JP2012207347A - モノフィラメント状物 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱可塑性液晶ポリマーを用いて形成され、耐熱性に優れるとともに、強度と剛性
(可撓性)とを両立することができるモノフィラメント状物を提供する。
【解決手段】少なくとも2成分の繊維で構成されるモノフィラメント状物であり、各繊維が合糸されてなり、それらのうち少なくとも1成分の繊維が溶融液晶性を示す樹脂からなるモノフィラメント糸。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性に優れるとともに、強度と剛性(可撓性)とを両立することができる
モノフィラメント状物に関する。
従来、光ファイバーケーブルやドロップコードのテンションメンバーとして太繊度のマルチフィラメント糸やモノフィラメント糸が使用されている。
例えば、特許文献1(特開平9−98698号公報)には、少なくとも2本のゲル紡糸されたポリオレフィンのフィラメント糸を一緒に編組又は加撚し、次いでこのポリオレフィンフィラメント糸の融点範囲内で加熱して、隣接するフィラメントの表面を少なくとも一部融着させた、モノフィラメント糸の特性を有するヤーンが開示されている。
そして、特許文献1のポリオレフィンフィラメント糸から形成されたヤーンでは、マルチフィラメント糸と比較して、末端の擦り切れを低減し、モノフィラメント状の良好な切断特性を得ることができる。
また、特許文献2(特許第4054736号明細書)には、熱可塑性樹脂からなるフィラメント複数本を引きそろえ、加撚および/または製紐し、ついで、送り込みローラーと巻き取りローラーとの速度比((巻き取りローラーの速度)/(送り出しローラーの速度))1.0未満で加熱下延伸することにより、隣接するフィラメントを実質的に融着させ、ついで、送り込みローラーと巻き取りローラーとの速度比((巻き取りローラーの速度)/(送り出しローラーの速度))1.0より高い倍率で加熱下延伸することを特徴とする融着糸条の製造方法が開示されている。
そして、この文献の実施例1では、ダイニーマ(登録商標)を製紐し、ついで、送り込みローラー100m/分、巻き取りローラー40m/分で加熱することにより、隣接するフィラメントを実質的に融着させ、ついで、送り込みローラー30m/分、巻き取りローラー40m/分で加熱下延伸して融着糸条を製造している。このようにして得られた融着糸条では、隣接するフィラメントを実質的に完全融着しているため、水を抱き込みにくく、水切れ性に優れている。
特開平9−098698号公報 特許第4054736号公報
しかしながら、特許文献1のポリオレフィンフィラメントから形成されたヤーンでは、耐熱性に劣るだけでなく、ポリオレフィンフィラメント間で十分な結合を得ることができないため、耐久性に劣る。
また、特許文献2では、隣接するフィラメントが実質的に完全融着しているため、フィラメント間での結合力は向上しているが、その一方で完全融着によりしなやかさ、すなわち可撓性を確保することができない。しかも、特許文献2では、強度を向上させるために実質的に完全融着した糸条の延伸処理が不可欠であるが、このような処理は、屈曲性の高い分子鎖を有するポリマーにしか適用できず、このようなポリマーは、通常十分な耐熱性を有していない。
従って本発明の目的は、耐熱性に優れるモノフィラメント状物を提供することにある。
本発明の別の目的は、強度と剛性とを両立することができるモノフィラメント状物を提供することにある。
本発明者等は上記した従来技術の問題点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、少なくとも1成分が熱可塑性液晶ポリマーからなる2成分以上のフィラメントを一旦集束させ、その集束体を微延伸下で融点以上に加熱すると、熱可塑性液晶ポリマー成分からなる繊維の融着と固相重合とを同時に行うことができるためか、隣接するフィラメントの接触面を強固に結合する一方で、それにより得られた熱処理糸は、耐熱性に優れるとともに、強度と剛性(可撓性)とを両立できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、少なくとも2成分の繊維で構成されるモノフィラメント状物であり、各繊維が合糸されてなり、それらのうち少なくとも1成分の繊維が溶融液晶性を示す樹脂からなるモノフィラメント状物であり、好ましくは一方の成分の繊維と他方の成分の繊維の融点差が10℃以上であり、弾性率200cN/dtex以上、繊度が560dtex〜5600dtexである上記のモノフィラメント状物である。
さらに本発明は、好ましくは集束工程において、高融点(または分解温度)からなる液晶性繊維が芯部、低融点からなる繊維が鞘部を構成するように集束され、少なくとも鞘部の繊維は撚り回数40〜300回/mで集束されることを特徴とするモノフィラメント状物である。
なお、本発明において、フィラメントが隣接するとは、隣に存在するフィラメント同士の一部において接触している部分が存在していることを意味しており、必ずしも隣に存在するフィラメント同士がその全体において接触している必要はない。
本発明のモノフィラメント状物は、耐熱性に優れるだけでなく、強度と剛性(可撓性)とを両立できる。
また、本発明では、このような優れた性質を有するモノフィラメント状物を、効率よく製造することができる。
本発明の高剛性モノフィラメント状物の剛性を測定する方法を説明するための概略図である。
本発明のモノフィラメント状物は、少なくとも1成分が耐熱性の熱可塑性液晶ポリマーで構成された繊維で構成され、好ましくは一方の成分の繊維と他方の成分の繊維の融点差が10℃以上である2成分以上の繊維からなり、各繊維が合糸されフィラメントが一体化し、モノフィラメント様となった糸であり、以下に示す製造方法により得ることができる。
本発明のモノフィラメントは2成分以上の繊維で構成されることが必要であり、例えば
1)溶融液晶性を示すポリアリレート繊維同士の組み合わせで、固相重合糸と未固相重合糸(紡糸原糸)を合糸撚糸、2)前記ポリアリレート繊維とアラミド繊維を合糸撚糸、3)前記ポリアリレート繊維とポリエステル繊維を合糸撚糸、等の組み合わせが考えられる。
これら1)〜3)の中で、1)と3)の組み合せにおいては一方の成分の繊維と他方の成分の繊維の融点差が10℃以上であることが好ましい。融点差が10℃未満であると得られるモノフィラメント状物の剛性(可撓性)が不充分となる場合がある。好ましくは15℃以上である。
(フィラメントの準備工程)
まず、熱可塑性液晶ポリマーから、繊維を溶融紡糸により作製する。
熱可塑性液晶ポリマーは、溶融成形できる液晶性ポリマーであれば特にその化学的構成については特に限定されるものではないが、例えば、熱可塑性液晶ポリエステル(これにアミド結合が導入された熱可塑性液晶ポリエステルアミドも含む)などを挙げることができる。
また熱可塑性液晶ポリマーは、芳香族ポリエステルまたは芳香族ポリエステルアミドに、更にイミド結合、カーボネート結合、カルボジイミド結合やイソシアヌレート結合などのイソシアネート由来の結合等が導入されたポリマーであってもよい。
本発明に用いられる熱可塑性液晶ポリマーは、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸等より重合されて得られるポリマーであり、例えば、下記化1及び化2に示す構成単位の組合せを含むものである。
Figure 2012207347
Figure 2012207347
これらのうち、下記化3に示す(P)および(Q)の反復構成単位からなる部分が、50モル%以上(例えば、55〜95モル%程度、好ましくは60〜90モル%)である全芳香族ポリエステルが好ましい。
さらに、(P)の反復単位に対する(Q)の反復単位のモル比が、(P):(Q)=100:1〜50、好ましくは(P):(Q)=100:1〜45、さらに好ましくは(P):(Q)=100:1〜40程度であってもよい。
Figure 2012207347
本発明で用いられる熱可塑性液晶ポリマーは、耐熱性に優れており、その融点(以下、Mpと称す)は260〜360℃程度のものであり、さらに好ましくはMpが270〜350℃程度のものである。なお、本発明では示差走査熱量計(メトラー社DSC)により主吸熱ピークが現れる温度をMpとした。
なお、前記熱可塑性液晶ポリマーには、本発明の効果を損なわない範囲内で、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステルエーテルケトン、フッ素樹脂等の熱可塑性ポリマーを添加してもよい。
さらに、前記熱可塑性液晶ポリマーは、フィラーや各種添加剤(例えば、可塑剤、光安定剤、耐候安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、燃焼遅延剤、染顔料、潤滑剤および粘度調節剤など)を含有していてもよい。
熱処理雰囲気としては、窒素、アルゴン等の不活性ガスや空気等の活性ガス、あるいはそれらを組み合わせた雰囲気などが好適に用いられる。また上記熱処理を減圧下で行っても何等差し支えない。例えば、このような全芳香族ポリエステル繊維は、(株)クラレから「ベクトラン(登録商標)」として上市されている。
(フィラメントの集束工程)
前述のようにして得られたフィラメントは、次いで、集束工程において、加撚および/または製紐により集束され、集束体となる。なお、集束工程で用いられる繊維は、モノフィラメントであってもよいし、複数本のフィラメントからなるマルチフィラメントであってもよく、フィラメントは、同一径のフィラメントが用いられてもよいし、異なる径のフィラメントが組み合わさって用いられてもよい。
隣接するフィラメント間の接着性を向上させる観点からは、モノフィラメント状物を形成する各フィラメントの単繊維繊度は細い方が好ましく、例えば、単繊維繊度は、1〜20dtex程度、好ましくは1.5〜15dtex程度、さらに好ましくは2〜10dtex程度であってもよい。また、モノフィラメント状物を構成する各フィラメントの単繊維繊度は、同一であっても異なっていてもいずれでもよい。なお、単繊維繊度は、後述する実施例に記載した方法により測定される。
加撚工程では、公知または慣用の加撚方法を利用することができ、例えば、リング撚糸機、ダブルツイスターまたはイタリー式撚糸機など公知の撚糸機を用いて行うことができる。加撚の形態としては、フィラメントを1本または2本以上引き揃えて、SまたはZ方向に加撚した片撚り糸であってもよいし、このような片撚り糸を2本以上引き揃えてさらに上撚りをかけた諸撚り糸であってもよい。
本工程における撚りの程度は、フィラメントの単繊維繊度に応じて適宜決定することができるが、隣接するフィラメント間に適度な接着面と空隙部分とを設ける観点から、例えば撚り回数は、40〜300回/m程度、好ましくは40〜200回/m程度、さらに好ましくは40〜150回/m程度であってもよい。
なお、諸撚り糸などのように、複数段階に亘って撚りを掛けている場合、上述の撚り回数は、複数段階のうち、少なくとも一つの段階で掛けられる撚り回数が上記の撚り回数を満たしていればよいものとする。
また、集束体全体において、例えば、撚係数(K)は、0.5〜3.0程度、より好ましくは約0.7〜3.5程度、さらに好ましくは約1.0〜2.0程度であってもよい。
なお、撚係数Kは次式:K=t×D1/2(但し、t:撚り回数(回/m)、D:繊度(tex)を表す。)より算出され、繊度(tex)は、後述する実施例に記載した方法により測定される値から換算することができる。
また、製紐工程でも、公知または慣用の製紐方法を利用することができ、例えば、公知の組紐機(製紐機)を用いて行うことができる。
製紐の形態としては、複数本(例えば、4本、8本、12本または16本)のフィラメントを交互に編組みして製紐してもよいし、芯糸を定めると共に、芯糸の周りを複数本のフィラメントで製紐してもよい。なお、製紐に用いるフィラメントは、予め撚りがかけられていてもよい。
(無延伸加熱工程)
前述のようにして形成された繊維の集束体は、さらに緊張下での加熱工程を経て、隣接する繊維の少なくとも一部を融着または膠着させて一体化する。加熱工程では、公知の熱風延伸炉で行うことが出来る。本発明にいう緊張下とは集束体が弛まない状態をいう。
場合によっては数%以下の延伸を行っても良い。好ましくは、低融点繊維の融点以下、高融点(または分解点)以下の温度雰囲気中で処理を行うことである。
[モノフィラメント状物の性質]
このようにして得られたモノフィラメント状物は、ポリマーに由来した耐熱性を有するだけでなく、強度と剛性とを両立させ、強さとしなやかさとをかねそろえている。モノフィラメント状物の内部では、隣接する繊維同士が融着または膠着している部分と、繊維同士が融着または膠着していない部分とが混在している。本発明のモノフィラメント状物では、従来では不可能であった強度と剛性との両立を実現することができる。
(モノフィラメント状物の繊度)
得られるモノフィラメント状物の繊度は560〜5600dtexであることが好ましく、600〜5000dtexであることがより好ましく。700〜4000dtexであることがさらに好ましい。モノフィラメント状物の繊度が560dtexの場合、剛性が出にくい問題があり、5600dtexを越えると強度低下の問題がある。
(モノフィラメント状物の強度)
例えば、モノフィラメント状物では、室温下(例えば25℃)での強度が、9.0cN/dtex以上(例えば、9.0〜50cN/dtex程度)、好ましくは15.0cN/dtex以上(例えば、15.5〜45cN/dtex程度)、さらに好ましくは18.0cN/dtex以上(例えば、18.5〜40cN/dtex程度)を示してもよい。なお、前記強度は、後述する実施例に記載した方法により測定される値である。
(モノフィラメント状物の弾性率)
前記モノフィラメント状物は、室温下(例えば25℃)の弾性率が、200cN/dtex以上(例えば、350〜1000cN/dtex程度)、好ましくは400cN/dtex以上(例えば、450〜900cN/dtex程度)であってもよい。なお、前記弾性率は、後述する実施例に記載した方法により測定される値である。
(モノフィラメント状物の剛性)
さらに、本発明のモノフィラメント状物は、強度とともに剛性(可撓性)をも兼ねそろえることが可能である。本発明のモノフィラメント状物の撓み性を評価する指標として、下記に示す剛性(R)を利用することができる。
剛性(R)を求めるためには、まず、図1に示すように、所定の長さ(円周:25cm)のモノフィラメント状物リング10の上端1を固定して宙吊りする。その際の、リング上端1から鉛直方向下向きのリング下端2までの外径の長さをA(単位:cm)し、前記リングの外径Aの二等分点Mにおける、前記鉛直方向と直交する方向のリングの外径をB(単位:cm)とする。
次いで、このリングの下端2において、1g/440dtexの割合で錘Wをつるした際の、リング上端1からリング下端2までの外径A’(単位:cm)とし、前記リングの外径A’の二等分点M’における、前記鉛直方向と直交する方向のリングの外径をB’(単位:cm)とする。
このような条件下において、剛性(R)は、錘をリングにつるす前後の外径の変化率に基づいて、下記式(1)
R=1/[(A’−A)+(B−B’)] (1)
により評価することができる。
なお、ここで、Rの値は、小さいほど撓み性がよく、モノフィラメント状物がしなやかであることを示す。例えば、Rは、0.1以下、好ましくは0.005〜0.09程度、さらに好ましくは0.01〜0.085程度であってもよい。
そして、本発明のモノフィラメント状物では、剛性(R)をモノフィラメント状物の繊度(F:単位dtex)で除した繊度当りの剛性が、例えば、下記式(2)の関係を満たしている。
0.5≧R/F×10000 (2)
より詳細には、R/F×10000は、0.45以下であればいいが、好ましくは0.01〜0.45程度、さらに好ましくは0.05〜0.40程度であってもよい。
(モノフィラメント状物の伸度)
モノフィラメント状物の伸度は、糸を構成する単繊維繊度や糸全体の繊度に応じて、適宜定められるが、例えば、3.0〜6.0%程度、好ましくは3.1〜5.0%程度であってもよい。なお、前記伸度は、後述する実施例に記載した方法により測定される値である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより何等限定されるものではない。
[熱可塑性液晶ポリマーの対数粘度 ηinh
試料を60℃のペンタフルオロフェノール溶液に0.1質量%溶解し、60℃の恒温槽中でウベローテ型毛管粘度計で測定し、下式により求めた。
ηinh=[ln(ηrel)]/C
[熱可塑性液晶ポリマーの融点]
DSC装置(metrler社製TA3000)にサンプルを10〜20mgとり、アルミ製パンへ封入した後、キャリヤ−ガスとしてNを100cc/分流し、昇温速度20℃/分で測定し、吸熱ピ−クの位置の示す温度を測定し、これを熱可塑性液晶ポリマーの融点とした。
[強度および弾性率:cN/dtex]
JIS L 1013に準じ、各温度雰囲気下において、試長20cm、初荷重0.1g/d、引張速度10cm/minの条件で破断強伸度及び弾性率(初期引張抵抗度)を求め、5点以上の平均値を採用した。
[伸度:%]
JIS L 1013に準じ、試長20cm、初荷重0.1g/d、引張速度10cm/minの条件で引張破断時の伸び率(%)を求め、5点以上の平均値を採用した。
[繊度および単繊維繊度:dtex]
モノフィラメント状物を、温度20℃および相対湿度65%の雰囲気下に5日間放置して調湿した後、調湿したモノフィラメント糸の一定長(1000mm)を採取し、その質量を測定して繊度(dtex)を算出した。同じ擬似モノフィラメント糸について、前記と同じ測定操作を10回行い、その平均値を採ってモノフィラメント状物の繊度(dtex)とした。
また、得られた繊度に対して、モノフィラメント糸を形成するフィラメント数を除した商を、モノフィラメント糸を構成するフィラメントの単繊維繊度とした。
[剛性:cm−1
図1に示すように、所定の長さ(円周25cm)のモノフィラメント状物リング10を作製した後、その上端1を固定して宙吊りする。その際の、リング上端1から鉛直方向下向きのリング下端2までの外径の長さをA(単位:cm)し、前記リングの外径Aの二等分点Mにおける、前記鉛直方向と直交する方向のリングの外径をB(単位:cm)とする。
次いで、このリングの下端2において、1g/440dtexの割合で錘Wをつるし、リング上端1からリング下端2までの外径の長さをA’(単位:cm)とし、前記リングの外径Aの二等分点M’における、前記鉛直方向と直交する方向のリングの外径をB’(単位:cm)とする。
このような条件で、錘をリングにつるす前後の外径の変化率に基づいて、下記式で表わされる
R=1/[(A’−A)+(B−B’)]
に基づいて、剛性(R)を算出した。
(1)液晶ポリマーフィラメントの製造工程
パラアセトキシ安息香酸(A)と2,6−アセトキシナフトエ酸(B)の仕込み比を7:3(モル比)とし、重合温度310℃でアセテート法による重合を行い、繰り返し構成単位(A)と(B)のモル比が7:3である全芳香族ポリエステルポリマー(ηinh=5.8、Mp=280℃)を作製した。この全芳香族ポリエステルを単軸押し出し機を用いて紡糸温度315℃にて0.15mm径、300ホールの口金より巻取り速度2000m/分で紡糸し、1670dtex/300fの紡糸原糸を得た。
(2)モノフィラメント糸の製造工程
前述のようにして得られたフィラメントは、加撚および/または製紐により集束され、フィラメントを1本または2本以上引き揃えて、SまたはZ方向に加撚した片撚りにより製造した。
(実施例1)
繊維A(高融点繊維)として「ベクトランHT 1670」(株式会社クラレ製)、繊維B(低融点繊維)として「ベクトランNT−560T」(株式会社クラレ製)を用いた。各々の繊維性能を以下に示す。
銘柄 融点(℃) 繊度(dtex) 強度(cN/dtex) 弾性率(cN/dtex)
HT-1670T 315 1670 24.3 612
NT-560T 278 558 8.7 584
繊維Aを80T/mの撚糸をして芯糸とし、その周りに繊維Bが覆うようにカバーリングして繊維Aに繊維Bを3本合糸し、撚糸数40T/mとなるようにした撚り糸を作製した。
この撚り糸を300℃に設定した延伸炉で連続的に処理してモノフィラメント状物を得た。得られたモノフィラメント状物の物性を表1に示す。
(実施例2)
繊維Aを「ベクトランHT560T」(株式会社クラレ製)、繊維Bを「ベクトランNT−220T」(株式会社クラレ製)を合糸し、撚糸数120T/mとした以外は実施例1と全く同様にしてモノフィラメント状物を得た。得られたモノフィラメント状物の物性を表1に示す。
銘柄 融点(℃) 繊度(dtex) 強度(cN/dtex) 弾性率(cN/dtex)
HT-560T 320 563 25.3 570
NT-220T 285 222 9.1 560
(実施例3)
繊維Aをアラミド繊維とした以外は実施例1と全く同様にしてモノフィラメント状物を得た。得られたモノフィラメント状物の物性を表1に示す。
銘柄 分解温度(℃) 繊度(dtex) 強度(cN/dtex) 弾性率(cN/dtex)
K-1760 >400 1760 20.1 520
(比較例1)
パラアセトキシ安息香酸(A)と2,6−アセトキシナフトエ酸(B)の仕込み比を7:3(モル比)とし、重合温度310℃でアセテート法による重合を行い、繰り返し構成単位(A)と(B)のモル比が7:3である全芳香族ポリエステルポリマー(ηinh=5.8、Mp=280℃)を作製した。この全芳香族ポリエステルを単軸押し出し機を用いて紡糸温度300℃にて0.35mm径、20ホールの口金より巻取り速度85m/分にて紡糸し、660dtex/1fの紡糸原糸を得た。製造した紡糸原糸の物性を表1に示す。
Figure 2012207347
表1に示すように、実施例1〜3では、高い強度としなやかさを両立することができ、繊度当りのしなやかさの程度を示す剛性率は、幅広い繊度のモノフィラメント状物のいずれにおいても低い値を示していた。
一方、比較例1の単なるモノフィラメントでは、強度は確保できるものの、剛性の値が高く、繊度当りの剛性率は高い値を示し、しなやかさに欠けていた。
本発明のモノフィラメント状物は、熱可塑性液晶ポリマーから形成しているため、高い耐熱性を有すると共に、強度および剛性にも優れている。そのため、水産用、光ファイバーケーブル、土木工事用、ロ−プ、コ−ド、延糸などとして、好ましく利用できる。
以上のとおり、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。

Claims (4)

  1. 少なくとも2成分の繊維で構成されるモノフィラメント状物であり、各繊維が合糸されてなり、それらのうち少なくとも1成分の繊維が溶融液晶性を示す樹脂からなるモノフィラメント状物。
  2. 一方の成分の繊維と他方の成分の繊維の融点差が10℃以上である請求項1記載のモノフィラメント状物。
  3. 弾性率200cN/dtex以上、繊度が560dtex〜5600dtexである請求項1または2記載のモノフィラメント状物。
  4. 集束工程において、高融点(または高融解温度)から成る繊維が芯部、低融点から成る繊維が鞘部を構成するように集束され、少なくとも鞘部の繊維は撚り回数40〜300回/mで集束されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のモノフィラメント状物。
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