JPH10273825A - 電気絶縁用ポリフェニレンサルファイド繊維、その製造方法及び電気絶縁材 - Google Patents

電気絶縁用ポリフェニレンサルファイド繊維、その製造方法及び電気絶縁材

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JPH10273825A
JPH10273825A JP7869397A JP7869397A JPH10273825A JP H10273825 A JPH10273825 A JP H10273825A JP 7869397 A JP7869397 A JP 7869397A JP 7869397 A JP7869397 A JP 7869397A JP H10273825 A JPH10273825 A JP H10273825A
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fiber
polyphenylene sulfide
melt
electrical insulation
electrical
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Ryoji Okano
良治 岡野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高強度、高タフネスで結束性にすぐれ、高
温下でも誘電損失が小さく、かつ電気絶縁性の劣化が少
ない電気絶縁用ポリフェニレンサルファイド繊維とす
る。 【解決手段】 溶融粘度指数(MFR値)が25〜3
00g/10分であるポリフェニレンサルファイドを溶
融紡糸し延伸してなる繊維であって、強度が5g/d以
上、タフネスが25[g/d×(%)1/2 ]以上であ
り、繊維中に含有される6量体オリゴマーの含有量が
0.5%以下、不融解異物が1.0個/m以下かつ気泡
が1.0個/m以下である電気絶縁用ポリフェニレンサ
ルファイド繊維である。この繊維は、上記したMFR値
のポリフェニレンサルファイドを、−750mmHg以
下のような高真空かつ100〜200℃の温度の条件下
で2時間以上乾燥した後に溶融させ、溶融物を5μm以
下の微細孔を有する金属焼結不織布フィルターで濾過し
た後に溶融紡糸し、紡糸速度1000m/分以下で引取
り、次いで延伸することにより製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁石用コイル、
モーターコイルおよび電源トランスコイルなどの各種電
線コイルにおいて用いられる電線スリーブや電線結束材
などの絶縁被覆材用として有用な電気絶縁用繊維に関す
るものである。さらに詳しくは、結束性や被覆性にすぐ
れ、しかも、冷却コンプレッサーモーターコイル材に適
用した場合のように、冷媒中に浸漬される過酷な条件下
においても、その力学的、電気的な繊維特性を良好に維
持できる、高性能の電気絶縁用ポリフェニレンサルファ
イド繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリフェニレンサルファイドは、耐熱性
および耐薬品性にすぐれた特徴をもつ高性能エンジニア
リングプラスチックとして注目されている。
【0003】また、ポリフェニレンサルファイドの製糸
技術については、特開昭49−54617号公報に、通
常の汎用熱可塑性ポリマーと同様に、溶融紡糸法により
容易に繊維化できることが開示されている。そして、ポ
リフェニレンサルファイドからなる繊維の製糸技術およ
び繊維の改良に関する技術については、特開昭61−2
15715号公報、特開平1−239109号公報、お
よび特開平4−370218号公報などに開示されてい
る。
【0004】さらに、ポリフェニレンサルファイド繊維
を用いた産業資材については、例えば特開平3−327
11号公報、特開平2−71809号公報および実公平
6−22413号公報に開示されており、実際にバグフ
ィルター用基布や、濾過用または抄紙用の不織布などの
ように、熱的に安定で耐薬品性にもすぐれていることが
要求される分野で採用されている。
【0005】また、近年、モーター結節紐やバインダー
テープなどの分野において、電気特性上高温高湿下にお
いても誘電損失が小さくしかも経時変化の少ない素材が
要求されているので、特開平1−272899号公報お
よび特開平2−126622号公報では、ポリフェニレ
ンサルファイド短繊維からなるシート、不織布または織
布がこの分野に適した性能を有することが開示されてい
る。
【0006】ところで、冷凍機用コンプレッサーモータ
ーの分野においては、電線結束材としてポリエステル繊
維が用いられてきている。この分野では、冷媒を代替フ
ロン化しても従来の冷凍能力を維持するために高温条件
を120℃から140℃へと高温化することが必要とな
っている。さらに、従来の鉱物油系潤滑油では代替フロ
ン冷媒との相溶性に問題があるので、ポリアルキレング
リコールやポリオールエステル等を潤滑油に使用するこ
とが検討されており、この場合、冷媒中の水分の量が吸
湿により水分率50ppmから2000ppm程度へと
増加する。水分の量が増えると結束材のポリエステル繊
維は経時的に加水分解して性能劣化するので耐久性面で
問題が生じる。
【0007】一方、特開昭61−215715号公報や
特開平1−239109号には、フィルター等の産業資
材用の高強度ポリフェニレンサルファイド繊維が開示さ
れているが、電気絶縁用繊維として十分な性能を得るこ
とはできていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点を解決し、高強度、高タフネスで
結束性にすぐれ、高温下でも誘電損失が小さく、かつ電
気絶縁性の劣化が少ない電気絶縁用ポリフェニレンサル
ファイド繊維、その製造方法、及び、電線被覆用スリー
ブや電線結束材などの電気絶縁材の提供を主たる目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の電気絶縁用ポリフェニレンサルファイド
繊維は、溶融粘度指数(MFR値)が25〜300g/
10分であるポリフェニレンサルファイドを溶融紡糸し
延伸してなる繊維であって、強度が5g/d以上、タフ
ネスが25[g/d×(%)1/2 ]以上であり、繊維中
に含有される6量体オリゴマーの含有量が0.5%以
下、不融解異物が1.0個/m以下かつ気泡が1.0個
/m以下であることを特徴とする。
【0010】さらに、この繊維はマルチフィラメント糸
とし、かつ、交絡数5個/m以上の交絡を有する電気絶
縁用ポリフェニレンサルファイド糸とすることが好まし
い。
【0011】また、本発明の電気絶縁用ポリフェニレン
サルファイド繊維の製造方法は、溶融粘度指数(MFR
値)が25〜300g/10分であるポリフェニレンサ
ルファイドを、高真空かつ100〜200℃の温度の条
件下で2時間以上乾燥した後に溶融させ、溶融物を5μ
m以下の微細孔を有する金属焼結不織布フィルターで濾
過した後に溶融紡糸し、紡糸速度1000m/分以下で
引取り、次いで延伸することにより請求項1記載の電気
絶縁用ポリフェニレンサルファイド繊維を製造すること
を特徴とし、延伸の後に交絡処理を行うことが好まし
い。
【0012】さらにまた、電気絶縁用ポリフェニレンサ
ルファイド繊維は編組により電気絶縁材とすればよい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明に用いるポリフェニレンサルファイドは、
通常の重合方法、例えば、パラジクロルベンゼンと二硫
化ナトリウムをN−メチル−2ピロリドン溶媒中にて、
200〜250℃で重合反応させるる方法によって得ら
れるポリマーであり、重合後に溶媒を除去しペレット状
に成形されて溶融紡糸に供される。
【0014】なお、このポリフェニレンサルファイド
は、実質的に線状のポリマーであることが好ましいが、
トリクロロベンゼン(TCB)を0.1重量%以下含有
した架橋ポリマーであってもよい。
【0015】電気絶縁材、例えば、電線被覆用スリーブ
やコイルなどの工業的結束材として用いるためには、ま
ず第1に、ポリフェニレンサルファイド繊維の強度が強
度が5g/d以上、かつタフネスが25[g/d×
(%)1/2 ]以上であることが必要であり、製紐や編織
時における毛羽や糸切れの発生を防止し、所望の機械的
特性を得るために有効である。
【0016】さらに、溶融紡糸に供するポリフェニレン
サルファイドの溶融粘度指数(MFR値)が25〜30
0g/10分の範囲にあること、及び、繊維中の6量体
オリゴマーの含有量、不融解異物の個数及び気泡の個数
がそれぞれ一定水準であることが不可欠である。
【0017】ここで、ポリフェニレンサルファイド樹脂
の溶融粘度指数(MFR値)が25g/10分未満で
は、溶融紡糸時に高分子粘弾性による振動(メルトフラ
クチャ)が発生して単糸繊度変動が大きくなる。また、
300g/10分を越えると、高分子鎖間の分子間力や
絡み点が減少するので所望の機械的特性が得られなくな
る。 また、高温下で電気絶縁材としての機能を発揮す
るためには、繊維中に含有される6量体オリゴマーの含
有量が0.5%以下、不融解異物が1.0個/m以下か
つ気泡が1.0個/m以下であることが必要である。こ
れら特性を満足しない場合は、オリゴマーの溶出等によ
り電気絶縁性が阻害されるので不適当である。例えば、
ポリフェニレンサルファイド繊維中の6量体オリゴマー
の含有量が0.5%を超えると、特にトランスなどの電
気絶縁用溶液や、各種冷却機器の冷媒溶液中でオリゴマ
ーが溶出し、電気絶縁特性が劣化し、電気配線の結束材
としての機械的特性が劣化する。
【0018】さらにまた、ポリフェニレンサルファイド
繊維中の不融解異物や気泡は、それぞれ、1.0個/m
以下であるとともに、それらの繊維軸方向の大きさが5
μ以下、繊維径方向の大きさが1.0μ以下であること
が、所望の特性や品質を得るために好ましい。
【0019】これら特性を満足するポリフェニレンサル
ファイド繊維は、溶融粘度指数(MFR値)が25〜3
00g/10分であるポリフェニレンサルファイドを、
高真空かつ100〜200℃の温度の条件下で2時間以
上乾燥した後に溶融させ、溶融物を5μm以下の微細孔
を有する金属焼結不織布フィルターで濾過した後に溶融
紡糸し、紡糸速度1000m/分以下で引取り、次いで
延伸するという方法により製造できる。
【0020】具体的には、溶融紡糸に供するポリフェニ
レンサルファイドを、粉末またはペレット状で−750
mmHg以下のような高真空条件下、100〜200℃
の加熱条件下で2時間以上乾燥することにより、昇華し
た低分子量物を除去し、気泡の生成や3次元架橋反応を
抑制する。
【0021】さらに、ポリフェニレンサルファイド繊維
内の微少欠陥となる不融解異物(3次元架橋ポリマ)を
除去するためには、溶融物を5μm以下の微細孔を有す
る金属焼結不織布フィルターで濾過する。具体的には、
溶融紡糸工程における紡糸口金パック内のフィルターと
して5μ以下の微細孔を有する金属焼結不織布フィルタ
ーを使用する。
【0022】溶融紡糸された繊維は、紡糸速度1000
m/分以下で引取り、次いで延伸されるが、延伸の後に
交絡処理を行い、交絡数(Cf値)5以上とすることが
望ましい。その交絡は、無撚糸で製紐や編織する際の毛
羽や糸切れの発生を防止するためであり、工程通過性が
著しく改善される。具体的には、延伸と巻取りとの間で
エアーノズル交絡処理を行うことにより、交絡を付与す
ればよい。
【0023】交絡処理に使用するノズルは、開繊交絡型
および/または糸条施回型流体ノズルである。交絡処理
の流体は、空気等の気体のみでもよいし、それに、後工
程の品質品位(摩擦係数、集束状態)を制御する処理剤
を含ませてもよい。また、流体ノズルの前後に糸条規制
ガイドを設置し、フィラメントの運動を噴射する流体内
に規制することで均一な交絡点を付与することがより好
ましい。
【0024】上記繊維構造および繊維物性を有する本発
明の電気絶縁用ポリフェニレンサルファイド繊維は、例
えば、以下の方法によって製造できる。
【0025】まず、市販のポリフェニレンサルファイド
を、ペレット状で−750mmHg以下のような高真空
条件下、100〜200℃で2時間以上、通常は4〜4
8時間乾燥する。次に、ポリフェニリンサルファイド
を、好ましくはエクストルダー型紡糸機で溶融し、5μ
以下の微細孔を有する金属焼結不織布フィルターを通過
させた後、0.1〜0.5mm径、好ましくは0.2〜
0.3mm径の吐出孔を有する紡糸口金より紡出し紡出
糸条となす。
【0026】次いで、紡出糸条は、口金直下5〜30c
m間の雰囲気温度が200〜350℃となる保温筒また
は加熱筒で囲まれた高温雰囲気中を通過した後、100
℃以下好ましくは20〜80℃の温風ないし冷風で均一
に冷却固化される。口金直下に設けられた高温雰囲気
は、ポリマーのメルトフロレート(MFR)、および糸
条の繊維と紡糸速度などをあわせて適切な条件を選択す
ればよい。
【0027】冷却固化に続いて、油剤が付与された後、
1000m/分以下、好ましくは300〜1000m/
分の紡糸速度で引取りローラにより引き取られる。ここ
で、紡糸速度が1000m/分を超えると所望の強伸度
特性が得られ難い。また、紡糸速度300m/分未満は
製糸効率の点から好ましくない。
【0028】この未延伸糸は、一旦巻き取られることな
く、連続して熱延伸工程に送られ、通常は2段以上の多
段で延伸される。延伸倍率は、3.0〜5.5倍、好ま
しくは3.5〜5.0倍であり、紡糸条件に応じて決め
ればよい。2段延伸の場合は1段目の延伸で総合延伸倍
率の70%以上,通常は75〜85%を延伸し、残りを
2段目の延伸で行なう。
【0029】延伸温度は、最高温度を120〜180℃
とする。120℃未満または180℃を越えると所望の
特性が得られ難くなるので好ましくない。なお、ここで
の延伸熱処理は、一般に加熱ローラ上で行われるが、延
伸ローラ間に熱媒体、例えば赤外線ヒーターなどを設け
て非接触延伸熱処理を行ってもよい。
【0030】熱延伸を終了したポリフェニレンサルファ
イド繊維は、リラックスロールとの間で弛緩処理を施さ
れた後に巻き取られる。熱処理時の弛緩倍率は、10%
以下、好ましくは2〜6%の範囲である。必要に応じて
巻き取りの前でエアーノズルに通して交絡付与する。
【0031】以上説明した方法によって得られる本発明
のポリフェニレンサルファイド繊維は、特定の繊維構造
を有し、高強度と高タフネスという機械的特性を有し、
電気特性の経時劣化の原因となるオリゴマー等の含有量
が少ないという特徴を有する。
【0032】したがって、本発明のポリフェニレンサル
ファイド繊維は、機械的特性に優れ、毛羽が著しく少な
く、かつ電気絶縁性の劣化が少ないという電気絶縁資材
用として好適な特性を有するので、電気絶縁資材である
電線被覆用スリーブや電線結束材として有用であり、冷
媒の代替フロン化にも十分に対応できる。
【0033】このポリフェニレンサルファイドフィラメ
ント糸は編組により組紐等の形態とされて電気絶縁材と
して用いられる。例えば、電線結束材の場合は、8本立
2本組等の組紐であればよく、普通組物機械を用いて通
常の方法により製造すればよい。例えば、バーメン式組
錘を用い、木管に巻取られせて仕掛け、外重式または内
重式組錘で一定張力を繊維束に付与させつつ、組物機械
の上板上にある組錘軌道に沿って、組錘を移動交叉さ
せ、繊維束を交叉させた後、中央の組成点で交叉した繊
維束を集束して、組み紐組織体として巻取る。繊維束に
付与する張力は0.3〜2.0g/d、好ましくは0.
7〜1.5g/dの範囲とすればよい。さらに、組成点
での摩擦擦過を許容可能な範囲で極小化するために、編
組工程における各ガイド部の表面を梨地化表面処理する
ことが好ましい。
【0034】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。本
発明において記載した繊維特性の測定方法は次の通りで
ある。
【0035】[溶融粘度指数(MFR値)](株)島津
製作所製のメルトフローテスターを用い、ASTM−D
1238−70の方法に準拠して、測定温度316℃、
荷重5kgfで測定した。
【0036】[繊維や組紐の引張強伸度特性]テンシロ
ンUTL−4L型引張試験機((株)オリエンテック社
製)を用い、JIS L−1017の規格に準拠して測
定した。測定雰囲気条件は、室温25℃、相対湿度55
%とした。
【0037】[繊維中の6量体オリゴマーの含有量]液
体窒素中で試料繊維を凍結粉砕し、1ークロロナフタレ
ンに溶解し、放冷後、クロロホルムで定容し、濾過した
後、島津製作所製の高速液体クロマトグラフィー(HP
LC)で分析し、6量体オリゴマーのの含有量を求め
た。
【0038】[繊維中の不融解異物及び気泡]試料繊維
を任意に採取し、20mmにカットしたものを、スライ
ドグラス上に50本引き揃え、グリセリン包埋した後、
オリンパス光学(株)製の光学顕微鏡を用いて観察し、
目視によりカウントした。この際、不融解異物は不透明
(黒色)、気泡は透明として認知できた。それらの個数
は、試料の総長さ(20mm×50本=1m)あたりの数
(個/m)でもって表記した。
【0039】[フィラメント糸の交絡数(Cf値)]フ
ックドロップ法により測定した。すなわち、糸条に針を
突き刺し、針に荷重10gを加え、交絡により引掛かる
点の距離L(cm)を測定し、100/Lの式により算
出した値をCf値とした。
【0040】[電気抵抗指数]高分子学会編「静電気ハ
ンドブック」231頁(1967)に記載されている方
法で、電極間に試料繊維を挿入し、電極間に一定電圧を
印加した時の電流量を雰囲気温度110℃で測定し、こ
れを指数化した。
【0041】[組紐の毛羽品位]組紐の表面に表れてい
る単糸切れの数の多寡により、×、△、○、◎(順に少
なくなる)でもって相対評価した。
【0042】[組紐の磨耗特性]T型磨耗試験機を用い
てサイクル60回/分(荷重2Kg)、交差角90°と
して、切断摩擦回数を測定し、これを指数化した。
【0043】[実施例1]溶融粘度指数(MFR値)が
106g/10分であるポリフェニレンサルファイドの
ペレットを、−750mmHgの真空式加熱機内で、温
度150℃、16時間放置して乾燥させた。
【0044】その後に放冷して、溶融紡糸機のエクスト
ルーダ中へ供給し、−750mmHgの真空下、335
℃で溶融し、5μの微細孔を有する金属焼結不織布フィ
ルターで濾過した後、口金孔径0.50mmφ、孔数2
0ホールの紡糸口金から、口金直下100mmの雰囲気
を300℃に保った徐冷ゾーン中に溶融吐出した。
【0045】徐冷ゾーンに続いて冷却ゾーンを通過させ
て冷却固化させ水性エマルジョン油剤を付与し、700
m/分で引取り、さらに連続的に2段延伸および熱処理
を加熱ローラ上で行なった。総合延伸倍率は4.1倍と
した。続いて、糸条に弛緩率2%で熱処理を施した後
に、エアー交絡処理し、交絡度8個/mの無撚りフィラ
メント糸として巻取った。
【0046】上記紡糸、延伸条件および得られたフィラ
メント糸(原糸)の特性を表1に示した。
【0047】また、得られたポリフェニレンサルファイ
ドフィラメント糸(原糸)を用い、電線結束材として8
本立2本組の組紐を前記した通常の方法で作成し、夫々
の特性について評価し、その結果を表2に示した。
【0048】得られたポリフェニレンサルファイド繊維
は機械的特性に優れ、得られた電気絶縁材は機械的特性
も電気抵抗特性も毛羽品位も優れたものであった。
【0049】[実施例2、3]溶融粘度指数(MFR
値)が54g/10分であるポリフェニレンサルファイ
ドのペレット、又は、265g/10分であるポリフェ
ニレンサルファイド樹脂のペレットを用いた以外は、実
施例1と同様にして、真空乾燥し、溶融紡糸し、延伸熱
処理してフィラメント糸を製造し、さらに電線結束材と
した。
【0050】得られたフィラメント糸の特性は表1に、
電線結束材の評価結果を表2にそれぞれ示したとおり、
優れた特性を有するものであった。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】[比較例1]実施例1と同じポリフェニレ
ンサルファイドのペレットを用い、窒素ガスを常時循環
させた静置式乾燥機内で、温度150℃、16時間放置
する方法により乾燥を行ない、それ以後は、実施例1と
同様に、溶融紡糸し、延伸熱処理してフィラメント糸を
製造し、さらに電線結束材とした。
【0054】得られたフィラメント糸の特性は表3に、
電線結束材の評価結果を表4にそれぞれ示したとおり、
原糸の機械的特性も異物や気泡の数も不満足なものであ
り、電線結束材は機械的特性、電気抵抗特性、毛羽品位
ともに不満足なものであった。
【0055】[比較例2]溶融紡糸機のエクストルーダ
中の条件を、窒素フロー下で温度335℃とした易々
は、比較例1と同様にしてフィラメント糸を製造し、さ
らに電線結束材とした。
【0056】得られたフィラメント糸の特性は表3に、
電線結束材の評価結果を表4にそれぞれ示したとおり、
不満足なものであった。
【0057】[比較例3]溶融粘度指数(MFR値)が
106g/10分であるポリフェニレンサルファイドの
ペレットを、実施例1と同様に真空乾燥させた。溶融紡
糸機中の濾過材を、メタルパウダーと46μの金属メッ
シュフィルターとで構成した以外は実施例1と同様に、
実施例1と同様に、溶融紡糸し、延伸熱処理してフィラ
メント糸を製造し、さらに電線結束材とした。
【0058】得られたフィラメント糸の特性は表3に、
電線結束材の評価結果を表4にそれぞれ示したとおり、
不満足なものであった。
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】
【発明の効果】本発明の電気絶縁用ポリフェニレンサル
ファイド繊維は、高強度、高タフネスで結束性にすぐ
れ、高温下でも誘電損失が小さく、かつ電気絶縁性の劣
化が少ないという特性を有しているので、例えば電線被
覆用スリーブや電線結束材などの電気絶縁材として適用
した場合にすぐれた性能を発揮する。
【0062】また、本発明の電気絶縁材は、毛羽の発生
が著しく少なく品位良好である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融粘度指数(MFR値)が25〜3
    00g/10分であるポリフェニレンサルファイドを溶
    融紡糸し延伸してなる繊維であって、強度が5g/d以
    上、タフネスが25[g/d×(%)1/2 ]以上であ
    り、繊維中に含有される6量体オリゴマーの含有量が
    0.5%以下、不融解異物が1.0個/m以下かつ気泡
    が1.0個/m以下であることを特徴とする電気絶縁用
    ポリフェニレンサルファイド繊維。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の電気絶縁用ポリフェニ
    レンサルファイド繊維からなるマルチフィラメント糸で
    あり、かつ、交絡数5個/m以上の交絡を有することを
    特徴とする電気絶縁用ポリフェニレンサルファイド糸。
  3. 【請求項3】 溶融粘度指数(MFR値)が25〜3
    00g/10分であるポリフェニレンサルファイドを、
    高真空かつ100〜200℃の温度の条件下で2時間以
    上乾燥した後に溶融させ、溶融物を5μm以下の微細孔
    を有する金属焼結不織布フィルターで濾過した後に溶融
    紡糸し、紡糸速度1000m/分以下で引取り、次いで
    延伸することにより請求項1記載の電気絶縁用ポリフェ
    ニレンサルファイド繊維を製造することを特徴とする電
    気絶縁用ポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 延伸の後に交絡処理を行うことを特徴
    とする請求項3記載の電気絶縁用ポリフェニレンサルフ
    ァイド繊維の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の電気絶縁用ポリフェニ
    レンサルファイド繊維を編組してなることを特徴とする
    電気絶縁材。
JP7869397A 1997-03-31 1997-03-31 電気絶縁用ポリフェニレンサルファイド繊維、その製造方法及び電気絶縁材 Pending JPH10273825A (ja)

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