JP2018127739A - 食品フィルター用ポリフェニレンサルファイド繊維およびその製造方法 - Google Patents

食品フィルター用ポリフェニレンサルファイド繊維およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018127739A
JP2018127739A JP2017022316A JP2017022316A JP2018127739A JP 2018127739 A JP2018127739 A JP 2018127739A JP 2017022316 A JP2017022316 A JP 2017022316A JP 2017022316 A JP2017022316 A JP 2017022316A JP 2018127739 A JP2018127739 A JP 2018127739A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyphenylene sulfide
fiber
spinneret
yarn
sulfide fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017022316A
Other languages
English (en)
Inventor
泰之 米田
Yasuyuki Yoneda
泰之 米田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Frontier Co Ltd
Original Assignee
Teijin Frontier Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Frontier Co Ltd filed Critical Teijin Frontier Co Ltd
Priority to JP2017022316A priority Critical patent/JP2018127739A/ja
Publication of JP2018127739A publication Critical patent/JP2018127739A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)

Abstract

【課題】食品フィルター用に好適なポリフェニレンサルファイド繊維およびポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法の提供。【解決手段】繊維中に含まれるNMP含有量が100ppm以下、引張強度が3.0cN/dtex以上であるポリフェニレンサルファイド繊維。溶融重合により製造したポリフェニレンサルファイド樹脂を用い、加熱筒2を用い、紡糸口金1の吐出孔の周辺を300℃以上に加熱する溶融紡糸法により繊維を製造するポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、耐熱性、耐アルカリ溶液性が求められる食品製造工程用フィルターに使用することができるNMP含有量が少なく、引張強度に優れたポリフェニレンサルファイド繊維およびその製造方法に関するものである。
ポリフェニレンサルファイド樹脂は、耐熱性、耐薬品性、難燃性、電気絶縁性などに優れた特性を有しており、過酷な環境下で使用される高機能エンジニアリングプラスチックとして知られている。繊維の分野においても素材の特徴をいかし、各種フィルター、電気絶縁材、抄紙カンバス、電池セパレーターなどの種々の用途で使用されている。
またポリフェニレンサルファイド樹脂の重合方法としては、二塩化芳香族化合物と硫化物を極性有機溶媒中で重合反応させる下記化学反応式のマッコラム法があり、その基本工程が開示されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。
Figure 2018127739
前記反応式のように、パラジクロロベンゼンと硫化ナトリウムをN−メチルピロリドン等の極性有機溶媒中で重合反応させる溶液重合法で、ポリフェニレンサルファイド樹脂が生成する。このような製造方法によって得られた樹脂および繊維には溶媒として用いたN−メチルピロリドンなど製造時に使用される有機溶剤が多い場合数百ppm含まれる。そのため、耐薬品性と安全性が求められる食品製造工程用フィルターには使用することが困難であった。
一方、上記ポリフェニレンサルファイド樹脂の製造方法とは異なる方法がいくつか知られており、いくつかの特許文献にはポリフェニレンサルファイド樹脂を製造するための組成物および製造方法が記載されている(例えば、特許文献3〜5参照。)。前記組成物および製造方法では、二塩化化合物と硫化物を使う代わりにジヨードベンゼンと固体硫黄を、極性溶媒なしに直接加熱して重合反応させる溶融重合法が開示されている。前記製造方法はヨウ化工程および重合工程を含む。前記ヨウ化工程ではベンゼンをヨード(ヨウ素)と反応させて、ジヨードベンゼンを得て、続く重合工程で、ニトロ化合物触媒でジヨードアリール化合物を固体硫黄と重合反応させてポリフェニレンサルファイド樹脂を製造する。この製造方法においては有機溶剤を加えることなく、ポリフェニレンサルファイドを製造が可能であることから有機溶剤を含まない。そのため人体へ悪影響となる有機溶剤が低減でき、食品製造工程でも使用可能なポリフェニレンサルファイドを製造することができる。
しかし、上記ジヨードベンゼンと固体硫黄を直接加熱して重合させた樹脂を用いて繊維を成型した場合、マッコラム法によって製造したリニア型と呼ばれるポリフェニレンサルファイド樹脂と比較して繊維の引張強度が低く、フィルターに応用することが困難であった。
米国登録特許第2,513,188号明細書 米国登録特許第2,583,941号明細書 米国登録特許第4,746,758号明細書 米国登録特許第4,786,713号明細書 日本登録特許第5167276号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、ポリアルキレンテレフタレート繊維と対比して耐熱性、耐アルカリ溶液性等が要求される食品フィルター用途に好適なポリフェニレンサルファイド繊維およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、遂に本発明を完成するに到った。すなわち、本発明は以下の通りである。
1.繊維中に含まれるNMP含有量が100ppm以下、引張強度が3.0cN/dtex以上であることを特徴とする、ポリフェニレンサルファイド繊維。
2.単糸繊度が0.0001〜5.0dtexであることを特徴とする、請求項1に記載のポリフェニレンサルファイド繊維。
3.食品フィルター用であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリフェニレンサルファイド繊維。
4.溶融重合法で製造したポリフェニレンサルファイド樹脂を用い溶融紡糸法によりポリフェニレンサルファイド繊維を製造することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法。
5.溶融したポリフェニレンサルファイド樹脂を紡糸口金から紡出し未延伸糸を採取する際に、紡糸口金の吐出孔の周辺を300℃以上に加熱することを特徴とする、請求項4に記載のポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法。
6.溶融したポリフェニレンサルファイド樹脂を紡糸口金から紡出し未延伸糸を採取し、次いで得られた未延伸糸を3.5〜6.0倍で延伸することを特徴とする、請求項4〜5のいずれか1項に記載のポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法。
本発明によれば、繊維中のNMP含有量が少なく、且つ引張強度に優れ、ポリアルキレンテレフタレート繊維と対比して耐熱性、耐アルカリ溶液性等が要求される食品用フィルターに適するポリフェニレンサルファイド繊維を提供することができる。
図1は、本発明のポリフェニレンサルファイド繊維の溶融紡糸法による未延伸糸の製造方法の模式を示した図である。 図2は、本発明のポリフェニレンサルファイド繊維の未延伸糸を延伸し、延伸糸の製造方法を示した図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
ポリフェニレンサルファイド樹脂は耐薬品性、耐熱性の高い樹脂であり、メタフェニレン基、またはパラフェニレン基を硫黄原子で結合させた線状の熱可塑性樹脂である。上記の化学反応式で示したように、パラジクロロベンゼンと硫化ナトリウム等の硫化物をジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、スルホラン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の有機溶媒中で反応させる溶液重合法や、ジヨードベンゼンと固体硫黄を無溶媒で直接加熱する溶融重合法により製造することができる。本発明のポリフェニレンサルファイド繊維を構成するポリフェニレンサルファイド樹脂においては、樹脂中に含まれるNMPを初めとする下記の重合で用いる各種の有機溶媒の含有量を下記のように100ppm以下に設定することができるのであれば溶液重合法で得られたポリフェニレンサルファイド樹脂など、その製造方法は問わない。但し、NMP含有量を所定量以下に設定しやすいと言う観点からは溶融重合法により得られたポリフェニレンサルファイド樹脂を用いることが好ましい。
本発明のポリフェニレンサルファイド繊維は、繊維中のNMP含有量が100ppm以下となるポリフェニレンサルファイド繊維である。本発明のポリフェニレンサルファイド繊維は食品フィルター用途として好適に用いることができる。ポリフェニレンサルファイド繊維中のNMP含有量が100ppmを超えた場合には食品フィルター用途として使用した場合、繊維中に含まれる含NMP成分が流出し、食品・飲料に混入し、その食品・飲料を飲食する人に害を及ぼす可能性があるため好ましくない。より好ましくはNMP含有量が80ppm以下であり、更により好ましくはNMP含有量が50ppm未満であるポリフェニレンサルファイド樹脂を用いることである。
本発明のポリフェニレンサルファイド繊維を構成するポリフェニレンサルファイド樹脂には必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、難燃剤、耐炎化剤、撥水剤、吸水剤、吸湿剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、補強材、強化材、有機または無機の充填剤(フィラ―)、色剤(顔料、色素)、蛍光増白剤、流動性改質剤、抗菌剤、防汚剤、収束剤、離型剤、軟化剤、可塑剤、界面活性剤、結晶核剤、滑剤、耐衝撃性改良剤、相溶化剤、等が含まれていても良い。これらの添加剤の含有量としては、ポリフェニレンサルファイド樹脂と添加剤の合計重量に対して0.001〜3.0重量%であることが好ましい。
また本発明のポリフェニレンサルファイド繊維は、引張強度が3.0cN/dtex以上となるポリフェニレンサルファイド繊維である。ポリフェニレンサルファイド繊維の引張強度としては3.0cN/dtex以上、好ましくは3.5cN/dtex以上、さらに好ましくは4.0cN/dtex以上、より更に好ましくは4.5cN/dtex以上であることである。引張強度が低減した場合、最終製品であるフィルター破損の原因となる。
また本発明のポリフェニレンサルファイド繊維は、単糸繊度が0.0001〜5.0dtexであることが好ましい。単糸繊度が5.0dtexより太い繊維である場合、フィルターを製造した際に、十分な濾過機能を有することができず、あらゆる濾過により除去されるべき化合物が濾過されないことがあり好ましくない。単糸繊度がより細い場合には、フィルターとしての濾過機能が著しくなりすぎ、濾過時間が非常に必要となる場合や、このような細繊度の繊維を用いて、繊維を破断させることなくフィルターを製造することが困難な場合があり好ましくない。より好ましい単糸繊度は0.0005〜3.0dtex、更により好ましくは0.001〜2.6dtexである。
また本発明のポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法においては、繊維原料として溶融重合法によって製造されたポリフェニレンサルファイド樹脂を用いることが好ましい。溶融重合法によって製造していないポリフェニレンサルファイド樹脂を用いた場合、有機溶剤または水を用いた洗浄により、NMP含有量を低減する作業が必要となるが、この作業を実施することによって、NMP含有量が100ppm以下となるのであれば、溶液重合法により得られたポリフェニレンサルファイド樹脂を用いても良い。通常は、溶液重合法で得られたポリフェニレンサルファイド樹脂の場合には溶液重合の際に用いる有機溶媒を100ppm以下に抑制させるのは困難であると考えられるので、下記のNMP含有量を測定する方法(GC/MS測定)によって得られた評価結果から、ポリフェニレンサルファイド樹脂中に含まれている有機溶媒成分の含有量が140ppmより少ない場合には、溶融重合法により得られたポリフェニレンサルファイド樹脂、含有量が多い場合には溶液重合法により得られたポリフェニレンサルファイド樹脂と考えることができる。
更に、本発明のポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法においては、溶融重合法で製造したポリフェニレンサルファイド樹脂を用い溶融紡糸法によりポリフェニレンサルファイド繊維を製造することが好ましく採用することができる。本発明のポリフェニレンサルファイド繊維の製造に用いるポリフェニレンサルファイド樹脂のポリマーペレットの溶融にはエクストルーダー型紡糸機を用いることが望ましい。紡糸温度は280〜340℃とし、紡糸パック中でメッシュサイズが5〜50μmのフィルターを通過させて濾過する。紡糸温度は好ましくは290〜335℃、より好ましくは300〜330℃、更により好ましくは310〜325℃である。図面においては、上記の紡糸パック中の図面は省略している。フィルターを通過し濾過したポリマーは紡糸口金1を用い、口金細孔から紡出し、加熱筒2により加熱された雰囲気の口金周辺を通過した後、横吹き出し冷却チムニー3から冷却風4を吹き付けて冷却固化し糸条5とする。
また本発明のポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法においては、溶融した上記ポリフェニレンサルファイド樹脂を紡糸口金から紡出し未延伸糸を採取する際に、紡糸口金の吐出孔の周辺を300℃以上、好ましくは305〜350℃、より好ましくは310〜340℃、更により好ましくは315〜325℃に加熱する方法を好ましく採用することができる。300℃未満の場合は未延伸糸の伸度が低下し、毛羽が少なく、品位が良好な延伸糸となる延伸倍率が低下することによって、引張強度が低下する場合があり好ましくない。すなわち本発明においては、延伸後のポリフェニレンサルファイド繊維の引張強度を3.0cN/dtex以上とするにあたっては、ポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法において、この紡糸口金の吐出孔の周辺の温度を所定の温度範囲とすることが重要となる場合がある。ここで「紡糸口金の吐出孔の周辺」とは紡糸口金の吐出孔から繊維糸条の進行方向に0〜50cm以内の領域を言う。
該紡糸口金1においては、通常の千鳥配列や環状配列で口金細孔を配列させ、その孔径や孔長は口金背面圧力が50〜300kg/cmとなるように適宜設計することが好ましい。紡糸糸条に対し直角に冷風を吹き付ける横吹き出し冷却チムニーを用いてもよく、環状冷却チムニーを用いて紡出糸束の外周から中心に、あるいは中心から外周に向けて吹き付けても良いが、上記の横吹き出し冷却チムニー3を使用することが望ましい。
次に、冷却固化した糸条5はダクト6を通って給油ロール7を通過する。この給油ロール7により油剤を付与し、該糸条は、所定の速度で回転する引取ロール8に捲回されて引き取られる。油剤付与はローラー給油、ガイド給油等、公知の方法を用いて実施することができる。ここで使用する油剤は、平滑剤、活性剤、乳化剤などを主成分とする水系エマルジョン油剤であることが好ましい。
引取ロール8は、片掛け型、ネルソン型またはセパレートロール型が用いられ、それらいずれを使用してもよく、その温度は通常常温であるが、該ロール内部に水を循環させて温度制御してもよい。未延伸糸の糸条5は巻取機9により巻き取られ、繊維パッケージ10を得る。この繊維パッケージ10が次に示す延伸装置に投入される。この際の未延伸糸の引き取り速度としては、好ましくは100〜10000m/min、より好ましくは200〜8000m/min、更により好ましくは300〜1000m/minである。
引取速度が速いと断糸が多発し、安定した溶融紡糸ができないことがあり好ましくない場合がある。引取速度が遅いと口金細孔から吐出し、紡出される溶融ポリフェニレンサルファイド樹脂の速度とのバランスを崩し、同様に安定した溶融紡糸ができないことがあり好ましくない場合がある。
得られた未延伸糸を図2のような延伸装置を用いて熱延伸を行う。
本発明のポリフェニレンサルファイド繊維は、溶融したポリフェニレンサルファイド樹脂を紡糸口金から紡出し未延伸糸を採取し、次いで得られた未延伸糸を3.5〜6.0倍で延伸することが好ましく採用することができる。前記巻取機に巻き取られた繊維パッケージ10が延伸装置の未延伸糸11の位置に設置される。予熱ロール12の温度は80〜110℃好ましくは85〜95℃とすることが好ましい。予熱ロール12の温度が80℃未満の場合には、第一段延伸前の糸条予熱が不十分なため不均一延伸となり毛羽品位、延伸性が不良となる。一方、予熱温度が110℃を超える場合には、延伸時の張力低下のため、ポリマーの配向が低下し、引張強度が低下する。次いで未延伸糸を全延伸工程において合計で3.4〜6.0倍、好ましくは4.0〜5.0倍で熱延伸することが好ましい。必要である。熱延伸の倍率が3.5倍未満の場合、引張強度が低下する。また6倍を超える場合には困難である。熱延伸工程においては、2〜6段の多段延伸を行うことが好ましい。多段延伸を行うには、図2に示したように、予熱ロール12と第1延伸ロール13の回転数、第1延伸ロール13と第2延伸ロール14の回転数、第2延伸ロール14と第3延伸ロール15の回転数を徐々に上げることによって、好ましく実施することができる。
未延伸を2段以上の倍率で延伸する場合、第一段目の延伸倍率は合計延伸倍率の0.7〜1.0倍とすることが好ましい。第一段目の延伸倍率が合計延伸倍率の0.7倍未満の場合、ポリマーの配向が低下するため、引張強度が低下する場合がある。また第一段目の延伸倍率は合計延伸倍率の1.0倍を超える場合には、毛羽が増え、ポリフェニレンサルファイド繊維の品位が低下することから望ましくない。より好ましくは第一段目の延伸倍率は合計延伸倍率の0.75〜0.95倍、更に好ましくは0.80〜0.90倍となる条件内で延伸工程を実施することである。2段以上の多段延伸を行う場合、上述したようなポリフェニレンサルファイド繊維の延伸後の製品不良の発生を抑制する観点から予熱ロール温度は88〜120℃、好ましくは89〜110℃でガラス転移温度以上に未延伸糸を加熱し、第1延伸ロール温度は100〜180℃、好ましくは120〜160℃、第2延伸ロール温度は180〜250℃、好ましくは190〜230℃の範囲とすることが好ましい。更に、最終延伸ロールの速度を100〜400m/min、好ましくは150〜350m/minの範囲することで、上述延伸ロールの加熱温度と相まって引張強度に優れ、毛羽等による品位の低下が少ないポリフェニレンサルファイド繊維を好ましく製造することができる。
図2には示していないが、次いで得られた延伸糸の熱安定性を向上させるために最後の延伸ロールと巻取機16の間で150℃〜250℃の温度で熱処理することもできる。このようにして熱延伸処理、必要に応じた加熱処理を施されたポリフェニレンサルファイド延伸糸は、巻取機により巻き取られ、繊維パッケージ(延伸糸)17を得る。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。本発明に記載の物性は、以下の方法により測定した。
(1)繊維中のNMP含有量:
繊維中のNMP含有量については熱分解GC/MS測定によって定量した。繊維サンプルをヘリウム雰囲気下300℃で瞬間加熱し、繊維から発生したガスを分離検出した。分離検出定量には株式会社島津製作所社製GC/MS測定器GCMS−QP2020(商品名)を用いて行った。
(2)総繊度:
JIS L 1013(1999) 8.3.1 A法に従い、所定荷重0.045cN/dtexで正量繊度を測定して総繊度とした。
(3)単糸数:
JIS L 1013(1999) 8.4.の方法で算出した。
(4)単糸繊度:
上記総繊度を上記単糸数で除することで算出した。
(5)引張強度:
JIS L 1013(1999) 8.5.1に従い、つかみ間隔20cm、引張速度20cm/min、N=10で測定した。
[実施例1]
溶融重合法で作製したポリフェニレンサルファイド樹脂(韓国Initz社のEcotran0504(商品名))を原料として用い、そのポリフェニレンサルファイド樹脂を320℃で溶融し、紡糸口金より紡出した。この時紡糸口金の吐出孔の周辺(紡糸口金の吐出孔から繊維糸条の進行方向に30cmまでの領域)の温度は320℃とし、一般的な水系エマルジョン油剤を付与し、引取速度500m/minで引き取り、未延伸糸を採取した。次いで、2段にて延伸した。予熱ロール温度90℃、速度57m/min、第1延伸ロール温度150℃、速度171m/min、第2延伸ロール温度200℃、200m/minで熱延伸し、全延伸倍率は3.5倍であった。その結果、糸中のNMP含有量は50ppmを下回り、上記測定方法では検出できなかった(検出限界以下)。また総繊度90dtex、単糸繊度2.5dtex、引張強度3.2cN/dexの繊維を得た。
[実施例2]
上記実施例1において、予熱ロール速度を48m/minとする以外は実施例1と同様の条件で紡糸、延伸を行った。その結果、糸条中のNMP含有量は50ppmを下回り、検出できなかった(検出限界以下)。また総繊度90dtex、単糸繊度2.5dtex、引張強度4.6cN/dexの繊維を得た。
[比較例1]
溶液重合法で作製したポリフェニレンサルファイド樹脂(クレハ株式会社製フォートロンKPS(商品名))を原料として用いた。そのポリフェニレンサルファイド樹脂を320℃で溶融し、紡糸口金より紡出した。この時紡糸口金の吐出孔の周辺の温度は250℃とし、一般的な水系エマルジョン油剤を付与し、引取速度500m/minで引き取り、未延伸糸を採取した。次いで、2段にて延伸した。予熱ロール温度90℃、速度54m/min、第1延伸ロール温度150℃、速度171m/min、第2延伸ロール温度200℃、200m/minで熱延伸し、全延伸倍率は3.5倍であった。その結果、糸中のNMP含有量は50ppmを下回り、検出できなかった。また総繊度90dtex、単糸繊度2.5dtex、引張強度4.8cN/dexの繊維を得た。
[比較例2]
上記実施例1において、紡糸口金の吐出孔の周辺の温度を250℃とし、予熱ロール速度を80m/minとする以外は実施例1と同様の条件で紡糸、延伸を行った。その結果、糸中のNMP含有量は50ppmを下回り、検出できなかった(検出限界以下)。また総繊度90dtex、単糸繊度2.5dtex、引張強度2.7cN/dexの繊維を得た。
[比較例3]
上記実施例1において、紡糸口金の吐出孔の周辺の温度を250℃とする以外は実施例1と同様の条件で紡糸、延伸を行った。その結果、断糸が多発し、繊維サンプルを採取不可能であった。
各実施例・比較例において得られた繊維の紡糸条件、延伸条件、物性測定結果を表1に示した。
Figure 2018127739
本発明によれば、繊維中のNMP含有量が100ppm以下であることから食品フィルターへ応用可能であり、引張強度に優れ、ポリアルキレンテレフタレート繊維と対比してガラス転移温度・融点が高いことから耐熱性に優れ、アルカリ加水分解を受けやすいエステル結合を有しないことから耐アルカリ溶液性に優れているポリフェニレンサルファイド繊維を提供することができる。特に食品用途の中でも、安全性、耐薬品性、耐熱性および耐アルカリ溶液性が要求される、糖類の製造・精製用途に用いる食品フィルター用途において好適に用いることができる。本発明によるポリフェニレンサルファイド繊維は、このような耐熱性、耐アルカリ溶液性等が要求される食品フィルター用途に好適なポリフェニレンサルファイド繊維として用いることができ、同時にその製造方法を提供することと相まって、その工業的価値は極めて大きい。
1:紡糸口金
2:加熱筒
3:横吹き出し冷却チムニー
4:冷却風
5:糸条
6:ダクト
7:給油ロール
8:引取ロール
9:巻取機
10:繊維パッケージ(未延伸糸)
11:未延伸糸
12:予熱ロール
13:第1延伸ロール
14:第2延伸ロール
15:第3延伸ロール
16:巻取機
17:繊維パッケージ(延伸糸)

Claims (6)

  1. 繊維中に含まれるNMP含有量が100ppm以下、引張強度が3.0cN/dtex以上であることを特徴とする、ポリフェニレンサルファイド繊維。
  2. 単糸繊度が0.0001〜5.0dtexであることを特徴とする、請求項1に記載のポリフェニレンサルファイド繊維。
  3. 食品フィルター用であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリフェニレンサルファイド繊維。
  4. 溶融重合法で製造したポリフェニレンサルファイド樹脂を用い溶融紡糸法によりポリフェニレンサルファイド繊維を製造することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法。
  5. 溶融したポリフェニレンサルファイド樹脂を紡糸口金から紡出し未延伸糸を採取する際に、紡糸口金の吐出孔の周辺を300℃以上に加熱することを特徴とする、請求項4に記載のポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法。
  6. 溶融したポリフェニレンサルファイド樹脂を紡糸口金から紡出し未延伸糸を採取し、次いで得られた未延伸糸を3.5〜6.0倍で延伸することを特徴とする、請求項4〜5のいずれか1項に記載のポリフェニレンサルファイド繊維の製造方法。
JP2017022316A 2017-02-09 2017-02-09 食品フィルター用ポリフェニレンサルファイド繊維およびその製造方法 Pending JP2018127739A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017022316A JP2018127739A (ja) 2017-02-09 2017-02-09 食品フィルター用ポリフェニレンサルファイド繊維およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017022316A JP2018127739A (ja) 2017-02-09 2017-02-09 食品フィルター用ポリフェニレンサルファイド繊維およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018127739A true JP2018127739A (ja) 2018-08-16

Family

ID=63172253

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017022316A Pending JP2018127739A (ja) 2017-02-09 2017-02-09 食品フィルター用ポリフェニレンサルファイド繊維およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018127739A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020033680A (ja) * 2018-08-31 2020-03-05 帝人フロンティア株式会社 海島型複合繊維束、およびその極細繊維を含む医療用品、食品製造工程用フィルター
CN112831854A (zh) * 2020-12-29 2021-05-25 华祥(中国)高纤有限公司 一种聚苯硫醚超细旦纤维生产设备

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008202164A (ja) * 2007-02-20 2008-09-04 Toray Ind Inc ポリフェニレンスルフィド繊維
WO2016052295A1 (ja) * 2014-09-30 2016-04-07 東レ株式会社 ポリフェニレンスルフィド繊維

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008202164A (ja) * 2007-02-20 2008-09-04 Toray Ind Inc ポリフェニレンスルフィド繊維
WO2016052295A1 (ja) * 2014-09-30 2016-04-07 東レ株式会社 ポリフェニレンスルフィド繊維

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020033680A (ja) * 2018-08-31 2020-03-05 帝人フロンティア株式会社 海島型複合繊維束、およびその極細繊維を含む医療用品、食品製造工程用フィルター
CN112831854A (zh) * 2020-12-29 2021-05-25 华祥(中国)高纤有限公司 一种聚苯硫醚超细旦纤维生产设备

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5710593B2 (ja) メタ型全芳香族ポリアミド繊維
KR101440570B1 (ko) 폴리에틸렌 섬유 및 그의 제조방법
JP2018127739A (ja) 食品フィルター用ポリフェニレンサルファイド繊維およびその製造方法
JP2011226023A (ja) メタ型全芳香族ポリアミド牽切紡績糸
JP6283352B2 (ja) ポリフェニレンスルフィドモノフィラメントおよびその製造方法
JP2017025463A (ja) ポリプロピレン繊維及び同ポリプロピレン繊維の製造方法
WO2017018195A1 (ja) ポリプロピレン繊維及び同ポリプロピレン繊維の製造方法
JP2011026726A (ja) パラ型全芳香族コポリアミド繊維およびその製造方法
TW202307298A (zh) 聚苯硫醚單絲纖維及其製造方法、以及纖維包裝
JP5503055B2 (ja) パラ型全芳香族コポリアミド延伸繊維およびその製造方法
KR20190000541A (ko) 열수축율이 감소된 메타아라미드 섬유 및 그 제조방법
JPH01239109A (ja) ポリフェニレンサルファイド繊維、その製造法及び該繊維の仮撚加工糸
JP2011226006A (ja) メタ型全芳香族ポリアミド繊維布帛
JP5017568B2 (ja) 弗素系樹脂モノフィラメント、その製造方法および工業用織物
JP2020033680A (ja) 海島型複合繊維束、およびその極細繊維を含む医療用品、食品製造工程用フィルター
JP4563925B2 (ja) 芳香族コポリアミド繊維の製造方法
JP6608376B2 (ja) 溶融異方性芳香族ポリエステル繊維およびその製造方法
WO2018021522A1 (ja) ポリオレフィン系繊維及びその製造方法
JP6514010B2 (ja) パラ型全芳香族コポリアミド延伸繊維の製造方法
JP2018084000A (ja) メタ型全芳香族ポリアミド繊維及びその製造方法
JP6768465B2 (ja) メタ型全芳香族ポリアミド繊維及びその製造方法
JP5141870B2 (ja) 弗素系樹脂モノフィラメント、その製造方法および工業織物
JP2008248405A (ja) 弗素系樹脂モノフィラメント、その製造方法および工業織物
JP5718654B2 (ja) メタ型全芳香族ポリアミド繊維
JP2011226028A (ja) メタ型全芳香族ポリアミド繊維

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20180219

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200908

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200909

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20201104

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210302