JP4661528B2 - 耐摩耗性の改善された高強度繊維の製造方法 - Google Patents

耐摩耗性の改善された高強度繊維の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐摩耗性、耐疲労性、耐熱性に優れた高強力を有する複合繊維の製造法に関するものであり、本製造法によって製造される繊維の利用分野は、一般産業用資材、特にロープ、ゴム補強、ジオテキスタイル、FRC用途、コンピューターリボン、プリント基盤用基布、エアーバッグ、バッグフィルター、スクリーン紗等に幅広く活用されるものであり、特に耐摩耗性を重要視される分野において好適に用いることが出来る。
溶融液晶形成性ポリエステル(A)の繊維は、分子鎖が繊維軸方向に高度に配向しているために、高強度高弾性率を有することが知られている。しかしながら、繊維軸に直角な方向では弱い分子間力が働くのみであるため、摩擦により容易にフィブリルが発生しトラブルの原因となっていた。また、キンクバンドや座屈現象が発生し易く、かつそれが局所に集中する傾向があることから耐疲労性の低いものであった。これらの欠点を改善する目的で、屈曲性熱可塑性樹脂(B)を複合した芯鞘構造やさらに鞘成分や繊維全体をアロイ化した芯鞘複合繊維が提案されている。(特許文献1〜3)
しかしながら、さらなる高強度化のために融点近くの温度で固相重合をするため、複合された屈曲性熱可塑性樹脂(B)の結晶化が進み脆くなってしまうため、耐摩耗性向上には限界があった。
一方、釣糸や漁網、草刈り機用モノフィラメントなどの分野では、延伸後のモノフィラメントに融点以上の熱を加え表層の配向緩和を促進して耐摩耗性や結節強度を改善する方法が提案されている。(特許文献4〜8)
しかしながら該方法では、繊維径が細くなるほど熱処理の影響が中央部にまで到達し十分な引張強度と耐摩耗性、結節強度の両立が難しいことが問題であった。
特開平4−272226号公報(特許請求の範囲) 特開平8−260249号公報(特許請求の範囲) 特開2003−239137号公報(特許請求の範囲) 特開昭60−231815号公報(特許請求の範囲) 特開昭61−152810号公報(特許請求の範囲) 特開昭61−170310号公報(特許請求の範囲) 特開平5−148707号公報(特許請求の範囲) 特開平8−158151号公報(特許請求の範囲)
本発明は、耐摩耗性の改善された溶融液晶形成性ポリエステル(A)繊維において、従来の高強度化技術では溶融液晶形成性ポリエステル(A)に複合される屈曲性熱可塑性樹脂の結晶化が進むことによる耐摩耗性の低下を抑制すると共に、従来の耐摩耗性改善のための熱処理方法ではなしえなかった細繊度にも対応出来る新たな耐摩耗性改善技術を提供するものである。
そこで本発明者らは上記の課題を解決すべく検討した結果、単独の溶融液晶形成性ポリエステル繊維は融点以上に温度を上げても配向緩和する時間が長く、強度保持性が高いことを見出し、少なくとも屈曲性熱可塑性樹脂が繊維表層に露出している複合繊維を適切な温度、時間で熱処理を行うことにより、溶融液晶形成性ポリエステルの高強度はそのままに屈曲性熱可塑性樹脂の配向緩和やさらには非晶化が進行することで、耐摩耗性が大幅に改善出来ることを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、下記より構成されるものである。
(1)溶融液晶形成性ポリエステル(A)と屈曲性熱可塑性樹脂(B)からなり、少なくとも屈曲性熱可塑性樹脂(B)が繊維表層に露出している複合繊維を、屈曲性熱可塑性樹脂(B)の融点+20℃以上の温度、かつ0.001秒以上5秒以下の時間で高温短時間熱処理することを特徴とする耐摩耗性の改善された高強度繊維の製造方法。
(2)高温短時間熱処理が、溶融液晶形成性ポリエステル(A)と屈曲性熱可塑性樹脂(B)のどちらか低い融点以下の温度での固相重合後に行われることを特徴とする請求項1記載の耐摩耗性の改善された高強度繊維の製造方法。
(3)溶融液晶形成性ポリエステル(A)が島、屈曲性熱可塑性樹脂(B)が海の海島構造であることを特徴とする(1)、または(2)記載の高強度繊維の製造方法。
(4)溶融液晶形成性ポリエステル(A)が芯成分、屈曲性熱可塑性樹脂(B)が鞘成分の芯鞘構造体であることを特徴とする(1)、または(2)記載の高強度繊維の製造方法。
(5)複合繊維が芯鞘構造体であり、さらに該鞘成分が溶融液晶形成性ポリエステル(A)が島、屈曲性熱可塑性樹脂(B)が海の海島構造であることを特徴とする(1)、または(2)および(4)のいずれか1項記載の高強度繊維の製造方法。
(6)複合繊維がモノフィラメントであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の高強度繊維の製造方法。
本発明は、耐摩耗性の改善された溶融液晶形成性ポリエステル繊維において従来の高強度化技術では、溶融液晶形成性ポリエステル(A)に複合される屈曲性熱可塑性樹脂(B)の結晶化が進むことによる耐摩耗性の低下を抑制すると共に、従来の耐摩耗性改善のための熱処理方法ではなしえなかった細繊度にも対応出来る新たな耐摩耗性改善技術を提供するものであり、本発明によって製造される繊維の利用分野は、一般産業用資材、特にロープ、ゴム補強、ジオテキスタイル、FRC用途、コンピューターリボン、プリント基盤用基布、エアーバッグ、バッグフィルター、スクリーン紗等に幅広く活用されるものであり、特に耐摩耗性を重要視される分野において好適に用いることが出来る。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明に用いられる溶融液晶形成性ポリエステル(A)とは、加熱して溶融した際に光学的異方性を呈するポリエステルを指す。この特性は、例えば、試料をホットステージにのせ、窒素雰囲気下で昇温加熱し、試料の透過光を観察することにより認定できる。
本発明に用いられる溶融液晶形成性ポリエステル(A)としては、A.芳香族オキシカルボン酸の重合物、B.芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオール、脂肪族ジオールの重合物、C.AとBとの共重合物などがあげられる。また、溶融液晶形成性ポリエステル(A)の重合処方は従来公知の方法を用いることができる。
ここで芳香族オキシカルボン酸としては、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸など、または上記芳香族オキシカルボン酸のアルキル、アルコキシ、ハロゲン置換体などがあげられる。芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸など、または上記芳香族ジカルボン酸のアルキル、アルコキシ、ハロゲン置換体などがあげられる。
芳香族ジオールとしては、ハイドロキノン、レゾルシン、ジオキシジフェニール、ナフタレンジオールなど、または上記芳香族ジオールのアルキル、アルコキシ、ハロゲン置換体などがあげられる。脂肪族ジオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどがあげられる。
そして、本発明においては、前記のモノマーなどを重合したポリエステルを広く用いることができる。その好ましい例として、p−ヒドロキシ安息香酸成分とエチレンテレフタレート成分とが共重合されたもの、p−ヒドロキシ安息香酸成分と4,4−ジヒドロキシビフェニルとテレフタル酸および/またはイソフタル酸とが共重合されたもの、p−ヒドロキシ安息香酸成分と6−ヒドロキシ2−ナフトエ酸成分とが共重合されたもの、p−ヒドロキシ安息香酸成分と6−ヒドロキシ2−ナフトエ酸成分とハイドロキノンとテレフタル酸とが共重合されたものなどを用いることができる。
本発明に用いられる溶融液晶形成性ポリエステル(A)は、紡糸に用いる樹脂の融点(以下MP)が260〜360℃の範囲のものが好ましく、さらに好ましくはMPが270〜350℃のものである。MPの測定は、示差走査熱量計(TA instruments社製DSC2920)で観察される主吸熱ピークがあらわれる温度を測定することにより行った。
本発明に用いられる屈曲性熱可塑性樹脂(B)としては、例えばポリエステル、ポリオレフィンやポリスチレンなどのビニル系重合体、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、芳香族ポリケトン、脂肪族ポリケトン、半芳香族ポリエステルアミド、ポリエステルエーテルケトン、フッ素樹脂などが挙げられる。
これらの屈曲性熱可塑性樹脂(B)の中でも、高耐熱性、耐溶剤性等の特性から、ポリフェニレンスルフィドが好ましい。
また、接着性の点から、好ましくはナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン6T、ナイロン9Tなどに代表されるポリアミドが挙げられる。
さらに、耐摩耗性の点から、好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレートなどに代表されるポリエステルが挙げられる、これらの中でも高耐熱性、熱分解特性などからポリエチレンナフタレートが特に好ましい。
本発明において、屈曲性熱可塑性樹脂(B)は20モル%、より好ましくは10モル%以下の割合で他の共重合成分を含むものであっても良い。例えば、ポリアミドに共重合可能な化合物には、ポリアクリル酸ソーダ、ポリNビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその共重合体、ポリメタアクリル酸およびその共重合体、ポリビニルアルコールおよびその共重合体、架橋ポリエチレンオキシド系樹脂などを挙げることができるがこれらに限られるものではない。また、ポリエステルに共重合可能な化合物には、酸性分としてテレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸などのジカルボン酸類、グリコール成分としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどを挙げることができるがこれらに限られるものではない。
本発明に用いられる溶融液晶形成性ポリエステル(A)および屈曲性熱可塑性樹脂(B)には、本発明の効果を損なわない範囲内で、各種金属酸化物、カオリン、シリカなどの無機物や、着色剤、艶消剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍光増白剤、末端基封止剤等の添加剤を少量含有しても良い。
本発明で用いられる溶融液晶形成性ポリエステル(A)と屈曲性熱可塑性樹脂(B)からなる複合繊維は少なくとも屈曲性熱可塑性樹脂(B)が繊維表層に露出していることが重要である。これは、屈曲性熱可塑性樹脂(B)が表層に出ていることにより溶融液晶形成性ポリエステル(A)のフィブリル化を抑制する効果が発揮されるからであり、それによって耐摩耗性の向上がはかられる。このとき、繊維表層に露出する屈曲性熱可塑性樹脂(B)の割合は50%以上が好ましく、より好ましくは70%以上である。繊維表層に露出する屈曲性熱可塑性樹脂の割合を50%以上とすることにより耐摩耗性の向上効果がより一層大きくなる。ここで、繊維表層に露出している屈曲性熱可塑性樹脂(B)の割合は、透過型顕微鏡(TEM)による横断面観察を行うことにより測定することが出来る。
本発明の熱処理による効果は、単独の溶融液晶形成性ポリエステル(A)繊維は融点以上に温度を上げても配向緩和する時間が長く、強度保持性が高いため、少なくとも屈曲性熱可塑性樹脂(B)が繊維表層に露出している複合繊維における屈曲性熱可塑性樹脂(B)部の配向緩和やさらには非晶化が進行する適切な温度、時間で熱処理を行うことにより、溶融液晶形成性ポリエステル(A)の強度を維持しつつ、屈曲性熱可塑性樹脂(B)の構造変化による耐摩耗性向上がそのまま複合繊維の耐摩耗性改善につながるものであり、さらには溶融液晶形成性ポリエステル(A)が存在することにより、屈曲性熱可塑性樹脂(B)を非晶状態まで構造変化させても糸切れや強度低下などの問題が発生しない。
本発明の熱処理は、屈曲性熱可塑性樹脂(B)の融点+20℃以上の温度で、かつ0.001秒以上5秒以下の時間での高温短時間熱処理である。屈曲性熱可塑性樹脂(B)の融点+20℃以上とすることで熱処理の効果が短時間で発生しやすくなるため溶融液晶形成性ポリエステル(A)の強度に対する影響が少なくてすむなど効率的に熱処理を行うことが出来る。熱処理温度は、一般的なヒータの温度範囲から好ましくは融点+20℃以上800℃以下、さらに好ましくは融点+30℃以上500℃以下である。
また、熱処理時間を0.001秒以上5秒以下とすることで、効率的な熱処理を保ちつつ繊維の溶断を防ぐことが出来る。熱処理時間は、好ましくは0.005秒以上2秒以下、さらに好ましくは0.01秒以上1秒以下である。
本発明で用いられる熱処理は、工程中での毛羽発生の抑制や均一な熱処理を行うため非接触熱処理が好ましい。また、好ましい熱源としては一般的なプレートヒータを用いたスリットヒータやレーザー加熱などを用いることが出来る。
本発明における熱処理は固相重合後に行われることが好ましい。固相重合によって結晶化が進んだ屈曲性熱可塑性樹脂(B)を熱処理により、配向緩和や非晶状態に戻すことにより本発明の効果がより発揮される。また、熱処理は固相重合に引き続き連続して行っても、一旦巻き取った後に行ってもよいが、屈曲性熱可塑性樹脂(B)の融点以上に加熱するため、金属ボビンに巻いて固相重合するバッチ式の固相重合方式の場合、巻き返し時や巻き返し後に熱処理を行うことが繊維間融着を防止するうえで好ましい。
本発明の製造法で用いる複合繊維は、溶融液晶形成性ポリエステル(A)が島、屈曲性熱可塑性樹脂(B)が海の海島構造であることが好ましい。屈曲性熱可塑性樹脂(B)を海成分とした海島構造とすることでより多くの屈曲性熱可塑性樹脂(B)が表層に露出することが可能となり熱処理による耐摩耗性向上につなげることが出来る。
海島構造複合繊維の製造法としては、海島複合用口金を用いる方法や溶融液晶性形成性ポリエステル(A)と屈曲性熱可塑性樹脂(B)を1軸混練機や2軸混練機で混練する一般的なブレンド、アロイ繊維の製造法や溶融液晶性樹脂との粘度比が大幅に違う屈曲性熱可塑性樹脂(B)を用いることによって相反転アロイ繊維とする製造法など公知の方法を用いることが出来る。
海島構造とする溶融液晶形成性ポリエステル(A)と屈曲性熱可塑性樹脂(B)の割合は特に規定されることはなく一般的な海島構造の複合割合で使用出来るが、高強度化と耐摩耗性を考えた場合溶融液晶形成性ポリエステル(A)が50%以上80%以下であることが好ましい。
海島構造の繊維横断面における島成分の数は特に限定されるものでなく、10〜100000程度が好ましい。海島複合口金の場合は複合部分での島数を変えることにより均一な径を持った島成分が形成される。また、ブレンド繊維の製造方法では混合比、溶融粘度等を変えることにより島数および島径の分布を調整できる。繊維強度、耐フィブリル性の点から島成分は微細であるのが好ましく、たとえば島成分の直径は0.1〜0.5μm程度とするのが好ましい。
さらに、本発明で用いる複合繊維は溶融液晶形成性ポリエステル(A)が芯成分、屈曲性熱可塑性樹脂(B)が鞘成分の芯鞘構造体であることが好ましい。芯鞘構造とすることで実質的に屈曲性熱可塑性樹脂(B)が繊維表層に配置されるため熱処理における効果が十分発揮される。このとき、鞘成分を屈曲性熱可塑性樹脂(B)と溶融液晶形成性ポリエステル(A)の海島構造とすることにより、鞘成分と芯成分の界面接着をより強固として剥離を防止することが出来るため好ましい。
芯鞘構造繊維の製造法としては、芯鞘用口金を用いる方法の他、一旦紡糸した糸にコーティングする方法などを用いることが出来る。
芯鞘構造における芯鞘比率は一般的な芯鞘比率で得あれば使用できるが、高強度、耐摩耗性を考えると芯成分の割合が50%以上85%以下であることが好ましい。さらに、芯鞘界面剥離を抑制するため芯成分の溶融液晶形成性ポリエステル(A)に鞘成分の屈曲性熱可塑性樹脂(B)と相溶性の高いポリマーをブレンドすることも可能である。
また、鞘成分を溶融液晶形成性ポリエステル(A)と屈曲性熱可塑性樹脂(B)の海島構造とする場合は溶融液晶形成性ポリエステル(A)成分を50%以下として繊維表層に屈曲性熱可塑性樹脂(B)の露出を増やし、耐摩耗性を向上させることが好ましい。
また、本発明では、屈曲性熱可塑性樹脂(B)が優先的に配向緩和、非晶化するためモノフィラメント対象であった従来技術とは異なりマルチフィラメントも熱処理により耐摩耗性向上が図れるが、均一性の観点からはマルチフィラメントは総繊度10dtex以上3000dtex以下が好ましく、さらにはモノフィラメントが好ましい。
適用可能なモノフィラメントの繊維径は10μmから2000μmが好ましく、さらに本発明の効果をより発揮させるためには10μmから100μmの細繊度モノフィラメントが好ましい。
また本発明の複合繊維の断面形状は特に限定されるものでは無く、通常の円形断面のみならず、△断面、Y字断面、□断面、十字断面、中空断面、C型断面、田型断面などいかなる異形断面も採用できる。スクリーン紗用途に用いる場合は均一なオープニングを得るため断面形状は円形が好ましい。
本発明に用いられる複合繊維の代表的な製造方法を以下に示す。
本発明に用いられる複合繊維は、例えばペレット状態にて、溶融液晶形成性ポリエステル(A)と屈曲性熱可塑性樹脂(B)を混合し、2軸エクストルーダーにより、溶融・混練して、公知の紡糸機より吐出し、冷却をしつつ一旦巻き取ることや溶融液晶形成性ポリエステル(A)と屈曲性熱可塑性樹脂(B)を別々のエクストルダーで溶融し芯鞘口金や海島口金などの複合口金を用いて、芯鞘、海島複合を行いつつ吐出し冷却をしつつ一旦巻き取ることにより複合原糸を得ることが出来る。この複合原糸を、好ましくは溶融液晶形成性ポリエステル(A)の融点―10℃の温度で固相重合を行い再度巻き取ることにより製造出来る。
本発明によって製造される繊維の利用分野は、一般産業用資材、特にロープ、ゴム補強、ジオテキスタイル、FRC用途、コンピューターリボン、プリント基盤用基布、エアーバッグ、バッグフィルター、スクリーン紗等に幅広く活用されるものであり、特に耐摩耗性を重要視される分野において好適に用いることが出来る。
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
[強伸度、弾性率]
JIS L1073(1965)に準じオリエンテック社製テンシロンUCT−100を用いて測定した。
[溶融粘度]
東洋精機社製キャピログラフ1Bを用いて測定した。
[耐摩耗性耐]
摩耗性の評価については、φ3mmの梨地の金属棒に接触角35°で糸(熱処理糸)をかけ、1.1cN/dtexの荷重をつるし、ストローク長30mm、速度100回/minで往復運動を与え、毛羽(剥離、フィブリル化)が発生した時点の往復回数を測定した。
実施例1〜4、比較例1
溶融液晶形成性ポリエステル(A)として、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位(1)と6−ヒドロキシ2−ナフトエ酸から生成した構造単位(2)からなり、構造単位(1)が全体の72モル%、構造単位(2)が28モル%を占める溶融液晶形成性ポリエステル(A)を用いた。この溶融液晶形成性ポリエステル(A)の融点は278℃で、測定温度300℃、剪断速度100sec−1での溶融粘度は110Pa・sであった。
屈曲性熱可塑性樹脂(B)としては、ポリエチレンナフタレートを用いた。このポリエチレンナフタレートの融点は266℃で、測定温度300℃、剪断速度100sec−1での溶融粘度は250Pa・sであった。
ペレット状態にて、溶融液晶形成性ポリエステル(A)とポリエチレンナフタレートを複合重量比60/40で混合し、2軸エクストルーダー(スクリュー径φ15mm)により、スクリュー回転数200rpmで溶融・混練して、ノズル径φ0.13mm、ノズル長0.26mm、4ホールの口金より紡糸温度310℃で吐出しモノフィラメントとして単糸毎に紡糸速度600m/minで巻き取り、7dtexのモノフィラメントを得た。このとき、吐出孔詰まり、吐出曲がりなど無く製糸性は良好であり、海島成分の樹脂構成については島成分が溶融液晶形成性ポリエステル(A)、海成分がポリエチレンナフタレートで構成されていた。
この紡糸原糸を250℃で6時間、260℃で12時間、窒素ガス雰囲気中で固相重合処理した。得られた固相重合糸は繊維間膠着が殆ど無く、解舒性は良好であった。
また、耐摩耗性の評価結果は210回であり、耐摩耗性評価後の糸表面を観察したところ、繊維横断面における表層の島成分が剥離している状態であった。
この糸を装置幅40mm、スリット巾4mm、熱処理長15mmの熱処理装置に温度と処理速度を種種変更して熱処理を行った。固相重合糸を比較例1として物性を表1に示す。
Figure 0004661528
実施例5〜8、比較例2
実施例1と同様な溶融液晶形成性ポリエステル(A)とポリエチレンナフタレートを用い、複合紡糸装置を用い、芯鞘口金を使用して芯成分が溶融液晶形成性ポリエステル(A)、鞘成分がポリエチレンナフタレートとなるように芯鞘比70/30複合して、ノズル径φ0.13mm、ノズル長0.26mm、4ホールの口金より紡糸温度310℃で吐出し各モノフィラメントとして単糸毎に紡糸速度600m/minで巻き取り、10dtexのモノフィラメントを得た。このとき、吐出孔詰まり、吐出曲がりなど無く製糸性は良好であった。この紡糸原糸を250℃で6時間、255℃で12時間、窒素ガス雰囲気中で固相重合処理した。
得られた固相重糸は繊維間膠着が殆ど無く、解舒性は良好であった。
また、耐摩耗性の評価結果は180回であり、耐摩耗性評価後の糸表面を観察したところ、鞘成分が削れ芯鞘界面剥離が起きていた。
この糸を装置幅40mm、スリット巾4mm、熱処理長40mmの熱処理装置に温度と処理速度を種種変更して熱処理を行った。固相重合糸を比較例2として物性を表2に示す。
Figure 0004661528
実施例9〜12、比較例3
鞘成分を重量比が溶融液晶形成性ポリエステル(A)/ポリエチレンナフタレート=10/90となるよう混練した樹脂を用いた以外は実施例5と同様な装置を用い、ノズル径φ0.13mm、ノズル長0.26mm、4ホールの口金より紡糸温度310℃で吐出し各モノフィラメントとして単糸毎に紡糸速度600m/minで巻き取り、10dtexのモノフィラメントを得た。このとき、吐出孔詰まり、吐出曲がりなど無く製糸性は良好であった。この紡糸原糸を250℃で6時間、260℃で12時間、窒素ガス雰囲気中で固相重合処理した。得られた固相重合糸は繊維間膠着が殆ど無く、解舒性は良好であった。
また、耐摩耗性の評価結果は250回であり、耐摩耗性評価後の糸表面を観察したところ、鞘成分に削れが起きていた。
この糸を装置幅40mm、スリット巾4mm、熱処理長100mmの熱処理装置を用い温度と処理速度を種々変更して熱処理を行った。固相重合糸を比較例3として条件物性を表3に示す。
Figure 0004661528
実施例13〜16、比較例4
鞘成分を溶融液晶形成性ポリエステル(A)とポリエチレンナフタレートを重量比90/10で混練した樹脂を用いた以外は実施例5と同様な装置を用い、ノズル径φ0.13mm、ノズル長0.26mm、100ホールの口金より紡糸温度310℃で吐出して紡糸速度600m/minで巻き取り、500dtexのマルチフィラメントを得た。このとき、吐出孔詰まり、吐出曲がりなど無く製糸性は良好であった。この紡糸原糸を250℃で6時間、260℃で14時間、窒素ガス雰囲気中で固相重合処理した。得られた固相重合糸は繊維間膠着が殆ど無く、解舒性は良好であった。
また、耐摩耗性の評価結果は270回であり、耐摩耗性評価後の糸表面を観察したところ、鞘成分に削れが起きていた。
この糸を装置幅40mm、スリット巾4mm、熱処理長15mmの熱処理装置を用い温度と処理速度を種種変更して熱処理を行った。固相重合糸を比較例4として条件物性を表4に示す。
Figure 0004661528

Claims (6)

  1. 溶融液晶形成性ポリエステル(A)と屈曲性熱可塑性樹脂(B)からなり、少なくとも屈曲性熱可塑性樹脂(B)が繊維表層に露出している複合繊維を、屈曲性熱可塑性樹脂(B)の融点+20℃以上の温度、かつ0.001秒以上5秒以下の時間で高温短時間熱処理することを特徴とする耐摩耗性の改善された高強度繊維の製造方法。
  2. 高温短時間熱処理が、溶融液晶形成性ポリエステル(A)と屈曲性熱可塑性樹脂(B)のどちらか低い融点以下の温度での固相重合処理後に行われることを特徴とする請求項1記載の耐摩耗性の改善された高強度繊維の製造方法。
  3. 溶融液晶形成性ポリエステル(A)が島、屈曲性熱可塑性樹脂(B)が海の海島構造であることを特徴とする請求項1、または2記載の高強度繊維の製造方法。
  4. 溶融液晶形成性ポリエステル(A)が芯成分、屈曲性熱可塑性樹脂(B)が鞘成分の芯鞘構造体であることを特徴とする請求項1、または2記載の高強度繊維の製造方法。
  5. 複合繊維が芯鞘構造体であり、さらに該鞘成分が溶融液晶形成性ポリエステル(A)が島、屈曲性熱可塑性樹脂(B)が海の海島構造であることを特徴とする請求項1、2および4のいずれか1項記載の高強度繊維の製造方法。
  6. 複合繊維がモノフィラメントであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の高強度繊維の製造方法。
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