JP2000239925A - 樹脂補強材及び複合体 - Google Patents

樹脂補強材及び複合体

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JP2000239925A
JP2000239925A JP11040182A JP4018299A JP2000239925A JP 2000239925 A JP2000239925 A JP 2000239925A JP 11040182 A JP11040182 A JP 11040182A JP 4018299 A JP4018299 A JP 4018299A JP 2000239925 A JP2000239925 A JP 2000239925A
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polymer
component
resin
fiber
sheath
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JP11040182A
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Yoji Ono
陽二 小野
Junyo Nakagawa
潤洋 中川
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的性能、均質性等の諸性能に優れる樹脂
補強材及び該補強材を用いてなる複合体を提供する。 【解決手段】 芯成分が溶融液晶性ポリエステル(Aポ
リマ−)、鞘成分が屈曲性熱可塑性ポリマ−(Bポリマ
−)を海成分及び溶融液晶性ポリエステル(Cポリマ
−)を島成分とする海島成分により構成された芯鞘型複
合繊維を用いて樹脂補強材とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は樹脂補強材及びが樹
脂補強材を用いてなる複合体に関する。
【0002】
【従来の技術】古くから樹脂補強材としてガラス繊維布
帛が用いられていたが、ガラス繊維布帛は重くて取扱性
が低いという欠点があった。また近年液晶アラミド繊維
布帛を用いることが検討されているが、アラミド繊維は
耐摩耗性が低い問題があり、しかも吸湿性が高いため使
用される用途が限定される問題があった。
【0003】一方、低比重で高強力高弾性率であり、し
かも低誘電率、低吸湿性の溶融液晶性ポリエステル繊維
をプリント配線基板基材等の樹脂補強材として用いるこ
とが提案されている。たとえば特開昭62―36892
号公報には溶融液晶性ポリエステル繊維からなる織布を
基材とするプリント配線基板が記載されているが、溶融
液晶性ポリエステル繊維は耐フィブリル性が低いために
工程通過性に劣り工業的に織布を製造することが困難で
あるのみでなく、得られる布帛の機械的性能、均質性等
が不十分となる。表面にフィブリルが発生するとマトリ
ックス樹脂との接着性は改善されるものの、樹脂が存在
しない部分(欠点)が生じ易くなるため均質性が損われ
ることとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、機械
的性能、均質性等の諸性能に優れる樹脂補強材及び該補
強材を用いてなる複合体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1) 芯成
分が溶融液晶性ポリエステル(Aポリマ−)、鞘成分が
屈曲性熱可塑性ポリマ−(Bポリマ−)を海成分及び溶
融液晶性ポリエステル(Cポリマ−)を島成分とする海
島成分により構成された芯鞘型複合繊維を用いてなる樹
脂補強材、(2) 芯成分が溶融液晶性ポリエステル
(Aポリマ−)、鞘成分が屈曲性熱可塑性ポリマ−(B
ポリマ−)を海成分及び溶融液晶性ポリエステル(Cポ
リマ−)を島成分とする海島成分により構成され、かつ
表面になだらかな起伏が形成された芯鞘型複合繊維を用
いてなる樹脂補強材、(3) 芯成分が溶融液晶性ポリ
エステル(Aポリマ−)、鞘成分が屈曲性熱可塑性ポリ
マ−(Bポリマ−)を海成分及び溶融液晶性ポリエステ
ル(Cポリマ−)を島成分とする海島成分により構成さ
れた芯鞘型複合繊維を用いてなる織物からなる樹脂補強
材、(4) 織物が200〜500メッシュ、開口割合
30%以上のメッシュ状織物である(3)に記載の樹脂
補強材、(5) (1)〜(4)に記載の樹脂補強材と
樹脂が一体化されてなる複合体、に関する。
【0006】
【発明の具体的な態様】本発明は、芯成分が溶融液晶性
ポリエステル(Aポリマ−)、鞘成分が屈曲性熱可塑性
ポリマ−(Bポリマ−)を海成分及び溶融液晶性ポリエ
ステル(Cポリマ−)を島成分とする海島成分により構
成された芯鞘型複合繊維を用いることにより諸性能に優
れた樹脂補強材を得るものである。本発明で使用される
芯鞘型複合繊維は機械的性能に優れているにもかかわら
ず耐フィブリル性に優れていることから、機械的性能、
寸法安定性に優れた基材となると同時に、樹脂が存在し
ない部分(欠点)が生じにくく均質性に優れた複合体が
得られる。特に該繊維表面になだらかな起伏を形成させ
た場合には、繊維性能・均質性を損うことなく樹脂との
接着性を高めることができ、より顕著な効果が得られ
る。
【0007】本発明にいう溶融液晶性(異方性)とは、
溶融相において光学的液晶性(異方性)を示すことであ
る。例えば試料をホットステ−ジにのせ、窒素雰囲気下
で昇温加熱し、試料の透過光を観察することにより認定
できる。本発明で用いる芳香族ポリエステルは、芳香族
ジオ−ル、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカル
ボン酸、芳香族アミン等の反復構成単位からなるが、下
記化1〜化3に示す反復構成単位の組み合わせからなる
ものが好ましい。
【0008】
【化1】
【0009】
【化2】
【0010】
【化3】
【0011】特に好ましくは、化3に示す反復構成単位
の組み合わせからなるポリマ−が好ましい。特に(A)
及び(B)の反復構成単位からなる部分が65重量%以上
であるポリマ−であり、特に(B)の成分が5〜45重量
%である芳香族ポリエステルが好ましい。
【0012】好ましい溶融液晶性ポリエステルの融点
(MP)は260〜360℃、より好ましくは270〜350℃であ
る。ここでいう融点とは、示差走査熱量(DSC:例え
ばmettler社製、TA3000)で観察される主吸熱ピ−ク
のピ−ク温度である(JISK7121)。具体的には、D
SC(例えばMettler社製 TA3000)装置に、サ
ンプルを10〜20mgをとりアルミ製パンへ封入した後、キ
ャリア−ガスとして窒素を100cc/分流し、20℃/分で
昇温したときの吸熱ピ−クを測定する。ポリマ−の種類
により上記1st Runで明確な吸熱ピ−クが現れない場
合は、50℃/分の昇温速度で予想される流れ温度より
も50℃高い温度まで昇温し、その温度で3分間完全に
溶融した後、80℃/分の速度で50℃まで冷却し、し
かる後に20℃/分の昇温速度で吸熱ピ−クを測定する
とよい。
【0013】本発明でAポリマ−として用いる溶融液晶
性ポリエステルには、本発明の効果を損なわない範囲
で、ポリエチレンテレフタレ−ト、変性ポリエチレンテ
レフタレ−ト、ポリオレフィン、ポリカ−ボネ−ト、ポ
リアリレ−ト、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイ
ド、ポリエ−テルエーテルケトン、フッ素樹脂などの熱
可塑性ポリマ−を添加しても良い。勿論、複数の溶融液
晶性ポリエステルを併用することもできる。また酸化チ
タン、カオリン、シリカ、酸化バリウム等の無機物、カ
−ボンブラック、染料や顔料等の着色剤、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、光安定剤等の各種添加剤を含んでいても
良い。
【0014】本発明で使用されるBポリマ−は、屈曲性
熱可塑性ポリマ−であれば特に限定されるものではな
く、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ
カ−ボネ−ト、ポリフェニレンサルファイド、ポリエー
テルエ−テルケトン、フッ素樹脂等が挙げられ、繊維形
成能を有しているものが好ましい。屈曲性熱可塑性ポリ
マ−と溶融液晶性ポリエステルからなる海島構造を鞘成
分として用いることにより、耐フィブリル性及び機械的
性能は大きく改善される。
【0015】屈曲性熱可塑性ポリマーとしては、芯成分
の紡糸温度で分解が起らず複合紡糸が可能なものが好ま
しく、たとえば芯成分として化3に示された反復構成単
位(A)及び(B)からなるポリマーを用いた場合、ポ
リブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルフ
ァイド、ポリエーテルエーテルケトン等が好適に使用で
きる。特にポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポ
リエチレンナフタレ−トを用いるのが好ましい。なかで
もPPS、特に直鎖状PPSを用いた場合には紡糸工程
性が良好であり、耐薬品性、機械的強度、耐摩耗性等の
点でに顕著な効果が得られ、また表面になだらかな起伏
が形成されやすい点からも優れた効果が得られる。な
お、本発明にいう屈曲性ポリマ−とは、主鎖上に芳香環
を有さないポリマ−及び主鎖上に芳香環を有し、かつ芳
香環間の主鎖上に原子が4個以上存在するポリマ−をい
う。
【0016】Cポリマ−は、Aポリマ−と同様の溶融液
晶性ポリエステルを用いることができ、Aポリマ−とC
ポリマ−は同種であっても異種であっても良い。好まし
くは、Bポリマ−の融点(MP)+80℃以下、MP−
10℃以上のポリマ−が好ましい。またBポリマ−及び
Cポリマ−には、本発明の効果を損なわない程度に、他
のポリマ−や各種添加剤を含んでいても良い。
【0017】本発明は、鞘成分を、屈曲性熱可塑性ポリ
マ−(Bポリマ−)のみでなく、屈曲性熱可塑性ポリマ
−(Bポリマ−)と溶融液晶性ポリエステル(Cポリマ
−)からなる海島構造とすることにより、鞘成分の強力
を高めると同時に鞘成分と芯成分との接着性を顕著に高
めるものである。かかる海島構造は、Bポリマ−とCポ
リマ−をチップブレンドする、または両成分の溶融物を
スタチックミキサ−等で混合することなどにより得られ
る。本発明においては、Cポリマーに比して柔軟なBポ
リマーを多量に用いて鞘成分を構成しているため、Cポ
リマーを島成分、B成分を海成分とする海島構造を形成
する(図1(h))。この場合、剛直で機械的性能に優
れたCポリマーが島成分を構成して優れた補強効果を奏
するとともに、耐摩耗性に優れたBポリマーが海成分を
形成してCポリマーの周囲を実質的に被覆するため耐摩
耗性が顕著に改善されると考えられる。
【0018】なお、本発明にいう海島構造とは、繊維横
断面においてマトリックスとなる海成分の中に数十から
数万の島が存在している状態をいう。一般にBポリマ−
及びCポリマ−の混合比、溶融粘度等を変えることによ
り島数を調整することができる。繊維強度、耐フィブリ
ル性、さらに起伏形成の点から島成分は微細であるのが
好ましいと予想され、たとえば島成分の直径は0.1〜
0.5μm程度とするのが好ましいと考えられる。なお
島成分に枝分かれが生じていてもよく、また繊維長と同
じ長さを有している必要はなく、本発明の効果が得られ
る程度に連続していればよい。
【0019】鞘成分を構成するBポリマーの強度を高め
るためには繊維を充分延伸してBポリマーを配向させる
必要があるが、芯成分を構成する溶融液晶性ポリエステ
ルは延伸を施すことなく紡糸したのみで優れた機械的性
能を有しており、紡糸原糸の状態で配向が著しく進行し
ている。従って、鞘成分の強度を高めるために紡糸原糸
をさらに延伸しようとしても、芯成分を構成するAポリ
マーが高度に配向してるために実質的にそれ以上延伸す
ることができない。その結果、得られた複合繊維の鞘成
分は強度が低く脆いものとなり、芯成分と鞘成分が剥離
しやすくなって加工性及び耐摩耗性が不十分となる。
【0020】しかしながら、本発明においては鞘成分に
溶融液晶性ポリエステルを配合しているため、類似のポ
リマーからなる芯成分との親和性が高くなって、芯鞘剥
離が生じにくくなるとともに、鞘成分を構成する溶融液
晶性ポリエステルが紡糸原糸の状態で高度に配向して鞘
成分の強度が向上し、耐摩耗性等が著しく向上する。鞘
成分におけるCポリマーの配合比C/(B+C)は0.
05〜0.50,特に0.1〜0.4、さらに0.25
〜0.4(重量比)とするのが好ましい。Cポリマーの
配合比が高すぎると耐摩耗性が不十分となり、また繊維
が剛直になるために製織性等の加工性が低くなる。逆に
Cポリマーの配合比が低すぎると鞘成分の強度が不十分
となり、芯鞘剥離が生じ易くなり製織性等の工程性が低
下し、また表面になだらかな起伏が形成されにくくな
る。
【0021】本発明は芯鞘型複合繊維を用いるものであ
るが、この芯鞘型の態様としては偏心芯鞘型及び多芯芯
鞘型を含むものである。上記複合繊維における芯成分比
は0.25〜0.80、特に0.3〜0.7とするのが
好ましい。鞘成分をBポリマ−とCポリマ−で構成した
場合には鞘成分も強力向上に寄与するため、芯成分比率
を低くした場合においても、強度15g/d以上の優れ
た複合繊維を得ることができる。芯成分比が大きくなり
すぎると芯が露出しやすく、小さすぎると強力の点で不
十分となる場合がある。なお、本発明にいう芯成分比と
は、複合繊維の断面積比A/(A+B+C)を示す。断
面積比は、繊維横断面の顕微鏡写真から求められるが、
製造時の芯成分と鞘成分の吐出量の体積比により求める
こともできる。
【0022】また本発明においては繊維表面に凹凸部を
形成させるのがより好ましい。凹凸部を形成させること
により樹脂等との接着性が改善され、基材の寸法安定
性、均質性等の諸性能を一層改善することができる。凹
凸部の付与方法は特に限定されず、たとえば異形断面の
孔を有するノズルを用いて紡糸する方法、部分延伸によ
り太細を形成する方法、ポリマーに無機微粒子を多数含
有させ繊維化する方法、繊維形成後に化学処理でエッチ
ングする方法、プラズマ処理でエッチングする方法等の
従来公知の方法が採用できる。
【0023】かかる方法を採用することにより極めて微
細な凹凸が多数形成された複合繊維が得られるが、摩耗
により凹凸部の削れが生じにくく一層顕著な効果を得ら
れることから、表面にはなだらかな起伏が形成された繊
維を用いるのが好ましい(図2参照)。繊維表面になだ
らかな起伏を形成されることにより様々な効果が得られ
るが、例えば、熱処理時の膠着が少なくなりより高温で
の熱処理が可能となり、さらに摩擦抵抗が小さく工程通
過性(製織性等)が良好であること,さらに樹脂等との
接着性が顕著に高まり基材の寸法安定性、均質性等がよ
り一層向上する。従来の極めて微細な凹凸が多数形成さ
れたものに比して優れた効果が得られ、また摩耗により
起伏が減じにくいことから製織等を施した後であっても
優れた効果が得られる。
【0024】本発明に使用される複合繊維表面の好まし
い形態としては以下のものが挙げられる。まず、走査電
子顕微鏡で1000倍に拡大して撮影した繊維側面写真
の繊維側面の外周のプロフィルを描き、繊維長さ3D
(D:繊維平均直径)間に存在する極大点をL、極小点
をSとし、さらに中央線からLまでの距離をLL、中心
線からSまでの距離をLSとするとき、隣接するLLと
LSの差(LL−LS)が0.004Dより大きいもの
(NM)が両側面の合計として5〜100個、特に10
〜50個程度存在するものが挙げられる。繊維強度等の
点からはLL−LSが0.05D以下、特に0.03D
以下であるのが好ましい。なお本発明にいう中心線と
は、繊維長Dに区画する繊維直径方向の線分a及び線分
bのそれぞれの中点を結んだ直線である(図3参照)。
【0025】本発明に使用される繊維の製造方法は特に
限定されないが、下記の条件を満たすように紡糸するこ
とによって効率的に製造できる。 MVc+1100≧MVb≧MVc+350 紡糸温度≧MPc+30℃ γ(=4Q/πr)≧20,000 0.15≦C/(B+C)≦0.45 なお、MVbはBポリマ−の溶融粘度(poise)、MVc
はCポリマ−の溶融粘度(poise)、MPcはCポリマー
の融点(℃)、γは紡糸時の剪断速度(sec-1)、Q
は芯鞘型複合繊維を紡糸するときの単ホ−ル当たりのポ
リマ−吐出量(cm3/sec)、rはノズル孔の剪断
面方向の半径(cm)を示す。
【0026】なだらかな起伏が形成される機構について
は明確ではないが、Cポリマーが微細な島成分を形成
し、かつBポリマーに比してCポリマーの粘度が十分に
低下した状態で高い剪断力を加えることにより、Cポリ
マーからなる島成分が繊維表面近傍に偏在することとな
り、その結果、表面近傍の剛直なCポリマーの存在によ
り繊維表面になだらかな起伏が形成されると推察され
る。特にBポリマーとして直鎖状PPSを用いた場合に
は表面になだらかな起伏を有する繊維を効率的に製造す
ることができる。
【0027】0.15≦C/(C+B)≦0.45をは
ずれるとなだらかな起伏が形成されない理由はさだかで
はないが、繊維表面のなだらかな起伏はC成分が島成分
を構成していることにより形成されるため、C成分比が
小さすぎるとなだらかな起伏が形成されにくくなると考
えられる。逆にC成分比が大きすぎるとC成分が島成分
となり、B成分が海成分となりやすく所望の繊維が得ら
れない。以上のことから、C成分比は0.45以下、特
に0.40以下とするのが好ましい。また起伏形成性、
機械的性能及び芯鞘成分の剥離を防止する点からは0.
25以上とするのが好ましい。島成分比は、繊維横断面
の顕微鏡写真から求められるが、製造時の芯成分と鞘成
分の吐出量の体積比により求めることもできる。さらに
かかる島成分比とした場合には、繊維強度及び耐フィブ
リル性の点でも優れた効果が得られる。なおC配合比:
C/(B+C)は鞘成分における重量配合比を示したも
のである。
【0028】上記の方法により所望の起伏を形成させる
にはγを20000以上とする必要があり、30000
以上、特に40000以上とするのがより好ましい、こ
の理由は定かではないが、剪断速度を高めることにより
Cポリマーからなる島成分が繊維表面近傍に一層偏在し
やすくなるためと考えられる。紡糸性等の点からは80
000以下とするのが好ましい。
【0029】また上記方法を採用する場合、紡糸温度を
MPc+30℃以上にする必要がある。この理由は定か
ではないが、紡糸温度が低すぎるとCポリマーの粘度が
十分に低下していないためCポリマーからなる島成分が
繊維表面近傍に偏在することが不可能になるためと考え
られる。しかしながら、紡糸温度を高めると分解等が生
じる場合があるので、MPc+60℃以下とするのが好
ましい。繊維性能の点からは、紡糸速度を650m/分
以上、更に900m/分以上とするのが好ましく、紡糸
安定性の点からは3000m/分以下とするのが好まし
い。
【0030】MVbは、紡糸性及び糸径の小さい繊維を
得やすい点から(MVc+1100)poise以下で
あるのが好ましく、起伏形成性の点からMVc+350
poise以上、特にMVc+400poise以上と
するのが好ましい。さらに起伏形成性、紡糸性及び耐摩
耗性の点からはCポリマ−の粘度は600ポイズ以下、
特に500ポイズ以下であるのが好ましく、繊維の機械
的強度の点からは380ポイズ以上であるのが好まし
い。なお、本発明に用いられる複合繊維は、たとえば従
来公知の紡糸口金を用いて紡糸することができる。得ら
れる繊維の横断面形状は特に限定されるものではない
が、例えば図1に示すような形状が好ましい例として挙
げられる。なお図1の(a)〜(g)においては鞘成分
における海島構造の記載を省略している。
【0031】本発明により得られる繊維は諸性能に優れ
ているものであり、紡糸しただけで既に十分な強度、弾
性率を有しているが弛緩熱処理あるいは緊張熱処理を施
すことにより性能を更に向上させることができる。熱処
理を行うことにより固相重合及び架橋反応が生じ、ポリ
マーの融点が高くなるとともに繊維の機械的性能が個向
上する。具体例として化3に示された構造単位(A)及
び(B)からなる溶融液晶性ポリエステル(モル比A/
B=75/25)からなる繊維を各種温度で熱処理した
場合、ピーク温度が300℃をこえた繊維はいずれも常
温圧下ではもはや溶融しなくなり、さらに昇温すると繊
維状を保ったまま炭化した。これは熱処理により繊維内
部に架橋結合が形成されているためと推定される。繊維
性能の点からは熱処理により芯成分の融点を10℃以上
高めるのが好ましい。
【0032】熱処理は、窒素等の不活性ガス雰囲気下
や、空気の如き酸素含有の活性ガス雰囲気中または減圧
下で行うことが可能である。熱処理雰囲気は露点がー4
0℃以下の低湿気体が好ましい。好ましい熱処理条件と
しては、芯成分の融点−40℃以下から鞘成分ポリマ−
の融点以下まで順次昇温していく温度パタ−ンが挙げら
れる。処理時間は目的により数秒から数十時間行う。融
点の上昇割合は処理温度及び処理時間に大きく依存する
ことから適宜設定するのが好ましい。
【0033】熱の供給は、気体等の媒体を用いる方法、
加熱板、赤外線ヒ−タ−等により輻射を利用する方法、
熱ロ−ラ−、熱プレ−ト等に接触して行う方法、高周波
等を利用した内部加熱方法等がある。熱処理形状はカセ
状、トウ状(たとえば金属網等に載せて行う)、あるい
はローラー間で連続的に処理することも可能である。
【0034】処理は、目的により緊張下あるいは無緊張
下で行われる。処理形状はカセ状、トウ状(例えば金属
網等にのせて行う)、あるいはロ−ラ−間で連続的に処
理することも可能である。緊張熱処理は、芯成分の融点
−40℃以下の温度で、切断強度の1〜10%の張力を
かけて行うのが好ましく、この処理により様々な性能、
特に弾性率は一層改善される。繊維表面になだらかな起
伏が形成されている場合には、熱処理によって繊維間膠
着等が一層生じにくくなり優れた効果が得られる。布帛
等に加工する場合には、工程性等の点から所望の繊維構
造物に加工した後に熱処理を施すのが好ましい。
【0035】基材の機械的性能、寸法安定性の点からは
芯鞘型複合繊維の強度は10g/d以上、弾性率は400
g/d以上、さらに強度12g/d以上、弾性率450
g/d以上、またさらに強度16g/d以上、弾性率5
00g/d以上とするのが好ましい。またマトリックス
樹脂との接着性、均質性の点からは芯鞘型複合繊維の直
径は45μm以下、特に40μm以下、さらに35μm
以下、またさらに33μm以下とするのが好ましい。繊
維径を35μm以下、特に33μm以下にすると樹脂と
の接着性が高まり、また均質性も向上する。
【0036】かかる複合繊維を用いることにより諸性能
に優れた樹脂補強材が得られるが、複合繊維の使用形態
は特に限定されない。モノフィラメント、マルチフィラ
メント、カットファイバ−、紡績糸、布帛(織編物、不
織布等)等のあらゆる形態で使用でき、これらを樹脂と
一体化させることにより諸性能に優れた複合体を得るこ
とができる。このとき、本発明の効果を損わない範囲で
あれば該複合繊維以外の成分(繊維等)を併用してもか
まわない。複合体の均質性、寸法安定性等の点からは布
帛の形態で使用するのが好ましい。もちろん、他の繊維
と併用して布帛を製造してもかまわないが、本発明の効
果をより効率的に得る点からは、本発明で規定した複合
繊維の割合が50重量%以上、さらに80重量%以上、
特に90重量%以上の布帛とするのが好ましい。
【0037】樹脂含浸性、機械的性能、取扱性、柔軟性
等の点からは、布帛の厚さを20〜800μm、特に5
0〜200μmとするのが好ましい。本発明に用いられ
る複合繊維は機械的性能に優れ、しかも耐フィブリル性
に優れている。よって布帛の厚さを減じた場合であって
も十分な補強効果を奏することができるとともに、フィ
ブリルが実質的に生じておらずしかも厚さが薄いために
樹脂の存在しない欠点が生じにくく、かつ樹脂量を減少
させることから優れた効果が得られる。同理由から布帛
の目付を10〜100g/mを、特に20〜60g/m
とするのが好ましい。
【0038】均質性、樹脂含浸性等の点から織物、なか
でも平織物の形態で使用するのが好ましく、複合体の均
質性の点から密度を200メッシュ以上、特に250メ
ッシュ以上、さらに300メッシュ以上とするのが好ま
しい。また樹脂との接着性、コスト及び生産性の面から
350メッシュ以下、特に330メッシュ以下とするの
が好ましい。一般に溶融液晶性ポリエステル繊維は耐フ
ィブリル性が低いことから織物に加工するのが困難であ
り、特に緻密な織物に加工すると布帛に多数のフィブリ
ルが形成されるため、マトリックス樹脂を均質にかつ空
隙なく一体化させることが困難となって複合体の均質性
等が損われるが、本発明においてはフィブリルが実質的
に形成されないことからかかる問題は生じない。
【0039】織物の製造方法は特に限定されないが、例
えば上記芯鞘型複合繊維を経糸及び/又は緯糸として用
いて公知の方法で製織するのが好ましい。織組織を工夫
したり、糸の絡み合い部分の形態を工夫したり、太さの
異なる繊維を交織したり、比較的可撓性に優れた繊維を
用いたり、或いはそれらを適宜組み合わせたりしてもよ
い。工程性、均質性、樹脂含浸性、耐摩耗性等の点から
は複合モノフィラメントを用いてなるメッシュ織物とす
るのが好ましい。
【0040】樹脂を間隙なく均一に含浸し、複合体の均
質性を保つ点からは、開口割合を30%以上、さらに3
5%以上、特に40%以上60%以下とするのが好まし
い。開口面積を大きくすることにより樹脂の存在しない
部分(欠点)が一層形成されにくくなり、また樹脂との
接着性も良好になり一層好ましい効果が得られる。なお
開口割合とは織物を平面視した時の開口部(繊維の存在
しない部分)の割合をいう。また複合体の機械的性能、
寸法安定性の点からは布帛の強度は10kg/mm
上であるのが好ましく、特に20〜100kg/mm
とするのが好ましく、伸び3%以下とするのが好まし
い。また乾熱200℃の条件で熱処理した際に実質的に
収縮しないものが好ましい。
【0041】また本発明においては、マトリックス樹脂
と基材との接着性を高めるために、物理的処理及び/又
は化学的処理などの処理を施してもかまわない。具体的
にはコロナ放電処理、グロー放電処理、プラズマ処理、
電子線照射処理、紫外線照射処理、酸素含有雰囲気中で
の熱処理等の物理的処理や、スパッタエッチングなどの
化学的処理などが挙げられる。これら2種以上の処理を
併用して行ってもかまわない。固相重合のための熱処理
を酸素含有雰囲気中で行った場合には、新たに別の処理
を行うことなく樹脂との接着性・濡れ性を顕著に高める
ことができる。熱処理は200〜400℃で1分以上、
特に300〜400℃で1分以上、工程性の点からは3
0時間以下の範囲で行うのが好ましく、固相重合を目的
とした熱処理と同一工程又は別工程で行えばよい。
【0042】場合によっては鞘成分を構成する屈曲性熱
可塑性ポリマーの軟化点以上の温度で熱プレス処理を行
い、鞘成分の一部又は全部を融着して繊維の目ずれを抑
制してもよく、また織密度や熱プレス条件を調整するこ
とにより布帛を構成する繊維の一部又は全部において繊
維間を融着させてもよい。しかしながら樹脂含浸性の点
からは、開口割合を減少せしめない方法を採用するのが
好ましい。
【0043】本発明の樹脂補強材はあらゆる用途に使用
でき、そのままで流通、販売することができるが、該補
強材に熱硬化性樹脂及び/又は熱可塑性樹脂(マトリッ
クス樹脂)を含浸又は付着して複合体を製造してもよ
い。好適なマトリックス樹脂としては、たとえばフェノ
ール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エ
ポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シアナート樹
脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂などから選ばれる
1種または2種以上の熱硬化性樹脂が好適に挙げられ
る。
【0044】該複合体におけるマトリックス樹脂の含有
量は特に限定されないが、層間剥離・成形不良を抑制
し、かつ積層基板の機械的性能、寸法安定性、熱安定性
等の点から複合体全重量の30〜95重量%、特に40
〜80重量%をマトリックス樹脂とするのが好ましい。
なお本発明の補強材は機械的性能、寸法安定性に優れ、
しかも樹脂との接着性が高く欠点(樹脂の存在しない部
分)が形成されにくいことから樹脂含有量を減ずること
ができる。
【0045】樹脂の含浸・付与方法は特に限定されず、
たとえば従来公知の方法を用いればよい。たとえば含浸
法、塗布法、転写法等を採用すればよく、具体的には、
マトリックス樹脂を溶剤に溶解して調整したワニスを布
帛基に含浸して乾燥する方法、溶剤を使用しないで調製
した常温状態または加熱状態にある液状マトリックス樹
脂を布帛に含浸させる方法、粉末状態のマトリックス樹
脂を布帛に固定する方法、離型性を有するフィルムやシ
ートにマトリックス樹脂の層を形成した後にそれを布帛
に転写する方法等が採用できる。勿論、複合繊維からな
るフィラメント、カットファイバー、紡績糸等をマトリ
ックス樹脂に均一混合して複合体を製造することもでき
る。本発明の補強材はフィブリルが実質的に形成されて
おらず樹脂含浸性に優れていることから、欠点(樹脂の
存在しない部分)の少ない複合体が得られる。
【0046】またさらに該複合体と2以上の他の層(本
発明の複合体を含む)を積層した積層体としてもよい。
積層可能な層としては、たとえばガラスクロス、ガラス
不織布、その他の繊維布帛層、合成樹脂層、金属層等が
挙げられる。本発明により得られる複合体はあらゆる用
途に使用でき、また熱圧着による成形も可能であること
から自動車部品、電気製品用部品等としても使用でき
る。
【0047】
【実施例】次に、具体的実施例を挙げて本発明を更に詳
細に説明する。なお、本発明は以下に示す実施例に何ら
限定されるものではない。尚、実施例で測定した物性の
測定方法を以下に示す。
【0048】〔溶融粘度(MV)poise 〕300℃、剪
断速度r=1000sec-1の条件で東洋精機社製キャ
ピログラフ1B型を用いて測定した。 〔対数粘度(ηinh)〕試料をペンタフルオロフェノ
ールに0.1重量%溶解し(60〜80℃)、60℃の
恒温槽中でウベローデ型毛管粘度計を用いて相対粘度
(ηrel)を測定し、ηinh=ln(ηrel)/
cにより算出した。なお、cはポリマー濃度(g/d
l)であり、溶媒の流下時間は107秒とした。
【0049】〔強度g/d〕JIS L 1013に準
じ、島津製作所社製強伸度試験機DCS−100型を用
いて、試長20cm、初荷重0.1g/d、引張速度1
0cm/minの条件で引張破断試験を行ない、得られ
た応力−歪曲線(Stress-StrainCurve)から求めた。5
点以上の測定値の平均値を採用した。 〔弾性率g/d〕JIS L 1013に準じ、島津製
作所社製強伸度試験機DCS−100型を用いて、試長
20cm、初荷重0.1g/d、引張速度10cm/m
inの条件で引張破断試験を行ない、得られた応力−歪
曲線(Stress-StrainCurve)から、弾性率=(w/D)
/(ΔL/L)により算出した。尚、wはΔL伸長した
ときの荷重(g)、Dは繊維のデニール(d)、ΔLは
荷重により伸長した長さ(mm)、Lは繊維原長を表わ
す。
【0050】〔繊維径μm〕走査電子顕微鏡で1000
倍に拡大した繊維側面の写真を撮り、任意の10箇所で
繊維直径を測定し、この相加平均を繊維径とした。 [起伏(NM) 個/D]走査電子顕微鏡で1000倍
に拡大して繊維側面写真を撮影し、繊維側面外周のプロ
フィルを描き、繊維長さ3D(D:繊維平均径)間に存
在する極大点をL、極小点をSとし、さらに中心線から
Lまでの距離をLL、中心線からSまでの距離をLSと
するとき、隣接するLLとLSの差(LL−LS)が
0.005Dより大きいもの(NM)の数を繊維両側面
について求めた。別の繊維部分についても同様に作業を
繰り返して、両側面のNM数の合計の平均値を求めた
(N≦3)。なお本発明にいう中心線とは、繊維長3D
に区画する繊維直径方向の線分a及び線分bのそれぞれ
の中点を結んだ直線である(図3参照)。
【0051】[布帛の引張強力 kg/2.5cm 強
度 kg/m、伸び %]JIS L 1096に準
じて測定した。
【0052】[マトリックス樹脂(ワニス)]2,2−
ビス(4―シアナトフェニル)プロパン900重量部と
ビス(4―マレイドフェニル)メタン100重量部を1
50℃で130分間予備反応させた後、それにより得ら
れる生成物をメチルエチルケトンとN,N−ジメチルホ
ルムアルデヒドの混合溶媒60重量部中に溶解した。得
られた溶液50重量部に、ビスフェノールAエポキシ樹
脂(油化シェルエポキシ社製「エポキート1001」、
エポキシ当量=450〜500)70重量部およびオク
チル酸亜鉛0.02重量部を溶解させてマトリックス樹
脂液(ワニス)を調製した。
【0053】[参考例1]Aポリマー及びCポリマーと
して前記化3で示した構成単位(A)と(B)が75/
25モル%である溶融液晶性ポリエステル(融点281
℃、溶融粘度410poise、ηinh=5.6dl/
g)を用い、Bポリマーとして直鎖PPS(MVb11
00poise、MPb280℃)を用いた。
【0054】まず、Bポリマー及びCポリマーを用い、
C配合比C/(B+C)=0.33となる混合ペレット
を2軸押出機で混練し作成した。次いで、芯成分と鞘成
分を別々の押出機に供給し、溶融後、鞘成分比R=0.
40となるように下記の紡糸条件で約9デニール(線径
30.3μm)の芯鞘型複合繊維(強度18g/d、弾
性率700g/d、NM14)を複合紡糸した。 ノズル孔径 : 2r=0.015cm 単位孔当たりのポリマー吐出量: Q=0.015cm3/sec 剪断速度 : γ=44300sec-1 紡糸速度 : 1100m/min 紡糸温度 : 315℃
【0055】[参考例2]Bポリマーとして直鎖PPS
(MVb600poise,MPb279℃)を用いた以外
は参考例1と同様に約9デニール(線径30.3μm)
の芯鞘型複合繊維(強度17.5g/d、弾性率650
g/d、NM0)を複合紡糸した。 [参考例3]鞘成分をBポリマーのみで構成した以外は
比較例1と同様に約9デニール(線径30.3μm)の
芯鞘型複合繊維(強度12.0g/d、弾性率450g
/d、NM0)を複合紡糸した。
【0056】[実施例1]参考例1により得られたモノ
フィラメント繊維を経糸及び緯糸に用いて平織物を製織
し、次いで該平織物に窒素雰囲気中で260℃で2時
間、次いで除湿空気中270℃で4時間の熱処理を行っ
て樹脂補強材を製造した。得られた補強材は約250メ
ッシュ、開口割合49%、目付40g/m、厚さ91
μm、引張強度60kg/2.5cmm、強度26.4
kg/m、伸び3%以下であり、乾熱200℃におい
ても実質的に熱収縮が生じないものであった。また実質
的に芯鞘剥離やフィブリルが発生していない均質性に優
れたものであった。なお熱処理後の芯成分の融点(吸熱
ピーク温度)は330℃であった。次いで該補強材にマ
トリックス樹脂溶液(ワニス)を含浸後150℃で乾燥
して複合体(樹脂含量66〜68重量%)を得た。使用
した補強材は機械的性能が高くしかもフィブリルが実質
的に生じていないメッシュ織物であり、さらに構成繊維
の表面になだらかな起伏が形成されていることから、樹
脂との接着性が良好であり欠点(樹脂が存在しない部
分)が少なく、均質性等の諸性能に特に優れた複合体が
得られた。
【0057】[実施例2]参考例2により得られたモノ
フィラメント繊維を経糸及び緯糸に用いて平織物を製織
し、次いで該平織物に窒素雰囲気中で260℃で2時
間、次いで除湿空気中270℃で4時間の熱処理を行っ
て樹脂補強材を製造した。得られた補強材は約250メ
ッシュ、開口割合49%、目付40g/m、厚さ91
μm、引張強度57kg/2.5cmm、強度25.1
kg/m、伸び3%以下であり、乾熱200℃におい
ても実質的に熱収縮が生じないものであった。また実質
的に芯鞘剥離やフィブリルが発生していない均質性に優
れたものであった。なお熱処理後の芯成分の融点(吸熱
ピーク温度)は330℃であった。次いで該補強材にマ
トリックス樹脂溶液(ワニス)を含浸後150℃で乾燥
して複合体(樹脂含量66〜68重量%)を得た。該複
合体は樹脂と補強材の接着性が良好であり欠点(樹脂が
存在しない部分)の少ない均質性の良好なものであっ
た。
【0058】[比較例1]参考例3により得られたモノ
フィラメント繊維を経糸及び緯糸に用いて平織物を製織
し、次いで該平織物に窒素雰囲気中で260℃で2時
間、次いで除湿空気中270℃で4時間の熱処理を行っ
て樹脂補強材を製造した。得られた補強材は約300メ
ッシュ、開口割合41%、目付58g/m、厚さ98
μm、引張強度48kg/2.5cmm、強度21.1
kg/m、伸び3%以下であった。該補強材には芯鞘
剥離、フィブリル等が生じており、機械的性能、寸法安
定性の劣るものであった。次いで該補強材にマトリック
ス樹脂溶液(ワニス)を含浸後150℃で乾燥して複合
体(樹脂含量66〜68重量%)を得た。補強材に多数
のフィブリルが生じていることから該複合体には欠点
(樹脂の存在しない部分)が多数形成され、しかも開口
割合が小さいことから樹脂の接着性がより低下しやすい
ものとなった。また複合体の機械的性能も不十分なもの
であった。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、寸法安定性、機械的性
能、均質性等の諸性能に優れた複合体が得られ、特に補
強材を構成する繊維の表面になだらかな起伏が形成され
ている場合には、一層優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる複合繊維の横断面形状の例
を示した模式図である。なお(a)〜(g)においては
海島構造の記載を省略している。
【図2】図面代用写真であり、表面になだらかな起伏を
有する複合繊維の表面形状の一例を示した走査電子顕微
鏡写真である。
【図3】維側面の形状の例を示した模式図である
【符号の説明】
A: Aポリマー B: Bポリマー C: Cポリマー 1: 繊維 2: 繊維側面外周外形線 a: 線分a b: 線分b c: 線分aの中点と線分bの中点を結んだ中心線 L: 繊維側面における極大点 S: 繊維側面における極小点 LL: Lと中心線間の距離 LS: Sと中心線間の距離 T: 線幅/線間隔=60/100μmのパターンを有
する部分 K: 線幅/線間隔=100/100μmのパターンを
有する部分
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D01D 5/30 D01D 5/30 Z D03D 15/00 D03D 15/00 B Fターム(参考) 4F072 AA04 AA07 AA08 AB02 AB04 AB05 AB06 AB28 AB33 AD03 AD11 AD13 AD23 AD38 AD45 AH02 AH04 AH05 AH21 AH43 AJ04 AL02 AL11 AL13 4J002 BB013 BD123 BH001 CC031 CD001 CF063 CF073 CF083 CF122 CF162 CF182 CF211 CG003 CH093 CL003 CL082 CM041 CM051 CN013 FA042 FA043 FD012 FD013 GF00 GN00 GQ00 4L041 AA07 BA04 BA06 BA13 BA16 BA21 BA24 BA34 BA38 BA55 BC20 BD01 BD14 BD20 CA10 CA35 DD01 DD14 4L045 AA05 BA03 BA18 BA20 4L048 AA28 AA29 AA48 AB07 AC09 AC12 BA01 BA02 CA01 CA04 DA41 EB05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯成分が溶融液晶性ポリエステル(Aポ
    リマ−)、鞘成分が屈曲性熱可塑性ポリマ−(Bポリマ
    −)を海成分及び溶融液晶性ポリエステル(Cポリマ
    −)を島成分とする海島成分により構成された芯鞘型複
    合繊維を用いてなる樹脂補強材。
  2. 【請求項2】 芯成分が溶融液晶性ポリエステル(Aポ
    リマ−)、鞘成分が屈曲性熱可塑性ポリマ−(Bポリマ
    −)を海成分及び溶融液晶性ポリエステル(Cポリマ
    −)を島成分とする海島成分により構成され、かつ表面
    になだらかな起伏が形成された芯鞘型複合繊維を用いて
    なる樹脂補強材。
  3. 【請求項3】 芯成分が溶融液晶性ポリエステル(Aポ
    リマ−)、鞘成分が屈曲性熱可塑性ポリマ−(Bポリマ
    −)を海成分及び溶融液晶性ポリエステル(Cポリマ
    −)を島成分とする海島成分により構成された芯鞘型複
    合繊維を用いてなる織物からなる樹脂補強材。
  4. 【請求項4】 織物が200〜500メッシュ、開口割
    合30%以上のメッシュ状織物である請求項3に記載の
    樹脂補強材。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4に記載の樹脂補強材と樹脂
    が一体化されてなる複合体。
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