JP2009030204A - ケーブル保護スリーブ用ポリフェニレンサルファイドモノフィラメントおよびポリフェニレンサルファイド製ケーブル保護スリーブ - Google Patents

ケーブル保護スリーブ用ポリフェニレンサルファイドモノフィラメントおよびポリフェニレンサルファイド製ケーブル保護スリーブ Download PDF

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康司 椿
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林 荒居
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Abstract

【課題】保護スリーブの製造工程において安定した工程通過性を発揮するとともに、保護スリーブの表面平滑性を極めて良好な状態となし得る保護スリーブ用PPSモノフィラメントおよびこれを用いたPPS製保護スリーブを提供する。
【解決手段】実質的にポリフェニレンサルファイドからなるモノフィラメントであって、その断面形状が異形断面であることを特徴とするケーブル保護スリーブ用ポリフェニレンサルファイドモノフィラメント。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気製品ケーブルや車両ケーブルなどのケーブル保護スリーブ用途に好適に利用し得るポリフェニレンサルファイド(以降、PPSと呼ぶ)モノフィラメントおよびこのPPSモノフィラメントを円筒状に製紐してなるケーブル保護スリーブ(以降、保護スリーブと呼ぶ)に関するものである。さらに詳しくは、保護スリーブの製造工程において安定した工程通過性を発揮するとともに、保護スリーブの表面平滑性を極めて良好な状態となし得る保護スリーブ用PPSモノフィラメントおよびこのPPSモノフィラメントからなるPPS製保護スリーブに関するものである。
PPSは、耐熱性、耐薬品性および難燃性などに優れている上に、溶融成型が可能であることから、これら特性を必要とする成型品用途以外にも、フィルムや繊維として広く用いられている。中でもPPS繊維については、その優れた耐熱性、耐薬品性および難燃性を生かして、製紙用カンバスなどの工業用織物、フィルターおよびブラシ用毛材などのさまざまな用途で用いられているほか、近年では電気絶縁材やケーブル保護スリーブ用部材としても注目されている。
これら電気絶縁材や保護スリーブに関する従来技術としては、溶融粘度指数が25〜300g/10分であるPPSを溶融紡糸してなる強度5g/d以上、タフネス25[g/d×(%)1/2]以上であり、繊維中の6量体オリゴマーの含有量0.5%以下、不溶解異物が1.0個/mかつ気泡が1.0個/m以下である電気絶縁用PPS繊維(例えば、特許文献1参照)や、融点280℃以上の合成繊維製マルチフィラメント及びモノフィラメント糸を混用して、円筒状の24打ち以上の組紐に製紐され、5重量%の水と95重量%のオートマチック・トランスミッション・フルードの混合物中で、150℃×1000時間処理した後の高温耐油性能(高温耐油性能(%)=(T‘/T)×100)が50%以上であるモーター部品用保護スリーブ(例えば、特許文献2参照)、さらには、短繊維の繊度が30〜100dtex、組紐の1編組単位を構成するヤーンまたはコード1本に含まれる短繊維本数が4〜50本である合成繊維フィラメント糸を構成要素とした円筒状の組紐構造からなる保護スリーブ(例えば、特許文献3参照)などが提案されている。
しかしながら、これらの従来技術からなる保護スリーブは、いずれもマルチフィラメントを用いたものであり、これら用途に求められる適度な柔軟性という観点からは、いずれも優れた特徴を示す技術ではあるものの、部材を構成するマルチフィラメントの単糸直径が細いことに起因して、擦過による摩擦や摩耗に対する耐久性に乏しく、製紐を行う工程でマルチフィラメントが破断し毛羽立ちなどのトラブルが発生し工程通過性の点で大きな問題となるばかりか、実使用においてもスリーブが設置される部位にて擦過を受けた際などにマルチフィラメントが破断し、これによりスリーブが損傷を受けて電気絶縁性能が低下することなどが問題視されていた。
一方、本発明者等も、200℃で100時間の乾熱処理を行なった後のPPSモノフィラメントの引張強力保持率が90%以上、200℃で400時間の乾熱処理を行なった後のモノフィラメントの引張強力保持率が80%以上であるPPSモノフィラメントおよびこのPPSモノフィラメントからなる保護スリーブ(例えば、特許文献4参照)を先に提案しており、この技術で得られるPPSモノフィラメントからなる保護スリーブは、マルチフィラメントを使用しないことから、良好な工程通過性を示し、実使用においてもマルチフィラメントの破断による問題もなく、極めて優れた技術であるといえる。しかしながら、その後の本発明者等の検討によれば、当該技術において、PPSモノフィラメントを複数本引き揃えて円筒状の保護スリーブを製紐する場合には、PPSモノフィラメントの引き揃えが上手く行かずに重なり合ってしまい、その結果、保護スリーブの表面平滑性が悪くなるという問題が顕在化してきた。
特開平10−273825号公報(第1〜9頁) 特許第3705596号公報(第1〜12頁) 特開2007−63730号公報(第1〜13頁) 特開2001−123324号公報(第1〜10頁)
本発明は、上述した従来技術における問題を解決すべく検討を行なった結果達成されたものである。
すなわち、本発明の目的は、保護スリーブの製造工程において安定した工程通過性を発揮するとともに、保護スリーブの表面平滑性を極めて良好な状態となし得る保護スリーブ用PPSモノフィラメントおよびこれを用いたPPS製保護スリーブを提供することにある。
上記の目的を達成するため本発明によれば、実質的にポリフェニレンサルファイドからなるモノフィラメントであって、その断面形状が異形断面であることを特徴とするケーブル保護スリーブ用ポリフェニレンサルファイドモノフィラメントが提供される。
なお、本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントにおいては、
前記モノフィラメントの断面形状が、平行な対辺を1対以上有する多角形であること、および
前記モノフィラメントの断面形状が正偶数角形であること
が、いずれもより好ましい条件として挙げられる。
また、本発明のPPS製保護スリーブは、上記異形断面PPSモノフィラメントを製紐してなること、特に上記異形断面PPSモノフィラメントを複数本引き揃え製紐してなることを特徴とし、これにより、良好な工程通過性や実使用における耐久性および高い電気絶縁性能、さらに優れた保護スリーブの表面平滑性を兼ね備えることとなり、電気製品ケーブルや車両ケーブルなどの保護スリーブとして好適に利用できるものである。
本発明によれば、以下に説明するとおり、製紐工程において毛羽立ちや糸切れなどの問題発生のない良好な工程通過性を実現し、また、PPSモノフィラメントの引き揃え状態の不具合を来すことなく、保護スリーブの極めて優れた表面平滑性を具現可能な保護スリーブ用PPSモノフィラメントおよびこれを用いたPPS製保護スリーブを得ることができ、これにより十分な耐久性と電気絶縁性能を兼ね備えるPPS製保護スリーブの取得が可能となる。
以下、図面を参照しつつ本発明をさらに詳細に説明する。
図1(a)〜(i)は、本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントの異形断面形状の具体例を示す繊維軸方向に垂直な断面図である。
本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントは、その断面形状が異形断面形状であることを特徴とする。
本発明でいう異形断面形状とは、PPSモノフィラメントの繊維軸方向に垂直な断面の形状を示し、例えば図1に示した正四角形(a)、正六角形(b)、八角形(c)、角丸四角形(d)、十字形(e)、台形(f)、正五角形(g)、菱形(h)およびベース形(i)などや、その他にも星形、多葉状、三角形、菱形、さらには対辺が平行であり、その対辺を半円で繋げたような陸上競技で言うトラック形、さらには向かい合う対辺が波状形状を有しこれを繋げた異形断面形状などあらゆる形状を含むものである。
これらの中でも、本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントの断面形状は、平行な対辺を1対以上有する異形断面であることが好ましい。さらには、異形断面形状を正偶数角形とした場合には、より好ましい効果の発現が期待できる。
ここで、異形断面形状のPPSモノフィラメントの中でも、平行な対辺を1対以上有する異形断面形状が好ましい理由として、スリーブを製紐する際には、製紐機に仕掛ける小巻ボビンに単糸を巻き返す、もしくは複数本のPPSモノフィラメントを引き揃えつつ小巻ボビンへ管巻機などで巻き返しを行った後、必要な打ち数分の小巻ボビンを製紐機に仕掛けて製紐を行うが、この巻き返し工程での引き揃えを行う際、隣り合うモノフィラメント同士が平行な対辺を互いに持つため、この対辺同士を重ね合わせるように引き揃えを行うことが容易になり、極めて安定した引き揃えを実現することに繋がる。
ここで、丸断面のPPSモノフィラメントの場合では、複数本の糸条を引き揃えつつ巻き返しを行う工程で、隣り合うモノフィラメント同士の接触部が、丸断面であるために面接触ではなく線接触となり、さらには丸い形状も作用して転がるような状況で隣に位置する引き揃えモノフィラメントに乗り上げるように重なったり、捻れが発生したりするなど好ましくない状態になりやすい。
また、このように好ましくない状態で巻き返しをされた小巻ボビンを製紐機に仕掛け、保護スリーブを製紐する場合には、巻き返し後の小巻ボビンから引き揃えられたモノフィラメントを解舒しつつ製紐加工を行うこととなるが、この加工時においても、好ましくない状態で巻き返された小巻ボビンからでは、製紐加工時の解舒張力の変動などによって、解舒不良などの不具合が発生したり、解除時の解舒撚りなどによって、さらに引き揃え状態が悪くなったりすることに繋がる。
しかるに、本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントでは、異形断面であるために、転がり現象が抑制でき、とくに平行な対辺を1対以上有する異形断面形状のモノフィラメントでは、隣り合うモノフィラメント同士が面として接触し、非常に安定した引き揃えが可能となるため、前述したような、隣に位置するモノフィラメントの上に乗り上げるような状態が解消され、さらには製紐機での解舒張力変動があった場合でも、引き揃え状態の悪化が抑止されるなどの極めて好ましい効果を発現する。
一方、前述したモノフィラメントの重なり合いが生じた状態で巻き返された小巻ボビンを用いて製紐加工を実施した場合においては、製紐して筒状のスリーブ製品となった際に、そのスリーブの表面には重なり合った状態のモノフィラメントがそのまま表面状態を形成することとなり、その結果、スリーブ表面の平滑性が損なわれてしまうという好ましくない結果に繋がる。
このように表面平滑性の悪いスリーブを実際の電気絶縁部材として保護スリーブに使用した場合には、スリーブが何らか接触物と接触や擦過を起こした際に、この表面部に凸状になっているPPSモノフィラメント部が引っ掛かると、平滑な表面状態をなすスリーブよりも、非常に簡単に単糸切れを起こしやすく、この切断部からスリーブが解れ、電気絶縁不良に繋がり、最悪の場合はショートによる発火現象に繋がるなど、極めて好ましくない状況を招く恐れがある。
また、本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントにおいては、引き揃えを行わずに、単糸状態で小巻ボビンへ巻き返した後に製紐する場合においても、異形断面としたことによる効果が顕著に発現する。
すなわち、保護スリーブは製紐され、組紐状に編組される状態となるが、この時、隣り合うモノフィラメントが目ズレなどを起こしにくくなる効果が発現し、これにより丸断面のモノフィラメントからなるスリーブよりも、目ズレによるスリーブの変形が改善される効果に繋がる。
なおここで、本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントは、実質的にPPSからなるものであるが、ここでいうPPSとは、ポリマの繰り返し単位がp−フェニレンサルファイド単位やm−フェニレンサルファイド単位からなるフェニレンサルファイド単位を含有するポリマを意味する。これらのポリマ中でも、繰り返し単位の90%以上がp−フェニレンサルファイド単位からなるポリマが好ましく用いられる。
本発明において特に好ましく用いることのできるPPSポリマは、p−ジクロルベンゼンに硫化ナトリウムを重縮合反応させることにより製造できるが、p−ジクロルベンゼンに10モル%未満のトリクロルベンゼンを分岐成分として共重縮合させることによって製造したものであってもよい。
本発明においては、ASTM D1238−86に準拠し、316℃、オリフィス径2.095mm、オリフィス長さ8.00mm、荷重5kgの条件で測定した10分あたりの流出ポリマ量(g)で示されるメルトフローレート(以下、MFRという)が20〜300g/10分程度のPPSを用いることができるが、強伸度バランス、直径斑、摩耗特性、製糸性の点から、特にMFRが70〜200g/10分程度のPPSを、好ましく用いることができる。
ここで、市販品として使用できるPPSとしては、例えば東レ(株)製PPSのE1880、E2080、E2280、E2481、M2488およびM2588などを挙げることができる。
なお、本発明で使用するPPSは、上述の市販品として入手可能なPPSチップでなくとも、PPSフィルム屑やPPS繊維屑などをリサイクルすることによって得られる再生PPS樹脂を用いても何ら問題はない。
また、PPSは通常粉末で得られるものであるが、溶融紡糸に供する前にエクストルダーなどで粉末PPSを融点以上の温度に加熱し、溶融・混練した後、必要に応じフィルター類で異物を濾過除去し、ガット状に押出して冷却し、その後カッティングするなどの方法によりペレット状に加工して用いることができる。そして、PPS粉体あるいはPPSペレットは、概ね100〜180℃で5〜24時間程度、減圧真空下で乾燥してから紡糸に供することが好ましい。
本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントの製法には特に制限はないが、通常は以下に述べる方法が好ましく適用される。
すなわち、エクストルダー型などの紡糸機を用い、PPSの融点よりも20〜80℃高い温度で溶融押出を行い、所望の異形断面口金から押出された溶融ポリマを60〜95℃の温水中で冷却固化させる。引き続き、得られた未延伸糸を、PPSのガラス転移温度以上の温度に調節された延伸浴または延伸雰囲気に導き、1段延伸または2段以上の多段延伸に供する。なお、トータル延伸倍率としては、2.8〜5.5倍程度の範囲が好ましく、さらには、乾熱収縮率や繊維破断時の破断伸度などを調整するために、延伸工程通過後の延伸糸に対し、90〜280℃程度の温度雰囲気下で、0.8〜1.0倍程度の熱セットを行うことが望ましい。
また、本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントは、PPS製保護スリーブへの加工のしやすさ、さらにスリーブとしての強度や柔軟性を満足するためには、繊度:20dtex〜11000dtex、引張強度:1cN/dtex以上、より好ましくは、繊度:170〜6000dtex、引張強度:2cN/dtex以上とすることが、さらに所望とする効果の発現が期待できることに繋がる。
このようにして得られる本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントは、目的とする特性を疎外しない範囲であれば、酸化チタン、酸化ケイ素、チッ化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、ジルコニウム酸などの各種無機粒子や架橋高分子粒子、従来公知の抗酸化剤、金属イオン封鎖剤、イオン交換剤、着色防止剤、耐光剤、包接化合物、各種着色剤、ワックス類、シリコーンオイル、各種界面活性剤、各種強化繊維類、フッ素樹脂類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリオレフィン類およびポリスチレン類などを含有することができる。
かくしてなる本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントは、保護スリーブへの加工に際して、毛羽発生の問題もなく、また、PPSモノフィラメントを複数本引き揃えて小巻ボビンへ巻き返しを行う巻き返し工程でも安定した引き揃えが可能となり、この効果により、製紐の際は非常に良好な工程通過性を実現でき、また、本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントからなる保護スリーブは、実使用に際しても、十分な耐久性と電気絶縁性能を有するとともに、極めて優れた表面平滑性をも兼ね備えることから、特に信号伝達ケーブル保護スリーブやモーターケーブル保護スリーブとして極めて優れた効果を発揮する。
以下、本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントおよびこれを用いたケーブル保護スリーブの実施例に関しさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、上記および下記に記載の本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントの物性などは以下の方法により測定した値である。
(1)引張強力(N)および引張強度(cN/dtex):
JIS2003 L10138.5項に準じて測定した。すなわち、PPSモノフィラメント50mを綛状に取り、試料長50cmにカット(100本)したサンプルから任意に10本を取りだし、これを20℃、65%RHの温湿度調整室内で、(株)オリエンテック社製”テンシロン”UTM−4−100型引張試験機を用い、試長:250mm、引張速度:300mm/分の条件で、引張強力(N)の平均値を測定し、引張強度(cN/dtex)を算出した。
(2)直径(mm)
PPSモノフィラメント50mを綛状に取り、試料長を50cmにカット(100本)する。ここから任意に10本のサンプルを取り出し、MITUTOYO製デジタルマイクロメーターでそれぞれのサンプルの最大長径および最小短径を1点ずつ測定し、最大長径、最小短径ともその10点の測定値の平均値で示した。
(3)PPS製保護スリーブ表面平滑性評価:
PPS製保護スリーブの表面平滑性評価に際し、まず、必要本数のPPSモノフィラメントを引き揃え、管巻機にて小巻ボビンに巻き返しを行った。この巻き返し糸条を巻取った小巻ボビンを24本準備し、製紐機に掛け24打ちのスリーブを製紐して、このスリーブより任意に50mのスリーブ製品をサンプリングして1m毎に切断し、長さ1mのスリーブを50本準備した。この1mのスリーブの表面状態を観察し、スリーブ表面に、モノフィラメントの引き揃え状態の不具合、または製紐時の不具合によって生じたスリーブの表面欠点(引き揃え糸条の重なり、捻れ)の個数を計数し、スリーブ1m当たりの欠点数(欠点個数/m)を算出し(算式:50本のスリーブ表面欠点の総数÷50)、以下の基準により評価した。
○(良好)…スリーブ1mあたりの欠点個数が10.0個/m未満であり、優れた表面平滑性を有しており、保護スリーブとして良好に使用できる。
×(不良)…スリーブ1mあたりの欠点個数が10.0個/m以上であり、表面平滑性が悪く、保護スリーブとして使用した際に、欠点が多すぎ切断による電気絶縁性能の低下を来す可能性が高いばかりか、保護スリーブとしては品位も不十分である。
(4)PPS製保護スリーブ耐久性評価
前記PPS製保護スリーブ表面平滑性評価にてサンプリングした50本のPPS製保護スリーブから任意に10本をサンプリングし、JIS2003 L1095 9.10.1項A法に準じ、屈曲摩耗試験機にて、往復摩擦速度120回/分の条件で、摩擦子0.6mmφ硬質鋼を用い、荷重3.5cN/dtexとして、往復摩擦回数600回の摩擦試験を行い、保護スリーブを構成する保護スリーブ用PPSモノフィラメントの摩耗・切断状況を確認し、耐久性を以下の基準により評価した。
◎(極めて良好)…摩擦試験を実施した全てのサンプルとも、保護スリーブを構成するPPSモノフィラメントに切断は無発生で、耐久性に全く問題のない良好な製品であった。
○(良好)…摩擦試験を実施した10本のサンプル中、2本以下のサンプルに保護スリーブを構成するPPSモノフィラメントの切断が認められたが、PPSモノフィラメントの切断が認められた箇所がスリーブサンプル中に1箇所のみであり、実使用に際しての耐久性には問題のない概ね良好な製品であった。
×(不良)…摩擦試験を実施した10本のサンプル中、3本以上のサンプルに保護スリーブを構成するPPSモノフィラメントの切断が認められた、または、摩擦試験を実施したサンプルにおいて、複数箇所のPPSモノフィラメントに切断が認められ、保護スリーブの解れが発生するなど、実使用に際し大きな問題のある製品であった。
[実施例1]
PPS原料として、150℃で15時間、真空条件下で乾燥を行なった東レ(株)製PPSペレットE2080(MFR=90)を準備した。このPPS原料をエクストルダー型紡糸機へ供給し、紡糸機温度330℃にて溶融混練し、正方形断面紡糸口金(口金孔径:1.15mm×1.15mm−10ホール)から溶融ポリマを押出した後、ただちに80℃の温水中で冷却固化させたPPS未延伸糸を得た。
引き続き、上記のPPS未延伸糸を95℃の温水中で3.0倍に一次延伸し、さらに130℃の乾熱雰囲気下で1.25倍に二次延伸を行ってトータル延伸倍率を3.75倍とし、次いで150℃の乾熱雰囲気下で定張力条件にて熱セットを行ない、平均短径0.261mm、平均長径0.263mmで、図1(a)に示した正方形断面保護スリーブ用PPSモノフィラメントを得た。
得られた正方形断面保護スリーブ用PPSモノフィラメントを用い、3本を引き揃えつつ管巻機にて小巻ボビンへ巻き返しを実施し、この小巻ボビンを24本準備し製紐機に仕掛け、24打ちのスリーブ内径6.5mmφのPPS製保護スリーブを製紐した。
得られた保護スリーブ用PPSモノフィラメントの強度、直径(短径/長径)、小巻ボビンへの引き揃え本数、PPS製保護スリーブ表面平滑性評価およびPPS製保護スリーブ耐久性評価の結果を表1に示す。
[実施例2〜5および比較例1]
実施例1と同じ製糸プロセスを用い、表1に示したような断面形状および直径(短径・長径)としたPPSモノフィラメントを用い、実施例1と同様に小巻ボビンへの引き揃え本数を3本として、24打ちのスリーブを製紐した。得られた保護スリーブ用PPSモノフィラメントの強度、直径(短径/長径)、小巻ボビンへの引き揃え本数、PPS製保護スリーブ表面平滑性評価およびPPS製保護スリーブ耐久性評価の結果を表1に示す。
[実施例6および比較例2]
実施例1と同じ製糸プロセスを用い、表1に示したような断面形状および直径(短径・長径)とした保護スリーブ用PPSモノフィラメントを用い、小巻ボビンへの引き揃え本数を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、24打ちのスリーブを製紐した。得られた保護スリーブ用PPSモノフィラメントの強度、直径(短径/長径)、小巻ボビンへの引き揃え本数、PPS製保護スリーブ表面平滑性評価およびPPS製保護スリーブ耐久性評価の結果を表1に示す。
Figure 2009030204
表1の結果から明らかなように、本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントは、ケーブル保護スリーブへ製紐加工後のスリーブ表面平滑性も極めて良好であり、また、この表面平滑性が優れることによって、PPS製保護スリーブとしての耐久性も極めて良好であり、電気製品ケーブルや車両ケーブルなどの保護スリーブとして好適に利用できるものとなった。
一方、本発明外の丸断面形状のPPSモノフィラメントからなるケーブル保護スリーブでは、製紐加工後のスリーブ表面平滑性が悪化しており、この表面平滑性の悪化が原因となり、PPS製保護スリーブとしての耐久性が劣る製品となり、ケーブル保護スリーブ用PPSモノフィラメントとしては好ましくないものとなった。
本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントは、その断面形状を異形断面形状となすことによって、複数本または単糸のPPSモノフィラメントを小巻ボビンに引き揃えた後、製紐機にて円筒状に製紐する工程において、安定した工程通過性を実現するとともに、ケーブル保護スリーブの表面平滑性を極めて良好な状態となすことを可能とし、これを電気製品ケーブルや車両ケーブルなどのケーブル保護スリーブの構成素材とした場合、極めて好適に利用し得るものであり、産業状の利用価値が極めて高い。
図1(a)〜(i)は、本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントの異形断面形状の具体例を示す繊維軸方向に垂直な断面図である。

Claims (5)

  1. 実質的にポリフェニレンサルファイドからなるモノフィラメントであって、その断面形状が異形断面であることを特徴とするケーブル保護スリーブ用ポリフェニレンサルファイドモノフィラメント。
  2. 前記モノフィラメントの断面形状が、平行な対辺を1対以上有する多角形であることを特徴とする請求項1に記載のケーブル保護スリーブ用ポリフェニレンサルファイドモノフィラメント。
  3. 前記モノフィラメントの断面形状が正偶数角形であることを特徴とする請求項1または2に記載のケーブル保護スリーブ用ポリフェニレンサルファイドモノフィラメント。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のケーブル保護スリーブ用ポリフェニレンサルファイドモノフィラメントを製紐してなることを特徴とするポリフェニレンサルファイド製ケーブル保護スリーブ。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のケーブル保護スリーブ用ポリフェニレンサルファイドモノフィラメントを複数本引き揃え製紐してなることを特徴とするポリフェニレンサルファイド製ケーブル保護スリーブ。
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