JP2010196207A - 複合紐状品 - Google Patents

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JP2010196207A
JP2010196207A JP2009043590A JP2009043590A JP2010196207A JP 2010196207 A JP2010196207 A JP 2010196207A JP 2009043590 A JP2009043590 A JP 2009043590A JP 2009043590 A JP2009043590 A JP 2009043590A JP 2010196207 A JP2010196207 A JP 2010196207A
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Yuji Ogino
祐二 荻野
Akihiro Uehata
章裕 上畠
Takashi Katayama
隆 片山
Mariko Mine
真理子 三根
Hideki Matsubara
秀樹 松原
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

【課題】耐熱性に優れるテンションメンバーを芯部として用いた複合紐状品を提供する。
【解決手段】テンションメンバーは、下記[A]、[B]、[C]、[D]、[E]の反
復構成単位からなる部分が90モル%以上である芳香族ポリエステルアミドで構成された
溶融異方性ポリエステルアミド繊維から形成され、150℃雰囲気下で、強度が16cN
/dtex以上かつ弾性率が710cN/dtex以上である溶融異方性ポリエステルア
ミド繊維を含む。
【化1】
Figure 2010196207

【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性に優れたテンションメンバーを芯材として用いた複合紐状品に関する
テンションメンバ−は、従来、給電、信号電送のためのコード類・ケーブル類において
、引張破断を防止するための抗張力材として用いられている。
例えば、特開平1−239182号公報(特許文献1)には、溶融異方性ポリエステル
化合物からなる高強度低伸度繊維の紐状品を熱可塑性樹脂で被覆した複合紐状品が開示さ
れている。
また、特開平7−189030号公報(特許文献2)には、高強力高弾性率でありかつ
耐摩耗性の改良された溶融異方性ポリエステルアミド繊維を、テンションメンバ−として
用いることが開示されている。
特開平1−239182号公報(特許請求の範囲) 特開平7−189030号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、溶融異方性芳香族ポリエステル繊維は、高い強度を示すものの弾性率の
点で不十分であり、テンションメンバ−として用いた場合は、大きな負荷が加わった際に
伸びてしまい、ケーブルやコードの断線を引き起こす虞がある。
また、前述の溶融異方性ポリエステルアミド繊維では、耐熱性が十分ではなく、高温雰
囲気下で用いられる用途では、十分な抗張力作用を示すことができない場合がある。
さらに、テンションメンバーがハンダ付けなどの高温にさらされた場合、テンションメ
ンバー自体が融解や収縮してしまうのを防ぐため、耐熱性に優れるテンションメンバーが
求められている。
従って、本発明の目的は、耐熱性に優れるテンションメンバーと樹脂とを含む複合紐状
品を提供することにある。
本発明の別の目的は、高温雰囲気下であっても高強度・高弾性率であるテンションメン
バーを提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、吸水性が低く、耐ハンダ性に優れるテンションメンバーを
提供することにある。
本発明者等は上記した従来技術の問題点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のポ
リエステルアミド繊維は、幅広い温度、特に高温下でも優れた強度及び弾性率を示すこと
を見出し、さらにこのようなポリエステルアミド繊維から形成されたテンションメンバー
は、従来使用することができなかった高温雰囲気下であっても低伸度であるだけでなく、
耐ハンダ性にも優れることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の複合紐状品は、テンションメンバーと、このテンションメンバーを
被覆する被覆材とを含み、
前記テンションメンバーは、下記[A]、[B]、[C]、[D]、[E]の反復構成
単位からなる部分が90モル%以上であり、[A]:[B]:[C]:[D]:[E]=
100:1〜20:5〜100:2〜80:2〜20のモル比を有する芳香族ポリエステ
ルアミドから溶融紡糸され、150℃雰囲気下の強度(T150)が17cN/dtex
以上であり、かつ
150℃雰囲気下の弾性率(E150)が710cN/dtex以上である溶融異方性
ポリエステルアミド繊維を含む耐熱性テンションメンバーである。
Figure 2010196207
前記溶融異方性ポリエステルアミド繊維では、動的粘弾性測定により得られるガラス転
移点(Tg)が81℃以上であってもよく、25℃雰囲気下で動的粘弾性から測定した貯
蔵弾性率(E’25)と、150℃雰囲気下で動的粘弾性から測定した貯蔵弾性率(E’
150)との比が、E’150/E’25=0.50以上であってもよい。
また、前記溶融異方性ポリエステルアミド繊維は、150℃雰囲気下の強度(T150
)と、25℃雰囲気下の強度(T25)との比が、T150/T25=0.70以上であ
るとともに、150℃雰囲気下の弾性率(E150)と、25℃雰囲気下の弾性率(E
)との比が、E150/E25=0.85以上であってもよい。
さらに、前記溶融異方性ポリエステルアミド繊維では、広角X線回折測定により得られ
る2θ=29°に現れる回折ピーク強度の半価幅より算出した結晶サイズが7nm〜11
nm程度であってもよい。
また、前記溶融異方性ポリエステルアミド繊維は、350℃雰囲気下における乾熱収縮
率が1%以下であってもよく、熱風乾燥機の中で250℃雰囲気下、100hr暴露させ
た後に取り出して25℃雰囲気で測定した時の強度(T250)と25℃雰囲気下の強度
(T25)との比が、T250/T25=0.80以上であってもよい。
また、複合紐状品は、直径が1.5mm以下の電線コードであってもよい。
本発明の複合紐状品では、テンションメンバーが特定のポリエステルアミド繊維から形
成されているため、耐熱性が高く、高温雰囲気下において高い強度及び弾性率を実現でき
る。また、本発明の複合紐状品では、ハンダ付けの際にテンションメンバー自体が融解や
収縮してしまうのを有効に防止することができ、耐ハンダ性に優れるとともに、ハンダ作
業性にも優れている。
また、本発明のテンションメンバーは、吸水性もきわめて低く、乾湿条件を問わず、安
定した性能を示すことができる。
本発明の複合紐状品は、テンションメンバーとその被覆材とを少なくとも含んでおり、
このテンションメンバーは、溶融異方性ポリエステルアミド繊維(または、芳香族ポリエ
ステルアミド繊維)を含んでいる。
そして、前記芳香族ポリエステルアミド繊維(単に、ポリエステルアミド繊維と称する
場合がある)は、下記に記載する芳香族ポリエステルアミドから溶融紡糸されている。
(芳香族ポリエステルアミド)
芳香族ポリエステルアミドは、下記式に示す[A]、[B]、[C]、[D]、[E]
の反復構成単位からなる部分が90モル%以上であり、[A]:[B]:[C]:[D]
:[E]=100:1〜20:5〜100:2〜80:2〜20のモル比、好ましくは、
[A]:[B]:[C]:[D]:[E]のモル比が100:3〜10:15〜60:1
0〜45:5〜15のモル比を有する。
Figure 2010196207
なお、ここで、[A]:[B]:[C]:[D]:[E]=100:1〜20:5〜1
00:2〜80:2〜20とは、反復構成単位[A]に対する、それ以外の構成単位[B
]〜[E]までの比を表している。
特に、紡糸性、強度、弾性率、耐疲労性、耐切創性、非吸水性等の観点から、化2に示
す反復構成単位の中で構成単位[A]が40〜80モル%、また構成単位[D]がn=2
である芳香族ポリエステルアミドが好ましい。
本発明の効果が損なわれない程度に、芳香族ポリエステルアミドは、構成単位として、
他の芳香族、脂環族、脂肪族のジオ−ル、ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ジアミ
ン、ヒドロキシアミン等を含んでいてもよい。具体的には、イソフタル酸、ナフチレンジ
カルボン酸、ジオキシナフタレン、べンゼンジアミン等が挙げられる。しかしながら、こ
れらのモノマ−が10モル%を越えると本発明の効果は損なわれる虞がある。
なお本発明にいう溶融異方性とは、溶融相において光学的異方性を示すことである。例
えば試料をホットステ−ジにのせ、窒素雰囲気下で昇温加熱し、試料の透過光を観察する
ことにより認定できる。
溶融異方性ポリマ−は分解開始温度(Td)と融点(Tm)の温度差が40℃以上であ
ることが好ましい。溶融紡糸は紡糸機を融点以上に加温して行うのだが、設定温度に対し
てある程度の幅をもって温度が変化するため、設定温度よりも高温になることがある。も
し溶融異方性ポリマ−の分解開始温度(Td)と融点(Tm)の温度差が40℃未満であ
れば、ポリマ−が配管を滞留中、温度が融点を越えて分解温度に達し、ポリマ−に分解が
生じ、紡糸ノズル付近でビス即ち断糸が発生する。
ビスが生じない場合でも、繊維中に分解ガスと考えられる気泡が発生し、力学的性能が
低下する。ここで述べる分解開始温度(Td)とはTG曲線(熱重量曲線)における減量
開始温度であり、ここで述べるTmとは、示差走査熱量(DSC:例えばmettler
社製、TA3000)で観察される主吸熱ピ−クのピ−クトップ温度であり、以下、融
点ピーク温度と称する場合がある(JIS K 7121)。
本発明のポリエステルアミド繊維は、常法によりポリマーを溶融紡糸して得られるが、
該芳香族ポリエステルアミドの融点よりさらに10℃以上高い紡糸温度(かつ溶融液晶を
形成している温度範囲内)で、剪断速度10sec−1以上、紡糸ドラフト20以上の
条件で紡糸するのが好ましい。かかる剪断速度および紡糸ドラフトで紡糸することにより
、分子の配向化が進行し優れた強度等の性能を得ることができる。剪断速度(γ)は、ノ
ズル半径をr(cm)、単孔当たりのポリマ−と吐出量をQ(cm/sec)とすると
きr=4Q/πrで計算される。ノズル横断面が円でない場合には、横断面積と同値の
面積を有する円の半径をrとする。
本発明で用いられるポリエステルアミド繊維を得るためには、強度、弾性率、耐熱性(
例えば、乾熱収縮性、耐熱老化性、耐ハンダ性など)を向上させるために、紡糸原糸を熱
処理及び/あるいは延伸熱処理する必要がある。熱処理は、不活性雰囲気のみで行っても
良いし、途中から活性雰囲気化で熱処理を行なっても良い。
なお、不活性雰囲気下とは、窒素、アルゴン等の不活性ガス中あるいは減圧下を意味し
、酸素等の活性ガスが0.1体積%以下であることをいう。また活性雰囲気下とは、酸素
等の活性ガスを1%以上含んでいる雰囲気を言い、好ましくは10%以上の酸素含有気体
であり、コスト的には空気を用いることが好ましい。水分が存在すると加水分解反応も併
行して進行するので、露点が−20℃以下,好ましくは−40℃以下の乾燥気体を使用す
る。
好ましい熱処理の温度条件は、溶融紡糸前のポリマ−の融点Tm対して、Tm−35℃
からTm−2℃の温度範囲であり、このような温度条件で加熱することにより高温下にお
いて高い強度をおよび弾性率を実現できる高強力高弾性率ポリエステルアミド繊維を得る
ことができる。また、加熱処理は、一定の温度で行っても良いし、加熱により漸進的に上
昇する繊維の融点にあわせて、順次昇温してもよい。
また、熱処理条件は、単繊維繊度(dtex)あたりに加熱された、(融点との温度差
:℃)と(加熱時間:時間)との積によって表わすことも可能であり、この場合、50≦
(融点との温度差)×(加熱時間)/(単繊維繊度)≦100程度の熱処理により、本発
明で規定する特定の高強度高弾性率ポリエステルアミド繊維を得ることが可能となる。
熱の供給は、気体等の媒体によって行う場合、加熱板、赤外ヒ−タ−等による輻射を利
用する方法、熱ロ−ラ−、プレ−ト等に接触させて行う方法、高周波等を利用した内部加
熱方法等があり、目的により、緊張下あるいは無緊張下で行われる。熱処理は、フィラメ
ント糸を、カセ状、またはチ−ズ状にして、または、トウ状にしてバッチ式で行うか、あ
るいは、フィラメントをロ−ラ−上を走行させながら連続式で行うことが出来る。また、
繊維をカットファイバ−にして、金網等にのせて熱処理を行っても良い。
さらに、本発明において用いられるポリエステルアミド繊維は、必要に応じて酸化チタ
ン、カオリン、シリカ、酸化バリウム等の無機物、カ−ボンブラック、染料や顔料等の着
色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤を含んでいても良い。
(ポリエステルアミド繊維の強度)
前記ポリエステルアミド繊維は、150℃雰囲気下の強度(T150)が17cN/d
tex以上(例えば、17.5〜40cN/dtex程度)、好ましくは18cN/dt
ex以上(例えば、18.5〜38cN/dtex程度)であってもよい。
また前記ポリエステルアミド繊維は、室温下(例えば25℃)の強度(T25)が、1
8cN/dtex以上(例えば、18.5〜45cN/dtex程度)、好ましくは20
cN/dtex以上(例えば、20.5〜40cN/dtex程度)を示してもよい。
また、前記ポリエステルアミド繊維は、高温下と低温下での強度の変化が少ないため、
例えば、150℃雰囲気下の強度(T150)と、25℃雰囲気下の強度(T25)との
比が、T150/T25=0.70以上(例えば、0.71〜1.0程度)、好ましくは
0.73以上(例えば、0.74〜0.95程度)であってもよい。
(ポリエステルアミド繊維の弾性率)
前記ポリエステルアミド繊維は、150℃雰囲気下の弾性率(E150)が710cN
/dtex以上(例えば、720〜1500cN/dtex程度)であり、好ましくは7
30cN/dtex以上(例えば、740〜1400cN/dtex程度)であってもよ
い。
また前記ポリエステルアミド繊維は、室温下(例えば25℃)の弾性率(E25)が、
750cN/dtex以上(例えば、755〜1500cN/dtex程度)、好ましく
は760cN/dtex以上(例えば、765〜1300cN/dtex程度)であって
もよい。
また、前記ポリエステルアミド繊維は、高温下と低温下での弾性率の変化も少ないため
、例えば、150℃雰囲気下の弾性率(E150)と、25℃雰囲気下の弾性率(E25
)との比が、E150/E25=0.85以上(例えば、0.86〜1.0程度)、好ま
しくは0.87以上(例えば、0.88〜0.98程度)であってもよい。
(ポリエステルアミド繊維の乾熱収縮率)
前記ポリエステルアミド繊維は、高温雰囲気下における形態安定性が高いため、乾熱収
縮試験により求められる乾熱収縮率が、1%以下(例えば、0.01〜0.95%程度)
、0.8%以下(例えば、0.05〜0.75%程度)であってもよい。なお、本発明で
いう乾熱収縮率とは、実施例に記載された乾熱収縮試験により求められる値であり、その
測定方法については、以下の実施例に詳細に記載されている。
(ポリエステルアミド繊維の耐熱老化性)
前記ポリエステルアミド繊維は、高温下での耐疲労性、特に長時間高温に曝した場合の
耐疲労性に優れており、25℃雰囲気の強度(T25)と、サンプルを250℃雰囲気下
、100hr暴露させた後に取り出して25℃雰囲気で測定した時の強度(T250)と
の比(これを耐熱老化性と称する)、T250/T25が、例えば、0.80以上(例え
ば、0.82〜0.99程度)、好ましくは0.83以上(例えば、0.85〜0.98
程度)、さらに好ましくは0.87以上(例えば、0.88〜0.97程度)であっても
よい。なお、本発明でいう耐熱老化性とは、実施例に記載された耐熱老化性試験により求
められる値であり、その測定方法については、以下の実施例に詳細に記載されている。
(ポリエステルアミド繊維の融点)
前記ポリエステルアミド繊維は、耐熱性が高く、その融点ピーク温度は、370℃以上
(例えば、375〜450℃程度)、好ましくは380℃以上(例えば、385〜440
℃程度)であってもよい。なお、融点ピーク温度の測定方法については、以下の実施例に
詳細に記載されている。
(ポリエステルアミド繊維の動的粘弾性)
前記ポリエステルアミド繊維は、高温下でも低温下でも優れた貯蔵弾性率(または動的
弾性率)を示すため、25℃雰囲気下において、動的粘弾性から測定した貯蔵弾性率(E
25)と、150℃雰囲気下において、動的粘弾性から測定した貯蔵弾性率(E’15
)との比が、E’150/E’25=0.50以上(例えば、0.51〜1.0)であ
り、好ましくは0.52以上(例えば、0.53〜0.90程度)であってもよい。この
ような貯蔵弾性率を有するポリエステルアミド繊維は、室温(例えば25℃雰囲気下)及
び高温下(例えば150℃雰囲気下)での物性変化を低減することができる。
また、前記ポリエステルアミド繊維では、動的粘弾性測定により得られるガラス転移点
(Tg)が81℃以上(例えば、81〜118℃程度)であってもよく、好ましくは83
℃以上(例えば、84〜110℃程度)であってもよい。このようなガラス転移点を有す
るポリエステルアミド繊維は、室温の場合とほぼ同じ物性を示すことができる。
なお、本発明の貯蔵弾性率およびガラス転移点の測定方法については、以下の実施例に
詳細に記載されている。
(ポリエステルアミド繊維の結晶サイズ)
前記ポリエステルアミド繊維では、高温下で高い強力および弾性率を発現する観点から
、高融点の結晶構造を分子構造の中に有さなければならない。その結晶に関しては、広角
X線回折測定により得られる2θ=29°に現れる回折ピーク強度の半価幅より、その結
晶サイズを算出することができ、例えば、そのような結晶サイズとしては、7nm〜11
nm程度であってもよく、好ましくは8nm〜10nm程度であってもよい。なお、具体
的な測定方法については、以下の実施例に詳細に記載されている。
[テンションメンバー]
本発明で用いられる耐熱性テンションメンバーは、前記ポリエステルアミド繊維を少な
くとも含んでおり、その形状としては、ポリエステルアミド繊維のモノフィラメントまた
はマルチフィラメントを用いて形成される、無撚糸、下撚りした単糸、引き揃え糸、撚糸
(片撚り糸、もろ撚り糸)、組紐、綱(ロープ)、編組紐、織編物からなる紐状体などが
挙げられる。
なお、本発明において、ポリエステルアミド繊維は、必要に応じて、その他の繊維(例
えば、金属繊維、無機繊維、有機繊維など)との複合糸としてもよい。
前記有機繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリオレフィン、ポリ
カ−ボネ−ト、ポリアリレ−ト、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエ−テ
ルエステルケトン、ポリウレタン、フッソ樹脂等の熱可塑性ポリマ−から形成された繊維
などが挙げられる。
このようなテンションメンバーは、目的に応じて、様々な直径とすることができ、例え
ば、平均直径10μm〜15cm程度の広い範囲から適宜選択することができる。
例えば、テンションメンバーは、平均直径30μm〜1cm程度(好ましくは50μm
〜700μm程度)の細径仕様であってもよく、また0.5cm〜5cm程度(好ましく
は0.7cm〜4cm程度)の中細径仕様であってもよく、さらには、4cm〜15cm
程度(好ましくは5cm〜15cm程度)の太径仕様であってもよい。
[複合紐状品]
複合紐状品は、テンションメンバーと、このテンションメンバーを被覆する被覆材とを
少なくとも含んでおり、被覆材としては、熱可塑性樹脂や、各種ゴムが挙げられる。
具体的には、このような熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロ
ピレン樹脂、ポリブチレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフクレート
(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリトリメチレンテレフ
タレート樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリ1,4ーシクロへキシル
ジメチレンテレフタレート(PCT)樹脂等のポリエステル系樹脂;6−ナイロン樹脂、
6,6−ナイロン樹脂、PA9T等のポリアミド(PA)樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂、ポ
リオキシメチレン(POM)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリフェニレンサル
ファイド(PPS)樹脂;ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエ
ステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、ポリイソプレン系又はフッ素系等の熱可塑
性エラストマー;又はこれらの共重合体樹脂や変性樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑
性樹脂は、単独でまたは組み合わせて用いてもよい。
また、前記ゴムとしては、水素添加ニトリルゴム、スチレンーブタジエンゴム、クロロ
プレンゴム、天然ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元重合体ゴム、エチレン−プロ
ピレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ブタジエンゴム等が挙げられる。これらの
ゴムは、単独でまたは組み合わせて用いてもよい。
本発明の複合紐状品において、これらの被覆材は、公知または慣用の方法で、テンショ
ンメンバーに対して適用することができ、例えば(i)、一般の電線被覆用押出し成形機
などを用いてテンションメンバーを被覆したり、(ii)被覆材のコーティング用溶液ま
たは分散液をテンションメンバーに適用させることにより、テンションメンバーを被覆し
たり、(iii)被覆材で形成されたチューブの内部にテンションメンバーが挿入される
ことにより被覆してもよい。
また、複合紐状品は、その用途や形状に応じて、テンションメンバーを複数含有してい
てもよく、この場合、それぞれのテンションメンバーは、独立して複合紐状品内部に存在
していてもよく、撚り合わされて一体化して複合紐状品内部に存在していてもよい。
さらに、テンションメンバーは、被覆材により、多段階に被覆されていてもよく、例え
ば、二段階で被覆される場合、複合紐状品は、テンションメンバーと、テンションメンバ
ーを直接被覆する第1の被覆材と、第1の被覆材に被覆されたテンションメンバーをさら
に被覆する第2の被覆材とで構成されていてもよい。
また、多段階に被覆される場合、被覆材の素材は、同一であってもよいし、異なってい
てもよい。
なお、これらの場合において、被覆材は、必ずしも直接テンションメンバーと接触して
いる必要はなく、例えば、テンションメンバーに対して電線が捲回された複合導線などの
場合には、この複合導線全体に対して、電線を介した状態でテンションメンバーを被覆し
てもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定され
るものではない。
[融点ピーク温度]
DSC装置(metrler社製TA3000)にサンプルを10〜20mgとり、ア
ルミ製パンへ封入した後、キャリヤ−ガスとしてNを100cc/分流し、昇温速度2
0℃/分で測定し、吸熱ピ−クの位置の示す温度を測定した。
[強度および弾性率]
JIS L 1013に準じ、各温度雰囲気下において、試長20cm、初荷重0.1
g/d、引張速度10cm/minの条件で破断強伸度及び弾性率(初期引張抵抗度)を
求め、5点以上の平均値を採用した。
[結晶サイズ]
広角X線回折測定装置として、ブルカー社製、「D8 Discover with
GADDS」を用いて、カメラ距離10cm、露光時間:600秒、電流110mA、電
圧:45kV、コリメータ径0.3mmにより繊維の赤道方向における広角X線回折図を
得た。次いで、2θが29°に現れる回折ピーク強度の半価幅より次式を用いて、結晶サ
イズ(C)を算出した。
Figure 2010196207
ここで、Bは回折ピーク強度の半価幅、θは回折角、λはX線の波長(1.54178
オングストローム)を表わす。
[動的粘弾性による貯蔵弾性率、損失弾性率およびガラス転移点]
レオロジー社製「DVEレオスペクトラー」を使用して、昇温速度10℃/分、周波数
10Hz、自動静荷重方式にて測定を行ない、貯蔵弾性率(E’)と損失弾性率(E”)
との比からtanδ=E”/E’を算出した。次いで、各温度について、横軸を温度とし
、縦軸をtanδとする温度(℃)−tanδ曲線を作図し、tanδの変曲点(ピーク
温度)をガラス転移点とした。また、25℃雰囲気下の貯蔵弾性率(E’25)と150
℃雰囲気下の貯蔵弾性率(E’150)との比をE’150/E’25として算出した。
[乾熱収縮率]
サンプルに0.1g/dの荷重を掛けた時のサンプル長をL、これを熱風乾燥機内で3
50℃雰囲気中10分間暴露させた後、同様にして測定したサンプル長をL’としたとき
に、乾熱収縮率を、(L−L’)/L×100により求める。
[耐熱老化性]
JIS L 1013に準じ、25℃雰囲気下、試長20cm、初荷重0.1g/d、引
っ張り速度10cm/minの条件で破断強度(5点以上の平均値を採用)を求め、これ
をT25とする。
次にサンプルを熱風乾燥機の中で250℃雰囲気下、100hr暴露させた後に取り出
して、常温25℃雰囲気で同様にJIS L 1013に準じて測定した時の破断強度を
250としたとき、耐熱老化性を、T250/T25により求める。
[耐ハンダ性]
試長20cmのサンプルを、ハンダ浴に30秒間浸漬し、処理前後の外観変化を目視に
より、以下の判断基準に従い評価した。
○:サンプルの外観は、処理前後で変化していない。
△:サンプルの一部が、収縮または融解により変形している。
×:サンプルが全体に亘り、収縮している。
<実施例1>
(1)ポリエステルアミドフィラメントの製造工程
p−アセトキシ安息香酸[A]60モル、6−アセトキシ−2−ナフトエ酸[B]4モ
ル、テレフタル酸[C]18モル、4−4’−ビスフェノ−ル[D]14モル、およびp
−アミノフェノ−ル[E]4モルから溶融異方性芳香族ポリエステルアミドを得た。この
ポリマ−の融点は340℃であった。該ポリマ−を、ノズル径0.1mmφ、ホ−ル数6
00個の口金より、紡糸温度360℃、紡糸速度1000m/min,剪断速度5520
0sec−1、ドラフト30で溶融紡糸し、1670dtex/600fのフィラメント
を得た。
得られた紡糸原糸の繊維性能は、
強度 (DT)=7.8cN/dtex
伸度 (DE)=1.5%
弾性率 (YM)=577cN/dtex
であった。この紡糸原糸を310℃で8時間熱処理し、得られた熱処理糸(1670dt
ex/600f)の物性を表1に示す。また、この熱処理糸(無撚糸の紐状体)の乾熱収
縮率、耐熱老化性および耐ハンダ性を表2に示す。
<比較例1>
実施例1と同様の方法で紡糸し、得られた紡糸原糸を、290℃で8時間で行なう以外
、実施例1と同様に熱処理を行なった。得られた熱処理糸の物性を表1に示す。また、こ
の熱処理糸(無撚糸の紐状体)の乾熱収縮率、耐熱老化性および耐ハンダ性を表2に示す
<比較例2>
p−アセトキシ安息香酸[A]73モル、6−アセトキシ−2−ナフトエ酸[B]27
モルから溶融異方性芳香族ポリエステルを得た。このポリマ−の融点は280℃であった
。該ポリマ−を、ノズル径0.1mmφ、ホ−ル数600個の口金より、紡糸温度310
℃、紡糸速度1000m/min,剪断速度55200sec−1、ドラフト30で溶融
紡糸し、1670dtex/600fのフィラメントを得た。この紡糸原糸を275℃で
8時間熱処理した。得られた熱処理糸は繊維間膠着がほとんどなかった。この熱処理糸(
無撚糸の紐状体)の乾熱収縮率、耐熱老化性および耐ハンダ性を表2に示す。
<比較例3>
デュポン・東レケブラー(株)製のケブラー29(1670dtex/1000f:無
撚糸の紐状体)の乾熱収縮率、耐熱老化性および耐ハンダ性を表2に示す。
Figure 2010196207
Figure 2010196207
表1から明らかなように、実施例1のポリエステルアミド繊維の紐状体は、優れた耐熱
性を示し、150℃における強度および弾性率が比較例1よりも高いだけでなく、25℃
と150℃での強度、弾性率および貯蔵弾性率の比も、比較例1と比較して高い範囲にあ
った。さらに、融点ピーク温度およびガラス転移点温度の双方とも、実施例1の方が比較
例1よりも高い値を示した。そのため、実施例1のテンションメンバーを用いる複合紐状
品では、テンションメンバーが高温雰囲気下においても高い強度を維持できる。
また、表2から明らかなように、実施例1のテンションメンバーでは、高温雰囲気下で
も、乾熱収縮率が低く、抗張力作用に優れているだけでなく、耐熱老化性にも優れていた
。さらに、実施例1のテンションメンバーは、耐ハンダ性に優れているため、このような
テンションメンバーを用いる複合紐状品は、ハンダ作業時におけるテンションメンバーの
融解や収縮を防止することができる。
本発明の複合紐状品は、給電、信号電送のための各種ケーブル類(光ファイバーケーブ
ル、超電導ケーブル、各種機械用ケーブルなど)、電線(電熱器具用コード、照明器具用
コードなどの器具用電線、屋内配線用電線、通信用電線など)として、有効に利用するこ
とができる。
特に、本発明の複合紐状品は、高い耐ハンダ性が求められる細径(例えば、電線コード
径が1.5mm以下、好ましくは0.5〜1.0mm程度)の細径電線コード(例えば、
イヤホンコードなど)や、高温雰囲気下で用いられる耐熱性ケーブル類、耐熱性電線など
として、有用である。
以上のとおり、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲
で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含ま
れる。

Claims (8)

  1. テンションメンバーと、このテンションメンバーを被覆する被覆材とを含む複合紐状品
    であって、
    前記テンションメンバーが、下記[A]、[B]、[C]、[D]、[E]の反復構成
    単位からなる部分が90モル%以上であり、[A]:[B]:[C]:[D]:[E]=
    100:1〜20:5〜100:2〜80:2〜20のモル比を有する芳香族ポリエステ
    ルアミドから溶融紡糸され、
    150℃雰囲気下の強度(T150)が17cN/dtex以上であり、かつ
    150℃雰囲気下の弾性率(E150)が710cN/dtex以上である溶融異方性
    ポリエステルアミド繊維を含む耐熱性テンションメンバーである複合紐状品。
    Figure 2010196207
  2. 請求項1において、溶融異方性ポリエステルアミド繊維の、動的粘弾性測定により得ら
    れるガラス転移点(Tg)が81℃以上である複合紐状品。
  3. 請求項1または2において、溶融異方性ポリエステルアミド繊維の、25℃雰囲気下で
    動的粘弾性から測定した貯蔵弾性率(E’25)と、150℃雰囲気下で動的粘弾性から
    測定した貯蔵弾性率(E’150)との比が、E’150/E’25=0.50以上であ
    る複合紐状品。
  4. 請求項1から3のいずれか一項において、溶融異方性ポリエステルアミド繊維の、15
    0℃雰囲気下の強度(T150)と、25℃雰囲気下の強度(T25)との比が、T15
    /T25=0.70以上であるとともに、150℃雰囲気下の弾性率(E150)と、
    25℃雰囲気下の弾性率(E25)との比が、E150/E25=0.85以上である複
    合紐状品。
  5. 請求項1から4のいずれか一項において、溶融異方性ポリエステルアミド繊維の、広角
    X線回折測定により得られる2θ=29°に現れる回折ピーク強度の半価幅より算出した
    結晶サイズが7nm〜11nmである複合紐状品。
  6. 請求項1から5のいずれか一項において、溶融異方性ポリエステルアミド繊維の、35
    0℃雰囲気下における乾熱収縮率が1%以下である複合紐状品。
  7. 請求項1から6のいずれか一項において、溶融異方性ポリエステルアミド繊維の、熱風
    乾燥機の中で250℃雰囲気下、100hr暴露させた後に取り出して25℃雰囲気で測
    定した時の強度(T250)と25℃雰囲気下の強度(T25)との比が、T250/T
    25=0.80以上である複合紐状品。
  8. 請求項1から7のいずれか一項において、直径が1.5mm以下の電線コードである複
    合紐状品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014192771A (ja) * 2013-03-28 2014-10-06 Kuraray Co Ltd イヤホンコード

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