JP2009030205A - ケーブル保護スリーブ用ポリフェニレンサルファイドモノフィラメントおよびポリフェニレンサルファイド製ケーブル保護スリーブ - Google Patents

ケーブル保護スリーブ用ポリフェニレンサルファイドモノフィラメントおよびポリフェニレンサルファイド製ケーブル保護スリーブ Download PDF

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康司 椿
Hayashi Arai
林 荒居
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Abstract

【課題】保護スリーブの製造工程において安定した工程通過性を発揮するとともに、保護スリーブの表面平滑性を極めて良好な状態となし得る保護スリーブ用PPSモノフィラメントおよびこれを用いたPPS製保護スリーブを提供する。
【解決手段】実質的にポリフェニレンサルファイドからなるモノフィラメントであって、その断面形状が扁平断面かつ、その扁平形状の短径:長径で示される径比が、1:10以下であるであることを特徴とするケーブル保護スリーブ用ポリフェニレンサルファイドモノフィラメント。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気製品ケーブルや車両ケーブルなどのケーブル保護スリーブ用途に好適に利用し得るポリフェニレンサルファイド(以降、PPSと呼ぶ)モノフィラメントおよびこのPPSモノフィラメントを円筒状に製紐してなるケーブル保護スリーブ(以降、保護スリーブと呼ぶ)に関するものである。さらに詳しくは、保護スリーブの製造工程において安定した工程通過性を発揮するとともに、保護スリーブの表面平滑性を極めて良好な状態となし得る保護スリーブ用PPSモノフィラメントおよびこのPPSモノフィラメントからなるPPS製保護スリーブに関するものである。
PPSは、耐熱性、耐薬品性および難燃性などに優れている上に、溶融成型が可能であることから、これら特性を必要とする成型品用途以外にも、フィルムや繊維として広く用いられている。中でもPPS繊維については、その優れた耐熱性、耐薬品性および難燃性を生かして、製紙用カンバスなどの工業用織物、フィルターおよびブラシ用毛材などのさまざまな用途で用いられているほか、近年では電気絶縁材やケーブル保護スリーブ用部材としても注目されている。
これら電気絶縁材や保護スリーブに関する従来技術としては、溶融粘度指数が25〜300g/10分であるPPSを溶融紡糸してなる強度5g/d以上、タフネスが25[g/d×(%)1/2]以上であり、繊維中の6量体オリゴマーの含有量0.5%以下、不溶解異物が1.0個/mかつ気泡が1.0個/m以下である電気絶縁用PPS繊維(例えば、特許文献1参照)や、融点280℃以上の合成繊維製マルチフィラメント及びモノフィラメント糸を混用して、円筒状の24打ち以上の組紐に製紐され、5重量%の水と95重量%のオートマチック・トランスミッション・フルードの混合物中で、150℃×1000時間処理した後の高温耐油性能(高温耐油性能(%)=(T‘/T)×100)が50%以上であるモーター部品用保護スリーブ(例えば、特許文献2参照)、さらには、短繊維の繊度が30〜100dtex、組紐の1編組単位を構成するヤーンまたはコード1本に含まれる短繊維本数が4〜50本である合成繊維フィラメント糸を構成要素とした円筒状の組紐構造からなる保護スリーブ(例えば、特許文献3参照)などが提案されている。
しかしながら、これらの従来技術からなる保護スリーブは、いずれもマルチフィラメントを用いたものであり、これら用途に求められる適度な柔軟性という観点からは、いずれも優れた特徴を示す技術ではあるものの、部材を構成するマルチフィラメントの単糸直径が細いことに起因して、擦過による摩擦や摩耗に対する耐久性に乏しく、製紐を行う工程でマルチフィラメントが破断し毛羽立ちなどのトラブルが発生し工程通過性の点で大きな問題となるばかりか、実使用においてもスリーブが設置される部位にて擦過を受けた際など、マルチフィラメントが破断し、これによりスリーブが損傷を受けることによる電気絶縁性能の低下などが問題視されていた。
一方、本発明者等も、200℃で100時間の乾熱処理を行なった後のPPSモノフィラメントの引張強力保持率が90%以上、200℃で400時間の乾熱処理を行なった後のモノフィラメントの引張強力保持率が80%以上であるPPSモノフィラメントおよびこのPPSモノフィラメントからなる保護スリーブ(例えば、特許文献4参照)を先に提案しており、この技術で得られるPPSモノフィラメントからなる保護スリーブは、マルチフィラメントを使用しないことから、良好な工程通過性を示し、実使用においてもマルチフィラメントの破断による問題もなく、極めて優れた技術であるといえる。しかしながら、PPSモノフィラメントを複数本引き揃えて円筒状の保護スリーブを製紐することが多いことから、この引き揃え工程で、複数本のPPSモノフィラメントが重なったり捻れたりすることなく均一に引き揃えを行う技術が必要となり、こうした引き揃え工程を省略する技術の実現がしきりに望まれるようになってきた。
特開平10−273825号公報(第1〜9頁) 特許第3705596号公報(第1〜12頁) 特開2007−63730号公報(第1〜13頁) 特開2001−123324号公報(第1〜10頁)
以上のような状況を鑑み、本発明は、上述した従来技術における問題を解決すべく検討を行なった結果達成されたものである。
すなわち、本発明の目的は、保護スリーブの製造工程において、従来一般的に行われていた小巻ボビンへの巻き返し時における複数本のPPSモノフィラメントの引き揃え工程の省略によって、より安定した工程通過性の実現を具現化し、これによって保護スリーブの表面平滑性を極めて良好な状態となし得る保護スリーブ用PPSモノフィラメントおよびこれを用いたPPS製保護スリーブの提供を主たる目的とするものである。
上記の目的を達成するため本発明によれば、実質的にPPSからなるモノフィラメントであって、その繊維軸方向に垂直な断面の形状を扁平形状としたPPSモノフィラメントのうち、その扁平形状の短径:長径で示される径比が1:10以下としたケーブル保護スリーブ用PPSモノフィラメントが提供される。
なお、本発明のPPSモノフィラメントにおいては、前記モノフィラメントの断面形状が扁平であり、その扁平形状の短径が0.05mmから0.65mmであることがより好ましい条件として挙げられる。
そして、本発明のPPS製保護スリーブは、上記扁平断面PPSモノフィラメントを製紐してなることを特徴とする。
本発明によれば、モノフィラメントの断面形状を扁平形状となすことにより、複数本のモノフィラメントを引き揃えつつ小巻ボビンへ巻き返す従来の工程において、モノフィラメントの引き揃えを行わずとも、単糸のみで複数本のモノフィラメントを引き揃えたことと同様な効果を発現し、極めて良好な工程通過性や実使用における耐久性および高い電気絶縁性能、さらに優れた保護スリーブの表面平滑性を兼ね備えることとなり、電気製品ケーブルや車両ケーブルなどの保護スリーブとして好適に利用できるケーブル保護スリーブ用PPSモノフィラメントを得ることができる。
以下、図面を参照しつつ本発明をさらに詳細に説明する。
図1(a)〜(f)は、本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントの扁平断面形状の具体例を示す繊維軸方向に垂直な断面図である。
本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントは、その断面形状が扁平形状であることを特徴とする。
本発明でいう扁平形状とは、PPSモノフィラメントの繊維軸方向に垂直な断面の形状を示し、例えば図1に示した、長方形(a)、陸上競技でいうトラック型形状(b)、角丸長方形(c)、一対の対辺を長辺とした六角形(d)、少なくとも一対の対辺を長辺とした八角形(e)および楕円形(f)などが挙げられるが、特にこれらに制限されるものではない。
また、本発明のケーブル保護スリーブ用PPSモノフィラメントの繊維軸方向に垂直な断面の形状は、上述したようなあらゆる扁平形状を取り得るが、その扁平形状の短径:長径で示される径比が、1:10以下であることが望ましく、これらの範囲の中でも、特に短径:長径の径比が、1:2から1:5の範囲である場合に、さらに好ましい効果の発現が期待できる。
ここで、本発明のPPSモノフィラメントにおいて、扁平断面が好ましい理由について、さらに詳細に説明する。
一般的に、円筒状のスリーブを製紐する際には、製紐機に仕掛ける小巻ボビンに単糸を巻き返す、もしくは複数本のモノフィラメントやマルチフィラメントを引き揃えつつ小巻ボビンへ管巻機などで巻き返しを行ない、その後、必要な打ち数分の小巻ボビンを製紐機に仕掛けて製紐を行うことが行われている。
しかるに、この巻き返し工程で複数本のモノフィラメントの引き揃えを行う際、隣り合うモノフィラメント同士が重なったり、捻れたりすることがあり、こうした重なりや捻れが生じた場合に、製紐してなるスリーブの表面には、この重なりや捻れがそのままの状態でスリーブの表面を形成することとなるため、巻き返し工程においては、この重なりや捻れを可能な限り少なくすることが肝要であった。
一方、本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントでは、その断面形状を扁平形状としているため、複数本のモノフィラメントの引き揃えを行う必要がなくなり、単糸の状態にて引き揃えを行ったモノフィラメントと同様な効果の発現が可能となる。
すなわち、直径0.3mmの丸断面モノフィラメントを用い、3本を引き揃えつつ小巻ボビンへの巻き返しを行う場合では、スリーブを製紐する際には、短径0.3mm、長径0.3mm×3本、すなわち0.90mmのモノフィラメントを製紐することと同じことなる。
しかるに、本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントでは、所望の繊維直径に調整した扁平モノフィラメントとして製紐を行うため、この巻き返し工程での引き揃え作業の省略が可能となり、さらには、巻き返しに際し複数本のモノフィラメントを準備し巻き返しを行う必要もなくなることから、作業効率の飛躍的な向上が図れるなどの好ましい結果の発現に繋がる。
また、本発明のケーブル保護スリーブ用PPSモノフィラメントの繊維軸方向に垂直な断面の形状は扁平形状であるが、その扁平形状の短径:長径で示される径比は、1:10以下であることが必要であり、さらには短径:長径の径比が、1:2から1:5の範囲である場合、特に好ましい効果を発揮することに繋がる。
すなわち、短径に対する長径の比が10以上であると、製紐した後のスリーブにおいて、短径に対する長径が大きすぎ、製紐されたスリーブの屈曲などによって、スリーブを構成する各モノフィラメントの目ズレが生じやすくなり、その結果、スリーブの表面状態の悪化、さらにはスリーブの変形を来すなど、スリーブに求められる円柱形状を維持する観点からも、極めて好ましくない製品となるなどの望ましくない状況を招くことに繋がる。
また、本発明のPPSモノフィラメントの短径:長径で示される径比は、1:10以下であれば良いが、前記径比が1:2から1:5の範囲の場合は、スリーブとしての円柱形状の維持やスリーブを圧縮した際の弾力性、さらには実使用時においてスリーブを屈曲させた場合においても変形が生じないなどの特に好ましい効果の発現が期待できる。
さらに、本発明のPPSモノフィラメントは、扁平形状の短径が、0.05mmから0.65mmであることが好ましく、さらに0.10mmから0.40mmとした場合、その効果は一層優れたものとなすことが可能となる。
ここで、短径が0.05mm未満と小さすぎる場合は、スリーブの厚みが薄くなり過ぎ実使用時の耐久性が劣るばかりか、スリーブそのものが柔らかくなり過ぎ、さらにはケーブルなどを通線させる際に重要となる円柱形状維持の面からも好ましくないという結果を招くことになる。
また、PPSモノフィラメントの短径が0.65mm以上と太い場合は、耐久性の点からは優れるスリーブとなるが、スリーブそのものが剛直になり過ぎ、自動車エンジンルームなどの実際に使用される部位での取り廻しが上手く行かないばかりか、原糸が剛直となりすぎるため、製紐を行う際の生産性も劣るなどの好ましくない結果に繋がる。
本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントでは、上述のように扁平形状を有することによって、従来のスリーブ製紐時に必要とされた、複数本の糸条を均等に、重なりや捻れが生じないように引き揃えつつ、巻き返しを行う技術の省略を可能とするものである。
すなわち、スリーブの製造に際しては、所望の直径を有する複数本のモノフィラメントを引き揃えつつ、重なりや捻れを最小限に押さえつつ小巻ボビンへの巻き返しを行った後に製紐を行っていた。
これに対し、本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントによれば、所望の直径を有する複数本のモノフィラメントを引き揃えた場合の厚さ(モノフィラメントの単糸直径に該当)および引き揃えた際の幅(引き揃えた複数本のモノフィラメントの単糸直径の合計)を考慮することにより、小巻ボビンへの巻き返し時に行っていた引き揃え作業の必要が無くなるばかりか、巻き返しを行う場合も、PPSモノフィラメントを巻取った製品巻取り用ボビンから、所謂、横取り若しくは転がし取りによる解舒方法によって巻き返しを行うことで、PPSモノフィラメントの捻れを防止することができ、さらには上述の引き揃え工程の省略と相まって、巻き返し時のスピードアップによる作業効率の大幅な向上を図ることも可能となる。
そして、本発明のPPSモノフィラメントを用いて製紐してなる保護スリーブは、複数本のモノフィラメントを引き揃えずに、扁平形状を有する単独のモノフィラメントによってそのスリーブの表面が形成されるため、非常に緻密な製紐構造となるばかりか、表面状態も極めて平滑で優れたものとなすことができるのである。
このように、本発明によれば、極めて表面平滑性の良いスリーブの製造が可能となり、これを実際の電気絶縁部材として保護スリーブに使用した場合は、スリーブが何らか接触物と接触や擦過を起こした場合でも、この表面状態が極めて平滑で優れているため、スリーブを構成する各単糸の糸切れの発生が生じにくく、スリーブが解れ、電気絶縁不良の発生やショートによる発火現象を防止できるなど極めて好ましい効果を発揮することに繋がる。
なお、本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントは、実質的にPPSからなるものであるが、ここでいうPPSとは、ポリマの繰り返し単位がp−フェニレンサルファイド単位やm−フェニレンサルファイド単位からなるフェニレンサルファイド単位を含有するポリマを意味する。これらのポリマ中でも、繰り返し単位の90%以上がp−フェニレンサルファイド単位からなるポリマが好ましく用いられる。
本発明において特に好ましく用いることのできるPPSポリマは、p−ジクロルベンゼンに硫化ナトリウムを重縮合反応させることにより製造できるが、p−ジクロルベンゼンに10モル%未満のトリクロルベンゼンを分岐成分として共重縮合させることによって製造したものであってもよい。
本発明においては、ASTM D1238−86に準拠し、316℃、オリフィス径2.095mm、オリフィス長さ8.00mm、荷重5kgの条件で測定した10分あたりの流出ポリマ量(g)で示されるメルトフローレート(以下、MFRという)が20〜300g/10分程度のPPSを用いることができるが、強伸度バランス、直径斑、摩耗特性、製糸性の点から、特にMFRが70〜200g/10分程度のPPSを、好ましく用いることができる。
ここで、市販品として使用できるPPSとしては、例えば東レ(株)製PPSのE1880、E2080、E2280、E2481、M2488およびM2588などを挙げることができる。
なお、本発明で使用するPPSは、上述の市販品として入手可能なPPSチップでなくとも、PPSフィルムやPPS繊維屑などをリサイクルすることによって得られる再生PPS樹脂を用いても何ら問題はない。
また、PPSは通常粉末で得られるものであるが、溶融紡糸に供する前にエクストルダーなどで粉末PPSを融点以上の温度に加熱し、溶融・混練した後、必要に応じフィルター類で異物を濾過除去し、ガット状に押出して冷却し、その後カッティングするなどの方法によりペレット状に加工して用いることができる。そして、PPS粉体あるいはPPSペレットは、概ね100〜180℃で5〜24時間程度、減圧真空下で乾燥してから紡糸に供することが好ましい。
本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントの製法には特に制限はないが、通常は以下に述べる方法が好ましく適用される。
すなわち、エクストルダー型などの紡糸機を用い、PPSの融点よりも20〜80℃高い温度で溶融押出を行い、所望の扁平断面口金から押出された溶融ポリマーを60〜95℃の温水中で冷却固化させる。引き続き、得られた未延伸糸を、PPSのガラス転移温度以上の温度に調節された延伸浴または延伸雰囲気に導き、1段延伸または2段以上の多段延伸に供する。なお、トータル延伸倍率としては、2.8〜5.5倍程度の範囲が好ましく、さらには、乾熱収縮率や繊維破断時の破断伸度などを調整するために、延伸工程通過後の延伸糸に対し、90〜280℃程度の温度雰囲気下で、0.8〜1.0倍程度の熱セットを行うことが望ましい。
このようにして得られる本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントは、目的とする特性を疎外しない範囲であれば、酸化チタン、酸化ケイ素、チッ化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、ジルコニウム酸などの各種無機粒子や架橋高分子粒子、従来公知の抗酸化剤、金属イオン封鎖剤、イオン交換剤、着色防止剤、耐光剤、包接化合物、各種着色剤、ワックス類、シリコーンオイル、各種界面活性剤、各種強化繊維類、フッ素樹脂類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリオレフィン類およびポリスチレン類などを含有することができる。
かくしてなる本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントは、保護スリーブへの加工に際して、毛羽発生の問題もなく、また、必要とされる扁平形状を具備させることによって、PPSモノフィラメントを複数本引き揃えて小巻ボビンへ巻き返しを行う技術の省略を可能とし、この引き揃え技術の省略から、巻き返し工程での安定した巻き返しが可能となるばかりか、この効果と相まって、製紐の際は非常に良好な工程通過性を実現でき、また、本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントからなる保護スリーブは、実使用に際しても、十分な耐久性と電気絶縁性能を有するとともに、極めて優れた表面平滑性をも兼ね備えることから、特に信号伝達ケーブル保護スリーブやモーターケーブル保護スリーブとして極めて優れた効果を発揮する。
以下、本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントおよびこれを用いたケーブル保護スリーブの実施例に関しさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、上記および下記に記載の本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントの物性などは以下の方法により測定した値である。
(1)引張強力(N)および引張強度(cN/dtex):
JIS2003 L1013 8.5項に準じて測定した。すなわち、PPSモノフィラメント50mを綛状に取り、試料長50cmにカット(100本)したサンプルから任意に10本を取りだし、これを20℃、65%RHの温湿度調整室内で、(株)オリエンテック社製”テンシロン”UTM−4−100型引張試験機を用い、試長:250mm、引張速度:300mm/分の条件で、引張強力(N)の平均値を測定し、引張強度(cN/dtex)を算出した。
(2)直径(mm)
PPSモノフィラメント50mを綛状に取り、試料長を50cmにカット(100本)する。ここから任意に10本のサンプルを取り出し、MITUTOYO製デジタルマイクロメーターでそれぞれのサンプルの最大長径および最小短径を1点ずつ測定し、最大長径、最小短径ともその10点の測定値の平均値で示した。
(3)PPS製保護スリーブ表面平滑性評価:
PPS製保護スリーブの表面平滑性評価に際し、扁平断面PPSモノフィラメントを管巻機にて小巻ボビンに巻き返しを行った。この巻き返し糸条を巻取った小巻ボビンを24本準備し、製紐機に掛け24打ちのスリーブを製紐、このスリーブより任意に50mのスリーブ製品をサンプリングして1m毎に切断し、長さ1mのスリーブを50本準備した。この1mのスリーブの表面状態を観察し、スリーブ表面に、モノフィラメントの捻れ巻き返し状態の不具合、または製紐時の不具合によって生じたスリーブの表面欠点の個数を計数し、スリーブ1m当たりの欠点数(欠点個数/m)を算出し(算式:50本のスリーブ表面欠点の総数÷50)、以下の基準により評価した。
○(良好)…スリーブ1mあたりの欠点個数が10.0個/m未満であり、優れた表面平滑性を有しており、保護スリーブとして良好に使用できる。
×(不良)…スリーブ1mあたりの欠点個数が10.0個/m以上であり、表面平滑性が悪く、保護スリーブとして使用した際に、欠点が多すぎ切断による電気絶縁性能の低下を来す可能性が高いばかりか、保護スリーブとしては品位も不十分である。
(4)PPS製保護スリーブ耐久性評価
前記PPS製保護スリーブ表面平滑性評価にてサンプリングした50本のPPS製保護スリーブから任意に10本をサンプリング、JIS2003 L1095 9.10.1項A法に準じ、屈曲摩耗試験機にて、往復摩擦速度120回/分の条件で、摩擦子0.6mmφ硬質鋼を用い、荷重3.5cN/dtexとして、往復摩擦回数600回の摩擦試験を行い、保護スリーブを構成する保護スリーブ用PPSモノフィラメントの摩耗・切断状況を確認し、耐久性を以下の基準により評価した。
◎(極めて良好)…摩擦試験を実施した全てのサンプルとも、保護スリーブを構成するPPSモノフィラメントに切断は無発生で、耐久性に全く問題のない良好な製品であった。
○(良好)…摩擦試験を実施した10本のサンプル中、2本以下のサンプルに保護スリーブを構成するPPSモノフィラメントの切断が認められたが、PPSモノフィラメントの切断が認められた箇所がスリーブサンプル中に1箇所のみであり、実使用に際しての耐久性には問題のない概ね良好な製品であった。
×(不良)…摩擦試験を実施した10本のサンプル中、3本以上のサンプルに保護スリーブを構成するPPSモノフィラメントの切断が認められた、または、摩擦試験を実施したサンプルにおいて、複数箇所のPPSモノフィラメントに切断が認められ、保護スリーブの解れが発生するなど、実使用に際し大きな問題のある製品であった。
[実施例1]
PPS原料として、150℃で15時間、真空条件下で乾燥を行なった東レ(株)製PPSペレットE2080(MFR=90)を準備した。このPPS原料をエクストルダー型紡糸機へ供給し、紡糸機温度330℃にて溶融混練し、長方形断面紡糸口金(口金孔径:0.97mm×2.45mm−10ホール)から溶融ポリマを押出した後、ただちに80℃の温水中で冷却固化させたPPS未延伸糸を得た。
引き続き、上記のPPS未延伸糸を95℃の温水中で3.0倍に一次延伸し、さらに130℃の乾熱雰囲気下で1.25倍に二次延伸を行ってトータル延伸倍率を3.75倍とし、次いで150℃の乾熱雰囲気下で定張力条件にて熱セットを行ない、平均短径0.201mm、平均長径0.503mmの図1−(a)で示した長方形断面保護スリーブ用PPSモノフィラメントを得た。
得られた長方形断面保護スリーブ用PPSモノフィラメントを用い、管巻機にて単糸の状態で小巻ボビンへ巻き返しを実施、この小巻ボビンを24本準備し製紐機に仕掛け、24打ちのスリーブ内径7.0mmφのPPS製保護スリーブを製紐した。
得られた保護スリーブ用PPSモノフィラメントの強度、直径(短径/長径)、小巻ボビンへの巻き返し本数、PPS製保護スリーブ表面平滑性評価およびPPS製保護スリーブ耐久性評価の結果を表1に示す。
[実施例2〜7および比較例1]
実施例1と同じ製糸プロセスを用い、表1に示したような断面形状および直径(短径・長径)としたPPSモノフィラメントを用い、実施例1と同様に小巻ボビンへ単糸の状態で巻き返しを行い、24打ちのスリーブを製紐した。得られた保護スリーブ用PPSモノフィラメントの強度、直径(短径/長径)、小巻ボビンへの巻き返し本数、PPS製保護スリーブ表面平滑性評価およびPPS製保護スリーブ耐久性評価の結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1と同じ製糸プロセスを用い、表1に示したような直径とした丸断面形状の保護スリーブ用PPSモノフィラメントを用い、小巻ボビンへの巻き返し(引き揃え)本数を表1に示すようにして、24打ちのスリーブを製紐した。得られた保護スリーブ用PPSモノフィラメントの強度、直径(短径/長径)、小巻ボビンへの巻き返し(引き揃え本数)、PPS製保護スリーブ表面平滑性評価およびPPS製保護スリーブ耐久性評価の結果を表1に示す。
Figure 2009030205
表1の結果から明らかなように、本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントは、保護スリーブへ製紐加工後のスリーブ表面平滑性も極めて良好であり、また、この表面平滑性が優れることによって、PPS製保護スリーブとしての耐久性も極めて良好であり、電気製品ケーブルや車両ケーブルなどの保護スリーブとして好適に利用できるものとなった。
一方、本発明で規定した径比を満たさない扁平形状のPPSモノフィラメントからなる保護スリーブ(比較例1)では、単糸の状態で巻き返しを行い、保護スリーブへ製紐を行ったが、製紐加工後のスリーブ表面平滑性が悪化しており、この表面平滑性の悪化が原因となり、PPS製保護スリーブとしての耐久性が劣る製品となった。
また、丸断面形状のPPSモノフィラメントからなるケーブル保護スリーブ(比較例2)も、比較例1の扁平PPSモノフィラメントを用いて製紐加工を行ったスリーブと同様に、表面平滑性が悪化しており、この表面平滑製の悪化が原因で、PPS製保護スリーブとしての耐久性が劣る製品となり、ケーブル保護スリーブ用PPSモノフィラメントとしては好ましくないものとなった。
本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントは、その断面形状を扁平断面形状となすことによって、複数本のモノフィラメントを引き揃えることなく、単糸の状態でPPSモノフィラメントを小巻ボビンに巻き返した後、製紐機にて円筒状に製紐する工程において、安定した工程通過性を実現するとともに、ケーブル保護スリーブの表面平滑性を極めて良好な状態となすことを可能とし、これを電気製品ケーブルや車両ケーブルなどのケーブル保護スリーブの構成素材とした場合、極めて好適に利用し得るものであり、産業状の利用価値が極めて高いものとなった。
図1(a)〜(f)は、本発明の保護スリーブ用PPSモノフィラメントの断面形状の具体例を示す繊維軸方向に垂直な断面図である。

Claims (3)

  1. 実質的にポリフェニレンサルファイドからなるモノフィラメントであって、その繊維軸方向に垂直な断面の形状が扁平形状であり、その扁平形状の短径:長径で示される径比が、1:10以下であることを特徴とするケーブル保護スリーブ用ポリフェニレンサルファイドモノフィラメント。
  2. 前記モノフィラメントの断面形状が扁平であり、その扁平形状の短径が0.05mmから0.65mmであることを特徴とする請求項1に記載のケーブル保護スリーブ用ポリフェニレンサルファイドモノフィラメント。
  3. 請求項1または2いずれか1項に記載のケーブル保護スリーブ用ポリフェニレンサルファイドモノフィラメントを製紐してなることを特徴とするケーブル保護スリーブ。
JP2007197065A 2007-07-30 2007-07-30 ケーブル保護スリーブ用ポリフェニレンサルファイドモノフィラメントおよびポリフェニレンサルファイド製ケーブル保護スリーブ Pending JP2009030205A (ja)

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