JP4024697B2 - 高弾性率コードおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高弾性率を有するコードに関するものであり、産業資材用途のコード、特にテンションメンバーとして用いられる用途において、高弾性率であり、かつ剛直性、軽量、非導電性、耐切創性、耐熱性、耐薬品性等に優れ、また折れにくく作業性が良好である等の特徴を有するものであり、光ファイバーコード、イヤホーンコード、電線支持体、搬送用ベルト、リードロープ(コード)、シャフト補強等の分野に利用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、産業資材用コードとしては、鋼線、単一ポリマーからなるモノフィラメント、マルチフィラメントを撚糸したもの、あるいは撚糸したマルチフィラメントを樹脂被覆したものが用いられていた。鋼線に関しては重い、導電性がある、他素材と被覆して用いたときの廃材処理問題等があるため、本発明の技術分野での使用は限られていた。単一ポリマーからなるモノフィラメント、マルチフィラメントを撚糸したもの、あるいは撚糸したマルチフィラメントを樹脂被覆したものに関しては弾性率が300cN/dtexを満足するコードが要求されている。単一ポリマーからなるモノフィラメントに関しては、ナイロン、ポリエステル等のものがあるが、弾性率が200cN/dtex以下と低く、要求性能を満足するものではなかった。唯一溶融液晶性ポリマーから得られるモノフィラメントに高弾性率のものがあるが、直径が0.2mm以上となると弾性率が低下し、300cN/dtex以上を達成することは困難であった。また溶融液晶性ポリマーから得られるモノフィラメントを使用した場合毛羽立ちが激しく、かつ折れやすいという問題もあり後加工に支障をきたしていた。このような問題を解決するための手段として、高弾性率を持つ全芳香族ポリエステル繊維やアラミド繊維等のマルチフィラメントを撚糸したものに熱硬化性の樹脂を含浸し、固める方法が提案されている。(例えば、特許文献1あるいは特許文献2参照。)。
しかし、これらの方法では、樹脂含浸という工程が必要であり、作業が煩雑なものとなっていた。また樹脂を繊維間に均一に含浸させ、かつ折れ難くするには、含浸樹脂量を多くする必要があるが、樹脂量が多くなると相対的に弾性率が低下するという問題があった。また、600cN/dtex以上の高弾性率繊維を使用することはコスト高となり、さらには十分な剛性を得るための安定製造が困難であるという問題点があった。
【0003】
【特許文献1】
特開平2−133347号公報
【特許文献2】
特開2000−199840号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題を解決するものであり、樹脂含浸工程を全く必要とせずに個々の単繊維の鞘部分を熱処理で融着させる方法により、低樹脂量で良好な接着性を有し、高強度、高弾性率でかつ剛性があり折れにくく、さらに耐摩耗性に優れる各種コードを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、芯成分が溶融液晶ポリマー、鞘成分が熱可塑性ポリマーからなり、芯成分の直径が20〜200μmであり、芯成分と鞘成分の面積比が芯:鞘=60:40〜90:10である芯鞘型複合繊維が複数本、張力下で熱融着された、弾性率が300cN/dtex以上、直径0.2〜3.0mmのコードであり、好ましくは芯成分は融点がS1℃の溶融液晶ポリマー、鞘成分は融点がS2℃の屈曲性の熱可塑性ポリマーであり、(S1−S2)≧0を満足する芯鞘型複合繊維で構成される上記のコードに関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のコードを構成する芯鞘型複合繊維の芯成分に用いられる溶融液晶ポリマーとは、溶融相において光学異方性(液晶性)を示すポリマーであり、例えば試料をホットステージにのせ、窒素雰囲気下で昇温加熱し、試料の透過光を観察することにより認定できる。本発明の溶融液晶ポリマーは、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸等から誘導される反復構成単位を有するものであるが、例えば下記化1及び化2の(1)〜(11)に示す繰り返し構成単位の組み合わせからなるポリマーが挙げられる。
【0007】
【化1】
Figure 0004024697
【化2】
Figure 0004024697
【0008】
上記の溶融液晶ポリマーにおいて、より好ましくは化1および化2に示される反復構成単位の組合せ(5)、(8)、(9)からなるポリマーであり、さらに好ましくは、(5)に相当するポリマーであって、下記化3の(B)の成分が4〜45モル%である芳香族ポリエステルである。
【0009】
【化3】
Figure 0004024697
【0010】
本発明で用いられる溶融液晶ポリマーは好ましくは250〜350℃、より好ましくは260〜320℃の融点を有するポリマーである。ここでいう融点とは、JIS K7121に準拠した試験方法により測定されるものであり、示差走査熱量計(DSC:例えばMettler社製TA3000)で観察される主吸熱ピークのピーク温度である。
【0011】
本発明の溶融液晶ポリマーに、本発明の効果を損なわない範囲内で、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステルエーテルケトン、フッ素樹脂等の熱可塑性ポリマーを添加してもよい。また酸化チタンやカオリン、シリカ、酸化バリウム等の無機物、カーボンブラック、染料や顔料等の着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、各種添加剤を添加してもよい。
【0012】
本発明のコードを構成する芯鞘型複合繊維の鞘成分に用いられる熱可塑性ポリマーとは、例えばポリオレフィン、ポリアセタール、ポリエステル、ポリアミド、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエステルケトン、フッ素樹脂等の熱溶融可能な屈曲性ポリマーであり、さらにはこれらのポリマーの混合物であってもよく、芯成分を構成する溶融液晶ポリマーの融点をS1℃、鞘成分を構成する屈曲性熱溶融ポリマーの融点をS2℃とするとき、(S1−S2)≧0となる条件を満たすものが好ましい。より好ましくは、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等であり、10≦(S1−S2)≦200を満たすものである。さらに好ましくはこれらに10〜30質量%の溶融液晶ポリマーをブレンドしたものである。
【0013】
本発明で用いる複合繊維は、公知の方法、例えば図1に示される構造のノズルを用いて芯鞘複合繊維が製造される。
芯鞘複合繊維において、芯の直径は20〜200μmであることが必要である。芯の直径が20μmに満たない場合は剛直性に劣り、折れやすいものとなる。一方、芯の直径が200μmを越えると溶融液晶分子が冷却中に緩和してしまうため、本発明の目的とする300cN/dtex以上の弾性率をもったコードを得ることができなくなる。好ましくは40〜150μmであり、より好ましくは60〜100μmである。また本発明の芯鞘型複合繊維の断面形状は円形であることがより好適であるが、例えば扁平形状等の異形断面であっても何等差し支えなく、異形断面の場合は一番短い部分の径を繊維径とする。
【0014】
本発明の芯鞘複合繊維における芯成分と鞘成分の割合は面積比で、芯:鞘=60:40〜90:10の範囲であることが必要である。芯成分の面積比が60未満では弾性率が低下し、本発明の目的とする300cN/dtex以上の弾性率を達成しない。一方、芯成分の面積比が90を越えると接着が不十分となり、また剛性不足となり折れやすいという問題が生じる。好ましくは芯:鞘=70:30〜85:15の範囲である。
【0015】
本発明の芯鞘複合繊維は公知の複合紡糸法で製造されるが、高弾性率を得るためにはノズル通過時の剪断速度SVが10sec−1以上10sec−1以下、ドラフトDRが10以上40以下の条件を満足することが好ましい。
剪断速度SVが10sec−1未満の場合は剪断シェア−が小さく、溶融液晶高分子を十分配向させることができない。一方剪断速度SVが10sec−1を越えると圧損が大きくなりすぎて、実質的に紡糸ができなくなる。より好ましい範囲は10sec−1以上5×10sec−1以下である。
またドラフトDRが10未満では配向緩和が促進され、本発明で目的とする弾性率300cN/dtex以上を満足するコードが得られない。一方、ドラフトDRが40を越えると、紡糸時に断糸が生じ、繊維が安定に製造できなくなる。より好ましい範囲は15以上30以下である。なお本発明でいう剪断速度SVとは、ノズル半径をr(cm)、単孔あたりのポリマー流量をQ(cm/sec)とするとき、SV=4Q/πrの関係式により求められる。また本発明でいうドラフトDRとは、ノズルからの射出速度V(m/min)と引取速度V(m/min)とするとき、DR=V/Vの関係式により求められる。
【0016】
紡糸した繊維はモノフィラメントまたはマルチフィラメントとして巻き取ってもよい。この繊維束を目的のコード径となるように引き揃え、張力下で熱処理して0.2〜3.0mmφの1本のコードとする。引き揃えの手段としては単純集束でもよいが、合糸撚糸することが有効である。合糸撚糸する際、好ましい撚数20〜80回/mである。
【0017】
本発明において、上記モノフィラメントあるいはマルチフィラメントの鞘成分を熱融着して剛性のあるコードにする方法、いわゆる熱セットを行うことが必要である。ここでいう熱セットとは、具体的には集束または合撚した糸条を張力下で鞘成分の融点以上の温度でセットし熱融着させる方法である。張力下で熱セットを行うことにより、弾性率を向上させることができる。また熱セット時にコード径のオリフィスを通過させて行うことが好ましい。このような熱セットにより気泡が含まず剛性があり、折れにくいコードを製造することができる。
【0018】
本発明においては、紡糸、集束、撚糸した糸条をそのまま熱セットしてもよいが、強度と弾性率を向上させるために、予め固相重合することが好ましい。固相重合において、熱処理雰囲気は露点温度が−80℃以下の低湿気体が好ましく、具体的には窒素等のガスや除湿空気等の活性ガス中、減圧下にて行うことが好ましい。また好ましい熱処理条件としては、芯成分の融点−50℃以下から融点近傍まで順次昇温する温度パターンが挙げられる。熱の供給は、気体の媒体を用いる方法、加熱板、赤外線ヒーター等により輻射を利用する方法、高周波等を利用した内部加熱方法等がある。処理形状はカセ状、トウ状(例えば金属網等にのせて行う)、ボビンに巻いた状態あるいはローラー間で連続的に処理することも可能である。処理時間は目的により異なるが、5〜30時間行うことが好ましい。一般的に、このような処理により強度は2倍以上、弾性率は20%以上向上させることができる。
【0019】
本発明のコードは、各種のテンションメンバー、リードケーブル、鋼鉄ワイヤー代替分野、ジオグリット分野で使用される。特に、光ファイバーのテンションメンバーとして有効に使用される。
【0020】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお以下の実施例において、ポリマーの融点、ポリマー溶融粘度、対数粘度、繊維強度、弾性率、剛直性、最小曲げ径は下記の方法により測定したものを示す。
【0021】
[ポリマーの融点 ℃]
サンプル10〜20mg採取し、アルミ製パンへ封入した後、示差走査熱量計(DSC:Mettler社製TA3000)にてキャリアーガスとして窒素を100ml/分の流量にて注入しながら、昇温速度20℃/分で昇温したときの吸熱ピーク温度を測定する(1st Run)。ポリマーの種類により上記1st Runで明確な吸熱ピークが出現しない場合、50℃/分の昇温速度で、予想される流れ温度より50℃高い温度まで昇温し、その温度で3分間以上保持し完全に溶融した後、80℃/分の降温速度で50℃まで冷却し、しかる後20℃/分の昇温速度で吸熱ピークを測定する。
【0022】
[溶融粘度 Pa・s]
溶融温度300℃、剪断速度1000sec−1の条件で東洋精機製キャピログラフ1B型を用いて測定した。
【0023】
[対数粘度 ηinh
ポリマー試料をペンタフルオロフェノールに0.1質量%溶解し(60〜80℃)、60℃の恒温槽中で、ウベローデ型粘度計で相対粘度(ηrel)を測定し、次式によって計算した。
ηinh=ln(ηrel)/c
ここでcはポリマー濃度(g/dl)である。
【0024】
[繊維強度、弾性率 cN/dtex]
JIS L1013に準拠し、試長20cm、初荷重0.1g/d、引張速度10cm/minの条件にて測定し、5点以上の平均値を採用した。
【0025】
[剛直性 g]
図2に示す装置にコードをセットし、30mm間で4mm降下させたときの荷重を測定する。
【0026】
[最小曲げ径 mm]
コードでループを作り、ループをゆっくりと小さくしていき、折れた時の径を測定した。
【0027】
[実施例1]
(1)芯成分のポリマーには前記化3で示した構成単位(A)と(B)がモル比にて(A)/(B)=73/27である溶融異方性芳香族ポリエステル(融点281℃、溶融粘度42.5Pa・s、ηinh=4.38dl/g)を用い、鞘成分のポリマーとしては、PEN(融点266℃、極限粘度[η]=0.61、溶融粘度300Pa・s)を用いて、芯と鞘の面積比80:20になるように、図1の構造を有する口金より紡糸温度305℃、巻き取り速度1000m/分にて、表1に示すような1760dtex/32フィラメントのマルチフィラメントを紡糸した。
(2)このマルチフィラメントに36回/mの撚りを加え、ボビンに巻き取り、250℃で2時間、さらに260℃で10時間窒素ガス雰囲気中で熱処理した。得られた熱処理糸を、ローラー間にある290℃の熱風炉中で10秒間熱セットした。このときの張力は4.2kgとした。得られたコードの性能を表1に示す。
【0028】
[実施例2]
実施例1で得られたマルチフィラメントに対し熱処理を行わず、266℃の熱風炉で10秒間熱セットした。得られたコードの性能を表1に示す。
【0029】
[実施例3]
(1)芯成分のポリマーには実施例1と同じ溶融異方性芳香族ポリエステルを用い、鞘成分のポリマーとしては、実施例1と同じPENポリマーと実施例1の芯成分に用いた溶融異方性芳香族ポリエステルポリマーを80:20にブレンドしたものを用いて、芯と鞘の面積比が90:10となるように、紡糸温度305℃、巻き取り速度1000m/分にて、表1に示すような1700dtex/68フィラメントのマルチフィラメントを紡糸した。
(2)このマルチフィラメントに60回/mの撚りを加え、ボビンに巻き取り、200℃で2時間、250℃で4時間、さらに260℃で10時間窒素ガス雰囲気中で熱処理した。得られた熱処理糸を、ローラー間にある290℃の熱風炉中で10秒間熱セットした。このときの張力は4.5kgとした。得られたコードの性能を表1に示す。
【0030】
[実施例4]
(1)芯成分のポリマーには実施例1と同じ溶融異方性芳香族ポリエステルを用い、鞘成分のポリマーとしては、実施例1と同じPENを用いて、芯と鞘の面積比75:25になるように、紡糸温度310℃、巻き取り温度800m/分にて、表1に示すような1710dtex/20フィラメントのマルチフィラメントを紡糸した。
(2)このマルチフィラメントに30回/mの撚りを加え、ボビンに巻き取り、200℃で2時間、250℃で4時間、さらに260℃で10時間窒素ガス雰囲気中で熱処理した。得られた熱処理糸を、ローラー間にある290℃の熱風炉中で10秒間熱セットした。このときの張力は3.7kgとした。得られたコードの性能を表1に示す。
【0031】
[実施例5]
(1)芯成分のポリマーには実施例1と同じ溶融異方性芳香族ポリエステルを用い、鞘成分のポリマーとしては、ポリエチレン(分子量約20万、融点127℃)と実施例1の芯成分に用いた溶融異方性芳香族ポリエステルポリマーを80:20にブレンドしたものを用いて、芯と鞘の面積比75:25となるように、紡糸温度310℃、巻き取り速度800m/分にて、表1に示すような1710dtex/20フィラメントのマルチフィラメントを紡糸した。
(2)このマルチフィラメントに30回/mの撚りを加え、ボビンに巻き取り、200℃で2時間、250℃で4時間、さらに260℃で10時間窒素ガス雰囲気中で熱処理した。熱処理条件はポリエチレンの融点よりかなりの高温であったが、溶融異方性芳香族ポリエステルポリマーをブレンドしていたため、膠着も少なく、製造に支障はなかった。得られた熱処理糸を、ローラー間にある220℃の熱風炉中で10秒間熱セットした。このときの張力は3.7kgとした。得られたコードの性能を表1に示す。
【0032】
[比較例1]
(1)実施例1と同じ溶融異方性芳香族ポリエステルを用い、紡糸温度310℃、巻き取り速度100m/分にて、表1に示すような1700dtexのモノフィラメントを紡糸した。
(2)このモノフィラメントをボビンに巻き取り、200℃で2時間、250℃で4時間、さらに280℃で10時間窒素ガス雰囲気中で熱処理した。得られたモノフィラメントの性能を表1に示す。
(3)このモノフィラメントの紡糸においては、配向緩和が生じるため、本発明の目的である弾性率300cN/dtex以上は得られなかった。
【0033】
[比較例2]
(1)芯成分のポリマーには実施例1と同じ溶融異方性芳香族ポリエステルを用い、鞘成分のポリマーとしては、実施例1と同じPENを用い、芯と鞘の面積比95:5となるように紡糸温度305℃、巻き取り速度1000m/分にて、表1に示すような1670dtex/30フィラメントのマルチフィラメントを紡糸した。
(2)このマルチフィラメントに30回/mの撚りを加え、実施例3と同様の方法で熱処理した。得られた熱処理糸を、ローラー間にある290℃の熱風炉中で10秒間熱セットした。このときの張力は4.2kgとした。得られたコードの性能を表1に示す。
(3)このマルチフィラメントの弾性率は良好であるが、芯成分の面積比が90%よりも大きいため、剛性が低く、また融着が十分ではなく、ループ状の肌分かれがあった。また最小径も大きく、折れやすいものであった。
【0034】
[比較例3]
(1)芯成分のポリマーには実施例1と同じ溶融異方性芳香族ポリエステルを用い、鞘成分のポリマーとしては、実施例1と同じPENを用い、芯と鞘の面積比45:55となるように紡糸温度305℃、巻き取り速度1000m/分にて、表1に示すような1670dtex/14フィラメントのマルチフィラメントを紡糸した。
(2)このマルチフィラメントに30回/mの撚りを加え、比較例2と同様の条件で熱処理、熱セットした。得られたコードの性能を表1に示す。
(3)このマルチフィラメントは芯成分の割合が少ないため、弾性率が低いものであった。
【0035】
[比較例4]
(1)芯成分のポリマーには実施例1と同じ溶融異方性芳香族ポリエステルを用い、鞘成分のポリマーとしては、実施例1と同じPENを用い、芯と鞘の面積比65:35、芯成分の繊維径が15μmとなるようにし、紡糸温度305℃、巻き取り速度1000m/分にて、表1に示すような1670dtex/44フィラメントのマルチフィラメントを紡糸した。
(2)このマルチフィラメントに30回/mの撚りを加え、比較例2と同様の条件で熱処理、熱セットした。得られたコードの性能を表1に示す。
(3)このマルチフィラメントは芯成分の繊維径が20μmよりも小さいため、剛性が低く、最小半径からもわかるように折れやすいコードであった。
【0036】
[比較例5]
(1)芯成分のポリマーには実施例1と同じ溶融異方性芳香族ポリエステルを用い、鞘成分のポリマーとしては、実施例1と同じPENを用い、芯と鞘の面積比70:30、芯成分の繊維径が230μmとなるようにし、紡糸温度305℃、巻き取り速度1000m/分にて、表1に示すような1663dtex/2フィラメントのマルチフィラメントを紡糸した。
(2)このマルチフィラメントに30回/mの撚りを加え、比較例2と同様の条件で熱処理、熱セットした。得られたコードの性能を表1に示す。
(3)このマルチフィラメントは芯成分の繊維径が200μmよりも大きいため、弾性率が低いものであった。
【0037】
【表1】
Figure 0004024697
【0038】
【発明の効果】
本発明の芯成分が溶融液晶ポリマー、鞘成分が熱可塑性ポリマーからなる芯鞘型複合繊維で構成されたコードは樹脂含浸工程を必要とせずに単繊維の鞘成分を熱処理で融着させる方法であるため、低樹脂量で良好な接着性を示し、高弾性率でかつ剛性があり折れにくく、耐摩耗性に優れるという特徴を有する。本発明のコードはロープ、ケーブル、テンションメンバー、FRC、FRP、防弾チョッキ等の幅広い用途に特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられる口金の具体例。なお図中Aポリマーは芯成分のポリマー、Bポリマーは鞘成分のポリマーを示す。
【図2】本発明のコードの剛直性評価装置の模式図。
【符号の説明】
1;フリーローラー
2;4mm降下させるフリーローラー
3;おもり(荷重10g)
4;試験コード
5;コードの固定部分

Claims (2)

  1. 芯成分が溶融液晶ポリマー、鞘成分が熱可塑性ポリマーからなり、芯成分の直径が20〜200μmであり、芯成分と鞘成分の面積比が芯:鞘=60:40〜90:10である芯鞘型複合繊維が複数本、張力下で熱融着された、弾性率が300cN/dtex以上、直径0.2〜3.0mmであるコード。
  2. 芯成分は融点がS1℃の溶融液晶ポリマー、鞘成分は融点がS2℃の屈曲性の熱可塑性ポリマーであり、(S1−S2)≧0を満足する芯鞘型複合繊維で構成される請求項1記載のコード。
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