィンと一酸化炭素が交互に配列し
た部分の含有率は多ければ多いほどよく、好ましくは9
7重量%以上、最も好ましくは100重量%である。ま
た、必要に応じてプロペン、ブテン、ヘキセン、シクロ
ヘキセン、ペンテン、シクロペンテン、オクテン、ノネ
ン等のエチレン以外のオレフィンやメチルメタクリレー
ト、酢酸ビニル、アクリルアミド、ヒドロキシエチルメ
タクリレート、スチレン、スチレンスルホン酸ナトリウ
ム、アリルスルホン酸ナトリウム、ビニルピロリドン、
塩化ビニル等の不飽和結合を有する化合物を共重合して
もよい。
【0009】また、ポリマーの中には目的に応じて、酸
化防止剤、クエンチング剤、ラジカル捕捉剤、重金属不
活性化剤、ゲル化抑制剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、顔
料等の添加剤、他のポリマー等を含んでいてもよい。本
発明で使用するポリマーの極限粘度は1以上であること
が好ましい。これは、極限粘度が1満では分子量が低す
ぎて強度が10cN/dtex以上の高強度のポリケト
ン繊維を得ることが困難となるからである。得られる繊
維の強度と溶解性、紡糸性のかねあいから、好ましくは
1〜15、さらに好ましくは2〜10の範囲である。
【0010】ポリケトンポリマーの溶解に用いられる濃
厚金属塩としては塩化亜鉛、臭化亜鉛、よう化亜鉛等の
ハロゲン化亜鉛化合物が挙げられ、溶解性、コスト、水
溶液の安定性の点で塩化亜鉛、よう化亜鉛が好ましい。
ハロゲン化亜鉛の濃度は、特に制限はないが、好ましい
濃度としては、50〜80℃では10〜80重量%であ
る。亜鉛塩の水溶液は、溶解性向上、コストダウンやド
ープの熱安定性等を目的として、ハロゲン化亜鉛を複数
混合したものであってもよく、あるいは塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、塩化カルシウム等のアルカリ金属あ
るいはアルカリ土類金属のハロゲン化物を60重量%以
下で含んでいてもよい。また、溶解性を阻害しない範囲
で他の無機物、有機物を10重量%以下で含んでいても
よい。ドープの安定性、紡糸性の観点からハロゲン化亜
鉛に塩化ナトリウムや塩化カルシウムを混合した複合塩
溶剤を用いることが特に好ましい。
【0011】亜鉛塩水溶液ドープ中のポリマー濃度は
0.005〜70重量%、より好ましくは3〜30重量
%の範囲が望ましい。尚、ドープとは、ポリケトンポリ
マーを溶剤に溶解させた溶液を指す言葉である。このポ
リケトンハロゲン化亜鉛ドープを紡糸口金から押し出
す。紡糸口金から吐出されたドープが凝固浴に入る前に
一旦気体中を通過するエアーギャップ紡糸法をとること
が好ましい。吐出されたドープは凝固浴に入り、糸状の
形の凝固糸となる。
【0012】湿式紡糸法においては、一般に相分離によ
って凝固した糸条は、粒径数10nm〜数100nmの
凝固粒子が三次元的に繋がった相分離構造をとり、凝固
粒子間には数10nm〜数μmのサイズの空隙(マクロ
ボイド)が形成される。凝固糸ではこの空隙には溶剤や
凝固浴に用いた溶液が充填されているが、それら溶液は
乾燥時および/または延伸時に取り除かれる。ハロゲン
化亜鉛溶剤を用いた場合、溶液が取り除かれる際に、同
時にこの空隙をしっかりと塞ぐことで高強度で耐疲労性
に優れる繊維が得られるようになる。
【0013】凝固浴の組成は、水性溶液であることが好
ましい。水性溶液を含む凝固糸は、乾燥時に凝固粒子間
の空隙に入った溶液の表面張力によって空隙が塞がり易
く、凝固浴の50重量%以上が水であることが好まし
く、80重量%以上が水であることが特に好ましい。凝
固浴温度は高すぎると凝固粒子間の空隙が大きくなって
しまうため、−10〜50℃の範囲が好ましい。また、
必要に応じて凝固浴にハロゲン化亜鉛や塩化ナトリウム
や塩化カルシウム等の塩や、硫酸、塩酸等の酸を添加し
てもよい。
【0014】凝固後、必要に応じて凝固糸条をさらに洗
浄することが推奨される。洗浄には亜鉛塩を溶解する能
力を有する液体であれば如何なるものを用いてもよい
が、安全性、溶液のコスト、回収のコスト等を考慮する
と、水系の溶液が好ましく、硫酸、塩酸、リン酸等の酸
性水溶液が特に好ましい。亜鉛塩が糸中に残存した場合
には、繊維の物性や耐熱性の低下や、変・着色による光
沢度の低下や発色性の低下が起こるため、洗浄工程では
最終的に糸に含まれる亜鉛の残量が、好ましくは金属亜
鉛として10000ppm以下、より好ましくは100
0ppm以下、特に好ましくは100ppm以下になる
まで繰り返し洗浄することが望ましい。
【0015】このようにして得られた凝固糸は乾燥して
液体を除去する必要があるが、高強度、高弾性率でかつ
耐疲労性に優れる繊維得るためには、乾燥時の温度と張
力を適正な範囲に設定することが重要である。すなわ
ち、糸の周囲の乾燥温度を120〜260℃とし、乾燥
張力が0.02〜0.2cN/dtexの範囲にするこ
とである。ここで乾燥張力とは、乾燥終了点で糸にかか
る張力を乾燥終了後の糸の繊度で除した値である。乾燥
温度が120℃より低い場合、凝固粒子間の空隙が十分
に塞がらず空隙が残るため、最終延伸糸もマクロボイド
の残存したダル調の繊維となってしまう。乾燥温度が高
いほど、凝固粒子間の空隙は塞がりやすくなるが、乾燥
温度が高すぎると、繊度の大きい繊維やフィラメント数
の大きい繊維の場合には、表面と内部とで乾燥速度に差
が生じ、フィラメント表層部が先に乾燥して内部にボイ
ドが発生したり、熱によりポリマーが劣化して黄褐色に
着色したり、さらにはフィラメント間の水分が突沸して
繊維にダメージを与えたり、また繊維が融点以上の温度
に加熱されると融着切れを起こすなどの不具合が発生し
て、高強度・高弾性率で耐疲労性に優れた繊維が得られ
なくなる。繊維物性の観点から乾燥温度としては120
〜260℃が好ましく、160〜250℃がより好まし
く、特に好ましくは200〜240℃である。
【0016】乾燥温度と同様に乾燥時の張力を適正な範
囲内にすることも非常に重要である。乾燥時の張力が
0.02cN/dtex未満の場合、凝固粒子間の空隙
が十分に塞がらず強度が不十分なダル調の繊維になる。
また、凝固条件によっては繊維が自由収縮して糸長方向
に繊度が不均一な繊維となることがある。一方、乾燥時
の張力が0.2cN/dtexを超えると乾燥時に凝固
構造の破壊が起こってしまい、空隙が十分に塞がらない
ため、高強度で耐疲労性に優れるポリケトン繊維が得ら
れなくなる。繊維物性、糸の均一性の観点から乾燥時の
張力は0.02〜0.2cN/dtexが好ましく、
0.025〜0.1cN/dtexがより好ましく、特
に0.03〜0.08cN/dtexが望ましい。
【0017】乾燥温度、乾燥張力が上述の範囲内であれ
ば加熱方式、乾燥装置については特に制限はなく、従来
公知の方法、装置をそのままあるいは修正して適用でき
る。乾燥効率、糸の均一性の観点から加熱固体に接触す
るロール接触型、プレート接触型の乾燥機や、加熱気体
に接触するトンネル型乾燥機、あるいはこれらの複合型
の乾燥機を用いた連続乾燥装置が好適に用いられる。乾
燥温度が高い場合には糸の周囲に窒素等の不活性気体を
流すことが好ましい。乾燥は糸に含まれる水分率が10
重量%以下になるまで行うことが重要である。未延伸糸
中の水分率が10重量%以上の場合には、次の延伸工程
で高倍率の延伸が出来なくなり、結果として高強度、高
弾性率の繊維が得られなくなる。このため、乾燥後の未
延伸糸の水分率としては、好ましくは10重量%以下、
より好ましくは5重量%以下、特に好ましくは3重量%
以下にすることが望ましい。
【0018】このようにして得られた未延伸糸を引き続
き加熱し、一段あるいは二段以上の多段にて延伸する。
加熱延伸方法としては、加熱したロール上やプレート
上、あるいは加熱気体中を走行させる方法や、走行糸に
レーザーやマイクロ波、遠赤外線を照射する方法等従来
公知の装置、方法をそのままあるいは改良して採用する
ことが出来る。伝熱効率、糸温度の均一性の観点から加
熱ロール、加熱プレート上での延伸が好ましく、ロール
とプレートを併用した延伸法であってもよい。また、ロ
ールやプレートの周囲を密閉し、密閉空間内に加熱気体
を充填するとより温度が均一な延伸が可能となり好まし
い。ただし、延伸温度が低すぎたり延伸倍率が高すぎる
と乾燥により一旦塞がった空隙が再度拡がったり、新た
なボイドが発生する場合があるので、延伸張力が3cN
/dtex以下、特に好ましくは2.5cN/dtex
以下となるよう延伸温度、延伸倍率を設定することが望
ましい。好ましい延伸温度範囲としては200〜300
℃、さらに好ましくは、融点−50℃〜融点の範囲であ
る。
【0019】一段目の延伸温度は乾燥温度と同等あるい
は乾燥温度以上であることが好ましい。延伸温度が乾燥
温度よりも低温の場合には、延伸張力の増大が起こった
り、高強度の繊維が得られなくなる。また、多段延伸を
行う場合には延伸段数とともに延伸温度が徐々に高くな
っていく昇温延伸が好ましい。延伸倍率は好ましくはト
ータルで5倍以上、より好ましくは10倍以上、特に好
ましくは15倍以上の倍率で延伸することが望ましい。
上述のような方法で得られたポリケトン繊維は、高い強
度、弾性率と優れた耐疲労性、耐熱性を有している。本
発明のポリケトン繊維に望まれる物性としては、強度は
好ましくは10cN/dtex以上、より好ましくは1
5cN/dtex以上であることが望ましい。また、引
っ張り弾性率は好ましくは200cN/dtex以上、
より好ましくは300cN/dtex以上であることが
望ましい。
【0020】繊維の融点は240℃以上であることが好
ましく、より好ましくは250℃以上、特に好ましくは
260℃以上であることが望ましい。上述の製造条件を
採用することで高強度、高弾性率で耐疲労性の優れたポ
リケトン繊維を得ることが出来るようになるが、驚くべ
きことに、このような条件で紡糸、乾燥、延伸を行った
場合、透明性が高く、光沢のあるポリケトン繊維が得ら
れるようになることを見いだした。このような透明で高
光沢のポリケトン繊維については、これまで一切知られ
ておらず、本発明の乾燥条件によって初めて見いだされ
た。透明性、光沢度が高いポリケトン繊維からは透明
感、高級感のある布帛が得られ、染色した際にはより鮮
明で深い色調の染色物となるため、産業用資材のみなら
ず生活資材や衣料用途等へも幅広く用いることが出来
る。光沢度は高ければ高いほど透明性、光沢性が優れ、
鮮明な染色物が得られるようになるため、好ましくは3
0以上、特に好ましくは40以上の光沢度であることが
望ましい。
【0021】本発明のポリケトン繊維の単糸繊度および
フィラメント数については使用条件、用途によって変化
するため特に制限はないが、好ましくは単糸繊度0.0
1〜10dtex、フィラメント数2〜10000fの
範囲である。また繊維の断面形状についても特に制限は
なく、丸、三角、星形、アルファベット形等使用目的に
応じて適宜選定出来る。乾燥効率や光沢性の観点から丸
断面、三角断面が好ましい。
【0022】以上のような方法で製造された高強度・高
弾性率、高耐熱性、高光沢のポリケトン繊維は、そのま
まあるいは仮撚り、嵩高加工、捲縮加工、捲回加工など
の加工を施した加工糸として、さらには織物や編み物、
あるいは不織布に加工した繊維製品として用いることが
出来る。なお、本発明において繊維製品とは、本発明の
ポリケトン繊維のみから構成される糸、中空糸、多孔
糸、綿、紐、編物、織物、不織布およびこれらを使用し
た衣類、医療用器具、生活資材、タイヤコード、ベル
ト、コンクリート補強材料等はもちろんのこと、該ポリ
ケトン繊維を少なくとも一部に使用した繊維製品が含ま
れる。該繊維製品においては、ナイロン6、ナイロン6
・6等のポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート等のポリエステル繊維、ポリエチレン、ポリ
プロピレン等のポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコ
ール繊維、アラミド繊維、羊毛、ポリアクリロニトリル
繊維、木綿、ビスコースレーヨン等のセルロース繊維な
どの従来公知の繊維と複合して用いてもよい。また、同
一種の繊維であっても熱的・機械的特性の異なる繊維、
あるいは繊度やフィラメント数の異なる繊維、または長
繊維や短繊維、紡績糸などを複合して用いてもよい。
【0023】以上のような特性を具備するポリケトン繊
維はタイヤコードやロープ、エアバッグ、セメント補強
材、土木用ネット、漁網、狩猟用網地、釣り糸などの産
業用資材や婦人用衣料、スポーツ用衣料、ユニフォー
ム、作業衣などの衣料用繊維、生活用資材などに幅広く
使用することが可能となる。本発明のポリケトン繊維
は、特に強度、弾性率が高く、耐疲労性および熱特性に
優れるため、タイヤやベルト等の繊維強化複合材料用途
に適している。本発明のポリケトン繊維をタイヤコード
とする場合は、公知の方法を用いることができる。タイ
ヤコードとして用いる場合は、単糸繊度は1〜4dが好
ましく、総繊度は500〜3000dが好ましい。必要
に応じて他の繊維、例えば、レーヨン、ポリエステル繊
維、アラミド繊維、ナイロン繊維、スチール繊維等と混
合使用してもよいが、好ましくはタイヤ中に含まれる全
タイヤコードの20重量%、好ましくは50重量%以上
使用されていることが性能発揮の面から好ましい。得ら
れたポリケトン繊維は、合撚して100〜1000T/
m、好ましくは、200〜500T/mの撚りを掛けた
後、すだれ織りとした後、10〜30%のRFL(フェ
ノール/ホルマリンラテックス)液を付着させ、少なく
とも100℃で固着させる。RFL樹脂の付着量は、繊
維重量に対して2〜7重量%が好ましい。こうして得ら
れたタイヤコードは、特にラジアルタイヤ用カーカス材
として有用である。得られたタイヤコードをタイヤへ加
工する方法としては、公知の方法を用いることができ
る。
【0024】
【実施例】本発明を、下記の実施例などにより更に詳し
く説明するがそれらは本発明の範囲を限定するものでは
ない。実施例の説明中に用いられる各測定値の測定方法
は次の通りである。 (1)極限粘度 極限粘度[η]は次の定義式に基づいて求められる値で
ある。 定義式中のt及びTは、ヘキサフルオロイソプロパノー
ル溶媒及び該溶媒に溶解したポリケトンの希釈溶液の2
5℃での粘度管の流過時間である。またCは、上記溶液
100ml中のグラム単位による溶質重量値である。
【0025】(2)強伸度、弾性率 JIS−L−1013に準じて測定した。 (3)融点 繊維を長さ5mmにカットしたものを試料とした。パー
キンエルマー社製示差熱測定装置Pyris1を用いて
下記条件で測定を行った。 サンプル重量 : 1mg 測定温度 : 30℃→300℃ 昇温速度 : 20℃/分 雰囲気 : 窒素、流量=200mL/分 得られる吸発熱曲線において200℃〜300℃の範囲
に観測される最大の吸熱ピークのピークトップ温度を融
点とした。
【0026】(4)光沢度 長さ7cm、幅5cm、厚さ1mmのアルミニウム板
に、西洋紙を貼りその上から0.1cN/dtexの荷
重をかけてポリケトン繊維を6重に巻き付けた。巻き付
けのピッチは隙間のないよう繊度に応じて下記のように
変更した。 光沢度測定用試料板の巻き付けピッチ 繊度: 30 〜 60(dtex) ; ピッチ:100(本/cm) 60 〜 90(dtex) ; 70(本/cm) 100 〜140(dtex) ; 58(本/cm) 140 〜180(dtex) ; 49(本/cm) 180 〜230(dtex) ; 44(本/cm) 230 〜330(dtex) ; 38(本/cm) 330 〜400(dtex) ; 35(本/cm) 400 〜550(dtex) ; 33(本/cm) 550 〜700(dtex) ; 30(本/cm) 該繊維試料板をスガ試験機社製デジタル変角光沢度計
(UGV−4D型)用いて、JIS−L−1013(B
法)に準じて測定角度60゜の光沢度を測定した。試験
は試料板の表と裏についてそれぞれ測定を行い、両者の
平均値を繊維の光沢度とした。
【0027】(5)深色度 試料はポリケトン繊維の一口編地を用い、スコアロール
400を2g/リットルの濃度で含有している温水を用
いて、70℃、20分間精練処理し、染液を添加して4
0℃から120℃まで昇温速度2℃/分で昇温後、さら
にそのまま120℃で40分間保持して染色を行った。
染色終了後の編地を、NaOHを1g/リットル、硫酸
ナトリウムを1g/リットル、アミラジン(第一工業製
薬社製:商品名)を1g/リットルの濃度で含有してい
る温水を用いて、40℃、20分間還元洗浄を行い、さ
らに水洗を30分間行った後に、60℃、10分間タン
ブラー乾燥機で乾燥を行った。染料は、カヤロンポリエ
ステルブルー3RSF(日本化薬社製:商品名)を使用
し、6%owf、浴比1:50で染色した。分散剤はニ
ッカサンソルト7000(日華化学社製:商品名)を
0.5g/リットル使用し、酢酸0.25ml/リット
ルと酢酸ナトリウム1g/リットルを加え、pHを5に
調製した。
【0028】測色は、分光光度計(DCI(株)製スペ
クトラフラッシュ500)を用いて、K/S値を評価し
た。この値は、染色後のサンプル布の分光反射率Rを測
定し、次に示すクベルカ―ムンク(Kubelka―M
unk)の式から求め、本発明ではK/Sを有彩色の深
色度と定義した。Rは当該染料の最大吸収波長である5
80nmでの値を採用した。 K/S=(1−R)2 /2R この値が大きいほど、深色効果が大きいこと、すなわ
ち、よく発色されていることを示す。こうして得られた
深色度は、人が見て感じる深色性と極めてよい相関があ
る。
【0029】(6)鮮明度 染料にミケロンポリエステルレッドFL(三井東圧社
製:商品名)を用い、染料濃度を2、4、8、16%o
wfの4水準とする以外は上記(5)と同じ処方で染
色、還元洗浄、乾燥を行い、乾燥後、測色を行った。測
色はスガ試験機社製カラーコンピュータ(SM―4)を
用い、染料濃度を変えて得られた4種の染色物の色濃度
* と鮮明度B* を測定した。測定結果を縦軸にB*
横軸にC* を取り、縦軸、横軸の目盛りをそれぞれ2〜
6、9〜15とするグラフを作成した。この際に縦軸と
横軸の長さをそれぞれ12cm、20cmとした。得ら
れた4点のデータをプロットして得られる曲線は、右上
に凸となる形状を示すが、この曲線(縦軸の目盛り、横
軸の目盛り)から(2、9)の点までがもっとも長くな
る距離(単位:cm)を鮮明度と定義する。この値が大
きいほど、鮮明に染色されていることを示す。こうして
得られる鮮明度は、人が見て感じる鮮明性と極めてよい
相関がある。 (7)乾燥工程終了後の未延伸糸の水分率 乾燥工程終了直後の未延伸糸100.0cmを秤量瓶に
とり重量測定後、オーブンで105℃、5時間乾熱処理
を行う。乾熱処理前の未延伸糸重量をMb、乾熱処理後
の未延伸糸重量をMaとして、下式より算出した。 水分率=(Mb−Ma)/Ma×100 (%)
【0030】
【実施例1】常法により調製したエチレンと一酸化炭素
が完全交互共重合した極限粘度が5.9g/dlのポリ
ケトンポリマーを、塩化亜鉛65重量%/塩化ナトリウ
ム10重量%含有する水溶液に添加し、80℃で2時間
攪拌溶解しポリマー濃度8重量%のドープを得た。この
ドープを80℃に加温し、20μm焼結フィルターでろ
過した後に、紡口径0.10mmφ、50ホールの紡口
より10mmのエアーギャップを通した後に5重量%の
塩化亜鉛を含有する18℃の水中に吐出量2.5cc/
分の速度で押し出し、凝固させた。凝固糸を濃度2重量
%、温度25℃の硫酸水溶液で洗浄し、さらに30℃の
水で洗浄した後に、巻き取り速度3.2m/分で巻き取
り凝固糸を得た。
【0031】得られた凝固糸を220℃に加熱したホッ
トプレート上を張力42gとなるように倍率1.09倍
にて乾燥(乾燥張力0.041cN/dtex)し、繊
度1015dtexの未延伸糸を得た。この未延伸糸を
240℃で1段目の延伸を行い、引き続き258℃で2
段目、268℃で3段目のトータル延伸倍率17倍の延
伸を行った。この延伸糸は、強度15.1cN/dte
x、弾性率325cN/dtexと高い物性を有してお
り、光沢度も43.1と高光沢の繊維で得られた染色物
は鮮明で深い色彩を有していた。得られた繊維の性質お
よび編み物の染色性を下記の実施例2〜8および比較例
1〜7と合わせて表1にまとめて示す。
【0032】
【実施例2】実施例1で得た凝固糸を用いて、乾燥温度
および1段目延伸温度を250℃とする以外は同様にし
て乾燥、延伸を行い延伸糸を得た。
【実施例3】実施例1で得た凝固糸を用いて、乾燥温度
を160℃とする以外は同様にして乾燥、延伸を行い延
伸糸を得た。
【実施例4】実施例1で得た凝固糸を用いて、乾燥倍率
を1.25倍とする以外は同様にして乾燥、延伸を行い
延伸糸を得た。
【0033】
【実施例5】実施例1において、紡糸時の吐出量を10
cc/分、紡口径を0.2mmφとする以外は同様にし
て紡糸を行い、凝固糸を得た。該凝固糸を実施例1と同
様にして乾燥、延伸を行い延伸糸を得た。
【実施例6】実施例1において、紡糸時の吐出量を10
cc/分、紡口ホール数を250ホールとする以外は同
様にして紡糸を行い、凝固糸を得た。該凝固糸を実施例
1と同様にして乾燥、延伸を行い延伸糸を得た。
【実施例7】常法により調製したエチレンと一酸化炭素
が完全交互共重合した極限粘度が3.5g/dlのポリ
ケトンポリマーを、塩化亜鉛65重量%/塩化ナトリウ
ム10重量%含有する水溶液に添加し、80℃で2時間
攪拌溶解しポリマー濃度15重量%のドープを得た。こ
のドープを用いて、吐出量を1.5cc/分とする以外
は実施例1と同様にして紡糸、乾燥、延伸を行った。
【0034】
【実施例8】常法により、1−オキソ,3−メチルトリ
メチレンユニット3重量%、1−オキソトリメチレンユ
ニットを97重量%からなるエチレン/プロピレン/一
酸化炭素ターポリマー(極限粘度4.9g/dl)を調
製した。このポリケトンポリマーを、塩化亜鉛65重量
%/塩化ナトリウム10重量%含有する水溶液に添加
し、80℃で2時間攪拌溶解し、ポリマー濃度10量%
のドープを得た。このドープを用いて、実施例1と同様
にして紡糸行い凝固糸を得た。この凝固糸を乾燥温度2
00℃、乾燥張力0.050cN/dtexで乾燥糸、
延伸温度を200℃、220℃、230℃の3段でトー
タル延伸倍率13倍の熱延伸を行い延伸糸を得た。
【0035】
【比較例1】実施例1のポリマーを、75重量%のレゾ
ルシンを含有する水溶液に80℃にて溶解し、ポリマー
濃度10重量%のドープを得た。このドープを実施例1
と同じ紡口を用いて、吐出量2.5cc/分にて吐出
し、10mmのエアーギャップを経て、−5℃のメタノ
ール浴中に押し出して凝固糸を得た。得られた凝固糸を
メタノールにて洗浄後、95℃の雰囲気中で乾燥し未延
伸糸を得た。乾燥時の張力は0.021cN/dtex
であったが、この未延伸糸は失透し、ダル調であった。
この未延伸糸を用いて実施例1と同様にしてトータル延
伸倍率17倍の熱延伸を行い延伸糸を得た。延伸糸の光
沢度は18.3と不十分であった。
【0036】
【比較例2】実施例1で用いたポリマーをヘキサフルオ
ロイソプロパノールに添加し、30℃、2時間攪拌溶解
し、ポリマー濃度8重量%のドープを得た。このドープ
を実施例1と同じ紡口を用いて、吐出量4.5cc/分
にて吐出し、10℃のアセトン浴中に押し出して凝固糸
を得た。得られた凝固糸をSUS316(ステンレス
鋼)製の糸管に巻き付け、定長状態で30℃、24時間
静置し乾燥し未延伸糸を得た。この未延伸糸を実施例1
と同様にしてトータル延伸倍率12.3倍の熱延伸を行
い延伸糸を得た。延伸糸の光沢度は24.3と不十分で
あった。
【0037】
【比較例3】実施例1において、凝固浴および最終洗浄
液の組成をメタノール80重量%/水20重量%とし、
凝固浴温度を40℃とする以外は同様にして紡糸を行っ
て凝固糸を得た。該凝固糸を用いて、実施例1と同様の
条件で乾燥、トータル16倍の延伸を行った。
【比較例4】実施例1の凝固糸を用いて、乾燥倍率を
0.75倍、乾燥張力を0.012cN/dtexとす
る以外は同様の処方で乾燥およびトータル12.5倍の
延伸を行った。
【0038】
【比較例5】実施例1の凝固糸を用いて、乾燥倍率を
2.05倍、乾燥張力を0.21cN/dtexとする
以外は同様にして乾燥、延伸を行った。延伸性は不良で
トータルで3.3倍の延伸しか出来ず、得られた延伸糸
は物性、光沢度ともに不十分であった。
【比較例6】実施例1の凝固糸をSUS316製糸管に
巻き付け、100℃の加熱空気中で48時間の定長乾燥
を行った。この未延伸糸を用いて実施例1と同様にして
延伸を行った。延伸性は良好であったが延伸糸の光沢度
は21.3と不十分であった。
【比較例7】実施例1の凝固糸を140℃のホットプレ
ート上で加熱しながら、乾燥倍率1.32倍、乾燥張力
0.035N/dtexとして乾燥した。得られた未延
伸糸は水分率19.8%であった。該未延伸糸を引き続
き実施例1と同様の処方で延伸を行ったが、延伸性は不
良でトータル8.5倍の延伸しかできず、得られた延伸
糸の物性も不十分であった。
【0039】
【比較例8】常法により、1−オキソ,3−メチルトリ
メチレンユニット6重量%、1−オキソトリメチレンユ
ニットを94重量%からなるエチレン/プロピレン/一
酸化炭素ターポリマー(極限粘度1.7g/dl)を調
製した。このターポリマーに熱安定剤としてカルシウム
ヒドロキシアパタイト粉末(平均粒径2.5μm)を
0.3重量%添加し、紡糸温度235℃にて溶融紡糸し
た。得られた未延伸糸を1段目180℃、2段目200
℃の2段でトータル11倍の延伸をした。延伸糸の融点
は222℃と低く、弾性率も94cN/dtexと不十
分であり、繊維は完全に失透し光沢のないものであっ
た。
【比較例9】比較例8において、カルシウムヒドロキシ
アパタイトを添加せずに235℃にって溶融紡糸を行っ
たが、溶融開始直後から激しい押し出し圧力の上昇があ
り、紡糸不能であった。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】本発明により、高強度・高弾性率の優れ
た機械的特性、高い融点を有するとともに、高い透明
性、光沢性を有したポリケトン繊維の製造方法が提供で
き、これによって、タイヤコードやコンクリート補強
剤、ベルト、土木用ネット等の産業用資材、カーペット
や座席シート等の業務用資材、生活資材や婦人アウター
や婦人インナー、紳士アウター、スポーツアウター、ユ
ニフォーム、作業衣等の衣料用途へ適したポリケトン繊
維を安価に生産性よく提供することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L035 BB03 BB06 BB10 BB15 BB22 BB66 BB69 BB76 BB81 BB89 BB94 EE07 EE08 EE20 FF01 HH01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繰り返し単位の97重量%以上が1−オ
    キソトリメチレン単位であるポリケトンポリマーをハロ
    ゲン化亜鉛を10〜80重量%含有する水溶液に溶解し
    て湿式紡糸するポリケトン繊維の製造方法であって、凝
    固した糸条を乾燥温度120〜260℃、乾燥張力0.
    02〜0.2cN/dtexの範囲にて繊維の水分率が
    10重量%以下になるまで乾燥する工程を含むポリケト
    ン繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 乾燥温度が160〜250℃、乾燥張力
    が0.025〜0.1cN/dtexである請求項1記
    載のポリケトン繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 熱延伸温度が乾燥温度と同じか、また
    は、乾燥温度より高温である請求項1または2記載のポ
    リケトン繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 ポリケトンポリマーを構成する繰り返し
    単位が1−オキソトリメチレン単位のみからなる請求項
    1〜3のいずれかに記載のポリケトン繊維の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のポリケ
    トン繊維の製造方法でえられたポリケトン繊維であっ
    て、強度が10cN/dtex以上、弾性率が200c
    N/dtex以上であり、かつ、光沢度が30以上であ
    るポリケトン繊維。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のポリケトン繊維を含有す
    る繊維製品。
  7. 【請求項7】 繊維製品がタイヤコードである請求項6
    記載の繊維製品。
JP34322999A 1999-12-02 1999-12-02 ポリケトン繊維の製造方法およびポリケトン繊維 Expired - Lifetime JP4342055B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34322999A JP4342055B2 (ja) 1999-12-02 1999-12-02 ポリケトン繊維の製造方法およびポリケトン繊維

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34322999A JP4342055B2 (ja) 1999-12-02 1999-12-02 ポリケトン繊維の製造方法およびポリケトン繊維

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001164425A true JP2001164425A (ja) 2001-06-19
JP4342055B2 JP4342055B2 (ja) 2009-10-14

Family

ID=18359922

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34322999A Expired - Lifetime JP4342055B2 (ja) 1999-12-02 1999-12-02 ポリケトン繊維の製造方法およびポリケトン繊維

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4342055B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003082542A (ja) * 2001-09-04 2003-03-19 Asahi Kasei Corp 紡績糸
JP2014507567A (ja) * 2011-01-13 2014-03-27 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー コポリマー繊維の生成およびコポリマー繊維の乾燥
JP2014507568A (ja) * 2011-01-13 2014-03-27 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー コポリマー繊維の生成および乾燥

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101695731B1 (ko) * 2015-05-27 2017-01-12 주식회사 효성 폴리케톤 섬유를 포함하는 폴리케톤 시트벨트

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003082542A (ja) * 2001-09-04 2003-03-19 Asahi Kasei Corp 紡績糸
JP4646467B2 (ja) * 2001-09-04 2011-03-09 旭化成せんい株式会社 紡績糸
JP2014507567A (ja) * 2011-01-13 2014-03-27 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー コポリマー繊維の生成およびコポリマー繊維の乾燥
JP2014507568A (ja) * 2011-01-13 2014-03-27 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー コポリマー繊維の生成および乾燥

Also Published As

Publication number Publication date
JP4342055B2 (ja) 2009-10-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3595846B2 (ja) ポリケトン繊維およびその製造方法
JP3883510B2 (ja) ポリケトン繊維及びその製造方法
JP3966867B2 (ja) ポリケトン処理コードおよびその製造方法
JP3902211B2 (ja) ポリケトン繊維およびその製造方法
JP5813747B2 (ja) カチオン可染ポリエステル繊維及び複合繊維
JP5579957B2 (ja) ポリ(トリメチレンテレフタラート)の微細デニール糸
JP3704015B2 (ja) ポリケトン繊維およびその製造方法
GB2365014A (en) Dyeable polyester fibre
JPH0627366B2 (ja) ポリビニルアルコール系繊維、該繊維からなるタイヤコード並びにそれらの製造法
JP4570273B2 (ja) ポリケトン繊維、コード及びその製造方法
JP4342055B2 (ja) ポリケトン繊維の製造方法およびポリケトン繊維
JP4172888B2 (ja) モノフィラメントおよびその製造方法
JP2004091969A (ja) ポリケトンコードの製造方法
EP0330766B1 (en) Multi-layered conjugated acrylic fibers and the method for their production
JPS6021905A (ja) 高強度,高弾性率アクリル系繊維およびその製造法
US5714101A (en) Process of making polyketon yarn
JP4042040B2 (ja) 耐切創性に優れるポリエチレン繊維、織編物及びその利用
JP4446531B2 (ja) 漁網
JPH01156517A (ja) 耐熱水性に優れた高強度・高弾性率ポリビニルアルコール系繊維およびその製造方法
JP3418265B2 (ja) カチオンミックス調太細繊維の製造方法
JP4603208B2 (ja) ポリケトン繊維
JP2001073225A (ja) 発色性の良いポリケトン繊維およびその製造方法
JP2749676B2 (ja) アクリル繊維と芳香族ポリエステル繊維の交編・交織物
Bajaj Acrylic fibres
JP2001207330A (ja) ポリケトン繊維の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060817

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080926

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081021

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081202

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090707

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090707

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120717

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4342055

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130717

Year of fee payment: 4

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term