JP2010077540A - 染色性良好な高強力繊維およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】染色可能な高強力・高弾性率繊維を提供する。
【解決手段】芯成分が溶融異方性芳香族ポリエステル(Aポリマー)からなり、鞘成分が分散染料で染色したときの染着率が50%以上である屈曲性熱可塑性ポリマー(Bポリマー)であり、下記(1)〜(3)を共に満足する高強力繊維。(1)Aポリマー融点MPa(℃)とBポリマーの融点MPb(℃)をMPa+20≧ MPb≧MPa−30とすること、(2)繊維横断面に占める鞘成分の割合(R)が10%以上25%以下であること、(3)繊維の引張強度18cN/dtex以上、引張初期弾性率400cN/dtex以上であること。
【選択図】図1

Description

本発明は、染色性良好な高強力繊維およびその製造方法に関する。
高強力繊維、特にスーパー繊維と呼ばれる高強力・高弾性率繊維は、その性能の優秀さから各種産業用品、スポーツ用品、安全性衣類・防護材等に幅広く使用されている。しかし、これら高強力・高弾性率繊維の中において、溶融異方性芳香族ポリエステルポリマーからなるポリアリレート繊維は染色が困難であり、アラミド繊維などに比べて用途展開上大きな制約があった。
このような問題点を解決するために、溶融異方性芳香族ポリエステルポリマーからなるポリアリレート繊維において、50℃における収縮応力値と200℃における収縮応力値との比を制御することによりを染色性を改良する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、特許文献1の方法で得られた繊維では、色彩色度計で測定される彩度(b値)には効果が見られるが、明度(L値)においては未だ満足できる性能は得られておらず、また耐洗濯性、耐摩擦堅牢性などの耐久性に問題があった。
特開平8−260242号公報
本発明は、かかる問題点を鑑みてなされたもので、染色可能な高強力・高弾性率繊維を提供することを目的とする。
本発明者等は上記問題点を解決すべく鋭意検討を行った結果、溶融異方性芳香族ポリエステルを芯成分とし、鞘成分を分散染料で染色したときの染着性に優れたポリマー成分とした芯鞘型複合繊維が高強力・高弾性率にも関わらず染色性が改良できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、芯成分が溶融異方性芳香族ポリエステル(Aポリマー)からなり、鞘成分が分散染料で染色したときの染着率が50%以上である屈曲性熱可塑性ポリマー(Bポリマー)であり、下記(1)〜(3)を共に満足する高強力繊維である。
(1)Aポリマー融点をMPa(℃)、Bポリマーの融点をMPb(℃)とするとき、
MPa+20≧ MPb≧MPa−30 であること、
(2)繊維横断面に占める鞘成分の割合(R)が10%以上25%以下であること、
(3)繊維の引張強度18cN/dtex以上、引張初期弾性率400cN/dtex以上であること。
そして本発明は、Bポリマーが好ましくはポリエチレンナフタレートを少なくとも一成分として含むポリマーである上記の高強力繊維である。
さらに本発明は、Bポリマーが、好ましくはジカルボン酸単位の60〜100モル%がテレフタル酸単位からなり、ジアミン単位の60〜100モル%が1,9−ノナンジアミン単位または1,9−ノナンジアミン単位と2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位からなり、そのモル比が40:60〜99:1である半芳香族ポリアミドを少なくとも一成分として含むポリマーである上記の高強力繊維である。
また本発明は紡糸ドラフト(D)を35以下で溶融紡糸し、延伸することなしにMPb−30℃以上MPb+10℃以下の温度で5時間以上30時間以下熱処理することを特徴とする上記の高強力繊維の製造方法に関する。
本発明によれば、高強力・高弾性率を有し、かつ染色性に優れた繊維及びその染色物を提供することができる。
本発明に言う溶融異方性とは、溶融相において光学異方性(液晶性)を示すことである。例えば試料をホットステージにのせ、窒素雰囲気下で昇温加熱し、試料の透過光を観察することにより認定できる。本発明で芯成分に用いる溶融異方性芳香族ポリエステル(Aポリマー)は、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸等から誘導される反復構成単位を有するものであるが、下記化1および化2に示す反復構成単位の組み合わせからなるものが好ましい。
Figure 2010077540
Figure 2010077540
より好ましくは、化1および化2に示される反復構成単位の組み合わせ(5),(8),(9)からなるポリマーであり、さらに好ましくは、(5)に相当するポリマーであって、下記化3の(Q)の成分が4〜45モル%である芳香族ポリエステルである。
Figure 2010077540
本発明に用いられる溶融液晶ポリマー(Aポリマー)の融点は好ましくは250〜350℃、より好ましくは260〜320℃である。ここでいう融点とは、示差走査熱量計(DSC:例えばMettler社製TA3000)で観察される主吸熱ピークのピーク温度である(例えば、JIS K7121試験法。)。具体的にはサンプル10〜20mgをとりアルミ製パンへ封入した後、DSC装置にてキャリアーガスとして窒素を100mL/分流し、20℃/分で昇温したときの吸熱ピークを測定する。ポリマーの種類により上記1st Runで明確な吸熱ピークが現れない場合は、50℃/分の昇温速度で、予想される流れ温度より50℃高い温度まで昇温し、その温度で3分間以上保持し完全に溶融した後、80℃/分の速度で50℃で冷却し、しかる後20℃/分の昇温速度で吸熱ピークを測定するとよい。
本発明の芯成分として用いる溶融異方性芳香族ポリエステル(Aポリマー)には、本発明の効果を損なわない範囲内でポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステルエーテルケトン、フッ素樹脂等の熱可塑性ポリマーを添加してもよい。また酸化チタンやカオリン、シリカ、酸化バリウム等の無機物、カーボンブラック、染料や顔料等の着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種添加剤を添加してもよい。
また樹脂ポリマーの導電性を付与することが可能なカーボンブラック粉体、各種導電性の金属粉末、酸化インジウムスズ、などの添加剤を添加しても構わない。
次に本発明において鞘成分に用いる屈曲性熱可塑性ポリマー(Bポリマー)とは、Aポリマーの融点をMPa(℃)、Bポリマーの融点をMPb(℃)とするとき、MPa+20≧ MPb≧MPa−30 を満足する融点をもつ熱可塑性ポリマーであり、しかも分散染料で染色したときの染着率が50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上99%以下となるポリマーであることが本発明の目的である染色性を達成するうえで必要である。
Bポリマーとしては、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド等が挙げられる。これらポリマーのうち、ポリエステルあるいはポリアミドが本発明の目的である染色性を達成するうえで好ましく、ポリエステルの中ではポリエチレンナフタレートが融点が高く、溶融液晶ポリマーと複合紡糸しやすい点で好適である。
また、ポリアミドの中ではジカルボン酸単位の60〜100モル%がテレフタル酸単位からなり、ジアミン単位の60〜100モル%が1,9−ノナンジアミン単位または1,9−ノナンジアミン単位と2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位からなり、そのモル比が40:60〜99:1である半芳香族ポリアミドが融点が溶融液晶ポリマーに近く、複合紡糸しやすい点で好適である。
これらの屈曲性熱可塑性ポリマーには、本発明の効果を損なわない範囲で、溶融異方性ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリエステルエーテルケトン、フッ素樹脂等を添加しても良い。特に、芯成分と同じ溶融異方性芳香族ポリエステルを10〜20質量%混練させると熱処理時の膠着等を防ぐ効果が得られるので好ましい。また、酸化チタン、シリカ、酸化バリウム等の無機物、カーボンブラック、染料や顔料等の着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、造核剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
本発明において鞘成分に用いる屈曲性熱可塑性ポリマー(Bポリマー)の融点MPb(℃)は、Aポリマーの融点をMPa(℃)とするとき、MPa+20≧ MPb≧MPa−30の関係を満足することが必要である。Bポリマーの融点がAポリマーの融点よりも20℃を越す場合、実質的に溶融紡糸が難しく、かつ本発明の効果を発揮するには熱処理温度を芯成分の融点より高くする必要があり、高強力を損なうので好ましくない。一方、Bポリマーの融点がAポリマーの融点よりも30℃未満低い場合、熱処理温度の制限から、芯成分ポリマーの固相重合を十分行うことが難しく、従って高強力繊維を得ることができない。
また本発明において鞘成分に用いる屈曲性熱可塑性ポリマー(Bポリマー)は、分散染料で染色したときの染着率が50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上99%以下であることが必要である。
染着率が50%未満である場合は、本発明の目的とする染色性に優れる繊維は得られない。
本発明において、繊維横断面に占める鞘成分の割合(R)は10%以上25%以下であることが必要である。Rが10%未満となると、鞘成分の剥離がおこり高強力繊維として実用に耐えない。一方、Rが25%を越えると強度は低下し、高強力繊維としての特徴を失う。好ましくは12%以上23%以下、より好ましくは15%以上20%以下である。
なお、本発明に言う繊維横断面に占める鞘成分の割合(R)は、繊維断面の顕微鏡写真から求められるが、製造時の芯成分と鞘成分の吐出量の体積比により求めることもできる。
本発明で用いる芯鞘型複合繊維は、公知の方法、例えば図1に示される構造のノズルから紡糸することができる。得られる繊維の横断面形状は特に限定されるものではないが丸断面が好ましい。
紡糸ドラフト(D)は35以下で溶融紡糸することが重要である。Dが35を越えると鞘成分の配向が大きくなるためか本発明の良好な染色性が得られなくなる。本発明に言う紡糸ドラフト(D)とは、ノズルからの射出速度をVf、引取り速度をVhとするとき、VfとVhの比(Vf/Vh)で求められる値である。
本発明においては、引き取られた原糸は延伸することなしにMPb−30℃以上MPb+10℃以下の温度で5時間以上30時間以下熱処理される。通常、屈曲性熱可塑性高分子は、繊維性能を持たせるため延伸することが必要であるが、本発明においては染色性向上を目的の一つとするため実質的に延伸しないことが重要である。熱処理温度がMPb−30℃未満では、芯成分であるAポリマーの固相重合が十分行われないので、本発明の目的の一つである高強力・高弾性率繊維は得られない。一方、MPb+10℃を越えると鞘成分が融着し実質的に使用できない繊維状物となる。
本発明にいう熱処理とは、紡糸して得られる原糸を実質的に緊張しない状態で窒素等の不活性ガス雰囲気下や、空気のごとき酸素含有の活性ガス雰囲気中又は減圧下で処理することである。ガスを使用する場合は、露点が−80℃以下の低湿気体が好ましい。熱処理を行う繊維の形態は、フィラメント、カットファイバーいずれも可能である。
熱処理条件は、MPb−30℃以上、MPb+10℃以下の温度で5時間以上30時間以下であり、具体的な方法としては順次昇温していき、到達温度になってから更に所定の時間処理することが好ましい。熱の供給は、気体の媒体を用いる方法、加熱板、赤外線ヒーター等により輻射を利用する方法、高周波等を利用した内部加熱方法等がある。処理形状はカセ状、トウ状(例えば金属網等にのせて行う)、あるいはローラー間で連続的に処理することも可能である。
上記した製造方法で得られる本発明の繊維は引張強度18cN/dtex以上、好ましくは20cN/dtex以上、より好ましくは25cN/dtex以上40cN/dtex以下、引張初期弾性率は、400cN/dtex以上、好ましくは500cN/dtex以上、より好ましくは600cN/dtex以上1200cN/dtex以下の力学的物性を有する。上記の熱処理を行うことで繊維を形成する成分のうち、芯成分を構成するAポリマーにおいて固相重合が促進されて分子量増大などが起こり、その結果繊維の力学物性の向上のみならず耐熱性向上などが起こる。
また本発明の繊維は通常の染色方法で染色することができる。とくに、分散染料による高圧染色が好ましく、染色温度130℃以上の高温で染色するのが好ましい。
本発明により、強度18cN/dtex以上、弾性率400cN/dtex以上の高強力・高弾性率繊維でありながら、通常の染色方法で十分な染着と堅牢度をもつ繊維の製造が可能になった。
本発明の繊維は、例えば作業用衣類、各種スポーツ用品、産業用部品等に活用されるものである。具体例としては、飛行機や自動車の内装部材、戦闘用作業服、スポーツ用ユニフォーム、ライダースーツ、手袋、各種防護服およびその部材。鞄、靴の部品、メッシュクロス、スクリーン紗、各種ザック(特に登山用ザック)、テニスやバトミントンのガット、各種釣り糸、登山用テント、ペット用品(首輪、散歩用ロープ、服)、各種FRP用の基布などが挙げられる。
以下実施例によって、本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何等限定されるものではない。なお本発明において繊維の強度、弾性率、染着率、染色性、摩擦堅牢度、洗濯堅牢度は以下の測定方法により測定されたものを意味する。
[繊維強度、弾性率 cN/dtex]
JIS L1013に準拠し、試長20cm、初荷重0.09cN/dtex、引張速度10cm/minの条件にて測定し、5点以上の平均値を採用した。
[染着率 %]
JIS L1015に準拠し、染色した後の残液を室温まで放冷し、光電比色計を用いて吸光度を測定し、別に求めた検量線から染着率を求めた。
[染色性評価]
(1)得られたマルチフィラメントを用いて筒編地を作成し、染料Dianix Black BG−FS-200(ダイスター社製)を5%(owf)、Disper TL(明成化学工業株式会社製)を1g/l、イオネットPHー500(三洋化成株式会社製)を0.5g/l、浴比 1:50、染色温度130℃(実施例2〜4)、および140℃(実施例1)の条件で染色を行った。
(2)上記(1)で得られたサンプルを分光測色計(ミノルタ社製:CM−3700)で、L値光源はD65、視野角度10度で測定した。L値は数値が小さいぼど濃色を示す。
[摩擦堅牢度評価]
上記染色サンプルを用いて、JIS L−0849(摩擦試験機II形)摩擦に対する染色堅牢度試験方法に準じて、湿潤の摩擦堅牢度試験を行い、添付白布への汚染をグレースケールにて判定した。
[洗濯堅牢度評価]
上記染色サンプルを用いて、JIS L−0844(A−4法)洗濯に対する染色堅牢度試験方法に準じて洗濯堅牢度試験を行い、添付白布への汚染をグレースケールにて判定した。
[実施例1]
(1)Aポリマーには、前記化3で示した構成単位(P)と(Q)が73/27モル%である溶融異方性芳香族ポリエステル(MPa=281℃)を用いた。鞘成分のBポリマーとしてPEN(MPb=267℃)を用いた。芯成分と鞘成分を別々の押出し機より溶融し、鞘成分の体積比が17%となるようにギャポンプで計量し、図1の構造を有する口金より紡糸温度300℃、ノズルからの射出速度33m/分、引取り速度680m/分で紡糸し280dtex/80fのマルチフィラメントを得た。この紡糸原糸を延伸することなしに250℃で2時間、さらに263℃で20時間窒素ガス雰囲気中で熱処理した。
(2)上記(1)で得られた繊維は表1に示すように強度、弾性率とも良好であり、さらに染料Dianix Black BG−FS-200を用いて前記した方法にて染色性評価を行ったところ、染色後のL値も15.3と濃色の黒色染色物が得られた。
[実施例2]
射出速度53m/分、引取り速度795m/分、ドラフト15としたこと以外は実施例1と同様の方法でマルチフィラメントを得た。結果を表1に示す。得られた繊維は強度、弾性率とも良好であり、さらに染料Dianix Black BG−FS-200を用いて前記した方法にて染色性評価を行ったところ、染色後のL値が14.3であり、目視においても明らかに濃色に染色されていた。
[実施例3]
実施例1において、鞘成分としてポリマーBにポリマーAを20質量%混合したものを用いて紡糸原糸を得た後、熱処理温度を260℃で2時間、272℃で20時間処理した。表1に結果を示す。得られた繊維は強度、弾性率とも良好であり、さらに染料Dianix Black BG−FS-200を用いて前記した方法にて染色性評価を行ったところ、染色後の染色性も実施例1より優れていた。
[実施例4]
(1)Aポリマーには、前記化3で示した構成単位(P)と(Q)が75/25モル%である溶融異方性芳香族ポリエステル(MPa=285℃)を用いた。Bポリマーとしては、ジカルボン酸単位の100モル%がテレフタル酸単位からなり、70モル%が1,9−ノナンジアミン単位および50モル%が2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位からなる半芳香族ポリアミド(MPb=290℃)を用いた。芯成分と鞘成分を別々の押出し機より溶融し、鞘成分の体積比が20%となるようにギャポンプで計量し、図1の構造を有する口金より紡糸温度310℃、ノズルからの射出速度33m/分、引取り速度680m/分で紡糸し280dtex/80fのマルチフィラメントを得た。この紡糸原糸を延伸することなしに265℃で4時間、さらに283℃で15時間窒素ガス雰囲気中で熱処理した。
(2)得られた繊維は、表1に示すとおり強度、弾性率とも良好であり、さらに染料Dianix Black BG−FS-200を用いて前記した方法にて染色性評価を行ったところ、染色後のL値も13.7と濃色の黒色染色物が得られた。
[比較例1]
実施例1の溶融異方性芳香族ポリエステルからなるAポリマー単独とした以外は、実施例1と同様の方法で製造した。表1に示すように、得られた処理糸は強度、弾性率は高いものの、染料Dianix Black BG−FS-200を用いて前記した方法にて染色性評価を行ったところ、染着率がわずか4%であり、全く染色されていなかった。
[比較例2]
鞘成分の割合(R)を35%に変更した以外、実施例1と同様の方法で製造した。表1に示すように、得られた繊維は染色性は良好であるが、強度、弾性率が低く本発明の目的にはそぐわないものとなった。
[比較例3]
射出速度を14m/分とし、ドラフトを45にあげた以外、実施例1と同様の方法でマルチフィラメントを製造し評価した。結果を表1に示す。得られた繊維は強度が不十分であり、さらに染料Dianix Black BG−FS-200を用いて前記した方法にて染色性評価を行ったところ、染着率は48%、L*値が20.2であることからもわかるように、濃色の染色物は得られなかった。
Figure 2010077540
本発明により、強度18cN/dtex以上、弾性率400cN/dtex以上の高強力・高弾性率繊維でありながら、通常の染色方法で十分な染着と堅牢度をもつ繊維の製造が可能になった。
本発明の繊維は、例えば作業用衣類、各種スポーツ用品、産業用部品等に活用されるものである。具体例としては、飛行機や自動車の内装部材、戦闘用作業服、スポーツ用ユニフォーム、ライダースーツ、手袋、各種防護服およびその部材。鞄、靴の部品、メッシュクロス、スクリーン紗、各種ザック(特に登山用ザック)、テニスやバトミントンのガット、各種釣り糸、登山用テント、ペット用品(首輪、散歩用ロープ、服)、各種FRP用の基布などが挙げられる。
本発明の芯鞘型複合繊維を紡糸するために用いられるノズルの構造を示す模式図。

Claims (4)

  1. 芯成分が溶融異方性芳香族ポリエステル(Aポリマー)からなり、鞘成分が分散染料で染色したときの染着率が50%以上である屈曲性熱可塑性ポリマー(Bポリマー)であり、下記(1)〜(3)を共に満足する高強力繊維。
    (1)Aポリマー融点をMPa(℃)、Bポリマーの融点をMPb(℃)とするとき、
    MPa+20≧ MPb≧MPa−30 であること、
    (2)繊維横断面に占める鞘成分の割合(R)が10%以上25%以下であること、
    (3)繊維の引張強度18cN/dtex以上、引張初期弾性率400cN/dtex以上であること。
  2. Bポリマーが、ポリエチレンナフタレートを少なくとも一成分として含むポリマーである請求項1記載の高強力繊維。
  3. Bポリマーが、ジカルボン酸単位の60〜100モル%がテレフタル酸単位からなり、ジアミン単位の60〜100モル%が1,9−ノナンジアミン単位または1,9−ノナンジアミン単位と2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位からなり、そのモル比が40:60〜99:1である半芳香族ポリアミドを少なくとも一成分として含むポリマーである請求項1記載の高強力繊維。
  4. 紡糸ドラフト(D)を35以下で溶融紡糸し、延伸することなしにMPb−30℃以上MPb+10℃以下の温度で5時間以上30時間以下熱処理することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高強力繊維の製造方法。
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