WO2010119756A1 - 擬似モノフィラメント糸およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

 熱可塑性液晶ポリマーを用いて形成され、耐熱性に優れるとともに、強度と剛性(可撓性)とを両立することができる擬似モノフィラメント糸を提供する。 前記擬似モノフィラメント糸は、複数本のフィラメントで構成された擬似モノフィラメント糸であって、前記フィラメントは耐熱性の熱可塑性液晶ポリマーで構成され、この擬似モノフィラメント糸の内部では、隣接するフィラメント同士が融着する融着部分と、隣接するフィラメント同士が融着していない空隙部分とが混在している。前記擬似モノフィラメント糸では、熱可塑性液晶ポリマーの融点が、260~360℃程度であってもよい。

Description

擬似モノフィラメント糸およびその製造方法 関連出願
 本願は、日本国で2009年4月16日に出願された、特願2009-099766の優先権を主張するものであり、その全体を参照により本出願の一部をなすものとして引用する。
 本発明は、耐熱性に優れるとともに、強度と剛性(可撓性)とを両立することができる擬似モノフィラメント糸に関する。
 従来、レジャー用や漁業用釣り糸などとして、モノフィラメント糸や、複数本のモノフィラメントを製紐した製紐糸が多用されている。
 例えば、特許文献1(特開平9-98698号公報)には、少なくとも2本のゲル紡糸されたポリオレフィンのフィラメントを一緒に編組又は加撚し、次いでこのポリオレフィンフィラメントの融点範囲内で加熱して、隣接するフィラメントの接触表面を少なくとも一部融着させた、モノフィラメントの特性を有するヤーンが開示されている。
 そして、特許文献1のポリオレフィンフィラメントから形成されたヤーンでは、マルチフィラメント糸と比較して、末端の擦り切れを低減し、モノフィラメント状の良好な切断特性を得ることができる。
 また、特許文献2(特許第4054736号明細書)には、熱可塑性樹脂からなるフィラメント複数本を引きそろえ、加撚および/または製紐し、ついで、送り込みローラーと巻き取りローラーとの速度比((巻き取りローラーの速度)/(送り出しローラーの速度))1.0未満で加熱下延伸することにより、隣接するフィラメントを実質的に融着させ、ついで、送り込みローラーと巻き取りローラーとの速度比((巻き取りローラーの速度)/(送り出しローラーの速度))1.0より高い倍率で加熱下延伸することを特徴とする融着糸条の製造方法が開示されている。
 そして、この文献の実施例1では、ダイニーマ(登録商標)を製紐し、ついで、送り込みローラー100m/分、巻き取りローラー40m/分で加熱することにより、隣接するフィラメントを実質的に融着させ、ついで、送り込みローラー30m/分、巻き取りローラー40m/分で加熱下延伸して融着糸条を製造している。このようにして得られた融着糸条では、隣接するフィラメントを実質的に完全融着しているため、水を抱き込みにくく、水切れ性に優れている。
特開平9-98698号公報(特許請求の範囲) 特許第4054736号明細書(特許請求の範囲、段落番号[0011]、段落番号[0039]、段落番号[0040])
 しかしながら、特許文献1のポリオレフィンフィラメントから形成されたヤーンでは、耐熱性に劣るだけでなく、ポリオレフィンフィラメント間で十分な結合を得ることができないため、耐久性に劣る。
 また、特許文献2では、隣接するフィラメントが実質的に完全融着しているため、フィラメント間での結合力は向上しているが、その一方で完全融着によりしなやかさ、すなわち可撓性を確保することができない。しかも、特許文献2では、強度を向上させるために実質的に完全融着した糸条の延伸処理が不可欠であるが、このような処理は、屈曲性の高い分子鎖を有するポリマーにしか適用できず、このようなポリマーは、通常十分な耐熱性を有していない。
 従って本発明の目的は、熱可塑性液晶ポリマーから形成され、耐熱性に優れる擬似モノフィラメント糸を提供することにある。
 本発明の別の目的は、強度と剛性とを両立することができる擬似モノフィラメント糸を提供することにある。
 本発明のさらに別の目的は、耐疲労性に優れる擬似モノフィラメント糸を提供することにある。
 本発明の他の目的は、このような優れた擬似モノフィラメント糸を製造するための方法を提供することにある。
 本発明者等は上記した従来技術の問題点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性液晶ポリマーからなるフィラメントを、一旦集束させ、その集束体を無延伸下で熱変形温度以上に加熱すると、融着と固相重合とを同時に行うことができるためか、隣接するフィラメントの接触面を強固に結合する一方で、非接触面間についてはすきまを確保でき、それにより得られた熱処理糸は、耐熱性に優れるとともに、強度と剛性(可撓性)とを両立できることを見出し、本発明を完成した。
 すなわち、本発明は、複数本のフィラメントが一体化した擬似モノフィラメント糸を製造する方法であって、
 耐熱性の熱可塑性液晶ポリマーから溶融紡糸されたフィラメントを複数本準備する準備工程と、
 前記複数本のフィラメントを加撚および/または製紐により集束し、フィラメントの横断面において、フィラメント同士の接触部分と非接触部分とをその内部に混在させているフィラメントの集束体を形成する集束工程と、
 前記フィラメントの集束体を、無延伸下、集束体の横断面において、フィラメント同士の接触部分および非接触部分が集束体内部に混在している状態で、前記熱可塑性液晶ポリマーの熱変形温度以上に加熱して、隣接するフィラメントの接触表面を融着させて一体化する加熱工程と、
を備える。
 この製造方法の加熱工程では、フィラメントの集束体を実質的に無緊張下で加熱処理してもよい。また、加熱処理の時間は、6~24時間程度であってもよい。
 また、準備工程において準備されたフィラメントの単繊維繊度は、1~20dtex程度であってもよく、また、集束工程では、フィラメントが、撚り回数30~300回/m程度で集束されてもよい。
 さらに、本発明は、擬似モノフィラメント糸も包含し、前記擬似モノフィラメント糸は、複数本のフィラメントで構成され、
 前記フィラメントは耐熱性の熱可塑性液晶ポリマー(例えば、その融点が260~360℃程度)で構成され、
 この擬似モノフィラメント糸の内部では、隣接するフィラメント同士が融着している融着部分と、隣接するフィラメント同士が融着していない空隙部分とが混在している。
 このような擬似モノフィラメント糸では、前記擬似モノフィラメント糸の引張強度が12.0cN/dtex以上であってもよい。また、さらに、擬似モノフィラメント糸の剛性(R:単位cm-1)と、擬似モノフィラメント糸の繊度(F:単位dtex)とから算出される剛性率(V)が、0.45以下であってもよい。
 なお、ここでV=R/F×10000であり、Rは下記式(1)により求められる。
      R=1/[(A’-A)+(B-B’)]      (1)
(ここで、上記式(1)において、A,B,A’,B’は、以下に定義される値を示す。
 A(単位:cm):擬似モノフィラメント糸からなる円周25cmのリングにおいて、このリング上端を固定して宙吊りした際の、リング上端から鉛直方向下向きのリング下端までの外径;
 B(単位:cm):前記リングの外径Aの二等分点における、前記鉛直方向と直交する方向のリングの外径;
 A’(単位:cm):リング上端を固定するとともに、このリング上端に対して鉛直方向下向きに位置するリング下端において、1g/440dtexの割合で錘をつるした際の、リング上端から鉛直方向下向きのリング下端までの外径;
 B’(単位:cm):前記錘をリングにつるした状態において、前記外径A’を二等分する箇所における、前記鉛直方向と直交する方向のリングの外径)
 また、擬似モノフィラメント糸では、上記式(1)で得られる剛性(R)が、0.1cm-1以下であってもよい。
 なお、本発明において、「フィラメントが隣接する」とは、隣に存在するフィラメント同士の少なくとも一部において接触している部分が存在していることを意味しており、必ずしも、隣に存在するフィラメント同士がその全体において接触している必要はない。
 また、本発明において、融着するとは、フィラメント表面が接触している部分において、熱可塑性液晶ポリマーが軟化または溶融して、フィラメントの接触部分が接着することを意味しており、このような接着には、隣接するフィラメントからそれぞれ軟化または溶融したポリマーが一体化して固相重合する場合も含まれる。
 本発明の擬似モノフィラメント糸は、耐熱性に優れるだけでなく、強度と剛性(可撓性)とを両立できる。
 また、本発明の擬似モノフィラメント糸では、隣接するフィラメント同士の接着(すなわち、融着)を確保するとともに、空隙部分も形成できるため、優れた耐疲労性を実現できる。
 さらにまた、本発明では、このような優れた性質を有する擬似モノフィラメント糸を、効率よく製造することができる。
 この発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施形態の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施形態および図面は単なる図示および説明のためのものであり、この発明の範囲を定めるために利用されるべきでない。この発明の範囲は添付のクレームによって定まる。なお、添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一部分を示す。
本発明において、擬似モノフィラメント糸の剛性を測定する方法を説明するための概略図である。 実施例で得られた擬似モノフィラメント糸の耐疲労特性を測定する方法を示す概略図である。 実施例1で得られた擬似モノフィラメント糸の横切断面を示す走査型電子顕微鏡写真(倍率:120)である。 比較例1で得られた擬似モノフィラメント糸の横切断面を示す走査型電子顕微鏡写真(倍率:100)である。
 本発明の擬似モノフィラメント糸は、複数本のフィラメントが一体化し、モノフィラメント様となった糸であり、前記フィラメントは、耐熱性の熱可塑性液晶ポリマーで構成され、以下に示す製造方法により得ることができる。
(フィラメントの準備工程)
 まず、熱可塑性液晶ポリマーから、フィラメントを溶融紡糸により作製する。
 熱可塑性液晶ポリマーは、溶融成形できる液晶性ポリマーであれば特にその化学的構成については特に限定されるものではないが、例えば、熱可塑性液晶ポリエステル(これにアミド結合が導入された熱可塑性液晶ポリエステルアミドも含む)などを挙げることができる。
 また熱可塑性液晶ポリマーは、芳香族ポリエステルまたは芳香族ポリエステルアミドに、更にイミド結合、カーボネート結合、カルボジイミド結合やイソシアヌレート結合などのイソシアネート由来の結合等が導入されたポリマーであってもよい。
 本発明に用いられる熱可塑性液晶ポリマーは、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸等より重合されて得られるポリマーであり、例えば、下記化1及び化2に示す構成単位の組合せを含むものである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
 
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
 
 これらのうち、下記化3に示す(A)および(B)の反復構成単位からなる部分が、50モル%以上(例えば、55~95モル%程度、好ましくは60~90モル%)である全芳香族ポリエステルが好ましい。
 さらに、(A)の反復単位に対する(B)の反復単位のモル比が、(A):(B)=100:1~50、好ましくは(A):(B)=100:1~45、さらに好ましくは(A):(B)=100:1~40程度であってもよい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
 
 本発明で用いられる熱可塑性液晶ポリマーは、耐熱性に優れており、その融点(以下、Mpと称す)は260~360℃程度のものであり、さらに好ましくはMpが270~350℃程度のものである。なお、Mpは示差走査熱量計(メトラー社DSC)により主吸熱ピークが現れる温度を測定することにより求められる。
 なお、前記熱可塑性液晶ポリマーには、本発明の効果を損なわない範囲内で、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステルエーテルケトン、フッ素樹脂等の熱可塑性ポリマーを添加してもよい。
 さらに、前記熱可塑性液晶ポリマーは、フィラーや各種添加剤(例えば、可塑剤、光安定剤、耐候安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、燃焼遅延剤、染顔料、潤滑剤および粘度調節剤など)を含有していてもよい。
 次いで、熱可塑性液晶ポリマーの紡糸方法について述べる。熱可塑性液晶ポリマーは、ノズルを通過する時のせん断速度を10~10sec-1とすると、紡糸時に著しい分子配向が生じるため、通常のポリエチレンテレフタレート紡糸原糸などに行われている紡糸後の延伸を行なわなくとも、紡糸原糸のままで強度8cN/dtex以上、弾性率200cN/dtex以上の繊維となる。本発明にいうせん断速度γは、円形ノズルの場合は次式により求めることが出来る。
 γ=4Q/πr(sec-1
但し r:ノズルの半径(cm)
 Q:単孔当たりのポリマー吐出量(cm/sec)
 なお、紡糸原糸は、必要に応じて、熱処理することにより強度・弾性率を更に向上させてもよい。この際の熱処理は、Mp未満の温度で行われ、例えば、(Mp-80)℃~(Mp-1)℃程度、好ましくは(Mp-60)℃~(Mp-10)℃程度の温度条件で行なうのが好ましい。本発明の液晶ポリマーの融点は熱処理温度を上げるに従い上昇するので、熱処理方法としては段階的に温度を上昇させながら熱処理する方法が好ましい。
 熱処理雰囲気としては、窒素、アルゴン等の不活性ガスや空気等の活性ガス、あるいはそれらを組み合わせた雰囲気などが好適に用いられる。また上記熱処理を減圧下で行っても何等差し支えない。例えば、このような全芳香族ポリエステル繊維は、(株)クラレから「ベクトラン(登録商標)」として上市されている。
(フィラメントの集束工程)
 前述のようにして得られたフィラメントは、次いで、集束工程において、加撚および/または製紐により集束され、集束体となる。なお、集束工程で用いられるフィラメントは、モノフィラメントであってもよいし、複数本のフィラメントからなるマルチフィラメントであってもよく、フィラメントは、同一径のフィラメントが用いられてもよいし、異なる径のフィラメントが組み合わさって用いられてもよい。
 隣接するフィラメント間の接着性を向上させる観点からは、擬似モノフィラメント糸を形成する各フィラメントの単繊維繊度は細い方が好ましく、例えば、単繊維繊度は、1~20dtex程度、好ましくは1.5~15dtex程度、さらに好ましくは2~10dtex程度であってもよい。また、擬似モノフィラメント糸を構成する各フィラメントの単繊維繊度は、同一であっても異なっていてもいずれでもよい。なお、単繊維繊度は、後述する実施例に記載した方法により測定される。
 加撚工程では、公知または慣用の加撚方法を利用することができ、例えば、リング撚糸機、ダブルツイスターまたはイタリー式撚糸機など公知の撚糸機を用いて行うことができる。
 加撚の形態としては、フィラメントを1本または2本以上引き揃えて、SまたはZ方向に加撚した片撚り糸であってもよいし、このような片撚り糸を2本以上引き揃えてさらに上撚りをかけた諸撚り糸であってもよい。
 本工程における撚りの程度は、フィラメントの単繊維繊度に応じて適宜決定することができる。例えば、隣接するフィラメント同士を接着できる接着面を形成できるとともに、フィラメント間に空隙部分を形成できる観点から、例えば撚り回数は、30~300回/m程度、好ましくは40~200回/m程度、さらに好ましくは50~150回/m程度であってもよい。
 なお、諸撚り糸などのように、複数段階に亘って撚りを掛けている場合、上述の撚り回数は、複数段階のうち、少なくとも一つの段階で掛けられる撚り回数が上記の撚り回数を満たしていればよいものとする。
 また、集束体全体において、例えば、撚係数(K)は、0.5~4.0程度、より好ましくは約0.7~3.5程度、さらに好ましくは約1.0~2.0程度であってもよい。
 なお、撚係数Kは次式:K=t×D1/2(但し、t:撚り回数(回/m)、D:繊度(tex)を表す。)より算出され、繊度(tex)は、後述する実施例に記載した方法により測定される値から換算することができる。
 また、製紐工程でも、公知または慣用の製紐方法を利用することができ、例えば、公知の組紐機(製紐機)を用いて行うことができる。
 製紐の形態としては、複数本(例えば、4本、8本、12本または16本)のフィラメントを交互に編組みして製紐してもよいし、芯糸を定めると共に、芯糸の周りを複数本のフィラメントで製紐してもよい。なお、製紐に用いるフィラメントは、予め撚りがかけられていてもよい。
(無延伸加熱工程)
 前述のようにして形成されたフィラメントの集束体は、さらに無延伸下、集束体の横断面において、フィラメント同士の接触部分および非接触部分が集束体内部に混在している状態での加熱工程を経て、隣接するフィラメントの接触表面を融着させて一体化する。
 加熱工程では、例えばフィラメント集束体を、不活性雰囲気下または活性雰囲気下で熱処理する。なお、不活性雰囲気下とは、窒素、アルゴン等の不活性ガス中あるいは減圧下を意味し、酸素等の活性ガスが0.1体積%以下であることをいう。また活性雰囲気下とは、酸素等の活性ガスを1体積%以上含んでいる雰囲気を言い、好ましくは10体積%以上の酸素含有気体であり、コスト的には空気を用いることが好ましい。水分が存在すると加水分解反応も併行して進行するので、露点が-20℃以下,好ましくは-40℃以下の乾燥気体を使用する。
 熱処理の温度条件は、繊維間の接着性が可能であればよく、溶融紡糸前のポリマ-の熱変形温度Tdef(℃)に対して、Tdef以上であることが必要であり、例えばTdefから(Tdef+85)℃程度、好ましくは(Tdef+5)~(Tdef+75)℃程度であってもよい。ポリマーの熱変形温度は、後述する実施例に記載した方法により測定される値である。
 また、繊維間の接着性を高める観点から、熱処理の温度条件は、溶融紡糸前のポリマ-の融点Mp(℃)に対して、例えば、Mp以上であってもよく、例えばMpから(Mp+35)℃程度、好ましくは(Mp+5)~(Mp+25)℃程度であってもよい。ポリマーの融点は、後述する実施例に記載した方法により測定される値である。このような加熱処理は、一定の温度で行っても良いし、順次昇温してもよい。
 また、熱処理時間は、擬似モノフィラメント糸の一体化をすすめる一方で、各フィラメントが互いに完全に溶着して、その結果たわみ性が低下するのを防ぐ観点から、例えば、6~24時間程度、好ましくは8~20時間程度、より好ましくは10~18時間程度であってもよい。
 特筆すべきは、前記加熱工程は、無延伸下、集束体の横断面において、フィラメント同士の接触部分および非接触部分が集束体内部に混在している状態で行われることである。本発明で用いられる熱可塑性液晶ポリマーフィラメントでは、融着と共に固相重合が発生するためか、無延伸下、すなわちリラックス下で加熱処理を行うことにより、互いに接しているフィラメントの接触面の結合性を向上することができるとともに、非接触面ではフィラメントの結合を防ぐことができる。そして、強固な結合面とともに、フィラメント間に空隙が存在することで、フィラメント間の可動性を維持することができ、強度と剛性の双方を両立することができる。
 無延伸下での加熱処理は、フィラメントを延伸させない限り特に限定されず、フィラメントの緊張下あるいは無緊張下で行ってもよい。また、フィラメントの横断面において、フィラメント同士の接触部分と非接触部分とをその内部に混在することができる限り、フィラメントの集束体を収縮させた状態で加熱処理を行ってもよい。
 具体的には、加熱処理の際のフィラメント集束体は、その時の形状は、カセ状、チーズ状、ボビン状、トウ状(金網等にのせて処理する)であってもよいし、あるいは加熱処理は、フィラメント集束体をローラ間の連続処理によって行なってもよい。より詳細には、例えば、ボビン状では、フィラメント集束体をボビンに巻き取った状態のパッケージを用いて加熱処理が行われる。
 好ましくは、加熱処理は、フィラメント集束体の一体化を進める一方で、前記集束体の内部でフィラメント同士が完全に癒着してしまうのを防止する観点から、実質的に無緊張下で行なうのが好ましい。この場合、フィラメントに対してかかる張力は、例えば、0.1cN/dtex以下であってもよく、好ましくは0.001~0.1cN/dtex程度、より好ましくは0.005~0.01cN/dtex程度であってもよい。
 また、熱処理工程は、目的に応じて、溶融紡糸して得られた溶融紡糸直後のフィラメントから形成されたアズスパンヤーンに対して行ってもよいし、紡糸原糸を熱処理した熱処理糸に対して行ってもよい。結合性を高める観点からは、紡糸原糸(アズスパンヤーン)に対して熱処理工程を適用するのが好ましい。
[擬似モノフィラメント糸の性質]
 このようにして得られた擬似モノフィラメント糸は、ポリマーに由来した耐熱性を有するだけでなく、強度と剛性とを両立させ、強さとしなやかさとをかねそろえている。擬似モノフィラメント糸の内部では、隣接するフィラメント同士が融着する融着部分と、フィラメント同士が融着していない空隙部分とが混在している。
 このような融着部分と空隙部分との混在により、本発明の擬似モノフィラメント糸では、耐熱性繊維において従来では不可能であった強度と剛性との両立を実現することができる。
 本発明の擬似モノフィラメント糸では、その横断面において融着部分と空隙部分との混在している限り、特に限定されないが、例えば、その一実施形態として、擬似モノフィラメント糸は、その全長にわたり、糸の中心部分は、糸の周縁部分と比べて、フィラメント同士が融着する部分を多く含んでいてもよいし、また、糸の周縁部分は、糸の中心部分と比べて、フィラメンと同士の空隙部分を多く含んでいてもよい。
 すなわち、このような実施形態では、中心部分に融着部分を多く存在させることで、擬似モノフィラメント糸の強度を高めることができ、周縁部分に空隙部分を多く存在させることで、擬似モノフィラメント糸の可撓性を高めることができる。
 なお、本発明において、中心部分、周縁部分とは以下のようにして定義される。すなわち、まず、擬似モノフィラメント糸の横断面において、擬似モノフィラメントの最大内接円を決定する。そして、その内接円の中心点から円周に向かう方向において、前記内接円の中心から半径40%以内に含まれる部分を中心部分とし、前記内接円の円周から中心点に向かう方向において、前記内接円の円周から半径40%以内に含まれる部分を周縁部分とする。
(擬似モノフィラメント糸の強度)
 例えば、擬似モノフィラメント糸では、室温下(例えば25℃)での強度が、12.0cN/dtex以上(例えば、12.5~50cN/dtex程度)、好ましくは15.0cN/dtex以上(例えば、15.5~45cN/dtex程度)、さらに好ましくは18.0cN/dtex以上(例えば、18.5~40cN/dtex程度)を示してもよい。なお、前記強度は、後述する実施例に記載した方法により測定される値である。
(擬似モノフィラメント糸の弾性率)
 前記擬似モノフィラメント糸は、室温下(例えば25℃)の弾性率が、200cN/dtex以上(例えば、250~1000cN/dtex程度)、好ましくは300cN/dtex以上(例えば、350~900cN/dtex程度)であってもよい。なお、前記弾性率は、後述する実施例に記載した方法により測定される値である。
(擬似モノフィラメント糸の剛性)
 さらに、本発明の擬似モノフィラメント糸は、強度とともに剛性(可撓性)をも兼ねそろえることが可能である。本発明の擬似モノフィラメント糸の撓み性を評価する指標として、下記に示す剛性(R:単位cm-1)を利用することができる。
 剛性(R)を求めるためには、まず、図1に示すように、所定の長さ(円周:25cm)の擬似モノフィラメント糸リング10の上端1を固定して宙吊りする。その際の、リング上端1から鉛直方向下向きのリング下端2までの外径の長さをA(単位:cm)し、前記リングの外径Aの二等分点Mにおける、前記鉛直方向と直交する方向のリングの外径をB(単位:cm)とする。
 次いで、このリングの下端2において、1g/440dtexの割合で錘Wをつるした際の、リング上端1からリング下端2までの外径の長さA’(単位:cm)とし、前記リングの外径A’の二等分点M’における、前記鉛直方向と直交する方向のリングの外径の長さB’(単位:cm)とする。
 このような条件下において、剛性(R)は、錘をリングにつるす前後の外径の変化率に基づいて、下記式(1)
   R=1/[(A’-A)+(B-B’)]   (1)
により評価することができる。
 なお、ここで、Rの値は、小さいほど撓み性がよく、擬似モノフィラメント糸がしなやかであることを示す。例えば、Rは、0.1cm-1以下、好ましくは0.005~0.09cm-1程度、さらに好ましくは0.01~0.085cm-1程度であってもよい。
 そして、本発明の擬似モノフィラメント糸では、剛性(R)を擬似フィラメント糸の繊度(F:単位dtex)で除した繊度当りの剛性が、例えば、下記式(2)の関係を満たしている。
   0.5≧R/F×10000     (2)
 より詳細には、R/F×10000は、0.45以下であればいいが、好ましくは0.01~0.45程度、さらに好ましくは0.05~0.40程度であってもよい。
(擬似モノフィラメント糸の伸度)
 擬似モノフィラメント糸の伸度は、糸を構成するフィラメントの単繊維繊度や糸全体の総繊度に応じて、適宜定められるが、例えば、3.0~6.0%程度、好ましくは3.1~5.0%程度であってもよい。なお、前記伸度は、後述する実施例に記載した方法により測定される値である。
(擬似モノフィラメント糸の耐疲労性)
 本発明の擬似モノフィラメント糸は、フィラメント間の接着面が強力に結合している一方で、可撓性も高いため、耐疲労性に優れる。例えば、屈曲疲労試験により求められる耐疲労性として、2000回以上(例えば、2000回~6000回程度)、好ましくは2500回以上(例えば、3000回~5000回程度)を示してもよい。なお、本発明でいう耐疲労性とは、屈曲疲労試験により求められる値であり、その測定方法については、以下の実施例に詳細に記載されている。
 以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより何等限定されるものではない。
[熱可塑性液晶ポリマーの対数粘度 ηinh
 試料を60℃のペンタフルオロフェノール溶液に0.1質量%溶解し、60℃の恒温槽中でウベローテ型毛管粘度計でηrelを測定し、下記式により求めた。なおCはポリマー濃度(g/dl)である。
ηinh=[ln(ηrel)]/C
[熱可塑性液晶ポリマーの熱変形温度]
 島津製作所製「TMA-50」を用いて、試料長を20mmとし、被測定試料重量1g当たり1gを付与し、昇温速度5℃/minにて室温から昇温し、急激な伸びが発生する温度を熱変形温度とした。該温度は、温度-伸度カーブより接線の交点をもって定義した。
[熱可塑性液晶ポリマーの融点]
 DSC装置(metrler社製TA3000)にサンプルを10~20mgとり、アルミ製パンへ封入した後、キャリヤ-ガスとしてNを100cc/分流し、昇温速度20℃/分で測定し、吸熱ピ-クの位置の示す温度を測定し、これを熱可塑性液晶ポリマーの融点とした。
[強度および弾性率:cN/dtex]
 JIS L 1013に準じ、各温度雰囲気下において、試長20cm、初荷重0.1g/d、引張速度10cm/minの条件で破断強伸度及び弾性率(初期引張抵抗度)を求め、5点以上の平均値を採用した。
[伸度:%]
 JIS L 1013に準じ、試長20cm、初荷重0.1g/d、引張速度10cm/minの条件で引張破断時の伸び率(%)を求め、5点以上の平均値を採用した。
[繊度および単繊維繊度:dtex]
 擬似モノフィラメント糸を、温度20℃および相対湿度65%の雰囲気下に5日間放置して調湿した後、調湿した擬似モノフィラメント糸の一定長(1000mm)を採取し、その質量を測定して繊度(dtex)を算出した。同じ擬似モノフィラメント糸について、前記と同じ測定操作を10回行い、その平均値を採って擬似モノフィラメント糸の繊度(dtex)とした。
 また、得られた繊度に対して、擬似モノフィラメント糸を形成するフィラメント数を除した商を、擬似モノフィラメント糸を構成するフィラメントの単繊維繊度とした。
[剛性:cm-1
 図1に示すように、所定の長さ(円周25cm)の擬似モノフィラメント糸リング10を作製した後、その上端1を固定して宙吊りする。その際の、リング上端1から鉛直方向下向きのリング下端2までの外径の長さをA(単位:cm)し、前記リングの外径Aの二等分点Mにおける、前記鉛直方向と直交する方向のリングの外径をB(単位:cm)とする。
 次いで、このリングの下端2において、1g/440dtexの割合で錘Wをつるし、リング上端1からリング下端2までの外径の長さをA’(単位:cm)とし、前記リングの外径Aの二等分点M’における、前記鉛直方向と直交する方向のリングの外径をB’(単位:cm)とする。
 このような条件で、錘をリングにつるす前後の外径の変化率に基づいて、下記式で表わされる
 R=1/[(A’-A)+(B-B’)]
に基づいて、剛性(R)を算出した。
[屈曲疲労性試験]
 図2に示す屈曲疲労性試験機において、定滑車4および動滑車5に対して、それぞれ擬似モノフィラメント糸3,3をかけ、2本の擬似モノフィラメント糸の両端をかしめた後、動滑車5に対して7500lbsfの荷重をかけるとともに、定滑車4を1分当たり6回、44インチストローク/回で往復させた。そして擬似モノフィラメント糸が切断に至るまでの往復回数を測定し、その回数をもって耐疲労性を評価した。
(実施例1)
(1)液晶ポリマーフィラメントの製造工程
 パラアセトキシ安息香酸(A)と2,6-アセトキシナフトエ酸(B)の仕込み比を7:3(モル比)とし、重合温度310℃でアセテート法による重合を行い、繰り返し構成単位(A)と(B)のモル比が7:3である全芳香族ポリエステルポリマー(ηinh=5.8、Tdef=240℃、Mp=280℃)を作製した。この全芳香族ポリエステルを単軸押し出し機を用いて紡糸温度315℃にて0.15mm径、300ホールの口金より巻取り速度2000m/分で紡糸し、1670dtex/300fの紡糸原糸を得た。
(2)擬似モノフィラメント糸の製造工程
 (1)で得られた紡糸原糸1670dtex/300fを2本用い、撚糸機で合糸(Z撚:80t/m)して3340dtexの合撚糸状のフィラメント集束体を製造した。そのフィラメント集束体を巻き張力0.007cN/dtexでボビンに巻き取りパッケージを作製し、続いてそのパッケージを300℃で12時間加熱することにより、擬似モノフィラメント糸を製造した。得られた擬似モノフィラメントの横切断面を示す走査型電子顕微鏡写真(倍率:120)を図3に示す。図3に示すように、擬似モノフィラメント糸内部では、強固に固着している箇所が存在する一方で、フィラメント間には空隙部分も存在していた。図3から明らかなように、得られた擬似モノフィラメント糸の横断面では、糸の中心部分は、糸の周縁部分よりもフィラメント同士が融着する部が多く、糸の周縁部分は、糸の中心部分よりも空隙部分を多く含んでいた。このような傾向は、糸の全長に亘って観察される。また、製造した擬似モノフィラメント糸の物性を表1に示す。
(実施例2)
 フィラメント集束体を加熱する加熱炉の温度を、250℃にする以外は実施例1と同様にして擬似モノフィラメント糸を製造した。製造した擬似モノフィラメント糸の物性を表1に示す。
(実施例3)
 フィラメント集束体を加熱する加熱炉の温度を、350℃にする以外は実施例1と同様にして擬似モノフィラメント糸を製造した。製造した擬似モノフィラメント糸の物性を表1に示す。
(実施例4)
 紡糸原糸を400dtex/160fとし、この原糸1本を撚り合わせてフィラメント集束体を形成する以外は、実施例1と同様にして擬似モノフィラメント糸を製造した。製造した擬似モノフィラメント糸の物性を表1に示す。
(実施例5)
 紡糸原糸を1500dtex/300fとし、この原糸1本を撚り合わせてフィラメント集束体を形成する以外は、実施例1と同様にして擬似モノフィラメント糸を製造した。製造した擬似モノフィラメント糸の物性を表1に示す。
(実施例6)
 紡糸原糸を1500dtex/300fとし、この原糸2本を撚り合わせて合撚糸状のフィラメント集束体を形成する以外は、実施例1と同様にして擬似モノフィラメント糸を製造した。製造した擬似モノフィラメント糸の物性を表1に示す。
(実施例7)
 紡糸原糸を1500dtex/300fとし、この原糸3本を撚り合わせて合撚糸状のフィラメント集束体を形成する以外は、実施例1と同様にして擬似モノフィラメント糸を製造した。製造した擬似モノフィラメント糸の物性を表1に示す。
(比較例1)
 パラアセトキシ安息香酸(A)と2,6-アセトキシナフトエ酸(B)の仕込み比を7:3(モル比)とし、重合温度310℃でアセテート法による重合を行い、繰り返し構成単位(A)と(B)のモル比が7:3である全芳香族ポリエステルポリマー(ηinh=5.8、Tdef=240℃、Mp=280℃)を作製した。この全芳香族ポリエステルを単軸押し出し機を用いて紡糸温度300℃にて0.35mm径、20ホールの口金より巻取り速度85m/分で紡糸し、660dtex/1fの紡糸原糸を得た。得られた紡糸原糸の横切断面を示す走査型電子顕微鏡写真(倍率:100)を図4に示す。図4に示すように、紡糸原糸内部には、空隙部分が存在していなかった。また、製造した紡糸原糸の物性を表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 表1に示すように、実施例1~7では、高い強度としなやかさを両立することができ、繊度当りのしなやかさの程度を示す剛性率は、幅広い繊度の擬似モノフィラメント糸のいずれにおいても低い値を示していた。また、いずれの擬似モノフィラメント糸も耐疲労性に優れており、3000回を超えて滑車を往復させても擬似モノフィラメント糸は切断されなかった。
 一方、モノフィラメントでは、強度は確保できるものの、剛性の値が高く、繊度当りの剛性率は高い値を示し、しなやかさに欠けていた。また、耐疲労性も実施例と比べて低く、実施例では切断されなかった1500回程度の往復回数で切断してしまった。
 本発明の擬似モノフィラメント糸は、熱可塑性液晶ポリマーから形成しているため、高い耐熱性を有すると共に、強度および剛性にも優れている。そのため、水産用、スポーツ、レジャー用、土木工事用、ロ-プ、コ-ド、釣糸、縫い糸、延糸などとして、好ましく利用できる。
 以上のとおり、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。

Claims (10)

  1.  複数本のフィラメントが一体化した擬似モノフィラメント糸を製造する方法であって、
     耐熱性の熱可塑性液晶ポリマーから溶融紡糸されたフィラメントを複数本準備する準備工程と、
     前記複数本のフィラメントを加撚および/または製紐により集束し、フィラメントの集束体を形成する集束工程と、
     前記フィラメントの集束体を、無延伸下、集束体の横断面において、フィラメント同士の接触部分および非接触部分が集束体内部に混在している状態で、前記熱可塑性液晶ポリマーの熱変形温度以上に加熱して、隣接するフィラメントの接触表面を融着させて一体化する加熱工程と、
    を備える、擬似モノフィラメント糸の製造方法。
  2.  請求項1において、加熱工程で、フィラメントの集束体を実質的に無緊張下で加熱処理する擬似モノフィラメント糸の製造方法。
  3.  請求項1または2において、加熱工程で、加熱処理が6~24時間行われる擬似モノフィラメント糸の製造方法。
  4.  請求項1~3のいずれか一項において、準備工程において準備されたフィラメントの単繊維繊度が1~20dtexである擬似モノフィラメント糸の製造方法。
  5.  請求項1~4のいずれか一項において、集束工程で、フィラメントが、撚り回数30~300回/mで集束される擬似モノフィラメント糸の製造方法。
  6.  複数本のフィラメントで構成された擬似モノフィラメント糸であって、
     前記フィラメントは耐熱性の熱可塑性液晶ポリマーで構成され、
     この擬似モノフィラメント糸の内部では、隣接するフィラメント同士が融着している融着部分と、隣接するフィラメント同士が融着していない空隙部分とが混在している擬似モノフィラメント糸。
  7.  請求項6において、熱可塑性液晶ポリマーの融点が、260~360℃である擬似モノフィラメント糸。
  8.  請求項6または7において、擬似モノフィラメント糸の引張強度が12.0cN/dtex以上である擬似モノフィラメント糸。
  9.  請求項6~8のいずれか一項において、擬似モノフィラメント糸の剛性(R:単位cm-1)と、擬似モノフィラメント糸の繊度(F:単位dtex)とから算出される剛性率(V)が、0.45以下である擬似モノフィラメント糸。
    [なお、ここでV=R/F×10000であり、Rは下記式(1)により求められ、
          R=1/[(A’-A)+(B-B’)]   (1)
    上記式(1)において、A,B,A’,B’は、以下に定義される値を示す。
     A(単位:cm):擬似モノフィラメント糸からなる円周25cmのリングにおいて、このリング上端を固定して宙吊りした際の、リング上端から鉛直方向下向きのリング下端までの外径;
     B(単位:cm):前記リングの外径Aの二等分点における、前記鉛直方向と直交する方向のリングの外径;
     A’(単位:cm):リング上端を固定するとともに、このリング上端に対して鉛直方向下向きに位置するリング下端において、1g/440dtexの割合で錘をつるした際の、リング上端から鉛直方向下向きのリング下端までの外径;
     B’(単位:cm):前記錘をリングにつるした状態において、前記外径A’を二等分する箇所における、前記鉛直方向と直交する方向のリングの外径]
  10.  請求項6~9のいずれか一項において、擬似モノフィラメント糸の剛性(R)が0.1cm-1以下である擬似モノフィラメント糸。
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