JP2013204176A - 熱可塑性樹脂製太物モノフィラメント - Google Patents

熱可塑性樹脂製太物モノフィラメント Download PDF

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Abstract

【課題】直径が1.0mm以上、断面が略円形形状の熱可塑性樹脂製太物モノフィラメントの真円性を改善すると共に、太物モノフィラメントの製造に際して問題となっていた、モノフィラメント製造時の冷却工程で発生するボイドの形成を解消して、一般工業資材、水産資材および農業資材用途などに好適に利用し得る太物モノフィラメントの簡便かつ効率的な取得を実現する。
【解決手段】熱可塑性樹脂からなり、直径が1.0mm以上6.0mm以下、断面が略円形形状のモノフィラメントであって、モノフィラメントの断面中心部に繊維軸方向全長に亘る略円形形状の中空部を有し、モノフィラメントの繊維軸方向に垂直な断面の断面積に対し、前記中空部の占める面積が0.2〜5%であり、且つ、モノフィラメントの真円度が92%以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂製太物モノフィラメント。
【選択図】なし

Description

本発明は、一般工業資材、水産資材および農業資材用途などに好適に利用し得る直径が1mm以上の熱可塑性樹脂製太物モノフィラメントに関するものである。さらに詳しくは、従来からある熱可塑性樹脂製太物モノフィラメントに比較して、特別な製造設備や薬剤添加などを必要とせずとも、非常に簡便で且つ効率的に得ることができ、しかも極めて良好な真円度を有する熱可塑性樹脂製太物モノフィラメントに関するものである。
従来から、熱可塑性樹脂製モノフィラメントは、一般工業資材、水産資材および農業資材用途などに好適に利用されており、これら利用用途によって、モノフィラメントの直径は数十μmから数mmまでの広い範囲が任意に選択されている。
また、モノフィラメントの使用される環境やモノフィラメントに求められる特性によって、利用され得る熱可塑性樹脂も多岐の樹脂素材が用いられている。
ここで、これら熱可塑性樹脂からなる最も一般的なモノフィラメント、即ち、その断面形状が略円形形状をなすモノフィラメントの中でも、モノフィラメントの外径直径が1mm以上の太物モノフィラメントにおいては、本来求められる真円形状ではなく楕円形状になっているものが散見され、こうした楕円形状を呈するモノフィラメント製品の使用によって、これを用いて製造する製品の加工工程では工程通過性の悪化、さらに出来上がった製品の品質および品位の悪化を招くことが問題視されている。
また、これら太物モノフィラメントを製造する工程では、口金ノズルから熱可塑性樹脂を溶融押出しした後に、冷却溶媒を用い冷却を行う際に、急激に冷却を行ってしまうと、口金ノズルから押出し冷却固化した未延伸糸中にボイド(空洞)が形成されることがあり、このようなボイドが形成された未延伸糸では、モノフィラメントを製造する工程で延伸切れが多く発生したり、また、モノフィラメント中に形成されたボイドによって製品強度が低下したりするなどの弊害が生じることから、その改善がしきりに望まれていた。
これら熱可塑性樹脂からなる太物モノフィラメントの真円性を改善する技術としては、例えば、(A)ε−カプロラクタム98〜70重量%とヘキサメチレンジアンモニウムアジペート2〜30重量%を共重合して得られる6/66共重合ポリアミド98〜80重量部、(B)脂環ジアミン・ジカルボン酸塩を必須成分として含む3種以上のポリアミド形成成分を共重合して得られる三元以上の多元共重合ポリアミド2〜20重量部、および(C)エチレン・ビスステアリルアミド0.1〜1.0重量部からなるポリアミド組成物が溶融紡糸により成形されたポリアミドモノフィラメント(例えば、特許文献1参照)が挙げられるが、この技術で得られる太物モノフィラメントは、確かに真円性には富むものの、モノフィラメントを構成する熱可塑性樹脂が極めて特殊なポリマであるばかりか、薬剤添加を必要とするために、高コストになるという問題を抱えている。
また、本出願人も、溶融ポリマを口金から押出した後、ただちに冷却浴槽に導き紡出糸条を冷却固化させるに際し、冷却浴槽の少なくとも紡出糸条が最初に接する冷却液の表面を積極的に揺動させて得た、直径、1.0mm以上、真円度が90%以上、且つJISL1013の規定に準じて測定した引張強度が1.5cN/dtex以上、引張伸度10%以上である極太モノフィラメント(例えば、特許文献2参照)を提案しているが、この技術を利用して真円性に優れるモノフィラメントを得るには、モノフィラメント製造設備の冷却浴槽に冷却液の表面を積極的に揺動させる装置の設置が必要となるため、真円性に富むモノフィラメントを簡便且つ効率的に得る技術としては未だ不十分であった。
一方、モノフィラメントのボイドの発生を抑制する技術としては、90モル%以上のトリメチレンテレフタレート繰り返し単位と、10モル%以下のその他のエステル繰り返し単位から構成され、極限粘度が0.6〜1.5dl/gのポリトリメチレンテレフタレートからなり、繊度=100〜3000(dtex)、破断強度=3.0〜5.0(cN/dtex)、破断伸度=30〜45(%)、5%伸度における微分ヤング率≧15%伸度における微分ヤング率≧8(cN/dtex)および糸長方向の繊度の変動率≦1.3(%)の特徴を同時に満足するポリトリメチレンテレフタレート(以降PTTという)モノフィラメント(例えば、特許文献3参照)が提案されている。しかるに、この技術は、PTTのボイド発生を抑制する技術としては相応の効果を発揮すると思われるものの、得られるモノフィラメントの直径は、たかだか0.5〜0.6mm程度であり、1mm以上の直径を有するモノフィラメントを得る技術としては不十分である。
特開平6−299415号公報 特開2001−248011号公報 特開2004−232094号公報
以上のような状況を鑑み、本発明は、従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものであり、その目的とするところは、直径が1.0mm以上、断面が略円形形状の熱可塑性樹脂製太物モノフィラメントの真円性を改善すると共に、太物モノフィラメントの製造に際して問題となっていた、モノフィラメント製造時の冷却工程で発生するボイドの発生を解消して、一般工業資材、水産資材および農業資材用途などに好適に利用し得る太物モノフィラメントの簡便かつ効率的な取得を実現することにある。
上記目的を達成するため本発明によれば、熱可塑性樹脂からなり、直径が1.0mm以上6.0mm以下、断面が略円形形状のモノフィラメントであって、モノフィラメントの断面中心部に繊維軸方向全長に亘る中空部を有し、モノフィラメントの繊維軸方向に垂直な断面の断面積に対し、前記中空部の占める面積が0.2〜5%であり、且つ、モノフィラメントの真円度が92%以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂製太物モノフィラメントが提供される。
なお、本発明の熱可塑性樹脂製太物モノフィラメントにおいては、前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、オレフィン系樹脂およびポリアセタール樹脂から選ばれた少なくとも1種であることが、本発明の太物モノフィラメントの好ましい条件として挙げられる。
本発明によれば、以下に説明する通り、従来から用いられている直径1.0mmから6mmと非常に太い直径を有する熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂製太物モノフィラメントであっても、92%以上の極めて優れた真円性の実現を可能にすると共に、太物モノフィラメントを特定の中空度を有する中空構造とすることによって、特別な製造設備の使用や薬剤添加などを行なわなくとも、太物モノフィラメントの製造に際し問題となっていた、モノフィラメント製造の冷却工程で発生するボイドの形成を抑制することができ、一般工業資材、水産資材および農業資材用途などに有用に利用できる熱可塑性樹脂製太物モノフィラメントを、極めて簡便かつ効率的に取得することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の熱可塑性樹脂製太物モノフィラメント(以下、単に太物モノフィラメントと言うこともある)は、熱可塑性樹脂からなり、直径が1.0mm以上6.0mm以下、断面が略円形形状のモノフィラメントであって、モノフィラメントの断面中心部に繊維軸方向全長に亘る略円形形状の中空部を有し、モノフィラメントの繊維軸方向に垂直な断面の断面積に対し、前記中空部の占める面積が0.2〜5%であり、且つ、モノフィラメントの真円度が92%以上であることを特徴とする。
本発明の太物モノフィラメントは、直径1.0mm以上6.0mm以下の断面が略円形形状のモノフィラメントであって、モノフィラメントの断面中心部に繊維軸方向全長に亘る中空部が形成されていることを特徴とする。
本発明の太物モノフィラメントの断面中心部(以降、単に中心部と言うこともある)に形成される中空部は、略円形形状(以降、単に円形形状と言うこともある)であることが必要である。
これは、円形形状の外形を有すモノフィラメントの中心部に、円形形状以外、例えば正三角形、正方形および正六角形のような中空部を形成した場合には、太物モノフィラメントそのものの直径が非常に太いことに起因して、真円度が悪化するという好ましくない結果を招くことになるからである。
すなわち、太物モノフィラメントが所定の直径になるように、口金ノズルから溶融押出しした中空構造を有する溶融ポリマを、引き続き連続して冷却溶媒を満たした冷却槽に導き冷却し未延伸糸を得るが、溶融ポリマは、その外層部から冷却溶媒によって徐々に冷却され固化するため、モノフィラメントの中心部に円形形状以外の中空部を有する場合には、その溶融ポリマ外層部から中空部までの距離が、円周方向の部位によって異なることに起因し、優れた真円度を有する未延伸糸の取得が困難になることに繋がるのである。
また、本発明の太物モノフィラメントは、繊維軸方向全長に亘り円形形状の中空部が形成されていることを特徴とするが、この中空部がモノフィラメントの繊維軸方向に断続的に形成される場合は、中空部と中実部でモノフィラメントの物理特性に差異が生じたり、また、モノフィラメントを延伸する場合に中実部と中空部の延伸性が異なったりするため、延伸切れなどの操業性悪化を招く結果となる。
本発明の太物モノフィラメントの中空部は、モノフィラメントの繊維軸方向に垂直な断面の断面積に対し、中空部の占める面積が0.2〜5%であることが肝要であるが、さらに0.5〜3.5%の場合により好ましい効果の発現に繋がる。
ここで、モノフィラメントの繊維軸方向に垂直な断面の断面積に対し、中空部の占める面積が0.2%未満の場合には、中空構造をモノフィラメントの繊維軸方向全長に亘り維持することが難しくなり、真円度の悪化を招きやすくなるため好ましくなく、また、中空部の面積が5%より大きい場合には、中空構造を有する太物モノフィラメントの製造に際し、モノフィラメントを加熱しながら延伸ローラーの速度差を利用して延伸する際に、高い延伸張力を受けることによってモノフィラメントが変形を来たしたり、モノフィラメントに亀裂が生じたりするなどの不具合が生じるため好ましくない。
また、本発明の太物モノフィラメントは、モノフィラメントの外径直径を円周方向に測定した際の短径(mm)および長径(mm)の値を用い、(短径/長径)×100の式にて算出した真円度が92%以上であることを特徴とするが、さらには96%以上であることが望ましい。すなわち真円度が92%未満の太物モノフィラメントでは、モノフィラメントの断面形状が楕円形のようになり、こうした楕円形に近似する太物モノフィラメントを各種用途に利用しようとして、モノフィラメントを曲げ加工する際には、楕円形の短辺方向にのみ曲がりやすくなって加工性の低下を招いたり、また、複数本の太物モノフィラメントを編網などして利用する際にも、製品の仕上がりに斑が生じたりするなど品位低下を招く結果となる。
ここで、本発明の効果の発現理由について説明する。
従来、モノフィラメントの溶融紡糸における冷却方法としては水や温水、また薬剤を用いた冷却溶媒として、グリセリンやエチレングリコールなどの溶媒を用いることが知られている。これら冷却方法においては、製造コストや安全性の観点から一般的には水や温水を用いることが多いが、口金ノズルから溶融押出しされた溶融ポリマは、これら水や温水にて急激に冷却を受け、外層部からポリマの融点以下に冷却されて固化を開始し、徐々に中央部へ向かい冷却固化が進行していき未延伸糸となる。
しかし、本発明のような太物モノフィラメントの場合では、口金から押出す溶融ポリマの体積が非常に大きいため、外層部の冷却固化開始から内層部の冷却固化完了に至るまでの時間差が大きくなってしまう。
ここで、溶融ポリマと固化したポリマの密度と体積の関係を考えると、溶融ポリマの密度は、固化したポリマの密度よりも低いため質量が同じ場合に、体積は大きいことになる。このことを外層部から徐々に冷却を受け未延伸糸が形成されていく状態に置き換えて考えてみると、口金ノズルから押出された溶融ポリマは、口金ノズルより押出された際の形状と体積を維持しつつ、冷却溶媒と直接接触する最外層部から冷却固化し未延伸糸となるが、この際の未延伸糸の外径(直径)は、ポリマ溶融時の体積が支配的に作用する。
外層部のみ冷却固化した未延伸糸は、さらに冷却を受けながら強固な外骨格状の外層部となりつつ、その後、徐々に外層部から内層部に向かって冷却固化は進行する。この状態の未延伸糸では、依然として内層部の樹脂は溶融状態であるため密度は低く、冷却固化をしていくに従って溶融ポリマの密度変化により、その体積は次第に小さくなっていく。
すなわち、先に冷却固化を終えた未延伸糸の外径は、低密度状態の押出ポリマの体積によって決まるため、この未延伸糸の外層部が強固な外骨格状の未延伸糸となった場合、内層部の溶融ポリマの冷却固化により体積減少が生じても外層部の変形が起こり難く、内層部ポリマの体積が減じた分だけ、未延伸糸中心部に微細な亀裂やボイドが生じてしまうことになる。
また、未延伸糸の外層部が、ある程度の柔軟性を有する場合では、徐々に冷却を受けながら固化をしていく内層部の溶融ポリマの体積減によって、未延伸糸そのものの形状が歪に変形し楕円形状になってしまう。
しかるに、太物モノフィラメントの繊維軸方向全長に亘り円形形状の中空部を形成させることによって、口金から押出した溶融ポリマが、あまり強固でない柔軟な外層部を有する未延伸糸となった場合でも、その後、徐々に冷却を受け固化していく内層部の溶融ポリマが体積を減じつつ固化しても、未延伸糸の中心部に中空部が存在することから、内層部のポリマの体積減少により、未延伸糸の形状変形が生じることなく、中空部の大きさの変化のみが起こることとなり、高い真円度が維持されたままの未延伸糸の取得が可能となるのである。
すなわち、本発明の太物モノフィラメントが、非常に太い直径を有するモノフィラメントであるにも拘らず、特別な製造設備や薬品添加を必要とせずに、非常に簡便且つ効率的に、モノフィラメントへのボイドの発生が抑制でき、さらに極めて優れた真円度を有する太物モノフィラメントの取得が可能となる理由は、太物モノフィラメントの中心部に円形形状の中空部を形成したことによるものである。
次に、本発明の太物モノフィラメントを構成する熱可塑性樹脂は、モノフィラメントへの加工が可能な熱可塑性樹脂であれば如何なるものでも良いが、各種用途に利用される太物モノフィラメントとして必要な引張強度を得やすいこと、さらには、その生産性の良好さから、ナイロン6(以降、N6と言う)、ナイロン66(以降、N66と言う)、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11およびナイロン12やこれらの共重合体ならびにアロイ樹脂、さらにはアジピン酸とメタキシレンジアミンを重縮合して得られる、いわゆるMXD6ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(以降、PETと言う)、ポリブチレンテレフタレート(以降、PBTと言う)、ポリエチレンナフタレート(以降、PENと言う)およびポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(以降、PCTと言う)およびポリトリメチレンテレフタレート(以降、PTTと言う)やこれらの共重合体ならびにアロイ樹脂などのポリエステル系樹脂、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(以降ETFEと言う)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以降、PFAと言う)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(以降、FEPと言う)およびポリフッ化ビニリデン(以降、PVdFと言う)などのフッ素系樹脂、オレフィン系樹脂としてはポリプロピレン(以降、PPと言う)やポリエチレン(以降、PEと言う)が利用でき、またポリフェニレンサルファイド樹脂(以降、PPSと言う)およびポリアセタール樹脂(以降、POMと言う)なども好ましく利用可能である。
また、本発明の太物モノフィラメントには、その特性を阻害しない範囲であれば、種々の目的に応じて、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、チッ化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、ジルコニウム酸、カーボンブラックなどの各種無機粒子や架橋高分子粒子、各種金属粒子などの粒子類のほか、従来公知の金属イオン封鎖剤、イオン交換剤、着色防止剤、耐光剤、包接化合物、帯電防止剤、各種着色剤、各種界面活性剤、ワックス類およびシリコーンオイルなどが添加されていてもよい。
ここで、本発明の太物モノフィラメントの製造方法については、従来公知の中空構造を有するモノフィラメントと同様な製造方法によって容易に製造が可能である。その一例としてナイロン6製太物モノフィラメントの例を以下に挙げ説明する。
本発明の一例であるN6樹脂製太物モノフィラメントの製造方法としては、エクストルダー型などの紡糸機を用い、N6樹脂の融点よりも20〜80℃高い温度で溶融混練を行った後、ギヤポンプを介して紡糸機先端に設けた溶融紡糸パック内の中空口金ノズルからN6溶融ポリマを紡出する。ここで用いる中空口金ノズルとしては、口金ノズル孔の中心部にパイプを設けたような、いわゆるパイプ中空口金が好ましく利用できる。
次いで、中空口金ノズルから押出した溶融ポリマを10℃〜90℃の水または温水中で冷却固化させ未延伸糸を得る。得られた未延伸糸は、連続してN6樹脂のガラス転移点以上の温度に調節された延伸浴または延伸雰囲気中に導き、1段延伸または2段以上の多段延伸に供する。なお、トータル延伸倍率としては、使用する樹脂によって任意に選定が出来るが、N6の場合では、3倍〜6倍程度の範囲が好ましい。さらには、利用される用途に求められるモノフィラメントの物理特性に応じ、100℃〜260℃程度の温度雰囲気中や50℃〜95℃程度の温水中で0.8〜1.0倍程度の熱セットを行っても良く、このような従来公知の製造方法にて、本発明の太物ポリアミドモノフィラメントは、極めて簡便且つ効率的に製造することができる。
かくしてなる、本発明の太物モノフィラメントは、直径が太いにも拘らず、特にモノフィラメントの構成素材に制約を受けることなく、非常に良好な真円度を有する太物モノフィラメントの実現を可能とし、また、モノフィラメントの構造を中空構造とすることによって、特別な製造設備や薬剤添加などを全く必要とせずとも、太物モノフィラメントを溶融紡糸法で製造する上で課題となっていた冷却工程で発生するボイドの発生を抑制できるなど、極めて有用なものである。
以下、本発明の太物モノフィラメントの実施例に関しさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
また、上記および下記に記載の本発明の太物モノフィラメントの物性などは、上記および下記に記載の方法により測定した値である。
[中空部の面積比率(%)]
太物モノフィラメント30mを綛状に取り、そこから任意にn=5のサンプルを取り出す。取り出したサンプル5点についてモノフィラメントの繊維軸方向に対し垂直方向に切り出した太物モノフィラメント断面観察用サンプルを作成した。これらサンプルを(株)キーエンス製デジタルマイクロスコープ“VHX−500F”を用いて観察し、面積計測ツールでモノフィラメントの断面積を計測する。次いで、同じく面積計測ツールにて、モノフィラメントの中空部の面積を計測、取り出した5点のサンプルについてモノフィラメント断面積および中空部面積より各々の平均値を算出する。算出したモノフィラメント断面積および中空部面積より、中空部の面積比率(%)=(中空部面積/モノフィラメント断面積)×100の算式にて、太物モノフィラメントの断面積に対する中空部の面積比率を算出した。
[直径(mm)]
太物モノフィラメント30mを綛状に取り、そこから任意にn=10のサンプルを取り出す。取り出したサンプル10点について、デジタルマイクロメーター(MITUTOYO製)を用いて直径を測定した。なお、10点のサンプル各々についてモノフィラメントの外径測定を実施し、サンプル毎に最大値を長径、最小値を短径として計測、長径10点と短径10点の合計を算出しその平均値をモノフィラメントの直径とした。
[真円度(%)]
太物モノフィラメント30mを綛状に取り、そこから任意にn=10のサンプルを取り出す。取り出したサンプル10点について、デジタルマイクロメーター(MITUTOYO製)を用いて直径を測定した。なお、10点のサンプル各々についてモノフィラメントの外径測定を実施し、サンプル毎に最大値を長径、最小値を短径として計測、長径10点と短径10点についてその平均値を算出し、真円度(%)=(短径/長径)×100により算出した。
[中空部形成状態確認]
太物モノフィラメントを製糸中、500mを製糸する毎に20mの長さのサンプルを採取し、このサンプリング作業を繰り返し行い、20m長のサンプルを20本採取する。採取した20mの長さのサンプルの両端に有る切断面のうち一方を、水を満たした水槽に浸漬する。そして、残るもう一方の切断面から0.5MPaの加圧空気(以降、圧空と言う)を送り込む。送り込んだ圧空が太物モノフィラメントの中空部を通過し、水槽に浸漬した太物モノモノフィラメント切断面より気泡が発生するかを確認する。気泡が発生した場合は20mの長さのサンプル全長に亘り中空部が形成されていることを示し、気泡が発生しない場合は、サンプルのいずれかの箇所で中空部が途切れていることを示す。この中空部形成状態確認を20本のサンプル全てにおいて実施し、以下の基準で判定した。
○(良好)…20本全てのサンプルの切断面から気泡の発生が認められた、
×(不良)…1本でもサンプルの切断面から気泡の発生が認められなかった。
[製糸性]
12時間の連続紡糸を行ない、以下の基準で判定した。
○(良好)…ボイドの発生や延伸切れが皆無であった、
×(不良)…紡糸中ボイドの発生が認められた、延伸切れが1回以上発生した。
[引張強度(cN/dtex)]
JIS2008 L1013 8.5項に準じて測定した。すなわち、太物モノフィラメント30mを綛状に取り、試料長60cmにカット(50本)したサンプルから任意に10本を取りだし、これを20℃、65%RHの温湿度調整室内で、(株)島津製作所製”AUTOGRAPH”AG−1000G型引張試験機を用い、試長:250mm、引張速度:300mm/分の条件で、引張強力(N)の平均値を測定し、引張強度(cN/dtex)を算出した。
[実施例1]
熱可塑性樹脂として、東レ(株)製N6樹脂 M1021を使用し、これをエクストルダー型紡糸機に供給、紡糸温度を260℃で溶融、このN6溶融ポリマを口金孔径9.0mmφ、口金孔中心部に目標中空部面積比率が2%になるよう設計したパイプを設けたパイプ中空口金より押出した後、直ちに40℃の温水を満たした冷却槽に導き未延伸糸を得た。
次いで、該未延伸糸を1段目延伸温度90℃、延伸倍率3.5倍で延伸し、引き続き2段目延伸温度220℃で総延伸倍率を4.3倍となるように延伸後、連続して熱セット処理を行ない、直径3.05mmのN6製太物モノフィラメントを得た。得られたN6製太物モノフィラメントの中空部面積比率、真円度、中空部形成状態確認結果および引張強度などを評価した結果を表1に示す。
[実施例2〜3および比較例2〜3]
実施例1と同一のN6樹脂と製造工程および製造条件を用い、パイプ中空口金孔の中心部に設けたパイプを目標中空部面積比率が0.35%(実施例2)、3.5%(実施例3)、0.15%(比較例2)および6.0%(比較例3)になるよう変更して得たN6製太物モノフィラメントの中空部面積比率、真円度、中空部形成状態確認結果および引張強度などを評価した結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1と同一のN6樹脂と製造工程にて、使用口金を口金孔径10.0mmφ、口金孔中心部に目標中空部面積比率が2%になるよう設計したパイプ中空口金へ変更して、4.85mmのN6製太物モノフィラメントを得た。得られたモノフィラメントの中空部面積比率、真円度、中空部形成状態確認結果および引張強度などを評価した結果を表1に示す。
[実施例5]
熱可塑性樹脂として、東レ(株)製N66樹脂 M3001を使用し、これをエクストルダー型紡糸機に供給し紡糸温度を300℃で溶融する。このN66溶融ポリマを口金孔径9.0mmφ、口金孔中心部に目標中空部面積比率が2%になるよう設計したパイプを設けたパイプ中空口金より押出した後、直ちに65℃の温水を満たした冷却槽に導き未延伸糸を得た。
次いで、該未延伸糸を1段目延伸温度80℃、延伸倍率3.2倍で延伸し、引き続き2段目延伸温度160℃で総延伸倍率を4.1倍となるように延伸後、連続して熱セット処理を行ない、直径3.11mmのN66製太物モノフィラメントを得た。得られたN66製太物モノフィラメントの中空部面積比率、真円度、中空部形成状態確認結果および引張強度などを評価した結果を表1に示す。
[実施例6]
熱可塑性樹脂として、東レ(株)製N6/N66共重合ナイロン樹脂 M6041を使用し、これをエクストルダー型紡糸機に供給、紡糸温度を270℃で溶融、このN6/N66共重合ナイロン溶融ポリマを口金孔径9.0mmφ、口金孔中心部に目標中空部面積比率が2%になるよう設計したパイプを設けたパイプ中空口金より押出した後、直ちに20℃の水を満たした冷却槽に導き未延伸糸を得た。
次いで、該未延伸糸を1段目延伸温度90℃、延伸倍率4.0倍で延伸し、引き続き2段目延伸温度180℃で総延伸倍率を5.4倍となるように延伸後、連続して熱セット処理を行ない、直径2.99mmのN6/N66共重合ナイロン製太物モノフィラメントを得た。得られたN6/N66共重合ナイロン製太物モノフィラメントの中空部面積比率、真円度、中空部形成状態確認結果および引張強度などを評価した結果を表1に示す。
[実施例7]
熱可塑性樹脂として、東レ(株)製PET樹脂 T701を使用し、これをエクストルダー型紡糸機に供給、紡糸温度を300℃で溶融、このPET溶融ポリマを口金孔径9.0mmφ、口金孔中心部に目標中空部面積比率が2%になるよう設計したパイプを設けた、パイプ中空口金より押出した後、直ちに80℃の温水を満たした冷却槽に導き未延伸糸を得た。
次いで、該未延伸糸を1段目延伸温度95℃、延伸倍率4.0倍で延伸し、引き続き2段目延伸温度95℃で総延伸倍率を5.2倍となるように延伸後、連続して熱セット処理を行ない、直径3.00mmのPET製太物モノフィラメントを得た。得られたPET製太物モノフィラメントの中空部面積比率、真円度、中空部形成状態確認結果および引張強度などを評価した結果を表1に示す。
[実施例8〜9および比較例7〜8]
実施例7と同一のPET樹脂と製造工程および製造条件にて、パイプ中空口金孔の中心部に設けたパイプを目標中空部面積比率が0.35%(実施例8)、3.5%(実施例9)、0.15%(比較例7)および6.0%(比較例8)になるよう変更して得たPET製太物モノフィラメントの中空部面積比率、真円度、中空部形成状態確認結果および引張強度などを評価した結果を表1に示す。
[実施例10]
熱可塑性樹脂として、東レ(株)製PPS樹脂E2080を用い、これを150℃で15時間、真空条件下で乾燥を行なった後に、エクストルダー型紡糸機に供給、紡糸温度を330℃で溶融、このPPS溶融ポリマを口金孔径6.0mmφ、口金孔中心部に目標中空部面積比率が2%になるよう設計したパイプを設けたパイプ中空口金より押出した後、直ちに80℃の温水を満たした冷却槽に導き未延伸糸を得た。
次いで、該未延伸糸を1段目延伸温度95℃、延伸倍率3.8倍で延伸し、引き続き2段目延伸温度160℃で総延伸倍率を4.2倍となるように延伸後、連続して熱セット処理を行ない、直径2.02mmのPPS製太物モノフィラメントを得た。得られたPPS製太物モノフィラメントの中空部面積比率、真円度、中空部形成状態確認結果および引張強度などを評価した結果を表1に示す。
[実施例11]
熱可塑性樹脂として、旭硝子(株)製ETFE樹脂 フルオンETFE C88AXPを使用し、これをエクストルダー型紡糸機に供給、紡糸温度を310℃で溶融、このETFE溶融ポリマを口金孔径10.0mmφ、口金孔中心部に目標中空部面積比率が2%になるよう設計したパイプを設けたパイプ中空口金より押出した後、直ちに70℃の温水を満たした冷却槽に導き未延伸糸を得た。
次いで、該未延伸糸を1段目延伸温度85℃、延伸倍率3.8倍で延伸し、引き続き2段目延伸温度230℃で総延伸倍率を4.6倍となるように延伸後、連続して熱セット処理を行ない、直径2.16mmのETFE製太物モノフィラメントを得た。得られたETFE製太物モノフィラメントの中空部面積比率、真円度、中空部形成状態確認結果および引張強度などを評価した結果を表1に示す。
[実施例12]
熱可塑性樹脂として、チッソ(株)製PP樹脂 A5014を使用し、これをエクストルダー型紡糸機に供給、紡糸温度を230℃で溶融、このPP溶融ポリマを口金孔径9.0mmφ、口金孔中心部に目標中空部面積比率が2%になるよう設計したパイプを設けたパイプ中空口金より押出した後、直ちに60℃の温水を満たした冷却槽に導き未延伸糸を得た。
次いで、該未延伸糸を1段目延伸温度150℃、延伸倍率7.8倍で1段延伸し、引き続き連続して熱セット処理を行ない、直径2.09mmのPP製太物モノフィラメントを得た。得られたPP製太物モノフィラメントの中空部面積比率、真円度、中空部形成状態確認結果および引張強度などを評価した結果を表1に示す。
[実施例13]
熱可塑性樹脂として、ポリプラスチックス(株)製POM樹脂 FP15Xを使用し、これをエクストルダー型紡糸機に供給、紡糸温度を215℃で溶融、このPOM溶融ポリマを口金孔径9.0mmφ、口金孔中心部に目標中空部面積比率が2%になるよう設計したパイプを設けたパイプ中空口金より押出した後、直ちに75℃の温水を満たした冷却槽に導き未延伸糸を得た。
次いで、該未延伸糸を1段目延伸温度190℃、延伸倍率6.3倍で1段延伸し、引き続き連続して熱セット処理を行ない、直径2.09mmのPOM製太物モノフィラメントを得た。得られたPOM製太物モノフィラメントの中空部面積比率、真円度、中空部形成状態確認結果および引張強度などを評価した結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1と同一のN6樹脂と製造工程および製造条件にて、使用する口金ノズルをパイプ中空口金では無く通常の単孔構造である孔径9.0mmφの口金ノズルを用い、直径2.99mmの中空構造を持たないN6製太物モノフィラメントを得た。得られたN6製太物モノフィラメントの真円度および引張強度などを評価した結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例5と同一のN66樹脂と製造工程および製造条件にて、パイプ中空口金孔の中心部に設けたパイプを目標中空部面積比率が6.0%になるよう変更して得たN66製太物モノフィラメントの中空部面積比率、真円度、中空部形成状態確認結果および引張強度などを評価した結果を表1に示す。
[比較例5]
実施例6と同一のN6/N66共重合ナイロン樹脂と製造工程および製造条件にて、使用する口金ノズルをパイプ中空口金では無く通常の単孔構造である孔径9.0mmφの口金ノズルを用い、直径3.11mmの中空構造を持たないN6/N66共重合ナイロン製太物モノフィラメントを得た。得られたN6/N66共重合ナイロン製太物モノフィラメントの真円度および引張強度などを評価した結果を表1に示す。
[比較例6]
実施例7と同一のPET樹脂と製造工程および製造条件にて、使用する口金ノズルをパイプ中空口金では無く通常の単孔構造である孔径9.0mmφの口金ノズルを用い、直径2.99mmの中空構造を持たないN6製太物モノフィラメントを得た。得られたN6製太物モノフィラメントの真円度および引張強度などを評価した結果を表1に示す。
[比較例9]
実施例10と同一のPPS樹脂と製造工程および製造条件にて、使用する口金ノズルをパイプ中空口金では無く通常の単孔構造である孔径6.0mmφの口金ノズルを用い、直径2.08mmの中空構造を持たないPPS製太物モノフィラメントを得た。得られたPPS製太物モノフィラメントの真円度および引張強度などを評価した結果を表1に示す。
[比較例10]
実施例11と同一のETFE樹脂と製造工程および製造条件にて、使用する口金ノズルをパイプ中空口金では無く通常の単孔構造である孔径10.0mmφの口金ノズルを用い、直径2.03mmの中空構造を持たないETFE製太物モノフィラメントを得た。得られたETFE製太物モノフィラメントの真円度および引張強度などを評価した結果を表1に示す。
[比較例11]
実施例12と同一のPP樹脂と製造工程および製造条件にて、使用する口金ノズルをパイプ中空口金では無く通常の単孔構造である孔径9.0mmφの口金ノズルを用い、直径2.11mmの中空構造を持たないPP製太物モノフィラメントを得た。得られたPP製太物モノフィラメントの真円度および引張強度などを評価した結果を表1に示す。
[比較例12]
実施例13と同一のPOM樹脂と製造工程および製造条件にて、使用する口金ノズルをパイプ中空口金では無く通常の単孔構造である孔径9.0mmφの口金ノズルを用い、直径1.99mmの中空構造を持たないPOM製太物モノフィラメントを得た。得られたPOM製太物モノフィラメントの中空部面積比率、真円度、中空部形成状態確認結果および引張強度などを評価した結果を表1に示す。
[実施例14および比較例13]
実施例1および比較例1で得たN6製太物モノフィラメントを、電動式コード草刈り機の草刈り用コードとして実用評価を実施した。実施例1および比較例1で得たN6製太物モノフィラメントをそれぞれ、エルタ製半自動トップローターに各5mを巻き込み、ローターよりモノフィラメントが20cm出るように調整し、これを電動式コード草刈機にセットした。次いで、2m四方に区切った区画一面に生えた発芽後3ヶ月経過した牧草オーチャードグラスのナツミミドリ種を実際に刈り取り、切草性および切草時のコードの耐久性などを相対評価した。その結果、実施例1のN6製太物モノフィラメントでは良好な切草性を示すとともに、真円度が優れるために切草時のコードの曲がり方にも偏った方向性が無く、切草時に徐々に摩耗するコードの状態も先端から均一に摩耗する結果であった。さらに、中空構造とすることによる耐久性にも問題は無く短時間でコードが切断するような状況も発生しなかった。一方、比較例1のN6製太物モノフィラメントでは、真円性が劣るために、回転させながら切草するコードが、モノフィラメントの短径方向にのみ偏って曲がる状態となり、実施例1のモノフィラメントに比較し、草刈り用コードとして連続使用できる時間も短く、また、偏った方向にのみ曲がりやすくなる結果、ローターより出したコードが、根元部分で切断するなどの好ましくない状況となった。
[実施例15および比較例14]
実施例7で得たPET製太物モノフィラメントを3本引き揃え、Z撚りに34ターン/mに撚り合わせた後、乾熱浴中で熱固定し3本撚りの通線用リード線を作製した。同じく比較例6で得たPET製太物モノフィラメントを3本引き揃え、同様な3本撚りの通線用リード線を作製した。これらリード線を各々20mずつサンプリング後に1mに切断し、撚り数を計数、平均撚り数(ターン/m)を算出した。その結果、実施例7で得た太物PETモノフィラメントからなるリード線は、34.3ターン/mの撚り数に対し、比較例6のPET製太物モノフィラメントで作製したリード線では、35.1ターン/mと目標撚り数に対し1ターン以上撚り数が大きくなる結果となり、さらに比較例6のモノフィラメントで作製したリード線の撚りを長さ方向に見た場合、撚り幅の狭い箇所と広い箇所が散見されるなど、極めて品位の悪いリード線となった。
Figure 2013204176
表1の結果から明らかなように、本発明による太物モノフィラメントは、中空構造とすることで、太物モノフィラメントでありながらも極めて良好な真円度の取得を可能であることが解る。また、特別な製造設備や薬品添加を必要とせずとも、熱可塑性樹脂製太物モノフィラメントの生産において問題となるボイドの発生を非常に簡便且つ効率的に抑制可能にするなど、極めて良好な生産性を実現せしめるものである。また、中空構造とすることによるモノフィラメントの強力低下も、モノフィラメントの断面積に対する中空部の面積比を規制することにより実用上、何ら問題とならない結果が得られた。
一方、本発明の条件を満たさない太物モノフィラメントは、真円度が不十分であり、比較例13および比較例14のように実用上問題を来たす結果であった。さらに本発明の条件を満たさない太物モノフィラメントでは中空部の形成状態に問題があるなど好ましくなく、さらに、中空構造を有していない場合では、製糸性も不十分であることが明らかである。
すなわち、中空構造を有さない比較例1、比較例5、比較例6、比較例9、比較例10および比較例11では、太物モノフィラメントが中空部を持たないことに起因し、前述した理由により真円度が不十分となった。また、比較例1、比較例5、比較例9および比較例11では、冷却工程を通過した後の未延伸糸中にボイドが発生していることが目視確認で認められ、いずれの場合も延伸切れが複数回発生するなど製糸性は不良であった。
さらに、未延伸糸中のボイド発生は確認できなかったが、比較例6でも延伸切れが発生し、これら延伸切れの発生した比較例ではいずれの場合も、延伸切れした太物モノフィラメントの破断面端部には空洞の存在が認められ、延伸切れの原因がボイドの発生に起因していることが明らかであった。
また、中空構造を有している場合でも、中空部面積比率が本発明より低い比較例7では、ボイドの発生は認められなかったものの、延伸切れが発生するという好ましくない結果となり、この延伸切れした太物モノフィラメントの状態を確認した結果、延伸切れした箇所には極端に直径の太い部位があり、この太径部には中空部が認められず、延伸切れの原因は中空部が途中で途切れて中実状態になったため、この中実部分の延伸性が悪化、中実部と中空部の境界部に延伸応力が集中し延伸切れに繋がったと考えられた。
また、中空部面積比率が本発明の規定より高い比較例3、比較例4、比較例8および比較例12では、中空部の面積が大きすぎることに起因し、延伸工程で太物モノフィラメントが加熱されつつ高い延伸張力を受けることで、モノフィラメント中心部の中空部の形状までもが楕円形に変形してしまい、太物モノフィラメントの真円度が悪化する好ましくない結果を招いた。
以上説明したように、本発明の熱可塑性樹脂製太物モノフィラメントは、従来の太物モノフィラメントにはない、極めて優れた真円度を有するとともに、これを用いて製作する製品の品位の向上や工程通過性を改善させ得る優れた特徴をも兼ね備えたものである。さらに、本発明によれば、太物モノフィラメントを中空構造とすることによって熱可塑性樹脂の種類を問わず、薬剤添加などを一切必要とせずとも、冷却工程で発生するボイドの発生の抑制を可能とし、従来公知の一般的なモノフィラメント製造工程の利用で、優れた真円度を有する太物モノフィラメントを安定的に効率良く製造できることから、産業上極めて有用であるといえる。

Claims (2)

  1. 熱可塑性樹脂からなり、直径が1.0mm以上6.0mm以下、断面が略円形形状のモノフィラメントであって、モノフィラメントの断面中心部に繊維軸方向全長に亘る略円形形状の中空部を有し、モノフィラメントの繊維軸方向に垂直な断面の断面積に対し、前記中空部の占める面積が0.2〜5%であり、且つ、モノフィラメントの真円度が92%以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂製太物モノフィラメント。
  2. 前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、オレフィン系樹脂およびポリアセタール樹脂から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂製太物モノフィラメント。
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